JP3859277B2 - オリゴグリセリンの製造方法及び固体触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非イオン性界面活性剤原料等として有用なオリゴグリセリンの製造方法及びその製造に好ましく適用される固体触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジグリセリンや、トリグリセリン、テトラグリセリン等のオリゴグリセリンは、非イオン性界面活性剤原料や化粧品配合成分等として広く利用されている。このようなオリゴグリセリンの製造方法としては、従来、各種の方法が知られている。例えば、特開平7−216082号公報には塩基触媒を使うグリセリンの重縮合法、米国特許第3968169号には酸触媒を使うグリセリンの重縮合法、特表平7−507779号公報にはゼオライト触媒を使うグリセリンの重縮合法が開示されている。しかしながら、これらの重縮合方法では、未反応のグリセリンが多量残存する上、得られるオリゴグリセリンは多種類の混合物からなる分子量分布の広いものである。また、これらの方法の場合、環状生成物を相当量副生するという問題もある。
特開平1−283246号公報には、グリセリンとエピクロルヒドリンを反応させる方法が示されているが、この方法の場合、反応選択性が低い上に、環状生成物を相当量副生する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特定のオリゴグリセリンを選択性よくかつ高収率で製造する方法を提供するとともに、そのオリゴグリセリンの合成に好適な固体触媒を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、グリセリンカーボネートとグリセリンとを、塩基点と酸点を表面に有する固体触媒の存在下、80〜250℃の温度で反応させることを特徴とするオリゴグリセリンの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、グリセリンカーボネートを、塩基点と酸点を表面に有する固体触媒の存在下、80〜250℃で反応させた後、水の存在下でさらに反応させることを特徴とするオリゴグリセリンの製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、グリセリンカーボネートと一般式
【化1】
(式中、R1及びR2は水素原子又は炭化水素基を示し、R1とR2が炭化水素基を示す場合、R1とR2とは結合して炭素環を形成していてもよい)
で表されるグリセリン誘導体とを、塩基点と酸点を表面に有する固体触媒の存在下、80〜250℃の温度で反応させた後、得られた反応生成物を加水分解処理することを特徴とするオリゴグリセリンの製造方法が提供される。
さらにまた、本発明によれば、グリセリンカーボネートと含水酸基有機化合物とを反応させる固体触媒であって、該固体触媒はその表面に塩基点と酸点を有することを特徴とする前記固体触媒が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
グリセリンカーボネート(以下、GCと略記することもある)は、従来オリゴグリセリン(以下、OGLと略記することもある)の製造原料には使われていなかったが、本発明者らの研究によれば、GCを原料にすると環状物等の副生物の生成が抑制される上に重合度制御が可能になることが知見された。そして、GCはグリセリンから容易に製造できる安全性の高い化合物である。グリセリンの重縮合は触媒存在下に250℃付近で進行するが、GCを原料にすると150℃付近でもオリゴグリセリンを容易に得ることができる。本発明は、このように利点の多いGCをOGL製造原料にすることを骨子としている。なお、GCは単独でも触媒存在下に反応して環状物等の少ないOGL前駆体を生成するが、グリセリン又はグリセリンのアセタールやケタール(以下、これらをGLDとも云う)と反応させると更に利点が多く、反応容易な上に重合度の制御が容易になる。
【0006】
本発明においては、グリセリンカーボネートとグリセリン水酸基との反応(求核置換反応)用触媒として、塩基点と酸点の両方を表面に有する固体触媒を用いる。
本明細書において言う塩基点とは、水素イオン(H+)を吸着し得る触媒の活性点を意味し、水酸基の水素を活性化させ、−O-イオンの生成を促進させる。この塩基点は、M1−O(M1:Ca及び/又はMg)の結合を触媒表面に形成することにより、触媒中に導入することができる。
一方、本明細書において言う酸点とは、ヒドロキシルイオン(OH-)を吸着し得る触媒の活性点を意味し、グリセリンカーボネートのカーボネート基を活性化させ、カルボキシレート基(−OCOO-)の生成を促進させる。この酸点は、M2−O(M2:周期律表の2B族金属、3A族金属、3B族金属、4A族金属、4B族金属、5A族金属、5B族金属、6A族金属、6B族金属、7B族金属及び8族金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属)の結合を触媒表面に形成することにより触媒中に導入することができる。
