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JP3863088B2 - エポキシ樹脂の硬化剤、その組成物及びその用途 - Google Patents

エポキシ樹脂の硬化剤、その組成物及びその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリチオエステル化合物からなる新規なエポキシ樹脂硬化剤に関する。さらに詳しくは、かかる硬化剤を含有する成形材、各種バインダー、コーティング材、積層材などに有用なエポキシ樹脂組成物に関する。特には、エポキシ樹脂系半導体封止材における硬化剤として使用するときに、低吸水性、低弾性率、低溶融粘度を兼ね備え、成形硬化性にも優れたポリチオエステル系エポキシ樹脂硬化剤及びそれとエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、これまでアミン類、酸無水物類、ポリアミド類、イミダゾール類、ポリフェノール類、ポリメルカプタン類などが知られている。その他にも、カチオン系やアニオン系の触媒系硬化剤や熱又は光潜在性を有する特殊な硬化剤も知られている。この中で、ポリメルカプタン類については、3級アミンを硬化促進剤として併用するときに、低温速硬化が可能で、ポットライフの比較的長い硬化剤として実用化されている。これらはいずれも複数のメルカプタン基(−SH基)を有する化合物であって、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、脂肪族ポリサルファイドなどが知られているが、悪臭を呈することが大きな問題である。
【0003】
一方、半導体封止用に用いられる樹脂組成物としては、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂とともに、硬化剤としてフェノール性水酸基を有する化合物を用いるのが一般的である。もっとも光半導体や液状封止用には、硬化剤として酸無水物やアミン系硬化剤が用いられている。いずれにしてもメルカプタン系の硬化剤は使用されていない。仮に半導体封止用にポリメルカプタン系硬化剤を用いた場合、悪臭以外にも、経時的に粘度が増大し流動性が低下する、低温でも反応し熱潜在性が小さい、吸水性に劣る、燃えやすい、など種々の欠点が予測される。
【0004】
ところが近年、半田の鉛フリー化による実装温度の上昇、LSIチップの大型化、パッケージの薄型化/小型化、パッケージ形状の多様化などに伴い、封止材に対する要求性能が大きく変わってきており、従来のエポキシ樹脂封止材料では、耐湿性、耐熱性、信頼性などの点で充分な対応が難しくなってきている。例えば、半田付け時の熱処理時に、吸湿水分の急激な気化膨張に伴うパッケージのクラックや剥離の発生が問題になっている。また一方で、生産性向上の観点から、流動性に優れ、かつ即硬化性があり、成形サイクルの短い硬化剤が要求されている。
【0005】
半田耐熱性のさらなる向上のためには、吸水性が低く、半田付け温度における弾性率が低いエポキシ樹脂や硬化剤の開発が望まれている。またLSI構成部品との接着性向上なども求められている。このような要望に対して、硬化剤としてフェノールアラルキル樹脂を用いる方法が採用されている(例えば、特許文献1〜2を参照)。フェノールアラルキル樹脂は、フェノール化合物をハロメチル基やアルコキシメチル基、ヒドロキシメチル基などを2個有する芳香族化合物と反応させることによって得られるもので、OH基濃度が低下する効果で低吸水化や熱時低弾性化を図るものであり、それなりの効果は認められるが、未だ充分なものではなかった。
【0006】
最近、アルコキシメチル基を2個以上有する芳香族化合物にビス(メトキシメチルビフェニル)を反応させたタイプのフェノールビフェニルアラルキル樹脂が提案されており(例えば、特許文献3参照)、ある程度の改善はなされているが、この場合も充分満足すべきものとは言えない。とくに鉛フリー半田対応で、半田付け温度の上昇が避けられない状況では、さらなる低吸水化や低弾性率化の材料が求められている。また、このような水酸基当量の高い材料は、硬化性の低下を引き起こし、成形サイクルの延長や、ゲート詰まり、離型不良、スタッキングなど、生産性が大幅に損なわれるという欠点を有している。
【0007】
この他にもナフトールなど多環芳香族化合物の利用なども提案されているが(特許文献4参照)、溶融粘度の上昇のためフェノールを過剰に併用することが必須となっており、必ずしも充分な改善が得られていない状況である。
【0008】
また、ナフトールアラルキル樹脂や石油ピッチをフェノールと共にホルムアルデヒドと共重合したもの、ジビニルベンゼンとフェノールの付加反応物、ジシクロペンタジエンとフェノールの付加反応物などが提案されているが、目標とする特性を満足するまでには至っていない。
【0009】
