JP3862906B2 - 電気泳動表示装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動表示装置に係り、特に低消費電力が要求される移動体通信装置および携帯端末用表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信端末やモバイルコンピューティング用の表示装置の低消費電力化という観点から反射型表示装置への期待が高まっている。
【0003】
反射型表示装置としては現在、液晶を用いたものが主に開発されているが、液晶の旋光性を用いた一般的な液晶セルでは必ず偏光子を必要とし、反射光は少なくとも2回偏光子を通過しなければならない。これにより反射光は50%程度減衰し、反射型表示装置としての特性を大きく左右する画面の明るさを制限する致命的な要因となっている。
【0004】
その他の反射型表示装置の一つとして、例えば、米国特許3668106号に記載されているような電気泳動表示装置が知られているが、この電気泳動表示装置は二枚の電極の間に電気泳動粒子と色素を溶解させた絶縁性液体を挟み、電気泳動粒子と色素の対比色により画像を得るものである。
【0005】
つまり、電気泳動粒子が観測者に近い第1の電極の表面に付着する場合には、電気泳動粒子の色が観測され、一方、電気泳動粒子が観測者から遠い第2の電極の表面に付着する場合には、電気泳動粒子の色は絶縁性液体に隠蔽されるとともに絶縁性液体の色が観測される。
【0006】
しかしながら、電気泳動表示装置は、例えば、Proc.SID、18、267(1977)に記載されているように、広視野角、高コントラスト、低消費電力という利点を備えてはいるものの、絶縁性液体に溶解した色素の電気泳動粒子への吸着、及び電気泳動粒子が吸着した電極表面と電気泳動粒子間への絶縁性液体の浸透などの悪影響により、高い反射率、すなわち明るさと高いコントラストを両立させることは本質的に不可能である、という大きな問題があった。
【0007】
また、マトリックス表示する場合、泳動時間を短くし、応答を早くしなければならない。そのためには、電極間距離を短くする必要があるが、短くすると今度は着色絶縁性液体の吸収が小さくなり、コントラストが低くなるという問題があった。
【0008】
この問題を解決する手段として、各セルに遮蔽層を設け、一つの電極をこの遮蔽層に隠蔽された領域に配置するようにしたものが、特開平9−211499号に示されている。
【0009】
この方法では絶縁性液体を透明とし、電気泳動粒子と他の電極表面に設けられた着色誘電体層表面で色の対比を得ることができ、上記の絶縁性液体に溶解した色素の電気泳動粒子への吸着、及び電気泳動粒子が吸着した電極表面と電気泳動粒子間への絶縁性液体の浸入などの問題を解決することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の方法では、2つの電極を垂直に配置しなければならず、電気泳動粒子の移動距離が大きくなり、応答時間が早くできないということが推測される。また、電極間距離が一定ではないので、電気泳動粒子が不均一に吸着するという問題が残される。
【0011】
本発明は、上記問題点を除去し、電気泳動粒子の吸着を均一になし、色表示の品質の向上を図り、電極間を短くしてもコントラストの低下しない、高速応答が可能な電気泳動表示装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕複数の画素を有する電気泳動表示装置において、前記各画素は、第1の基板と、この第1の基板上に設けられた画素面積に比べ小さな面積を有する第1の電極と、この第1の電極側に前記第1の基板に対向して設けられた第2の基板と、この第2の基板の第1の基板に対向する側に設けられ前記第1の電極より広い面積を有する透明な第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極に挟持され、無色の流体及び同極性の電荷を持つ少なくとも一種類の電気泳動粒子を含む分散層と、各画素を分離する隔壁からなり、前記第2の電極が前記第1の電極に等距離を保つような曲面構造を具備することを特徴とする。
【0013】
〔2〕上記〔1〕記載の電気泳動表示装置において、前記分散層の屈折率が前記第2の基板の屈折率より小さく画素毎に前記第2の基板が凹レンズ機能を有することを特徴とする。
【0014】
〔3〕上記〔1〕記載の電気泳動表示装置において、前記隔壁の側面が前記第1の電極と第2の電極の端辺を結び、第1の電極に近づくにつれ壁面間が次第に小さくなるような構造を具備することを特徴とする。
【0015】
〔4〕上記〔1〕記載の電気泳動表示装置において、前記隔壁の側面が前記電気泳動粒子と対比し得る色を有することを特徴とする。
【0016】
〔5〕上記〔1〕記載の電気泳動表示装置において、前記第1の基板および隔壁が透明であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明の電気泳動表示装置における一画素の断面図である。
【0019】
この図に示すように、この電気泳動表示装置は、下部基板1、下部電極2、上部基板3、透明電極(上部電極)4、電気泳動粒子5、透明流体(分散層)6、隔壁7、着色層8および電気回路9より構成されている。
