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JP3859113B2 - 紫外線吸収剤およびその使用 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な紫外線吸収剤、該紫外線吸収剤を配合した耐紫外線性樹脂組成物および日焼け止め化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック、ゴム、繊維等の有機高分子化合物(以下樹脂ともいう)は大量に消費されている。これらは光に当ると、紫外線により物性が劣化する。そのため紫外線吸収剤を添加して、耐紫外線性を付与している。また、人間の皮膚も紫外線により細胞の破壊等が生じ、光線過敏性皮膚炎、悪性腫瘍などの発生を誘発する。また老人性皮膚の発生を助長する。これらを防止するものとして、紫外線吸収剤を配合した日焼け止め化粧料も市販されている。
【0003】
紫外線吸収剤には、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の有機化合物系と、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機化合物系とがある。有機化合物系は透明性が良く、紫外線吸収性も優れている。このため、樹脂にはほとんどこのタイプが使用されており、また使用量も多い。これに対し無機化合物系は透明性が悪く、紫外線吸収性も有機化合物系に比べて劣っている。このため、樹脂に使用されることは少ない。しかし安全性が高いため、主として日焼け止め化粧料に使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
生活水準が向上し、平均寿命も延びてきた近年、製品の安全性に対する要求もますます高まってきている。安全性とは、換言すると、無毒性〜低毒性であると共に、環境ホルモンに該当しない等のことである。安全性の要求は、紫外線吸収剤も例外ではない。前述の有機化合物系紫外線吸収剤は、毒性とか環境ホルモンに該当する問題が指摘されている。他方、無機化合物系紫外線吸収剤は、安全ではあるが、透明性が悪く、樹脂中での分散性にも問題があるため、樹脂には使用し難いという問題がある。最近、酸化亜鉛と酸化チタンの微粒子が開発され、日焼け止め化粧料に使用され始めた。しかし微粒子化により、凝集性が強くなり分散性が悪化するとともに、伸びが悪く、使用性が悪化し、さらに光触媒活性による耐光性の減少などの新たな問題が出てきた。
【0005】
太陽スペクトルは、紫外線領域(290−400nm)、可視領域(400−760nm)と近赤外線領域(>760nm)とに分けられる。紫外線領域は、さらにUVA領域、UVB領域およびUVC領域に分けることができる。UVB領域は290〜320nmに及び、皮膚の日焼けに最も大きな影響を及ぼす領域である。UVC領域は200〜290nmの範囲であり、この領域の紫外線は地球をとりまくオゾン層によって吸収されるため、地表に到達することはない。UVA領域は320〜400nmの範囲である。UVA領域は日焼けを生じさせるが、日焼けさせる力はUVB領域よりも小さい。例えばUVA領域の紅斑惹起力は小さく急性な炎症を引き起すことはない。このため、従来UVB領域の紫外線を遮断する日焼け止め剤が使用されてきた。このような日焼け止め剤の使用により、観察によりわかるような日焼けの発生が遅れるため、長時間太陽光に当ることとなりがちである。UVA領域の紫外線は、皮膚に浸透し、損傷を与えるものであることが近年知られてきた。すなわちUVA領域の紫外線は、年々発生する皮膚ガンの30〜40%の主原因であるとも云われている。またUVA領域の紫外線は、UVB放射線により損傷を受けた細胞を治療する酵素を抑制することにより、皮膚ガンを増進するとも云われている。さらには、UVA領域の紫外線は、UVB領域の紫外線よりも皮膚深く浸透し、血管に変化を生じさせ、皮膚の早期老化を生じさせ、UVB領域の紫外線にプラスするとも報告されている。
【0006】
本発明は、紫外線、特にUVA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤および該紫外線吸収剤を含有する耐紫外線性樹脂組成物の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水溶性亜鉛塩と水溶性三価金属塩の混合水溶液をアルカリ金属水酸化物の存在下に混合反応させて得られた下記式(2)