これら従来の改良処方は、主としてエポキシ樹脂とフェノール系硬化剤との反応によって生じるアルコール性水酸基濃度を減少させるために、硬化剤のフェノール性水酸基やエポキシ樹脂のエポキシ基を減少させるものであった。そのため低吸水化や半田付け温度域での弾性率低減に効果があるものではあったが、官能基数(架橋点)の減少により封止の際の硬化時間が長くなったり、金型からの離型不良が起こったりするなど生産性が損なわれることがあった。またこのような処方でもアルコール性水酸基の生成は減るものの生成することには変わりがないため、吸水性の低下には本質的に限界があった。
【0010】
アルコール性水酸基の生成を低減させる処方として、最近硬化剤中のフェノール性水酸基をエステル化したものが提案されているが、エポキシ基との反応性が乏しいため、部分的にエステル化したり(特許文献5〜7参照)、特殊な硬化触媒を用いたり(特許文献8〜9参照)することが報告されている。しかしながら、フェノール性水酸基に比較して硬化性の低下が大きいため、実用化のためにはまだまだ課題が多いのが現状である。また硬化性とのバランスを考慮して部分的にエステル化されたものは、エステル化率が下がるとともに吸水率の低減効果も小さくなる。
【0011】
【特許文献1】
特公昭47−13782号公報
【特許文献2】
特公昭47−15111号公報
【特許文献3】
特許第3122834号公報
【特許文献4】
特開平9−176262号公報
【特許文献5】
特開平7−53675号公報
【特許文献6】
特開平8−208807号公報
【特許文献7】
特開平10−168283号公報
【特許文献8】
特開2000−53748号公報
【特許文献9】
特開2000−143775号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、半導体封止用エポキシ樹脂硬化系において、従来のフェノール樹脂系硬化剤では到達不可能なレベルまで吸水性を大幅に低減すると共に、硬化性が優れ、低粘度で熱時の弾性率も低い硬化物を与える新規なエポキシ樹脂硬化剤を提供することにある。本発明の他の目的は、このようなエポキシ樹脂硬化剤をエポキシ樹脂に配合した硬化性組成物ならびにその硬化物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、一般式(
【化5】
Figure 0003863088
(式中、Rは炭化水素基、Arはアリール基、nは2又は3の整数)で示されるチオエステル化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤に関する。
【0014】
本発明はまた、一般式(4)
【化6】
Figure 0003863088
(式中、R及びRがアリール基又は炭素数1〜18のアルキル基であり、Xが直接結合、O、S、SO、SS、CH又はC(CH である)で示されるチオエステル化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤に関する。
【0015】
本発明はまた、上記チオエステル化合物(1)又は(4)とエポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂組成物、さらにはこれを硬化してなるエポキシ樹脂硬化物に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記一般式(1)で示されるチオエステル化合物において、Rは炭化水素基であって、異種原子、例えばハロゲン、酸素等を含んでいてもよく、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、2−クロルエチル、2−エトキシエチルなどの置換又は非置換のアルキル基、フェニル、2−又は3−又は4−メチルフェニル、2−又は3−又は4−エチルフェニル、2−又は3−又は4−イソプロピルフェニル、2−又は3−又は4−イソブチルフェニル、2−又は3−又は4−tert−ブチルフェニル、2−又は3−又は4−ベンジルフェニル、2−又は3−又は4−クロルフェニル、2−又は3−又は4−エトキシエチルフェニル、2−又は3−又は4−フェニルフェニル、α−又はβ−ナフチルなどの置換又は非置換のアリール基を挙げることができる。Rの種類を変えることにより、エポキシ樹脂との硬化速度を所望の値に調整することができる。一般的には、Rがアリール基の方が、エポキシ樹脂との硬化速度が適度であり、また耐湿信頼性の面からは加水分解を受け難く、水に溶けづらい点においても好ましいが、硬化速度が速いRがアルキル基のものを使用することは勿論可能であり、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0017】
かかるチオエステル化合物(1)として、具体的には一般式()又は(
【化7】
Figure 0003863088
【化8】
Figure 0003863088
