JP3887159B2 - 低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板およびその製造方法に関するものであり、特に、ロードホイールをはじめとする自動車足廻り部品等の耐久性が求められる部材の素材として好適な低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の燃費向上などのために軽量化を目的として、Al合金等の軽金属や高強度鋼板の自動車部材への適用が進められている。ただし、Al合金等の軽金属は比強度が高いという利点があるものの鋼に比較して著しく高価であるためその適用は特殊な用途に限られている。従ってより広い範囲で自動車の軽量化を推進するためには安価な高強度鋼板の適用が強く求められている。
【0003】
このような高強度化の要求に対してこれまでは車体重量の1/4程度を占めるホワイトボティーやパネル類に使用される冷延鋼板の分野において強度と深絞り性を兼ね備えた鋼板や焼付け硬化性のある鋼板等の開発が進められ、車体の軽量化に寄与してきた。ところが現在、軽量化の対象は車体重量の約20%を占める構造部材や足廻り部材にシフトしてきており、これらの部材に用いる高強度熱延鋼板の開発が急務となっている。
【0004】
ただし、高強度化は一般的に成形性(加工性)等の材料特性を劣化させるため、材料特性を劣化させずに如何に高強度化を図るかが高強度鋼板開発のカギになる。特に構造部材や足廻り部材用鋼板に求められる特性としては穴拡げ性、疲労耐久性および耐食性等が重要であり高強度とこれら特性を如何に高次元でバランスさせるかが重要である。例えば、ロードホイールディスク用鋼板に求められる特性としては特に疲労耐久性が重要視されている。これは、ホイールの部材特性で最も厳しい基準で管理されているのが疲労耐久性であるためである。
【0005】
現在、これらロードホイールディスク用熱延鋼板として440〜590MPa級の鋼板が用いられているが、これら部材用鋼板に要求される強度レベルは590MPa級から780MPa級へとさらなる高強度化へ向かいつつある。一方、高強度化の目的である薄肉化はホイールに負荷されるひずみレベルの増大をもたらし、部位によっては降伏点を超えるひずみレベルでの振幅にさらされる状況が現出されてきている。
【0006】
これまでロードホイール等足廻り部品への高強度鋼板の適用にあたって疲労耐久性を向上させるためには降伏点以下での繰返し荷重下での疲労限を重要視してきた。しかし、上述したように最近は降伏点を超えるひずみレベルでの低サイクル疲労特性の向上が望まれるようになってきている。ところが、低サイクル疲労特性を向上させるための技術については、ほとんど見受けられないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板およびその鋼板を安価に安定して製造できる製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、現在通常に採用されている連続熱間圧延設備により工業的規模で生産されている熱延鋼板の製造プロセスを念頭において、熱延鋼板の低サイクル疲労強度の向上を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、ミクロ組織が、体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなる複合組織であり、疲労試験後に観察されるフェライトでの転位構造のうちセル構造の面積率が50%以下であることが低サイクル疲労強度向上に非常に有効であることを新たに見出し、本発明をなしたものである。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)質量%にて、C:0.01〜0.3%、Si:0.01〜2%、Mn:0.05〜3%、P≦0.1%、S≦0.01%、を含み、Al≦0.2%、N:0.001〜0.1%、1.73≦0.52Al/N≦5を満たすようにAlとNを含有し、かつCr、Mo、Vのうち一種または二種以上をCr≦2.5%、Mo≦1%、V≦0.1%、かつ(Cr+3.5Mo+39V)≧0.1を満たすように含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であって、そのミクロ組織が、体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなる複合組織であることを特徴とする、低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。
【0010】
(2)前記鋼が、さらに、質量%にて、Cu:0.2〜2%を含有することを特徴とする、前記(1)に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。