【0020】
下部基板1としては絶縁性材料で反射型セルの場合には透明である必要は無く、作製工程に高温を必要としないので幅広い種類の材料を用いることが出来る。下部電極2はライン状またはドット状にパターン化された金属膜である。アクティブマトリックス駆動を行う場合は下部電極2の基板上にスイッチング素子を形成し、信号ラインと走査ラインを設ける。反射型の場合、開口率を考える必要が無いのでスイッチング素子の設計には場所的な余裕がある。
【0021】
上部基板3は透明基板で下部電極2と等距離を保つような凹レンズ状の窪みを持つ構造をしている。この窪みの形状は下部電極2がライン状のものの場合は円柱状になり、ドット状のものは球状となる。その下部電極2に面する表面には上部電極となる透明電極4がパターン化されている。着色した電気泳動粒子5は透明流体6の中で電荷を持ち分散している。
【0022】
隔壁7は電気泳動粒子5の偏りを防ぎ、電極2,4間のギャップと絶縁を保つ役目を果たし、長方形、台形、三角形またはそれに類似した形状を有している。また、その側面には電気泳動粒子5と対比した色の着色層8が形成される。電気回路9は電極2、4に適当な時間、適当な電圧を供給する。
【0023】
いま、電気泳動粒子5が上部電極4に引き付けられるように電圧が印加された場合、この画素上部から見ると全体に電気泳動粒子5の色が見えることになる。反対に電気泳動粒子5が下部電極2に引き付けられるように電圧を印加した場合、電気泳動粒子5は下部電極2に集められ、画素上部から見ると着色層8と下部電極2が見えることになる。
【0024】
下部電極2は画素の占める面積に比べ小さく形成されており着色層8と下部電極2の上から見た面積比に相当するコントラストが得られる。さらに上部基板3の凹レンズにより上から見た場合の下部電極2の面積は縮小され、さらにコントラストが高められる。透明流体6としては可視域の光の透過性が良く、電気泳動粒子5に対する溶解能が小さく電気泳動粒子5を安定に分散でき、イオンを含まずかつ電圧印加によりイオンを生じない絶縁性のものが望ましい。
【0025】
また、電気泳動粒子5の浮沈防止のためには電気泳動粒子5と比重がほぼ等しく、電圧印加時における電気泳動粒子5の移動度の面から粘性の低いものが好ましい。さらに、レンズ効果を考えて、その屈折率はガラス基板に比べ小さくなければならない。
【0026】
通常の電気泳動表示装置は反射型素子のみに制限されているが、本発明では透過型の素子も可能である。その構造を図2に示す。図1に示す反射型素子と違う点は隔壁7及び下部基板1が透明性を有しており、着色層の代わりに電気泳動粒子5と対比した色のフィルター10を形成する。このフィルター10は隔壁7上に有る必要は無く、下部基板1又は上部基板3の外側に位置してもよい。
【0027】
また、更に単純化された構造として図3に示すような構造を示す。この構造は上部基板3の窪みを深くし、この窪みに隔壁7の役目を担わせるものである。
【0028】
これにより製造工程が減り製造コストが低減される。この場合、電気泳動粒子5の対比色となる着色層8は下部基板1の表面にあるか、または下部基板1自身が対比色を有している。また、透過型の場合は下部基板1は透明とする。
【0029】
図4は本発明に係る電気泳動表示装置の一実施形態の構成を説明するための図である。
【0030】
本発明にかかる電気泳動表示装置には、図1、図2及び図3に示す一画素分の構造が複数設けられている。このような電気泳動表示装置は、例えば、図4に示すように、走査電極群12が形成されたガラス基板11と、隔壁および着色層13と、信号電極群15が設けられ凹レンズ構造が加工されたガラス基板14からなる構造を有する。信号電極と走査電極は互いに直行して、単純マトリックス駆動が可能である。
【0031】
本発明に用いられる電気泳動粒子は、流体に安定に分散され、単一の極性を有するとともに、その粒径分布が小さいことが、表示装置の寿命、コントラスト、解像度などの観点から望ましい。また、その粒径は、0.1μmから5μmが好ましい。この範囲内であると、光散乱効率が低下せず、電圧印加時において十分な応答速度が得られる。
【0032】
電気泳動粒子の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、セレン化カドミウム、カーボンブラック、硫酸バリウム、クロム酸鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機顔料、あるいはフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ウオッチングレッド、ダイアリーライドイエローなどの有機顔料を用いることができる。
【0033】
本発明において、前述したように、電気泳動粒子を分散させる流体としては、電気泳動粒子に対する溶解能が小さく電気泳動粒子を安定に分散でき、イオンを含まず、かつ、電圧印加によりイオンを生じない絶縁性のものが望ましい。また、電気泳動粒子の浮沈防止のためには電気泳動粒子と比重がほぼ等しく、電圧印加時における電気泳動粒子の移動度の面から粘性の低いものが好ましい。
【0034】
