JP3876673B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質に関し、特に、正極材料として用いたときに、電池の初期容量を損なうことなく、熱安定性を向上させることが可能となる非水系二次電池用正極活物質に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯機器の普及にともない、高いエネルギー密度を有する小型、軽量な二次電池の開発が強く望まれている。このようなものとしてリチウム、リチウム合金、金属酸化物あるいはカーボンを負極として用いるリチウムイオン二次電池があり、研究開発が盛んに行われている。
【0003】
リチウム複合酸化物、特に、合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を有する電池として期待され、実用化が進んでいる。リチウムコバルト複合酸化物を用いた電池では、優れた初期容量特性やサイクル特性を得るための開発が、これまで数多く行われてきており、すでにさまざまな成果が得られている。
【0004】
しかし、リチウムコバルト複合酸化物は、原料に希産で高価なコバルト化合物を正極活物質に用いるため、正極活物質のコストアップ、さらには電池のコストアップの原因となり、正極活物質の改良が望まれている。正極活物質のコストを下げ、より安価なリチウムイオン二次電池の製造が可能となることは、現在普及している携帯機器の軽量、小型化において、工業的に大きな意義を持つ。
【0005】
リチウムイオン二次電池用正極活物質の新たな材料としては、コバルトよりも安価なマンガンを用いたリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2O4)や、ニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)を挙げることができる。
【0006】
リチウムマンガン複合酸化物は、原料が安価である上、正極材料として熱安定性に優れるため、リチウムコバルト複合酸化物の有力な代替材料であるといえるが、理論容量がリチウムコバルト複合酸化物のおよそ半分程度しかなく、年々高まるリチウムイオン二次電池の高容量化の要求に応えるのが難しいという欠点を持つ。
【0007】
一方、リチウムニッケル複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物よりも低い電気化学ポテンシャルを示すため、より高容量が期待でき、コバルト系と同様に高い電池電圧を示すことから、開発が盛んに行われている。しかし、純粋にニッケルのみで合成したリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質としてリチウムイオン二次電池を作製した場合、コバルト系に比べサイクル特性が劣り、また、高温環境下での使用や保存で、比較的電池性能を損ないやすい。
【0008】
このような欠点を解決するためにニッケルの一部を他の金属で置換したリチウムニッケル複合酸化物、例えば特開平8−213015号では、リチウムイオン二次電池の自己放電特性やサイクル特性を向上させることを目的として、LixNiaCobMcO2(0.8≦x≦1.2、0.01≦a≦0.99、0.01≦b≦0.99、0.01≦c≦0.3、0.8≦a+b+c≦1.2、MはAl、V、Mn、Fe、Cu及びZnから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウムニッケル複合酸化物が提案されている。
【0009】
また、特開平8−45509号では、高温環境下での保存や使用に際して良好な電池性能を維持できる正極活物質として、LiwNixCoyBzO2(0.05≦w≦1.10、0.5≦x≦0.995、0.005≦z≦0.20、x+y+z=1)で表されるリチウムニッケル複合酸化物が提案されている。
【0010】
さらに、特開平8−321299号では、サイクル特性や耐過充電性を向上させることを目的として、ニッケルの5at%以下をガリウムで置換したリチウム含有複合酸化物が提案されている。
【0011】
しかしながら、これらのような従来の製造方法によって得られたリチウムニッケル複合酸化物では、リチウムコバルト複合酸化物に比べて充電容量、放電容量がともに高く、サイクル特性も改善されているが、満充電状態で高温環境下に放置しておくと、リチウムコバルト複合酸化物に比べて低い温度から酸素放出を伴う分解が始まり、その結果、電池の内部圧力が上昇して、最悪の場合、電池が爆発する危険を有している。
