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JP3866926B2 - 粉末法Nb▲3▼Sn超電導線材による超電導接続構造体の製造方法 - Google Patents

粉末法Nb▲3▼Sn超電導線材による超電導接続構造体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末法によって製造されることが予定されるNb3Sn超電導線材を被接続線材の少なくとも一方として構成される超電導接続構造体を製造する方法に関するものであり、特に高分解能核磁気共鳴(NMR)分析装置に用いられる超電導マグネットの素材として、Nb3Sn超電導線材を適用する際に有用な超電導接続構造体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気抵抗がゼロで大電流を流すことができる超電導線材を用いることで、大電流送電や強磁場発生装置等の利用が広がりつつある。特に高分解能NMR分析装置に用いられる超電導マグネットは、大電流通電による強磁場発生と抵抗ゼロを利用して電源を用いない永久電流モードの運転を行うものであり、超電導現象を利用することで初めて実現可能な応用の典型である。また、NMR分析装置では、マグネットの発生磁場が高ければ高いほど分解能が向上するので、こうした分解能を高めるという観点から近年ますます高磁場化の傾向にある。
【0003】
超電導マグネットの素材として使用されている超電導線材としては、NbTi線材とNb3Sn線材の2種類の金属系超電導線材が一般的に知られている。これらの線材における臨界磁場(超電導性を維持できる最高磁場)は、NbTiで11T、Nb3Snで23Tであるので、中・低磁場用マグネットではNbTi線材で作製され、高磁場用マグネットではその外層をNbTi線材、内層をNb3Sn線材とする組み合わせで作製されるのが一般的である。
【0004】
図1は高磁場用超電導マグネットのコイル構成の一例を示す概略説明図であり、図中1a,1bはNb3Sn線材からなるコイル、2a,2bはNbTi線材からなるコイルの夫々を示す。図示するように、超電導マグネットのコイルは、クエンチ時の保護の為に、複数に分割して作製されている。また線材の使用量を減らすために、図1に示すように、夫々のコイルは配置位置によって大きさの適性化が図られており、内側のコイルになるほど高さが低くなる様に工夫されている。この様な断面構成を有する超電導マグネットを実際に励磁した場合、マグネットにおける各コイルの磁場の大きさに分布が生じて、一般的に超電導コイルの内側ほど磁場が高くなる傾向があることから、外側のコイル(前記2a,2b)には臨界磁場の低いNbTi線材を用い、内側のコイル(前記1a,1b)にはNb3Sn線材が用いられている。
【0005】
上記のような超電導マグネットにおいては、その特徴を有効に活用するために、装置に用いられる超電導線材同士を、超電導状態を維持しつつ接続(以下、「超電導接続」と呼ぶことがある)することによって、ループ状に永久的に電流が流れ続ける、いわゆる永久電流モードで動作するように回路が構成されている。図1に示した超電導マグネットにおける回路構成を図2に示す。尚、図2中3は、磁場により一時的に超電導状態をON/OFFする永久電流スイッチ(PCS)、4は電源、5は電源4から電流を流すことによってPCS3をON/OFFさせる永久電流スイッチ用ヒータ(PCSヒータ)、6a〜6mは超電導接続部分を夫々示す。
【0006】
上記のような超電導接続は、NbTi−NbTi間、NbTi−Nb3Sn間、およびNb3Sn−Nb3Sn間(但し、このNb3Sn線材は、後述のブロンズ法によって製造されたもの)においては、技術的に既に確立されており、実用化されている。また図1に示した様な構成の超電導マグネットにおいて、NMR分析装置で実現されている最高磁場は、現在のところ900MHz程度である。
【0007】
超電導マグネットを永久電流モードで運転するに当たっては、必要とされる磁場安定性は、磁場変化が0.01ppm/hr以下である。換言すれば、永久電流モードを達成するには、定格磁場を発生した数百Aの通電状態で且つ少なくとも0.5T程度以上の磁場環境下において、1×10-10Ω以下の接続抵抗を実現する必要がある。
【0008】