さらに、レンズ効果を考えて上部基板の屈折率よりその屈折率が出来るだけ小さいことが望まれる。比較的多くの電気泳動粒子材料に対して用いることのできる絶縁性液体としては、例えば、ヘキサン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、トルエン、キシレン、オリーブ油、リン酸トリクレシル、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、テトラクロロエチレンなどを挙げることができる。
【0035】
なお、電気泳動粒子の浮沈防止のために電気泳動粒子との比重整合を行う場合などは混合流体の利用も可能である。
【0036】
本発明において、電気泳動粒子の分散層における混合重量率は、電気泳動粒子の電気泳動性が阻害されず、かつ分散層の反射制御が十分に行える限り、特に限定されるものではないが、例えば1重量%から20重量%が好ましい。
【0037】
本発明において、電気泳動粒子の電荷を増加させるため、あるいは同極性にするために、必要に応じて、前述の流体に、樹脂、界面活性剤等の添加剤を加えることができる。
【0038】
本発明において、分散層の厚さは電気泳動粒子の径より大きく、粒子の運動を妨げない限り特に限定されるものではないが、電圧印加時の速い応答速度のためには、できるだけ薄いことが望ましい。このような観点から、分散層の好ましい厚さは、5μmから200μmである。
【0039】
本発明に用いられる電極材料としては、アルミニウム、銅、銀、金、白金などの良導電性のものが好ましい。また、透明電極材料としては、酸化スズ、酸化インジウム、ヨウ化銅などの薄膜を好ましく用いることができる。また、電極形成は蒸着、スパッタリング、フォトリソグラフィーなど通常の方法で行うことができる。
【0040】
本発明において、上部電極を配置する基板は、十分な絶縁性及び透明性を有し、凹レンズ構造を作製できるものとする。また、レンズ効果を考えて屈折率が高い材料が望まれる。具体的な材料としては、ガラス、プラスチック、セラミックが好ましい。また、その加工の方法は材料に応じてドライエッチング法、ウエットエッチング法、テンプレート法などを用いることができる。
【0041】
本発明において、下部電極を配置する基板は、十分な絶縁性及び微視的な平面性を保ち、十分な構造を維持する強度を有するものであれば、特に限定されない。セルの構造が保たれる限りフレキシブルな基板でもよい。具体的な材料としては、ガラス、プラスチック、セラミックが好ましい。また、この基板に泳動粒子との対比色を担わせる場合には、適当な色素、顔料をガラスやプラスチック、セラミックに混合したものや有色セラミックを基板として用いることができる。
【0042】
本発明において、隔壁の材料として、ガラス、プラスチック、セラミックなどの絶縁性材料のものが好ましい。また、この隔壁に電気泳動粒子との対比色を担わせる場合は、適当な色素、顔料をガラスやプラスチック、セラミックに混合したものや有色セラミックを用いることができる。
【0043】
本発明において、基板上に形成されて、電気泳動粒子の対比色を担わせる誘電体としては、誘電体自身が対比色を有するもの、あるいは対比色を担う顔料、染料を誘電体層に混合したものを使用することができる。
【0044】
誘電体層の材料および厚さは、分散層に十分な電圧が印加され、かつ表示ムラを生じない限りにおいて、特に限定されるものではない。誘電体材料としては、例えば、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウムなどの無機物あるいは、ポリエチレン、ポリスチレン、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、シリコン樹脂などの有機物を用いることができる。電気泳動粒子との対比色を担う顔料や染料を混合する場合、その材料は特に限定されないが、安定に誘電体層に保持されるものが選択される。
【0045】
電極あるいは基板上への誘電体層の形成には、材料に応じてスパッタリング、蒸着、溶液塗布、溶液浸漬、スピンコート、ラングミュアブロジェット法などの通常の手法を用いることができる。誘電体層の厚さは、例えば、数nmから数μmが考えられる。
【0046】
なお、電気泳動粒子の電極表面上への不可逆的な吸着、および電極表面での水等の不純物の電気化学反応を防止するために、第1の電極のみならず第2の電極表面にも必要に応じてフッ素樹脂などの誘電体層を設けることが望ましい。
【0047】
本発明において、電気回路は特に限定されるものではないが、例えば、最大定格電圧100V、電源容量10mAの電源を擁し、その極性を任意に設定できるものなどを用いることができる。
【0048】
その一画素分が図1に示した構造と同様の構造を有する電気泳動表示装置において、各部材の選択、形成、及び設定を以下のようにして行った。下部基板1および上部基板3として、厚さ1mmの透明なガラス板を用いた。上部基板3の凹レンズ構造はフォトリソグラフィー技術とガラスの等方性ウエットエッチングを用い幅50μm、中央部のくぼみ深さ10μmとした。上部電極4は、ITOをスパッタリング法により成膜し、低抵抗化のために摂氏250度のアニールを5時間行った。
【0049】
