JP3877040B2 - 上塗り塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築内外装用のあらゆる旧塗膜に対する補修用の上塗り塗料組成物、および、コンクリート、サイディングボード、押し出し成形板、金属、ガラス、磁気タイル、プラスティック等の各種基材に対する上塗り塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年建築物の補修用塗料の市場が益々増大しているが、その分野において、従来のエマルジョン塗料にはなかった、冬場での良好な作業性、耐候性、良好な塗膜物性を有し、また従来のアルキド塗料にはなかった耐アルカリ性、耐候性、速乾性を併せ持ち、かつ、塗装作業性が良好で、毒性の少ないミネラルスピリット系溶剤を主成分とする溶剤に溶解または分散させたビニル系樹脂、とりわけ、アクリル系樹脂をバインダーとする、いわゆる弱溶剤型アクリル塗料が急伸している。
【0003】
なかでも、このようなアクリル系樹脂中に水酸基を導入し、ポリイソシアネートで硬化させる、いわゆる弱溶剤型のアクリルウレタン塗料は、旧塗膜が耐溶剤性が悪い塗膜であっても旧塗膜を侵さないし、また、その硬化塗膜は耐候性、耐水性、耐薬品性等の塗膜性能が良好で、かつ、耐溶剤性も良好であるために次回その上にいかなる塗料で補修されても塗膜欠陥を生じないという、補修塗料に求められる性能を好適に具備しているために、その需要は近年益々拡大している。
【0004】
そのような状況の中、市場のひとつの方向性として、雨だれによる汚染防止(以下、”低汚染”とも記す。)特性に優れた塗料に対する市場ニーズが高まりつつある。そのような観点から、既に、特許第2869443号で示されるようなオルガノシリケート縮合物を添加する方法や特開平10−152646、特開平10−102000に示されるような限定されたオルガノシリケート縮合物を使用する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
それらのオルガノシリケート縮合物を低汚染化剤として使用する技術は、塗膜乾燥途中にオルガノシリケート縮合物を有効に塗膜表面に配向させる技術である。
【0006】
その際、公知の樹脂をビヒクルとして使用する限りにおいては、オルガノシリケート縮合物を添加することによって、タレ性向上のために通常塗料中に添加されるタレ止め剤のネットワーク構造が崩れるために、塗料として実用上最も大きな要求性能の一つであるタレ性が大きく損なわれるというのが実状であった。
すなわち、特にタレ性が良好で、しかも形成された塗膜の雨だれ汚染防止性が良好であるという上塗り塗料は開発されていないというのが実状であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
我々は特にタレ性を主眼とする優れた塗装作業性を具備した低汚染型塗料の設計を念頭に鋭意検討を重ねた結果、高分子量のビニル系モノマーを主体とする可溶型および/または分散型のポリオール樹脂に特定のシラン化合物の縮合物を特定量使用することにより、タレ性が画期的に良好な塗料が調整可能で、しかも形成された塗膜が優れた低汚染機能を有することを見いだし、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち本発明は、下記1〜5に記す上塗り塗料組成物を提供するものである。
【0009】
1.(A)非水系溶剤に溶解および/または分散された重量平均分子量160,000〜1,000,000のポリオール樹脂溶液および/またはポリオール樹脂分散液、(B)上記(A)の水酸基と反応性を有する硬化剤、および、(C)シラン化合物の縮合物を含有する上塗り塗料組成物であって、
【0010】
前記シラン化合物の縮合物(C)が下記一般式[ I ]
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜2のアルキル基、炭素数3〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、またはアラルキル基を表す。)で表される平均縮合度nが4〜20のシラン化合物の縮合物であって、かつ式中R1〜R4で表される置換基のいずれかに炭素数1〜2のアルキル基を含み、R1〜R4で表される全置換基中において炭素数1〜2のアルキル基と炭素数1〜2のアルキル基以外の置換基を合計したものとの比率が(95〜50モル%)対(5〜50モル%)であり、前記(A)の樹脂固形分100重量%に対して、シラン化合物の縮合物(C)を1.0〜50重量%配合することを特徴とする上塗り塗料組成物。
【0013】
2.(A)が、ポリエステル樹脂とビニル系単量体との反応により得られ、かつポリオール樹脂固形分中にポリエステル樹脂を固形分で0.1〜50重量%含有するポリオール樹脂を、脂肪族炭化水素系溶剤を全溶剤中の30重量%以上含む非水系溶剤に溶解させたポリオール樹脂溶液(A1)、および/または、ビニル系重合体を分散安定剤として含む非水系溶剤に分散しているポリオール樹脂分散液であって、かつ該分散液中の溶剤が脂肪族炭化水素系溶剤を全溶剤中の30重量%以上含む非水系溶剤であるポリオール樹脂分散液(A2)である上記1記載の上塗り塗料組成物。
【0014】
3.ポリオール樹脂分散液(A2)の分散安定剤が、ポリエステル樹脂とビニル系単量体との反応により得られるビニル系ポリオール樹脂であって、ポリオール樹脂固形分中にポリエステル樹脂を固形分で0.1〜50重量%含有することを特徴とする上記2記載の上塗り塗料組成物。
【0015】
4.(A)がポリオール樹脂溶液(A1)およびポリオール樹脂分散液(A2)との混合物であり、ポリオール樹脂溶液(A1)中のポリオール樹脂とポリオール樹脂分散液(A2)中のポリオール樹脂のうち少なくともどちらかの重量平均分子量が160,000〜1,000,000であって、かつ、それらの混合物の重量平均分子量が160,000〜1,000,000である上記2または3記載の上塗り塗料組成物。
【0016】
5.(A)のポリオール樹脂中の水酸基と反応性を有する硬化剤(B)がポリイソシアネート樹脂である上記1〜3の何れかに記載の上塗り塗料組成物。
【0017】
6.(A)の樹脂固形分100重量部に対して、シラン化合物の縮合物(C)を1.0〜50重量%配合することを特徴とする上記1〜5のうちいずれかに記載の上塗り塗料組成物。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態に基づいて詳細に説明する。
1.ポリオール樹脂溶液およびポリオール樹脂分散液(A)
本発明の要点は、重量平均分子量が非常に大きいポリオール樹脂と上記一般式[ I ]で示すシラン化合物の縮合物を組み合わせることにある。
【0022】
本発明におけるポリオール樹脂溶液あるいはポリオール樹脂分散液には、重量平均分子量が160,000〜1,000,000であれば、いずれのポリオール樹脂も使用することができる。この場合、ビヒクルとして、ポリオール樹脂溶液(A1)またはポリオール樹脂分散液(A2)をそれぞれ単独で用いるときは、各々の成分であるポリオール樹脂の重量平均分子量が160,000〜1,000,000であることが必要である。
【0023】
また、業界で一般的に使用されているように、ポリオール樹脂溶液(A1)を顔料分散用樹脂として使用し、ポリオール樹脂分散液(A2)をレットダウン用樹脂として使用することも当然のことながら可能であるが、その際は、あくまでも樹脂混合物の重量平均分子量が160,000〜1,000,000を満足すればよく、必ずしも両成分とも上記分子量範囲を満足する必要はない。
【0024】
本発明のポリオール樹脂溶液あるいはポリオール樹脂分散液は、適性範囲の分子量すなわち重量平均分子量が160,000〜1,000,000のポリオール樹脂が、非水系溶剤に溶解または分散しているものである。この非水系溶剤としては、極性が比較的小さい所謂『弱溶剤』が好ましく、具体的には脂肪族炭化水素系溶剤を30重量%以上を含む非水系溶剤等である。
【0025】
