JP3920606B2 - 粉末法Nb▲3▼Sn超電導線材の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Nb3Sn超電導線材を粉末法によって製造する方法に関するものであり、特に高分解能核磁気共鳴(NMR)分析装置に用いられる超電導マグネットの素材として有用な粉末法Nb3Sn超電導線材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気抵抗がゼロで大電流を流すことができる超電導線材を用いることで、大電流送電や強磁場発生装置等の利用が広がりつつある。特に高分解能NMR分析装置に用いられる超電導マグネットは、大電流通電による強磁場発生と抵抗ゼロを利用して電源を用いない永久電流モードの運転を行うものであり、超電導現象を利用することで初めて実現可能な応用の典型である。また、NMR分析装置では、マグネットの発生磁場が高ければ高いほど分解能が向上するので、こうした分解能を高めるという観点から近年ますます高磁場化の傾向にある。
【0003】
超電導マグネットの素材として使用されている超電導線材としては、NbTi線材とNb3Sn線材の2種類の金属系超電導線材が一般的に知られている。これらの線材における臨界磁場(超電導性を維持できる最高磁場)は、NbTiで11T、Nb3Snで25Tであるので、中・低磁場用マグネットではNbTi線材で作製され、高磁場用マグネットではその外層をNbTi線材、内層をNb3Sn線材とする組み合わせで作製されるのが一般的である。
【0004】
図1は高磁場用超電導マグネットのコイル構成の一例を示す概略説明図であり、図中1a,1bはNb3Sn線材からなるコイル、2a,2bはNbTi線材からなるコイルの夫々を示す。図示するように、超電導マグネットのコイルは、クエンチ時の保護の為に、複数に分割して作製されている。また線材の使用量を減らすために、図1に示すように、夫々のコイルは配置位置によって大きさの適性化が図られており、内側のコイルになるほど高さが低くなる様に工夫されている。この様な断面構成を有する超電導マグネットを実際に励磁した場合、マグネットにおける各コイルの磁場の大きさに分布が生じて、一般的に超電導コイルの内側ほど磁場が高くなる傾向があることから、外側のコイル(前記2a,2b)には臨界磁場の低いNbTi線材を用い、内側のコイル(前記1a,1b)にはNb3Sn線材が用いられている。
【0005】
上記の様な超電導マグネットでは、図1に示した様に超電導接続が必要となるのであるが、NbTi−NbTi間、NbTi−Nb3Sn間、およびNb3Sn−Nb3Sn間においては、技術的に既に確立されており、実用化されている。また超電導マグネットを永久電流モードで運転するに当たって、必要とされる磁場安定性は、磁場変化が0.01ppm/hr以下である。換言すれば、永久電流モードを達成するには、定格磁場を発生した数百Aの通電状態で且つ少なくとも0.5T程度以上の磁場環境下において、1×10-12Ω以下の接続抵抗を実現する必要がある。そして前記図1に示した様な構成の超電導マグネットにおいて、NMR分析装置で実現されている最高磁場は、現在のところ900MHz程度である。
【0006】
ところが、1GHz(23.5T)の高磁場になると、Nb3Sn線材の限界レベルとなる。従って、超電導マグネットの最内層コイルには、臨界磁場がより高い酸化物超電導線材がその候補材料として有力視されている。しかしながら、酸化物超電導線材を用いたコイルでは、酸化物超電導線材の超電導接続技術が完成しているとは言えないこと、および酸化物超電導線材では通電時に微少抵抗が残ること等もあって、永久電流モードでの運転は容易に実現されないことが予測できる。こうしたことから、超電導接続技術が既に確立されているNb3Sn線材の性能を更に改善して、より高磁場における永久電流運転の実現が望されているのが実状である。
【0007】
これまで用いられてきたNb3Sn線材は、ブロンズ法によって製造されるのが一般的である。このブロンズ法は、Cu−Sn基合金(ブロンズ)マトリックス中に複数のNb製芯材を埋設し、これを安定化の為の銅(安定化銅)に埋設して伸線加工により上記芯材をフィラメントとなし、或はこのフイラメントを複数束ねて線材群となし、上記フイラメントまたは線材群を600〜800℃で熱処理することによりNb製のフィラメントに上記マトリックスのSnを拡散させてNb3Sn層を生成させる方法である。
【0008】
このブロンズ法で製造されたNb3Sn線材で、現在最高性能を実現している線材の熱処理反応後の断面を図2(図面代用顕微鏡写真)に示す。図1に示したNb3Sn線材では、上記線材群の表面にNbからなる拡散バリヤ層および安定化銅を配置し、その断面形状が平角線材となる様に加工したものである。尚、図2中AはCu−Sn基合金(以下、「ブロンズ」と呼ぶことがある)、Bはブロンズ中のSnがNbの中に拡散して形成されたNb3Sn、CはNbを夫々示している。
【0009】
上記の様なNb3Sn線材において、超電導になって電流を流せるのは上記Nb3Snの部分であり、その他の部分は超電導にはならないので、より多くの電流を流すことができるためには、Nb3Sn層が厚いほど良いことが分かる。また、Nb3Sn層の厚さを厚くするためには、ブロンズからのSnをNb中に拡散させれば良い。しかしながら、800℃以下の温度領域においてブロンズ中に固溶できるSn濃度には限界があり、15.8質量%が上限である。従って、ブロンズ法においては、ブロンズ中のSnがなくなってしまうと、熱処理時間をそれ以上に如何に長くしても、Nb3Sn層の厚さをそれ以上厚くすることはできなくなる。こうしたことから、Nb3Sn線材によって更に大電流を流すためには、断面積に占めるNb3Sn相の比率が大きくなる様に別の手段を講じる必要がある。
【0010】
一方、Nb3Sn線材を製造する方法としては、上記ブロンズ法の他に、粉末法も知られている。この粉末法では、Ta6Sn5を主体とする粉末(例えば、Ta6Sn5+Cu粉末の混合粉末)原料粉末とし、これをNbまたはNb基合金(例えば、Nb/Ta合金)からなるパイプに充填した後、伸線加工して前記パイプ中の原料粉末をフィラメント状とし、この複数本を安定化の為の銅(安定化銅)内に埋設した後伸線加工して熱処理することによって、フィラメントパイプ中のSnとパイプであるNbとを反応させ、パイプの内側からNb3Sn層を形成して超電導線材とするものである。
【0011】