下部電極2としてクロムを成膜した後、隔壁7を低融点ガラスにてスクリーン印刷法を用い形成し高さ25μmとした。隔壁7の間隔は50μmとした。着色層8は硫酸バリウム微粉末をフッ素樹脂に混入したものをディップコートにより厚さ約0.5μmで形成した。電気泳動粒子5として黒色樹脂トナー(粒径1μm)を、また透明流体6としてイソプロパノールを用い、両者を電気泳動粒子5の混合重量率が10%となるように混合し、さらに分散安定性の向上のために微量の界面活性剤を添加し、分散層6を準備した。この場合、電気泳動粒子5は表面が負に帯電している。
【0050】
このようにして得られた電気泳動表示装置の一画素分の具体的な駆動動作を以下に示す。
【0051】
まず、電気回路9により電極4,2を各々正極、負極となるように電圧30Vの直流電圧を印加すると、負に帯電した電気泳動粒子5は、電極2に移動し、その近傍の着色層表面に吸着する。このとき、基板3側から観測すると、着色層8の白色が観測される。この状態は電気回路9と電極との電気的接続を切り電圧印加を止めた以降も持続され、本電気泳動表示装置がメモリ機能を有することを示した。
【0052】
次に、先の場合と極性を反転して電圧印加を行うと、すなわち電極4が負極、電極2が正極となるように30Vの直流電圧を印加すると、電気泳動粒子5は電極4に移動しその表面に吸着する。
【0053】
この場合、観測者からは電気泳動粒子5の黒色が見えた。光学反射特性は、白表示、黒表示とも各々着色層8および電気泳動粒子5単独の場合とほぼ等しく、電気泳動表示装置が本来有する広視野角に加えて、明るさと高コントラストが両立した電気泳動表示装置であることを確認できた。
【0054】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0055】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0056】
(A)近年、急速に発達している微細加工(マイクロマシーン)技術を用いることにより、数ミクロン幅の構造を深さ数百ミクロンで精度良く加工し、下部電極の面積が上部電極よりも小さくなるように構成し、高コントラストを得るとともに、上部電極と下部電極との距離が一定になる曲面構造となし、電気泳動粒子の吸着を均一になし、色表示の品質の向上を図り、電極間を短くしてもコントラストの低下しない、高速応答の電気泳動表示装置を実現することができる。
【0057】
より具体的には、
(B)下部電極の面積を上部電極に比べ小さくしてあるため、電気泳動粒子が下部電極に付着する場合は、絶縁性液体の隠蔽に頼らなくとも、下部電極とその他の部分の面積比によってコントラストを得ることができる。
【0058】
したがって、従来のように、泳動粒子あるいは透明電極等に色素材料が浸入、吸着することもなく、明るさと高コントラストが両立した電気泳動表示装置を得ることができる。
【0059】
(C)また、上部電極は下部電極と一定の距離を保つように曲面構造をしており、これにより、電気泳動粒子の上部電極への吸着が均一になり電気泳動粒子の色表示が良好に行われる。これと同時に、この構造では電極間距離を短くしても絶縁性液体の光の吸収を使わないために、コントラストの低下は無く、高速応答の電気泳動表示装置を作ることができる。
【0060】
(D)更に、上部電極を曲面構造にするために形成された上部基板の構造は自動的に凹レンズの役割を果たし、上部より観測した場合、下部電極を小さく見せることができる。このため、さらにコントラストを上げる役目を果たす。これらの効果により、電気泳動粒子を分散させた流体として色素材料を含まない透明のものを使用しても隔壁側表面に泳動粒子と対比した着色層を形成することにより十分なコントラストと十分に速い応答速度をもつ電気泳動表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す電気泳動表示装置の一画素の断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す電気泳動表示装置の一画素の断面図である。
【図3】本発明の更なる他の実施例を示す電気泳動表示装置の一画素の断面図である。
【図4】本発明の実施例を示す電気泳動表示装置の全体構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 下部基板(第1の基板)
2 下部電極(第1の電極)
3 上部基板(第2の基板)
4 透明電極(上部電極)(第2の電極)
5 電気泳動粒子
6 透明流体(分散層)
7 隔壁
8 着色層
9 電気回路
10 フィルター
12 走査電極群
11,14 ガラス基板
13 隔壁および着色層
15 信号電極群
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動表示装置に係り、特に低消費電力が要求される移動体通信装置および携帯端末用表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信端末やモバイルコンピューティング用の表示装置の低消費電力化という観点から反射型表示装置への期待が高まっている。
【0003】
反射型表示装置としては現在、液晶を用いたものが主に開発されているが、液晶の旋光性を用いた一般的な液晶セルでは必ず偏光子を必要とし、反射光は少なくとも2回偏光子を通過しなければならない。これにより反射光は50%程度減衰し、反射型表示装置としての特性を大きく左右する画面の明るさを制限する致命的な要因となっている。