Zn 1-x M 3+ x (OH) 2 A n- x/n mH 2 O (2)
(式中、 M 3+ Al Fe Ce Ti から選ばれたの三価金属を示し、 A n- n 価のアニオンを示し、 x は0.05< x ≦0.18の範囲、 m は0≦ m ≦2、 n は1〜6の範囲の数を示す)
で表されるハイドロタルサイト類またはハイドロタルサイト類と酸化亜鉛との混合物を、水熱処理後、濾過、乾燥し、300〜800℃で焼成して得られた下記式(1)
(Zn)1-xM3+ x- δO (1)
(式中、M3+はAl、Fe、Ce、Ti から選ばれた三価金属を示し、xは0.05< x ≦0.18の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す)
で表され、かつ平均2次粒子径が0.1〜1.5μmの板状で、BET比表面積が20m2/g以上である酸化亜鉛系固溶体を有効成分とする紫外線吸収剤を提供する。
【0008】
さらに本発明は、式(1)の固溶体表面を、Fe、CeおよびTiの酸化物の少なくとも一種でコーティングしている紫外線吸収剤を提供する。
【0009】
本発明はさらに、100重量部の樹脂と、0.01〜10重量部の式(1)で表され、かつ平均2次粒子径が0.1〜1.5μmの板状で、BET比表面積が20m2/g以上である酸化亜鉛系固溶体とからなる耐紫外線性樹脂組成物を提供する。
【0010】
本発明はさらに、式(1)で表され、かつ平均2次粒子径が0.1〜1.5μmの板状で、BET比表面積が20m2/g以上である酸化亜鉛系固溶体を有効成分として含有する日焼け止め化粧料を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者は、UVA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤および該紫外線吸収剤を含有する耐紫外線性樹脂組成物等を提供すべく、鋭意研究に努めた結果、xが0.05< x ≦0.18の範囲にある式(1)の固溶体が、特に有用であることを見出し本発明に到達した。
式(1)で表される酸化亜鉛系固溶体は、ZnOにAl等の三価金属が置換固溶した2次粒子が板状の化合物であり、結晶構造は酸化亜鉛と同じである。亜鉛以外に少量の二価金属が固溶していても差し支えない。三価金属としてはアルミニウムが最も好ましい。Xの範囲は0.05< x ≦0.18、特に好ましい範囲は0.06<x≦0.18である。
【0012】
樹脂に添加したときの樹脂の透明性を良くし、あるいは化粧品として使用したときの透明性を良くするためには、1次粒子径が小さいこと、すなわちBET比表面積が大きいこと、2次粒子径が適度に小さいことが必要である。この要求を満足するためには、BET比表面積が20m2/g以上、好ましくは40m2/g以上、さらに好ましくは60m2/g以上であり、かつ平均2次粒子径が0.1〜1.5μm、好ましくは0.2〜1.0μm、さらに好ましくは0.3〜0.7μmの板状である式(1)の酸化亜鉛系固溶体を用いることが必要である。平均2次粒子径が0.1μmより小さくなると分散性が悪くなる。
【0013】
本発明の紫外線吸収剤は、紫外線吸収性能をさらに向上させる、あるいは化粧品に用いた場合の色を肌色に近づける等の目的を達成するためには、Ti、FeおよびCeの酸化物の少なくとも一種で本発明固溶体の表面を被覆するのがよい。被覆量は該固溶体の重量に基づいて約0.1〜約10重量%である。
【0014】
本発明の紫外線吸収剤は、樹脂との相溶性、分散性を良くしたり、化粧品に用いたときの撥水性を良くしたりするために、親油性の表面処理剤で表面処理することが好ましい。表面処理剤として好ましく用いられるものを次に例示する。ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸類;前記高級脂肪酸のアルカリ金属塩(アニオン系界面活性剤);ステアリルアシッドフォスフェート、ラウリルアシッドフォスフェート、オレイルアシッドフォスフェート等のリン酸エステル類;前記リン酸エステル類のアルカリ金属塩またはエタノールアミン塩類;ポリフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩、ポリ(パーフルオロアルキルエチルアクリレート)等のフッ素系コーティング剤類;ビニルエトキシシラン、ガンマーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート系およびアルミニウム系カップリング剤類;グリセリンモノステアレート等の多価アルコールと脂肪酸のエステル類等。