ところで塗料のタレ性は、実用上最も重要な特性の一つであるが、この特性は使用するポリオール樹脂の分子量と大きく関係する。すなわち塗料のタレ性をよくするためにチクソ性を大きくする必要があり、そのためにはポリオール樹脂の重量平均分子量を160,000〜1,000,000、好ましくは160,000〜700,000、最適には160,000〜500,000に制御することが必要である。もし、重量平均分子量が160,000より小さいと、チクソ性の向上効果が小さくタレ性が改良されないし、逆に1,000,000を越えて大きくなると、塗装不揮発分が低くなり隠蔽性が不足してくるとか、塗膜の光沢が悪くなるとかの不具合が顕著になるため好ましくない。
【0026】
ポリオール樹脂の重量平均分子量を大きくするには、ポリオール樹脂中にポリエステル樹脂を含有させる方法が有用である。特に、不飽和結合を有するポリエステル樹脂、とりわけアルキド樹脂で、固形分で0.1〜50重量%、好ましくは1.0〜40重量%、最適には2.0〜30重量%含有するようにポリオール樹脂を変性する方法が好ましい。
【0027】
ポリオール樹脂溶液(A1)において、ポリオール樹脂をポリエステル樹脂で変性する場合、ポリエステル樹脂の変性量が0.1重量%より小さい場合、高分子量化に対する効果が小さいため不適当で、逆に、50重量%を越える場合、ゲル化が起こりやすくなったり、ポリエステル樹脂の本質的特性である、耐アルカリ性、耐水性、耐候性等の塗膜性能が実用範囲より低下するために好ましくない。
【0028】
同様のことはポリオール樹脂分散液(A2)の設計に対してもあてはまるが、ポリオール樹脂分散液(A2)が、上述したように、ポリオール樹脂溶液(A1)との混合物として使用される場合において、混合物が上記分子量範囲を満足するならば、必ずしもポリエステル樹脂により変性する等の手法を用いて分子量を大きくする必要はない。
【0029】
更に、上記した範囲の適量のポリエステル樹脂で変性することにより、塗料としての重要な要求性能である顔料分散性や調色性が向上するという副次的な効果も発現される。
【0030】
ここで用いられるポリエステル樹脂は、オクチル酸、ラウリル酸、ステアリン酸もしくは「バーサティック酸」〔オランダ国シェル社製の、合成分岐状(分枝状)脂肪酸〕の如き、各種の飽和脂肪酸類;
【0031】
オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸もしくはリシノール酸の如き、各種の不飽和脂肪酸類;「パモリン 200もしくは300」(アメリカ国ハーキュレス社製の合成乾性油脂肪酸)支那桐油(脂肪酸)、亜麻仁油(脂肪酸)、脱水ひまし油(脂肪酸)、トール油(脂肪酸)、綿実油(脂肪酸)、大豆油(脂肪酸)、オリーブ油(脂肪酸)、サフラワー油(脂肪酸)、ひまし油(脂肪酸)または米糠油(脂肪酸)の如き、各種の(半)乾性油(脂肪酸)類;
【0032】
あるいは水添やし油脂肪酸、やし油脂肪酸もしくはパーム油脂肪酸の如き、各種の不乾性油(脂肪酸)類のような種々の油類または脂肪酸類から選ばれる、少なくとも1種の化合物を使用して、あるいは使用しないで、
【0033】
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールまたはソルビトールの如き、各種の多価アルコール類の1種または2種以上と、
【0034】
安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、テトラクロロ(無水)フタル酸、ヘキサクロロ(無水)フタル酸、テトラブロモ(無水)フタル酸、トリメリット酸、「ハイミック酸」[日立化成工業(株)製品;「ハイミック酸」は同社の登録商標である。]、(無水)こはく酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、アジピン酸、セバチン酸またはしゅう酸などのような、種々のカルボン酸類の1種または2種以上とを、常法により反応せしめるということによって得ることが出来る。
【0035】
その場合、とりわけ、付着性とか、耐薬品性とか、耐候性などののような塗膜性能の向上化といった、種々の目的により必要に応じて、
【0036】
「カージュラ E」(オランダ国シェル社製の、脂肪酸のグリシジルエステルの商品名)の如き、各種の脂肪酸グリシジルエステル類で以て代表されるような、各種のモノエポキシ化合物類;
【0037】
「エピクロン 200もしくは400」[大日本インキ化学工業(株)製の、ポリエポキシ樹脂の商品名]または「エピコート 828もしくは1001」(オランダ国シェル社製の、ポリエポキシ樹脂の商品名)の如き、各種のポリエポキシ樹脂類;
【0038】
あるいはトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートもしくは4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の如き、各種のジイソシアネート類;これらの各ジイソシアネート類と上掲したような各種の多価アルコール類や水などとの付加反応により得られるという形の、種々のポリイソシアネート類;またはジイソシアネート類同志の(共)重合反応により得られるという形のイソシアヌル環含有ポリイソシアネート類;
【0039】
あるいは前掲したような各種の反応性シリコーン化合物の1種または2種以上で以て、前掲したような各種の多価アルコール類やカルボン酸類などの一部を置き換えて、常法により反応せしめることによりポリエステル樹脂を得ることもできる。
【0040】
本発明におけるポリオール樹脂溶液あるいはポリオール樹脂分散液には、既に述べたように重量平均分子量が160,000〜1,000,000であれば、いずれのポリオール樹脂も使用することができるが、特に、上記したようなポリエステル樹脂を用いてビニル系重合体を変性することにより得られるものが好ましい。
【0041】
ポリエステル樹脂のビニル系重合体への変性の方法は、ポリエステル樹脂として不飽和二重結合を有する油成分を含むアルキド樹脂を使用することが最も簡便で効果的である。とりわけ極性が低いアルキド樹脂を変性材料として選択することにより、脂肪族炭化水素系溶剤を30重量%以上含む非水系溶剤(弱溶剤)中において安定性が良好な、ポリオール樹脂溶液あるいはポリオール樹脂分散液を設計できるために好適である。
【0042】
また、ビニル系重合体の変性に用いるポリエステル樹脂として、油成分を含まない、いわゆるオイルフリーアルキド樹脂であっても、溶剤として脂肪族炭化水素系溶剤を30重量%以上含む溶剤中で安定性が良好な範囲を選択すれば、当然使用可能である。
【0043】
ポリエステル樹脂によるビニル系重合体の変性に用いる、共重合性不飽和結合を有する変性ポリエステル樹脂を得る方法としては、まず、例えば特公昭49−47916号公報または同50−6223号公報などに開示されているような、共重合性不飽和結合を持たない飽和ポリエステル類を得たのち、
【0044】
その飽和ポリエステル類中に存在する、水酸基またはカルボキシル基などのような各種の官能基と反応性を有する官能基とビニル基とを併せ有する化合物類、
【0045】
たとえば、(メタ)アクリル酸クロライドのような、酸クロライド基とビニル基とを併せ有する化合物類;グリシジル(メタ)アクリレートの如き、エポキシ基とビニル基とを併せ有する各種の化合物類;ビニルメトキシシランもしくは(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシランの如き、アルコキシシラノール基とビニル基とを併せ有する各種の化合物類;
【0046】
無水マレイン酸もしくはテトラヒドロ無水フタル酸の如き、酸無水基とビニル基とを併せ有する各種の化合物類;フマル酸もしくは(メタ)アクリル酸の如き、カルボキシル基とビニル基とを併せ有する各種の化合物類;
【0047】
または2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート−ヘキサメチレンジイソシアネート当モル付加物類もしくはイソシアネートエチルメタクリレートの如き、イソシアネート基とビニル基とを併せ有するビニル系モノマー類を、上記飽和ポリエステル樹脂に反応させる方法が有効である。
【0048】
次いで、前記したビニル重合体を形成するのに使用されるビニル系単量体としては、以下の(イ)群より(ル)群に到る部類の各種の化合物などが、特に代表的な例である。
【0049】
すなわち、(イ)スチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、イソプロピルスチレンまたはp−tert−ブチルスチレンなどのスチレン系単量体;
【0050】