【0007】
前記金属M2の具体例としては、2B族金属として、Zn、Cd;3A族金属として、Al、Ga、In、Tl;3B族金属として、Sc、Y、La;4A族金属として、Ge、Sn、Pb;4B族金属として、Ti、Zr、Hf;5A族金属として、Sb、Bi;5B族金属として、V、Nb、Ta;6A族金属として、Se、Te;6B族金属として、Cr、Mo、W;7B族金属として、Mn、Tc、Re;8族金属として、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等が挙げられる。本発明において用いる好ましい金属M2は、Al、Ga、In、Tl、Co、Sc、La、Mn、Zn、Ti、Zr、Sn、Sb、Bi、Mo、W、Fe、Cr、Ni及びCuの中から選ばれる金属である。
【0008】
本発明の固体触媒としては、前記M1金属とM2金属とを酸化物の形で含むものであればどのようなものでも使用することができる。このような固体触媒は、従来公知の各種の方法で調製することができる。このような方法としては、例えば、M2金属の硝酸塩水溶液や炭酸塩水溶液を、M1金属の酸化物(CaO及び/又はMgO)に含浸させた後、窒素気流中又は減圧条件下で400〜1000℃、好ましくは500〜800℃で焼成する方法や、M1金属硝酸塩とM2金属硝酸塩を含む水溶液にアンモニア水を加えてM1金属水酸化物とM2金属水酸化物からなる混合物を沈澱させた後、この沈澱を濾別し、水洗し、乾燥した後、窒素気流中又は減圧条件下で400〜1000℃、好ましくは500〜800℃で焼成する方法等を示すことができる。
本発明の固体触媒の好ましい調製法によれば、ハイドロタルサイト又はそのハイドロタルサイト中のアルミニウムイオンの少なくとも一部を他のM2金属イオンで置換した金属置換ハイドロタルサイトを、窒素気流中又は減圧条件下で400〜1000℃、好ましくは500〜800℃で焼成して、複合金属酸化物とする方法である。
【0009】
前記ハイドロタルサイトとしては、下記一般式(2)で表されるものが用いられる。
【化2】
前記式中、xはゼロより大きく、1未満の数を示し、mは0以上の数を示す。xは、通常、0.001〜0.60、好ましくは0.01〜0.35の数である。
また、ハイドロタルサイト中のアルミニウムイオンを他のM2金属イオンで置換する場合、M2金属としては、特に、Ga、In、Tl、Co、Sc、La、Mn、Zn、Ti、Zr、Sn、Sb、Bi、Mo、W、Fe、Cr、Ni及びCuの中から選ばれる金属の少なくとも1種を用いるのが好ましい。
本発明の固体触媒において、M2金属の割合は、M1金属に対する原子比M2/M1が0.001〜1.50、好ましくは0.01〜0.54の範囲になるような割合である。
本発明の固体触媒の形状は、粉末状や球状、ペレット状等の各種の形状であることができる。
本発明の固体触媒は、グリセリンカーボネートと一価アルコールや多価アルコール等の含水酸基有機化合物との反応用触媒として一般的に適用される。
【0010】
本発明のOGL製造方法には、GCとグリセリンを原料にする方法、GCだけを原料にする方法及びGCとGLD(グリセリンのアセタール又はケタール)を原料にする方法の3種の方法がある。以下、これらの方法について詳記する。
【0011】
〔A〕GCとグリセリンを原料にする方法
この方法は、GCとグリセリンから下記一般式(3)で表されるカルボキシレート中間体を生成させ、これを脱炭酸する方法である。
【化3】
(式中、Yは水素原子又はカルボキシル基を示し、mとnは同じでも異なつていても良いが、これらは0又は1〜3の整数を示し、mとnの和は5以下である)
以下、この方法によるOGL生成過程の1例を反応式で説明する。
下記(4)式は、GCとグリセリンとの反応(求核置換反応)により生成したカルボキシレート中間体が脱炭酸してジグリセリンを生成する反応例を示す。
下記(5)式は、GCとジグリセリンとの反応により生成したカルボキシレート中間体が脱炭酸してトリグリセリンを生成する反応例を示す。
本発明におけるGCとグリセリン水酸基との反応は、求核置換反応であり、この求核置換反応は、その反応により生成されるカルボキシレート中間体の脱炭酸反応により促進されるものと推定される。このような求核置換反応を繰返し行うことによって、オリゴグリセリンが生成される。
【0012】
【化4】
【化5】
【0013】
本発明で原料に使うGCは、従来公知の方法で容易に製造することができる。例えばグリセリンとホスゲンの反応やエピクロルヒドリンと炭酸塩の反応で得られるし、グリセリンとエチレンカーボネートからは前記の方法よりも有利に製造することができる(特開平6−329663号)。
