JP3862042B2 - 導電性ペースト、それを用いたセラミックス構造物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導体とセラミックスが同時焼成され一体化したインダクタ、コンデンサ、共振器、回路配線基板等のセラミックス構造物に関し、特に焼成時に内部導体の空孔及びクラックの発生を抑える導体ペースト、セラミックス構造物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器の小型化、高性能化を目的として、セラミックスと導体とを一体化してなるインダクタ、コンデンサ、共振器、回路配線基板等が開発されている。そして、導体は安価なこと及び抵抗率が低いこと等から銀又は銀を主成分とする金属が多く用いられている。
【0003】
これらの電子部品は、導体とセラミックスを同時焼成することにより得られる。即ち、セラミックス粉末と有機ビヒクルとを混合して得られたセラミックスペーストをシート法、印刷法等の手段でグリーン成形体を作製し、該グリーン成形体に導体粉末と有機ビヒクルとを混合して得られた導体ペーストを印刷し、積層、圧着、切断後、焼成し、外部電極等を形成することにより作製される。
【0004】
ここで、上記のように銀又は銀を主成分とする金属とセラミックスとを同時焼成するためには、セラミックス材料は少なくとも銀の融点付近以下、即ち960℃以下で焼結できる必要がある。このようなセラミックス材料には鉛系ペロプスカイト型誘電体又はガラスセラミックス等が用いられ、例えば、移動体通信等の高周波領域で使用される共振器には、誘電率が高く信頼性も高いことから、鉛、タングステン、ニオブ等を含む鉛系ペロプスカイト型誘電体が用いられている。
【0005】
ところで、通常、銀又は銀を主成分とする金属とセラミックスとを同時焼成する場合に以下の問題が生ずる。
【0006】
第一に、通常は導体を構成するべく焼成前の金属は、各々の粒子の大きさ、即ち表面活性が異なるために、その焼結の進行が不均一となり、焼結後の導体中に空孔(開孔及び閉孔)を生じる。これは、導体の抵抗を上げることになり、高周波で使用されるようなフィルタ等のQ値を下げることになる。また、リフローはんだ付け時にポッピング現象を引き起こし、信頼性、電気特性等に影響することとなる。
【0007】
第二に、銀又は銀を主成分とする金属とセラミックスとは焼結に伴う体積収縮又は線膨張係数が異なるので、昇温又は降温過程においてこれらの界面に発生する応力によりクラックや剥離(デラミネーション)が発生する。これは、信頼性、電気特性、歩留まり等に影響し、場合によっては上記と同様にリフローはんだ付け時にポッピング現象を引き起こすこととなる。
【0008】
ここでポッピング現象とは、製造時のメッキ工程において素子をメッキ液に浸漬するときに空孔やクラックに侵入したメッキ液が、ハンダリフロー炉に通炉することにより沸騰し部品が破裂する現象をいう。
【0009】
従来は、以上のような問題を解決するために、導体材料の平均粒径を制御したり、導体材料に焼結抑制剤を添加する等の試みがなされてきた。例えば、特開平7−85720号公報には、ガラス成分を含有するアルミナ等のセラミックス製回路基板における配線形成用導体ペーストとして平均粒径3μm以上の銀粒子及び焼成により無機酸化物を生成するレジネートを含有する導体ペーストについての記載がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように銀又は銀を主成分とする導体は、従来のように導体材料の平均粒径を制御したり焼結抑制剤を添加しても、同時焼成するセラミックス材料の構成元素によっては、上記問題を解決できないものも多数存在する。例えば、上記に示したような鉛系ペロブスカイト型の誘電体である。
【0011】
