JP3880370B2 - マルチキャリヤcdma受信装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送信データのシンボルに拡散符号の各チップの値を乗算し、直交する複数のサブキャリヤを変調することにより、複数のサブキャリヤに送信データを拡散させるマルチキャリヤ符号分割多元接続(MC-CDMA:Multi carrier−Code Division Multiple Access)受信装置に関するものである。特に、移動通信基地局における上り回線の受信装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
第3世代移動体通信の試験サービスが始まり、移動体通信におけるマルチメディア通信がいよいよ現実のものとなっている。このような状況の中、次の第4世代移動体通信システムに関する検討が始まっており、インターネットやマルチメディア通信が固定通信と同様に快適にできるように、より大容量の伝送が求められている。
第4世代移動体通信システムの多元接続方式として、IMT-2000で用いられている直接拡散符号分割多元接続(DS-CDMA)方式や、周波数軸上に拡散符号の各チップを割り当てるマルチキャリヤ符号分割多元接続(MC-CDMA)方式の検討が盛んに行われている。MC-CDMAは、例えば、S.Haraand R.Prasad、“Overview of multicarrier CDMA”IEEE Communications Magazine、vol.35、no.12、pp.126-133、Dec.1997で知られている。
そこでは、現状のWebブラウジング等を想定して、上り回線よりも下り回線の容量を大きくする非対称伝送が考えられている。
特にMC-CDMAシステムは、基地局から移動局への下り回線においてDS-CDMAシステムよりも大容量の通信が可能であるとの報告がなされており、第4世代移動体通信システムの候補として期待されている。
【0003】
しかしながら、将来の通信では、個人が好きなときに好きな場所で自由に映像等の情報を発信するような利用方法が増えるものと考えられる。したがって、このような状況では、下り回線ほどではないにしても、上り回線の容量の拡大が必要となる。
上り回線では、移動局(ユーザ)ごとに、移動局から基地局までの伝搬路が異なるため、ユーザごとに割り当てられた拡散符号の直交関係が崩れる。また、各移動局は基地局に対してランダムにアクセスするので、符号同期に関しては、非同期システムとなる。
したがって、上り回線では、MC-CDMAよりも、非同期システムを構築しやすいDS-CDMA、または、マルチキャリヤの各送信データ系列を直接拡散するDS-CDMAシステムが有望視されている。
【0004】
ところが、最近、上り回線でもMC-CDMAを用いる検討が始まっている。複数シンボルを並列送信することによりシンボル長を長くすれば、時間軸上の余裕度が大きい準同期システムを実現できる。
上り回線ではマルチユーザ受信となるので、上述したように各ユーザの拡散符号の直交性が崩れ、他局ユーザの干渉(マルチユーザ干渉)が生じ、特性が大きく劣化する。このような中で、他局の情報を用いずに自局の情報のみを用いて単一ユーザ受信を行うと、マルチユーザ干渉を除去することができないので、受信性能を向上させることができない。
【0005】
そこで、他局からの受信信号のレプリカを作成して他局からの受信信号を除去するキャンセラ技術を用いることにより、他局の干渉を抑圧してシステム容量を増大させることができる。しかし、マルチステージ構成をとるので処理遅延が問題となる。
これに対し、拡散符号のチップ合成を行う際に重み付けを行って、マルチユーザ干渉を除去するMMSE(Minimum Mean Square Error:最小平均2乗誤差)合成を用いれば、システム容量を増大させることができる。
MMSE合成によってチップ合成をすると、シングルステージで構成できるため、大きな処理遅延が生じないという利点がある。ただし、MMSE合成において良好な特性を得るには、重みベクトルを収束させる必要がある。
【0006】
MMSE合成を実現するアルゴリズムとしては、適応等化器のタップ利得更新アルゴリズムとしても知られている、LMS(Least MeanSquare)法、SMI(Sample Matrix Inversion)、RLS(Recursive Least Square)法を用いることができる。
LMS法は、簡易な構成で実現できる特長を有しているが、重みベクトルの収束に多くの時間を必要とする。
SMI法は、サンプル値を用いた直接解法であって、重みベクトルの収束に拡散符号長の2倍程度の時間を必要とし、高速な収束が可能であるが、逆行列演算を必要とするため装置規模が増大する。
RLS法も拡散符号長の2倍程度の時間で収束するが、SMIよりも装置規模の増大を抑えることが可能である。
【0007】
このように、LMS法では非常に大きな収束時間が必要であり、RLS法を用いても、拡散符号長の2倍程度の収束時間が必要となり、この収束時間の間、パイロット信号を送信することが必要となる。
今後、パケット伝送を想定した場合や、多重数の増加に伴い拡散符号長を長くした場合には、少ないパイロットシンボル数で特性の改善を図る必要がある。しかし、上述したRLS法などのアルゴリズムでは、パイロットシンボル数が少ないと正しい重みベクトルを出力できず、特性の改善を図ることはできない。
【0008】
符号間の直交性が保たれなくなるのは、受信信号がユーザごとに独立な伝搬路の周波数選択性フェージングによって歪められているからである。そこで、直接拡散によるパイロット信号を重畳することにより、伝搬路の特性を推定する方法が、例えば、原晋介、“マルチキャリヤCDMAの適用可能性”、2001年電子情報通信学会総合大会(基礎・境界)SB-4-1、2001年3月、pp.779-780で提案されている。
この提案は、時間領域で直接拡散されたパイロット信号を用いて、伝搬路のインパルス応答を推定し、そのフーリエ変換から周波数応答を計算し、この周波数応答と拡散符号との積から、受信信号の相関行列と歪められた拡散符号行列とを推定するというものである。
【0009】
ここで、インパルス応答の推定方法は、例えば、今村大地、原晋介、森永規彦、“パイロット信号を用いたOFDMにおける副搬送波再生法“、電子情報通信学会論文誌B、Vol.J82-B、No.3、1999年3月、pp.393-401等で知られている。
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)において、シンボル系列の中に、ガードインターバルを設けた直接拡散パイロット信号を一定間隔で挿入し、直接拡散パイロット信号をマッチドフィルタに入力して伝搬路のインパルス応答を推定している。
しかし、上述した直接拡散によるパイロット信号を重畳することにより伝搬路を推定する方法では、データ伝送用のMC-CDMA系と、インパルス応答推定用のDS-CDMA系という2系統の送受信装置が必要となるため、送受信装置の規模が増大するという問題が生じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、マルチユーザ干渉を、少ないパイロットシンボル数で抑圧してシステム容量を増大させることができ、かつ、装置規模が小さいマルチキャリヤCDMA受信装置を提供することを目的とするものである。
さらに、重みベクトルを更新することにより重みベクトルの精度を向上させたマルチキャリヤCDMA受信装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載の発明においては、データシンボルにパイロットシンボルが時間多重された送信シンボル系列のシンボルに、拡散符号の各チップの値を乗算し、乗算値のそれぞれによって複数の直交するサブキャリヤを変調し、ガードインターバルを挿入したものである、マルチキャリヤCDMA信号を受信するマルチキャリヤCDMA受信装置であって、前記マルチキャリヤCDMA信号を受信して、パイロットシンボル区間を抽出し、該パイロットシンボル区間の前記マルチキャリヤCDMA信号と、全てのユーザのパイロットシンボル情報に基づいて、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力するインパルス応答推定手段と、希望ユーザの前記送信装置からの前記伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記希望ユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、前記希望ユーザの相関ベクトルを生成する相関ベクトル生成手段と、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記インパルス応答推定手段が前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力する際に、インパルス応答の推定値から取り除いた干渉雑音成分と、全てのユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、前記受信されたマルチキャリヤCDMA信号の相関行列を生成する相関行列生成手段と、前記相関ベクトルおよび前記相関行列に基づいて、前記希望ユーザに対する重みベクトルを生成する重みベクトル生成手段と、前記受信されたマルチキャリヤCDMA信号のデータシンボル区間を離散フーリエ変換したベクトルと前記重みベクトルを共役転置したものとを乗算し、前記希望ユーザの前記送信装置から送信されたデータシンボルを合成する合成信号生成手段を有するものである。
したがって、マルチユーザ干渉を、少ないパイロットシンボル数で抑圧してシステム容量を増大することができ、かつ、装置規模を小さくすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記相関ベクトル生成手段は、前記希望ユーザの送信装置からの前記伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記希望ユーザの拡散符号ベクトル情報とをベクトル要素ごとに乗算するものであり、前記相関行列生成手段は、前記全てのユーザについて、前記各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと各拡散符号ベクトル情報とをベクトル要素ごとに乗算したベクトルと該ベクトルを共役転置したものとを乗算した行列を、全てのユーザについて加算し、さらに、前記干渉雑音成分を前記全てのユーザについて平均化した値に単位行列を乗算した行列を加算するものである。
したがって、相関ベクトル生成手段および相関行列生成手段を容易に実現することができる。特に、相関行列生成手段について、干渉成分と雑音成分とを分離して計算する。その結果、重みベクトルの推定精度が向上する。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、請求項1に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記インパルス応答推定手段は、前記パイロットシンボルの複数シンボルに対して算出された前記インパルス応答推定値を平均化して出力するものである。
したがって、インパルス応答の推定精度が向上する。その結果、重みベクトルの推定精度が向上する。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、請求項1から3までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記インパルス応答推定手段は、ガードインターバル内のパスであって、かつ、最大電力パスに応じて設定された閾値を超えるパスのみに基づいて、前記インパルス応答推定値を出力するものである。
したがって、インパルス応答の推定精度が向上する。その結果、重みベクトルの推定精度が向上する。
【0015】
請求項5に記載の発明においては、請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記重みベクトル生成手段が生成した前記重みベクトルを初期値として、最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムを用いて前記重みベクトルを逐次更新する重みベクトル更新手段を有するものである。
したがって、逐次更新されるにつれて、重みベクトルの推定精度が向上する。また、重みベクトルを伝搬路特性の変動に追従させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明においては、マルチキャリヤCDMA受信装置において、請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、前記重みベクトル更新手段は、前記請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記希望ユーザに対する重みベクトルを出力させ、かつ、初期値として前記希望ユーザに対する重みベクトルを用いて、前記パイロットシンボル区間の前記マルチキャリヤCDMA信号に対して、最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムにより前記重みベクトルを逐次更新して、前記請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置内の前記合成信号生成手段に更新された前記重みベクトルを与えて、前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである。
したがって、重みベクトルの推定精度を向上させることができる。
【0017】
請求項7に記載の発明においては、データシンボルにパイロットシンボルが時間多重された送信シンボル系列のシンボルに、拡散符号の各チップの値を乗算し、乗算値のそれぞれによって複数の直交するサブキャリヤを変調し、ガードインターバルを挿入したものである、マルチキャリヤCDMA信号を受信するマルチキャリヤCDMA受信装置であって、前記マルチキャリヤCDMA信号を受信して、パイロットシンボル区間を抽出し、該パイロットシンボル区間の前記マルチキャリヤCDMA信号と、全てのユーザのパイロットシンボル情報に基づいて、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力するインパルス応答推定手段と、希望ユーザの前記送信装置からの前記伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記希望ユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、前記希望ユーザの相関ベクトルを生成する相関ベクトル生成手段と、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記インパルス応答推定手段が前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力する際に、インパルス応答の推定値から取り除いた干渉雑音成分と、前記全てのユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、受信されたマルチキャリヤCDMA信号の相関行列を生成する相関行列生成手段と、前記相関ベクトルおよび前記相関行列に基づいて、前記希望ユーザに対する重みベクトルを生成する重みベクトル生成手段と、前記受信されたマルチキャリヤCDMA信号のデータシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでを離散フーリエ変換したベクトルと前記重みベクトルを共役転置したものとを乗算し、前記希望ユーザの前記送信装置から送信された少なくとも前記1シンボルまでのデータシンボルを合成する合成信号生成手段を有するものである。
したがって、受信されたマルチキャリヤCDMA信号のデータシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータ信号に対するマルチユーザ干渉を、少ないパイロットシンボル数で抑圧してシステム容量を増大することができ、かつ、装置規模を小さくすることができる。
【0018】
請求項8に記載の発明においては、マルチキャリヤCDMA受信装置において、マルチキャリヤCDMA受信装置において、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、前記重みベクトル更新手段は、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記全てのユーザの内、少なくとも前記希望ユーザの、前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータシンボルを仮判定データシンボルとして合成させ、前記パイロットシンボル区間および前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでの前記マルチキャリヤCDMA信号と、少なくとも前記希望ユーザの、パイロットシンボル情報および前記仮判定データシンボルに基づいて、少なくとも前記希望ユーザの前記重みベクトルを更新して、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置内の前記合成信号生成手段に、更新された前記重みベクトルを与えて、少なくとも前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである。