本発明の反応は、前記固体触媒の存在下で進行する。固体触媒の使用量は、GCに対し、0.001〜100重量%、好ましくは0.1〜50重量%である。
【0014】
GCの使用割合は、グリセリン1モル当り、0.2〜20モル、好ましくは0.5〜10モルの割合である。GCとグリセリンとの反応は、▲1▼グリセリンとGCを混合加熱する;▲2▼加熱グリセリン中にGCを滴下する;▲3▼加熱GC中にグリセリンを滴下する;などの方式で行っても良いが、▲2▼の方式が好ましい。▲2▼の方式では、反応初期の反応液中に大量のグリセリンと少量のGCが存在するから、GCは優先的にグリセリンと反応してGC間の反応が抑制される。また、GCとグリセリンの反応生成物に新しく滴下されたGCが反応して逐次的に反応が進行し、その結果として所望量のGCをグリセリンと反応させることができる。
本発明の方法においては、得られるOGLの重合度はGCの使用量と関係し、GC使用量がグリセリン使用量の1〜1.5モル倍ではジグリセリンが主に生成し、GC使用量がグリセリン使用量の2〜2.6モル倍ではトリグリセリンが主に生成し、GC使用量がグリセリン使用量の3〜3.6モル倍ではテトラグリセリンが主に生成する。また、この場合のGC滴下速度は、目的物の種類や反応温度及び反応量等の諸反応因子で異なるが、通常は全量を0.5〜20時間、好ましくは4〜12時間で滴下する速度に規定するのがよい。滴下終了後も1〜15時間、好ましくは3〜10時間反応を継続するのが良く、これによって滴下GCの全量を反応させることができる。
反応温度は80〜250℃、好ましくは100〜210℃、より好ましくは110〜180℃であり、反応温度80℃未満では反応速度が著しく遅く、反応温度が250℃を超えると副生物量が多くなる上、製品OGLに着色を生じる等の問題がある。
【0015】
前記反応により、GCとグリセリンとの間の求核置換反応と、その反応により生成したカルボキシレート中間体の脱炭酸反応が起り、オリゴグリセリンが生成される。
前記のようにして得られる反応生成物は、これを冷却後、固体触媒を濾過等の固液分離法で除去する。これにより、高品質のオリゴグリセリン溶液を得る。このオリゴグリセリン溶液は、本質的に中性であるため、従来法のように、酸やアルカリを添加して中和する必要もなく、かつそのオリゴグリセリン分子量分布は非常にシャープである。
〔A〕法でOGLを製造する場合、反応は常圧開放系、常圧密閉系、加圧系及び減圧系のいずれの方式で行っても良いが、生成した二酸化炭素の除去が容易な減圧系や常圧開放系で行うのが好ましい。そして、常圧開放系の場合は、窒素ガス等の不活性ガスを流通させて二酸化炭素除去を容易にするのが好ましい。
【0016】
前記のようにして得られる反応生成物は、通常、使用量の2〜15重量%に相当する未反応グリセリンと生成OGLの1〜3重量%に相当する微量の環状生成物を含み、重合度1〜4のOGLの得率は全OGLの80重量%以上である。従って、常法によって反応生成物を精製処理することにより、高品質のオリゴグリセリンを得ることができる。例えば、固体触媒を濾別後の液を減圧トッピングしてグリセリンの過半を留去すれば高純度のオリゴグリセリンが得られる。また、生成液を減圧下に単蒸留すれば高品質のオリゴグリセリンが得られ、減圧精留すれば更に高品質のオリゴグリセリンが得られる。
【0017】
〔B〕GCだけを原料にする方法
この方法は、GCから下記一般式(6)で表されるカルボキシレート中間体を生成させ、これを加水分解及び脱炭酸させてオリゴグリセリンを生成させる方法である。
【化6】
(式中、Yは水素原子又はカルボキシル基を示し、mは0又は1〜3の整数を示す)
以下、この方法によるOGLの生成過程の1例を反応式で説明する。
下記(7)式は、2モルのGCの反応(求核置換反応)により生成したカルボキシレート中間体が脱炭酸してオリゴグリセリン前駆体を生成する反応例を示す。
下記(8)式は、前記(7)式で得られたオリゴグリセリン前駆体がさらにGCと反応し、この反応により生成したカルボキシレート中間体が脱炭酸して分子量の高められたオリゴグリセリン前駆体を生成する反応例を示す。
下記(9)式は、前記(7)式で得られたオリゴグリセリン前駆体が水の存在下で加水分解されてカルボキシレート中間体となり、これが脱炭酸してオリゴグリセリンを生成する反応例を示す。
【0018】
【化7】
【化8】
【化9】
【0019】
〔B〕法はオリゴグリセリン前駆体の生成後に加水分解及び脱炭酸してオリゴグリセリンを生成させる方法であり、原料のGCは前記のようにグリセリンから容易に製造することができる。
GCからのOGL前駆体の生成反応は、前記固体触媒の存在下に進行する。固体触媒の添加量は、GCに対し、0.001〜100重量%、好ましくは0.1〜50重量%である。
【0020】
