JP3866877B2 - 双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法および装置、記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法および装置、更にはこれらをソフトウェアの機能で実現するためのプログラムを格納した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶融金属(溶鋼)を板状に加工する連続鋳造の処理を行った後で、熱間圧延機により板厚を目標値に自動制御する工程では、圧延機を材料が通ったときに圧延ロールに加わる反力の大きさに基づき圧下位置(ロールギャップ)を調整する方式や、圧延機の入側ないしは出側で測定した板厚に基づき圧下位置を調整する方式が一般に用いられている。また、板温に応じてこれら自動制御のゲインを調整する方法も提案されている。
【0003】
例えば、特開昭62−45419号公報では、熱間タンデム圧延機の自動板厚制御において、第1スタンド入側に設置した温度計により測定される板温を圧延材の移動と共にトラッキングし、空冷またはクーラントにより下降する温度分、および圧延により上昇する温度分を補償して、各圧延スタンド直前の板温を予測する。そして、この予測した板温に応じて圧延材の塑性係数(板の硬さ)を決定し、自動板厚制御のゲインを演算する例が示されている。
【0004】
ところで、上記溶融金属を板状に加工する連続鋳造設備の1つに、双ドラム式ストリップ連続鋳造設備(STC)というものがある。その構成例を図6に示す。図6に示すように、双ドラム式連続鋳造設備においては、所定の間隔を開けて互いに平行に配置された一対の冷却ドラム1と、これらの冷却ドラム1の両側面に押しつけられた状態で配設された一対のサイド堰52とにより連続鋳造鋳型が構成されている。
【0005】
そして、タンディッシュ53と呼ばれる予熱層内に溜められている鉄やアルミニウム等の溶融金属(溶鋼)54を上記連続鋳造鋳型内に連続的に注入して湯溜まり55を形成しておき、上記冷却ドラム1に接触している溶融金属54を冷却ドラム1の表面上に薄く凝固させる。
【0006】
そして、表面に金属が凝固した上記一対の冷却ドラム1を矢印のように回転させることにより、上記薄く凝固させた金属により帯状鋳片2を形成して下方に送り出すようにしている。なお、上記タンディッシュ53には、ステッピングシリンダ58によって供給量を調節されながら、レードルと呼ばれる溶鋼鍋57から所定量の溶融金属54が常に供給されるようになされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような双ドラム式連続鋳造設備においては、2つの冷却ドラム1間に注入した溶融金属54がサイド堰52などで凝固し、この凝固した金属片がサイド堰52から湯溜まり55に落ちることによって帯状鋳片2に混入する現象が発生する。このように金属片が混入した部分は、一般に、鋳片の他の部分と比較して板厚が厚く、同時に板温が高い。このような部分を「ホットバンド」と言う。
【0008】
図7に示すように、ホットバンドにおける板厚Hおよび板温の変動は急峻で、かつライン方向に対して発生する時間範囲Wも極めて微小であり、通常の板厚変動とは性質がかなり異なる。したがって、従来の自動板厚制御方式では、上述のような急激な板厚変動に対して高精度に板厚制御を行うことは困難である。そのため、ホットバンド部分では、ホットバンドに特有の塑性係数を求めて圧延機のゲインを調整することが必要となる。
【0009】
しかしながら、上記に示した特開昭62−45419号公報を含め、従来の板厚制御方式では、双ドラム式連続鋳造において発生する急峻な板厚変動には対応できない。すなわち、ホットバンドは極めて急峻で、発生する時間範囲Wが極めて短いため、従来の方法では応答遅れ、制御精度の面から問題があった。
【0010】