(3)前記鋼が、さらに、質量%にて、B:0.0002〜0.002%を含有することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。
(4)前記鋼が、さらに、質量%にて、Ni:0.1〜1%を含有することを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。
【0011】
(5)前記鋼が、さらに、質量%にて、Ca:0.0005〜0.002%、REM:0.0005〜0.02%の一種または二種を含有することを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。
(6)前記鋼が、さらに、質量%にて、Ti:0.001〜0.1%かつN−0.29Ti≧0.0005%、Zr:0.001〜0.2%の一種または二種以上を含有することを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。
【0012】
(7)前記(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の成分を有する鋼片の熱間圧延に際し、Ar3変態点温度以上Ar3変態点温度+100℃以下で熱間仕上圧延を終了した後、Ar1変態点温度以上Ar3変態点温度以下の温度域で1〜20秒間滞留し、その後、20℃/s以上の冷却速度で冷却して、350℃超450℃未満の温度範囲の巻取温度で巻き取り、そのミクロ組織が、体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなる複合組織である鋼板を得ることを特徴とする、低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板の製造方法。
(8)前記熱間圧延に際し、粗圧延終了後、高圧デスケーリングを行ない、Ar3変態点温度以上Ar3変態点温度+100℃以下で熱間仕上圧延を終了することを特徴とする前記(7)記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板の製造方法にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に至った基礎研究結果について説明する。
まず、疲労試験後の転位構造に及ぼすAl、N、Cr、Mo、Vの添加量の影響を調査した。そのための供試材は、次のようにして準備した。すなわち、0.06%C−0.9%Si−1.2%Mn−0.01%P−0.001%Sを基本成分にAl、N、Cr、Mo、Vの添加量を変化させて成分調整し溶製した鋳片をAr3 変態点温度以上のいずれかの温度で板厚が3.5mmになるように熱間仕上圧延を終了して後、Ar1 変態点温度以上Ar3 変態点温度以下のいずれかの温度域で1〜15秒間滞留し、その後、20℃/s以上の冷却速度で冷却して、550℃〜常温の温度範囲で巻き取った。
【0014】
このようにして得られた鋼板から図1に示す形状の疲労試験片を鋼板板幅の1/4Wもしくは3/4W位置より圧延方向が長辺になるように採取し疲労試験に供した。ただし、疲労試験片の表面は三山仕上の研削表面とした。疲労試験は電気油圧サーボ型疲労試験機を用い、試験方法はASTM E606−92に準じた。なお、試験条件は図2に示すように軸方向に三角波にて完全両振り引張圧縮負荷で、全ひずみ振幅を0.2〜0.6%、ひずみ速度を4.0×10-3/secとした。試験はひずみ応答および応力応答の変化を記録しながら行った。
【0015】
疲労試験終了後、全ひずみ振幅の条件が2≦2100×εa/YP≦4の範囲で試験を行った試験片について図3に示すように破断部近傍1/4厚の部位から透過型電子顕微鏡試料(薄膜)を加工ひずみが導入されないように採取し、透過型電子顕微鏡にて転位構造の観察を行った。ただし、透過型電子顕微鏡による観察は2000〜10000倍の倍率にて結晶粒を変えて10視野以上観察した。ここでYP:降伏応力または0.2%耐力(MPa)、εa:全ひずみ振幅(%)である。
【0016】
図4および図5に観察例を示す。いずれも全ひずみ振幅εa=0.3%の条件である。図4は本発明範囲外、図5は本発明範囲の例である。本発明範囲外の図4が典型的なセル構造を示すのに対して、本発明範囲の図5はセル構造を示さない。ここでセル構造とは疲労現象特有な転位密度が高いセル壁(wall、vein、debris)に囲まれたセルが集まった構造である。また、セルとはセル壁に四方を囲まれ完全に閉じた構造のものと定義する。一方、セル構造の面積率とは1試料で観察された各視野において目視または画像処理によって得られた面積率の値を観察視野毎に足し合わせ、それを観察視野数で割ったいわゆる平均値とする。
【0017】