そこで本発明は、銀又銀を主成分とする導体とセラミックスとを同時焼成し一体化したインダクタ、コンデンサ、共振器、回路配線基板等のセラミックス構造物、特に鉛系ペロブスカイト型誘電体と一体化したセラミックス構造物において、焼成時に導体の空孔及びクラックの発生を抑える導体ペースト、セラミックス構造物及びその製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、焼結抑制剤を含む導体材料とセラミックス材料とを同時焼成した場合の相互の反応及び導体材料の粒径等ついての鋭意研究を重ねた結果、平均粒径等の制御及び焼結抑制剤の選択等により上記問題が解決できることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0013】
ここで、焼結抑制剤を含む導体材料とセラミックス材料とを同時焼成した場合の相互の反応について明らかにする。
【0014】
一般的に焼結抑制剤の効果の発現機構は、特開平7−176209号公報に示されるような、いわゆる、ピンニング効果によるものと考えられる。かかるピンニング効果とは、銀に対する固溶度が極めて小さい又は融点の高い金属が銀焼結体に析出し、銀がセラミックス中へ拡散するのを抑えると同時に、銀の粒成長を抑えることにより焼結温度を高温側にシフトさせることである。そしてこの効果により導体の体積収縮が少なく、空孔及びクラックの発生を抑えることができる。
【0015】
ところが、例えばPb、W、Nb、Ge等の酸化物を含む鉛系ペロブスカイト型のセラミックス材料と焼結抑制剤を添加した銀又は銀を主成分とする金属とを同時焼成した場合に、以下の理由によりその添加効果が低下する。
【0016】
まず、J.Mater.res.Vol.10,No.11(1995)p2933には、PbOはAgと共融化合物を形成し825℃の共融点を持ち、それ以上の温度ではPbOとAgとからなる液相が存在することを報告している。
【0017】
また、Wの酸化物が酸素の存在下で昇温されるとき、Agとの間で約605℃付近に融点を持つAgWO4を生じることは古くから知られている。
【0018】
更に、酸化ニオブ又は酸化ゲルマニウム(hexagonal)がAg粉末と共に昇温するとAgが400℃付近から酸化していくことを突き止めた。
【0019】
そして、金属銀との間でこのような反応を示す金属酸化物、つまり、960℃以下の比較的低い温度で銀との間に共融点を有する金属酸化物、300℃以上の温度でも金属銀表面を酸化する金属酸化物又は300℃以上の温度でも金属銀表面を酸化して、かつ当該酸化銀と低温で溶融する金属酸化物が存在すると、たとえ焼結抑制剤が存在しても、上記のような反応が始まる温度以上では焼結抑制剤の効果が十分に得られない。
【0020】
つまり、金属表面に析出した焼結抑制効果のある金属が上記反応の際に押しのけられたり、共融化合物等に取り込まれることにより焼結抑制剤として作用することができず、金属銀粉末同士が直接に接触しやすくなり、金属粉のネック形成がはじまり焼結開始温度が低温側にシフトすると考えられる。
【0021】
本発明者は以上のことに鑑み、平均粒径等の制御及び焼結抑制剤の選択等により上記問題が解決できることを見いだした。
【0022】
具体的には、上記課題は下記(1)〜(9)の構成により解決できる。
【0023】
(1)銀又は銀を主成分とする粉末と焼結抑制剤とを有機ビヒクルに分散してなる導電性ペーストにおいて、上記銀又は銀を主成分とする粉末はその平均粒径が1.3μm〜4.5μmであり、標準偏差が平均粒径の30%以下であることを特徴とする導電性ペースト。
【0024】
(2)銀又は銀を主成分とする粉末と焼結抑制剤とを有機ビヒクルに分散してなる導電性ペーストにおいて、上記銀又は銀を主成分とする粉末はその平均粒径が1.3μm〜4.5μmであり、0.7μm未満の微粒子の含有率が20%未満であることを特徴とする導電性ペースト。
【0025】
(3)上記導電性ペーストにおいて、上記焼結抑制剤がアルミニウムを含む有機金属錯体であることを特徴とする(1)又は(2)の何れかに記載の導電性ペースト。
【0026】
(4)導体とセラミックスとを有するセラミックス構造物において、該導体は(1)〜(3)の何れかに記載の導体ペーストを用いて形成してなることを特徴とするセラミックス構造物。
【0027】
(5)上記のセラミックス構造物において、上記セラミックスは960℃以下で銀と共融する金属酸化物を含むことを特徴とする(4)に記載のセラミックス構造物。
【0028】