したがって、パイロット信号およびデータシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータ信号によって、重みベクトルを更新することにより、重みベクトルの精度を向上させることができる。
重みベクトルの更新は、伝搬路のインパルス応答推定を実行したり、従来の最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムを実行したりして実現することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明においては、請求項8に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記重みベクトル更新手段は、更新動作を複数回繰り返すものである。
したがって、重みベクトルの推定精度をさらに向上させることができる。
例えば、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置を、複数回、再使用したり、従来の最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムを1回ないし複数回、使用したり、さらに、両者を混在させて使用したりすることができる。
【0020】
請求項10に記載の発明においては、請求項9に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置は、前記重みベクトル更新手段が前記更新動作をする毎に、前記仮判定データシンボルとして合成する前記データシンボルの個数を逐次増加させるものである。
したがって、更新動作に要する処理遅延を抑制しながら、重みベクトルの精度を、更新回数に応じて向上させることができる。
【0021】
請求項11に記載の発明においては、マルチキャリヤCDMA受信装置において、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、前記重みベクトル更新手段は、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記全てのユーザのそれぞれを前記希望ユーザとして、前記全てのユーザの、前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータシンボルを仮判定データシンボルとして合成させ、前記全てのユーザの、前記パイロットシンボル情報および前記仮判定データシンボルの情報を、新たなパイロットシンボル情報と見なし、かつ、前記パイロットシンボル区間および前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでを新たなパイロットシンボル区間と見なして、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記重みベクトルを更新させて、前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである。
したがって、パイロット信号およびデータ信号によって重みベクトルを更新する処理を、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置を再動作させることによって、効率よく実行することができる。
【0022】
請求項12に記載の発明においては、マルチキャリヤCDMA受信装置において、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、前記重みベクトル更新手段は、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記希望ユーザの、前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでを仮判定データシンボルとして合成させるとともに、前記希望ユーザに対する重みベクトルを出力させ、前記希望ユーザの、前記パイロットシンボル情報および前記仮判定データシンボルの情報を新たなパイロットシンボル情報と見なし、かつ、初期値として前記希望ユーザに対する重みベクトルを用いて、前記パイロットシンボル区間および前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでの前記マルチキャリヤCDMA信号に対して、最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムにより前記重みベクトルを逐次更新して、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置内の前記合成信号生成手段に更新された前記重みベクトルを与えて、前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである。
したがって、パイロット信号およびデータ信号によって重みベクトルを更新する処理に、従来の最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムを利用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置とともに用いるマルチキャリヤCDMA送信装置のブロック構成図である。
図中、1は多重化部(マルチプレクサ)、2はQPSK(4相位相変調:Quadrature Phase Shift Keying)変調器、3は分岐回路、41〜4Lは乗算器、5は逆離散フーリエ変換部(IDFT:InverseDiscrete Fourier Transform)、6は並直列変換器、7はガードインターバル挿入部である。
データ(1シンボル分を単位として構成される)とパイロット(1シンボル分を単位とする既知のデータで構成される)とは、多重化部1で時間多重される。
【0024】
時間多重された信号は、QPSK変調器2において、QPSK変調されることにより、狭帯域の複素ベースバンド信号(同相および直交信号)で表されるシンボルが生成される。q番目のシンボルデータをd(q)と表す。
この複素ベースバンド信号は、分岐回路3において、サブキャリヤ数だけ出力され、それぞれのサブキャリヤの乗算器41〜4Lにおいて、拡散符号の各チップの値と乗算されて、サブキャリヤの複素振幅となる。
なお、変調方式は、QPSKに限られるものではない。
【0025】
図2は、データシンボルとパイロットシンボルとを時間多重したマルチキャリヤCDMA方式のフレーム構成図である。データおよびパイロットは、多重化部1において、1シンボル分を単位として多重化されているので、QPSK変調器2において、パイロットシンボルとデータシンボルが生成されている。
この例は、1または複数のパイロットシンボルと、それに続く複数のデータシンボルとによって1フレームを構成している。パケット伝送を前提とした場合は、この1フレームをパケット単位として1回の送信がなされる。連続伝送を前提とした場合には、複数フレームが繰り返されて送信される。
このパイロットシンボルを用いて伝搬路の推定を行い、マルチユーザ干渉を除去する。パイロットシンボル数が少ないほど、ヘッダ部の負荷が小さくなるため伝送効率が良くなる。
【0026】
チップ長Lの拡散符号を拡散符号ベクトルCとして表し、次式の通りとする。
【数1】
ここで、[・]Tは転置行列を表す。
拡散符号は、ユーザごとに異なる符号を用いる。拡散符号のチップ数(拡散符号ベクトルの要素数)は、サブキャリヤのチャネル数に等しい。サブキャリヤの周波数は、OFDMと同様に、直交配置されたものである。
図1に示した逆離散フーリエ変換部5は、各サブキャリヤの複素振幅を入力して、逆離散フーリエ変換して、時間軸上の波形信号を出力する。並列デジタル信号で出力されるので、並直列変換器6で直列デジタル信号に変換して出力する。
ガードインターバル挿入部7において、ガードインターバルΔを挿入して、マルチキャリヤCDMA方式の送信信号が生成される。
【0027】
なお、図1に示した構成では、QPSK変調信号を、同時に1シンボルしか送信していない。しかし、1シンボル長を長くして準同期を容易にするためには、QPSK変調器2を複数個設けて、多重化データを分配する。加えて、数倍長いチップ数の拡散符号と数倍のサブキャリヤ数を使用することにより、1シンボル長において複数のQPSK変調器から出力される複数のシンボルを同時に送信する。
このような場合も含む概念で表現するため、本明細書では、1シンボル区間における送信信号波形の全体を改めて1シンボル波形とみなすことにより、1シンボル区間において1シンボルが送信されるとする。しかし、この場合でも、既知のパイロットシンボルを用いてパイロットシンボル区間を構成する。
【0028】
図3は、マルチキャリヤCDMA方式の送信信号波形を示す波形図である。
サブキャリヤは、OFDMと同様に直交に配置されているため、送信波形はOFDMのそれと同様になる。
ガードインターバルは、遅延波による符号間干渉を除去するために挿入される。図示のガードインターバルは、逆離散フーリエ変換された原送信信号波形の終わり部分をコピーして、原送信信号波形の前の部分に挿入したものである。
受信装置において、図示の送信信号波形を直接波とし、遅延波がガードインターバルの長さΔ以内の遅延時間で到来するものとすれば、このような遅延波によるシンボル間干渉の影響を抑えることが可能となる。
すなわち、受信側では、1シンボル区間よりもガードインターバルの長さΔだけ短い区間(原送信信号波形と同じ長さである)を切り出して利用すれば、切り出された波形に含まれる遅延波は、この切り出された波形に含まれる直接波を単に遅延させただけの波形であるから、遅延波による干渉は生じない。
【0029】
なお、受信装置側で、一番目に到来した波形を利用するとは限らない場合に、この波形に先行する到来波による符号間干渉が生じる。この場合は、周知のように、原送信信号波形の始めの部分(長さΔ)をコピーしたものを、そのまま原送信信号波形の後ろの部分に挿入することにより、後ろの部分にもガードインターバルを挿入する。受信側では、1シンボル区間よりもガードインターバルの合計長さ(2Δ)だけ短い区間を切り出して利用する。
以上の構成によって、周波数領域で送信データが拡散された送信信号波形が生成される。この送信信号波形は、メインキャリアを用いて無線周波数帯に変換されて送信される。
【0030】
送信信号x(q)は、時間領域で次式で表される。
【数2】
ここで、Fは離散フーリエ変換、F-1は逆離散フーリエ変換を表す。
時間軸上のL個のサンプル点x1 ,x2,x3 ,……,xLは、1シンボル期間のうち、ガードインターバルを除いた区間(すなわち、ガードインターバルを挿入する前の原送信信号波形)を等分したサンプル点1〜Lにおける送信信号の複素振幅である。
【0031】
離散フーリエ変換Fは、次式の行列で表される。
【数3】
L個のサンプル点に対応して、サブキャリヤの周波数は、サンプル時間をTsとするとベースバンドでは、-(L/2-1)/(LTs),-(L/2-2)/(LTs) ,-(L/2-3)/(LTs) ,……,0,1/(LTs) ,2/(LTs) ,3/(LTs) ,……,(L/2)/(LTs)となる。
【0032】
図4は、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置のブロック構成図である。図中、11は多重分離部(デマルチプレクサ)、12はガードインターバル除去部、13はチャネル推定部、14は直並列変換部、15は離散フーリエ変換(DFT)部、161〜16Lは乗算器、17は加算器、18はQPSK復調器、19は離散フーリエ変換(DFT)部、20は重みベクトル計算部である。
受信信号は、多重分離部11において、同期タイミングに基づいて、データ信号区間とパイロット信号区間とに分離する。ガードインターバル除去部12は、受信信号中のガードインターバルを除去した上で、直並列変換部14で並列信号に変換して、離散フーリエ変換(DFT)部15に出力される。
【0033】
希望するある単一のユーザの移動局から基地局までの伝搬路の特性は、次式に示す伝搬遅延プロファイルh(t)で表される。
【数4】
ここで、alは伝搬ベクトルaのl(Lの小文字)番目のパスの成分、Tsはサンプル時間、またδ(t)はディラックのデルタ関数である。したがって、l番目のパスの遅延時間は、(l-1)Tsとなる。
【0034】
受信信号y(q)(時間領域)は、送信信号x(q)が伝搬路で変動を受けたものであるから、式(2),(4)を用いて次式で表される。ただし、ガードインターバルが除去された後の受信信号である。
【数5】
ここで、x(q;l)は、送信信号x(q)が(l-1)Tsだけ遅延した信号、nは干渉雑音成分を表す。
【0035】
上述した式における、遅延した信号の特徴を補足説明する。
図2に示したように、ガードインターバルにおいて、送信信号波形は、原送信信号波形の後ろの部分をコピーした信号である。したがって、ガードインターバルの最後から逆順にサンプル点の複素振幅を示すと、xL ,xL-1 ,xL-2 ,xL-3 ,……となる。
全ての遅延した信号x(q;1),x(q;2),……が、ガードインターバルの長さΔ内に収まると仮定すると、遅延した信号は、ガードインターバルにおけるサンプル点の複素振幅の特徴から、離散フーリエ変換を行う区間において、直接波x(q;1)を巡回シフトしたものとなる。
ただし、基地局に実際に到来する遅延した信号としては、l=1〜LまでのL波が常に全て存在するわけではない。例えば、2番目に到来する遅延した信号がないときは、a2=0となる。
【0036】
離散フーリエ変換(DFT)部15は、離散フーリエ変換を行い、直交する複数のサブキャリヤの複素振幅を、離散フーリエ変換された受信信号として出力する。
離散フーリエ変換された受信信号、すなわち、周波数領域の受信信号Y(q)は、次式で与えられる。
【数6】
ここで、Jl-1は対角行列の各要素を(l-1)乗した対角行列である。丸印を付した記号「×」は2つのベクトルの要素ごとに乗算をしたものを各要素とするベクトルを生成する演算である。
なお、上述した式(6)内の変形において、次式の関係が成り立つことを用いた。
【数7】
【0037】
各サブキャリヤに対応した乗算器161〜16Lにおいて、重みベクトル計算部21から出力される重みが乗算される。この重みは、希望する単一ユーザに割り当てられて送信時に使用された拡散符号のチップ1〜Lの値に重み付けが施されたものである。
全ての乗算器161〜16Lの出力は、加算器17において加算合成され、複素ベースバンド信号で表されるQPSK変調されたシンボルとなり、QPSK復調器18において、同相成分、直交成分をレベル判定され、復調されて、受信データが出力される。
【0038】
MC-CDMA受信信号のベクトルYに対して、適切な重みベクトル
【数8】
に基づき、サブキャリヤ間信号合成を行う。
加算器17から出力される最終的な合成出力は次式で表される。
【数9】
ここで、[・]†は行列の各要素の複素共役を要素とした行列を転置(共役転置)した行列(エルミート行列)を示す。
【0039】
この重みベクトルwは、信号電力が大きく干渉雑音電力が小さくなるように決定されることが望ましい。このような要求を満たす方法として、従来技術で触れたMMSE合成基準を用いる。重みベクトルwは、次式によって求める。
【数10】
ここで、Rは相関行列、vは相関ベクトルと呼ばれるものである。また、R-1はRの逆行列、E[・]はアンサンブル平均、(・)*は複素共役を表している。
相関行列Rは、受信信号を離散フーリエ変換した受信信号ベクトルY(q)の要素(サブキャリヤの複素振幅)の相互間における相関値のアンサンブル平均である。希望ユーザの移動局からの到来波だけでなく、全ユーザの移動局からの到来波を含めた相関のアンサンブル平均となる。
一方、相関ベクトルvは、受信信号を離散フーリエ変換した受信信号ベクトルY(q)と希望するユーザの移動局の送信シンボルデータd(q)との相関のアンサンブル平均である。
【0040】
上述した(9)式における、Rの第1番目の関係式にしたがって、離散フーリエ変換された受信信号Y(q)に関する第1の相関式のアンサンブル平均をとり、かつ、vの第1番目の関係式にしたがって、離散フーリエ変換した受信信号Y(q)に関する第2の相関式のアンサンブル平均をとることにより、重みベクトルwを求めることができる。
しかし、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置では、パイロットシンボルのインパルス応答に基づいて伝搬ベクトルaを求めてから、上述した(9)式における、R,vの第2番目の関係式にしたがって、相関行列Rと相関ベクトルvを算出する方法をとる。