本発明者らは、これらの実験結果を詳細に検討した結果、疲労試験後に観察されるフェライトでの転位構造と低サイクル疲労強度には図6に示すように非常に強い相関があり、フェライトでの転位構造のうちセル構造の面積率が50%以下であると低サイクル疲労強度が向上することを新たに知見した。また、フェライトでの転位構造と0.52Al/Nの値およびCr+3.5Mo+39Vの値との関係においても図7に示すように強い相関関係が認められ、0.52Al/N≦10かつ(Cr+3.5Mo+39V)≧0.1の領域においてセル構造の面積率が50%以下になることを新たに知見した。
【0018】
このメカニズムは必ずしも明らかではないが以下のように推測される。通常、軟質相であるフェライトに繰返しひずみが集中して繰返し軟化が起こり低サイクル疲労強度が低下する。従って低サイクル疲労強度を向上させるためには軟質相であるフェライトにおいて繰返し軟化を抑制しなければならない。
本発明のごとく固溶状態のN、CおよびCr,Mo,Vを特定範囲で含有すると、進入型固溶元素であるNやCとCr,Mo,Vとがフェライトにおいてペアやクラスターを形成し、繰返し荷重下での転位の交差すべりを抑制することで転位の再配列(セル構造の形成)による繰返し軟化を抑制する。さらに繰返し荷重の負荷により生成する原子空孔の作用により進入型固溶元素であるNやCがCr,Mo,Vのペアやクラスターから脱出し、転位を固着するため繰返し硬化が起こることで低サイクル疲労強度が向上する。
また、熱間圧延条件等を制限することによって、フェライトにおいて進入型固溶元素であるNやCの存在状態を制御し低サイクル疲労強度に優れる鋼板を製造できることも新たに知見した。
【0019】
本発明において低サイクル疲労強度とは繰返し降伏応力を引張強度で除した値と定義する。ここで繰返し降伏応力は以下のように求めることができる。全ひずみ振幅一定での疲労試験中のひずみ応答および応力応答の変化は図8に示すようなヒステリシスループとして模式的に表される。材料は繰返しひずみにより軟化もしくは硬化しこの変化がΔσの変化として得られる。材料のΔσの値は破断寿命(Nf)の1/2の繰返し数でほとんど飽和し安定する。従って、この繰返し数でのΔσ/2をそのひずみ振幅における応力振幅σa と定義する。このσa を各ひずみ振幅について模式的に図示したものが図9である。ここでこれらのσa をひずみに対して直線近似した直線を応力−ひずみ曲線に外挿した交点を繰返し降伏点とする。また、この交点は材料を直線弾性体(Hooke‘s body)と仮定したときに得られる弾性直線との交点でも差し支えない。
【0020】
次に本発明における鋼板のミクロ組織について詳細に説明する。鋼板のミクロ組織は、疲労特性と延性を両立させるために体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなる複合組織とした。ただし、不可避的なパーライト、マルテンサイトを含むことを許容するものである。なお、良好な疲労特性を確保するためには、パーライトの体積分率は5%以下が望ましい。さらに、良好な延性を得るためにはフェライトの体積分率は40%以上が望ましく、マルテンサイトの体積分率は5%未満が望ましい。ここで、残留オーステナイト,フェライト、ベイナイト、パーライト及びマルテンサイトの体積分率とは鋼板板幅の1/4Wもしくは3/4W位置より切出した試料を圧延方向断面に研磨、エッチングし、光学顕微鏡を用い200〜500倍の倍率で観察された板厚の1/4tにおけるミクロ組織の面積分率で定義される。
【0021】
続いて、本発明の化学成分の限定理由について説明する。
Cは、所望のミクロ組織を得るのに必要な元素である。ただし、0.3%超含有していると加工性が劣化するので、0.3%以下とする。また、0.2%超含有すると溶接性が劣化するので0.2%以下が望ましい。一方、0.01%未満であると強度が低下するので0.01%以上とする。また、良好な延性を得るための十分な残留オーステナイト量を安定的に得るためには0.05%以上が望ましい。さらに、固溶状態で存在するCはNと同様にCr、Mo、Vとペアやクラスターを形成するので低サイクル疲労強度向上に有効である。本発明においては、Nが十分に添加されており固溶C量については特に範囲を定めない。ただし、上述の全C含有量下限値以上の範囲において効果を得るために十分な固溶C量が確保されており、その範囲は0.0005%以上、0.004%以下であることが望ましい。
【0022】
Siは、所望のミクロ組織を得るのに必要であるとともに固溶強化元素として強度上昇に有効である。所望の強度を得るためには、0.01%以上含有する必要がある。しかし、2%超含有すると加工性が劣化する。そこで、Siの含有量は0.01%以上、2%以下とする。
