JP3837748B2 - Vegf結合性ポリペプチド - Google Patents
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Description
本発明は、血管新生阻害剤として有用なポリペプチドに関するものであり、当該ポリペプチドは医薬、診断薬、検査薬として有効なものであり、それらの技術分野において利用されるものである。
背景技術
幾つかの疾病では、その症状や病因と密接に関連した病理的血管新生を伴うことが知られている。中でも代表的な疾病は固形ガンで、ガン組織が直径1〜2mmを越えて増殖するためには、既存血管から新生血管が延びてガン組織まで到達することが必要であり、血管がガン組織に到達して初めてガン組織の増殖が爆発的に加速される(J. Folkman, J. Natl. Cancer Inst., 82:4(1990))。また、糖尿病性網膜症では網膜に病理的血管新生を伴い、それが失明の原因となっていることがある。さらに慢性関節リューマチ、乾せん、血管腫、強皮症、血管新生緑内障などの疾病においても病理的血管新生を伴い、それが主な病状の一つとなっている(J. Folkman, N. Engle. J. Med., 320:1211(1989))。従って、血管新生を阻害する物質は、ガンや前述の疾病の治療に利用できる可能性があるものである。
血管内皮細胞は血管の最も内側の層を形成している細胞であり、血管新生は、血管内皮細胞が成長因子や生理活性物質あるいは機械的損傷などの刺激を受けて、増殖することによって引き起こされるものである。
直接または間接的に血管内皮細胞の増殖を刺激する成長因子として、bFGF(basic Fibroblast Growth Factor)、aFGF(acidic Fibroblast Growth Factor)、VEGF(Vascular Endothelial cell Growth Factor)、PD−ECGF(Platelet-Derived Endothelial Cell Growth Factor)、TNF(Tumout Necrosis Factor-α)、PDGF(Platelet Derived Growth Factor)、EGF(Epidermal Growth Factor)、TGF−α(Transforming Growth Factor-α)、TGF-β(Transforming Growth Factor-β)、HGF(Hepatocyte Growth Factor)が知られている(L. Diaz-Flores et al., Histol.Histopath., 9:807(1994))。これらの中で、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)は血管内皮細胞に極めて特異的に作用する点で他の成長因子と区別できるものであり、言い換えれば、VEGFのレセプターは血管内皮細胞以外ではごく限られた細胞でしか発現しないものである。
VEGFは、分子量4万〜4万5千の糖タンパク質で2量体として存在し(P. W. Leung et al., Science 246:1306(1989); P. J. Keck et al., Science:246:1319(1989))、VEGFレセプターに結合することによって作用し、細胞の増殖を促進したり膜透過性を促進するものである。
VEGFとガンとの関係を示唆する報告には以下のようなものがある。
多くのガン細胞はVEGFを分泌する(S. Kondo et al., Bichem. Biophys. Res. Commun., 194:1234(1993))。ガン組織切片を抗VEGF抗体で染色するとガン組織およびその周辺の新生血管が強く染色される(H. F. Dvorak et al., J. Exp. Med. 174:1275(1991); L. F. Brown et al., Cancer Res., 53:4727(1993))。VEGFレセプターの一つが遺伝的に不活化されたマウスでは移植されたガンの増殖が抑制される(B. Millauer et al., Nature, 367:576(1994))。抗VEGF中和抗体が坦ガンマウスに対して抗腫瘍活性を示す(K. J. Kim et al., Nature, 362:841(1993); S. Kondo et al., Bichem. Biophys. Res. Commun., 194:1234(1993))。
以上の事実から、ガン細胞が分泌するVEGFは腫瘍血管新生において主要な役割を果していると考えられる。