ところで、超電導接続が既に実現されているNb3Sn線材は、ブロンズ法によって製造されたものである。このブロンズ法は、Cu−Sn基合金(ブロンズ)マトリックス中に複数のNb製芯材を埋設し、これを安定化の為の銅(安定化銅)に埋設して伸線加工により上記芯材をフィラメントとなし、600〜800℃で熱処理することによりNb製のフィラメントに上記マトリックスのSnを拡散させてNb3Sn層を生成させる方法である。
【0009】
上記の様なブロンズ法によって製造されたNb3Sn線材を超電導接続するに当たっては、(1)接続する超電導線材のフィラメント同士を溶接等の技術で直接接続する方法、(2)接続する超電導線材のフィラメント同士を第3の超電導材料を介在させて間接的に接続する方法、等が知られている。このうち上記(2)の方法ではPb等を主成分とした低融点合金を介在させることによって手軽に短時間に接続できるという利点があることから、汎用されている。また、上記(2)の方法では、具体的には線材を構成する安定化銅をエッチング等によって除去し、Nb3Snフィラメントを囲むブロンズを露出させてから、溶融した低融点金属中に浸漬ブロンズを超電導中間介在物で置換してフィラメント同士を超電導接続するのが一般的である。
【0010】
ブロンズ法によって製造されたNb3Sn線材を、上記(2)の方法で超電導接続したときの接続部における断面構成を、図3に示す。尚、図3中8はNb3Snフィラメント、9はNb製芯材、10は超電導接続された他の超電導フィラメント、11は超電導中間介在物(例えば、ウッドメタル等)、を夫々示す。こうした超電導接続体構造において、電流はNb3Snフィラメント8→超電導中間介在物11→他の超電導フィラメント10の順に流れ、これによって超電導接続が達成されている。
【0011】
一方、NbSn線材を製造する方法としては、上記ブロンズ法の他に、粉末法も知られている。この粉末法では、TaSn粉末(原料粉末)を、NbまたはNb基合金(例えば、Nb/Ta合金)からなるパイプに充填した後、伸線加工して前記パイプ中の原料粉末をフィラメント状とし、この複数本を安定化の為の銅(安定化銅)内に埋設した後伸線加工して熱処理することによって、パイプ中のSnとパイプであるNbとを反応させ、パイプの内側からNbSn層を形成して超電導線材とするものである。
【0012】
上記ブロンズ法や粉末法で製造されたNb3Sn線材と、他の方法(急熱急冷法)で製造されたNb3Al線材等について、高磁場における特性(オーバオールの臨界電流密度Jc)を比較して、図4に示す。尚、図4に示したように、900MHzに相当する磁場は、外部磁場が21Tのときである。
【0013】
この図から明らかなように、粉末法によって製造されたNb3Sn線材は、21T以上であっても高い臨界電流密度が達成されており、この線材は900MHz以上のNMRマグネット用線材として有力視される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブロンズ法によって製造されたNb3Snを超電導接続するときに採用されている従来の方法[上記(2)の方法]は、粉末法によって製造されたNb3Sn線材の場合にはその線材構造の関係から適用できないという問題がある。こうした状況を、図面を用いて説明する。
【0015】
図5は、粉末法によって製造されるNb3Sn線材を上記(2)の方法で超電導接続したときを想定した接続体の断面図であり、図中12はNb層(パイプ部分)、13はパイプの内側に形成されたNb3Sn層、14は原料粉末(Ta6Sn5粉末)の夫々を示し、10,11は前記図4と同じである。この図から明らかなように、粉末法によって製造されたNb3Sn線材においては、Nb3Sn層はNb製パイプの内側に形成されているので、電流はNb3Sn層13→Nb層12→超電導中間介在物11→他の超電導フィラメント10の順に流れることになる。しかしながら、Nb層は0.19T以下の磁場で超電導性を失うので、図5に示した構成では電流パスの途中に常電導部分(Nb層12)が存在することになり、超電導接続は実現できない。
【0016】
こうしたことから、粉末法によって製造されるべきNb3Sn超電導線材(以下、「粉末法Nb3Sn超電導線材」と呼ぶことがある)においては、高磁場で優れた特性を持ちながらもその超電導接続技術が開発されていなかったので、NMR用マグネットには適用できないというのが実状である。
【0017】