【0015】
表面処理剤による式(1)の固溶体の表面処理は、それ自体公知の湿式または乾式法により実施できる。例えば、湿式法としては、メタノール、エタノール、水等の溶媒に固溶体を分散させた系に、アルコールに溶解またはアルコールと水の混合溶解に溶解させた表面処理剤を、液体状またはエマルジョン状で加え、加熱または非加熱下に十分に混合すればよい。表面処理剤の添加量は、適宜選択できるが、該固溶体の重量に基づいて約0.1〜10重量%とするのが好ましい。表面処理後は、必要に応じ、例えば、濾過、乾燥、粉砕、分級等の手段を適宜選択実施し、最終製品形態とすることができる。
【0016】
本発明の紫外線吸収剤の製造は、下記式(2)
(Zn)1-xM3+ x(OH)2An- x/n・mH2O (2)
(式中、M3+はAl、Fe、Ce、Tiから選ばれたの三価金属を示し、An-はCl-、CO3 2-等のn(nは1〜6)価のアニオンを示し、xは0.05< x ≦0.18の範囲、mは0≦m≦2の範囲の数を示す)で表されるハイドロタルサイト類またはハイドロタルサイト類と酸化亜鉛との混合物を、約100〜170℃、好ましくは約110〜150℃で少なくとも1時間以上水熱処理後、濾過、乾燥し、約300〜800℃、好ましくは約400〜700℃で焼成することにより実施される。
【0017】
式(2)のハイドロタルサイト類の製造は、従来公知の方法で実施できる。例えば、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛等の水溶性亜鉛塩と、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化第2鉄、塩化セリウム等の水溶性三価金属塩の混合水溶液を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを用いて、pHを約6以上、好ましくは約7以上に保って、撹拌下に混合、反応させることにより実施できる。
【0018】
式(1)の固溶体を、Ti,FeおよびCeの中から選ばれた酸化物の1種以上でコ−ティングする製造方法は、式(2)のハイドロタルサイト類を水に分散し、攪拌下にTi,FeおよびCeの水溶性塩の少なくとも1種を加え、加水分解させた後、ろ過、水洗、乾燥後、約300〜800℃で焼成することにより実施できる。または、式(1)の固溶体を、水または少量の水を含むアルコ−ルに分散し、攪拌下にTi,FeおよびCeの水溶性またはアルコ−ル溶解性化合物を加え、加水分解後、固液分離または固液分離後、約300〜800℃で焼成する方法により実施できる。上記コーティング条件において、加水分解の前後にNaOH等のアルカリを添加してもよい。また、Ti、FeおよびCeの水溶性塩の代わりにゾルを添加してもよい。
【0019】
本発明で用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリアクリレ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリメタクリレ−ト、ポリアミド、ポリエステル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂;フェノ−ル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂;EPDM,SBR,NBR,ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン等のゴム;アクリル繊維、アセテ−ト繊維、ナイロン、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等の合成繊維等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