Mnは、固溶強化元素として強度上昇に有効である。所望の強度を得るためには、0.05%以上必要である。また、Mnはオーステナイト安定化元素であり、良好な延性を得るための十分な残留オーステナイト量を安定的に得るためその添加量は0.05%以上が望ましい。一方、3%超添加するとスラブ割れを生ずるため、3%以下とする。
【0023】
Pは、不純物であり低いほど好ましく、0.1%超含有すると加工性や溶接性に悪影響を及ぼすとともに疲労特性も低下させるので、0.1%以下とする。
Sは、不純物であり低いほど好ましく、多すぎると局部延性や穴拡げ性を劣化させるA系介在物を生成するので極力低減させるべきであるが、0.01%以下ならば許容できる範囲である。
【0024】
Alは脱酸調製剤として使用しても良い。ただし、AlはNと結合しAlNを形成するため、Cr、Mo、Vとペアやクラスターを形成する有効なN量が減少するので、その添加は製造技術上無理のない範囲で必要最小限にとどめることが望ましい。すなわち、Alの添加量が0.2%超ではCr、Mo、Vとペアやクラスターを形成する有効なN量を確保するためにNを多量に添加せねばならず、製造コストやAlNの析出による加工性劣化の点で不利である。従ってAlの添加量の上限は0.2%以下とする。また、AlはAl2 O3 等の非金属介在物を生成し疵や局部延性の低下を招く恐れがあるのでその添加量は0.05%以下が望ましい。さらに、製造コストや操業効率を悪化させない範囲で鋼中にNを容易に含有させるためにはさらには0.02%以下が望ましい。なお、Alの下限は特に定めないが、0.001%未満では製造コストや操業効率を悪化させるため、0.001%以上とすることが望ましい。
【0025】
Nは本発明において重要な元素の一つである。本発明においては、固溶状態の進入型固溶元素であるNやCとCr,Mo,Vとがフェライトにおいてペアやクラスターを形成し、繰返し荷重下での転位の交差すべりを抑制することで転位の再配列(セル構造の形成)による繰返し軟化を抑制し、さらに繰返し荷重の負荷により生成する原子空孔の作用により進入型固溶元素であるNやCがCr,Mo,Vのペアやクラスターから脱出し転位を固着するため繰返し硬化が起こることで低サイクル疲労強度が向上する。従って、0.001%以上の添加が必須である。一方、溶鋼中にNを多量に添加するためには加圧等の特別な設備および操業を必要とするのでその上限は0.1%である。また、Nは多すぎると降伏点伸びが発生し、加工性が劣化するのでより好ましくは、0.01%以下である。
【0026】
さらにNはAlと結合してAlNを形成し易い元素であるので、低サイクル疲労強度の向上に寄与する固溶Nを確保するために0.52Al/N≦10と限定する。0.52Al/Nの値が10超となると、熱間圧延後の冷却過程や巻取中、容易にAlNが析出するためこれを上限とする。この値が10以下であれば熱延後の冷却速度や巻取温度を本発明の範囲で行うことによってAlNの過度の析出を避けることができる。また、0.52Al/Nの値が5以下では微細なAlNの析出による加工性の劣化が改善されるので、より望ましくは、0.52Al/N≦5である。なお、0.52Al/Nの下限を1.73とする。
【0027】
一方、固溶N量は上述の全N含有量範囲で調整しても良いが、固溶N量としては0.0005〜0.004%が望ましい。固溶Nが0.0005%未満では優れた低サイクル疲労強度を得ることができず、0.004%超では降伏点伸びが発生し加工性が劣化する。さらに、腰折れ疵発生抑制の観点から固溶N量は、0.0012〜0.003%が望ましい。
ここで固溶NとはFe中に単独で存在するNだけでなく、Cr,Mo、V、Mn、Si,Pなどの置換型固溶元素とペアやクラスターを形成するNも含む。固溶N量は、水素気流中加熱抽出法によって求める。この方法は試料を200〜500℃程度の温度域に加熱し、固溶Nと水素とを反応させてアンモニアとし、これを質量分析し、その分析値を換算して固溶N量を求めるものである。
【0028】
また、固溶N量は、全N量からAlN、NbN、VN、TiN、BNなどの化合物として存在するN量(抽出残査の化学分析から定量)を差し引いた値から求めることもできる。さらには、内部摩擦法やFIM(Field Ion Microscopy)によって求めても良い。
Cr,Mo,Vは、本発明において重要な元素である。Cr,Mo,Vの添加量の上限は、加工性の確保とコストの点から決定され、それぞれ2.5、1、0.1%である。特にVは添加量が多すぎると熱間圧延条件によっては窒化物を形成し、低サイクル疲労強度の向上に効果のある固溶Nの確保が困難となる可能性があるので0.04%以下とするのが望ましい。一方、優れた低サイクル疲労強度を得るためには(Cr+3.5Mo+39V)≧0.1を満たす必要がある。
【0029】
さらに、降伏点伸びの発生による加工性の劣化を回避するためには(Cr+3.5Mo+39V)≧0.4がより望ましい範囲である。また、降伏点伸びの発生による加工性の劣化を回避するためには、Cr,Mo,Vを単独で添加するよりも2種類以上を組み合わせて添加することがより一層効果的である。