図4に示したチャネル推定部13、離散フーリエ変換部19、重みベクトル計算部20で実現されるのであるが、その処理の詳細は、図5を参照して説明する。
【0041】
図5は、パイロット信号から重みベクトルを算出するための処理を示すフローチャートである。
図6は、インパルス応答の推定方法を説明する模式図である。
S31において、パイロット信号を用いてインパルス応答の推定値から伝搬ベクトルaを推定する。
なお、全てのユーザの移動局からの伝搬路の伝搬ベクトルを推定する。しかし、以下の数式を用いた説明では、説明を簡単にするため、途中まで、希望ユーザの移動局からの伝搬路の伝搬ベクトルで代表させ、これをaとして説明する。最終的には、ユーザk=1〜Kについて、同様な方法で伝搬ベクトルakを計算する。
【0042】
パイロット信号のサンプルqにおいて、既知の送信信号X(q)と受信信号y(q)の相関φs(q)は、サンプル差をsとして、
【数11】
なお、式(10)内の変換において次式の関係を用いた。
【数12】
【0043】
式(10)において、x(q;s)とnとは無相関であるので、x(q;s)†nは、シンボルごとに異なる値をとる。したがって、φs(q)のシンボル値qについてのアンサンブル平均をとることにより、x†(q;s)nが消えて、伝搬係数asが求まる。
図6に示すように、sの値を1サンプルずつシフトして、インパルス応答の遅延した信号x(q;s)について、相関演算を行うことにより、伝搬ベクトルa={a1,a2 ,……,aL }を推定できる。
全ての遅延した信号がガードインターバル内に収まると仮定すると、ガードインターバルの区間においてだけ、インパルス応答を計算すればよい。
なお、相関演算は、マッチドフィルタを用いて行うことができる。
【0044】
次のS32においては、インパルス応答の補正を行うことにより特性改善をする。
図7は、インパルス応答の補正方法を説明する模式図である。
図7(a)において、太い矢印がインパルス応答の電力値を表している。
まず、主要な遅延した信号(遅延パスとして表される)が、全てガードインターバル内に入るようにシステム設計を行うので、ガードインターバル外の遅延パスは、全て干渉雑音(干渉または雑音)とみなしてカットする。
次に、電力が最大のパス(図示の例では、直接波に相当する直接パス)よりもTh[dB]以上低いパス(図示の例では2番目のパス)も干渉雑音とみなしてカットする。図7では、カットされたパスには、X印を付している。
以上の操作により、図7(a)で示したインパルス応答は、図7(b)で示したインパルス応答に補正される。
【0045】
再び図5に戻って説明を続ける。
これより以下の説明では、ユーザkごとの伝搬ベクトルakを用いて説明する。
S33において、希望ユーザ(k=1とする)を含む全てのユーザの伝搬路について、それぞれ伝搬路の推定結果であるインパルス応答akをフーリエ変換してFakを得る。
S34において、式(9)の相関ベクトルvの第2行目の式にしたがって、Fa1と拡散符号ベクトルC1(ユーザk=1に割り当てられた拡散符号)とから相関ベクトルvを算出する。
一方、S35においては、全ユーザ(k=1〜K)について、上述したS32におけるインパルス応答の補正処理でカットしたパスの電力から雑音電力PNを推定する。
【0046】
雑音電力PNの推定について詳述する。
希望ユーザ以外の他ユーザの移動局からの受信信号は、希望ユーザの移動局からの受信信号とは、必ずしもシンボル同期がとれていない。そのため、希望ユーザの移動局からの受信信号の、1シンボル内において、他ユーザの移動局からの受信信号は、隣接する2つのシンボルを部分的に含んでいる状態となり得る。
しかし、ここでは計算を簡単にするため、他ユーザも希望ユーザと同じタイミングでシンボルを伝送するものとする。
基地局が下り回線で供給する下りパイロット信号に同期して、移動局が送信信号を送信することとし、かつ、移動局が基地局から所定の距離内にあるようにシステム設計しており、他ユーザの移動局からの受信信号を、ガードインターバル内に収めることができるので、離散フーリエ変換する範囲内では、他ユーザも希望ユーザと同じタイミングでシンボルを伝送しているに等しい。
【0047】
上述した式(9)のRの2行目の式において、Fnn†F†の項には、他のユーザとの干渉成分と雑音成分とが混じっているので、評価が難しい。
そこで、式(9)を参考にして、他ユーザの伝搬ベクトルも考慮した相関行列を、次式の通りとする。
【数13】
ここで、akはユーザkの伝搬ベクトル、Ckはユーザkの拡散符号ベクトル、PNは雑音電力、Iは単位行列を表す。
PNは、図5のS32において、各ユーザkについて伝搬ベクトルakを求める際に、カットしたパスの総電力を求めて、この総電力を全てのユーザkについて平均した値を雑音電力PNとする。
上述した式によって、マルチユーザ干渉と雑音とを、完全ではないが、ほぼ分離して評価した上で、相関行列Rが得られる。
S36においては、相関行列Rの計算を行う。
S37において、重みベクトルを計算する。全てのユーザkのフーリエ変換された伝搬路の推定結果(伝搬ベクトルak)と、全てのユーザkに割り当てられた拡散符号ベクトルCkの情報(レプリカ)と、雑音電力PNの推定値とに基づいて、式(9)に示した希望ユーザ(k=1)の重みベクトルwを計算する。
【0048】
最後に、図8〜図10を参照して、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置を計算機シミュレーションした結果を説明する。
図8は、単局ユーザのみで他局ユーザが存在しない(マルチユーザ干渉がない)場合において、インパルス応答推定値の補正を行わないときのBER(ビット誤り率)特性を示す線図である。
Eb/No(1ビットあたりの信号エネルギー/片側雑音電力スペクトル密度)に対するBERを、パイロットシンボル数(q0)をパラメータとして示している。
拡散符号ベクトルCには符号長(チップ数)32の直交ゴールド符号を用いている。干渉移動局はなく、付加的白色ガウス雑音(AWGN)伝送路とする。
このとき、ビット誤り率特性は、パイロットシンボル数(q0)が少ないほど特性が劣化しており、これはインパルス応答推定値の推定誤差が原因と考えられる。
【0049】
図9は、単局ユーザのみで他局ユーザが存在しない(マルチユーザ干渉がない)場合において、インパルス応答推定値の補正を行ったときのBER(ビット誤り率)特性を示す線図である。
図中、比較のため、インパルス応答推定値の補正を行わないときのBER特性を一部、図8からコピーして黒のプロットで示している。
伝搬路等の条件は図8の場合と同様である。図7に示したインパルス応答推定値の補正を行うことでビット誤り率特性が改善されることがわかる。なお、ここではスレッショルドThを6dBとしたが、この値は伝搬路によって最適な値を選択する必要がある。
【0050】
図10は、多元接続を行うために他局ユーザが存在する(マルチユーザ干渉がある)場合における、ユーザ数に対する平均SINR(信号対干渉雑音比)特性を示す線図である。
Eb/No=30[dB]、パイロットシンボル数q0=8、伝搬路は2波モデルとし、フェージング変動は十分遅く、1フレーム(パイロットとデータシンボルのセット)内の伝搬ベクトルakは一定であるとする。また、簡単化のため同期システムで評価した。
比較対象として、単一ユーザ受信で用いられるフェージング補償方式を用いた場合と、収束が速いことで知られるRLSアルゴリズムによるMMSE合成方式を用いた場合についても図示している。
【0051】
単一ユーザ受信のフェージング補償方式では、他局の伝搬路特性等を考慮していないため、2ユーザ多重でSINRが急激に低下している。また、RLSではパイロットシンボル数が足りないため、重みベクトルが収束せず、多重数が多いときのSINRの低下が大きくなっている。一方、本発明の方式は、多重数の増加に伴ってSINRが低下するものの急激な劣化はみられず、比較した2つの方式よりも良い特性が得られていることがわかる。
【0052】
上述した説明では、インパルス応答による伝搬ベクトルを用いて重みベクトルを算出している。しかし、このようにして算出された重みベクトルを初期値として、従来の重みベクトル算出用のMMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させてもよい。逐次更新されるにつれて、重みベクトルの推定精度が向上し、また、重みベクトルを伝搬路変動に追従させることができる。
【0053】
その際、同じ1フレームの最初のパイロットシンボルからこのフレームの最後のデータシンボルまで、先に算出された重みベクトルを初期値として、MMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させる。あるいは、同じ1フレームのデータシンボルの最初からの最後までを、先に算出された重みベクトルを初期値として、MMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させる。
いずれの場合も、データシンボル区間では、この重みベクトルを用いて次々に合成されたデータシンボルを、送信されたデータシンボルの仮判定データシンボルとして、MMSE型適応アルゴリズムを適用する。
あるいは、先に算出された重みベクトルを初期値として、同じ1フレームのパイロットシンボル区間においてMMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させてもよい。更新された所定値の重みベクトルを用いて、同じ1フレームのデータシンボル区間において、送信されたデータシンボルを合成してもよい。
【0054】
この他、1フレーム内のパイロットシンボル区間において生成された重みベクトルを用いて合成されたデータシンボルを、仮判定されたデータシンボルとして、パイロットシンボルとともに新たにパイロットシンボルと見なすことができる。したがって、再びインパルス応答推定に基づいて重みベクトルを更新することにより、送信されたデータシンボルを合成できる。
また、新たなパイロットシンボル区間において、従来のMMSE型適応アルゴリズムにより重みベクトルを逐次更新させ、更新された重みベクトルを用いて送信されたデータシンボルを合成できる。
以下、仮判定したデータシンボルを用いて重みベクトルの精度を向上させる実施の形態について説明する。
【0055】
図11は、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置の、他の実施の形態を示すブロック構成図である。図中、図4と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。
41はチャネル推定部、42はデータシンボルレプリカ生成部である。
データシンボルレプリカ生成部42は、QPSK復調された受信データを送信されたデータであると仮定して、まず、送信されたデータシンボルを仮判定する。この仮判定データシンボルの情報に基づいて、この仮判定データシンボルの送信信号(波形)、すなわち、データシンボルレプリカを生成する。
【0056】
チャネル推定部41は、データシンボルレプリカ生成部42が出力するデータシンボルレプリカを、希望ユーザのデータシンボルレプリカとして入力する。同時に、他の全てのユーザの各受信装置からも、上述した希望ユーザの受信装置と同様に、受信データを送信されたデータと仮判定して、各ユーザの仮判定データシンボルの情報に基づいて生成されたデータシンボルレプリカを入力する。
希望ユーザおよび他ユーザからなる全てのユーザの各データシンボルレプリカは、図4において使用していた全ユーザの各パイロットシンボルレプリカと同様な既知のものとなる。
【0057】
したがって、各ユーザの、パイロットシンボルレプリカとデータシンボルレプリカとを合わせた1フレーム中のシンボルのレプリカは、図4において使用した各ユーザのパイロットシンボルのレプリカと同様に用いることができる。
その結果、チャネル推定部41は、データシンボル区間の受信信号も入力し、パイロットシンボル区間に加えてデータシンボル区間において、チャネル推定を行うことができる。
ここで、データシンボル区間の全てのデータシンボルについて仮判定することは必須でない。データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータシンボルについて仮判定すれば、既知のシンボルを増加させて、より長い期間にわたって重みベクトルの計算を行うことができるので、重みベクトルの精度が向上する。
ただし、希望ユーザだけでなく、他ユーザの仮判定データシンボルも必要となる場合がある。しかし、基地局における上り回線受信のように、「マルチユーザ受信」においては、他ユーザの仮判定データを利用することが簡単にできるので、処理量は増加するものの特に問題はない。
【0058】
なお、データシンボルレプリカ生成部42について説明を補足しておく。
受信データを仮判定データとして、これに基づいて、データシンボルレプリカを受信装置側で生成する。この機能を実現するブロックをデータシンボルレプリカ生成部42としている。
より具体的には、図1の送信装置構成と同様に、仮判定データをQPSK変調して仮判定データシンボルを生成し、分岐、拡散符号の乗算、逆拡散フーリエ変換、並直列変換、ガードインターバル挿入を行う。
したがって、あたかも、図11に示した受信装置の内部に送信装置を併せ持つことになり、装置規模が複雑になる。しかし、QPSKシンボルでは送信信号(データシンボルレプリカ)が4パターンしかないので、メモリ空間に4パターンの送信信号を保存しておき、仮判定したデータシンボルの情報に対応するパターンに応じて、メモリ空間から送信信号を読み出せば、上述した逆拡散フーリエ変換等の複雑な処理が不要になる。
【0059】
以下の説明では、ある1フレームについて、そのデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボル(少なくとも1シンボル)までを仮判定する。これをパイロットシンボルとともに用いて、同じ1フレームのパイロットシンボル区間およびデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまで、に対して重みベクトルを更新する計算を行い、この更新された重みベクトルを用いて、同じフレームの全データシンボル区間において、送信されたデータシンボルを再び合成する。
ただし、処理遅延が生じるため、1フレーム長のパケットデータである場合や、ファイル転送等に適する。
ここで、上述した「所定のデータシンボル」とは、1シンボルでもよいし、データシンボル区間の全データシンボルでもよい。
なお、図11では、図4と対比するため、パイロットシンボルのレプリカとデータシンボルのレプリカを別々に生成するものとして図示している。しかし、1フレーム中のパイロットシンボルとデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまでを合わせたものに対して、レプリカを一括生成してもよい。
【0060】
図12は、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第1の更新方法を説明する模式図である。図11に示した受信機構成に対応する。
ステップ(S1)では、1フレーム中のパイロットシンボル区間において、図6と同様の処理を行う。ただし、希望ユーザだけでなく、全ユーザk(k =1〜K)の受信信号についてそれぞれ行う。すなわち、全ユーザkのパイロットシンボルのレプリカを用いて、全ユーザkの重みベクトル(以後、これをwkと表記する)をそれぞれ計算する。
【0061】
ステップ(S2)では、全ユーザk(k=1〜K)の受信信号と全ユーザkの重みベクトルwkを用いて、全ユーザkのデータシンボルをそれぞれ仮判定する。すなわち、パイロットシンボルを用いて求めた全ユーザkの重みベクトルwkによって全ユーザのデータシンボルを仮判定する。
処理区間は、データシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまでである。なお、既に説明したように、データシンボル区間の全てのデータシンボルでもよい。
1フレーム中のデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまでにおいて、データシンボルをパイロットシンボルと同じと見なすことができる。全ユーザkに関して、既知のパイロットシンボルと仮判定されたデータシンボルを基にして、1フレーム中の送信信号(パイロットシンボル区間およびデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまで)について、レプリカ(時間軸信号)を再構成する。
【0062】
ステップ(S3)では、受信信号(パイロットシンボル区間およびデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまで)と、既に得られている全ユーザkの[パイロットシンボル+仮判定データシンボル]のレプリカを新たなパイロットシンボルと見なしたものを用いて、再びインパルス応答値を推定し、希望ユーザの重みベクトルwを計算し直す。
ステップ(S4)において、データシンボル区間において、受信信号と希望ユーザの重みベクトルwとを用いて、希望ユーザのデータシンボルを合成(判定)する。