(6)上記のセラミックス構造物において、上記セラミックスは300℃〜960℃で金属銀を酸化する金属酸化物を含むことを特徴とする(4)又は(5)の何れかに記載のセラミックス構造物。
【0029】
(7)上記のセラミックス構造物において、上記セラミックスは300℃〜960℃で金属銀を酸化し、酸化した銀と960℃以下で共融する金属酸化物を含むことを特徴とする(4)〜(6)の何れかに記載のセラミックス構造物。
【0030】
(8)(4)に記載のセラミックス構造物において、上記セラミックスは鉛、ニオブ、タングステンのうち少なくとも一種類の金属酸化物を含むことを特徴とするセラミックス構造物。
【0031】
(9)上記導体ペーストと上記セラミックスとを960℃以下で同時焼成したことを特徴とする(4)〜(8)に記載のセラミックス構造物の製造方法。
【0032】
【発明の実施の形態】
(導体ペースト)本発明に係る導体ペーストは、銀又は銀を主成分とする粉末と焼結抑制剤とを有機ビヒクルに分散してなるものであり、銀又は銀を主成分とする粉末はその平均粒径が1.3μm〜4.5μmであり、標準偏差が30%以下、好ましくは20%以下である。平均粒径が小さすぎると金属粒子表面の活性が大きい粒子が増えるために、焼結が不規則に進行して導体中の空孔が多くなるからである。また、平均粒径が小さくなると粒子の表面積が大きくなることから、ペースト化の際に必要とする有機バインダの量が多くなり焼成時の収縮が大きくなる問題も生じる。一方、平均粒径が大きすぎるとスクリーン印刷時の作業性が悪くなる。
【0033】
また、標準偏差は小さいほど各金属粒子表面の活性のばらつきが少なくなり、焼結が均一に進み空孔の発生を抑えることができる。
【0034】
従って、微小粒子の割合が少ないほど空孔の発生を抑えることができるため、銀又は銀を主成分とする粉末の平均粒径を1.3μm〜4.5μmにして、更に0.7μm以下の微粒子の含有率を20%未満、好ましくは10%以下、更に好ましくは3%以下としても空孔の発生を抑えることができる。
【0035】
上記銀を主成分とする粉末は、銀を主体にする金属であれば特に制限はないが、例えば、銀−パラジウム、銀−金、銀−白金、銀−銅等の金属粉末を使用することができる。導体の比抵抗を低く抑えたい場合は銀の割合を90wt%以上とすることが好ましい。
【0036】
焼結抑制剤は、その焼成過程において、上記問題となるセラミックス材料の金属酸化物が焼成時に導体中に拡散する温度よりも低温領域において焼結を抑制する効果があり、例えば、ロジウム等の貴金属類の微粉、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の各種酸化物の微粉、昇温時にこれら貴金属類や各種酸化物を形成する有機金属錯体等が挙げられる。
【0037】
ここで有機金属錯体とは、有機化合物が中心金属に配位して結合したものである。有機化合物としては単座配位子や多座配位子がある。直接金属に配位する有機化合物の部位としては、O、S、N又はP等が一般的である。例えば、金属キレート、金属レジネート、アルコレート、カップリング剤等種々のものが種々の名前で存在している。
【0038】
以上のような通常用いられている焼結抑制剤であれば何れも使用することができるが、少量でも効果が高いという点では、貴金属類や酸化物の微粉より有機金属錯体が好ましく、中でもコストや効果の点からアルミニウム系の有機金属錯体を用いることがより好ましい。
【0039】
焼結抑制剤の含有量は、種々の条件、例えば導体材料の粒径、導体材料の比表面積、セラミックスの組成、熱処理方法、また有機金属錯体を用いる場合は配位子の種類等により適宜決定すればよいが、金属酸化物の微粉や熱処理により金属酸化物を形成する有機金属錯体を用いる場合には、導体の比抵抗に影響するために少ないほど好ましい。例えば、アルミニウム系の有機金属錯体の場合は熱処理により生成するAl2O3換算で0.005wt%〜7wt%、好ましくは0.015wt%〜2wt%程度である。この含有量が少なすぎると添加効果が現れない。一方、含有量が多すぎると上記のように導体の比抵抗が大きくなり、また有機金属錯体はその配位子の占める体積の割合が大きいために、その含有量が多いと熱処理後の導体の縮率が大きくなりクラック等を発生させやすくなる。