Cuは、固溶状態で疲労特性を改善する効果があるので必要に応じ添加する。ただし、0.2%未満では、その効果は少なく、2%を超えて含有しても効果が飽和する。そこで、Cuの含有量は0.2〜2%の範囲とする。
【0030】
Bは、Cuと複合添加されることによって疲労限を上昇させる効果があるので必要に応じ添加する。ただし、0.0002%未満ではその効果を得るために不十分であり、0.002%超添加するとスラブ割れが起こる。よって、Bの添加は、0.0002%以上、0.002%以下とする。また、Bを0.0004%超添加するとBNが形成されるためCr、Mo、Vとペアやクラスターを形成する有効な固溶N量が減少する可能性がある。従ってBの添加は、0.0002%以上0.0004%以下がより望ましい範囲である。
【0031】
Niは、Cu含有による熱間脆性防止のために必要に応じ添加する。ただし、0.1%未満ではその効果が少なく、1%を超えて添加してもその効果が飽和するので、0.1〜1%とする。
CaおよびREMは、破壊の起点となったり、加工性を劣化させる非金属介在物の形態を変化させて無害化する元素である。ただし、0.0005%未満添加してもその効果がなく、Caならば0.002%超、REMならば0.02%超添加してもその効果が飽和するのでCa:0.0005〜0.002%、REM:0.0005〜0.02%添加することが望ましい。
【0032】
Nbは組織の微細化と均一化による加工性の向上や高強度化に有効であるので必要に応じて添加する。しかし、その添加量が0.001%未満では効果を発現せず、0.1%超添加しても効果が飽和する。また、N−0.15Nbの値が0.0005%超であると低サイクル疲労強度向上に有効な固溶Nの確保が困難となる。従って、Nbの添加量は0.001〜0.1%かつN−0.15Nb≧0.0005%とする。一方、Nbを0.012%超添加するとNbNを形成し易くなり、低サイクル疲労強度向上に有効な固溶Nの確保が困難となる恐れがあるので、0.001〜0.012%がより望ましい。
【0033】
TiもNbと同様の効果を有するので必要に応じて添加する。しかしその添加量が0.001%未満では効果を発現せず、0.1%超添加してもその効果は飽和する。また、N−0.29Tiの値が0.0005%超である低サイクル疲労強度向上に有効な固溶Nの確保が困難となる。従って、Tiの添加量は0.001%〜0.1%かつN−0.29Ti≧0.0005%とする。一方、Tiを0.012%超添加するとTiNとして析出または晶出する可能性があり、低サイクル疲労強度向上に有効な固溶Nの確保が困難となる恐れがあるので、0.001〜0.012%がより望ましい。
【0034】
さらに、強度を付与するために、析出強化もしくは固溶強化元素としてZrを添加しても良い。ただし、0.001%未満ではその効果を得ることができない。また、0.2%を超え添加してもその効果は飽和する。従って、Zrは0.001%〜0.2%の範囲で添加する。ただし、ZrはZrNを形成し低サイクル疲労強度向上に有効な固溶N量を減少させる可能性があるため、0.01%以下とすることが望ましい。
これらを主成分とする鋼にSn、Co、Zn、W、Mgを合計で1%以下含有しても構わない。しかしながらSnは熱間圧延時に疵が発生する恐れがあるので0.05%以下が望ましい。
【0035】
次に、本発明の製造方法の限定理由について、以下に詳細に述べる。
本発明では、目的の成分含有量になるように成分調整した溶鋼を鋳込むことによって得たスラブを、高温鋳片のまま熱間圧延機に直送してもよいし、室温まで冷却後に加熱炉にて再加熱した後に熱間圧延してもよい。再加熱温度については特に制限はないが、1400℃以上であると、スケールオフ量が多量になり歩留まりが低下するので、再加熱温度は1400℃未満が望ましい。また、1000℃未満の加熱はスケジュール上操業効率を著しく損なうため、再加熱温度は1000℃以上が望ましい。さらに、固溶Nを確保するためにAlNを溶解させる必要のある場合には、1150℃以上とすることが望ましい。
【0036】
熱間圧延工程は、粗圧延を終了後、仕上げ圧延を行うが、最終パス温度(FT)がAr3 変態点温度以上Ar3 変態点温度+100℃以下の温度域で終了する必要がある。これは、熱間圧延中に圧延温度がAr3 変態点温度を切るとひずみが残留して延性が低下してしまい加工性が劣化し、仕上げ温度がAr3 変態点温度+100℃超では仕上げ圧延後のオーステナイト粒径が大きくなってしまうために後の冷却工程において行う二相域でフェライト変態の促進が不十分になり、目的とするミクロ組織が得られないためである。従って仕上げ温度はAr3 変態点温度以上Ar3 変態点温度+100℃以下とする。