前記(9)式で例示される加水分解反応は、理論量の1〜50モル倍、好ましくは1〜10モル倍の水の存在下に進行する。この場合の加水分解用触媒としては、通常の塩基触媒や酸触媒を用いることができる。
【0021】
前記塩基触媒としては、、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が用いられ、塩基性イオン交換樹脂も使用可能である。これらのうち特に好ましいのはナトリウムやカリウムの水酸化物、炭酸塩、及び重炭酸塩である。
酸触媒としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸;シリカ、アルミナ、ゼオライト、カオリン、ヘテロポリ酸/シリカ複合体等の固体酸;多孔質物質上に前記無機酸を担持した固体酸;酸型イオン交換樹脂等が用いられる。酸型イオン交換樹脂としては、ナフイオン(デュポン)やダイアイオン(三菱化学)等のようなスルホン酸型のものの使用が好ましい。
【0022】
塩基触媒の使用量は、塩基として、OGL前駆体100g当り、0.01〜40g当量、好ましくは0.1〜15g当量である。酸触媒の場合は、酸として、OGL前駆体100g当り、0.01〜40g当量、好ましくは0.1〜15g当量である。
前記酸触媒又は塩基触媒は、反応液に均一溶解した状態で使っても反応液に不溶の状態で使っても良いが、均一溶解状態で使うと使用量を少なくすることができる。一方、反応液に不溶の状態で使うと反応後の生成液から容易に触媒を分離回収することができる。イオン交換樹脂や固体酸等の反応液に不溶性触媒を使用する際は、反応方式に応じてペレット状やシート状等に加工して使うことができる。
【0023】
前記〔B〕法において、(7)式で示されるGC相互の求核置換反応とその反応により生成したカルボキシレート中間体の脱炭酸反応及び(8)式で示される脱炭酸反応生成物とGCとの求核置換反応とその反応により生成したカルボキシレート中間体の脱炭酸反応において、それらの反応温度は80〜250℃、好ましくは100〜210℃、より好ましくは110〜180℃である。全反応時間は1〜20時間、好ましくは4〜12時間程度である。
前記〔B〕法において、前記(9)式で示される加水分解反応とその加水分解生成物の脱炭酸反応を実施するには、外部から水及び加水分解用触媒を添加してさらに反応を続ければよい。この〔B〕法の場合、(7)式や(8)式で示されるOGL前駆体生成反応と、前記(9)式で示されるOGL生成反応とは、必ずしも同じ反応条件で実施する必要はなく、異った反応条件で実施することもできる。(9)式の反応は、低温で実施することができ、25〜250℃、好ましくは30〜210℃、より好ましくは30〜180℃の反応温度で実施することができる。その反応時間は1〜20時間、好ましくは4〜12時間である。外部からの水と加水分解用触媒の添加は、所定反応時間の10〜90%、好ましくは15〜70%経過した時点において行えばよい。さらに、前記反応は2段階で行うことができ、25〜50℃行った後、80〜180℃で行うことができる。
【0024】
前記(9)式で示される加水分解反応及びそれに続く脱炭酸反応を、加水分解用触媒を用いて行う場合、その反応方法としては、GCを固体触媒の存在下で反応させて得られた反応生成物に、水とその加水分解用触媒を添加して引続き加水分解反応及び脱炭酸反応を行う方法や、GCを固体触媒の存在下で得られた反応生成物から固体触媒を濾別し、得られた反応生成液に、水とその加水分解用触媒を加えて加水分解反応及び脱炭酸反応を行う方法等を採用することができる。
【0025】
〔B〕法でOGLを製造する場合、反応は常圧開放系、常圧密閉系、加圧系及び減圧系のいずれの方式で行っても良いが、生成した二酸化炭素の除去が容易な減圧系や常圧開放系で行うのが好ましい。そして、常圧開放系の場合は、窒素ガス等の不活性ガスを流通させて二酸化炭素除去を容易にするのが好ましい。
反応生成液は、〔A〕法の場合と同様に濾過、中和、減圧トッピング及び釜残の濾過だけで高品質のオリゴグリセリンとすることができる。また、〔A〕法の場合と同様に減圧単蒸留や減圧精留によってさらに高品質のオリゴグリセリンを得ることができる。
【0026】
〔C〕GCとGLDを原料にする方法
この方法は、GCと下記一般式(10)で表されるGLDから下記一般式(11)で表されるカルボキシレート中間体を生成させ、これを脱炭酸及び加水分解する方法である。
【化10】
前記式中、R1とR2は同じでも異なっていても良いが、これらは水素原子又は炭化水素基を示し、R1及びR2が炭化水素基を示す場合、R1とR2が結合して炭素環を形成していてもよい。
炭化水素基としては、炭素数1〜12、好ましくは1〜6のアルキル基や、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【化11】