(式中、Rは炭化水素基、R、Rはそれぞれ水素、炭化水素基又はハロゲン、nは2又は3、x、yはそれぞれ1又は2の整数)で示される化合物を挙げることができる。Rは一般式(1)におけるR同様、異種原子を含むことができる炭化水素基であり、R、Rはそれぞれ水素、炭化水素基又はハロゲンであり、炭化水素基である場合は、Rと同様のものである。またx個のR、y個のRはそれぞれ同一のものでも異なるものであってもよい。
【0018】
低粘度を兼ね備えた結晶性の硬化剤としては、一般式()又は()において、nが2であり、Rがアリール基または炭素数1〜18のアルキル基である化合物が好ましい。このような化合物として具体的には、式()〜(10)で示される化合物、あるいはフェニレン骨格やナフタレン骨格への結合位置が異なるこれらの異性体を代表例として示すことができる。
【0019】
【化9】
Figure 0003863088
【化10】
Figure 0003863088
【化11】
Figure 0003863088
【化12】
Figure 0003863088
【化13】
Figure 0003863088
【化14】
Figure 0003863088
【0020】
本発明における低粘度を兼ね備えた結晶性硬化剤の他の例としては、上記一般式(4)で示されるチオエステル化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、式(11)〜(26)で示される化合物あるいはアリーレン骨格への結合位置が異なるこれらの異性体を代表例として例示することができる。
【0021】
【化15】
Figure 0003863088
【化16】
Figure 0003863088
【化17】
Figure 0003863088
【化18】
Figure 0003863088
【0022】
【化19】
Figure 0003863088
【化20】
Figure 0003863088
【化21】
Figure 0003863088
【化22】
Figure 0003863088
【0023】
【化23】
Figure 0003863088
【化24】
Figure 0003863088
【化25】
Figure 0003863088
【化26】
Figure 0003863088
【0024】
【化27】
Figure 0003863088
【化28】
Figure 0003863088
【化29】
Figure 0003863088
【化30】
Figure 0003863088
【0025】
一般式(1)又は(4)で示されるチオエステル化合物は、SH基を有する2個以上有する化合物とカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル又はカルボン酸ハライドとを反応させることによって得ることができる。例えば一般式(4)で示されるチオエステル化合物は、下記(27)で示される反応式により製造することができる。一般式()や()で示される化合物も、この反応式に準じて製造することができる。
【0026】
【化31】
Figure 0003863088
【0027】
上記反応においては、原料がカルボン酸ハライド、例えばカルボン酸クロライドの場合は、溶媒としては、反応によって発生するハロゲン化水素をトラップする塩基性の溶媒、例えばピリジンなどが好ましい。またその場合、重炭酸カリウムや水酸化ナトリウムなどの塩基を存在させて反応を進めるのもよい。
【0028】
原料がカルボン酸の場合は、反応を促進し、生成する水をできるだけ除くために、ジシクロヘキシルカルボジイミドなど適当な脱水縮合剤を用いることができる。溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルピロリドンなどの一般的な極性溶媒を使用することができる。カルボン酸の場合、自己の触媒作用で触媒を添加しなくても反応は進行するが、プロトン酸やチタン、スズ、鉛などの有機金属化合物、重金属の酸化物や塩などを触媒として用いることもできる。
【0029】
反応温度は、使用する原料によっても異なるが、例えばカルボン酸ハライドを使用する場合には0〜200℃、好ましくは20〜150℃の範囲で行うのがよい。反応終了後は、洗浄、再結晶など一般的な精製操作を行うことにより、目的とするチオエステル化合物を得ることができる。
【0030】
かくして得られるチオエステル化合物は、エポキシ樹脂硬化剤として有用であり、エポキシ樹脂系半導体封止材における硬化剤として使用すると、低吸水性、低弾性率、低溶融粘度の速硬化性エポキシ樹脂組成物を得ることができる。またOH基がエステル化されることによる誘電率の低下などの効果も期待でき、半導体封止材料以外にも、基板材料をはじめ、各種の積層材や成形材、バインダー、コーティング材に有用なエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
【0031】