上記ブロンズ法や粉末法で製造されたNb3Sn線材と、他の方法(急加熱急冷法)で製造されたNb3Al線材等について、高磁場における特性(オーバオールの臨界電流密度Jc)を比較して図3に示す。尚、図3に示したように、900MHzに相当する磁場は、外部磁場がほぼ21Tのときである。
【0012】
この図から明らかなように、粉末法によって製造されたNb3Sn線材は、21T以上であっても高い臨界電流密度が達成されており、この線材は900MHz以上のNMRマグネット用線材として有力視されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした粉末法Nb3Sn線材においても、高磁場での臨界電流密度Jcの減少が著しく、永久電流運転を達成するために必要とされる臨界電流密度Jc:75A/mm2を達成するには、外部磁場は930MHzが限界であり、950MHz以上の外部磁場においても永久電流運転が可能となる超電導線材の実現が望まれているのが実状である。
【0014】
従来の粉末法で製造したNb3Sn線材の断面を図4(図面代用走査型電子顕微鏡写真)に示す。尚、図4中3は粉末コア(原料粉末部分)、4は反応によって形成されたNb3Sn層、5はNbまたはNb基合金からなるパイプ部分、6は安定化銅を夫々示す。こうした粉末法によって製造されたNb3Sn線材にあっては、Nb3Sn層の厚さは50μm程度の厚みが達成されているのであるが、上記粉末コア3の部分が問題となる。即ち、粉末法によっては、Nb3Sn層が50μm程度で形成されるのであるが、上記粉末コア3の様に原料粉末からSnが拡散して残った部分が非超電導相として残存し、超電導線材としての有効面積(超電導相の面積割合)の増大に寄与できていないのである。こうしたことから、粉末法によって製造されるNb3Sn線材において、できるだけ非超電導相を減らして超電導線材としての有効面積を増大させ、950MHz以上の超高磁場NMRマグネット用線材として、粉末法Nb3Sn線材の更なる高臨界電流密度化が切望されている状況である。
【0015】
本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、高い外部磁場においてもより高い臨界電流密度を実現することができ、950MHz以上の超高磁場NMRマグネットの実現を可能にする粉末法Nb3Sn超電導線材を製造する為の有用な方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の製造方法とは、NbまたはNb基合金からなるパイプに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を充填し、これを伸線加工した後その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理する点に要旨を有するものである。
【0017】
また、本発明の上記目的は、NbまたはNb基合金からなるパイプに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を充填し、このパイプの複数本をCu−Sn基合金製部材に埋設し、このCu−Sn基合金製部材の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理することによっても達成される。
【0018】
更に、NbまたはNb基合金からなるパイプに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を充填し、このパイプの複数本をCu−Sn基合金製部材に埋設して伸線加工した後、その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理することによっても、超電導特性を更に向上した粉末法Nb3Sn超電導線材が得られる。
【0019】
上記方法のうち、Cu−Sn基合金製部材を用いる方法にあっては、(a)前記Cu−Sn基合金製部材中のSn含有量が13〜16質量%であることや、(b)前記Cu−Sn基合金製部材の超電導線材全断面積に占める割合が70%以下であることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成する為に様々な角度から検討した。その結果、上記構成を採用すれば上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明が完成された経緯を説明しつつ、本発明の作用について説明する。
【0021】
前述の如く従来の粉末法では、Ta6Sn5を主体とする粉末を原料粉末として用いるものであるが、こうした方法では、原料粉末からNbまたはNb基合金からなるパイプへのSnの拡散の後残存する粉末コアが非超電導相となるため、全断面積に占める超電導相が占める割合に限界があることが判明した。そこで本発明者らが、粉末法によってNb3Sn線材を製造するに当たり、超電導相をなすNb3Sn層を更に大きく形成するための要件について様々な角度から検討した。
【0022】
その結果、まず原料粉末として従来のTa6Sn5を主体とする粉末の代りに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を用いれば良いとの着想が得られた。即ち、上記の様な混合粉末を原料粉末として用い、この原料粉末をNbまたはNb基合金からなるパイプに充填し、これを伸線加工した後その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリヤー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理する様にすれば、上記NbまたはNb基合金に拡散して形成されるNb3Sn層と、原料粉末中のNb3Sn粉末とが一体化されてNb3Sn相をなし、こうしたNb3Sn相の形成によってNb3Sn線材における超電導特性が格段に向上できたのである。
【0023】
本発明方法においては、原料粉末として上記の様な混合粉末を用いるものであるが、このうちNb3Snを主体とする粉末は、熱処理前は孤立しているが、熱処理によって粒子同士が焼結・連結され、超電導電流の流路となるものである。また、この粉末は、Nb3Snだけからなるものでも良いが、必要によってTiやTaを含有させても良い。これらTiやTaを含有させると、高磁場での高電流化という効果が発揮されるが、その含有量が過剰になると加工性が低下するので、0.1〜0.5質量%程度に抑えるのが良い。このNb3Snを主体とする粉末は、ブロンズ法線材で生成したNb3Sn反応層を、外側のブロンズを化学処理によってエッチングして露出させた後、採集する手段等によって調製することができる。