(式中、Yは水素又はカルボキシル基を示し、R1とR2は前記と同じ意味を有し、mは0又は1〜3の整数を示す)
前記(10)式で表されるGLDの具体例としては、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(ソルケタール)、2,2−ジエチル−1,3−オキシラン−4−メタノール、2,2−ジフェニル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、2−フェニル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール等が挙げられる。
【0027】
以下、この方法によるOGLの生成過程の1例を反応式で説明する。
下記(12)式は、GCとGLDの求核反応により生成したカルボキシレート中間体が脱炭酸してオリゴグリセリン前駆体を生成する反応例を示す。
下記(13)式は、前記(12)式で得られたオリゴグリセリン前駆体がさらにGCと反応し、この反応により生成したカルボキシレート中間体が脱炭酸して分子量の高められたオリゴグリセリン前駆体を生成する反応例を示す。
下記(14)式は、オリゴグリセリン前駆体が加水分解してオリゴグリセリンを生成する反応例を示す。
【0028】
【化12】
【化13】
【化14】
【0029】
前記(12)及び(13)式の反応は、〔A〕法や〔B〕法で詳記した反応と同様のGCに対するグリセリン水酸基の求核反応とそれに続く脱炭酸反応によるOGL前駆体生成反応であり、前記固体触媒又は酸触媒の存在下で進行する。一方、(14)式はアセタールやケタールが分解する公知の加水分解反応によるOGL生成反応であり、酸触媒の存在下で進行する。
【0030】
〔C〕法で原料とするGCは、前記のようにグリセリンから容易に製造することができる。〔C〕法で原料とするGLDは、前記(10)式においてR1及びR2が水素原子又は炭素数1〜4の低炭化水素基であるものが好ましいが、R1及びR2が炭素数5以上の脂肪族炭化水素基や芳香族基であっても良いし、R1とR2が結合してシクロヘキサン環等の環を形成していても良い。また、GLDは酸触媒を使う公知法、例えばOrg.Synth.28 73(1948)に記載されている方法で容易に製造することができる。
GCとグリセリン水酸基との反応用触媒としては、前記固体触媒が用いられ、その固体触媒の添加量は、GLDに対して、0.001〜100重量%、好ましくは0.1〜50重量%である。
【0031】
GCの使用割合は、GLD1モル当り、0.2〜20モル、好ましくは0.5〜10モルである。GCとGLDとの反応は、▲1▼GLDとGCを混合加熱する;▲2▼加熱GLD中にGCを滴下する;▲3▼加熱GC中にGLDを滴下する;などの方式で行っても良いが、▲2▼の方式が好ましい。▲2▼の方式では、反応初期の反応液中に大量のGLDと少量のGCが存在するから、GCは優先的にGLDと反応してGC間の反応が抑制される。また、GCとGLDの反応生成物に新しく滴下されたGCが反応して逐次的に反応が進行し、その結果として所望量のGCをGLDと反応させることができる。本発明の方法においては、GCとGLDから得られるOGLの重合度はGCの使用量に関係し、GC使用量がGLD使用量の1〜1.5モル倍ではジグリセリンが主に生成し、GC使用量がGLD使用量の2〜2.6モル倍ではトリグリセリンが主に生成し、GC使用量がGLD使用量の3〜3.6モル倍ではテトラグリセリンが主に生成する。また、この場合のGC滴下速度は目的物の種類や反応温度及び反応量等の諸反応因子で異なるが、通常は全量を0.5〜20時間、好ましくは4〜12時間で滴下する速度とするのがよい。なお、滴下終了後も1〜15時間、好ましくは3〜10時間反応を継続するのが良く、これによって滴下GCの全量を反応させることができる。
【0032】
前記(14)式で例示されるグリセリン前駆体の加水分解反応は、理論量の1〜100モル倍、好ましくは1〜20モル倍の水を使用し、酸触媒の存在下に行われる。この酸触媒の添加量は、酸として、水100g当り、0.01〜40g当量、好ましくは0.1〜15g当量である。酸触媒としては、前記した各種のものを用いることができる。
【0033】
GCとGLDとの反応及びこの反応により得られたカルボキシレート中間体の脱炭酸反応は殆ど同時に進行し、その反応温度は、80〜250℃、好ましくは100〜210℃、より好ましくは110〜180℃である。反応温度が前記範囲を超えると、副生物の量が著しくなったり、製品に着色を生じるようになる。一方、反応温度が前記範囲より低くなると、反応速度の低下が著しくなる。反応時間は、1〜20時間、好ましくは4〜12時間程度である。
グリセリン前駆体の加水分解反応温度は、25〜250℃、好ましくは50〜200℃であり、反応時間は1〜15時間、好ましくは2〜8時間である。