【0040】
本発明に係る導体ペーストの製造方法は、一般的な製造方法により作製される。即ち、上記粒径に制御された銀又は銀を主成分とする金属粉末に所定量の上記焼結抑制剤と所定量の有機ビヒクルとを加えて、三本ロールミル、ボールミル等により混練する。
【0041】
ここで、有機ビヒクルは有機バインダ及び溶剤を含有し、有機バインダは、例えばアクリル樹脂、エチルセルロース、ブチラール樹脂等の公知のものはいずれも使用可能でありその含有量は1〜10wt%程度である。溶剤は、例えばテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン等公知のものは何れも使用でき、その含有量は22〜55wt%程度である。また、必要に応じて上記の他に総計10wt%程度以下の範囲で添加剤として、例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の分散剤や、例えばジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジブチルフタリルグリコール酸ブチル等の可塑剤等を添加してもよい。但し、本発明に係る導体ペーストはガラスフリットを含まない。ガラスフリットが存在すると焼成時にセラミックス材料から拡散した成分が当該ガラスフリットと反応して、より融点の低いガラスとなり、ガラスの粘度が著しく低くなり導体とセラミックスの間やセラミックス中に移動して導体中に空孔を形成しやすくなると同時に、移動した低融点のガラスが異相を形成することにより電気的又は機械的特性を著しく劣化させるためである。
【0042】
(セラミックス材料)
上記本発明に係る導体ペーストと同時焼成するセラミックス材料は、一般に銀の融点以下で焼成できるセラミックス材料であれば特に限定はない。例えば、鉛系ペロプスカイト型誘電体、ガラスセラミックス等が挙げられる。
【0043】
しかしながら本発明に係る導体ペーストは、特に従来の導体ペーストではクラックや導体中の空孔の発生を抑えることが困難であっ鉛系ペロプスカイト型誘電体をセラミックス材料として用いた場合でもクラックや導体中の空孔の発生を抑えることができる。更には、上記のようにPb、W、Nb、Geを含む場合、換言すれば、960℃以下で銀と共融する金属酸化物、600℃〜960℃で金属銀を酸化する金属酸化物又は600℃〜960℃で金属銀を酸化し、酸化した銀と960℃以下で共融する金属酸化物のうち何れかを含むセラミックス材料の場合に顕著な効果が現れる。
【0044】
(製造方法)
本発明に係るセラミックス構造物の製造方法について、積層型誘電体共振器を例に挙げて詳説する。
【0045】
セラミックス粉末を、例えば磁器製のボールミルポット等を用いて有機ビヒクル等と混合する。この混合方法は通常用いられる方法であればどのような方法でも良く、十分混合して各成分が均一に分散されればよい。更に、用いる有機ビヒクル等についても、通常用いられるものであれば特に限定はなく、例えば有機バインダーとしては、アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)、エチルセルロースなどを単独または2種類以上を、通常セラミックス粉末100重量部に対して7〜20重量部程度添加すればよい。
【0046】
また、溶剤としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等を単独または2種類以上を、通常セラミックス粉末100重量部に対して40〜60重量部程度添加すればよい。
【0047】
また、可塑剤としては例えばジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、n−ブチルフタリルn−ブチルグリコラート(BPBG)などを単独または2種類以上を、通常セラミックス粉末100重量部に対して3〜7重量部程度添加すればよい。
【0048】
その他、通常このような目的で用いられる有機ビヒクル等の添加物に制限はなく、必要に応じて使用することができる。
【0049】