【0063】
図13は、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第2の更新方法を説明する模式図である。
基本的には、図11に示した受信機構成をとるが、重みベクトルを更新するための構成は異なる。インパルス応答の推定に関しては、図12に示した上半分の説明図と同様であるので説明を省略する。
先に説明した図12においては、ステップ(S3)において、重みベクトルを更新する再計算を、インパルス応答の推定で行っていたのに対し、この第2の更新方法では、従来のMMSE(最小2乗平均誤差)型適応アルゴリズムによって更新させるというものである。この更新計算の相違によって、仮判定データシンボルの生成までのステップ(S1),(S2)の処理が変更され、希望ユーザのデータシンボルだけを仮判定すればよい。
また、仮判定データシンボルの情報が得られればよく、そのレプリカは必要としない。ステップ(S4)については同じである。
フレーム内のシンボル数が十分多い場合に、この重みベクトルの逐次更新によるMMSE型適応アルゴリズムが有効である。
【0064】
ステップ(S11)では、1フレーム中のパイロットシンボル区間において、図6と同様の処理を行う。全ユーザのパイロットシンボルのレプリカを用いて、希望ユーザの重みベクトルwを計算する。
ステップ(S12)では、1フレーム中のデータシンボル区間の始めから所定のシンボル(少なくとも1シンボル、データシンボル区間の全てのデータシンボルでもよい)までにおいて、受信信号と希望ユーザの重みベクトルwを用いて、希望ユーザのデータシンボルを仮判定する。
希望ユーザに関して、既知のパイロットシンボルと仮判定されたデータシンボルとを基にして、1フレーム中の送信シンボル(パイロットシンボルおよび仮判定データシンボル)情報を再構成する。
【0065】
ステップ(S13)において、1フレーム中の受信信号の、それぞれのパイロット信号およびデータ信号について、希望ユーザの重みベクトルwをMMSE型適応アルゴリズムにより計算し直す。
具体的には、ステップ(S11)のパイロットシンボル区間において得られた重みベクトルwを初期値とし、受信信号(パイロットシンボル区間およびデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまで)と、ステップ(S12)で得られた希望ユーザの[パイロットシンボル+仮判定データシンボル]情報をパイロットシンボル情報と見なしたものを用いて、希望ユーザの重みベクトルwを計算し直すことによって、重みベクトルの精度を向上させる。
【0066】
MMSE型適応アルゴリズムでは、既に説明したように、(9)式における、Rの第1番目の関係式にしたがって、離散フーリエ変換された受信信号Y(q)に関する第1の相関式のアンサンブル平均をとる。
一方、vの第1番目の関係式にしたがって、離散フーリエ変換した受信信号Y(q)に関する第2の相関式のアンサンブル平均をとる。ここで、d*(q)に、上述した希望ユーザの送信シンボル(パイロットシンボル+仮判定データシンボル)の値が代入される。その結果、最終的には、1フレームの終了時に、(9)式のw=R-1vにより、重みベクトルwが更新される。
ステップ(S4)については、図12と同様に、データシンボル区間において、希望ユーザのデータシンボルを判定する。
なお、この更新方法において、(S12)を省略して仮判定データシンボル数を0とすれば、既に説明したような、先に算出された重みベクトルを初期値として、同じ1フレームのパイロットシンボル区間においてMMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させ、更新された所定値の重みベクトルを用いて、同じ1フレームのデータシンボル区間において、送信されたデータシンボルを合成する場合に一致する。
【0067】
先に図12を参照して説明した重みベクトルの更新方法では、「パイロット信号による伝搬路の推定→仮判定→パイロット信号とデータ信号による伝搬路の推定→判定」というように、伝搬路の推定とデータの判定を繰り返している。
したがって、受信における処理時間の遅延を許すならば、すなわち、電話のようなリアルタイム通信ではなく、パケット通信や、静止画像等のファイル転送であれば、伝搬路の推定を繰り返し行うことにより、重みベクトルの精度、すなわち、送信されたデータシンボルの推定精度を上げることが可能である。
【0068】
図14は、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第3の更新方法を説明する模式図である。
図中、図12と同じ処理を行うステップについては、同じステップ番号を付している。図12のステップ(S2)とステップ(S3)との間に、パイロット信号とデータ信号とによる伝搬路の推定を行うステップ(S21),(S22)を挿入することにより、全ユーザk(k=1〜K)について、データシンボルの仮判定を2回行っている。
【0069】
同様にして、「パイロット信号による伝搬路の推定→仮判定→パイロット信号とデータ信号とによる伝搬路の推定→仮判定→パイロットとデータ信号による伝搬路の推定→仮判定→・・・」とし、繰り返し回数を1またはそれ以上として、複数回行うこともできる。
繰り返しのいずれの過程においても、データシンボル区間の始めからの所定のデータシンボル、すなわち、仮判定データシンボルは、最初の1シンボルだけでもよいし、データシンボル区間の全てのデータシンボルでもよい。
更新毎に仮判定データシンボルの数を変化させてもよい。例えば、重みベクトルの更新動作をする毎に、仮判定データシンボルの個数を逐次増加させる。より具体的には、仮判定データを最初はデータシンボル区間の最初のiシンボル(iは正整数)までとし、次回は、これを2iシンボルまでとし、更新回数が1回増える毎に、仮判定データの数を+iずつ増加させる。
【0070】
仮判定データシンボルの数が多くなるほど、理論的には伝搬路推定の精度が向上する。しかし、仮判定データシンボルの数が多くなるほど、送信データシンボルの仮判定誤りの影響が大きくなるし、また、処理に要する時間が長くなってしまう。したがって、このように、徐々に仮判定データシンボルの数を増やすことにより、更新動作に要する処理遅延を抑制しながら、重みベクトルの精度を、更新回数に応じて向上させることができる。
なお、重みベクトルの更新時における重みベクトルの計算方法は、本発明のようなインパルス応答による伝搬路の推定と、従来のMMSE型適応アルゴリズムとを、交互に使用したり、混在させたりすることが可能である。このほか、重みベクトルを計算できる方法が他にあれば、他の計算方法を用いてもよい。ただし、計算に使用するのに必要な情報やデータ等については、それぞれによって異なる。
【0071】
図15は、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第4の更新方法を説明する模式図である。インパルス応答による伝搬路の推定と、従来のMMSE型適応アルゴリズムの両者を使用した例である。
図中、図12,図14と同じ処理を行うステップについては、同じステップ番号を付している。図12のステップ(S2)とステップ(S3)との間に、従来のMMSE型適応アルゴリズムを用い、全ユーザk(k=1〜K)に関して、パイロット信号とデータ信号とによる伝搬路の推定を行うステップ(S31),(S22)を挿入することにより、データシンボルの仮判定を2回行っている。この例においても、仮判定データシンボルは、最初の1シンボルだけでもよいし、データシンボル区間の全てのデータシンボルでもよいし、更新する毎に仮判定データシンボルの数を変化させてもよい。
【0072】
上述した説明では、1フレームを単位として、重みベクトルの計算と、送信されたデータシンボルの合成処理を実行するものを説明した。しかし、伝搬路特性の変動など、周囲環境の変化が影響を及ぼさない限りにおいて、以前の1ないし数フレームにおける伝搬路推定データを、以後のフレームにおいても用いてアンサンブル平均を行ったり、以前の1ないし数フレームにおける重みベクトルを初期値として重みベクトルを更新したりしてもよい。
【0073】
【発明の効果】
上述した説明から明らかように、本発明によれば、データ伝送用の送受信装置にパイロット信号を挿入し、受信したパイロット信号を時間軸上で処理してインパルス応答値を求めるようにしたため、インパルス応答推定用のDS-CDMA系の送受信設備が不要であるので、装置規模が小さくなるという効果がある。
上り回線にマルチキャリヤCDMAを用いる場合のように他局ユーザの干渉がある場合でも、この干渉除去が可能であり、また、従来のRLS法によるMMSE合成では重みベクトルが収束せずSINR等の向上が図れないような、少ないパイロットシンボル数でもMMSE合成が可能となるという効果がある。
さらに、仮判定データシンボルを用いれば、重みベクトルを更新して重みベクトルの精度が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置とともに用いるマルチキャリヤCDMA送信装置のブロック構成図である。
【図2】データシンボルとパイロットシンボルを時間多重したマルチキャリヤCDMA方式のフレーム構成図である。
【図3】マルチキャリヤCDMA方式の送信信号波形を示す波形図である。
【図4】本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置のブロック構成図である。
【図5】パイロット信号から重みベクトルを算出するための処理を示すフローチャートである。
【図6】インパルス応答の推定方法を説明する模式図である。
【図7】インパルス応答の補正方法を説明する模式図である。
【図8】単局ユーザのみで他局ユーザが存在しない場合において、インパルス応答の補正を行わないときのBER(ビット誤り率)特性を示す線図である。
【図9】単局ユーザのみで他局ユーザが存在しない場合において、インパルス応答値の補正を行ったときのBER(ビット誤り率)特性を示す線図である。
【図10】多元接続を行うために他局ユーザが存在する場合における、ユーザ数に対する平均SINR(信号対干渉雑音比)特性を示す線図である。
【図11】本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置の、他の実施の形態を示すブロック構成図である。
【図12】図11に示した受信機構成に対応し、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第1の更新方法を説明する模式図である。
【図13】仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第2の更新方法を説明する模式図である。
【図14】仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第3の更新方法を説明する模式図である。
【図15】仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第4の更新方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
1…多重化部、2…QPSK変調器、3…分岐回路、41〜4L…乗算器、5…逆離散フーリエ変換部、6…並直列変換器、7…ガードインターバル挿入部、11…多重分離部、12…ガードインターバル除去部、13…チャネル推定部、14…直並列変換部、15…離散フーリエ変換部、161〜16L…乗算器、17…加算器、18…QPSK復調器、19…離散フーリエ変換部、20…重みベクトル計算部
【発明の属する技術分野】
本発明は、送信データのシンボルに拡散符号の各チップの値を乗算し、直交する複数のサブキャリヤを変調することにより、複数のサブキャリヤに送信データを拡散させるマルチキャリヤ符号分割多元接続(MC-CDMA:Multi carrier−Code Division Multiple Access)受信装置に関するものである。特に、移動通信基地局における上り回線の受信装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
第3世代移動体通信の試験サービスが始まり、移動体通信におけるマルチメディア通信がいよいよ現実のものとなっている。このような状況の中、次の第4世代移動体通信システムに関する検討が始まっており、インターネットやマルチメディア通信が固定通信と同様に快適にできるように、より大容量の伝送が求められている。
第4世代移動体通信システムの多元接続方式として、IMT-2000で用いられている直接拡散符号分割多元接続(DS-CDMA)方式や、周波数軸上に拡散符号の各チップを割り当てるマルチキャリヤ符号分割多元接続(MC-CDMA)方式の検討が盛んに行われている。MC-CDMAは、例えば、S.Haraand R.Prasad、“Overview of multicarrier CDMA”IEEE Communications Magazine、vol.35、no.12、pp.126-133、Dec.1997で知られている。
そこでは、現状のWebブラウジング等を想定して、上り回線よりも下り回線の容量を大きくする非対称伝送が考えられている。
特にMC-CDMAシステムは、基地局から移動局への下り回線においてDS-CDMAシステムよりも大容量の通信が可能であるとの報告がなされており、第4世代移動体通信システムの候補として期待されている。
【0003】
しかしながら、将来の通信では、個人が好きなときに好きな場所で自由に映像等の情報を発信するような利用方法が増えるものと考えられる。したがって、このような状況では、下り回線ほどではないにしても、上り回線の容量の拡大が必要となる。
上り回線では、移動局(ユーザ)ごとに、移動局から基地局までの伝搬路が異なるため、ユーザごとに割り当てられた拡散符号の直交関係が崩れる。また、各移動局は基地局に対してランダムにアクセスするので、符号同期に関しては、非同期システムとなる。
したがって、上り回線では、MC-CDMAよりも、非同期システムを構築しやすいDS-CDMA、または、マルチキャリヤの各送信データ系列を直接拡散するDS-CDMAシステムが有望視されている。
【0004】
ところが、最近、上り回線でもMC-CDMAを用いる検討が始まっている。複数シンボルを並列送信することによりシンボル長を長くすれば、時間軸上の余裕度が大きい準同期システムを実現できる。
上り回線ではマルチユーザ受信となるので、上述したように各ユーザの拡散符号の直交性が崩れ、他局ユーザの干渉(マルチユーザ干渉)が生じ、特性が大きく劣化する。このような中で、他局の情報を用いずに自局の情報のみを用いて単一ユーザ受信を行うと、マルチユーザ干渉を除去することができないので、受信性能を向上させることができない。
【0005】
そこで、他局からの受信信号のレプリカを作成して他局からの受信信号を除去するキャンセラ技術を用いることにより、他局の干渉を抑圧してシステム容量を増大させることができる。しかし、マルチステージ構成をとるので処理遅延が問題となる。
これに対し、拡散符号のチップ合成を行う際に重み付けを行って、マルチユーザ干渉を除去するMMSE(Minimum Mean Square Error:最小平均2乗誤差)合成を用いれば、システム容量を増大させることができる。
MMSE合成によってチップ合成をすると、シングルステージで構成できるため、大きな処理遅延が生じないという利点がある。ただし、MMSE合成において良好な特性を得るには、重みベクトルを収束させる必要がある。
【0006】
MMSE合成を実現するアルゴリズムとしては、適応等化器のタップ利得更新アルゴリズムとしても知られている、LMS(Least MeanSquare)法、SMI(Sample Matrix Inversion)、RLS(Recursive Least Square)法を用いることができる。
LMS法は、簡易な構成で実現できる特長を有しているが、重みベクトルの収束に多くの時間を必要とする。
SMI法は、サンプル値を用いた直接解法であって、重みベクトルの収束に拡散符号長の2倍程度の時間を必要とし、高速な収束が可能であるが、逆行列演算を必要とするため装置規模が増大する。
RLS法も拡散符号長の2倍程度の時間で収束するが、SMIよりも装置規模の増大を抑えることが可能である。
【0007】
このように、LMS法では非常に大きな収束時間が必要であり、RLS法を用いても、拡散符号長の2倍程度の収束時間が必要となり、この収束時間の間、パイロット信号を送信することが必要となる。
今後、パケット伝送を想定した場合や、多重数の増加に伴い拡散符号長を長くした場合には、少ないパイロットシンボル数で特性の改善を図る必要がある。しかし、上述したRLS法などのアルゴリズムでは、パイロットシンボル数が少ないと正しい重みベクトルを出力できず、特性の改善を図ることはできない。
【0008】
符号間の直交性が保たれなくなるのは、受信信号がユーザごとに独立な伝搬路の周波数選択性フェージングによって歪められているからである。そこで、直接拡散によるパイロット信号を重畳することにより、伝搬路の特性を推定する方法が、例えば、原晋介、“マルチキャリヤCDMAの適用可能性”、2001年電子情報通信学会総合大会(基礎・境界)SB-4-1、2001年3月、pp.779-780で提案されている。