【0024】
原料粉末中のSn粉末は、NbまたはNb基合金にSnを拡散してNb3Sn層を形成するのに混合するものである。また、原料粉末中のCu粉末は、Nb3Sn生成の際における熱処理温度低減の為に混合されるものである。
【0025】
尚、混合粉末における上記各粉末の混合割合については特に限定するものではないが、SnがNbに拡散してNb3Snとなり、Cuはその反応温度低減、残存Nb3Snはそのまま焼結されるという点を考慮すれば、Nb3Snを主体とする粉末:Sn粉末:Cu粉末=1:0.5〜3:0.1〜0.5程度が適切である。また、これらの粉末は、熱処理時の反応性を高めるという観点から、平均粒径が50μm以下のできるだけ微細なものを用いることが好ましい。
【0026】
本発明方法において超電導線材の前駆体(熱処理前の複合体)となるものは、上記の様な原料粉末(混合粉末)をNbまたはNb基合金からなるパイプに充填し、これを伸線加工した後その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置してものであるが、(a)上記混合粉末を充填したパイプの複数本をCu−Sn基合金(ブロンズ)製部材に埋設し、このCu−Sn基合金製部材の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置した複合体や、(b)上記混合粉末を充填したパイプの複数本をCu−Sn基合金製部材に埋設して伸線加工した後、その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置した複合体を用いることも有用である。
【0027】
上記(a)または(b)の様な複合体を用いることによって、Nb3Sn層はNbまたはNb基合金パイプの内側ばかりでなく、その外側にも形成されることになって、Nb3Sn線材の特性を更に向上させることができる。こうした構成の複合体を用いる場合には、Nb(パイプ)へのSn拡散をできるだけ促進するという観点から、上記Cu−Sn基合金中のSn含有量は固溶限内でできるだけ多い方が良く、こうした観点から前記Sn含有量は13〜16質量%程度が好ましい。また、ブロンズを併用した製造方法では、線材と特性をより向上させるという観点から、線材全断面積に占めるブロンズ部分の断面積比ができるだけ小さくするのが良いこことが分かるが、本発明方法(Cu−Sn基合金部材を用いる方法)では、パイプの内側と外側の両方からNb3Sn層が形成されていくので、上記断面積比を70%以下に容易に達成することができる。
【0028】
いずれの複合体を用いるにしても、本発明方法で用いる複合体は、その表面に拡散バリヤー層および安定化銅が配置される。このうち拡散バリヤー層は、熱処理時にSn等の不純物が安定化銅に拡散して安定化銅の抵抗値が大きくなることがないように配置されるものであり、例えばNbやTaによって構成される。また、安定化銅は、形成されたNb3Sn層を安定化させるために配置されるものであり、純銅によって構成される。
【0029】
上記の各種複合体は、押し出し加工若しくは引き抜き加工した後、熱処理されることによって、線材中にNb3Sn層が形成されることになるが、この熱処理温度は700〜850℃程度が好ましい。
【0030】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変形することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0031】
【実施例】
実施例1
従来のブロンズ法線材において、Nb芯をまばらに配置すると共に、十分な熱処理を施すことによってNb芯が残らず、全てNb3Sn相となるようにアニールして線材を作製した後、ブロンズ部分をエッチング等によって全て除去し、残った部分からNb3Snを回収した。そして、回収したNb3Snを粉砕してNb3Sn粉末を調製した。
【0032】
更に、粒径50μm以下のSn粉末とCu粉末を準備し、これらの粉末と上記Nb3Sn粉末を、Nb3Sn:Sn:Cu=2:1:0.3となる様に混合して原料粉末とした。この原料粉末(後記図5の符号9)を、Tiを0.2質量%含有させた内径:4mm,外径:6mmのNb基合金製パイプ(後記図5の符号8)に充填し、対辺間距離が3mmの正六角形となるまで伸線加工した。
【0033】
その後、この伸線加工線材を50cmに長さに定尺切断して束ねて線材群とし、図5に示す様に銅製パイプ6(安定化銅)に挿入した。このとき,線材群と安定化銅との間には、拡散バリヤー層としてのNbシートを介在させた。
【0034】
上記の様にして構成した複合材を、800℃で80時間熱処理して超電導線材とした。得られた線材の高磁場(外部磁場)における臨界電流密度(オーバオールの臨界電流密度:Jc)を測定した。その結果を、図6に示す。このとき、比較の為に、断面構成を同じにして、封入粉末(原料粉末)を従来のTa6Sn5粉末にしたときのデータを合わせて示した。この結果から明らかなように、4.2K,20Tでの臨界電流密度Jcは従来法で作製した線材と比べて約30%も改善されていることが分かる。
【0035】
上記で得られた超電導線材の断面を、走査型顕微鏡(SEM)によって観察したところ、本発明方法によって得られた線材では、バイプの内側から反応によって生成したNb3Snは充填した原料粉末部分のNb3Snと一体化し、パイプの内側には一部ボイドが形成されるものの、ほとんど非超電導相は残っていないことが分かった。
【0036】
これらの結果からして、本発明方法では従来法と比較して、原料粉末の組成を適切に調整することによって、パイプ内の粉末部にもNb3Sn相が形成されて、全断面積に占める超電導部分の有効断面積が増加したことが臨界電流密度が改善させた理由であると考えることができた。
【0037】
実施例2
前記実施例1と同様にして、Nb3Sn粉末、Sn粉末およびCu粉末を準備、これらをNb3Sn:Sn:Cu=2:1:0.3となるように混合して原料粉末9とした。この原料粉末9を、Tiを0.2質量%含有させた内径:4mm、外径:6mmのNbパイプ8に充填した。そして、図7に示すように、Cu−Sn合金部材(Sn含有量:15質量%)10に6mmφの孔11を複数開け、この孔11に前記パイプ8を挿入して埋設した。そして、この外側にNbシート7(拡散バリアー層)を配置した後、最外部に安定化銅6を配置して複合ビレットとし、このビレットを押し出し加工または引き抜き加工を経て最終線径:1.3mmφの線材とした。