GCとGLDとの反応及びそれに続く脱炭酸反応によるグリセリン前駆体生成反応とグリセリン前駆体の加水分解によるオリゴグリセリン生成反応とは、同一反応容器を用いて実施してもよいし、それぞれ別の反応容器を用いて実施してもよい。同じ反応容器を用いて実施する場合には、グリセリン前駆体生成反応終了後、外部から水と酸触媒を添加して引続き加水分解反応を実施すればよい。一方、グリセリン前駆体生成反応とその加水分解によるオリゴグリセリン生成反応をそれぞれ別の反応容器を用いて実施する場合には、グリセリン前駆体生成反応により得られた反応生成物から、固体触媒を分離し、これを水及び酸触媒とともに別の容器に入れ、加水分解反応を実施すればよい。
【0034】
〔C〕法でOGLを製造する場合、反応は常圧開放系、常圧密閉系、加圧系及び減圧系のいずれの方式で行っても良いが、生成した二酸化炭素の除去が容易な減圧系や常圧開放系で行うのが好ましい。そして、常圧開放系の場合は、窒素ガス等の不活性ガスを流通させて二酸化炭素除去を容易にするのが好ましい。
反応生成液を〔A〕法の場合と同様に処理することにより、高純度オリゴグリセリンが得られる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。なお、実施例及び比較例の実験における生成物分析は、直径0.32mmで長さ5mのキャピラリーカラム(ヒューレットパッカード社製;商品名:ウルトラ2)を使用するガスクロマトグラフ法で行った。この場合、各成分の組成比は、各成分のガスクロマトグラフのピークの面積%で求めた。また、ガスクロマトグラフ測定時の試料としては、あらかじめBSTFA〔(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド〕とピリジンを加えて加熱反応させ、水酸基をシリルエーテルに変換したものを用い、これを試料として測定を行った。
【0036】
触媒調製例1
1重量%硝酸アルミニウム水溶液500gに、酸化マグネシウム(MgO)粉末(純度99%)20gを加え、充分撹拌した後、蒸発乾固した。次いで110℃で一夜乾燥した後、粉砕し、窒素気流中で徐々に昇温して、600℃で2時間加熱処理して触媒を得た。この触媒中のAl3+の量は、3重量%であった。
前記のようにしてMgとAlを含む複合金属酸化物固体触媒A(平均粒径:40μm)を得た。このもののAl/Mg比(原子比)は0.25である。
【0037】
触媒調製例2
触媒調製例1において、硝酸アルミニウムの代りに硝酸マンガンを用いた以外は同様にして、MgとMnを含む複合金属酸化物固体触媒B(平均粒径:56μm)を得た。このもののMn/Mg比(原子比)は0.203である。
【0038】
触媒調製例3
触媒調製例1において、硝酸アルミニウムの代りに硝鉄を用いた以外は同様にして、MgとFeを含む複合金属酸化物固体触媒C(平均粒径:37μm)を得た。このもののFe/Mg比(原子比)は0.107である。
【0039】
触媒調製例4
触媒調製例1において、硝酸アルミニウムの代りに硝酸クロムを用いた以外は同様にして、MgとCrを含む複合金属酸化物固体触媒D(平均粒径:103μm)を得た。このもののCr/Mg比(原子比)は0.056である。
【0040】
触媒調製例5
触媒調製例1において、硝酸アルミニウムの代りに硝酸ニッケルを用いた以外は同様にして、MgとNiを含む複合金属酸化物固体触媒E(平均粒径:64μm)を得た。このもののNi/Mg比(原子比)は0.042である。
【0041】
触媒調製例6
触媒調製例1において、酸化マグネシウムの代りに酸化カルシウムを用いた以外は同様にして、CaとAlを含む複合金属酸化物固体触媒F(平均粒径:74μm)を得た。このもののAl/Ca比(原子比)は0.153である。
【0042】
実施例1
撹拌機、温度計、滴下ロート、試料採取口及び還流冷却器を備えた内容積1リットルの四つ口フラスコを反応器とし、これにグリセリン151.3g(1.64モル)と前記固体触媒A18.8gを仕込んだ。フラスコ内容物を撹拌しながら180℃に加熱すると共に、還流冷却器の上部をアスピレーターに接続してフラスコ内を100トールの減圧として2時間保持して、内容物の脱水を行った。次いで、フラスコ内を常圧とし、撹拌下にフラスコ内容物を180℃に保ち、滴下ロートから224.0g(1.9モル)のグリセリンカーボネートを約30分で滴下した。滴下終了後もフラスコ内容物を常圧下に180℃で8時間加熱撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後、反応生成物を冷却し、固体触媒濾別して、反応生成液312gを得た。この反応生成液はわずかに淡黄色に着色した透明粘稠な液体であった。
この反応生成液を分析すると、この中にはグリセリン9g、ジグリセリン259g、トリグリセリン17g、テトラグリセリン10g、重合度5以上のオリゴグリセリン17gが含まれており、ジグリセリンが主成分(83.0重量%)であった。反応生成液中には環状物が含まれていたが、その量は微量(3.0重量%)であった。