【0004】
その他の反射型表示装置の一つとして、例えば、米国特許3668106号に記載されているような電気泳動表示装置が知られているが、この電気泳動表示装置は二枚の電極の間に電気泳動粒子と色素を溶解させた絶縁性液体を挟み、電気泳動粒子と色素の対比色により画像を得るものである。
【0005】
つまり、電気泳動粒子が観測者に近い第1の電極の表面に付着する場合には、電気泳動粒子の色が観測され、一方、電気泳動粒子が観測者から遠い第2の電極の表面に付着する場合には、電気泳動粒子の色は絶縁性液体に隠蔽されるとともに絶縁性液体の色が観測される。
【0006】
しかしながら、電気泳動表示装置は、例えば、Proc.SID、18、267(1977)に記載されているように、広視野角、高コントラスト、低消費電力という利点を備えてはいるものの、絶縁性液体に溶解した色素の電気泳動粒子への吸着、及び電気泳動粒子が吸着した電極表面と電気泳動粒子間への絶縁性液体の浸透などの悪影響により、高い反射率、すなわち明るさと高いコントラストを両立させることは本質的に不可能である、という大きな問題があった。
【0007】
また、マトリックス表示する場合、泳動時間を短くし、応答を早くしなければならない。そのためには、電極間距離を短くする必要があるが、短くすると今度は着色絶縁性液体の吸収が小さくなり、コントラストが低くなるという問題があった。
【0008】
この問題を解決する手段として、各セルに遮蔽層を設け、一つの電極をこの遮蔽層に隠蔽された領域に配置するようにしたものが、特開平9−211499号に示されている。
【0009】
この方法では絶縁性液体を透明とし、電気泳動粒子と他の電極表面に設けられた着色誘電体層表面で色の対比を得ることができ、上記の絶縁性液体に溶解した色素の電気泳動粒子への吸着、及び電気泳動粒子が吸着した電極表面と電気泳動粒子間への絶縁性液体の浸入などの問題を解決することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の方法では、2つの電極を垂直に配置しなければならず、電気泳動粒子の移動距離が大きくなり、応答時間が早くできないということが推測される。また、電極間距離が一定ではないので、電気泳動粒子が不均一に吸着するという問題が残される。
【0011】
本発明は、上記問題点を除去し、電気泳動粒子の吸着を均一になし、色表示の品質の向上を図り、電極間を短くしてもコントラストの低下しない、高速応答が可能な電気泳動表示装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕複数の画素を有する電気泳動表示装置において、前記各画素は、第1の基板と、この第1の基板上に設けられた画素面積に比べ小さな面積を有する第1の電極と、この第1の電極側に前記第1の基板に対向して設けられた第2の基板と、この第2の基板の第1の基板に対向する側に設けられ前記第1の電極より広い面積を有する透明な第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極に挟持され、無色の流体及び同極性の電荷を持つ少なくとも一種類の電気泳動粒子を含む分散層と、各画素を分離する隔壁からなり、前記第2の電極が前記第1の電極に等距離を保つような曲面構造を具備することを特徴とする。
【0013】
〔2〕上記〔1〕記載の電気泳動表示装置において、前記分散層の屈折率が前記第2の基板の屈折率より小さく画素毎に前記第2の基板が凹レンズ機能を有することを特徴とする。
【0014】
〔3〕上記〔1〕記載の電気泳動表示装置において、前記隔壁の側面が前記第1の電極と第2の電極の端辺を結び、第1の電極に近づくにつれ壁面間が次第に小さくなるような構造を具備することを特徴とする。
【0015】
〔4〕上記〔1〕記載の電気泳動表示装置において、前記隔壁の側面が前記電気泳動粒子と対比し得る色を有することを特徴とする。
【0016】
〔5〕上記〔1〕記載の電気泳動表示装置において、前記第1の基板および隔壁が透明であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明の電気泳動表示装置における一画素の断面図である。
【0019】
この図に示すように、この電気泳動表示装置は、下部基板1、下部電極2、上部基板3、透明電極(上部電極)4、電気泳動粒子5、透明流体(分散層)6、隔壁7、着色層8および電気回路9より構成されている。
【0020】
下部基板1としては絶縁性材料で反射型セルの場合には透明である必要は無く、作製工程に高温を必要としないので幅広い種類の材料を用いることが出来る。下部電極2はライン状またはドット状にパターン化された金属膜である。アクティブマトリックス駆動を行う場合は下部電極2の基板上にスイッチング素子を形成し、信号ラインと走査ラインを設ける。反射型の場合、開口率を考える必要が無いのでスイッチング素子の設計には場所的な余裕がある。
【0021】
上部基板3は透明基板で下部電極2と等距離を保つような凹レンズ状の窪みを持つ構造をしている。この窪みの形状は下部電極2がライン状のものの場合は円柱状になり、ドット状のものは球状となる。その下部電極2に面する表面には上部電極となる透明電極4がパターン化されている。着色した電気泳動粒子5は透明流体6の中で電荷を持ち分散している。