【0012】
このような問題を解決するために、例えば特開平5−242891号では、リチウムイオン二次電池の正極材料の熱的安定性を向上させることを目的として、LiaMbNicCodOe(MはAl、Mn、Sn、In、Fe、V、Cu、Mg、Ti、Zn、Moからなる群から選択される少なくとも一種の金属であり、かつ0<a<1.3、0.02≦b≦0.5、0.02≦d/c+d≦0.9、1.8<e<2.2、b+c+d=1である)で表されるリチウム含有複合酸化物が提案されている。しかし、熱安定性の向上に有効な量のM元素でニッケルを置換すると、電池性能として最も重要である初期容量が大きく低下するという問題がある。
【0013】
このように、これまで報告されてきたような、熱安定性の向上のために、ニッケルの一部を別の元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とした非水系電解質二次電池は、確かに熱安定性の向上の効果があるものの、置換した分だけ初期容量が低下するという問題点を有していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、本発明の課題は、初期容量をほとんど犠牲にすることなく、熱安定性の高い非水系電解質二次電池用正極活物質を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として考えた場合、リチウムの脱離挿入によって充放電が行われる。200mAh/g程度の満充電状態は、LiNiO2から約7割のリチウムが脱離した状態である。すなわち、Li0.3NiO2となっているわけであるが、このとき、ニッケルはその一部が3価および4価となっている。4価のニッケルは熱的に非常に不安定で、高温にすると容易に酸素を放出して2価(NiO)となりやすい。
【0016】
なお、正極活物質の熱的挙動は、充電状態にある正極材料を電解液の存在下で示差走査熱量測定を行い、その発熱量を見ることで評価できる。また、質量分析法を用いて、発生するガス種を調べることによって、熱的挙動をより具体的に考察することが可能となる。
【0017】
リチウムニッケル複合酸化物が正極材料として熱安定性に劣る理由として、酸素を放出して分解する分解開始温度が、リチウムコバルト複合酸化物と比較して低く、このとき放出された酸素が電解液と反応して燃焼反応が起こることや、ニッケル自体が触媒となって、電解液の分解反応を促進することなどが原因と考えられている。
【0018】
従って、リチウムニッケル複合酸化物の正極材料としての熱安定性を改善するには、リチウムニッケル複合酸化物を組成面から改良して、分解開始温度を高くする方法が考えられる。
【0019】
すなわち、前述のように4価のニッケルが熱的に不安定であることに原因があるので、ニッケルの価数を下げるような元素をリチウムニッケル複合酸化物に固溶させることによって、分解開始温度を高くすることができる。または、価数変化の起こりにくい安定な元素を固溶させる方法でも、分解開始温度を高くすることができる。いずれの方法でも、酸素放出を伴う分解開始温度を高温側へシフトさせることが可能で、結果として、リチウムニッケル複合酸化物の正極材料としての熱安定性が増大する。
【0020】
しかしながら、これらの方法では、結果的にリチウムニッケル複合酸化物からある程度以上にリチウムを引き抜くことができないのであり、リチウムの脱離が不充分な結果、必然的に容量を犠牲にする。すなわち、リチウムニッケル複合酸化物の正極材料としての熱安定性の増大は、一定電位までに引き抜けるリチウム量の低減をともなう。
【0021】
正極活物質自体の熱安定性だけに目を向けるのではなく、電池の熱安定性という観点で見た場合、正極活物質の分解開始温度を高くすること以外に、改善を求めることができる。
【0022】
リチウムニッケル複合酸化物が熱安定性に劣るのは、前述したように分解によって放出される酸素が電解液と反応する(燃焼する)ためであるから、たとえ分解開始温度が同じであっても、放出される酸素が少なければ、電解液との反応はマイルドになり、熱安定性が改善されたといえる。
【0023】
本発明者らは、このような観点からリチウムニッケル複合酸化物を正極材料に使用した電池の熱安定性に関する種々研究を進めた結果、ニッケルの一部を他の元素で置換するのではなく、酸素を吸収する能力を持つ化合物(以下、酸素吸収化合物という)を添加することによって、熱安定性に優れた非水系電解質二次電池が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0024】