上記本発明のチオエステル化合物とともに使用することができるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノール、ナフトールなどのキシリレン結合によるアラルキル樹脂のエポキシ化物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂など、分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0032】
エポキシ樹脂の硬化に際しては、硬化促進剤を併用することが望ましい。かかる硬化促進剤としては、エポキシ樹脂をフェノール樹脂系硬化剤で硬化させるための公知の硬化促進剤を用いることができ、例えば3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール類及びそのテトラフェニルボロン塩、有機ホスフィン化合物およびそのボロン塩、4級ホスホニウム塩などを挙げることができる。より具体的には、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラナフトエ酸ボレートなどを挙げることができる。とくに有用なものは第3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール類である。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、無機充填剤、カップリング剤、離型剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、低応力剤等を、添加または予め反応して用いることができる。またフェノール系重合体硬化剤を併用することもできる。この場合、本発明のチオエステル化合物硬化剤は、フェノール系重合体硬化剤の低溶融粘度化、低吸水化、低弾性率化、速硬化性などに効果的である。このようなフェノール樹脂系硬化剤としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物であって、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、特公昭47−13782号、特公昭47−15111号、特開平6−184258号、特開平6−136082号、特開平7−258364号、特許第3122834号などに開示されているフェノールアラルキル樹脂、フェノールビフェニルアラルキル樹脂、フェノールナフチルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂などを例示することができる。
【0034】
とくに半導体封止用に使用する場合は、無機充填剤の添加は必須である.このような無機充填剤の例として、非晶性シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、ガラス、珪酸カルシウム、石膏、炭酸カルシウム、マグネサイト、クレー、タルク、マイカ、マグネシア、硫酸バリウムなどを挙げることができるが、とくに非晶性シリカ、結晶性シリカなどが好ましい。また優れた成形性を維持しつつ、充填剤の配合量を高めるために、細密充填を可能とするような粒度分布の広い球形の充填剤を使用することが好ましい。
【0035】
カップリング剤の例としては、ビニルシラン系、アミノシラン系、エポキシシラン系などのシラン系カップリング剤やチタン系カップリング剤を、離型剤の例としてはカルナバワックス、パラフィンワックス、ステアリン酸、モンタン酸、カルボキシル基含有ポリオレフィンワックスなど、また着色剤としては、カーボンブラックなどを例示することができる。難燃剤の例としては、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化合物、リン化合物など、また難燃助剤としては三酸化アンチモンなどを挙げることができる。低応力化剤の例としては、シリコンゴム、変性ニトリルゴム、変性ブタジエンゴム、変性シリコンオイルなどを挙げることができる。
【0036】
本発明のチオエステル化合物とエポキシ樹脂の配合比は、耐熱性、機械的特性などを考慮すると、チオエステル基/エポキシ基の当量比が0.5〜1.5、とくに0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。硬化促進剤として好適な第3級アミンは、硬化特性や諸物性を考慮すると、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で使用するのが好ましい。さらに半導体封止用のエポキシ樹脂組成物においては、無機充填剤の種類によっても若干異なるが、半田耐熱性、成形性(溶融粘度、流動性)、低応力性、低吸水性などを考慮すると、無機充填剤を組成物全体の60〜93重量%を占めるような割合で配合することが好ましい。
【0037】