【0038】
上記線材を、800℃で80時間熱処理して超電導線材とした。この線材の高磁場(外部磁場)における臨界電流密度Jcを測定した。その結果を、前記図6に合わせて示す。この結果から明らかなように、4.2K,20Tでの臨界電流密度Jcは従来法で作製した線材と比べて約50%も改善されていることが分かる。
【0039】
上記で得られた超電導線材の断面を、走査型顕微鏡(SEM)によって観察したところ、本発明方法によって得られた線材では、バイプの内側から反応によって生成したNb3Snは封入粉末部分のNb3Snと一体化し、パイプ内の粉末部分にもNb3Snが生成していることは前記実施例1と同様であった。
【0040】
また、この方法によって得られた超電導線材では、Nb3Sn相はNbパイプの外側からも内側に向かって生成しており、Nbパイプには未反応のNbは殆ど残っていなかった。前述の如く、従来のブロンズ法であれば、ブロンズから供給できるSnの量に限界があるので、ブロンズに埋め込む線材の本数を増やしても、反応で生成されるNb3Sn層の断面積は増やすことはできなかった。即ち、従来のブロンズ法によっては、線材中におけるブロンズの断面積比は70%以下にできなかったのである。
【0041】
これに対して、本発明によって得られた線材においては、パイプ内側からのSn拡散が主であり、ブロンズからのSn拡散は副次的効果であるので、従来のブロンズ法よりもNb間隔を短くすることができ、その結果としてブロンズ断面積比を下げることができたのである。ちなみに、本発明によって得られた超電導線材におけるブロンズ部分の断面積比は55%程度になっていた。
【0042】
これらの結果からして、この実施例によって得られた線材の臨界電流密度が向上した理由は、パイプの内側・外側の両サイドにNb3Sn層が形成されたことにより、全断面積に占める超電導部分の有効断面積が増加したためであると考えられる。
【0043】
実施例3
前記実施例2と同様にして、Nb3Sn粉末、Sn粉末およびCu粉末を準備、これらをNb3Sn:Sn:Cu=2:1:0.3となるように混合して原料粉末9とした。この原料粉末9を、Tiを0.2質量%含有させた内径:4mm、外径:6mmのNbパイプ8(前記図7参照)に充填した。そして、前記図7のNbシート7の内側相当部分として示す様に、Cu−Sn合金部材(Sn含有量:15質量%)10に6mmφの孔11を複数開け、この孔11に前記パイプ10を挿入して埋設した。
【0044】
このビレットを伸線加工して最終的に対辺距離が5mmとなる六角材10aとした。これを50cmの長さに定尺切断し、これらを束ねて図8に示す様に複合化した。即ち、上記六角材10aを束ねた外側にNbシート(拡散バリアー層)7を配置した後、最外部に安定化銅6を配置して複合ビレットとした。そして、この複合ビレットを押し出し加工または引き抜き加工を経て最終線径:1.3mmφの線材とした。
【0045】
上記線材を、800℃で80時間熱処理して超電導線材とした。この線材の高磁場(外部磁場)における臨界電流密度Jcを測定した。その結果を、前記図6に合わせて示す。この結果から明らかなように、4.2K,20Tでの臨界電流密度Jcは従来法で作製した線材と比べて約70%も改善されていることが分かる。
【0046】
上記で得られた超電導線材の断面を、走査型顕微鏡(SEM)によって観察したところ、本発明方法によって得られた線材では、前記実施例2と同様に、Nb3Sn相はNbパイプの外側からも内側に向かって生成しており、Nbパイプには未反応のNbは殆ど残っていなかった。これは、フイラメントを細くしたことによって、前記実施例2と比較してSnの拡散距離が短くても効果的にNb3Snが形成されることになり、その結果として臨界電流密度の向上が達成されたものと考えられる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、950MHz以上の超高磁場NMRマグネットの実現を可能にする超電導線材が実現できた。この様な線材では、強磁場で永久電流モード動作が要求される高性能超電導マグネットにおいて、従来の金属系超電導マグネットよりも更に優れた超電導マグネットの製作が期待でき、その他の永久電流モードを必要とする超電導マグネット応用においても極めて有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高磁場超電導マグネットのコイル構成の一例を示す概略説明図である。
【図2】ブロンズ法によって製造されたNb3Sn超電導線材の断面を示す図面代用顕微鏡写真である。
【図3】各種製造法で製造された超電導線材の特性を比較して示したグラフである。
【図4】従来の粉末法で製造したNb3Sn線材の断面を示す図面代用顕微鏡写真である。
【図5】実施例1で用いた複合体の構成を示す概略説明図である。
【図6】各実施例1〜3で製造されたNb3Sn超電導線材の特性を比較して示したグラフである。
【図7】実施例2で用いた複合体の構成を示す概略説明図である。
【図8】実施例3で用いた複合体の構成を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1a,1b Nb3Sn線材からなるコイル
2a,2b NbTi線材からなるコイル
3 粉末コア
4 Nb3Sn層
5 Cu−Sn基合金層
6 安定化銅
7 Nbシート(拡散バリヤー層)
8 Nb基合金パイプ
9 原料粉末
10 Nb基合金パイプ
11 孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、Nb3Sn超電導線材を粉末法によって製造する方法に関するものであり、特に高分解能核磁気共鳴(NMR)分析装置に用いられる超電導マグネットの素材として有用な粉末法Nb3Sn超電導線材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気抵抗がゼロで大電流を流すことができる超電導線材を用いることで、大電流送電や強磁場発生装置等の利用が広がりつつある。特に高分解能NMR分析装置に用いられる超電導マグネットは、大電流通電による強磁場発生と抵抗ゼロを利用して電源を用いない永久電流モードの運転を行うものであり、超電導現象を利用することで初めて実現可能な応用の典型である。また、NMR分析装置では、マグネットの発生磁場が高ければ高いほど分解能が向上するので、こうした分解能を高めるという観点から近年ますます高磁場化の傾向にある。