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、主成分がLiNi1-xMxO2(但し、Co、Mn、Fe、Cu、Zn、Mg、Ti、AlおよびGaからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の金属で、0.2>x≧0)で表されるLi−Ni複合酸化物であって、さらに、インジウム化合物およびタンタル化合物から選ばれた1種以上の酸素吸収化合物を含有しており、該非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて電池を作製し、充電終了後取り出した該非水系電解質二次電池用正極活物質のTG−MS測定において、250℃以上の温度で二酸化炭素の放出を示すピークが存在しない。
【0025】
酸素吸収化合物の添加に際しては、酸素吸収能力に応じて添加量を決定する必要があり、酸素吸収能力が十分大きければ、添加量は十分少なくすることが可能である。必要以上に添加量を多くしても、その質量分だけ質量当たりの初期容量が減少するだけで、電池の熱安定性に対する効果はほとんど変化しない。
【0026】
本発明者らが研究を深めた結果、酸素吸収化合物は、ニッケルと元素Mの合計に対するモル比で2%を超えると、質量当たりの初期容量の低下が大きくなるため、望ましくないことを見いだした。
【0027】
すなわち、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質においては、ニッケルと元素Mの合計に対する前記酸素吸収化合物のモル比が2%以下であることが好ましい。
【0028】
さらに、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質においては、該酸素吸収化合物が、In、Taのいずれか1種以上とLiとの酸化物、より具体的には、LiInO2であることが好ましい。なお、配合時と、正極活物質とでは、インジウム化合物およびタンタル化合物の存在形態が異なりうる。
【0029】
本発明による正極活物質には、熱安定性に劣るLiNiO2を用いても、効果があることはもちろんであるが、サイクル特性を改善するために、Niの一部をCoなどの別元素で置換したり、導電率改善のためにNiの一部をMgなどの別元素で置換することも可能である。また、Niの一部をMn、Ti、Al、Gaなどの別元素で置換することによって、正極活物質自身に熱安定性効果を持たせて、さらに熱安定性に優れた正極活物質を得ることができる。これらの場合、置換率はモル比で0.2未満である。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の正極活物質は、酸素を吸収する能力を持った化合物(酸素吸収化合物)を含有したリチウムニッケル複合酸化物であり、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いる。これにより、電池の初期容量をほとんど低下させることなく、熱安定性を向上させることができる。
【0031】
以下、本発明の一実施例を、好適な図面に基づいて詳述する。
【0032】
【実施例】
(実施例1)
市販の水酸化リチウム一水和物と、ニッケルとコバルトとアルミニウムとのモル比が83:14:3で固溶した複合水酸化物を、リチウムとニッケル+コバルト+アルミニウムとのモル比が1.03:1.00となるようにそれぞれ秤量し、十分に混合した。この混合粉末を、酸素流量3000cm 3 /minの気流中で、350℃で2時間仮焼した後、750℃で20時間焼成し、室温まで炉冷してLiNi 0.83 Co 0.14 Al 0.03 O 2 を得た。
【0033】
酸素吸収化合物としてインジウム化合物を用いた。すなわち、市販の水酸化リチウム一水和物を純水に溶解し、リチウムとインジウムとのモル比が1:1になるように三酸化二インジウムを投入し、攪拌した。この水溶液に、インジウムとニッケル+コバルト+アルミニウムとのモル比が0.010:1.00となるように、得られたLiNi0.83Co0.14Al0. 03O2を投入し、加熱攪拌して、乾燥した。得られた乾燥物を、酸素流量3000cm3/minの気流中で、750℃で20時間焼成し、室温まで炉冷して、インジウム含有リチウムニッケル複合酸化物からなる正極活物質を得た。
【0034】