この提案は、時間領域で直接拡散されたパイロット信号を用いて、伝搬路のインパルス応答を推定し、そのフーリエ変換から周波数応答を計算し、この周波数応答と拡散符号との積から、受信信号の相関行列と歪められた拡散符号行列とを推定するというものである。
【0009】
ここで、インパルス応答の推定方法は、例えば、今村大地、原晋介、森永規彦、“パイロット信号を用いたOFDMにおける副搬送波再生法“、電子情報通信学会論文誌B、Vol.J82-B、No.3、1999年3月、pp.393-401等で知られている。
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)において、シンボル系列の中に、ガードインターバルを設けた直接拡散パイロット信号を一定間隔で挿入し、直接拡散パイロット信号をマッチドフィルタに入力して伝搬路のインパルス応答を推定している。
しかし、上述した直接拡散によるパイロット信号を重畳することにより伝搬路を推定する方法では、データ伝送用のMC-CDMA系と、インパルス応答推定用のDS-CDMA系という2系統の送受信装置が必要となるため、送受信装置の規模が増大するという問題が生じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、マルチユーザ干渉を、少ないパイロットシンボル数で抑圧してシステム容量を増大させることができ、かつ、装置規模が小さいマルチキャリヤCDMA受信装置を提供することを目的とするものである。
さらに、重みベクトルを更新することにより重みベクトルの精度を向上させたマルチキャリヤCDMA受信装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載の発明においては、データシンボルにパイロットシンボルが時間多重された送信シンボル系列のシンボルに、拡散符号の各チップの値を乗算し、乗算値のそれぞれによって複数の直交するサブキャリヤを変調し、ガードインターバルを挿入したものである、マルチキャリヤCDMA信号を受信するマルチキャリヤCDMA受信装置であって、前記マルチキャリヤCDMA信号を受信して、パイロットシンボル区間を抽出し、該パイロットシンボル区間の前記マルチキャリヤCDMA信号と、全てのユーザのパイロットシンボル情報に基づいて、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力するインパルス応答推定手段と、希望ユーザの前記送信装置からの前記伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記希望ユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、前記希望ユーザの相関ベクトルを生成する相関ベクトル生成手段と、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記インパルス応答推定手段が前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力する際に、インパルス応答の推定値から取り除いた干渉雑音成分と、全てのユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、前記受信されたマルチキャリヤCDMA信号の相関行列を生成する相関行列生成手段と、前記相関ベクトルおよび前記相関行列に基づいて、前記希望ユーザに対する重みベクトルを生成する重みベクトル生成手段と、前記受信されたマルチキャリヤCDMA信号のデータシンボル区間を離散フーリエ変換したベクトルと前記重みベクトルを共役転置したものとを乗算し、前記希望ユーザの前記送信装置から送信されたデータシンボルを合成する合成信号生成手段を有するものである。
したがって、マルチユーザ干渉を、少ないパイロットシンボル数で抑圧してシステム容量を増大することができ、かつ、装置規模を小さくすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記相関ベクトル生成手段は、前記希望ユーザの送信装置からの前記伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記希望ユーザの拡散符号ベクトル情報とをベクトル要素ごとに乗算するものであり、前記相関行列生成手段は、前記全てのユーザについて、前記各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと各拡散符号ベクトル情報とをベクトル要素ごとに乗算したベクトルと該ベクトルを共役転置したものとを乗算した行列を、全てのユーザについて加算し、さらに、前記干渉雑音成分を前記全てのユーザについて平均化した値に単位行列を乗算した行列を加算するものである。
したがって、相関ベクトル生成手段および相関行列生成手段を容易に実現することができる。特に、相関行列生成手段について、干渉成分と雑音成分とを分離して計算する。その結果、重みベクトルの推定精度が向上する。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、請求項1に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記インパルス応答推定手段は、前記パイロットシンボルの複数シンボルに対して算出された前記インパルス応答推定値を平均化して出力するものである。
したがって、インパルス応答の推定精度が向上する。その結果、重みベクトルの推定精度が向上する。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、請求項1から3までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記インパルス応答推定手段は、ガードインターバル内のパスであって、かつ、最大電力パスに応じて設定された閾値を超えるパスのみに基づいて、前記インパルス応答推定値を出力するものである。
したがって、インパルス応答の推定精度が向上する。その結果、重みベクトルの推定精度が向上する。
【0015】
請求項5に記載の発明においては、請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記重みベクトル生成手段が生成した前記重みベクトルを初期値として、最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムを用いて前記重みベクトルを逐次更新する重みベクトル更新手段を有するものである。
したがって、逐次更新されるにつれて、重みベクトルの推定精度が向上する。また、重みベクトルを伝搬路特性の変動に追従させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明においては、マルチキャリヤCDMA受信装置において、請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、前記重みベクトル更新手段は、前記請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記希望ユーザに対する重みベクトルを出力させ、かつ、初期値として前記希望ユーザに対する重みベクトルを用いて、前記パイロットシンボル区間の前記マルチキャリヤCDMA信号に対して、最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムにより前記重みベクトルを逐次更新して、前記請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置内の前記合成信号生成手段に更新された前記重みベクトルを与えて、前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである。
したがって、重みベクトルの推定精度を向上させることができる。
【0017】
請求項7に記載の発明においては、データシンボルにパイロットシンボルが時間多重された送信シンボル系列のシンボルに、拡散符号の各チップの値を乗算し、乗算値のそれぞれによって複数の直交するサブキャリヤを変調し、ガードインターバルを挿入したものである、マルチキャリヤCDMA信号を受信するマルチキャリヤCDMA受信装置であって、前記マルチキャリヤCDMA信号を受信して、パイロットシンボル区間を抽出し、該パイロットシンボル区間の前記マルチキャリヤCDMA信号と、全てのユーザのパイロットシンボル情報に基づいて、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力するインパルス応答推定手段と、希望ユーザの前記送信装置からの前記伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記希望ユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、前記希望ユーザの相関ベクトルを生成する相関ベクトル生成手段と、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記インパルス応答推定手段が前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力する際に、インパルス応答の推定値から取り除いた干渉雑音成分と、前記全てのユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、受信されたマルチキャリヤCDMA信号の相関行列を生成する相関行列生成手段と、前記相関ベクトルおよび前記相関行列に基づいて、前記希望ユーザに対する重みベクトルを生成する重みベクトル生成手段と、前記受信されたマルチキャリヤCDMA信号のデータシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでを離散フーリエ変換したベクトルと前記重みベクトルを共役転置したものとを乗算し、前記希望ユーザの前記送信装置から送信された少なくとも前記1シンボルまでのデータシンボルを合成する合成信号生成手段を有するものである。
したがって、受信されたマルチキャリヤCDMA信号のデータシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータ信号に対するマルチユーザ干渉を、少ないパイロットシンボル数で抑圧してシステム容量を増大することができ、かつ、装置規模を小さくすることができる。
【0018】
請求項8に記載の発明においては、マルチキャリヤCDMA受信装置において、マルチキャリヤCDMA受信装置において、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、前記重みベクトル更新手段は、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記全てのユーザの内、少なくとも前記希望ユーザの、前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータシンボルを仮判定データシンボルとして合成させ、前記パイロットシンボル区間および前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでの前記マルチキャリヤCDMA信号と、少なくとも前記希望ユーザの、パイロットシンボル情報および前記仮判定データシンボルに基づいて、少なくとも前記希望ユーザの前記重みベクトルを更新して、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置内の前記合成信号生成手段に、更新された前記重みベクトルを与えて、少なくとも前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである。
したがって、パイロット信号およびデータシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータ信号によって、重みベクトルを更新することにより、重みベクトルの精度を向上させることができる。
重みベクトルの更新は、伝搬路のインパルス応答推定を実行したり、従来の最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムを実行したりして実現することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明においては、請求項8に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記重みベクトル更新手段は、更新動作を複数回繰り返すものである。
したがって、重みベクトルの推定精度をさらに向上させることができる。
例えば、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置を、複数回、再使用したり、従来の最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムを1回ないし複数回、使用したり、さらに、両者を混在させて使用したりすることができる。
【0020】
請求項10に記載の発明においては、請求項9に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置において、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置は、前記重みベクトル更新手段が前記更新動作をする毎に、前記仮判定データシンボルとして合成する前記データシンボルの個数を逐次増加させるものである。
したがって、更新動作に要する処理遅延を抑制しながら、重みベクトルの精度を、更新回数に応じて向上させることができる。
【0021】
請求項11に記載の発明においては、マルチキャリヤCDMA受信装置において、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、前記重みベクトル更新手段は、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記全てのユーザのそれぞれを前記希望ユーザとして、前記全てのユーザの、前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータシンボルを仮判定データシンボルとして合成させ、前記全てのユーザの、前記パイロットシンボル情報および前記仮判定データシンボルの情報を、新たなパイロットシンボル情報と見なし、かつ、前記パイロットシンボル区間および前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでを新たなパイロットシンボル区間と見なして、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記重みベクトルを更新させて、前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである。
したがって、パイロット信号およびデータ信号によって重みベクトルを更新する処理を、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置を再動作させることによって、効率よく実行することができる。
【0022】
請求項12に記載の発明においては、マルチキャリヤCDMA受信装置において、請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、前記重みベクトル更新手段は、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記希望ユーザの、前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでを仮判定データシンボルとして合成させるとともに、前記希望ユーザに対する重みベクトルを出力させ、前記希望ユーザの、前記パイロットシンボル情報および前記仮判定データシンボルの情報を新たなパイロットシンボル情報と見なし、かつ、初期値として前記希望ユーザに対する重みベクトルを用いて、前記パイロットシンボル区間および前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでの前記マルチキャリヤCDMA信号に対して、最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムにより前記重みベクトルを逐次更新して、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置内の前記合成信号生成手段に更新された前記重みベクトルを与えて、前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである。
したがって、パイロット信号およびデータ信号によって重みベクトルを更新する処理に、従来の最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムを利用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置とともに用いるマルチキャリヤCDMA送信装置のブロック構成図である。