このようにして有機ビヒクル等とともにボールミル等により均一に混合したセラミックス粉末のスラリーを、目的に応じて所定の厚さをもつグリーンシートに成形する。更に、成形したグリーンシートに上記導体ペーストを用いて、所定の形状に電極を形成した上で所定の電極構成となるように積層し、所定の大きさに切断する。グリーンシート成形法、回路の形成方法及び積層方法については特に制限はなく、通常用いられる方法であればどのような方法でも良く、例えばドクターブレード法等によりグリーンシートを成形し、スクリーン印刷法等により電極を成形して圧着して積層すればよい。
【0050】
つづいて、上記積層体は、500℃〜700℃、3〜8時間程度で脱脂し、800℃〜960℃程度の温度で通常15分〜5時間程度焼成すればよい。焼成温度がこの範囲より高すぎると、導体材料が拡散し、低すぎると得られた基板の焼結密度が低くなり好ましくない。
【0051】
更に、焼成後の積層体はその表面に電極ペーストを塗布又は印刷し焼き付けることにより外部電極(接地電極及び信号電極)が形成され、必要に応じてメッキが施される。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示す。
【0053】
実施例としては、セラミックス構造物の例として図1に示すような積層型誘電体共振器(トリプレート型共振器)を作製して評価を行った。
【0054】
(試料)
導体ペーストは表1に示す試料No.1〜8の金属粉末原料に焼結抑制剤として有機金属錯体(商品名:プレンアクトAL−M(味の素kk製))を所定量加え、更にアクリル系樹脂及びα−テルピネオールを所望量加えて作製した。
【0055】
ここで、金属粉末原料の平均粒径及び0.7μm未満の微粒子の割合は走査型電子顕微鏡(SEM)から画像解析ファイルシステムIP−1000(旭化成製)を用いて求めた。
【0056】
また、導体ペーストの粘度は印刷性に影響し、この粘度は金属粉末原料の平均粒径等により変化するために、アクリル樹脂及びα−テルピネオールの添加量は当該導体ペーストが最適粘度となるように調整して添加した。
【0057】
セラミックス材料としては、Pb0.47Ca0.53W0.07Fe0.53Nb0.40O3からなる複合ペロブスカイト100重量部にPb5Ge3O11を3重量部を添加してなる誘電体を用いて、この粉末にアクリル系樹脂及び溶剤を加え混合しスラリーを作製しドクターブレード法により115μm程度のセラミックスグリーンシートを得た。
【0058】
ついで、上記セラミックスグリーンシート上に上記導体ペーストを所定の形状にスクリーン印刷法により印刷して、図1に示すトリプレート型の共振器となるように所定の枚数のセラミックスグリーンシート及び導体が印刷されたセラミックスグリーンシートを積層し圧着し切断してグリーンチップ体を得た。そして、当該グリーンチップ体を600℃、5時間、大気中で脱脂して、その後930℃、3時間、大気中で焼成し4.1mm×3.3mm×1.5mmの焼結体を得た。
【0059】
また、比較例として導体ペーストに用いる金属粉末の0.7μm以下の粒子の割合が20%(試料No.9)及び95%(試料No.10)の焼結体(セラミックス構造物)も作製した。なお表1に示すように金属材料の平均粒径が13.3μm(試料No.11)の導線性ペーストも作製したが、印刷が困難であり、焼成後にクラック等が発生した。
【0060】
(評価及び結果)
上記焼結体を側面方向から研磨して導体を露出させエッチングによって導体層の状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して、断面積中の空孔の割合から導体の緻密性を評価した。更に、図1に示すように上記焼結体の外面にAgペーストを印刷し焼き付けることにより接地電極を形成し(一端面以外はメタライズされている)マイクロストリップラインの共振器を作製して無負荷Q値を測定した。測定はλ/4波長共振器法で約1.9GHzのTEMモードの共振周波数におけるQ値をインピーダンスアナライザ(ヒューレット・パッカード社製)より測定して求めた。
【0061】
表1に評価結果を示す。
【0062】
【表1】
【0063】
これより、本発明に係る導体ペースト又はセラミックス構造体の効果は明らかである。
【0064】