エポキシ樹脂を成形材料として調製する場合の一般的な方法としては、所定の割合の各原料を、例えばミキサーによって充分混合後、熱ロールやニーダーなどによって混練処理を加え、さらに冷却固化後、適当な大きさに粉砕するなどの方法を挙げることができる。このようにして得た成形材料は、例えば低圧トランスファー成形などにより半導体素子を封止することにより、半導体装置を製造することができる。エポキシ樹脂組成物の硬化は、例えば100〜250℃の温度範囲で行うことができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[参考例1]
4,4’−チオジベンゼンチオール250g(1.0モル)及びピリジン590.1gからなる溶液に、塩化ベンゾイル295.1g(2.1モル)を10分間かけて滴下することにより加え、110℃に昇温した後、2時間反応させた。反応液中には、未反応4,4’−チオジベンゼンチオールは検出されなかった。反応液にメチルイソブチルケトン1000ml及び純水1000mlを加えたのち、析出した結晶を濾別した。次いで得られた結晶を純水2000mlにより3回洗浄し、10時間減圧乾燥することにより、前記式(42)で示される融点126℃の4,4’−チオジ(フェニルチオベンゾエート)390.2g(85.6%収率)を得た。
【0039】
[参考例2]
参考例1において、4,4’−チオジベンゼンチオール250g(1.0モル)の代りに、4,4’−ジベンゼンチオール218g(1.0モル)を用いた以外は参考例1と同様にしてベンゾイル化反応を行い、反応液に水1000mlを加えて結晶を析出させた以外は参考例1と同様に後処理をして、前記式(34)で示される融点163℃の4,4’−ジ(フェニルチオベンゾエート)357.8g(84.0%収率)を得た。
【0040】
[参考例3]
4,4’−チオジベンゼンチオール250g(1.0モル)及びピリジン448.8gからなる溶液に、無水酢酸224.4g(2.2モル)を10分間かけて滴下することにより加え、85℃に昇温した後、2時間反応させた。反応液中には、未反応4,4’−チオジベンゼンチオールは検出されなかった。反応液にメチルイソブチルケトン1000mlを添加し、反応液中の析出物を溶解させた後純水1000mlを加え洗浄し分液した。この操作を3回繰り返し、メチルイソブチルケトン層を得た。さらにメチルイソブチルケトンを減圧で除去することにより、前記式(40)で示される融点77.4℃の4,4’−チオジ(フェニルチオアセテート)295.0g(88.3%収率)を得た。
【0041】
[実施例1]
参考例1で得た4,4’−チオジ(フェニルチオベンゾエート)、エポキシ樹脂A(住友化学工業社製ESCN−195XL、オルソクレゾールノボラック型、エポキシ当量195g/eq)、溶融シリカ、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7(DBU)、アミノシランカップリング剤及びカルナバワックスを表1に示す割合で配合し、充分に混合した後、85℃±3℃の2本ロールで3分混練し、冷却、粉砕することにより、エポキシ樹脂組成物を得た。これを用いてキュラストメータ硬化性を測定した。
【0042】
またトランスファー成形機でエポキシ樹脂組成物を圧力100kgf/cmで175℃、2分間成形後、180℃、6時間ポストキュアを行い、吸水率用、曲げ弾性率用及びガラス転移温度(Tg)用のテストピースを得た。
【0043】
これらエポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物の特性を、次の方法により測定した。得られた結果を、表1に示す。
【0044】
(1)吸水率
サンプル形状50mm径×3mmの円盤を、85℃、相対湿度85%RH雰囲気下で168時間吸水させたときの吸水率を測定。
吸水率(%)=(処理後の重量増加分/処理前の重量)×100
【0045】
(2)曲げ弾性率
サンプル形状80×10×4mmの短冊を260℃雰囲気で10分放置後、JIS K6911に準じて測定
【0046】
(3)ガラス転移温度(Tg)
TMAにより、線膨張係数を測定し、線膨張係数の変曲点をTgとした。
【0047】
(4)175℃溶融粘度
エポキシ樹脂組成物1gをタブレットにして高下式フローテスター(温度175℃、圧力10kgf/cm、オリフィス径1mm、長さ1mm)で組成物の溶融粘度を測定した。
【0048】
(5)キュラストメータ硬化性
エポキシ樹脂組成物約5gをタブレットにして、金型温度175℃のキュラストメータで硬化に応じたトルク変化を測定した。
【0049】
(6)半田クラック発生率
実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物で、銅フレームにマウントされた6.7mm×6.7mm×0.4mmのLSIチップを、175℃、150秒、圧力60kgf/cmの条件でトランスファー成形により封止し、175℃で4時間ポストキュアし、60ピンQFP(パッケージサイズ20mm×14mm×2.7mm)の半導体装置を各8個づつ成形した。この半導体装置を、85℃、85%湿度の恒温恒湿槽で168時間処理した後、260℃のシリコーンオイルに10秒間浸漬し、内部クラックの発生状況を軟X線で観察した。