本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、粉末法Nb3Sn超電導線材を用いて、良好な超電導状態を維持することのできる超電導接続体を製造する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の超電導接続方法とは、NbまたはNb基合金からなるパイプに、TaSnを主体とする粉末を充填し、その複数本を安定化銅に挿入して伸線加工し、これを熱処理して製造されるべき粉末法NbSn超電導線材によって超電導接続構造体を製造するに当たり、熱処理する前に被接続部分に相当する安定化銅を除去し、前記伸線加工によって形成されたフィラメントを部分的に露出させると共に、このフィラメント付近に、少なくともNb,CuおよびSnを構成元素として含有する混合粉末若しくは合金粉末を配置し、その後80時間以上の熱処理をすることによって前記パイプの内側および外側からNbSn層を形成して超電導接続構造体を形成する点に要旨を有するものである。
【0019】
また本発明方法においては、前記熱処理の時間をt(但し、t≧80)としたとき、伸線加工後熱処理前のパイプの厚みdpが下記(1)式の関係を満足するように操業することが好ましい。
(t)<dp≦d(t)+d(t) ……(1)
但し、d(t):熱処理時間tでパイプ内側から形成されるNbSn層の厚み
(t):熱処理時間tでパイプ外側から形成されるNbSn層の厚み
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成する為に様々な角度から検討した。その結果、上記構成を採用すれば上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明が完成された経緯を説明しつつ、本発明の作用について説明する。
【0021】
本発明者らは、まず図6に示す断面構成を有する線材15を出発材料とする粉末法NbSn超電導線材15aを2本準備して、これを図7に示すような形態の従来方法[前記(2)の方法]で超電導接続体を製造することを試みた。尚、図6中16は安定化銅、17はNb基合金(Nb−5質量%Ta)製パイプ、18は原料粉末としての(TaSn+Cu)粉末、図7中20は電流端子、21は電圧端子、22は安定化銅を除去した後のフィラメント(図5の12,13,14部分)、23は超電導中間介在物としてのTaSnを主体とする粉末、24はステンレス製容器の夫々を示す。尚、上記では原料粉末としてTaSn粉末に加えてCu粉末を加えたものを使用したが、このCu粉末はNbSn生成の際における熱処理温度低減の為に混合したものである。
【0022】
そして、電流端子20と電圧端子21を電気的に接続し、外部磁場を0T,0.2Tとしてこの超電導接続体の電流特性を測定した。その結果を、図8に示す。この結果から明らかな様に、外部磁場が0Tの場合には、17Aまでは超電導電流が流れているものの、それ以上の電流では抵抗が発生していることが分かる。また外部磁場が僅かに0.2Tにしただけでも、超電導特性が全く発揮されず、0Aのときから電流・電圧特性は傾きをもって抵抗が発生していることが分かる。
【0023】
こうした現象が生じた理由は、前記図5に示したように、電流パスの途中にNb層12が存在して、このNb層12は臨界磁場が0.19Tと極めて小さいために僅かの磁場と電流でこの部分が常電導状態になったものと考えられる。
【0024】
本発明者らは、上記と同様にして、前記図6に示した断面構成の熱処理前の線材15(未だNb3Snは形成されていない)を2本準備した。これら線材15を、硝酸水溶液で処理することによって、外側の安定化銅16を除去した。このとき、Nb基合金製パイプ17を伸線することによって形成されるフィラメント22が露出した状態となっている。
【0025】
次に、図9に示すように、ステンレス製容器24の中心付近に上記処理した2本の線材15のフィラメント22を配置し、原料粉末として用いた(Ta6Sn5+Cu)粉末に、Nb粉末を混合した混合粉末25(Cu:2〜5質量%、Nb:10〜50質量%:残部Ta6Sn5粉末)を、容器の途中まで充填し、前記フィラメント22が埋まるようにした。この際、図9に示したように、線材の安定化銅16がこの混合粉末25に直接触れることがないようにすることが必要である(その理由については、後述する)。このような試料を5セット準備した。尚、別途断面観察したところ、熱処理前のフィラメント22におけるNb基合金製パイプ17の厚みは120μmであった。
【0026】