(ロ)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソ(i)−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレート、「アクリエステル SL」[三菱レーヨン(株)製の、C12−/C13メタクリレート混合物の商品名]、ステアリル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの如き側鎖に官能基を含有しない(メタ)アクリレート類;
【0051】
(ハ)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレートまたはモノ−2−ヒドロキシエチル−モノブチルフマレートをはじめ、ポリエチレングリコール−ないしはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたは此等とε−カプロラクトンとの付加物、「プラクセル FMないしはFAモノマー」[ダイセル化学(株)製の、カプロラクトン付加モノマーの商品名]の如き、各種のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類の如き、各種の水酸基含有ビニル系モノマー類;
【0052】
(ニ)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸もしくはシトラコン酸の如き、各種の不飽和モノマ−ないしはジカルボン酸類またはフマル酸モノエチル、マレイン酸モノブチルの如きジカルボン酸モノエステル類;
【0053】
(ホ) ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類の如き、3級アミノ基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドもしくはアルコキシ化N−メチロール化(メタ)アクリルアミド類の如き、各種のアミド結合含有ビニル系モノマー類等の含窒素ビニル系モノマー類;
【0054】
(ヘ)メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートもしくはメトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0055】
(ト)ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジエチルフマレート、ジブチルフマレートもしくはジブチルイタコネートの如き、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸により代表される各種のジカルボン酸類と1価アルコール類とのジエステル類;
【0056】
(チ)酢酸ビニル、安息香酸ビニルもしくは「ベオバ」〔オランダ国シェル社製の、分岐状(分枝状)脂肪族モノカルボン酸類のビニルエステルの商品名〕の如き、各種のビニルエステル類;
【0057】
(リ)「ビスコート 3F、3FM、8F、8FMもしくは17FM」[大阪有機化学(株)製の、含フッ素系アクリルモノマー類の商品名]、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジ−パーフルオロシクロヘキシルフマレートもしくはN−i−プロピルパーフルオロオクタンスルホンアミドエチル(メタ)アクリレートの如き、各種の(パー)フルオロアルキル基含有ビニルエステル類、−ビニルエーテル類、−(メタ)アクリレート類または−不飽和ポリカルボン酸エステル類などの、種々の含フッ素重合性化合物類;
【0058】
(ヌ) ジアルキル〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕ホスフェート類または(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッドホスフェート類、ジアルキル〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕ホスファイト類もしくは(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッドホスファイト類の如き燐原子含有ビニル系モノマー;
【0059】
(ル)グリシジル(メタ)アクリレート、(β−メチル)グリシジル(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アリルグリシジルエーテルをはじめ、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸類や、モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシモノエチルフタレートの如き、各種の水酸基含有ビニル系モノマー類などと、前掲のポリカルボン酸無水物類との当モル付加物のような、種々のカルボン酸類に、
【0060】
「エピクロン 200、400、441、850もしくは1050」[前出社製の、ポリエポキシ樹脂の商品名]、「エピコート 828、1001もしくは1004」(前出社製の、ポリエポキシ樹脂の商品名)、「アラルダイト 6071もしくは6084」(スイス国チバ・ガイギー社製の、ポリエポキシ樹脂の商品名)、「チッソノックス 221」[チッソ(株)製の、エポキシ化合物の商品名]または「デナコール EX−611」[長瀬産業(株)製の、エポキシ化合物の商品名]の如き、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する、各種のポリエポキシ樹脂類を、当モル比で以て、付加反応せしめることによって得られるというような形の、種々のエポキシ基含有重合性化合物類;などを用いることができる。
【0061】
本発明における、ポリオール樹脂溶液および/またはポリオール樹脂分散液(A)を調製するには、以上に掲げたような、ポリエステル樹脂および/または上記(イ)〜(ル)の単量体成分を用いて、公知慣用の種々の共重合反応法あるいはグラフト化反応法(グラフト共重合反応法)を駆使して遂行できるというものであり、
【0062】
その際には、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルパーオキシド(BPO)、tert−ブチルパーベンゾエート(TBPB)、tert−ブチルハイドロパーオキシド(TBHPO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(DTBPO)またはクメンハイドロパーオキシド(CHP)の如き、各種のラジカル発生剤類(ラジカル発生重合触媒類ないしはラジカル重合開始剤類)を単独使用し、あるいは2種以上を併用することができる。
【0063】
また、溶剤として脂肪族炭化水素系溶剤を30重量%以上含む非水系溶剤を調整するための脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、「マルカゾール RもしくはE」または「スワゾール310」[共に、丸善石油(株)製品];「LAWS」、「HAWS」または「シェルゾール 70もしくは71」(共に、オランダ国シェル社製品);「ダイアナ・ソルベント No.0もしくはNo.1」[出光興産(株)製品]、「IPソルベント 1016、1020もしくは1620」[同上];「シェルゾール D−40」(オランダ国シェル社製品);
【0064】
「Aソルベント」、「Kソルベント」または「AFソルベント」[共に、日本石油(株)製品];あるいは「エクソンナフサ No.3、No.5もしくはNo.6」、「エクソール D−30、D−40、D−60もしくはD−70」または「アイソパー C、E、GもしくはH」[エクソン化学(株)製品]などをはじめ、さらには、n−ヘキサンまたはn−ヘプタンなどのような、脂肪族炭化水素類が使用できる。当然ながら、これらの脂肪族炭化水素系溶剤類は、単独使用でも、2種以上の併用でもよい。
【0065】
さらに、粘度、揮発性、分散凝集化、タレ性あるいは静電塗装性などを調整するために、ポリオール樹脂および塗料の安定性、塗装作業性等を損なわない範囲で最大70重量%使用できる脂肪族炭化水素系溶剤以外の非水系溶剤を併用できる。併用可能な非水系溶剤としては、トルエン、キシレン、「ソルベッソ 100」[エクソン化学(株)製品]等のような芳香族系炭化水素溶剤類;