なお、ライン上における鋳片の搬送速度を遅くすれば、ホットバンドの発生するライン方向に対する時間範囲Wを長くすることができるが、製造効率が悪化することや、空冷等により鋳片の温度低下が必要以上に発生してしまう等の様々な事情から、搬送速度を遅くすることは好ましくない。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みて成されたものであり、急激かつ微小な板厚変動を有するホットバンドに対しても、ホットバンドに特有のゲイン調整をして高精度な板厚制御を行うことが確実にできるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法は、双ドラム式連続鋳造設備により鋳造される圧延材を圧延機により圧延してその板厚を制御する板厚制御方法であって、板厚変動部の塑性係数および板厚変動のない定常部の塑性係数の比と、上記圧延機の入側における上記圧延材の板厚もしくは目標板厚に対する偏差、あるいは板温もしくは目標板温に対する偏差との関係を表す特性情報を有し、上記圧延機の入側に設置された板厚測定手段または板温測定手段により測定される板厚または板温と上記特性情報とに基づいて、上記圧延機の圧下位置修正量を演算して上記圧延機の圧下位置を制御することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様では、上記特性情報に基づいて、上記圧延機の入側に設置された板厚測定手段または板温測定手段により測定される板厚または板温から上記塑性係数比を決定し、その決定した塑性係数比を用いて、上記板厚変動部に対する上記圧延機の圧下位置修正量を演算するようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明のその他の態様では、上記板厚変動部における板厚の変動が基準値を超えている場合にのみ、上記特性情報に基づく圧下位置修正量の演算を行うことを特徴とする。
また、上記板厚測定手段により測定される板厚を上記圧延材の移動と共にトラッキングすることにより急峻な板厚変動を捉え、このときトラッキングされる板厚を用いて上記特性情報に基づく圧下位置修正量の演算を行うようになされ、上記板厚変動部における板厚の変動が基準値を超えている場合にのみ、上記板厚のトラッキングおよび上記特性情報に基づく圧下位置修正量の演算を行うようにしても良い。
【0015】
また、本発明の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御装置は、双ドラム式連続鋳造設備により鋳造される圧延材を圧延機により圧延してその板厚を制御する板厚制御装置であって、上記圧延機の入側に設置された板厚測定手段と、上記圧延機の入側に設置された板温測定手段と、上記板厚測定手段により測定される板厚または上記板温測定手段により測定される板温と、板厚変動部の塑性係数および板厚変動のない定常部の塑性係数の比と上記圧延機の入側における上記圧延材の板厚もしくは目標板厚に対する偏差、あるいは板温もしくは目標板温に対する偏差との関係を表す特性情報とに基づいて、上記圧延機の圧下位置修正量を演算して上記圧延機の圧下位置を制御する演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様では、上記演算手段は、上記特性情報に基づいて、上記圧延機の入側に設置された板厚測定手段により測定される板厚から上記塑性係数比を決定し、その決定した塑性係数比を用いて、上記板厚変動部に対する上記圧延機の圧下位置修正量を演算することを特徴とする。
【0017】
本発明のその他の態様では、上記演算手段は、上記板厚変動部における板厚の変動が基準値を超えている場合にのみ、上記特性情報に基づく圧下位置修正量の演算を行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、請求項1〜4の何れか1項に記載の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラム、あるいは請求項5〜7の何れか1項に記載の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【0019】
上記のように構成した本発明によれば、測定された板厚または板温に基づいて、所定の特性情報からホットバンド部と定常部との塑性係数比が求められ、かつ定常部の塑性係数は別に求められるので、板厚が急峻かつ微小に変動するホットバンドの塑性係数を、板温または板厚から把握することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御装置の構成を模式的に示すブロック図であり、一対の冷却ドラム1から送り出された帯状鋳片2は、図の左側から太矢印の方向へと搬送される。
【0021】
図1において、3はピンチロールであり、図示しない駆動装置(モータ)によって矢印のように回転させられることにより、帯状鋳片2の搬送を行う。4はパルス発生器であり、ピンチロール3が所定量だけ回転する毎にパルスを発生する。すなわち、このパルス発生器4は、ピンチロール3の図示しないモータに接続され、ピンチロール3の回転速度、つまり帯状鋳片2の搬送速度に応じた間隔でパルスを順次発生する。