ここで、粗圧延終了後に高圧デスケーリングを行う場合は、鋼板表面での高圧水の衝突圧P(MPa)×流量L(リットル/cm2 )≧0.0025の条件を満たすことが望ましい。
【0037】
鋼板表面での高圧水の衝突圧Pは以下のように記述される。(「鉄と鋼」1991 vol.77 No.9 p1450参照)
P(MPa)=5.64×P0 ×V/H2
ただし、
P0 (MPa):液圧力
V(リットル/min):ノズル流液量
H(cm):鋼板表面とノズル間の距離
【0038】
流量Lは以下のように記述される。
L(リットル/cm2 )=V/(W×v)
ただし、
V(リットル/min):ノズル流液量
W(cm):ノズル当たり噴射液が鋼板表面に当たっている幅
v(cm/min):通板速度
衝突圧P×流量Lの上限は本発明の効果を得るためには特に定める必要はないが、ノズル流液量を増加させるとノズルの摩耗が激しくなる等の不都合が生じるため、0.02以下とすることが望ましい。
【0039】
さらに、仕上げ圧延後の鋼板の最大高さRyが15μm(15μmRy,l2.5mm,ln12.5mm)以下であることが望ましい。これは、例えば金属材料疲労設計便覧、日本材料学会編、84ページに記載されている通り熱延または酸洗ままの鋼板の疲労強度は鋼板表面の最大高さRyと相関があることから明らかである。また、その後の仕上げ圧延はデスケーリング後に再びスケールが生成してしまうのを防ぐために5秒以内に行うのが望ましい。
【0040】
仕上圧延を終了した後の工程は、まず、Ar3 変態点からAr1 変態点までの温度域(フェライトとオーステナイトの二相域)で1〜20秒間滞留する。ここでの滞留は、二相域でフェライト変態を促進させるために行うが、1秒未満では、二相域におけるフェライト変態が不十分なため、十分な延性が得られず、20秒超では、パーライトが生成し、目的とする体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなる複合組織が得られない。
【0041】
また、1〜20秒間の滞留をさせる温度域はフェライト変態を容易に促進させるためAr1 変態点以上800℃以下が望ましい。さらにAlNの析出を抑制するという観点からは700℃以下がより望ましい。さらに、1〜20秒間の滞留時間は生産性を極端に低下させないためには1〜10秒間とすることが望ましい。また、これらの条件を満たすためには、仕上げ圧延終了後20℃/s以上の冷却速度で当該温度域に迅速に到達させることが必要である。冷却速度の上限は特に定めないが、冷却設備の能力上300℃/s以下が妥当な冷却速度である。さらに、あまりにもこの冷却速度が早いと冷却終了温度を制御できずオーバーシュートしてAr1 変態点以下まで過冷却されてしまう可能性があるのでここでの冷却速度は150℃/s以下が望ましい。
【0042】
次に、その温度域から巻取温度(CT)までは20℃/s以上の冷却速度で冷却するが、20℃/s未満の冷却速度では、パーライトもしくは炭化物を含むベイナイトが生成してしまい十分な残留オーステナイトが得られず目的とする体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなるミクロ組織が得られない。巻取温度までの冷却速度の上限は特に定めることなく本発明の効果を得ることができるが、熱ひずみによる板そりが懸念されることから、300℃/s以下とすることが望ましい。
【0043】
巻取温度が450℃以上では、炭化物を含むベイナイトが生成して十分な残留オーステナイトが得られず目的とする体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなるミクロ組織が得られないため、巻取温度は、450℃未満と限定する。また、巻取温度が350℃以下では、マルテンサイトが多量に生成して十分な残留オーステナイトが得られず目的とする体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなるミクロ組織が得られないため、巻取温度は、350℃超と限定する。さらに、巻取り後の冷却速度は特に限定しないが、Cuを1%以上添加した場合、巻取り後にCuが析出して加工性が劣化するばかりでなく、疲労特性向上に有効な固溶状態のCuが失われる恐れがあるので、巻取り後の冷却速度は200℃までを30℃/s以上とすることが望ましい。
熱間圧延工程終了後は必要に応じて酸洗し、その後インラインまたはオフラインで圧下率10%以下のスキンパスまたは圧下率40%程度までの冷間圧延を施しても構わない。
【0044】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに説明する。