樹脂と本発明紫外線吸収剤との混合、混練方法には特別な制約はなく、両者を均一に混合しうる任意の混合手段を採用できる。例えば、押出機、ロ−ル、バンバリ−ミキサ−、ホモジナイザ−等である。成形方法にも特別な制約はなく、例えば、射出成形、押出成形、ブロ−成形、プレス成形、回転成形、カレンダ−成形、シ−トフォ−ミング成形、真空成形、紡糸等である。
【0021】
本発明の透明で、耐紫外線性の樹脂組成物は、各種添加剤を必要に応じ添加しても良い。例えば、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、発砲剤、可塑剤、充填剤、補強剤、架橋剤、防カビ剤、粘着防止剤等を例示できる。
【0022】
以下実施例に基き、本発明をより詳細に説明する。
【0023】
【実施例1】
硝酸アルミニウムと硝酸亜鉛の混合水溶液(Al3+=0.27モル/リットル,Zn2+=1.23モル/リットル)と、水酸化ナトリウム水溶液(4モル/リットル)を、予め2リットルの水を入れた容量3リットルの反応槽(オ−バ−フロ−付き)に攪拌下、それぞれ100ミリリットル/分、約75ミリリットル/分定量的に供給した。水酸化ナトリウムの供給量を調節して、この反応pHを約7に保持した。また、反応温度は約30℃で行った。得られた白色沈殿を含むスラリ−を、減圧ろ過後、炭酸ナトリウム水溶液で十分に洗浄した後、乳化させ、これをオ−トクレ−ブに入れ、120℃で20時間水熱処理を行った。この後、ろ過、水洗し、乾燥した。
【0024】
乾燥物のX線回析パタ−ンを測定した結果、ハイドロタルサイト類であることが確かめられた。この乾燥物を粉砕後、500℃で1時間焼成した。この焼成物のX線回析パタ−ンを測定した結果、ZnOより少し高角度側にシフトしているが、ZnOのみの回析パタ−ンであった。したがって、この物は、ZnOにAlが固溶した化合物である。この物のBET比表面積は59m2/gであった。イソプロピルアルコ−ル溶媒中で、超音波で5分間分散処理した後に、レ−ザ−回析法粒度分布測定器で測定した粒度分析は、平均2次粒子径が0.78μm,最大2次粒子径が2.3μmであった。化学組成は次の通りであった。
Zn0.82Al0.18- δ
この粉末100gを、エチルアルコ−ル500ミリリットルに加え、ホモジナイザ−で約10,000r.p.mの速度で攪拌下に、2gのラウリン酸を50ミリリットルのエチルアルコ−ルに加熱溶解した液を加え、約10分間攪拌を継続し、表面処理を行った。その後、ろ過、乾燥、粉砕した。透過率測定結果を図1に示す。
【0025】
【実施例2】
実施例1において、硝酸アルミニウムと硝酸亜鉛の混合水溶液を、Al3+=0.18モル/リットル、Zn2+=1.32モル/リットルとする以外は同様の操作を行った。得られた乾燥物は、ハイドロタルサイトと少量の酸化亜鉛のX線回析パターンを示した。この乾燥物を粉砕後、500℃で1時間焼成した。焼成物のX線回析パターンは、ZnOより少し高角度側にシフトしているが、ZnOのみの回析パターンであった。従って、この物質は、Alが固溶したZnO系固溶体である。この固溶体のBET比表面積は52m2/g、平均2次粒子径は0.66μm、最大2次粒子径は1.81μmで、化学組成は次の通りであった。
Zn0.88Al0.12- δ
透過率測定結果を図1に示す。
【0026】
【実施例3】
実施例1において、硝酸アルミニウムと硝酸亜鉛の混合水溶液を、Al3+=0.09モル/リットル、Zn2+=1.41モル/リットルとする以外は同様の操作を行った。得られた乾燥物は、ハイドロタルサイトと酸化亜鉛のX線回析パターンを示した。この乾燥物を粉砕後、400℃で1時間焼成した。焼成物のX線回析パターンは、ZnOより少し高角度側にシフトしているが、ZnOのみの回析パターンであった。従って、この物質は、Alが固溶したZnO系固溶体である。この固溶体のBET比表面積は38m2/g、平均2次粒子径は0.94μm、最大2次粒子径は2.6μmで、化学組成は次の通りであった。
Zn0.94Al0.06- δ
透過率測定結果を図2に示す。
【0027】
【実施例4】