【0066】
酢酸エチル、酢酸ブチル等のような酢酸エステル系溶剤類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のようなケトン系溶剤;プロピレングリコールエーテル系溶剤類、プロピレングリコールエーテルエステル系溶剤類またはエトキシエチルプロピオネートなどが挙げられるが、脂肪族炭化水素系溶剤以外の溶剤が70重量%を越えて含まれると、市場で拡販されている酢ビ−アクリル系塗料、弾性一液アクリル系塗料、アルキド系塗料に代表される耐溶剤性が悪い塗料による旧塗膜の補修の際、リフティングや艶引け等の塗膜欠陥を来すので好ましくない。
【0067】
2.硬化剤(B)
硬化剤としては、アルコール性水酸基と反応しうる硬化剤、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ成分をホルムアルデヒドでメチロール化してアルコールにてエーテル化した、例えば「スーパーベッカミン G−821−60」「スーパーベッカミン L−117−60」[いずれも、大日本インキ化学工業(株)製品]等のアミノ化合物;
【0068】
ポリイソシアネートをラクタム、アルコールあるいはオキシムでブロックした、例えば「バーノック DB−980K」[大日本インキ化学工業(株)製品]等ブロックイソシアネート化合物などが使用できるが、常温で架橋するようなポリイソシアネート化合物が好適である。
【0069】
すなわち、本発明において特に有用なポリイソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI,水添MDIの単量体をアロファネート化、ビウレット化、ウレトジオン化、イソシアヌレート化、アダクト化した誘導体が使用できるが、
【0070】
外部用として必要な耐候性を考慮すると脂肪族および/または脂環族ポリイソシアネート、中でも、脂肪族炭化水素系溶剤を30重量%以上含む非水系溶剤中で安定性が良好なポリイソシアネート化合物、例えば「バーノック DN−990、DN−991、DN−991S、DN−992」[大日本インキ化学工業(株)製品]、「デスモデュール Z−4370」[住友バイエルウレタン(株)製品]または「デュラネート THA−100」[旭化成工業(株)]などが特に好適である。
【0071】
上掲の如き、当該ポリイソシアネート化合物の使用量としては、本発明に係るポリオール樹脂の水酸基の1当量に対して、イソシアネート基が、0.5〜1.5当量となるような範囲内、つまり、OH/NCOなる当量比が1.0/0.5〜1.0/1.5なる範囲内が適切である。
【0072】
水酸基の1当量に対するイソシアネート基の使用比率が0.5当量未満の場合には、十分な架橋が得られないし、一方、かかる使用比率が1.5を超えて余りに多量に用いる場合には、含水率の高い被塗面に塗装した際の発泡の問題、あるいは塗料価格などの面で望ましくない。
【0073】
したがって、通常は、1.0/0.5〜1.0/1.5なる当量比の範囲内が適切であるし、好ましくは、1/0.7〜1.2なる当量比の範囲内が適切である。
【0074】
ポリイソシアネート化合物ならびにシラン化合物の縮合物等を配合した硬化剤に対して、使用可能な溶剤としては、上述した脂肪族炭化水素系溶剤および/またはその他の非水系溶剤が、本発明の主旨を損なわない範囲で使用できる。
【0075】
3.シラン化合物の縮合物(C)
本発明におけるシラン化合物の縮合物(C)としては、下記一般式[I]
【0076】
【化3】
【0077】
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜2のアルキル基、炭素数3〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、またはアラルキル基を表す。)で表される平均縮合度nが4〜20のシラン化合物の縮合物であって、
【0078】
かつ一般式[I]中R1〜R4で表される置換基のいずれかに炭素数1〜2のアルキル基を含み、R1〜R4で表される全置換基中において炭素数1〜2のアルキル基と炭素数1〜2のアルキル基以外の置換基を合計したものとの比率が(95〜50モル%)対(5〜50モル%)であるシラン化合物の縮合物が必須である。
【0079】
一般式[I]中、R1〜R4において、炭素数1〜2のアルキル基は塗膜表層に配向した後、加水分解して塗膜表層の水に対する濡れ性を改善する機能を有しており、一方炭素数3〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基は、塗膜表層にシラン縮合物を配向させる機能を有する。
【0080】
R1〜R4で表される全置換基中において炭素数1〜2のアルキル基と炭素数1〜2のアルキル基以外の置換基を合計したものとの比率が(95〜50モル%)対(5〜50モル%)であれば、上記機能を有効にすることができる。
【0081】
かりに炭素数の1〜2アルキル基の割合が95当量%を越えると、塗膜表層にシラン化合物が配向しにくいため低汚染化が達成しにくいし、炭素数1〜2アルキル基の割合が50当量%未満であると塗膜表層にシラン化合物が配向はするものの、加水分解性が劣るために低汚染性が発現しにくい。
【0082】
該シラン化合物の縮合物は、最も簡便には、市販のメチルシリケートまたはエチルシリケートである、例えば、「MKCシリケート MS56S,MS56,MS51」[三菱化学(株)]、「エチルシリケート40」[コルコート(株)]等を、炭素数3〜10のアルコール(例えば、n−ブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール等)、シクロアルコール、フェノール、ベンジルアルコール等で、
【0083】
炭素数1〜2のアルキル基と、炭素数3〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基の合計したものとの比率が(95〜50モル%)対(5〜50モル%)になるようにアルコール交換反応を行うことによって得られる。
【0084】
また、シラン化合物の縮合度に関しては、ポリオール樹脂との相溶性や塗料中の安定性、取り扱い易さ、低汚染化効果の観点から平均縮合度nが4〜20であることが特に好ましい。
【0085】
さらに、シラン化合物の縮合物(C)の有効な配合量としては、ポリオール樹脂100重量%に対して、1.0〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、最適には5〜30重量%配合する必要がある。
【0086】
その添加量が1.0重量%未満の場合、低汚染効果が発現しないし、50重量%を越える場合、ポリオール樹脂および/またはポリイソシアネート化合物との相溶性が不良となり不適である。
【0087】
4.その他成分
また、本発明に係る、上塗り塗料組成物は、ポリオール樹脂と酸化チタンを始めとする諸顔料類を混合し練肉せしめたり、分散顔料類や加工顔料類などを混合せしめたりした、いわゆるエナメル塗料としても使用することもできるし、またアルミ粉を分散したメタリック塗料として、あるいはこのような顔料類を使用しない、いわゆるクリヤー塗料としても使用することもできる。
【0088】
塗料化の際には、例えば「Disperbyk−161、BYK−P104」[いずれも、ドイツ国ビックケミー社製品]等の顔料分散剤類;「BYK−302」[ドイツ国ビックケミー社製品]等のレベリング剤類;
【0089】
「BYK−065」[ドイツ国ビックケミー社製品]、「ディスパロン OX−70」[楠本化成(株)社製品]等の消泡剤類;「ディスパロン 6820−20M」[楠本化成(株)社製品]等のタレ防止剤;「チヌビン P、328」[いずれも、スイス国チバ・ガイギー社製品]等の紫外線吸収剤類;「チヌビン 770、765」[いずれも、スイス国チバ・ガイギー社製品]等の光安定剤類;防黴剤;
【0090】
例えば、コバルト系、鉛系、ジルコニウム系またはカルシウム系などのように、これまでに使用されているような、すべての、いわゆる金属ドライヤー類またはジブチル錫ジラウレートの如き硬化促進剤類などのような、通常、当業界において、公知慣用のものとなっているような、種々の塗料用添加剤類を、慣用量、使用することができることは、言うまでもない。
【0091】