【0003】
超電導マグネットの素材として使用されている超電導線材としては、NbTi線材とNb3Sn線材の2種類の金属系超電導線材が一般的に知られている。これらの線材における臨界磁場(超電導性を維持できる最高磁場)は、NbTiで11T、Nb3Snで25Tであるので、中・低磁場用マグネットではNbTi線材で作製され、高磁場用マグネットではその外層をNbTi線材、内層をNb3Sn線材とする組み合わせで作製されるのが一般的である。
【0004】
図1は高磁場用超電導マグネットのコイル構成の一例を示す概略説明図であり、図中1a,1bはNb3Sn線材からなるコイル、2a,2bはNbTi線材からなるコイルの夫々を示す。図示するように、超電導マグネットのコイルは、クエンチ時の保護の為に、複数に分割して作製されている。また線材の使用量を減らすために、図1に示すように、夫々のコイルは配置位置によって大きさの適性化が図られており、内側のコイルになるほど高さが低くなる様に工夫されている。この様な断面構成を有する超電導マグネットを実際に励磁した場合、マグネットにおける各コイルの磁場の大きさに分布が生じて、一般的に超電導コイルの内側ほど磁場が高くなる傾向があることから、外側のコイル(前記2a,2b)には臨界磁場の低いNbTi線材を用い、内側のコイル(前記1a,1b)にはNb3Sn線材が用いられている。
【0005】
上記の様な超電導マグネットでは、図1に示した様に超電導接続が必要となるのであるが、NbTi−NbTi間、NbTi−Nb3Sn間、およびNb3Sn−Nb3Sn間においては、技術的に既に確立されており、実用化されている。また超電導マグネットを永久電流モードで運転するに当たって、必要とされる磁場安定性は、磁場変化が0.01ppm/hr以下である。換言すれば、永久電流モードを達成するには、定格磁場を発生した数百Aの通電状態で且つ少なくとも0.5T程度以上の磁場環境下において、1×10-12Ω以下の接続抵抗を実現する必要がある。そして前記図1に示した様な構成の超電導マグネットにおいて、NMR分析装置で実現されている最高磁場は、現在のところ900MHz程度である。
【0006】
ところが、1GHz(23.5T)の高磁場になると、Nb3Sn線材の限界レベルとなる。従って、超電導マグネットの最内層コイルには、臨界磁場がより高い酸化物超電導線材がその候補材料として有力視されている。しかしながら、酸化物超電導線材を用いたコイルでは、酸化物超電導線材の超電導接続技術が完成しているとは言えないこと、および酸化物超電導線材では通電時に微少抵抗が残ること等もあって、永久電流モードでの運転は容易に実現されないことが予測できる。こうしたことから、超電導接続技術が既に確立されているNb3Sn線材の性能を更に改善して、より高磁場における永久電流運転の実現が望されているのが実状である。
【0007】
これまで用いられてきたNb3Sn線材は、ブロンズ法によって製造されるのが一般的である。このブロンズ法は、Cu−Sn基合金(ブロンズ)マトリックス中に複数のNb製芯材を埋設し、これを安定化の為の銅(安定化銅)に埋設して伸線加工により上記芯材をフィラメントとなし、或はこのフイラメントを複数束ねて線材群となし、上記フイラメントまたは線材群を600〜800℃で熱処理することによりNb製のフィラメントに上記マトリックスのSnを拡散させてNb3Sn層を生成させる方法である。
【0008】
このブロンズ法で製造されたNb3Sn線材で、現在最高性能を実現している線材の熱処理反応後の断面を図2(図面代用顕微鏡写真)に示す。図1に示したNb3Sn線材では、上記線材群の表面にNbからなる拡散バリヤ層および安定化銅を配置し、その断面形状が平角線材となる様に加工したものである。尚、図2中AはCu−Sn基合金(以下、「ブロンズ」と呼ぶことがある)、Bはブロンズ中のSnがNbの中に拡散して形成されたNb3Sn、CはNbを夫々示している。
【0009】
上記の様なNb3Sn線材において、超電導になって電流を流せるのは上記Nb3Snの部分であり、その他の部分は超電導にはならないので、より多くの電流を流すことができるためには、Nb3Sn層が厚いほど良いことが分かる。また、Nb3Sn層の厚さを厚くするためには、ブロンズからのSnをNb中に拡散させれば良い。しかしながら、800℃以下の温度領域においてブロンズ中に固溶できるSn濃度には限界があり、15.8質量%が上限である。従って、ブロンズ法においては、ブロンズ中のSnがなくなってしまうと、熱処理時間をそれ以上に如何に長くしても、Nb3Sn層の厚さをそれ以上厚くすることはできなくなる。こうしたことから、Nb3Sn線材によって更に大電流を流すためには、断面積に占めるNb3Sn相の比率が大きくなる様に別の手段を講じる必要がある。
【0010】
一方、Nb3Sn線材を製造する方法としては、上記ブロンズ法の他に、粉末法も知られている。この粉末法では、Ta6Sn5を主体とする粉末(例えば、Ta6Sn5+Cu粉末の混合粉末)原料粉末とし、これをNbまたはNb基合金(例えば、Nb/Ta合金)からなるパイプに充填した後、伸線加工して前記パイプ中の原料粉末をフィラメント状とし、この複数本を安定化の為の銅(安定化銅)内に埋設した後伸線加工して熱処理することによって、フィラメントパイプ中のSnとパイプであるNbとを反応させ、パイプの内側からNb3Sn層を形成して超電導線材とするものである。
【0011】
上記ブロンズ法や粉末法で製造されたNb3Sn線材と、他の方法(急加熱急冷法)で製造されたNb3Al線材等について、高磁場における特性(オーバオールの臨界電流密度Jc)を比較して図3に示す。尚、図3に示したように、900MHzに相当する磁場は、外部磁場がほぼ21Tのときである。
【0012】
この図から明らかなように、粉末法によって製造されたNb3Sn線材は、21T以上であっても高い臨界電流密度が達成されており、この線材は900MHz以上のNMRマグネット用線材として有力視されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした粉末法Nb3Sn線材においても、高磁場での臨界電流密度Jcの減少が著しく、永久電流運転を達成するために必要とされる臨界電流密度Jc:75A/mm2を達成するには、外部磁場は930MHzが限界であり、950MHz以上の外部磁場においても永久電流運転が可能となる超電導線材の実現が望まれているのが実状である。