【0050】
[実施例2〜4、比較例1〜2]
表1の配合組成のものにつき、実施例1と同様にして評価を行った。尚、表中におけるフェノールアラルキル樹脂としては、住金ケミカル(株)製HE100C−15(水酸基当量170g/eq)を用い、またエポキシ樹脂Bとしては、日本化薬(株)製ビフェニルアラルキル樹脂型エポキシ樹脂NC−3000S(エポキシ当量282g/eq)を用いた。得られた結果を、表1に併せて示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003863088
表中の原料の数値は重量部
【0052】
[参考例4]
1,3−ベンゼンチオール142.2g(1.0モル)及びピリジン300gからなる溶液に、塩化ベンゾイル295.1g(2.1モル)を10分かけて滴下することにより加え、100℃に昇温した後、2時間反応させた。反応液中には、未反応1,3−ベンゼンチオールは検出されなかった。反応液を冷却後、純水1000mlを加え、析出した結晶を濾別した。得られた結晶ケーキを純水1000mlで2回リンスし、10時間減圧乾燥することにより、下記式(28)で示される1,3−ジ(ベンゾイルチオ)ベンゼン273.4g(収率78.0%)を得た。
【化32】
Figure 0003863088
【0053】
[参考例5]
参考例2において、4,4’−ジベンゼンチオール218g(1.0モル)の代わりに、下記式(29)で示されるポリチオール222g(約1.0モル)を用いた以外は、参考例2と同様の処理を行ない、下記式(30)で示されるポリチオエステル化合物312g(収率71%)を得た。
【化33】
Figure 0003863088
式中、m+n=約2.1、平均分子量222
【化34】
Figure 0003863088
式中、m+n=約2.1、平均分子量440
【0054】
[実施例5〜6、比較例3]
表2の配合組成のものにつき、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0003863088
表中の原料の数値は重量部
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、成形材、各種バインダー、コーティング材、積層材などに有用なチオエステル化合物系エポキシ樹脂硬化剤を提供することができる。このようなチオエステル化合物は、とくに半導体封止用エポキシ樹脂硬化剤として用いた場合に、低吸水性、低弾性率、高流動性(低溶融粘度)で半田耐熱性に優れ、硬化性が良好なエポキシ樹脂組成物を形成することができる。またOH基をエステル基に変換することで期待できる様々な特性変化、例えば誘電率の低減などで、種々の用途に有用なエポキシ樹脂組成物を得ることが充分に期待できる。

Claims (9)

  1. 一般式(
    Figure 0003863088
    式中、Rは炭化水素基、Arはアリール基、nは2又は3の整数)で示されるチオエステル化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤。
  2. チオエステル化合物が、一般式()又は(
    Figure 0003863088
    Figure 0003863088
    (式中、Rは炭化水素基、R、Rはそれぞれ水素、炭化水素基又はハロゲン、nは2又は3、x、yはそれぞれ1又は2の整数)で示されるものである請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
  3. 一般式(4)
    Figure 0003863088
    (式中、R及びRがアリール基又は炭素数1〜18のアルキル基であり、Xが直接結合、O、S、SO、SS、CH又はC(CH である)で示されるチオエステル化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のチオエステル化合物とエポキシ樹脂とからなるエポキシ樹脂組成物。
  5. さらに無機充填剤を含有する請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. さらに第3級アミンを含有する請求項4又は5に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 半導体封止用に使用される請求項4〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
  9. 請求項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置。
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