図中、1は多重化部(マルチプレクサ)、2はQPSK(4相位相変調:Quadrature Phase Shift Keying)変調器、3は分岐回路、41〜4Lは乗算器、5は逆離散フーリエ変換部(IDFT:InverseDiscrete Fourier Transform)、6は並直列変換器、7はガードインターバル挿入部である。
データ(1シンボル分を単位として構成される)とパイロット(1シンボル分を単位とする既知のデータで構成される)とは、多重化部1で時間多重される。
【0024】
時間多重された信号は、QPSK変調器2において、QPSK変調されることにより、狭帯域の複素ベースバンド信号(同相および直交信号)で表されるシンボルが生成される。q番目のシンボルデータをd(q)と表す。
この複素ベースバンド信号は、分岐回路3において、サブキャリヤ数だけ出力され、それぞれのサブキャリヤの乗算器41〜4Lにおいて、拡散符号の各チップの値と乗算されて、サブキャリヤの複素振幅となる。
なお、変調方式は、QPSKに限られるものではない。
【0025】
図2は、データシンボルとパイロットシンボルとを時間多重したマルチキャリヤCDMA方式のフレーム構成図である。データおよびパイロットは、多重化部1において、1シンボル分を単位として多重化されているので、QPSK変調器2において、パイロットシンボルとデータシンボルが生成されている。
この例は、1または複数のパイロットシンボルと、それに続く複数のデータシンボルとによって1フレームを構成している。パケット伝送を前提とした場合は、この1フレームをパケット単位として1回の送信がなされる。連続伝送を前提とした場合には、複数フレームが繰り返されて送信される。
このパイロットシンボルを用いて伝搬路の推定を行い、マルチユーザ干渉を除去する。パイロットシンボル数が少ないほど、ヘッダ部の負荷が小さくなるため伝送効率が良くなる。
【0026】
チップ長Lの拡散符号を拡散符号ベクトルCとして表し、次式の通りとする。
【数1】
ここで、[・]Tは転置行列を表す。
拡散符号は、ユーザごとに異なる符号を用いる。拡散符号のチップ数(拡散符号ベクトルの要素数)は、サブキャリヤのチャネル数に等しい。サブキャリヤの周波数は、OFDMと同様に、直交配置されたものである。
図1に示した逆離散フーリエ変換部5は、各サブキャリヤの複素振幅を入力して、逆離散フーリエ変換して、時間軸上の波形信号を出力する。並列デジタル信号で出力されるので、並直列変換器6で直列デジタル信号に変換して出力する。
ガードインターバル挿入部7において、ガードインターバルΔを挿入して、マルチキャリヤCDMA方式の送信信号が生成される。
【0027】
なお、図1に示した構成では、QPSK変調信号を、同時に1シンボルしか送信していない。しかし、1シンボル長を長くして準同期を容易にするためには、QPSK変調器2を複数個設けて、多重化データを分配する。加えて、数倍長いチップ数の拡散符号と数倍のサブキャリヤ数を使用することにより、1シンボル長において複数のQPSK変調器から出力される複数のシンボルを同時に送信する。
このような場合も含む概念で表現するため、本明細書では、1シンボル区間における送信信号波形の全体を改めて1シンボル波形とみなすことにより、1シンボル区間において1シンボルが送信されるとする。しかし、この場合でも、既知のパイロットシンボルを用いてパイロットシンボル区間を構成する。
【0028】
図3は、マルチキャリヤCDMA方式の送信信号波形を示す波形図である。
サブキャリヤは、OFDMと同様に直交に配置されているため、送信波形はOFDMのそれと同様になる。
ガードインターバルは、遅延波による符号間干渉を除去するために挿入される。図示のガードインターバルは、逆離散フーリエ変換された原送信信号波形の終わり部分をコピーして、原送信信号波形の前の部分に挿入したものである。
受信装置において、図示の送信信号波形を直接波とし、遅延波がガードインターバルの長さΔ以内の遅延時間で到来するものとすれば、このような遅延波によるシンボル間干渉の影響を抑えることが可能となる。
すなわち、受信側では、1シンボル区間よりもガードインターバルの長さΔだけ短い区間(原送信信号波形と同じ長さである)を切り出して利用すれば、切り出された波形に含まれる遅延波は、この切り出された波形に含まれる直接波を単に遅延させただけの波形であるから、遅延波による干渉は生じない。
【0029】
なお、受信装置側で、一番目に到来した波形を利用するとは限らない場合に、この波形に先行する到来波による符号間干渉が生じる。この場合は、周知のように、原送信信号波形の始めの部分(長さΔ)をコピーしたものを、そのまま原送信信号波形の後ろの部分に挿入することにより、後ろの部分にもガードインターバルを挿入する。受信側では、1シンボル区間よりもガードインターバルの合計長さ(2Δ)だけ短い区間を切り出して利用する。
以上の構成によって、周波数領域で送信データが拡散された送信信号波形が生成される。この送信信号波形は、メインキャリアを用いて無線周波数帯に変換されて送信される。
【0030】
送信信号x(q)は、時間領域で次式で表される。
【数2】
ここで、Fは離散フーリエ変換、F-1は逆離散フーリエ変換を表す。
時間軸上のL個のサンプル点x1 ,x2,x3 ,……,xLは、1シンボル期間のうち、ガードインターバルを除いた区間(すなわち、ガードインターバルを挿入する前の原送信信号波形)を等分したサンプル点1〜Lにおける送信信号の複素振幅である。
【0031】
離散フーリエ変換Fは、次式の行列で表される。
【数3】
L個のサンプル点に対応して、サブキャリヤの周波数は、サンプル時間をTsとするとベースバンドでは、-(L/2-1)/(LTs),-(L/2-2)/(LTs) ,-(L/2-3)/(LTs) ,……,0,1/(LTs) ,2/(LTs) ,3/(LTs) ,……,(L/2)/(LTs)となる。
【0032】
図4は、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置のブロック構成図である。図中、11は多重分離部(デマルチプレクサ)、12はガードインターバル除去部、13はチャネル推定部、14は直並列変換部、15は離散フーリエ変換(DFT)部、161〜16Lは乗算器、17は加算器、18はQPSK復調器、19は離散フーリエ変換(DFT)部、20は重みベクトル計算部である。
受信信号は、多重分離部11において、同期タイミングに基づいて、データ信号区間とパイロット信号区間とに分離する。ガードインターバル除去部12は、受信信号中のガードインターバルを除去した上で、直並列変換部14で並列信号に変換して、離散フーリエ変換(DFT)部15に出力される。
【0033】
希望するある単一のユーザの移動局から基地局までの伝搬路の特性は、次式に示す伝搬遅延プロファイルh(t)で表される。
【数4】
ここで、alは伝搬ベクトルaのl(Lの小文字)番目のパスの成分、Tsはサンプル時間、またδ(t)はディラックのデルタ関数である。したがって、l番目のパスの遅延時間は、(l-1)Tsとなる。
【0034】
受信信号y(q)(時間領域)は、送信信号x(q)が伝搬路で変動を受けたものであるから、式(2),(4)を用いて次式で表される。ただし、ガードインターバルが除去された後の受信信号である。
【数5】
ここで、x(q;l)は、送信信号x(q)が(l-1)Tsだけ遅延した信号、nは干渉雑音成分を表す。
【0035】
上述した式における、遅延した信号の特徴を補足説明する。
図2に示したように、ガードインターバルにおいて、送信信号波形は、原送信信号波形の後ろの部分をコピーした信号である。したがって、ガードインターバルの最後から逆順にサンプル点の複素振幅を示すと、xL ,xL-1 ,xL-2 ,xL-3 ,……となる。
全ての遅延した信号x(q;1),x(q;2),……が、ガードインターバルの長さΔ内に収まると仮定すると、遅延した信号は、ガードインターバルにおけるサンプル点の複素振幅の特徴から、離散フーリエ変換を行う区間において、直接波x(q;1)を巡回シフトしたものとなる。
ただし、基地局に実際に到来する遅延した信号としては、l=1〜LまでのL波が常に全て存在するわけではない。例えば、2番目に到来する遅延した信号がないときは、a2=0となる。
【0036】
離散フーリエ変換(DFT)部15は、離散フーリエ変換を行い、直交する複数のサブキャリヤの複素振幅を、離散フーリエ変換された受信信号として出力する。
離散フーリエ変換された受信信号、すなわち、周波数領域の受信信号Y(q)は、次式で与えられる。
【数6】
ここで、Jl-1は対角行列の各要素を(l-1)乗した対角行列である。丸印を付した記号「×」は2つのベクトルの要素ごとに乗算をしたものを各要素とするベクトルを生成する演算である。
なお、上述した式(6)内の変形において、次式の関係が成り立つことを用いた。
【数7】
【0037】
各サブキャリヤに対応した乗算器161〜16Lにおいて、重みベクトル計算部21から出力される重みが乗算される。この重みは、希望する単一ユーザに割り当てられて送信時に使用された拡散符号のチップ1〜Lの値に重み付けが施されたものである。
全ての乗算器161〜16Lの出力は、加算器17において加算合成され、複素ベースバンド信号で表されるQPSK変調されたシンボルとなり、QPSK復調器18において、同相成分、直交成分をレベル判定され、復調されて、受信データが出力される。
【0038】
MC-CDMA受信信号のベクトルYに対して、適切な重みベクトル
【数8】
に基づき、サブキャリヤ間信号合成を行う。
加算器17から出力される最終的な合成出力は次式で表される。
【数9】
ここで、[・]†は行列の各要素の複素共役を要素とした行列を転置(共役転置)した行列(エルミート行列)を示す。
【0039】
この重みベクトルwは、信号電力が大きく干渉雑音電力が小さくなるように決定されることが望ましい。このような要求を満たす方法として、従来技術で触れたMMSE合成基準を用いる。重みベクトルwは、次式によって求める。
【数10】
ここで、Rは相関行列、vは相関ベクトルと呼ばれるものである。また、R-1はRの逆行列、E[・]はアンサンブル平均、(・)*は複素共役を表している。
相関行列Rは、受信信号を離散フーリエ変換した受信信号ベクトルY(q)の要素(サブキャリヤの複素振幅)の相互間における相関値のアンサンブル平均である。希望ユーザの移動局からの到来波だけでなく、全ユーザの移動局からの到来波を含めた相関のアンサンブル平均となる。
一方、相関ベクトルvは、受信信号を離散フーリエ変換した受信信号ベクトルY(q)と希望するユーザの移動局の送信シンボルデータd(q)との相関のアンサンブル平均である。
【0040】
上述した(9)式における、Rの第1番目の関係式にしたがって、離散フーリエ変換された受信信号Y(q)に関する第1の相関式のアンサンブル平均をとり、かつ、vの第1番目の関係式にしたがって、離散フーリエ変換した受信信号Y(q)に関する第2の相関式のアンサンブル平均をとることにより、重みベクトルwを求めることができる。
しかし、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置では、パイロットシンボルのインパルス応答に基づいて伝搬ベクトルaを求めてから、上述した(9)式における、R,vの第2番目の関係式にしたがって、相関行列Rと相関ベクトルvを算出する方法をとる。
図4に示したチャネル推定部13、離散フーリエ変換部19、重みベクトル計算部20で実現されるのであるが、その処理の詳細は、図5を参照して説明する。
【0041】
図5は、パイロット信号から重みベクトルを算出するための処理を示すフローチャートである。
図6は、インパルス応答の推定方法を説明する模式図である。
S31において、パイロット信号を用いてインパルス応答の推定値から伝搬ベクトルaを推定する。
なお、全てのユーザの移動局からの伝搬路の伝搬ベクトルを推定する。しかし、以下の数式を用いた説明では、説明を簡単にするため、途中まで、希望ユーザの移動局からの伝搬路の伝搬ベクトルで代表させ、これをaとして説明する。最終的には、ユーザk=1〜Kについて、同様な方法で伝搬ベクトルakを計算する。
【0042】
パイロット信号のサンプルqにおいて、既知の送信信号X(q)と受信信号y(q)の相関φs(q)は、サンプル差をsとして、
【数11】
なお、式(10)内の変換において次式の関係を用いた。
【数12】
【0043】
式(10)において、x(q;s)とnとは無相関であるので、x(q;s)†nは、シンボルごとに異なる値をとる。したがって、φs(q)のシンボル値qについてのアンサンブル平均をとることにより、x†(q;s)nが消えて、伝搬係数asが求まる。
図6に示すように、sの値を1サンプルずつシフトして、インパルス応答の遅延した信号x(q;s)について、相関演算を行うことにより、伝搬ベクトルa={a1,a2 ,……,aL }を推定できる。
全ての遅延した信号がガードインターバル内に収まると仮定すると、ガードインターバルの区間においてだけ、インパルス応答を計算すればよい。
なお、相関演算は、マッチドフィルタを用いて行うことができる。
【0044】
次のS32においては、インパルス応答の補正を行うことにより特性改善をする。
図7は、インパルス応答の補正方法を説明する模式図である。
図7(a)において、太い矢印がインパルス応答の電力値を表している。
まず、主要な遅延した信号(遅延パスとして表される)が、全てガードインターバル内に入るようにシステム設計を行うので、ガードインターバル外の遅延パスは、全て干渉雑音(干渉または雑音)とみなしてカットする。
次に、電力が最大のパス(図示の例では、直接波に相当する直接パス)よりもTh[dB]以上低いパス(図示の例では2番目のパス)も干渉雑音とみなしてカットする。図7では、カットされたパスには、X印を付している。
以上の操作により、図7(a)で示したインパルス応答は、図7(b)で示したインパルス応答に補正される。
【0045】
再び図5に戻って説明を続ける。
これより以下の説明では、ユーザkごとの伝搬ベクトルakを用いて説明する。
S33において、希望ユーザ(k=1とする)を含む全てのユーザの伝搬路について、それぞれ伝搬路の推定結果であるインパルス応答akをフーリエ変換してFakを得る。
S34において、式(9)の相関ベクトルvの第2行目の式にしたがって、Fa1と拡散符号ベクトルC1(ユーザk=1に割り当てられた拡散符号)とから相関ベクトルvを算出する。
一方、S35においては、全ユーザ(k=1〜K)について、上述したS32におけるインパルス応答の補正処理でカットしたパスの電力から雑音電力PNを推定する。
【0046】
雑音電力PNの推定について詳述する。
希望ユーザ以外の他ユーザの移動局からの受信信号は、希望ユーザの移動局からの受信信号とは、必ずしもシンボル同期がとれていない。そのため、希望ユーザの移動局からの受信信号の、1シンボル内において、他ユーザの移動局からの受信信号は、隣接する2つのシンボルを部分的に含んでいる状態となり得る。
しかし、ここでは計算を簡単にするため、他ユーザも希望ユーザと同じタイミングでシンボルを伝送するものとする。
基地局が下り回線で供給する下りパイロット信号に同期して、移動局が送信信号を送信することとし、かつ、移動局が基地局から所定の距離内にあるようにシステム設計しており、他ユーザの移動局からの受信信号を、ガードインターバル内に収めることができるので、離散フーリエ変換する範囲内では、他ユーザも希望ユーザと同じタイミングでシンボルを伝送しているに等しい。
【0047】
上述した式(9)のRの2行目の式において、Fnn†F†の項には、他のユーザとの干渉成分と雑音成分とが混じっているので、評価が難しい。
そこで、式(9)を参考にして、他ユーザの伝搬ベクトルも考慮した相関行列を、次式の通りとする。
【数13】
ここで、akはユーザkの伝搬ベクトル、Ckはユーザkの拡散符号ベクトル、PNは雑音電力、Iは単位行列を表す。
PNは、図5のS32において、各ユーザkについて伝搬ベクトルakを求める際に、カットしたパスの総電力を求めて、この総電力を全てのユーザkについて平均した値を雑音電力PNとする。
上述した式によって、マルチユーザ干渉と雑音とを、完全ではないが、ほぼ分離して評価した上で、相関行列Rが得られる。
S36においては、相関行列Rの計算を行う。
S37において、重みベクトルを計算する。全てのユーザkのフーリエ変換された伝搬路の推定結果(伝搬ベクトルak)と、全てのユーザkに割り当てられた拡散符号ベクトルCkの情報(レプリカ)と、雑音電力PNの推定値とに基づいて、式(9)に示した希望ユーザ(k=1)の重みベクトルwを計算する。
【0048】
最後に、図8〜図10を参照して、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置を計算機シミュレーションした結果を説明する。
図8は、単局ユーザのみで他局ユーザが存在しない(マルチユーザ干渉がない)場合において、インパルス応答推定値の補正を行わないときのBER(ビット誤り率)特性を示す線図である。