すなわち、本発明に係る導体ペーストを用いた積層型誘電体共振器は、内部導体の緻密性が高く(換言すれば空孔が少なく)共振器の無負荷Q値も高く良好な電気特性の素子が得られた。また、導体の緻密性が高いことより信頼性が高く、リフローハンダ付け時のポッピング現象が発生しにくいことが示唆される。
【0065】
特に、金属粉末の平均粒径が1.3〜7μmであって、標準偏差が20%以下又は金属粉末中の0.7μm以下の粒子の割合が3wt%以下のものが、導体の緻密性及び共振器の無負荷Q値について良好な結果が得られた。
【0066】
ここで、試料No.1〜10のものは焼成後のクラック、デラミネーションは発生しなかった。また、試料No.11のものは上記のように焼成後にクラックが発生したために、導体の緻密性及び共振器の無負荷Q値は評価できなかった。
【0067】
本実施例においては積層型誘電体共振器について示したが、上記のように銀又は銀を主成分とする金属と反応するような金属酸化物を含むセラミックスと同時焼成するものであれば、例えば、インダクタ、コンデンサ、回路配線基板等の電子部品に限らずさまざまなものに用いても同様に空孔、クラック等の発生が抑えられることは言うまでもない。
【0068】
一例を挙げるなら、鉛等を含むセラミックス材料を用いた場合銀又は銀を主成分とする導体材料とセラミックスを同時焼成場合に顕著な効果があることから、鉛系の超伝導体等にも用いることができる。
【0069】
【発明の効果】
本発明に係る導体ペースト、それを用いたセラミックス構造物及びその製造方法は、銀又銀を主成分とする導体とセラミックスとを同時焼成し一体化する場合に内部導体の空孔及びクラックの発生を抑えることができ、リフローハンダ付け時のポッピング現象の発生を抑えることができる。また、信頼性、電気的諸特性の良好な素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層型誘電体共振器(トリプレート型共振器)の斜視図である。
【符号の説明】
1;内部導体
2;セラミックス
3;接地電極
Claims (9)
- 銀又は銀を主成分とする粉末と焼結抑制剤とを有機ビヒクルに分散してなる導電性ペーストにおいて、上記銀又は銀を主成分とする粉末はその平均粒径が1.3μm〜4.5μmであり、標準偏差が平均粒径の30%以下であることを特徴とする導電性ペースト。
- 銀又は銀を主成分とする粉末と焼結抑制剤とを有機ビヒクルに分散してなる導電性ペーストにおいて、上記銀又は銀を主成分とする粉末はその平均粒径が1.3μm〜4.5μmであり、0.7μm未満の微粒子の含有率が20%未満であることを特徴とする導電性ペースト。
- 上記導電性ペーストにおいて、上記焼結抑制剤がアルミニウムを含む有機金属錯体であることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の導電性ペースト。
- 導体とセラミックスとを有するセラミックス構造物において、該導体は請求項1〜3の何れかに記載の導体ペーストを用いて形成してなることを特徴とするセラミックス構造物。
- 上記のセラミックス構造物において、上記セラミックスは960℃以下で銀と共融する金属酸化物を含むことを特徴とする請求項4に記載のセラミックス構造物。
- 上記のセラミックス構造物において、上記セラミックスは300℃〜960℃で金属銀を酸化する金属酸化物を含むことを特徴とする請求項4又は5の何れかに記載のセラミックス構造物。
- 上記のセラミックス構造物において、上記セラミックスは300℃〜960℃で金属銀を酸化し、酸化した銀と960℃以下で共融する金属酸化物を含むことを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載のセラミックス構造物。
- 請求項4に記載のセラミックス構造物において、上記セラミックスは鉛、ニオブ、タングステンのうち少なくとも一種類の金属酸化物を含むことを特徴とするセラミックス構造物。
- 上記導体ペーストと上記セラミックスとを960℃以下で同時焼成したことを特徴とする請求項4〜8に記載のセラミックス構造物の製造方法。
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