得られた正極活物質を、CuのKα線を用いた粉末X線回折(理学電機社製、型式RAD−γVB)で分析したところ、六方晶に帰属されるリチウムニッケル複合酸化物の他に、酸素吸収材としてのLiInO2のピークが確認できた。X線回折パターンから計算したリチウムニッケル複合酸化物の格子定数は、インジウムを添加する前のリチウムニッケル複合酸化物の格子定数とほぼ一致しており、インジウムはリチウムニッケル複合酸化物には固溶していないと推定された。当該正極活物質の組成を分析したところ、インジウムとニッケル+コバルト+アルミニウムとのモル比は0.01:1.00であり、インジウムは固溶していなかったことと考え合わせると、リチウムニッケル複合酸化物に対する酸素吸収材としてのLiInO2のモル比は1%であったといえる。
【0035】
得られた正極活物質を用いて以下のように電池を作製し、充放電容量を測定した。
【0036】
前記正極活物質の粉末87質量%に、アセチレンブラック5質量%およびPVDF(ポリ沸化ビニリデン)8質量%を混合し、NMP(n−メチルピロリドン)を加えペースト化した。これを20μm厚のアルミニウム箔に、乾燥後の活物質質量が0.025g/cm 2 になるように塗布し、120℃で真空乾燥を行い、1cmφの円板状に打ち抜いて正極とした。負極としてリチウム金属を、電解液には1MのLiClO 4 を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液を用いた。ポリエチレンからなるセパレータに電解液を染み込ませ、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス中で、図1に示したような2032型のコイン電池を作製した。作製した電池は24時間程度放置し、OCVが安定した後、正極に対する電流密度を0.5mA/cm 2 とし、カットオフ電圧4.3−3.0Vで充放電試験を行った。得られた1サイクル目の質量あたりの放電容量(初期容量)を表1に示す。
【0037】
また、同様な方法でもう一つ電池を作製し、正極に対する質量当たりの電流密度を6mA/gとして196mAh/gまで充電した。充電終了後、この電池を分解して、取り出した正極材料2.4mgに対して、電解液として1MのLiClO 4 を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液2.0mgを加えて、アルミニウム製の密閉容器に封入し、示差走査熱量測定を行った。また、取り出した正極材料のTG−MS測定(マックサイエンス社製、型式IG−DTA 2020s)を実施し、加熱にともなう発生ガスを調べた。
【0038】
測定結果を、表1、図2および図3に示す。
【0039】
(実施例2)
市販の水酸化リチウム一水和物を純水に溶解し、リチウムとインジウムとのモル比が1:1になるように三酸化二インジウムを投入し、攪拌した。この水溶液に、インジウムとニッケル+コバルト+アルミニウムとのモル比が0.020:1.00となるように、実施例1と同様にして得たLiNi0.83Co0.14Al0. 03O2を投入し、加熱攪拌して、乾燥した。得られた乾燥物を、酸素流量3000cm3/minの気流中で、750℃で20時間焼成し、室温まで炉冷して、インジウム含有リチウムニッケル複合酸化物からなる正極活物質を得た。
【0040】
得られた正極活物質を、CuのKα線を用いた粉末X線回折で分析したところ、六方晶に帰属されるリチウムニッケル複合酸化物の他に、酸素吸収材としてのLiInO2のピークが確認できた。X線回折パターンから計算したリチウムニッケル複合酸化物の格子定数は、インジウムを添加する前のリチウムニッケル複合酸化物の格子定数とほぼ一致しており、インジウムはリチウムニッケル複合酸化物には固溶していないと推定された。当該正極活物質の組成を分析したところ、インジウムとニッケル+コバルト+アルミニウムとのモル比は0.02:1.00であり、インジウムは固溶していなかったことと考え合わせると、リチウムニッケル複合酸化物に対する酸素吸収材としてのLiInO2のモル比は2%であったといえる。
【0041】
初期容量の測定、示差走査熱量測定、およびTG−MS測定を、実施例1と同様に行った。測定結果を、表1、図2および図4に示す。
【0042】
(比較例1)
市販の水酸化リチウム一水和物と、ニッケルとコバルトとアルミニウムとのモル比が83:14:3で固溶した複合水酸化物とを、リチウムとニッケル+コバルト+アルミニウムとのモル比が1.03:1.00となるようにそれぞれ秤量し、十分に混合した。この混合粉末を、酸素流量3000cm3/minの気流中で、350℃で2時間仮焼した後、750℃で20時間焼成し、室温まで炉冷してリチウムニッケル複合酸化物からなる正極活物質を得た。
【0043】