Eb/No(1ビットあたりの信号エネルギー/片側雑音電力スペクトル密度)に対するBERを、パイロットシンボル数(q0)をパラメータとして示している。
拡散符号ベクトルCには符号長(チップ数)32の直交ゴールド符号を用いている。干渉移動局はなく、付加的白色ガウス雑音(AWGN)伝送路とする。
このとき、ビット誤り率特性は、パイロットシンボル数(q0)が少ないほど特性が劣化しており、これはインパルス応答推定値の推定誤差が原因と考えられる。
【0049】
図9は、単局ユーザのみで他局ユーザが存在しない(マルチユーザ干渉がない)場合において、インパルス応答推定値の補正を行ったときのBER(ビット誤り率)特性を示す線図である。
図中、比較のため、インパルス応答推定値の補正を行わないときのBER特性を一部、図8からコピーして黒のプロットで示している。
伝搬路等の条件は図8の場合と同様である。図7に示したインパルス応答推定値の補正を行うことでビット誤り率特性が改善されることがわかる。なお、ここではスレッショルドThを6dBとしたが、この値は伝搬路によって最適な値を選択する必要がある。
【0050】
図10は、多元接続を行うために他局ユーザが存在する(マルチユーザ干渉がある)場合における、ユーザ数に対する平均SINR(信号対干渉雑音比)特性を示す線図である。
Eb/No=30[dB]、パイロットシンボル数q0=8、伝搬路は2波モデルとし、フェージング変動は十分遅く、1フレーム(パイロットとデータシンボルのセット)内の伝搬ベクトルakは一定であるとする。また、簡単化のため同期システムで評価した。
比較対象として、単一ユーザ受信で用いられるフェージング補償方式を用いた場合と、収束が速いことで知られるRLSアルゴリズムによるMMSE合成方式を用いた場合についても図示している。
【0051】
単一ユーザ受信のフェージング補償方式では、他局の伝搬路特性等を考慮していないため、2ユーザ多重でSINRが急激に低下している。また、RLSではパイロットシンボル数が足りないため、重みベクトルが収束せず、多重数が多いときのSINRの低下が大きくなっている。一方、本発明の方式は、多重数の増加に伴ってSINRが低下するものの急激な劣化はみられず、比較した2つの方式よりも良い特性が得られていることがわかる。
【0052】
上述した説明では、インパルス応答による伝搬ベクトルを用いて重みベクトルを算出している。しかし、このようにして算出された重みベクトルを初期値として、従来の重みベクトル算出用のMMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させてもよい。逐次更新されるにつれて、重みベクトルの推定精度が向上し、また、重みベクトルを伝搬路変動に追従させることができる。
【0053】
その際、同じ1フレームの最初のパイロットシンボルからこのフレームの最後のデータシンボルまで、先に算出された重みベクトルを初期値として、MMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させる。あるいは、同じ1フレームのデータシンボルの最初からの最後までを、先に算出された重みベクトルを初期値として、MMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させる。
いずれの場合も、データシンボル区間では、この重みベクトルを用いて次々に合成されたデータシンボルを、送信されたデータシンボルの仮判定データシンボルとして、MMSE型適応アルゴリズムを適用する。
あるいは、先に算出された重みベクトルを初期値として、同じ1フレームのパイロットシンボル区間においてMMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させてもよい。更新された所定値の重みベクトルを用いて、同じ1フレームのデータシンボル区間において、送信されたデータシンボルを合成してもよい。
【0054】
この他、1フレーム内のパイロットシンボル区間において生成された重みベクトルを用いて合成されたデータシンボルを、仮判定されたデータシンボルとして、パイロットシンボルとともに新たにパイロットシンボルと見なすことができる。したがって、再びインパルス応答推定に基づいて重みベクトルを更新することにより、送信されたデータシンボルを合成できる。
また、新たなパイロットシンボル区間において、従来のMMSE型適応アルゴリズムにより重みベクトルを逐次更新させ、更新された重みベクトルを用いて送信されたデータシンボルを合成できる。
以下、仮判定したデータシンボルを用いて重みベクトルの精度を向上させる実施の形態について説明する。
【0055】
図11は、本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置の、他の実施の形態を示すブロック構成図である。図中、図4と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。
41はチャネル推定部、42はデータシンボルレプリカ生成部である。
データシンボルレプリカ生成部42は、QPSK復調された受信データを送信されたデータであると仮定して、まず、送信されたデータシンボルを仮判定する。この仮判定データシンボルの情報に基づいて、この仮判定データシンボルの送信信号(波形)、すなわち、データシンボルレプリカを生成する。
【0056】
チャネル推定部41は、データシンボルレプリカ生成部42が出力するデータシンボルレプリカを、希望ユーザのデータシンボルレプリカとして入力する。同時に、他の全てのユーザの各受信装置からも、上述した希望ユーザの受信装置と同様に、受信データを送信されたデータと仮判定して、各ユーザの仮判定データシンボルの情報に基づいて生成されたデータシンボルレプリカを入力する。
希望ユーザおよび他ユーザからなる全てのユーザの各データシンボルレプリカは、図4において使用していた全ユーザの各パイロットシンボルレプリカと同様な既知のものとなる。
【0057】
したがって、各ユーザの、パイロットシンボルレプリカとデータシンボルレプリカとを合わせた1フレーム中のシンボルのレプリカは、図4において使用した各ユーザのパイロットシンボルのレプリカと同様に用いることができる。
その結果、チャネル推定部41は、データシンボル区間の受信信号も入力し、パイロットシンボル区間に加えてデータシンボル区間において、チャネル推定を行うことができる。
ここで、データシンボル区間の全てのデータシンボルについて仮判定することは必須でない。データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータシンボルについて仮判定すれば、既知のシンボルを増加させて、より長い期間にわたって重みベクトルの計算を行うことができるので、重みベクトルの精度が向上する。
ただし、希望ユーザだけでなく、他ユーザの仮判定データシンボルも必要となる場合がある。しかし、基地局における上り回線受信のように、「マルチユーザ受信」においては、他ユーザの仮判定データを利用することが簡単にできるので、処理量は増加するものの特に問題はない。
【0058】
なお、データシンボルレプリカ生成部42について説明を補足しておく。
受信データを仮判定データとして、これに基づいて、データシンボルレプリカを受信装置側で生成する。この機能を実現するブロックをデータシンボルレプリカ生成部42としている。
より具体的には、図1の送信装置構成と同様に、仮判定データをQPSK変調して仮判定データシンボルを生成し、分岐、拡散符号の乗算、逆拡散フーリエ変換、並直列変換、ガードインターバル挿入を行う。
したがって、あたかも、図11に示した受信装置の内部に送信装置を併せ持つことになり、装置規模が複雑になる。しかし、QPSKシンボルでは送信信号(データシンボルレプリカ)が4パターンしかないので、メモリ空間に4パターンの送信信号を保存しておき、仮判定したデータシンボルの情報に対応するパターンに応じて、メモリ空間から送信信号を読み出せば、上述した逆拡散フーリエ変換等の複雑な処理が不要になる。
【0059】
以下の説明では、ある1フレームについて、そのデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボル(少なくとも1シンボル)までを仮判定する。これをパイロットシンボルとともに用いて、同じ1フレームのパイロットシンボル区間およびデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまで、に対して重みベクトルを更新する計算を行い、この更新された重みベクトルを用いて、同じフレームの全データシンボル区間において、送信されたデータシンボルを再び合成する。
ただし、処理遅延が生じるため、1フレーム長のパケットデータである場合や、ファイル転送等に適する。
ここで、上述した「所定のデータシンボル」とは、1シンボルでもよいし、データシンボル区間の全データシンボルでもよい。
なお、図11では、図4と対比するため、パイロットシンボルのレプリカとデータシンボルのレプリカを別々に生成するものとして図示している。しかし、1フレーム中のパイロットシンボルとデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまでを合わせたものに対して、レプリカを一括生成してもよい。
【0060】
図12は、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第1の更新方法を説明する模式図である。図11に示した受信機構成に対応する。
ステップ(S1)では、1フレーム中のパイロットシンボル区間において、図6と同様の処理を行う。ただし、希望ユーザだけでなく、全ユーザk(k =1〜K)の受信信号についてそれぞれ行う。すなわち、全ユーザkのパイロットシンボルのレプリカを用いて、全ユーザkの重みベクトル(以後、これをwkと表記する)をそれぞれ計算する。
【0061】
ステップ(S2)では、全ユーザk(k=1〜K)の受信信号と全ユーザkの重みベクトルwkを用いて、全ユーザkのデータシンボルをそれぞれ仮判定する。すなわち、パイロットシンボルを用いて求めた全ユーザkの重みベクトルwkによって全ユーザのデータシンボルを仮判定する。
処理区間は、データシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまでである。なお、既に説明したように、データシンボル区間の全てのデータシンボルでもよい。
1フレーム中のデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまでにおいて、データシンボルをパイロットシンボルと同じと見なすことができる。全ユーザkに関して、既知のパイロットシンボルと仮判定されたデータシンボルを基にして、1フレーム中の送信信号(パイロットシンボル区間およびデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまで)について、レプリカ(時間軸信号)を再構成する。
【0062】
ステップ(S3)では、受信信号(パイロットシンボル区間およびデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまで)と、既に得られている全ユーザkの[パイロットシンボル+仮判定データシンボル]のレプリカを新たなパイロットシンボルと見なしたものを用いて、再びインパルス応答値を推定し、希望ユーザの重みベクトルwを計算し直す。
ステップ(S4)において、データシンボル区間において、受信信号と希望ユーザの重みベクトルwとを用いて、希望ユーザのデータシンボルを合成(判定)する。
【0063】
図13は、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第2の更新方法を説明する模式図である。
基本的には、図11に示した受信機構成をとるが、重みベクトルを更新するための構成は異なる。インパルス応答の推定に関しては、図12に示した上半分の説明図と同様であるので説明を省略する。
先に説明した図12においては、ステップ(S3)において、重みベクトルを更新する再計算を、インパルス応答の推定で行っていたのに対し、この第2の更新方法では、従来のMMSE(最小2乗平均誤差)型適応アルゴリズムによって更新させるというものである。この更新計算の相違によって、仮判定データシンボルの生成までのステップ(S1),(S2)の処理が変更され、希望ユーザのデータシンボルだけを仮判定すればよい。
また、仮判定データシンボルの情報が得られればよく、そのレプリカは必要としない。ステップ(S4)については同じである。
フレーム内のシンボル数が十分多い場合に、この重みベクトルの逐次更新によるMMSE型適応アルゴリズムが有効である。
【0064】
ステップ(S11)では、1フレーム中のパイロットシンボル区間において、図6と同様の処理を行う。全ユーザのパイロットシンボルのレプリカを用いて、希望ユーザの重みベクトルwを計算する。
ステップ(S12)では、1フレーム中のデータシンボル区間の始めから所定のシンボル(少なくとも1シンボル、データシンボル区間の全てのデータシンボルでもよい)までにおいて、受信信号と希望ユーザの重みベクトルwを用いて、希望ユーザのデータシンボルを仮判定する。
希望ユーザに関して、既知のパイロットシンボルと仮判定されたデータシンボルとを基にして、1フレーム中の送信シンボル(パイロットシンボルおよび仮判定データシンボル)情報を再構成する。
【0065】
ステップ(S13)において、1フレーム中の受信信号の、それぞれのパイロット信号およびデータ信号について、希望ユーザの重みベクトルwをMMSE型適応アルゴリズムにより計算し直す。
具体的には、ステップ(S11)のパイロットシンボル区間において得られた重みベクトルwを初期値とし、受信信号(パイロットシンボル区間およびデータシンボル区間の始めから所定のデータシンボルまで)と、ステップ(S12)で得られた希望ユーザの[パイロットシンボル+仮判定データシンボル]情報をパイロットシンボル情報と見なしたものを用いて、希望ユーザの重みベクトルwを計算し直すことによって、重みベクトルの精度を向上させる。
【0066】
MMSE型適応アルゴリズムでは、既に説明したように、(9)式における、Rの第1番目の関係式にしたがって、離散フーリエ変換された受信信号Y(q)に関する第1の相関式のアンサンブル平均をとる。
一方、vの第1番目の関係式にしたがって、離散フーリエ変換した受信信号Y(q)に関する第2の相関式のアンサンブル平均をとる。ここで、d*(q)に、上述した希望ユーザの送信シンボル(パイロットシンボル+仮判定データシンボル)の値が代入される。その結果、最終的には、1フレームの終了時に、(9)式のw=R-1vにより、重みベクトルwが更新される。
ステップ(S4)については、図12と同様に、データシンボル区間において、希望ユーザのデータシンボルを判定する。
なお、この更新方法において、(S12)を省略して仮判定データシンボル数を0とすれば、既に説明したような、先に算出された重みベクトルを初期値として、同じ1フレームのパイロットシンボル区間においてMMSE型適応アルゴリズムを用いて重みベクトルを逐次更新させ、更新された所定値の重みベクトルを用いて、同じ1フレームのデータシンボル区間において、送信されたデータシンボルを合成する場合に一致する。
【0067】
先に図12を参照して説明した重みベクトルの更新方法では、「パイロット信号による伝搬路の推定→仮判定→パイロット信号とデータ信号による伝搬路の推定→判定」というように、伝搬路の推定とデータの判定を繰り返している。
したがって、受信における処理時間の遅延を許すならば、すなわち、電話のようなリアルタイム通信ではなく、パケット通信や、静止画像等のファイル転送であれば、伝搬路の推定を繰り返し行うことにより、重みベクトルの精度、すなわち、送信されたデータシンボルの推定精度を上げることが可能である。
【0068】
図14は、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第3の更新方法を説明する模式図である。
図中、図12と同じ処理を行うステップについては、同じステップ番号を付している。図12のステップ(S2)とステップ(S3)との間に、パイロット信号とデータ信号とによる伝搬路の推定を行うステップ(S21),(S22)を挿入することにより、全ユーザk(k=1〜K)について、データシンボルの仮判定を2回行っている。
【0069】
同様にして、「パイロット信号による伝搬路の推定→仮判定→パイロット信号とデータ信号とによる伝搬路の推定→仮判定→パイロットとデータ信号による伝搬路の推定→仮判定→・・・」とし、繰り返し回数を1またはそれ以上として、複数回行うこともできる。
繰り返しのいずれの過程においても、データシンボル区間の始めからの所定のデータシンボル、すなわち、仮判定データシンボルは、最初の1シンボルだけでもよいし、データシンボル区間の全てのデータシンボルでもよい。
更新毎に仮判定データシンボルの数を変化させてもよい。例えば、重みベクトルの更新動作をする毎に、仮判定データシンボルの個数を逐次増加させる。より具体的には、仮判定データを最初はデータシンボル区間の最初のiシンボル(iは正整数)までとし、次回は、これを2iシンボルまでとし、更新回数が1回増える毎に、仮判定データの数を+iずつ増加させる。