また、補助的架橋剤として、上記ドライヤー類を初め、アルミニウム系、ジルコニウム系またはチタニウム系の金属アルコキシド類、金属アシレート類または金属キレート類(例えば、「アセトープ」[ホープ製薬(株)製品]、「チタコート」[日本曹達(株)製品]、「プレンアクト」[味の素(株)製品]、「オルガチックス TAシリーズ、TCシリーズ、ZAシリーズ、ZBシリーズ、ZCシリーズもしくはALシリーズ」[松本製薬(株)製品]、「AIPD、AMD、ASBDもしくはALCHシリーズ」または「アルミキレート A、DもしくはM」[川研ファインケミカル(株)製品]あるいは「テンカレート TPシリーズ」[テンカポリマー(株)製品]等)も、本発明の効果を損ねない範囲で使用できる。
【0092】
さらに、本発明の上塗り塗料組成物に相溶性を有し、使用されている有機溶剤類に可溶なるものであれば、性能を改良するという目的で、可塑剤類をはじめ、その他の樹脂類、たとえば、アクリル系共重合体類、繊維素系化合物類、アクリル化アルキド樹脂類、アルキド樹脂類、シリコン樹脂類、フッ素樹脂類またはエポキシ樹脂類などを、適宜、併用することもできるが、その際にも、本発明の目的を逸脱しないような範囲で、あるいは本発明の効果を損ねないような範囲で以て、これら上掲のような種々のものを使用することが肝要であることは、言うまでもない。
【0093】
以上のようにして得られる、本発明に係る上塗り塗料組成物の構成としては、下記の(a)および(b)からなる。
【0094】
(a)上塗り塗料の主剤(A液)
ポリオール樹脂を含み、常法により塗料化もしくは分散顔料を混合せしめ、必要に応じて上記添加成分等を添加したエナメル塗料、メタリック塗料またはクリヤー塗料の主剤成分。
【0095】
(b)上塗り塗料の硬化剤(B液)
ポリオール樹脂中の水酸基と反応性を有する硬化剤とシラン化合物の縮合物は別個に調整して、いわゆる3液型塗料として使用することも可能であるが、最も一般的には、使用時の簡便さを考慮して、低温時の分離、白濁等の問題が発生しない範囲で、ポリオール樹脂中の水酸基と反応性を有する硬化剤とシラン化合物の縮合物を同時に配合した、いわゆる2液型塗料用の硬化剤成分。その際、溶解性調整や当量調整のために各種溶剤を添加することや、必要に応じて各種添加成分を配合すること何ら問題がないことは当然である。
【0096】
そうして、本発明に係わる上塗り塗料組成物は、あらゆる旧塗膜に対して適用できる建築内外装用の補修用として特に最適な性能を有するものであるが、主として、次に掲げられるような被塗物類(基材類)にも塗装できる。
【0097】
すなわち、上記した基材類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルミニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板またはブリキ板の如き、各種の金属素材で作成されたアルミサッシ、門扉等金属製品類;あるいは瓦類;および、建築外壁、無機質建材類など各種の建築内外装用資材類;などである。
【0098】
その際の塗装にあっては、スプレー、刷毛またはローラーなどの、いわゆる公知慣用の種々の手段を利用し適用することが出来る。
【0099】
かくして得られる、本発明に係る、上塗り塗料組成物は、従来型の低汚染型(または非汚染型)と呼称される塗料組成物に比して、分子量が大きいポリオール樹脂を用いることにより、タレ性が極めて良好な塗料組成物を与える。
【0100】
すなわち、タレ性向上のために通常塗料中に添加されるタレ止め剤を添加しなくとも、あるいは、添加するにしてもその添加量を大きく低減できるために、シラン化合物の縮合物添加による、塗膜乾燥時のタレ止め剤のネットワーク構造が崩れるというタレに対する悪影響が皆無または低減されるために、塗料として実用上最も大きな要求性能の一つであるタレ性が良好なものであるそのため、現場での塗装作業性が極めて良好な塗料組成物である。
【0101】
しかも、弱溶剤系樹脂に特に有用な特定のシラン化合物の縮合物を低汚染化剤として適量配合することにより、形成された塗膜の雨だれ汚染性が良好である上塗り塗料が設計できる。
【0102】
【実施例】
次に、本発明を参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるというようなものではない。以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0103】
参考例1〔弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−1)の調製例〕
(弱溶剤;非水系溶剤の中でも、例えば脂肪族炭化水素系溶剤のような極性が低い溶剤の総称)
【0104】
撹拌装置、温度計、リフラックス・コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、「LAWS」の28.6部、「ベッコゾール P−470−70」(大日本インキ化学工業(株)製大豆油系長油アルキド樹脂;不揮発分70%、溶剤「LAWS」)の71.4部とを仕込み、90℃にまで昇温した。
【0105】
この温度になったところで、スチレン(以下Stと略記する)の200部、i−ブチルメタクリレート(以下i−BMAと略記する)の480部、2−エチルヘキシルアクリレート(以下2−EHAと略記する)の148部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下2−HEMAと略記する)の110部、メタアクリル酸(以下MAAと略記する)の12部、および、重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)(以下パーブチルOと略記する)の2部と「LAWS」の616.7部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に8時間保持後、「LAWS」の333.3部を追加して、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−1)を得た。
【0106】
得られた(A1−1)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がX−Y;溶液酸価が4.1;ガードナー色数が1;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.6;ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCと略記する)による実測数平均分子量が15,000;実測重量平均分子量が180,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が5%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%である弱溶剤可溶型ポリオール樹脂であった。
【0107】
参考例2〔弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−2)の調製例〕
撹拌装置、温度計、リフラックス・コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、「LAWS」の85.7部、「ベッコゾール P−470−70」(上述)の214.3部とを仕込み、90℃にまで昇温した。 この温度になったところで、Stの200部、i−BMAの440部、2−EHAの100部、2−HEMAの99部、MAAの11部、および、重合開始剤パーブチルO)の2部と「LAWS」の516.7部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に8時間保持後、「LAWS」の333.3部を追加して、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−2)を得た。
【0108】
得られた(A1−2)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ1;溶液酸価が4.0;ガードナー色数が2;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.6;GPCによる実測数平均分子量が16,000;実測重量平均分子量が400,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が15%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%である弱溶剤可溶型ポリオール樹脂であった。