【0043】
実施例2
実施例1において、固体触媒Aの代りに前記固体触媒Bを用い、反応時間8時間の代りに反応時間7時間を用いた以外は同様にして実験を行った。
得られた反応生成液を分析すると、この中にはグリセリン10g、ジグリセリン249g、トリグリセリン19g、テトラグリセリン10g及びペンタグリセリン14gが含まれており、ジグリセリンが主成分(79.2重量%)であった。反応生成液中には環状物が含まれていたが、その量は微量(2.4重量%)であった。
【0044】
実施例3
実施例1において、固体触媒Aの代りに前記固体触媒Cを用い、反応時間8時間の代りに反応時間9時間を用いた以外は同様にして実験を行った。
得られた反応生成液を分析すると、この中にはグリセリン8g、ジグリセリン241g、トリグリセリン20g、テトラグリセリン11g及び重合度5以上のオリゴグリセリン30gが含まれており、ジグリセリンが主成分(77.6重量%)であった。反応生成液中には環状物が含まれていたが、その量は微量(2.6重量%)であった。
【0045】
実施例4
実施例1において、グリセリンカーボネート224.0gの代りにグリセリンカーボネート464.9g(3.94モル)を用い、固体触媒Aの代りに前記固体触媒Dを用いた以外は同様にして実験を行った。
得られた反応生成液を分析すると、この中にはグリセリン3g、ジグリセリン41g、トリグリセリン367g、テトラグリセリン67g及び重合度5以上のオリゴグリセリン22gが含まれており、トリグリセリンが主成分(73.3重量%)であった。反応生成液中には環状物が含まれていたが、その量は微量(3.1重量%)であった。
【0046】
実施例5
実施例1において、グリセリンカーボネート696.7g(5.90モル)を用い、固体触媒Aの代りに前記固体触媒Eを用い、反応時間8時間の代りに反応時間10時間を用いた以外は同様にして実験を行った。
得られた反応生成液を分析すると、この中にはグリセリン2g、ジグリセリン41g、トリグリセリン69g、テトラグリセリン485g及び重合度5以上のオリゴグリセリン83gが含まれており、テトラグリセリンが主成分(71.3重量%)であった。反応生成液中には環状物が含まれていたが、その量は微量(2.8重量%)であった。
【0047】
実施例6
実施例1において、グリセリンの代りにソルケタール(一般式(1)において、R1及びR2がメチル基の化合物)216.5g(1.64モル)を用い、固体触媒Aの代りに前記固体触媒Fを用い、反応時間9時間を用いた以外は同様に実験を行って、固体触媒Fを含む反応生成液381gを得た。
次に、この反応生成液に、純水400gと硫酸1gを加え、60℃で3時間加水分解処理を行った。得られた加水分解制せ物に炭酸カルシウムを加えて中和し、オリゴグリセリン溶液を得た。
得られたオリゴグリセン溶液を分析すると、この中にはグリセリン8g、ジグリセリン259g、トリグリセリン19g、テトラグリセリン11g及び重合度5以上のオリゴグリセリン22gが含まれており、ジグリセリンが主成分(81.1重量%)であった。溶液中には環状物が含まれていたが、その量は微量(2.5重量%)であった。
【0048】
実施例7
実施例1で示したフラスコに、グリセリンカーボネート926.0g(7.8モル)と固体触媒A18.8gを仕込み、180℃で5時間撹拌下に反応を行った。
次に、この生成物744gに純水3000gと水酸ナトリウム3gを加え、30℃で3時間、さらに110℃で4時間加熱して反応を行った。得られた反応生成物に炭酸カルシウムを加えて中和し、オリゴグリセリン溶液を得た。
得られたオリゴグリセン溶液を分析すると、この中にはグリセリン22g、ジグリセリン567g、トリグリセリン35g、テトラグリセリン30g及び重合度5以上のオリゴグリセリン46gが含まれており、ジグリセリンが主成分(81.1重量%)であった。溶液中には環状物が含まれていたが、その量は微量(2.3重量%)であった。
【0049】
比較例1
実施例1で使ったものと同じフラスコを使用し、これにグリセリン276.0g(3モル)と純度95重量%以上の試薬用水酸化カリウム9.5g(0.17モル)を仕込んだ。窒素ガスの流通下、240℃で撹拌下に12時間保持し、得られた反応生成物を希硫酸で中和後分析すると、
得られた反応生成液には、グリセリン64g、ジグリセリン69g、トリグリセリン41g、テトラグリセリン19g及び重合度5以上のオリゴグリセリン28gが含まれており、オリゴグリセリンの分子量分布はブロードなものであった。また、反応生成液中にはかなり大量の環状物(43.6重量%)が含まれていた。
【0050】
比較例2