実施例2で得られた、ハイドロタルサイトのX線回析パターンを示す乾燥物50gを500mlの脱イオン水に入れ、ホモジナイザーで分散後、塩化セリウム(CeCl3・7H2O)10gを溶解した200mlの脱イオン水を、ホモジナイザーで攪拌下に加えた。この後、0.2モル/リットルのNaOH水溶液を加え、pHを約8に調節した。これをろ過、水洗、乾燥後、粉砕し、400℃で1時間焼成した。この物のX線回析パターンは、少し高角度側にシフトしているが、ZnOの回析パターンと、弱い酸化セリウムCeO2の回析パターンであった。この物のBET比表面積は56m2/g、平均2次粒子径は0.56μm、最大2次粒子径は1.81μmで、化学組成は次の通りであった。
Zn0.88Al0.12- δO.(CeO20.06
透過率測定結果を図2に示す。
【0028】
【実施例5】
実施例1において、硝酸アルミニウムと硝酸亜鉛の混合水溶液をAl3+=0.09モル/リットル、Zn2+=0.91モル/リットルとし、反応pHを約11とする以外は同様の操作を行った。得られた乾燥物は、ハイドロタルサイトと少量の酸化亜鉛のX線回析パターンを示した。この乾燥物100gを、約2リットルの水にホモジナイザーを用いて分散させた後、ホモジナイザーで攪拌下に、10gのFeCl2・4H2Oを溶解した水溶液100ミリリットルを加え、約30分間攪拌した。その後、濾過、水洗、乾燥、粉砕し、400℃で1時間焼成した。この焼成物は、肌色に近い色を示し、X線回析パターンは、ZnOより少し高角度にシフトしているが、ZnOのみの回析パターンであった。従ってこの物質は、AlとFeが固溶したZnO系固溶体である。この固溶体のBET比表面積は39m2/g、平均2次粒子径は0.72μm、最大2次粒子径は1.8μmで、化学組成は次の通りであった。
Zn0.88(Al0.09Fe3+ 0.030.12- δ
透過率の測定結果を図2に示す。
【0029】
【比較例1】
硝酸アルミニウムと硝酸亜鉛の混合水溶液を、Al3+=0.5モル/リットル,Zn2+=1.0モル/リットルとする以外は、実施例1と同様に操作して反応、水熱処理等を行った。得られた乾燥物は、ハイドロタルサイトのX線回折パターンを示した。化学分析結果は次の通りであった。
Zn0.67Al0.33(OH)2(CO30.165・0.33H2
この乾燥物を粉砕後、600℃で1時間焼成した。この物のX線回析パタ−ンを測定した結果、ZnOより少し高角度側にシフトしているが、ZnOのみの回析パタ−ンであった。したがって、この物は、ZnOにAlが固溶した化合物である。この物のBET比表面積は110m2/g、平均2次粒子径が0.45μm,最大2次粒子径が1.6μmであった。化学組成は次の通りであった。
Zn0.67Al0.33- δO)
透過率測定結果を図1に示す。
【0030】
【比較例2】
実施例1において、硝酸アルミニウムと硝酸亜鉛の混合水溶液を、Al3+=0.33モル/リットル、Zn2+=1.17モル/リットルとする以外は同様にして反応、水熱処理等を行った。得られた乾燥物は、ハイドロタルサイトのX線回析パターンを示した。乾燥物を粉砕後、500℃で1時間焼成した。
この焼成物のX線回析パターンは、ZnOより少し高角度側にシフトしているが、ZnOのみの回析パターンであった。従って、この物質は、Alが固溶したZnO固溶体である。この固溶体のBET比表面積は78m2/g、平均2次粒子径は0.87μm、最大2次粒子径は2.1μmで、化学組成は次の通りであった。透過率測定結果を図1に示す。
Zn0.78Al0.22- δ
[UV吸収スペクトルの測定]
実施例1,2、3、4および5,比較例1および2得られたZnO系固溶体及び亜鉛華1号を、紫外線吸収剤として、それぞれ下記処方で配合した。
塩化ビニル樹脂 100重量部
ジオクチルフタレート 50重量部
ステアリン酸カルシウム 1重量部
ステアリン酸亜鉛 0.4重量部
紫外線吸収剤 0.1重量部
上記配合物を均一に混合後、オープンロールを用い170℃で3分間混練した。混練して得られたシートを、プレス成形機を用いて、予熱を165℃で5分間行った後、約120kg/cm2の圧力で5分間成型し、厚さ1.0mmのシートを作成した。このシートについて、分光光度計により波長300〜500nmの透過率を、ZnO固溶体を含まない塩ビシートを対照に用い測定した。その結果を図1及び図2に示す。この結果から、固溶体Zn1-xAlx- δOのxの範囲が0.2以下、より具体的には0.18〜0.06において、約380nmに紫外線吸収の極大値があり、然も、透明性も良いことが判る。これは、ZnOの吸収極大が340nmであるのに対し、約40nm長波長にあり、ZnOよりもUVA(320〜400)領域の紫外線吸収が優れていることを示す。xが0.2超え、より具体的には0.22より大きいと、UVAの吸収が悪い。xが0.04以下になると、透明性が低下してくるとともに、紫外線の吸収極大が短波長にシフトする傾向にある。従って、紫外線吸収剤としては、x=0.18〜0.06の範囲にあることが最も好ましい。特に好ましいのは、x=0.12前後である。