【0109】
参考例3〔弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−3)の調製例〕
撹拌装置、温度計、リフラックス・コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、「LAWS」の171.4部、「ベッコゾール P−470−70」(上述)の428.6部とを仕込み、90℃にまで昇温した。 この温度になったところで、Stの200部、i−BMAの380部、2−EHAの29部、2−HEMAの81部、MAAの10部、および、重合開始剤としてパーブチルOの2部と「LAWS」の366.7部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に8時間保持後、「LAWS」の333.3部を追加して、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−3)を得た。
【0110】
得られた(A1−3)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ3;溶液酸価が4.2;ガードナー色数が3;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.6;GPCによる実測数平均分子量が17,000;実測重量平均分子量が800,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が30%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%である弱溶剤可溶型ポリオール樹脂であった。
【0111】
参考例4〔弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−4)の調製例〕
撹拌装置、温度計、リフラックス・コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、「LAWS」の100部を仕込み、90℃にまで昇温した。
【0112】
この温度になったところで、Stの200部、i−BMAの500部、2−EHAの172部、2−HEMAの116部、MAAの12部、および、重合開始剤としてパーブチルOの2部と「LAWS」の566.7部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に8時間保持後、「LAWS」の333.3部を追加して、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−4)を得た。
【0113】
得られた(A1−4)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がT;溶液酸価が3.9;ガードナー色数が1以下;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.6;GPCによる実測数平均分子量が15,000;実測重量平均分子量が60,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が0%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%である弱溶剤可溶型ポリオール樹脂であった。
【0114】
参考例5〔溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−5)の調製例〕
撹拌装置、温度計、リフラックス・コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、「ソルベッソ 100」[エクソン化学(株)製品]の85.7部、「ベッコゾール P−470−70」(上述)の214.3部とを仕込み、90℃にまで昇温した。
【0115】
この温度になったところで、ビニル系単量体成分としては、参考例2と同じで、重合開始剤としてパーブチルOの2部と「LAWS」の292.9部、「ソルベッソ 100」の223.8部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に8時間保持後、「ソルベッソ 100」の333.3部を追加して、溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−5)を得た。
【0116】
得られた(A1−5)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がX;溶液酸価が4.0;ガードナー色数が2;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.6;GPCによる実測数平均分子量が16,000;実測重量平均分子量が400,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が15%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が25%である弱溶剤可溶型ポリオール樹脂であった。
【0117】
参考例6〔弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−6)の調製例〕
重合開始剤として、パーブチルOの5部を使用した以外は、参考例2と全く同じ組成と方法により、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−6)を得た。得られた(A1−6)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がL;溶液酸価が4.2;ガードナー色数が2;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.6;GPCによる実測数平均分子量が10,000;実測重量平均分子量が150,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が15%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%である弱溶剤可溶型ポリオール樹脂であった。
【0118】
参考例7〔NAD*ポリオール樹脂(A2−1)の調製例〕
(NAD;非水ディスパージョンの略。NADポリオール樹脂とは、非水系溶剤にポリール樹脂が分散しているポリオール樹脂分散液のことである。)
撹拌装置、温度計、リフラックス・コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−1)1000部を仕込み、90℃にまで昇温した。
【0119】
この温度になったところで、メチルメタアクリレート(以下MMAと略記する)の213部、エチルアクリレート(以下EAと略記する)の223部、2−HEMAの58部、MAAの6部、および、重合開始剤としてパーブチルOの5部と「LAWS」の500部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に8時間保持して、乳白色のNADポリオール樹脂(A2−1)を得た。
【0120】
得られた(A2−1)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ6;溶液酸価が4.0;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.9;GPCによる実測数平均分子量が16,000;実測重量平均分子量が160,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が2.5%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%であるNADポリオール樹脂であった。
【0121】
参考例8〔NADポリオール樹脂(A2−2)の調製例〕
4ツ口フラスコに最初に仕込む樹脂(以下、初期仕込みとも言う)をA1−2にした以外は、参考例7と全く同じ組成と方法により、乳白色のNADポリオール樹脂(A2−2)を得た。
【0122】