【0022】
隔壁7は電気泳動粒子5の偏りを防ぎ、電極2,4間のギャップと絶縁を保つ役目を果たし、長方形、台形、三角形またはそれに類似した形状を有している。また、その側面には電気泳動粒子5と対比した色の着色層8が形成される。電気回路9は電極2、4に適当な時間、適当な電圧を供給する。
【0023】
いま、電気泳動粒子5が上部電極4に引き付けられるように電圧が印加された場合、この画素上部から見ると全体に電気泳動粒子5の色が見えることになる。反対に電気泳動粒子5が下部電極2に引き付けられるように電圧を印加した場合、電気泳動粒子5は下部電極2に集められ、画素上部から見ると着色層8と下部電極2が見えることになる。
【0024】
下部電極2は画素の占める面積に比べ小さく形成されており着色層8と下部電極2の上から見た面積比に相当するコントラストが得られる。さらに上部基板3の凹レンズにより上から見た場合の下部電極2の面積は縮小され、さらにコントラストが高められる。透明流体6としては可視域の光の透過性が良く、電気泳動粒子5に対する溶解能が小さく電気泳動粒子5を安定に分散でき、イオンを含まずかつ電圧印加によりイオンを生じない絶縁性のものが望ましい。
【0025】
また、電気泳動粒子5の浮沈防止のためには電気泳動粒子5と比重がほぼ等しく、電圧印加時における電気泳動粒子5の移動度の面から粘性の低いものが好ましい。さらに、レンズ効果を考えて、その屈折率はガラス基板に比べ小さくなければならない。
【0026】
通常の電気泳動表示装置は反射型素子のみに制限されているが、本発明では透過型の素子も可能である。その構造を図2に示す。図1に示す反射型素子と違う点は隔壁7及び下部基板1が透明性を有しており、着色層の代わりに電気泳動粒子5と対比した色のフィルター10を形成する。このフィルター10は隔壁7上に有る必要は無く、下部基板1又は上部基板3の外側に位置してもよい。
【0027】
また、更に単純化された構造として図3に示すような構造を示す。この構造は上部基板3の窪みを深くし、この窪みに隔壁7の役目を担わせるものである。
【0028】
これにより製造工程が減り製造コストが低減される。この場合、電気泳動粒子5の対比色となる着色層8は下部基板1の表面にあるか、または下部基板1自身が対比色を有している。また、透過型の場合は下部基板1は透明とする。
【0029】
図4は本発明に係る電気泳動表示装置の一実施形態の構成を説明するための図である。
【0030】
本発明にかかる電気泳動表示装置には、図1、図2及び図3に示す一画素分の構造が複数設けられている。このような電気泳動表示装置は、例えば、図4に示すように、走査電極群12が形成されたガラス基板11と、隔壁および着色層13と、信号電極群15が設けられ凹レンズ構造が加工されたガラス基板14からなる構造を有する。信号電極と走査電極は互いに直行して、単純マトリックス駆動が可能である。
【0031】
本発明に用いられる電気泳動粒子は、流体に安定に分散され、単一の極性を有するとともに、その粒径分布が小さいことが、表示装置の寿命、コントラスト、解像度などの観点から望ましい。また、その粒径は、0.1μmから5μmが好ましい。この範囲内であると、光散乱効率が低下せず、電圧印加時において十分な応答速度が得られる。
【0032】
電気泳動粒子の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、セレン化カドミウム、カーボンブラック、硫酸バリウム、クロム酸鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機顔料、あるいはフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ウオッチングレッド、ダイアリーライドイエローなどの有機顔料を用いることができる。
【0033】
本発明において、前述したように、電気泳動粒子を分散させる流体としては、電気泳動粒子に対する溶解能が小さく電気泳動粒子を安定に分散でき、イオンを含まず、かつ、電圧印加によりイオンを生じない絶縁性のものが望ましい。また、電気泳動粒子の浮沈防止のためには電気泳動粒子と比重がほぼ等しく、電圧印加時における電気泳動粒子の移動度の面から粘性の低いものが好ましい。
【0034】
さらに、レンズ効果を考えて上部基板の屈折率よりその屈折率が出来るだけ小さいことが望まれる。比較的多くの電気泳動粒子材料に対して用いることのできる絶縁性液体としては、例えば、ヘキサン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、トルエン、キシレン、オリーブ油、リン酸トリクレシル、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、テトラクロロエチレンなどを挙げることができる。
【0035】
なお、電気泳動粒子の浮沈防止のために電気泳動粒子との比重整合を行う場合などは混合流体の利用も可能である。
【0036】
本発明において、電気泳動粒子の分散層における混合重量率は、電気泳動粒子の電気泳動性が阻害されず、かつ分散層の反射制御が十分に行える限り、特に限定されるものではないが、例えば1重量%から20重量%が好ましい。
【0037】