上記5つのセットの試料につき、780℃で、10時間、20時間、40時間、80時間、160時間と夫々の時間を変えてアルゴン雰囲気で熱処理を行なった。このとき、原料粉末18と混合粉末25は固体粉末が焼結された状態となる。熱処理後、安定化銅15の先端から数cm部分まで酸に浸漬して酸化膜を除去して水洗し、直ちに乾燥した後、全体を銅製容器26に収納し、溶融させたウッドメタルを安定化銅の部分まで埋まる様に注ぎ込み、固化・凝固させて超電導接続体を製造した。
【0027】
本発明法によって製造された超電導接続構造体を、図10(概略断面図)に示す。尚、図10には、抵抗測定用の電流端子20と電圧端子21をも併せて示してある。また、図中27は、前記ウッドメタルが固化・凝固した部分である。
【0028】
得られた各試料について、液体ヘリウム中で、0.5Tの磁場を印加した電流−電圧特性を測定した結果を図11に示す。この結果から明らかなように、熱処理時間が40時間まででは超電導接続が実現できていないが、80時間以上では超電導接続が達成されていることが分かる。
【0029】
次に、本発明者らは、20時間熱処理した試料と80時間熱処理した試料について、線材部分を切断してEPMAによって面分析を実施した。その結果を、模式的に図12に示すが、この結果から次のように考察できる。
【0030】
図12(a)は、20時間熱処理ときのフィラメント部分の断面を示したものであり、Nb基合金製パイプ17の両側からNb3Sn層29,30が形成されることになるが、20時間の処理ではこのNb3Sn層29,30の厚さが薄く、未反応のNb基合金層31が残留しているものと考えられる。これに対し、80時間の熱処理を施したものでは、図12(b)に示すように、Nb基合金製パイプ17の両側から形成される反応層32(Nb3Sn層)が連結した状態となって、超電導接続が実現できたものと考えられる。
【0031】
尚、前記図10に示した製造方法では、超超電導接続するフィラメントの双方が粉末法Nb3Sn線材の場合を示したけれども、本発明方法はこうした場合に限らず、少なくともその一方のフィラメントが粉末法Nb3Sn線材であれば本発明は実施できるものである。また、本発明で用いる混合粉末25としては、上記の混合粉末(Cu:2〜5質量%、Nb:10〜50質量%、残部:Ta6Sn5粉末)に限らず、例えばCu:2〜8質量%、Nb:10〜30質量%、Ti:0.1〜0.5質量%、残部:NbSn2粉末の様に、少なくともNb,CuおよびSnを構成元素として含有する混合粉末若しくは合金粉末であればいずれも使用できる。
【0032】
ところで、上記した本発明方法によらず、従来の方法によって単に熱処理時間を長くして、パイプ内側から形成されるNb3Sn層30が表面にまで及ぶようにし、その後図10に示した方法で超電導接続構造体することも考えられる。しかしながら、このような方法では、接続部以外の部分で問題が生じることになる。即ち、パイプの内側のSnがパイプを通過して安定化銅16の中に拡散してこの安定化銅16に不純物を導入したことになり、抵抗が大きくなってしまうことになる。Nb3Sn層部分の超電導が壊れたときに、電流をバイパスすることが安定化銅の本来の役割であるが、安定化銅の抵抗が大きくなってしまうと、電流がバイパスしたときに多量の熱を発生して線材が溶断してしまい、安定化の意味をなさなくなる。
【0033】
こうしたことから、最適な処理条件を設定したのが、前記(1)式である。即ち、この(1)式では或る処理温度で所定の処理時間によって形成されるNb3Sn層19,20に関して、パイプ内側からの厚みをd1(t)、同じく外側からの厚みをd2(t)としたとき、これらがNbまたはNb基合金製パイプの厚みdpとの関係で前記(1)式を満足させるように処理時間(および処理温度)を設定することによって、パイプから安定化銅16へのSnの拡散を防止して、良好な超電導状態を維持するものである。尚、上記(1)式において、右辺をdp≦d1(t)+d2(t)としたのは、Nb3Sn層が形成される厚みはパイプの厚みdpよりも大きくなることがないにしても、両側から形成されるNb3Sn層に重複部分が生じてパイプ内側からの厚みd1(t)と外側からの厚みをd2(t)との合計がパイプの厚みdpを超える場合があるからである。
【0034】
尚、Nb3Snを形成するときの熱処理温度は、パイプの厚みによっても異なり、通常700〜900℃程度であるが、好ましくは780〜810℃程度である。例えば、伸線加工後のフィラメントパイプの厚みdpが150μmのときには、熱処理温度を800℃とすれば、処理時間は60〜80時間程度が好ましい。
【0035】