得られた(A2−2)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ8;溶液酸価が4.0;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.9;GPCによる実測数平均分子量が16,000;実測重量平均分子量が200,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が7.5%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%であるNADポリオール樹脂であった。
【0123】
参考例9〔NADポリオール樹脂(A2−3)の調製例〕
初期仕込みをA1−4にした以外は、参考例7と全く同じ組成と方法により、乳白色のNADポリオール樹脂(A2−3)を得た。得られた(A2−3)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ3;溶液酸価が4.0;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.9;GPCによる実測数平均分子量が15,000;実測重量平均分子量が80,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が0%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%であるNADポリオール樹脂であった。
【0124】
参考例10〔NADポリオール樹脂(A2−4)の調製例〕
撹拌装置、温度計、リフラックス・コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−5)1000部を仕込み、90℃にまで昇温した。
【0125】
この温度になったところで、MMAの213部、EAの223部、2−HEMAの58部、MAAの6部、および、重合開始剤としてパーブチルOの5部と「LAWS」の178.6部と「ソルベッソ 100」の321.4部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に8時間保持して、NADポリオール樹脂(A2−4)を得ようと試みたが、得られた(A2−4)は、樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が25%であったため、粒子が分散せず、経時的に分離する樹脂であった。よって、樹脂特性値は測定不可能で、応用試験に供することはできなかった。
【0126】
参考例11〔NADポリオール樹脂(A2−5)の調製例〕
撹拌装置、温度計、リフラックス・コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−5)1000部を仕込み、90℃にまで昇温した。
【0127】
この温度になったところで、MMAの213部、EAの223部、2−HEMAの58部、MAAの6部、および、重合開始剤としてパーブチルOの5部と「LAWS」の392.9部と「ソルベッソ 100」の107.1部の混合物を4時間かけて滴下し、同温度に8時間保持して、乳白色のNADポリオール樹脂(A2−5)を得た。得られた(A2−5)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ8;溶液酸価が4.0;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.9;GPCによる実測数平均分子量が16,000;実測重量平均分子量が160,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が7.5%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が40%であるNADポリオール樹脂であった。
【0128】
参考例12〔NADポリオール樹脂(A2−6)の調製例〕
重合開始剤として、パーブチルOの10部を使用した以外は、参考例8と全く同じ組成と方法により、NADポリオール樹脂(A2−6)を得た。得られた(A2−6)は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ5;溶液酸価が4.0;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.9;GPCによる実測数平均分子量が14,000;実測重量平均分子量が145,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が7.5%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%であるNADポリオール樹脂であった。
【0129】
参考例13〔弱溶剤可溶型ポリオール樹脂とNADポリオール樹脂の混合系〕
後述するように、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂を顔料分散用ビヒクルとして使用し、NADポリオール樹脂をレットダウン用として使用するような場合における、混合された樹脂の特性値を測定した結果を調べた。
【0130】
弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−2)/NADポリオール樹脂(A2−3)=30/70(固形分比)の混合樹脂〔以下この組成の混合樹脂を(A’−1)と呼称する。〕は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ2;溶液酸価が4.0;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.8;GPCによる実測数平均分子量が16,000;実測重量平均分子量が200,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が4.5%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%であるNADポリオール樹脂であった。
【0131】
参考例14〔弱溶剤可溶型ポリオール樹脂とNADポリオール樹脂の混合系〕
参考例13と同様な使用例である。すなわち、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−2)/NADポリオール樹脂(A2−3)=15/85(固形分比)〔以下この組成の混合樹脂を(A’−2)と呼称する。〕の混合樹脂は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ2−Z3;溶液酸価が4.0;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.9;GPCによる実測数平均分子量が15,000;実測重量平均分子量が140,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が2.3%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%であるNADポリオール樹脂であった。
【0132】
参考例15〔弱溶剤可溶型ポリオール樹脂とNADポリオール樹脂の混合系〕
参考例13と同様な使用例である。すなわち、弱溶剤可溶型ポリオール樹脂(A1−4)/NADポリオール樹脂(A2−1)=30/70(固形分比)〔以下この組成の混合樹脂を(A’−3)と呼称する。〕の混合樹脂は、不揮発分が50.0%;25℃でのガードナー粘度がZ2;溶液酸価が4.0;固形分水酸基価が50;設計Tgが30℃;設計溶解性パラメータが8.8;GPCによる実測数平均分子量が15,000;実測重量平均分子量が140,000;樹脂固形分中のアルキド含有量が3.5%;樹脂溶剤中の脂肪族炭化水素系溶剤重量が70%であるNADポリオール樹脂であった。
【0133】
参考例1〜6で得られた可溶型ポリオール樹脂の組成と樹脂特性値等を表1に纏める。単量体類の数値は”重量部”である。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
参考例7〜12で得られたNADポリオール樹脂の組成と樹脂特性値等を表2に纏める。単量体類の数値は”重量部”である。