【0022】
また、5は圧延機9の入側に配置された板厚計、6は同じく圧延機9の入側に配置された板温計である。7はトラッキング回路であり、パルス発生器4から順次与えられるパルスに同期して、板厚計5により計測された板厚、板温計6により計測された板温を帯状鋳片2の移動と共に記録する。ホットバンド上で発生する板厚変動は急峻かつ微小であるため、このトラッキングは高精度に行う必要がある。そこで、板厚計5から圧延機9までの距離をある間隔に等分したテーブルを持つことにより、高精度にトラッキングを行う。
【0023】
8は演算回路であり、トラッキング回路7より供給される板厚や板温のトラッキング結果に基づいて、帯状鋳片2の塑性係数を補償して圧延機9の圧下位置修正量を求める。圧延機9は、演算回路8により求められた圧下位置修正量に従って、ロールの圧下位置(ロールギャップ)を修正することにより、出側板厚が目標値となるように制御する。
【0024】
次に、上記演算回路8において、トラッキング回路7によりトラッキングされた板厚および板温から、帯状鋳片2の塑性係数を考慮して、圧延機9におけるロールの圧下位置修正量を求める方法を以下に詳しく説明する。本実施形態では、圧延機9に対してホットバンドに特有のゲイン調整を行うことを目的としているため、まず帯状鋳片2のホットバンド部における鋳片の塑性係数を求める必要がある。以下に述べる例では、これを板厚から求めるようにする。
【0025】
帯状鋳片2のホットバンド部(板厚変動部)における塑性係数をQi 、板厚の変動がない定常部における塑性係数をQo とする。ここで、これらの塑性係数の比をαとすると、塑性係数比αは、
α=Qi /Qo …(1)
と表せる。
【0026】
板厚変動がない定常部においては、板温計6の応答性に関係なく板温を測定することができるので、その測定した板温から定常部の塑性係数Qo を求めることが可能である。例えば、従来例として挙げた特開昭62−45419号公報に記載されている方法を用いて、定常部の板温に応じて塑性係数Qo を決定することができる。したがって、上記式(1) から、ホットバンド部の塑性係数Qi は、塑性係数比αの値が分かれば決定できるということになる。
【0027】
以下に、塑性係数比αの計算方法を示す。圧延機9の出側における板厚目標値をh、圧延機9のミル剛性定数をM、圧延機9の圧下位置(ロールギャップ)をSとすると、帯状鋳片2の定常部を圧延機9で圧延したときの圧延荷重Pは、以下の式(2) のように表せる。
P=M(h−S) …(2)
これは、圧延機9のミル自身の剛性(硬さ)を考慮して圧延荷重Pを表現したものである。
【0028】
また、圧延機9の入側における板厚目標値をHとすると、上記定常部を圧延したときの圧延荷重Pは、鋳片の定常部塑性係数Qo を用いて以下の式(3) のようにも表せる。
P=Qo(H−h) …(3)
これは、帯状鋳片2の硬さを考慮して圧延荷重Pを表現したものである。したがって、上記式(2) および式(3) から、次の式(4) が成り立つ。
M(h−S)=Qo(H−h) …(4)
【0029】
一方、圧延機9の入側におけるホットバンド部の目標値に対する板厚偏差をΔH、圧延機9の圧下位置修正量をΔSとすると、ホットバンド部を圧延機9で圧延したときの圧延荷重をPH は、式(1) の関係を用いて、以下の式(5) のように表せる。
この式(5) をαについて解くと、次の式(6) のようになる。
【0030】
【数1】
【0031】
さらに、この式(6) を上記式(4) を用いて変形すると、次の式(7) が導出される。
【0032】
【数2】
【0033】
さらに、上記式(7) をΔSについて解くと、次の式(8) のようになる。これから明らかなように、演算回路8において求めるべき圧下位置修正量ΔSは、板温計6により測定される板温から求まる定常部塑性係数Qo と、板厚計5により測定される圧延機9の入側における板厚の目標値Hに対する偏差ΔHと、塑性係数比αとが分かれば求めることができる。
【0034】
なお、以上の式では圧延機9の出側における板厚偏差Δhは省略してあるが、後述する特性情報を得る際において常にΔh=0になるとは限らない。したがって、上記式(8) における塑性係数比αに関しては、出側の板厚偏差Δhも考慮して入側の板厚偏差ΔHと塑性係数比αとの関係をあらかじめ実験的に求めておけば良い。
【0035】
【数3】