【0014】
従来の粉末法で製造したNb3Sn線材の断面を図4(図面代用走査型電子顕微鏡写真)に示す。尚、図4中3は粉末コア(原料粉末部分)、4は反応によって形成されたNb3Sn層、5はNbまたはNb基合金からなるパイプ部分、6は安定化銅を夫々示す。こうした粉末法によって製造されたNb3Sn線材にあっては、Nb3Sn層の厚さは50μm程度の厚みが達成されているのであるが、上記粉末コア3の部分が問題となる。即ち、粉末法によっては、Nb3Sn層が50μm程度で形成されるのであるが、上記粉末コア3の様に原料粉末からSnが拡散して残った部分が非超電導相として残存し、超電導線材としての有効面積(超電導相の面積割合)の増大に寄与できていないのである。こうしたことから、粉末法によって製造されるNb3Sn線材において、できるだけ非超電導相を減らして超電導線材としての有効面積を増大させ、950MHz以上の超高磁場NMRマグネット用線材として、粉末法Nb3Sn線材の更なる高臨界電流密度化が切望されている状況である。
【0015】
本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、高い外部磁場においてもより高い臨界電流密度を実現することができ、950MHz以上の超高磁場NMRマグネットの実現を可能にする粉末法Nb3Sn超電導線材を製造する為の有用な方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の製造方法とは、NbまたはNb基合金からなるパイプに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を充填し、これを伸線加工した後その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理する点に要旨を有するものである。
【0017】
また、本発明の上記目的は、NbまたはNb基合金からなるパイプに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を充填し、このパイプの複数本をCu−Sn基合金製部材に埋設し、このCu−Sn基合金製部材の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理することによっても達成される。
【0018】
更に、NbまたはNb基合金からなるパイプに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を充填し、このパイプの複数本をCu−Sn基合金製部材に埋設して伸線加工した後、その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理することによっても、超電導特性を更に向上した粉末法Nb3Sn超電導線材が得られる。
【0019】
上記方法のうち、Cu−Sn基合金製部材を用いる方法にあっては、(a)前記Cu−Sn基合金製部材中のSn含有量が13〜16質量%であることや、(b)前記Cu−Sn基合金製部材の超電導線材全断面積に占める割合が70%以下であることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成する為に様々な角度から検討した。その結果、上記構成を採用すれば上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明が完成された経緯を説明しつつ、本発明の作用について説明する。
【0021】
前述の如く従来の粉末法では、Ta6Sn5を主体とする粉末を原料粉末として用いるものであるが、こうした方法では、原料粉末からNbまたはNb基合金からなるパイプへのSnの拡散の後残存する粉末コアが非超電導相となるため、全断面積に占める超電導相が占める割合に限界があることが判明した。そこで本発明者らが、粉末法によってNb3Sn線材を製造するに当たり、超電導相をなすNb3Sn層を更に大きく形成するための要件について様々な角度から検討した。
【0022】
その結果、まず原料粉末として従来のTa6Sn5を主体とする粉末の代りに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を用いれば良いとの着想が得られた。即ち、上記の様な混合粉末を原料粉末として用い、この原料粉末をNbまたはNb基合金からなるパイプに充填し、これを伸線加工した後その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリヤー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理する様にすれば、上記NbまたはNb基合金に拡散して形成されるNb3Sn層と、原料粉末中のNb3Sn粉末とが一体化されてNb3Sn相をなし、こうしたNb3Sn相の形成によってNb3Sn線材における超電導特性が格段に向上できたのである。
【0023】
本発明方法においては、原料粉末として上記の様な混合粉末を用いるものであるが、このうちNb3Snを主体とする粉末は、熱処理前は孤立しているが、熱処理によって粒子同士が焼結・連結され、超電導電流の流路となるものである。また、この粉末は、Nb3Snだけからなるものでも良いが、必要によってTiやTaを含有させても良い。これらTiやTaを含有させると、高磁場での高電流化という効果が発揮されるが、その含有量が過剰になると加工性が低下するので、0.1〜0.5質量%程度に抑えるのが良い。このNb3Snを主体とする粉末は、ブロンズ法線材で生成したNb3Sn反応層を、外側のブロンズを化学処理によってエッチングして露出させた後、採集する手段等によって調製することができる。
【0024】
原料粉末中のSn粉末は、NbまたはNb基合金にSnを拡散してNb3Sn層を形成するのに混合するものである。また、原料粉末中のCu粉末は、Nb3Sn生成の際における熱処理温度低減の為に混合されるものである。
【0025】
尚、混合粉末における上記各粉末の混合割合については特に限定するものではないが、SnがNbに拡散してNb3Snとなり、Cuはその反応温度低減、残存Nb3Snはそのまま焼結されるという点を考慮すれば、Nb3Snを主体とする粉末:Sn粉末:Cu粉末=1:0.5〜3:0.1〜0.5程度が適切である。また、これらの粉末は、熱処理時の反応性を高めるという観点から、平均粒径が50μm以下のできるだけ微細なものを用いることが好ましい。