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】
参考例13〜15で記載した可溶型ポリオール樹脂とNADポリオール樹脂の混合物の組成と樹脂特性値等を表3に纏める。樹脂類の数値は”重量部”である。
【0140】
【表5】
【0141】
上記参考例に対応し、塗料化および最終的に25℃のストーマー粘度が70KUに調整する操作を”参考例W”、25℃のストーマー粘度が70KUに調整した白エナメルを”WA*−*”と呼称する。すなわち、
【0142】
参考例W1
主剤(A液)として、参考例1によって得られた可溶型ポリオール樹脂(A1−1)の40部(固形分20部)、タイペーク R−820(石原産業(株)製酸化チタン)の40部、「LAWS」5部およびガラスビーズを混合し、サンドミルで30分間練肉した後、可溶型ポリオール樹脂(A1−1)の80部(固形分40部)でレットダウンし、得られた塗料を「LAWS」で希釈して、25℃のストーマー粘度が70KUになるように調整した。この白塗料を(WA1−1)と呼称する。
【0143】
参考例W2〜W9および参考例W11〜W12
参考例W1と同様な操作により、25℃のストーマー粘度が70KUになるように調整した白塗料をそれぞれ(WA1−2)〜(WA2−3)および(WA2−5)〜(WA2−6)と呼称する。
詳細は表4に纏める。
【0144】
参考例W13
主剤(A液)として、参考例2によって得られた可溶型ポリオール樹脂(A1−2)の36部(固形分18部)、タイペーク R−820(石原産業(株)製酸化チタン)の40部、「LAWS」5部およびガラスビーズを混合し、サンドミルで30分間練肉した後、NADポリオール樹脂(A2−3)の84部(固形分42部)でレットダウンし、得られた塗料を「LAWS」で希釈して、25℃のストーマー粘度が70KUになるように調整した。この白塗料を(WA’−1)と呼称する。
【0145】
参考例W14〜W15
参考例W13と同様な操作により、25℃のストーマー粘度が70KUになるように調整した白塗料をそれぞれ(WA’−2)〜(WA’−3)と呼称する。
詳細は表4に纏める。
【0146】
【表6】
【0147】
【実施例および比較例】
表4に示した白塗料(A液)に対し、硬化剤成分(B液)として、(B)ポリイソシアネート:「バーノック DN−990(大日本インキ化学工業(株)製弱溶剤可溶型ポリイソシアネート)」をポリオール樹脂水酸基価に対して当量配合し、かつ、(C)シラン化合物の縮合物:「MKCシリケート MS58B−30(三菱化学(株)製のブトキシ変性メチルシリケート;メトキシ/ブトキシ=70/3 0モル%,平均縮合度が約7)」、または、「MKCシリケートMS56S(三菱化学(株)製のメチルシリケート,平均縮合度が約9)」のいずれかを、ポリオール樹脂固形分に対して、10重量%配合した塗料を調整した。
【0148】
それらの(A液)と(B液)の混合塗料に対して、
1.25℃におけるサグメータによるタレ試験
2.アルミ板に乾燥膜厚で約40μmになるように塗装し、25℃にて1週間乾燥後、堺泉北コンビナートにおける3ヶ月間にわたる雨だれ試験器による雨だれ試験を行った。
それらの詳細な組み合わせおよび結果を表5に示す。
【0149】
【表7】
【0150】
《脚注》
1.(Mw)* は使用したポリオール樹脂の重量平均分子量を示す。
2.”タレ”は、タレ限界のウェット膜厚をミル数で測定。
○:タレ≦13ミル
△:9≦タレ<13ミル
×:タレ>9ミル
【0151】
3.”汚染”は、上記条件下での雨だれ試験前後のΔEを測定。
○:ΔE<2.5
△:2.5≦ΔE<5
×:ΔE≧5.0
【0152】
4.”リコート”は、下地市販酢ビ−アクリル塗料上に塗装したときの塗膜外観。
○:異常なし
×:リフティング、艶引け等異常が認められる
【0153】
さらに、本発明者らは有用なシラン化合物の縮合物の適性範囲を調べるために、上記、三菱化学(株)製のメチルシリケート「MKCシリケート MS56S」のメチル基を
【0154】
▲1▼ブタノールとアルコール交換反応を行い、3モル%ブチル基を含有する化合 物(C1)
▲2▼ブタノールとアルコール交換反応を行い、7モル%ブチル基を含有する化合 物(C2)
【0155】
▲3▼ブタノールとアルコール交換反応を行い、50モル%ブチル基を含有する化 合物(C3)
▲4▼ブタノールとアルコール交換反応を行い、60モル%ブチル基を含有する化 合物(C4)
【0156】
▲5▼2−エチルヘキサノールとアルコール交換反応を行い、30モル%2−エチルヘキシル基を含有する化合物(C5)
▲6▼シクロヘキサノールとアルコール交換反応を行い、30モル%シクロヘキシル基を含有する化合物(C6)
【0157】
▲7▼ベンジルアルコ−ルとアルコール交換反応を行い、30モル%ベンジル基を含有する化合物(C7)
▲8▼フェノールとアルコール交換反応を行い、30モル%フェニル基を含有する化合物(C8)
を得た。それらのシラン化合物の縮合物を、白塗料(WA’−1)のポリオール樹脂固形分に対して10重量%配合した塗料を調整した。
【0158】
さらに、シラン化合物の縮合物の添加量の適性範囲を把握するために、上述の「MKCシリケート MS58B−30」を、白塗料(WA’−1)中のポリオール樹脂固形分に対して、表6に示すような量を配合した塗料を調整した。
【0159】
表5と同様な評価を行った結果を表6に示す。
【0160】
【表8】
表 6
【0161】
《脚注》
1.(Mw)* は使用したポリオール樹脂の重量平均分子量を示す。
【0162】
2.”タレ”は、タレ限界のウェット膜厚をミル数で測定。
○:タレ≦13ミル
△:9≦タレ<13ミル
×:タレ>9ミル
【0163】
3.”汚染”は、上記条件下での雨だれ試験前後のΔEを測定。
○:ΔE<2.5
△:2.5≦ΔE<5
×:ΔE≧5.0
【0164】
4.”リコート”は、下地市販酢ビ−アクリル塗料上に塗装したときの塗膜外観。
○:異常なし
×:リフティング、艶引け等異常が認められる
【0165】
【発明の効果】
本発明は、表5および表6の結果から明らかなように、重量平均分子量が160,000以上のポリオール樹脂と特定構造を有するシラン化合物の縮合物を組み合わせた場合だけ、タレ性と雨だれ汚染性とリコート性が全て良好な塗料組成物を与えるという、実用上の利用価値が非常に大きい上塗り塗料組成物を提供することができる。
Claims (5)
- (A)非水系溶剤に溶解および/または分散された重量平均分子量160,000〜1,000,000のポリオール樹脂溶液および/またはポリオール樹脂分散液、(B)上記(A)の水酸基と反応性を有する硬化剤、および、(C)シラン化合物の縮合物を含有する上塗り塗料組成物であって、前記シラン化合物の縮合物(C)が下記一般式[I]
- (A)が、ポリエステル樹脂とビニル系単量体との反応により得られ、かつポリオール樹脂固形分中にポリエステル樹脂を固形分で0.1〜50重量%含有するポリオール樹脂を、脂肪族炭化水素系溶剤を全溶剤中の30重量%以上含む非水系溶剤に溶解させたポリオール樹脂溶液(A1)、および/または、ビニル系重合体を分散安定剤として含む非水系溶剤に分散しているポリオール樹脂分散液であって、かつ該分散液中の溶剤が脂肪族炭化水素系溶剤を全溶剤中の30重量%以上含む非水系溶剤であるポリオール樹脂分散液(A2)である請求項1記載の上塗り塗料組成物。
- ポリオール樹脂分散液(A2)の分散安定剤が、ポリエステル樹脂とビニル系単量体との反応により得られるビニル系ポリオール樹脂であって、ポリオール樹脂固形分中にポリエステル樹脂を固形分で0.1〜50重量%含有することを特徴とする請求項2記載の上塗り塗料組成物。
- (A)がポリオール樹脂溶液(A1)およびポリオール樹脂分散液(A2)との混合物であり、ポリオール樹脂溶液(A1)中のポリオール樹脂とポリオール樹脂分散液(A2)中のポリオール樹脂のうち少なくともどちらかの重量平均分子量が160,000〜1,000,000であって、かつ、それらの混合物の重量平均分子量が160,000〜1,000,000である請求項2または3記載の上塗り塗料組成物。
- (A)のポリオール樹脂中の水酸基と反応性を有する硬化剤(B)がポリイソシアネート樹脂である請求項1〜3の何れか一項に記載の上塗り塗料組成物。
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