【0036】
図2は、上記式(1) 〜式(8) の関係を模式的に表した図であり、X軸は圧延機9の入側/出側における帯状鋳片2の板厚と、圧延機9の圧下位置(ロールギャップ)を表し、Y軸は圧延機9にかかる圧延荷重を表している。板厚変動が生じていない定常部においては、圧延機9にかかる圧延荷重Pは、2つの実線の直線10,11(それぞれ式(2) および式(3) に対応)の交点におけるY座標により表される。このような圧延荷重Pを帯状鋳片2に加えることにより、圧延機9の出側における板厚が目標値hとなるように制御される。
【0037】
これに対して、帯状鋳片2上にホットバンドが発生して、圧延機9の入側において板厚偏差ΔHが生じるとともに、塑性係数がQo からQi =αQo に変化すると、上記に示した直線11は、点線で示す直線12(式(5) の最終項に対応)のように変化する。なお、ホットバンド部は、定常部と比べて板が軟らかくなっているので、定常部塑性係数Qo よりもホットバンド部塑性係数Qi の方が値が小さく、直線12の傾きが直線11のそれよりも小さくなっている。
【0038】
このような状態において、圧延機9の圧下位置を何ら調整しないと、圧延機9の出側における板厚は、直線10と直線12の交点におけるX座標で示される値h+Δhとなってしまい、出側板厚目標値hに対して偏差Δhを生じてしまう。そこで、演算回路8により式(8) に基づき圧下位置修正量ΔSを計算し、圧延機9の圧下位置を点線で示す直線13(式(5) の第2項に対応)のように調整することにより、圧延機9の出側の板厚を目標値hに維持できるようにする。
【0039】
ここで、圧延機9の入側板厚偏差ΔHと塑性係数比αとの関係を図3に示す。図3において、横軸は入側板厚偏差ΔH、縦軸は塑性係数比αを示す。この図3に示すグラフは、実際に帯状鋳片2を圧延機9に通したときに生じた入側板厚偏差ΔHを測定するとともに、そのときの塑性係数比αを、出側板厚偏差Δhを含む実圧延結果を用いて実験的に求め、その結果を複数のドットでプロットしたものである。
【0040】
この図3のような入側板厚偏差ΔHと塑性係数比αとの関係を表す特性情報をあらかじめ登録しておけば、塑性係数比αは入側板厚偏差ΔHから求めることができる。よって、上記式(8) に示した圧下位置修正量ΔSは、この特性情報を用いれば、板温計6により測定される板温から求まる定常部塑性係数Qo と、板厚計5により測定される圧延機9の入側における板厚偏差ΔHとから決定することができる。
【0041】
図4は、図1に示した本実施形態による板厚制御装置を用いて行う板厚制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
図4において、まずステップS1で、圧延機9の入側における帯状鋳片2の板厚を板厚計5により測定する。そして、ステップS2で、上記測定した板厚が、あらかじめ設定されている基準値を超えているか否かを判断する。
【0042】
ここで、板厚が基準値を超えていない場合は、そこにはホットバンドが存在しないと考えられるので、ステップS3に進み、通常のAGC(Auto Gain Control )により圧延機9の圧下位置を制御する。すなわち、演算回路8は、板温計6より与えられる板温に基づいて帯状鋳片2の塑性係数を決定し、圧延機9における自動板厚制御のゲインを演算する。なお、このとき帯状鋳片2に板厚変動が生じていても、それがホットバンドでない場合は、応答性の良くない板温計6でも板温を測定することができ、通常のAGCで十分に対応可能である。
【0043】
一方、板厚計5により測定された板厚が基準値を超えている場合は、そこにホットバンドが存在すると考えられるので、ステップS4以降の処理に進み、ホットバンド用のAGCを実行する。すなわち、まずステップS4で、トラッキング回路7により板厚のトラッキングを開始する。なお、図4では板厚の測定がステップS1で行われるように記載されているが、実際にはこの測定は常時行われており、その測定された結果がトラッキング回路7により記録される。
【0044】
このトラッキングは、上述したように高精度に行っているため、ホットバンドの急峻かつ微小な板厚変動を確実に検出することができる。次のステップS5では、演算回路8において、図3に示したような入側板厚偏差ΔHと塑性係数比αとの特性情報を利用して、トラッキング回路7より与えられる入側板厚の目標値Hに対する偏差ΔHから塑性係数比αを決定する。
【0045】