得られた正極活物質を、CuのKα線を用いた粉末X線回折で分析したところ、六方晶に帰属されるリチウムニッケル複合酸化物のみが確認できた。
【0044】
当該正極活物質の組成を分析したところ、リチウムとニッケル+コバルト+アルミニウムとのモル比は1.03:1.00であった。
【0045】
初期容量の測定、示差走査熱量測定、およびTG−MS測定を、実施例1と同様に行った。測定結果を、表1、図2および図5に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1から、実施例1〜2の電池の初期容量は、比較例1の電池の初期容量と比較して、酸素吸収化合物の添加量に応じてわずかに初期容量が減少しているものの、2at%以下の酸素吸収化合物の添加では、初期容量の減少が、実用上まったく問題ない程度に抑えられる。
【0048】
また、図2に示した示差走査熱量測定により、実施例1〜2の正極材料は、比較例1の正極材料に見られるような急激な発熱が緩和され、比較的マイルドな反応となっており、いずれも熱安定性の改善に大きな効果があることがわかる。
【0049】
図3〜図5のTG−MS測定結果を見ると、通常、正極材料が分解すると放出される酸素が見られないのは、この酸素が電解液と反応(燃焼)して二酸化炭素に変化しているためである。正極活物質の分解に対応する250℃以上の二酸化炭素の挙動を見てみると、図5に示した比較例1の正極材料では、電解液の反応による二酸化炭素の放出が見られるが、図3〜4に示した実施例1〜2の正極材料では、二酸化炭素の放出が見られない。これは、正極活物質から放出される酸素が酸素吸収化合物によって吸収されているためであり、電解液との反応が抑えられ、結果として二酸化炭素の発生が抑えられたと考えられる。このように、正極材料に、酸素を吸収する化合物を共存させることによって、電解液の燃焼反応が緩和され、熱安定性改善に効果のあることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
本発明による非水系電解質二次電池用正極活物質を使用した電池は、高い初期容量がほとんど損なわれずに、熱安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2032型コイン電池を示す一部破断斜視図である。
【図2】 実施例1〜2、比較例1における示差走査熱量測定の測定結果を示すグラフである。
【図3】 実施例1におけるTG−MS測定の測定結果を示すグラフである。
【図4】 実施例2におけるTG−MS測定の測定結果を示すグラフである。
【図5】 比較例1におけるTG−MS測定の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 リチウム金属負極
2 セパレータ(電解液含浸)
3 正極(評価用電極)
4 ガスケット
5 負極缶
6 正極缶
Claims (4)
- 主成分がLiNi1-xMxO2(但し、Co、Mn、Fe、Cu、Zn、Mg、Ti、AlおよびGaからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の金属で、0.2>x≧0)で表されるリチウムニッケル複合酸化物であって、さらに、インジウム化合物およびタンタル化合物から選ばれた1種以上の酸素吸収化合物を含有しており、該非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて電池を作製し、充電終了後取り出した該非水系電解質二次電池用正極活物質のTG−MS測定において、250℃以上の温度で二酸化炭素の放出を示すピークが存在しないことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。
- ニッケルと元素Mの合計に対する前記酸素吸収化合物のモル比が2%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- CuのKα線を用いた粉末X線回折による分析で、リチウムニッケル複合酸化物の他に、前記酸素吸収化合物として、In、Taのいずれか1種以上とLiとの酸化物が検出される請求項1〜2のいずれか記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記酸素吸収化合物が、LiInO2であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
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