【0026】
本発明方法において超電導線材の前駆体(熱処理前の複合体)となるものは、上記の様な原料粉末(混合粉末)をNbまたはNb基合金からなるパイプに充填し、これを伸線加工した後その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置してものであるが、(a)上記混合粉末を充填したパイプの複数本をCu−Sn基合金(ブロンズ)製部材に埋設し、このCu−Sn基合金製部材の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置した複合体や、(b)上記混合粉末を充填したパイプの複数本をCu−Sn基合金製部材に埋設して伸線加工した後、その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置した複合体を用いることも有用である。
【0027】
上記(a)または(b)の様な複合体を用いることによって、Nb3Sn層はNbまたはNb基合金パイプの内側ばかりでなく、その外側にも形成されることになって、Nb3Sn線材の特性を更に向上させることができる。こうした構成の複合体を用いる場合には、Nb(パイプ)へのSn拡散をできるだけ促進するという観点から、上記Cu−Sn基合金中のSn含有量は固溶限内でできるだけ多い方が良く、こうした観点から前記Sn含有量は13〜16質量%程度が好ましい。また、ブロンズを併用した製造方法では、線材と特性をより向上させるという観点から、線材全断面積に占めるブロンズ部分の断面積比ができるだけ小さくするのが良いこことが分かるが、本発明方法(Cu−Sn基合金部材を用いる方法)では、パイプの内側と外側の両方からNb3Sn層が形成されていくので、上記断面積比を70%以下に容易に達成することができる。
【0028】
いずれの複合体を用いるにしても、本発明方法で用いる複合体は、その表面に拡散バリヤー層および安定化銅が配置される。このうち拡散バリヤー層は、熱処理時にSn等の不純物が安定化銅に拡散して安定化銅の抵抗値が大きくなることがないように配置されるものであり、例えばNbやTaによって構成される。また、安定化銅は、形成されたNb3Sn層を安定化させるために配置されるものであり、純銅によって構成される。
【0029】
上記の各種複合体は、押し出し加工若しくは引き抜き加工した後、熱処理されることによって、線材中にNb3Sn層が形成されることになるが、この熱処理温度は700〜850℃程度が好ましい。
【0030】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変形することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0031】
【実施例】
実施例1
従来のブロンズ法線材において、Nb芯をまばらに配置すると共に、十分な熱処理を施すことによってNb芯が残らず、全てNb3Sn相となるようにアニールして線材を作製した後、ブロンズ部分をエッチング等によって全て除去し、残った部分からNb3Snを回収した。そして、回収したNb3Snを粉砕してNb3Sn粉末を調製した。
【0032】
更に、粒径50μm以下のSn粉末とCu粉末を準備し、これらの粉末と上記Nb3Sn粉末を、Nb3Sn:Sn:Cu=2:1:0.3となる様に混合して原料粉末とした。この原料粉末(後記図5の符号9)を、Tiを0.2質量%含有させた内径:4mm,外径:6mmのNb基合金製パイプ(後記図5の符号8)に充填し、対辺間距離が3mmの正六角形となるまで伸線加工した。
【0033】
その後、この伸線加工線材を50cmに長さに定尺切断して束ねて線材群とし、図5に示す様に銅製パイプ6(安定化銅)に挿入した。このとき,線材群と安定化銅との間には、拡散バリヤー層としてのNbシートを介在させた。
【0034】
上記の様にして構成した複合材を、800℃で80時間熱処理して超電導線材とした。得られた線材の高磁場(外部磁場)における臨界電流密度(オーバオールの臨界電流密度:Jc)を測定した。その結果を、図6に示す。このとき、比較の為に、断面構成を同じにして、封入粉末(原料粉末)を従来のTa6Sn5粉末にしたときのデータを合わせて示した。この結果から明らかなように、4.2K,20Tでの臨界電流密度Jcは従来法で作製した線材と比べて約30%も改善されていることが分かる。
【0035】
上記で得られた超電導線材の断面を、走査型顕微鏡(SEM)によって観察したところ、本発明方法によって得られた線材では、バイプの内側から反応によって生成したNb3Snは充填した原料粉末部分のNb3Snと一体化し、パイプの内側には一部ボイドが形成されるものの、ほとんど非超電導相は残っていないことが分かった。
【0036】
これらの結果からして、本発明方法では従来法と比較して、原料粉末の組成を適切に調整することによって、パイプ内の粉末部にもNb3Sn相が形成されて、全断面積に占める超電導部分の有効断面積が増加したことが臨界電流密度が改善させた理由であると考えることができた。
【0037】
実施例2
前記実施例1と同様にして、Nb3Sn粉末、Sn粉末およびCu粉末を準備、これらをNb3Sn:Sn:Cu=2:1:0.3となるように混合して原料粉末9とした。この原料粉末9を、Tiを0.2質量%含有させた内径:4mm、外径:6mmのNbパイプ8に充填した。そして、図7に示すように、Cu−Sn合金部材(Sn含有量:15質量%)10に6mmφの孔11を複数開け、この孔11に前記パイプ8を挿入して埋設した。そして、この外側にNbシート7(拡散バリアー層)を配置した後、最外部に安定化銅6を配置して複合ビレットとし、このビレットを押し出し加工または引き抜き加工を経て最終線径:1.3mmφの線材とした。
【0038】
上記線材を、800℃で80時間熱処理して超電導線材とした。この線材の高磁場(外部磁場)における臨界電流密度Jcを測定した。その結果を、前記図6に合わせて示す。この結果から明らかなように、4.2K,20Tでの臨界電流密度Jcは従来法で作製した線材と比べて約50%も改善されていることが分かる。
【0039】
上記で得られた超電導線材の断面を、走査型顕微鏡(SEM)によって観察したところ、本発明方法によって得られた線材では、バイプの内側から反応によって生成したNb3Snは封入粉末部分のNb3Snと一体化し、パイプ内の粉末部分にもNb3Snが生成していることは前記実施例1と同様であった。
【0040】