表1に示す化学成分を有するA〜Oの鋼は、転炉にて溶製して、連続鋳造後、表2に示す加熱温度(SRT)で再加熱し、粗圧延後に同じく表2に示す仕上げ圧延温度(FT)で1.2〜5.4mmの板厚に圧延した後、表2に示す巻取温度(CT)でそれぞれ巻き取った。なお一部については粗圧延後に衝突圧2.7MPa、流量0.001リットル/cm2 の条件で高圧デスケーリングを行った。ただし、表中の化学組成についての表示は質量%である。
【0045】
このようにして得られた熱延板の引張試験は、供試材を、まず、JIS Z 2201記載の5号試験片に加工し、JIS Z 2241記載の試験方法に従って行った。表2にその試験結果を示す。ここで、残留オーステナイト,フェライト、ベイナイト、パーライト及びマルテンサイトの体積分率とは鋼板板幅の1/4Wもしくは3/4W位置より切出した試料を圧延方向断面に研磨、エッチングし、光学顕微鏡を用い200〜500倍の倍率で観察された板厚の1/4tにおけるミクロ組織の面積分率で定義される。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
次に、図1に示す形状の疲労試験片を鋼板板幅の1/4Wもしくは3/4W位置より圧延方向が長辺になるように採取し低サイクル疲労試験に供した。ただし、疲労試験片の表面は三山仕上の研削表面とした。疲労試験は電気油圧サーボ型疲労試験機を用い、試験方法はASTM E606−92に準じた。なお、試験条件は図2に示すように軸方向に三角波にて完全両振り引張圧縮負荷で、全ひずみ振幅を0.3〜0.6%、ひずみ速度を4.0×10-3/secとした。試験はひずみ応答および応力応答の変化を記録しながら行った。疲労試験終了後、全ひずみ振幅の条件が2≦2100×εa/YP≦4の範囲で試験を行った試験片について図3に示すように破断部近傍1/4厚の部位から透過型電子顕微鏡試料(薄膜)を加工ひずみが導入されないように採取し、透過型電子顕微鏡にて転位構造の観察を行った。表2中に、Scellとしてセル構造の面積率を示す。ただし、透過型電子顕微鏡による観察は2000〜10000倍の倍率にて結晶粒を変えて10視野以上観察した。ここでYP:降伏応力または0.2%耐力(MPa)、εa:全ひずみ振幅(%)である。
【0049】
鋼板の低サイクル疲労強度は、繰返し降伏応力を引張強度で除した値で評価した。ここで、繰返し降伏応力とは、破断寿命(Nf)の1/2の繰返し数での応力振幅σaをひずみに対して直線近似した直線を応力−ひずみ曲線または弾性直線に外挿した交点とした。本発明に沿うものは、鋼A、B、D、H、K、L、Nの7鋼であり、所定の量の鋼成分を含有し、そのミクロ組織が、体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなる複合組織であり、疲労試験後に観察されるフェライトでの転位構造のうちセル構造の面積率が50%以下であることを特徴とする、低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板が得られている。
【0050】
上記以外の鋼は、以下の理由によって本発明の範囲外である。すなわち、鋼Cは、Cの含有量が本発明の範囲外であるので目的とするミクロ組織が得られず十分な強度延性バランス(TS×El)が得られていない。鋼Eは、Cの含有量が本発明の範囲外であるので目的とするミクロ組織が得られず十分な強度延性バランス(TS×El)が得られていない。鋼Fは、0.52Al/Nの値が本発明の範囲外であるので十分な低サイクル疲労強度(CYS/TS)が得られていない。鋼Gは、Cr+3.5Mo+39Vの値が本発明の範囲外であるので十分な低サイクル疲労強度(CYS/TS)が得られていない。
【0051】
鋼I−1は、仕上圧延終了温度(FT)が本発明の範囲より高く、目的とするミクロ組織が得られず十分な伸び(El)が得られていない。鋼I−2は、仕上圧延終了温度(FT)が本発明の範囲より低く、ひずみが残留して十分な伸び(El)が得られていない。鋼I−3は、滞留温度(MT)が本発明の範囲より低く、目的とするミクロ組織が得られず十分な伸び(El)が得られていない。鋼I−4は、滞留温度(MT)が本発明の範囲より高く、目的とするミクロ組織が得られず十分な伸び(El)が得られていない。
【0052】