本発明において、電気泳動粒子の電荷を増加させるため、あるいは同極性にするために、必要に応じて、前述の流体に、樹脂、界面活性剤等の添加剤を加えることができる。
【0038】
本発明において、分散層の厚さは電気泳動粒子の径より大きく、粒子の運動を妨げない限り特に限定されるものではないが、電圧印加時の速い応答速度のためには、できるだけ薄いことが望ましい。このような観点から、分散層の好ましい厚さは、5μmから200μmである。
【0039】
本発明に用いられる電極材料としては、アルミニウム、銅、銀、金、白金などの良導電性のものが好ましい。また、透明電極材料としては、酸化スズ、酸化インジウム、ヨウ化銅などの薄膜を好ましく用いることができる。また、電極形成は蒸着、スパッタリング、フォトリソグラフィーなど通常の方法で行うことができる。
【0040】
本発明において、上部電極を配置する基板は、十分な絶縁性及び透明性を有し、凹レンズ構造を作製できるものとする。また、レンズ効果を考えて屈折率が高い材料が望まれる。具体的な材料としては、ガラス、プラスチック、セラミックが好ましい。また、その加工の方法は材料に応じてドライエッチング法、ウエットエッチング法、テンプレート法などを用いることができる。
【0041】
本発明において、下部電極を配置する基板は、十分な絶縁性及び微視的な平面性を保ち、十分な構造を維持する強度を有するものであれば、特に限定されない。セルの構造が保たれる限りフレキシブルな基板でもよい。具体的な材料としては、ガラス、プラスチック、セラミックが好ましい。また、この基板に泳動粒子との対比色を担わせる場合には、適当な色素、顔料をガラスやプラスチック、セラミックに混合したものや有色セラミックを基板として用いることができる。
【0042】
本発明において、隔壁の材料として、ガラス、プラスチック、セラミックなどの絶縁性材料のものが好ましい。また、この隔壁に電気泳動粒子との対比色を担わせる場合は、適当な色素、顔料をガラスやプラスチック、セラミックに混合したものや有色セラミックを用いることができる。
【0043】
本発明において、基板上に形成されて、電気泳動粒子の対比色を担わせる誘電体としては、誘電体自身が対比色を有するもの、あるいは対比色を担う顔料、染料を誘電体層に混合したものを使用することができる。
【0044】
誘電体層の材料および厚さは、分散層に十分な電圧が印加され、かつ表示ムラを生じない限りにおいて、特に限定されるものではない。誘電体材料としては、例えば、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウムなどの無機物あるいは、ポリエチレン、ポリスチレン、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、シリコン樹脂などの有機物を用いることができる。電気泳動粒子との対比色を担う顔料や染料を混合する場合、その材料は特に限定されないが、安定に誘電体層に保持されるものが選択される。
【0045】
電極あるいは基板上への誘電体層の形成には、材料に応じてスパッタリング、蒸着、溶液塗布、溶液浸漬、スピンコート、ラングミュアブロジェット法などの通常の手法を用いることができる。誘電体層の厚さは、例えば、数nmから数μmが考えられる。
【0046】
なお、電気泳動粒子の電極表面上への不可逆的な吸着、および電極表面での水等の不純物の電気化学反応を防止するために、第1の電極のみならず第2の電極表面にも必要に応じてフッ素樹脂などの誘電体層を設けることが望ましい。
【0047】
本発明において、電気回路は特に限定されるものではないが、例えば、最大定格電圧100V、電源容量10mAの電源を擁し、その極性を任意に設定できるものなどを用いることができる。
【0048】
その一画素分が図1に示した構造と同様の構造を有する電気泳動表示装置において、各部材の選択、形成、及び設定を以下のようにして行った。下部基板1および上部基板3として、厚さ1mmの透明なガラス板を用いた。上部基板3の凹レンズ構造はフォトリソグラフィー技術とガラスの等方性ウエットエッチングを用い幅50μm、中央部のくぼみ深さ10μmとした。上部電極4は、ITOをスパッタリング法により成膜し、低抵抗化のために摂氏250度のアニールを5時間行った。
【0049】
下部電極2としてクロムを成膜した後、隔壁7を低融点ガラスにてスクリーン印刷法を用い形成し高さ25μmとした。隔壁7の間隔は50μmとした。着色層8は硫酸バリウム微粉末をフッ素樹脂に混入したものをディップコートにより厚さ約0.5μmで形成した。電気泳動粒子5として黒色樹脂トナー(粒径1μm)を、また透明流体6としてイソプロパノールを用い、両者を電気泳動粒子5の混合重量率が10%となるように混合し、さらに分散安定性の向上のために微量の界面活性剤を添加し、分散層6を準備した。この場合、電気泳動粒子5は表面が負に帯電している。
【0050】
このようにして得られた電気泳動表示装置の一画素分の具体的な駆動動作を以下に示す。
【0051】
まず、電気回路9により電極4,2を各々正極、負極となるように電圧30Vの直流電圧を印加すると、負に帯電した電気泳動粒子5は、電極2に移動し、その近傍の着色層表面に吸着する。このとき、基板3側から観測すると、着色層8の白色が観測される。この状態は電気回路9と電極との電気的接続を切り電圧印加を止めた以降も持続され、本電気泳動表示装置がメモリ機能を有することを示した。