【0031】
【実施例6】
実施例2で得られたZnO系固溶体粉末100gを、約1リットルのエチルアルコールに加え、ホモジナイザーで均一に分散後、高速攪拌下に、2gのラウリン酸を溶解した約50ミリリットルのエチルアルコールを加え、表面処理を行った。約10分間さらに攪拌後、濾過、水洗、乾燥、粉砕した。この粉末は、水に加えると水の表面に浮き、優れた撥水性を示した。また、この粉末の一部を採り手で伸ばすと、良好な滑り性を示した。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性(可視光線透過率が高い)と紫外線吸収性、特にUVA紫外線吸収性の両方に優れ、且つ、分散性および伸びの良い無毒性の無機の紫外線吸収剤,該吸収剤を利用した耐紫外線性樹脂組成物、日焼け止め化粧料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】各実施例、比較例の透過率測定結果を示すグラフである。
【図2】各実施例、比較例の透過率測定結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 水溶性亜鉛塩と水溶性三価金属塩の混合水溶液をアルカリ金属水酸化物の存在下に混合反応させて得られた下記式(2)
    Zn 1-x M 3+ x (OH) 2 A n- x/n mH 2 O (2)
    (式中、 M 3+ Al Fe Ce Ti から選ばれた三価金属を示し、 A n- n 価のアニオンを示し、 x は0.05< x ≦0.18の範囲、 m は0≦ m ≦2、 n は1〜6の範囲の数を示す)
    で表されるハイドロタルサイト類または該ハイドロタルサイト類と酸化亜鉛との混合物を、水熱処理後、濾過、乾燥し、300〜800℃で焼成して得られた下記式(1)
    (Zn)1-xM3+ x- δO (1)
    (式中、M3+はAl、Fe、Ce、Ti から選ばれた三価金属を示し、xは0.05< x ≦0.18の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す)
    で表され、かつ平均2次粒子径が0.1〜1.5μmの板状で、BET比表面積が20m2/g以上である酸化亜鉛系固溶体を有効成分とすることを特徴とする紫外線吸収剤。
  2. 式(1)の固溶体表面が、Fe、CeおよびTiの酸化物の少なくとも一種でコーティングされていることを特徴とする請求項1記載の紫外線吸収剤。
  3. 固溶体の表面が、高級脂肪酸類、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、フッソ系コーティング剤、シラン系、チタン系、チタネート系およびアルミニウム系カップリング剤および多価アルコールと脂肪酸のエステルからなる群から選ばれた親油性表面処理剤の少なくとも一種で表面処理されていることを特徴とする請求項1または2記載の紫外線吸収剤。
  4. 100重量部の樹脂が、0.01〜10重量部の下記式(1)
    (Zn)1-xM3+ x- δO (1)
    (式中、M3+はAl、Fe、Ce、Ti から選ばれた三価金属を示し、xは0.05< x ≦0.18の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す)
    で表され、かつ平均2次粒子径が0.1〜1.5μmの板状で、BET比表面積が20m2/g以上である請求項1記載の酸化亜鉛系固溶体を含有することを特徴とする耐紫外線性樹脂組成物。
  5. 請求項1、2または3記載の酸化亜鉛系固溶体を有効成分として含有することを特徴とする日焼け止め化粧料。
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