鋼I−5は、滞留時間(Time)がなく目的とするミクロ組織が得られず十分な伸び(El)が得られていない。鋼I−6は、巻取温度(CT)が本発明の範囲より低く、目的とするミクロ組織が得られず十分な伸び(El)が得られていない。鋼I−7は、巻取温度(CT)が本発明の範囲より高く、目的とするミクロ組織が得られず十分な伸び(El)が得られていない。また、十分な低サイクル疲労強度(CYS/TS)が得られていない。鋼I−8は、滞留後の冷却速度(CR)が本発明の範囲より遅く、目的とするミクロ組織が得られず十分な伸び(El)が得られていない。また、十分な低サイクル疲労強度(CYS/TS)が得られていない。鋼Jは、Pの含有量が本発明の範囲外であるので十分な伸び(El)が得られていない。鋼Mは、Sの含有量が本発明の範囲外であるので十分な低サイクル疲労強度(CYS/TS)が得られていない。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板およびその製造方法に関するものであり、これらの熱延鋼板を用いることにより、自動車足廻り部品等の耐久性が求められる部材においての重要な特性の一つである低サイクル疲労特性の大幅な改善が期待できるため、本発明は、工業的価値が高い発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】疲労試験片の形状を説明する図である。
【図2】疲労試験荷重負荷方法を説明する図である。
【図3】透過型電子顕微鏡試料採取位置を説明する図である。
【図4】疲労試験後に観察される転位構造のうちセル構造の例を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】疲労試験後に観察される転位構造のうちセル構造以外の例を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明に至る予備実験の結果を、疲労試験後のセル構造面積率と低サイクル疲労強度(繰返し降伏応力を引張強度で除した値)の関係で示す図である。
【図7】本発明に至る予備実験の結果を、0.52Al/Nの値の範囲、Cr+3.5Mo+39Vの値の範囲と疲労試験後のセル構造面積率の関係で示す図である。
【図8】疲労試験において1/2Nfでの応力振幅σaを説明する図である。
【図9】疲労試験において繰返し降伏応力CYSを説明する図である。
Claims (8)
- 質量%にて、
C :0.01〜0.3%、
Si:0.01〜2%、
Mn:0.05〜3%、
P ≦0.1%、
S ≦0.01%を含み、
Al≦0.2%、
N :0.001〜0.1%、
1.73≦0.52Al/N≦5を満たすようにAlとNを含有し、かつCr、Mo、Vのうち一種または二種以上を
Cr≦2.5%、
Mo≦1%、
V ≦0.1%、
かつ(Cr+3.5Mo+39V)≧0.1を満たすように含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であって、そのミクロ組織が、体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなる複合組織であることを特徴とする、低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。 - 前記鋼が、さらに、質量%にて、Cu:0.2〜2%を含有することを特徴とする、請求項1に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。
- 前記鋼が、さらに、質量%にて、B:0.0002〜0.002%を含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。
- 前記鋼が、さらに、質量%にて、Ni:0.1〜1%を含有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。
- 前記鋼が、さらに、質量%にて、
Ca:0.0005〜0.002%、
REM:0.0005〜0.02%
の一種または二種を含有することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。 - 前記鋼が、さらに、質量%にて、
Ti:0.001〜0.1%かつN−0.29Ti≧0.0005%、
Zr:0.001〜0.2%
の一種または二種以上を含有することを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の成分を有する鋼片の熱間圧延に際し、Ar3変態点温度以上Ar3変態点温度+100℃以下で熱間仕上圧延を終了した後、Ar1変態点温度以上Ar3変態点温度以下の温度域で1〜20秒間滞留し、その後、20℃/s以上の冷却速度で冷却して、350℃超450℃未満の温度範囲の巻取温度で巻き取り、そのミクロ組織が、体積分率5%以上25%以下の残留オーステナイトを含み、残部が主にフェライト、ベイナイトからなる複合組織である鋼板を得ることを特徴とする、低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板の製造方法。
- 前記熱間圧延に際し、粗圧延終了後、高圧デスケーリングを行ない、Ar3変態点温度以上Ar3変態点温度+100℃以下で熱間仕上圧延を終了することを特徴とする請求項7記載の低サイクル疲労強度に優れる高延性熱延鋼板の製造方法。
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