また、この方法によって得られた超電導線材では、Nb3Sn相はNbパイプの外側からも内側に向かって生成しており、Nbパイプには未反応のNbは殆ど残っていなかった。前述の如く、従来のブロンズ法であれば、ブロンズから供給できるSnの量に限界があるので、ブロンズに埋め込む線材の本数を増やしても、反応で生成されるNb3Sn層の断面積は増やすことはできなかった。即ち、従来のブロンズ法によっては、線材中におけるブロンズの断面積比は70%以下にできなかったのである。
【0041】
これに対して、本発明によって得られた線材においては、パイプ内側からのSn拡散が主であり、ブロンズからのSn拡散は副次的効果であるので、従来のブロンズ法よりもNb間隔を短くすることができ、その結果としてブロンズ断面積比を下げることができたのである。ちなみに、本発明によって得られた超電導線材におけるブロンズ部分の断面積比は55%程度になっていた。
【0042】
これらの結果からして、この実施例によって得られた線材の臨界電流密度が向上した理由は、パイプの内側・外側の両サイドにNb3Sn層が形成されたことにより、全断面積に占める超電導部分の有効断面積が増加したためであると考えられる。
【0043】
実施例3
前記実施例2と同様にして、Nb3Sn粉末、Sn粉末およびCu粉末を準備、これらをNb3Sn:Sn:Cu=2:1:0.3となるように混合して原料粉末9とした。この原料粉末9を、Tiを0.2質量%含有させた内径:4mm、外径:6mmのNbパイプ8(前記図7参照)に充填した。そして、前記図7のNbシート7の内側相当部分として示す様に、Cu−Sn合金部材(Sn含有量:15質量%)10に6mmφの孔11を複数開け、この孔11に前記パイプ10を挿入して埋設した。
【0044】
このビレットを伸線加工して最終的に対辺距離が5mmとなる六角材10aとした。これを50cmの長さに定尺切断し、これらを束ねて図8に示す様に複合化した。即ち、上記六角材10aを束ねた外側にNbシート(拡散バリアー層)7を配置した後、最外部に安定化銅6を配置して複合ビレットとした。そして、この複合ビレットを押し出し加工または引き抜き加工を経て最終線径:1.3mmφの線材とした。
【0045】
上記線材を、800℃で80時間熱処理して超電導線材とした。この線材の高磁場(外部磁場)における臨界電流密度Jcを測定した。その結果を、前記図6に合わせて示す。この結果から明らかなように、4.2K,20Tでの臨界電流密度Jcは従来法で作製した線材と比べて約70%も改善されていることが分かる。
【0046】
上記で得られた超電導線材の断面を、走査型顕微鏡(SEM)によって観察したところ、本発明方法によって得られた線材では、前記実施例2と同様に、Nb3Sn相はNbパイプの外側からも内側に向かって生成しており、Nbパイプには未反応のNbは殆ど残っていなかった。これは、フイラメントを細くしたことによって、前記実施例2と比較してSnの拡散距離が短くても効果的にNb3Snが形成されることになり、その結果として臨界電流密度の向上が達成されたものと考えられる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、950MHz以上の超高磁場NMRマグネットの実現を可能にする超電導線材が実現できた。この様な線材では、強磁場で永久電流モード動作が要求される高性能超電導マグネットにおいて、従来の金属系超電導マグネットよりも更に優れた超電導マグネットの製作が期待でき、その他の永久電流モードを必要とする超電導マグネット応用においても極めて有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高磁場超電導マグネットのコイル構成の一例を示す概略説明図である。
【図2】ブロンズ法によって製造されたNb3Sn超電導線材の断面を示す図面代用顕微鏡写真である。
【図3】各種製造法で製造された超電導線材の特性を比較して示したグラフである。
【図4】従来の粉末法で製造したNb3Sn線材の断面を示す図面代用顕微鏡写真である。
【図5】実施例1で用いた複合体の構成を示す概略説明図である。
【図6】各実施例1〜3で製造されたNb3Sn超電導線材の特性を比較して示したグラフである。
【図7】実施例2で用いた複合体の構成を示す概略説明図である。
【図8】実施例3で用いた複合体の構成を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1a,1b Nb3Sn線材からなるコイル
2a,2b NbTi線材からなるコイル
3 粉末コア
4 Nb3Sn層
5 Cu−Sn基合金層
6 安定化銅
7 Nbシート(拡散バリヤー層)
8 Nb基合金パイプ
9 原料粉末
10 Nb基合金パイプ
11 孔
Claims (5)
- NbまたはNb基合金からなるパイプに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を充填し、これを伸線加工した後その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理することを特徴とする粉末法Nb3Sn超電導線材の製造方法。
- NbまたはNb基合金からなるパイプに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を充填し、このパイプの複数本をCu−Sn基合金製部材に埋設し、このCu−Sn基合金製部材の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理することを特徴とする粉末法Nb3Sn超電導線材の製造方法。
- NbまたはNb基合金からなるパイプに、(1)Nb3Snを主体とする粉末、(2)Sn粉末、および(3)Cu粉末からなる混合粉末を充填し、このパイプの複数本をCu−Sn基合金製部材に埋設して伸線加工した後、その複数本を束ねて線材群とし、この線材群の表面に拡散バリアー層および安定化銅を配置して複合体とし、この複合体を押し出し加工若しくは引き抜き加工した後熱処理することを特徴とする粉末法Nb3Sn超電導線材の製造方法。
- 前記Cu−Sn基合金製部材中のSn含有量が13〜16質量%である請求項2または3に記載の製造方法。
- 前記Cu−Sn基合金製部材の超電導線材全断面積に占める割合が70%以下である請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
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