【0070】
仮判定データシンボルの数が多くなるほど、理論的には伝搬路推定の精度が向上する。しかし、仮判定データシンボルの数が多くなるほど、送信データシンボルの仮判定誤りの影響が大きくなるし、また、処理に要する時間が長くなってしまう。したがって、このように、徐々に仮判定データシンボルの数を増やすことにより、更新動作に要する処理遅延を抑制しながら、重みベクトルの精度を、更新回数に応じて向上させることができる。
なお、重みベクトルの更新時における重みベクトルの計算方法は、本発明のようなインパルス応答による伝搬路の推定と、従来のMMSE型適応アルゴリズムとを、交互に使用したり、混在させたりすることが可能である。このほか、重みベクトルを計算できる方法が他にあれば、他の計算方法を用いてもよい。ただし、計算に使用するのに必要な情報やデータ等については、それぞれによって異なる。
【0071】
図15は、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第4の更新方法を説明する模式図である。インパルス応答による伝搬路の推定と、従来のMMSE型適応アルゴリズムの両者を使用した例である。
図中、図12,図14と同じ処理を行うステップについては、同じステップ番号を付している。図12のステップ(S2)とステップ(S3)との間に、従来のMMSE型適応アルゴリズムを用い、全ユーザk(k=1〜K)に関して、パイロット信号とデータ信号とによる伝搬路の推定を行うステップ(S31),(S22)を挿入することにより、データシンボルの仮判定を2回行っている。この例においても、仮判定データシンボルは、最初の1シンボルだけでもよいし、データシンボル区間の全てのデータシンボルでもよいし、更新する毎に仮判定データシンボルの数を変化させてもよい。
【0072】
上述した説明では、1フレームを単位として、重みベクトルの計算と、送信されたデータシンボルの合成処理を実行するものを説明した。しかし、伝搬路特性の変動など、周囲環境の変化が影響を及ぼさない限りにおいて、以前の1ないし数フレームにおける伝搬路推定データを、以後のフレームにおいても用いてアンサンブル平均を行ったり、以前の1ないし数フレームにおける重みベクトルを初期値として重みベクトルを更新したりしてもよい。
【0073】
【発明の効果】
上述した説明から明らかように、本発明によれば、データ伝送用の送受信装置にパイロット信号を挿入し、受信したパイロット信号を時間軸上で処理してインパルス応答値を求めるようにしたため、インパルス応答推定用のDS-CDMA系の送受信設備が不要であるので、装置規模が小さくなるという効果がある。
上り回線にマルチキャリヤCDMAを用いる場合のように他局ユーザの干渉がある場合でも、この干渉除去が可能であり、また、従来のRLS法によるMMSE合成では重みベクトルが収束せずSINR等の向上が図れないような、少ないパイロットシンボル数でもMMSE合成が可能となるという効果がある。
さらに、仮判定データシンボルを用いれば、重みベクトルを更新して重みベクトルの精度が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置とともに用いるマルチキャリヤCDMA送信装置のブロック構成図である。
【図2】データシンボルとパイロットシンボルを時間多重したマルチキャリヤCDMA方式のフレーム構成図である。
【図3】マルチキャリヤCDMA方式の送信信号波形を示す波形図である。
【図4】本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置のブロック構成図である。
【図5】パイロット信号から重みベクトルを算出するための処理を示すフローチャートである。
【図6】インパルス応答の推定方法を説明する模式図である。
【図7】インパルス応答の補正方法を説明する模式図である。
【図8】単局ユーザのみで他局ユーザが存在しない場合において、インパルス応答の補正を行わないときのBER(ビット誤り率)特性を示す線図である。
【図9】単局ユーザのみで他局ユーザが存在しない場合において、インパルス応答値の補正を行ったときのBER(ビット誤り率)特性を示す線図である。
【図10】多元接続を行うために他局ユーザが存在する場合における、ユーザ数に対する平均SINR(信号対干渉雑音比)特性を示す線図である。
【図11】本発明のマルチキャリヤCDMA受信装置の、他の実施の形態を示すブロック構成図である。
【図12】図11に示した受信機構成に対応し、仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第1の更新方法を説明する模式図である。
【図13】仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第2の更新方法を説明する模式図である。
【図14】仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第3の更新方法を説明する模式図である。
【図15】仮判定データシンボルを用いて行う重みベクトルの第4の更新方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
1…多重化部、2…QPSK変調器、3…分岐回路、41〜4L…乗算器、5…逆離散フーリエ変換部、6…並直列変換器、7…ガードインターバル挿入部、11…多重分離部、12…ガードインターバル除去部、13…チャネル推定部、14…直並列変換部、15…離散フーリエ変換部、161〜16L…乗算器、17…加算器、18…QPSK復調器、19…離散フーリエ変換部、20…重みベクトル計算部
Claims (12)
- データシンボルにパイロットシンボルが時間多重された送信シンボル系列のシンボルに、拡散符号の各チップの値を乗算し、乗算値のそれぞれによって複数の直交するサブキャリヤを変調し、ガードインターバルを挿入したものである、マルチキャリヤCDMA信号を受信するマルチキャリヤCDMA受信装置であって、
前記マルチキャリヤCDMA信号を受信して、パイロットシンボル区間を抽出し、該パイロットシンボル区間の前記マルチキャリヤCDMA信号と、全てのユーザのパイロットシンボル情報に基づいて、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力するインパルス応答推定手段と、
希望ユーザの前記送信装置からの前記伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記希望ユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、前記希望ユーザの相関ベクトルを生成する相関ベクトル生成手段と、
前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記インパルス応答推定手段が前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力する際に、インパルス応答の推定値から取り除いた干渉雑音成分と、全てのユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、前記受信されたマルチキャリヤCDMA信号の相関行列を生成する相関行列生成手段と、
前記相関ベクトルおよび前記相関行列に基づいて、前記希望ユーザに対する重みベクトルを生成する重みベクトル生成手段と、
前記受信されたマルチキャリヤCDMA信号のデータシンボル区間を離散フーリエ変換したベクトルと前記重みベクトルを共役転置したものとを乗算し、前記希望ユーザの前記送信装置から送信されたデータシンボルを合成する合成信号生成手段、
を有することを特徴とするマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 前記相関ベクトル生成手段は、前記希望ユーザの送信装置からの前記伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記希望ユーザの拡散符号ベクトル情報とをベクトル要素ごとに乗算するものであり、
前記相関行列生成手段は、前記全てのユーザについて、前記各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと各拡散符号ベクトル情報とをベクトル要素ごとに乗算したベクトルと該ベクトルを共役転置したものとを乗算した行列を、全てのユーザについて加算し、さらに、前記干渉雑音成分を前記全てのユーザについて平均化した値に単位行列を乗算した行列を加算するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 前記インパルス応答推定手段は、前記パイロットシンボルの複数シンボルに対して算出された前記インパルス応答推定値を平均化して出力する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 前記インパルス応答推定手段は、ガードインターバル内のパスであって、かつ、最大電力パスに応じて設定された閾値を超えるパスのみに基づいて、前記インパルス応答推定値を出力する、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 前記重みベクトル生成手段が生成した前記重みベクトルを初期値として、最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムを用いて前記重みベクトルを逐次更新する重みベクトル更新手段、
を有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、
前記重みベクトル更新手段は、前記請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記希望ユーザに対する重みベクトルを出力させ、かつ、初期値として前記希望ユーザに対する重みベクトルを用いて、前記パイロットシンボル区間の前記マルチキャリヤCDMA信号に対して、最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムにより前記重みベクトルを逐次更新して、前記請求項1から4までのいずれか1項に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置内の前記合成信号生成手段に更新された前記重みベクトルを与えて、前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである、
ことを特徴とするマルチキャリヤCDMA受信装置。 - データシンボルにパイロットシンボルが時間多重された送信シンボル系列のシンボルに、拡散符号の各チップの値を乗算し、乗算値のそれぞれによって複数の直交するサブキャリヤを変調し、ガードインターバルを挿入したものである、マルチキャリヤCDMA信号を受信するマルチキャリヤCDMA受信装置であって、
前記マルチキャリヤCDMA信号を受信して、パイロットシンボル区間を抽出し、該パイロットシンボル区間の前記マルチキャリヤCDMA信号と、全てのユーザのパイロットシンボル情報に基づいて、前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力するインパルス応答推定手段と、
希望ユーザの前記送信装置からの前記伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記希望ユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、前記希望ユーザの相関ベクトルを生成する相関ベクトル生成手段と、
前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を離散フーリエ変換したベクトルと、前記インパルス応答推定手段が前記全てのユーザの各送信装置からの伝搬路のインパルス応答推定値を出力する際に、インパルス応答の推定値から取り除いた干渉雑音成分と、前記全てのユーザの拡散符号ベクトル情報に応じて、受信されたマルチキャリヤCDMA信号の相関行列を生成する相関行列生成手段と、
前記相関ベクトルおよび前記相関行列に基づいて、前記希望ユーザに対する重みベクトルを生成する重みベクトル生成手段と、
前記受信されたマルチキャリヤCDMA信号のデータシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでを離散フーリエ変換したベクトルと前記重みベクトルを共役転置したものとを乗算し、前記希望ユーザの前記送信装置から送信された少なくとも前記1シンボルまでのデータシンボルを合成する合成信号生成手段、
を有することを特徴とするマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、
前記重みベクトル更新手段は、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記全てのユーザの内、少なくとも前記希望ユーザの、前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータシンボルを仮判定データシンボルとして合成させ、前記パイロットシンボル区間および前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでの前記マルチキャリヤCDMA信号と、少なくとも前記希望ユーザの、パイロットシンボル情報および前記仮判定データシンボルに基づいて、少なくとも前記希望ユーザの前記重みベクトルを更新して、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置内の前記合成信号生成手段に、更新された前記重みベクトルを与えて、少なくとも前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである、
ことを特徴とするマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 前記重みベクトル更新手段は、更新動作を複数回繰り返すものである、
ことを特徴とする請求項8に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置は、前記重みベクトル更新手段が前記更新動作をする毎に、前記仮判定データシンボルとして合成する前記データシンボルの個数を逐次増加させるものである、
ことを特徴とする請求項9に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、
前記重みベクトル更新手段は、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記全てのユーザのそれぞれを前記希望ユーザとして、前記全てのユーザの、前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでのデータシンボルを仮判定データシンボルとして合成させ、前記全てのユーザの、前記パイロットシンボル情報および前記仮判定データシンボルの情報を、新たなパイロットシンボル情報と見なし、かつ、前記パイロットシンボル区間および前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでを新たなパイロットシンボル区間と見なして、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記重みベクトルを更新させて、前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させる、
ことを特徴とするマルチキャリヤCDMA受信装置。 - 請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置と、重みベクトル更新手段を有し、
前記重みベクトル更新手段は、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置に対して、前記希望ユーザの、前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでを仮判定データシンボルとして合成させるとともに、前記希望ユーザに対する重みベクトルを出力させ、前記希望ユーザの、前記パイロットシンボル情報および前記仮判定データシンボルの情報を新たなパイロットシンボル情報と見なし、かつ、初期値として前記希望ユーザに対する重みベクトルを用いて、前記パイロットシンボル区間および前記データシンボル区間の始めから少なくとも1シンボルまでの前記マルチキャリヤCDMA信号に対して、最小2乗平均誤差型適応アルゴリズムにより前記重みベクトルを逐次更新して、前記請求項7に記載のマルチキャリヤCDMA受信装置内の前記合成信号生成手段に更新された前記重みベクトルを与えて、前記希望ユーザの前記データシンボルを合成させるものである、
ことを特徴とするマルチキャリヤCDMA受信装置。
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