ところで、前記図11のデータだけからでは、1×10-8Ω以下の抵抗が達成されていることは明らかであるが、NMR装置用マグネットに適用するための抵抗値である1×10-10Ω以下の抵抗が実現できているのかは不明である。この点を確認する為に、本発明者らは、粉末法Nb3Sn線材によって製造したコイルに本発明の接続法を適用して超電導接続を構成し(このときの熱処理条件は、温度:800℃、時間:80時間)、このコイルを用いて永久電流運転状態として中心磁場の減衰を調査した。
【0036】
その結果を、図13に示す。この結果から明らかなように、コイルの自己インダクタンスを入れて接続部の抵抗を計算すると、接続部には1.13Tの磁場が印加されている状態であるにも拘わらず、2.3×10-12Ωという値になっており、理想的な超電導状態が実現されていることが明らかになった。
【0037】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、粉末法Nb3Sn線材を用いてその超電導状態を良好に維持しつつ接続することが可能となった。また本発明を適用することによって、NMR分析用の超電導マグネットに代表されるような強磁場で永久電流モード動作が要求される高性能超電導マグネットにおいて、従来の金属系超電導マグネットよりも更に優れた超電導マグネットの製作が期待でき、その他の永久電流モードを必要とする超電導マグネット応用においても極めて有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高磁場超電導マグネットのコイル構成の一例を示す概略説明図である。
【図2】図1に示した超電導マグネットにおける回路構成図である。
【図3】ブロンズ法によって製造されたNb3Sn線材を従来の方法で超電導接続したときの接続部における断面図である。
【図4】各種製造法で製造された超電導線材の特性をを比較して示したグラフである。
【図5】粉末法Nb3Sn線材を従来の方法で超電導接続したときを想定した接続体の断面図である。
【図6】粉末法Nb3Sn超電導線材を製造する為の出発材料の構成例を示す断面図である。
【図7】従来方法で接続する状態ときの形態を示す説明図である。
【図8】粉末法Nb3Sn超電導線材を従来方法で製造した超電導接続体の電流特性を示すグラフである。
【図9】本発明方法を実施するときの手順を説明する為の図である。
【図10】本発明法によって製造された超電導接続構造体を示す概略断面図である。
【図11】各熱処理時間で製造された超電導接続構造体の液体ヘリウム中で0.5Tの磁場を印加した電流−電圧特性を測定した結果を示すグラフである。
【図12】線材部分を切断してEPMAによって面分析を実施した結果を模式的に示した説明図である。
【図13】本発明の接続法を適用して超電導接続を構成したコイルの中心磁場の減衰を示したグラフである。
【符号の説明】
1a,1b Nb3Sn線材からなるコイル
2a,2b NbTi線材からなるコイル
3 永久電流スイッチ
4 電源
5 永久電流スイッチ用ヒータ
6a〜6m 超電導接続部分
8 Nb3Snフィラメント
9 Nb製芯材
10 他の超電導フィラメント
11 超電導中間介在物
16 安定化銅
17 Nb基合金製パイプ
18 原料粉末
20 電流端子
21 電圧端子
22 フィラメント
29、30 Nb3Sn層

Claims (2)

  1. NbまたはNb基合金からなるパイプに、TaSnを主体とする粉末を充填し、その複数本を安定化銅に挿入し伸線加工した後、これを熱処理して製造されるべき粉末法NbSn超電導線材によって超電導接続構造体を製造するに当たり、熱処理する前に被接続部分に相当する安定化銅を除去し、前記伸線加工によって形成されたフィラメントを部分的に露出させると共に、このフィラメント付近に、少なくともNb,CuおよびSnを構成元素として含有する混合粉末若しくは合金粉末を配置し、その後80時間以上の熱処理をすることによって前記パイプの内側および外側からNbSn層を形成して超電導接続構造体を形成することを特徴とする粉末法NbSn超電導線材による超電導接続構造体の製造方法。
  2. 前記熱処理の時間をt(但し、t≧80)としたとき、伸線加工後熱処理前のパイプの厚みdpが下記(1)式の関係を満足するのである請求項1に記載の製造方法。
    (t)<dp≦d(t)+d(t) ……(1)
    但し、d(t):熱処理時間tでパイプ内側から形成されるNbSn層の厚み
    (t):熱処理時間tでパイプ外側から形成されるNbSn層の厚み
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