そして、ステップS6で演算回路8は、上記決定した塑性係数比αを用いて、上記式(8) に基づいて圧下位置修正量ΔSを求め、ステップS7で圧延機9の圧下位置を制御する。なお、この式(8) における定常部塑性係数Qo は、板温計6により計測された板温から求められる。図5は、以上のような板厚制御方法を実施した結果を示す図である。
【0046】
図5において、グラフAは圧延機9の入側における帯状鋳片2の板厚偏差を示すものであり、ある時間帯でホットバンドが生じていることが示されている。これに対し、グラフBは圧延機9の出側における帯状鋳片2の板厚偏差を示すものであり、ホットバンド部分においても良好な出側板厚偏差が得られていることが示されている。
【0047】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、図3に示したような特性を利用して、圧延機9の入側における板厚偏差ΔHから塑性係数比α、引いてはホットバンド部塑性係数Qi を推定し、それをもとに圧延機9の圧下位置を修正するようにしたので、双ドラム式連続鋳造設備における連続鋳造の際に生じる急峻な板厚変動(ホットバンド)に対しても、高精度な板厚制御を確実に実施することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、図4のフローチャートで説明したように、測定された板厚が所定値を超えた場合にのみホットバンドAGCを実施するようにしたので、通常のAGCで対応可能なホットバンド以外の部分では板厚トラッキング等の不要な動作は行わないようにすることができる。
【0049】
なお、以上に説明した本実施形態の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法、特に演算回路8における演算処理は、CPUあるいはMPU、RAM、ROMなどで構成されるコンピュータにおいて、上記RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
【0050】
したがって、本発明は、コンピュータが上記機能を果たすように動作させるプログラムを例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、これをコンピュータに読み込ませることによって実現できるものである。なお、上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることが可能である。
【0051】
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全てあるいは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明の実施形態に含まれる。
【0052】
なお、上記実施形態では、ホットバンド部とそうでない部分とで板厚制御のAGC方式を変えているが、全ての部分に対してホットバンドAGCを適用するようにしても良い。
また、上記実施形態では、図3のような入側板厚偏差ΔHと塑性係数比αとの関係を表す特性情報を用いているが、測定される板厚そのものと塑性係数比αとの関係を表す特性情報であっても良い。
【0053】
また、板厚(偏差)と塑性係数比αとの関係からホットバンドの塑性係数を推定するのではなく、板温(偏差)と塑性係数比αとの関係から塑性係数を推定するようにすることも可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明は上述したように、板厚変動部の塑性係数および板厚変動のない定常部の塑性係数の比と、圧延機の入側における圧延材の板厚もしくは目標板厚に対する偏差、あるいは板温もしくは目標板温に対する偏差との関係を表す特性情報を有し、測定される板厚または板温と上記特性情報とに基づいて、圧延機の圧下位置修正量を演算するようにしたので、板厚が急峻かつ微小に変動するホットバンドの塑性係数を、板厚または板温から求めることができ、ホットバンドに特有のゲイン調整を行うことができる。これにより、急激かつ微小な板厚変動を有するホットバンドに対しても、高精度な板厚制御を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態による双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】圧延機の圧下位置修正量の計算方法を模式的に示す図である。
【図3】圧延機の入側における鋳片の板厚偏差と塑性係数比との関係を示す特性図である。