【0052】
次に、先の場合と極性を反転して電圧印加を行うと、すなわち電極4が負極、電極2が正極となるように30Vの直流電圧を印加すると、電気泳動粒子5は電極4に移動しその表面に吸着する。
【0053】
この場合、観測者からは電気泳動粒子5の黒色が見えた。光学反射特性は、白表示、黒表示とも各々着色層8および電気泳動粒子5単独の場合とほぼ等しく、電気泳動表示装置が本来有する広視野角に加えて、明るさと高コントラストが両立した電気泳動表示装置であることを確認できた。
【0054】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0055】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0056】
(A)近年、急速に発達している微細加工(マイクロマシーン)技術を用いることにより、数ミクロン幅の構造を深さ数百ミクロンで精度良く加工し、下部電極の面積が上部電極よりも小さくなるように構成し、高コントラストを得るとともに、上部電極と下部電極との距離が一定になる曲面構造となし、電気泳動粒子の吸着を均一になし、色表示の品質の向上を図り、電極間を短くしてもコントラストの低下しない、高速応答の電気泳動表示装置を実現することができる。
【0057】
より具体的には、
(B)下部電極の面積を上部電極に比べ小さくしてあるため、電気泳動粒子が下部電極に付着する場合は、絶縁性液体の隠蔽に頼らなくとも、下部電極とその他の部分の面積比によってコントラストを得ることができる。
【0058】
したがって、従来のように、泳動粒子あるいは透明電極等に色素材料が浸入、吸着することもなく、明るさと高コントラストが両立した電気泳動表示装置を得ることができる。
【0059】
(C)また、上部電極は下部電極と一定の距離を保つように曲面構造をしており、これにより、電気泳動粒子の上部電極への吸着が均一になり電気泳動粒子の色表示が良好に行われる。これと同時に、この構造では電極間距離を短くしても絶縁性液体の光の吸収を使わないために、コントラストの低下は無く、高速応答の電気泳動表示装置を作ることができる。
【0060】
(D)更に、上部電極を曲面構造にするために形成された上部基板の構造は自動的に凹レンズの役割を果たし、上部より観測した場合、下部電極を小さく見せることができる。このため、さらにコントラストを上げる役目を果たす。これらの効果により、電気泳動粒子を分散させた流体として色素材料を含まない透明のものを使用しても隔壁側表面に泳動粒子と対比した着色層を形成することにより十分なコントラストと十分に速い応答速度をもつ電気泳動表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す電気泳動表示装置の一画素の断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す電気泳動表示装置の一画素の断面図である。
【図3】本発明の更なる他の実施例を示す電気泳動表示装置の一画素の断面図である。
【図4】本発明の実施例を示す電気泳動表示装置の全体構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 下部基板(第1の基板)
2 下部電極(第1の電極)
3 上部基板(第2の基板)
4 透明電極(上部電極)(第2の電極)
5 電気泳動粒子
6 透明流体(分散層)
7 隔壁
8 着色層
9 電気回路
10 フィルター
12 走査電極群
11,14 ガラス基板
13 隔壁および着色層
15 信号電極群
Claims (5)
- 複数の画素を有する電気泳動表示装置において、
前記各画素は、第1の基板と、該第1の基板上に設けられた画素面積に比べ小さな面積を有する第1の電極と、該第1の電極側に前記第1の基板に対向して設けられた第2の基板と、該第2の基板の第1の基板に対向する側に設けられ前記第1の電極より広い面積を有する透明な第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極に挟持され、無色の流体及び同極性の電荷を持つ少なくとも一種類の電気泳動粒子を含む分散層と、各画素を分離する隔壁からなり、前記第2の電極が前記第1の電極に等距離を保つような曲面構造を具備することを特徴とする電気泳動表示装置。 - 請求項1記載の電気泳動表示装置において、前記分散層の屈折率が前記第2の基板の屈折率より小さく画素毎に前記第2の基板が凹レンズ機能を有することを特徴とする電気泳動表示装置。
- 請求項1記載の電気泳動表示装置において、前記隔壁の側面が前記第1の電極と第2の電極の端辺を結び第1の電極に近づくにつれ壁面間が次第に小さくなるような構造を具備することを特徴とする電気泳動表示装置。
- 請求項1記載の電気泳動表示装置において、前記隔壁の側面が前記電気泳動粒子と対比し得る色を有することを特徴とする電気泳動表示装置。
- 請求項1記載の電気泳動表示装置において、前記第1の基板および隔壁が透明であることを特徴とする電気泳動表示装置。
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