実施例1で示しフラスコに、グリセリン276.0g(3モル)及びゼオライトNa−A〔ドイツ/フランクフルト在デグサ社(Degussa AG)製〕6.6gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で240℃で22時間反応を行った。その後、得られた反応生成物を冷却し、加圧濾過器(操作圧:3バール)を通してゼオライトを除去した。得られた濾液には、グリセリン34g、ジグリセリン72g、トリグリセリン46g及び重合度4以上のオリゴグリセリン70gが含まれ、オリゴグリセリンの分子量分布はブロードなものであった。また、この液中には、かなり大量の環状物(29.6重量%)が含まれていた。
【0051】
比較例3
実施例1で示しフラスコに、グリセリン276.0g(3モル)及び珪酸ナトリウムNaSK36〔ドイツ/フランクフルト在ヘキスト社(Hoechst AG)製〕6.6gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で240℃で22時間反応を行った。その後、得られた反応生成物を冷却した。この場合、珪酸ナトリウムはグリセリンに溶解し分離できなかった。前記のようにして得られた反応液には、グリセリン19g、ジグリセリン66g、トリグリセリン51g及び重合度4以上のオリゴグリセリン86gが含まれ、オリゴグリセリンの分子量分布はブロードなものであった。また、この液中には、かなり大量の環状物(33.2重量%)が含まれていた。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、着色が少なく、かつ環状副生物の含有量が微量であり、しかも分子量分布(重合度分布)のシャープな高品質のオリゴグリセリンを高収率で得ることができる。
本発明により得られるオリゴグリセリンは、オリゴグリセリン脂肪酸エステルやオリゴグリセリンアルキルエーテルの製造原料として好適のものである。
本発明による固体触媒は、グリセリンカーボネートと水酸基を有する有機化合物との反応用触媒として好適のものである。
Claims (6)
- グリセリンカーボネートとグリセリンとを、M 1 −O(式中、M 1 はCa及び/又はMgである)の結合を形成する塩基点と、M 2 −O(式中、M 2 はAl、Ga、In、Tl、Co、Sc、La、Mn、Zn、Ti、Zr、Sn、Sb、Bi、Mo、W、Fe、Cr、Ni及びCuからなる群から選ばれるいずれか一種である)の結合を形成する酸点を表面に有する固体触媒の存在下、80〜250℃の温度で反応させることを特徴とするオリゴグリセリンの製造方法。
- グリセリンカーボネートを、M 1 −O(式中、M 1 はCa及び/又はMgである)の結合を形成する塩基点と、M 2 −O(式中、M 2 はAl、Ga、In、Tl、Co、Sc、La、Mn、Zn、Ti、Zr、Sn、Sb、Bi、Mo、W、Fe、Cr、Ni及びCuからなる群から選ばれるいずれか一種である)の結合を形成する酸点を表面に有する固体触媒の存在下、80〜250℃で反応させた後、水の存在下でさらに反応させることを特徴とするオリゴグリセリンの製造方法。
- グリセリンカーボネートと一般式
で表されるグリセリン誘導体とを、M 1 −O(式中、M 1 はCa及び/又はMgである)の結合を形成する塩基点と、M 2 −O(式中、M 2 はAl、Ga、In、Tl、Co、Sc、La、Mn、Zn、Ti、Zr、Sn、Sb、Bi、Mo、W、Fe、Cr、Ni及びCuからなる群から選ばれるいずれか一種である)の結合を形成する酸点を表面に有する固体触媒の存在下、80〜250℃の温度で反応させた後、得られた反応生成物を加水分解処理することを特徴とするオリゴグリセリンの製造方法。 - グリセリンカーボネートと含水酸基有機化合物とを反応させる固体触媒であって、該固体触媒はその表面にM 1 −O(式中、M 1 はCa及び/又はMgである)の結合を形成する塩基点と、M 2 −O(式中、M 2 はAl、Ga、In、Tl、Co、Sc、La、Mn、Zn、Ti、Zr、Sn、Sb、Bi、Mo、W、Fe、Cr、Ni及びCuからなる群から選ばれるいずれか一種である)の結合を形成する酸点を有することを特徴とする前記固体触媒。
- 前記固体触媒が、M 1 −O(式中、M 1 はCa及び/又はMgである)の結合を形成する塩基点と、M 2 −O(式中、M 2 はAl、Mn、Fe、Cr及びNiからなる群から選ばれるいずれか一種である)の結合を形成する酸点を表面に有するものである、請求項1記載のオリゴグリセリンの製造方法。
- 前記固体触媒が、M 1 −O(式中、M 1 はCa及び/又はMgである)の結合を形成する塩基点と、M 2 −O(式中、M 2 はAl、Mn、Fe、Cr及びNiからなる群から選ばれるいずれか一種である)の結合を形成する酸点を表面に有するものである、請求項4記載の固体触媒。
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