【図4】図1に示した本実施形態による板厚制御装置を用いて行う板厚制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法を実施した結果を示す図である。
【図6】双ドラム式連続鋳造設備の一部構成を示す図である。
【図7】ホットバンドについて説明するための図である。
【符号の説明】
1 冷却ドラム
2 帯状鋳片
3 ピンチロール
4 パルス発生器
5 入側板厚計
6 入側板温計
7 トラッキング回路
8 演算回路
9 圧延機
Claims (9)
- 双ドラム式連続鋳造設備により鋳造される圧延材を圧延機により圧延してその板厚を制御する板厚制御方法であって、
板厚変動部の塑性係数および板厚変動のない定常部の塑性係数の比と、上記圧延機の入側における上記圧延材の板厚もしくは目標板厚に対する偏差、あるいは板温もしくは目標板温に対する偏差との関係を表す特性情報を有し、
上記圧延機の入側に設置された板厚測定手段または板温測定手段により測定される板厚または板温と上記特性情報とに基づいて、上記圧延機の圧下位置修正量を演算して上記圧延機の圧下位置を制御することを特徴とする双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法。 - 上記特性情報に基づいて、上記圧延機の入側に設置された板厚測定手段または板温測定手段により測定される板厚または板温から上記塑性係数比を決定し、その決定した塑性係数比を用いて、上記板厚変動部に対する上記圧延機の圧下位置修正量を演算するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法。
- 上記板厚変動部における板厚の変動が基準値を超えている場合にのみ、上記特性情報に基づく圧下位置修正量の演算を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法。
- 上記板厚測定手段により測定される板厚を上記圧延材の移動と共にトラッキングすることにより急峻な板厚変動を捉え、このときトラッキングされる板厚を用いて上記特性情報に基づく圧下位置修正量の演算を行うようになされ、
上記板厚変動部における板厚の変動が基準値を超えている場合にのみ、上記板厚のトラッキングおよび上記特性情報に基づく圧下位置修正量の演算を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法。 - 双ドラム式連続鋳造設備により鋳造される圧延材を圧延機により圧延してその板厚を制御する板厚制御装置であって、
上記圧延機の入側に設置された板厚測定手段と、
上記圧延機の入側に設置された板温測定手段と、
上記板厚測定手段により測定される板厚または上記板温測定手段により測定される板温と、板厚変動部の塑性係数および板厚変動のない定常部の塑性係数の比と上記圧延機の入側における上記圧延材の板厚もしくは目標板厚に対する偏差、あるいは板温もしくは目標板温に対する偏差との関係を表す特性情報とに基づいて、上記圧延機の圧下位置修正量を演算して上記圧延機の圧下位置を制御する演算手段とを備えたことを特徴とする双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御装置。 - 上記演算手段は、上記特性情報に基づいて、上記圧延機の入側に設置された板厚測定手段により測定される板厚から上記塑性係数比を決定し、その決定した塑性係数比を用いて、上記板厚変動部に対する上記圧延機の圧下位置修正量を演算することを特徴とする請求項5に記載の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御装置。
- 上記演算手段は、上記板厚変動部における板厚の変動が基準値を超えている場合にのみ、上記特性情報に基づく圧下位置修正量の演算を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御装置。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の双ドラム式連続鋳造設備における板厚制御方法の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 請求項5〜7の何れか1項に記載の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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