一方、VEGFのレセプターは、ヒトではFLT(M. Shibuya, et al., Oncogene, 5:519(1990); C. DeVries et al., Science, 255:989(1992))とKDR(B. I. Terman et al., Bichem. Biophys. Res. Commun., 187:1579(1992))の2種類が知られており、FLTおよびKDRの細胞外領域は図1に示されるような7つのイムノグロブリン様ドメインからなる構造を有している。FLTに関しては可溶性型レセプターのcDNAがクローニングされており(R. L. Kendal and K. A. Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 90:10705(1993))、このcDNAによりコードされるポリペプチドはFLTの細胞外領域の第1〜第6イムノグロブリン様ドメインと対応しており、本来のFLTと同程度の親和性でVEGFと結合しVEGF活性を阻害した。またKDRについても遺伝子工学的に発現させた細胞外領域の第1〜第6ドメインがVEGFに結合することが知られている(R. L. Kendal et al., Bichem. Biophys. Res. Commun., 201:326(1994))。
上記したように、マウスの抗VEGF中和モノクローナル抗体が抗腫瘍性を示すことから、抗VEGF中和モノクローナル抗体は抗ガン剤として利用可能であると期待できる。しかしながら、マウスの抗体を人に投与するとマウス抗体に対するヒト抗体が産生され、中和されたりアナフィラキシーショックを引き起こしたりする場合がある。このようなことを回避するためには、マウス抗体のキメラ化(S. L. Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 81:6851(1989))やヒト化を行い、中和能を損なわないようにしながらマウス抗体のアミノ酸配列をヒト抗体のアミノ酸配列に近づける必要がある。しかしながら、そのためには高度の技術と知識、経験、労力が必要であり、成果はケースバイケースで必ずしも成功するとは限らず、100%のヒト化ができるものではない。他の方法としてはヒト抗体そのものを産生するトランスジェニックマウスを用いて免疫する方法があるが(S. Wagner et al., Nucleic Acid Res., 22:1389(1994))、やはり高度の専門的な技術が必要である。
前述のようにVEGFレセプターの細胞外領域は、VEGFに対し特異的に高親和性で結合し、VEGF活性を阻害できるので血管新生阻害剤として利用することが考えられる。しかも元々ヒト由来のポリペプチドであるために人に投与しても抗体出現率は低いことが期待できる。しかし一方では、本来体内に多量に存在しないポリペプチドは投与されると極めて速やかに代謝されてしまうものである。例えば、HIVのレセプターであるCD4の可溶性型の血中半減期は15分であり(D. J. Capon et al., Nature, 337:525(1989))、インターフェロンγの場合は血中半減期は30分であった(I. Rutenfranz and H. Kirchner, J. Interferon Res., 8:573(1988))。
血中半減期を延長する方法として、抗体分子のような血中半減期の長い分子との融合ポリペプチドを遺伝子工学的に作成し利用する方法が知られている。
CD4の例では抗体IgG1のFc領域とのキメラにした場合に血中半減期が15分から48時間に延長された(D. J. Capon et al., Nature, 337:525(1989))。また抗体のFc領域との融合ポリペプチドにすることによって抗体が持っているエフェクター機能、即ち捕体依存性細胞障害活性(D. B. Amos et al., Transplantation, 7:220(1969))および抗体依存性細胞障害活性(A. Y. Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 84:3439(1987))を誘導できる効果も期待できる。更にFc領域を介して2量体化され1分子が2箇所でリガンドに結合できるようになるため、膜表面や細胞外マトリクスなどの固相上のリガンドに結合する場合には親和性が格段に向上する効果も期待できる。
抗体との融合ポリペプチドを利用する場合には、融合により分子量が大きくなるので元もポリペプチドは分子量が小さいことが望ましい。何故なら、分子量が大きいと遺伝子操作で融合ポリペプチドを生産する組換え宿主を作成する際に、扱うDNAの分子量が大きくなるからである。一般に導入するDNAの分子量が大きい程、宿主への導入効率が悪くなり、組換え体が得られる頻度が低下する。また一般に生産させようとする組換えポリペプチドの分子量が大きい程、産生量が低くなる傾向がある。更に固形ガンの治療に利用する場合には、分子量の大きいポリペプチドは患部への浸潤性が悪いという欠点を有している(D. M. Lane et al., Br. J. Cancer, 70:521(1994))。
発明の開示
本発明者らは、VEGFを特異的に阻害することにより血管新生を阻害できるポリペプチド、特にVEGFレセプターの細胞外領域に関するポリペプチドの内分子量が小さいポリペプチドを見いだすことを目的として鋭意努力した。その結果、KDRの細胞外領域の第1イムノグロブリン様ドメインから第2イムノグロブリン様ドメインを含むポリペプチドがVEGFに特異的かつ高親和性で結合し、VEGF活性を阻害できることを見いだし、本発明を完成した。なお、本明細書において「ポリペプチド」とは、アミノ酸同士がペプチド結合によって共有結合しているもの一般を指し、長さの制限はないものとする。
本発明のポリペプチドとしては、KDRの細胞外領域の第1イムノグロブリン様ドメインから第2イムノグロブリン様ドメインからなるものが、分子量が小さいために好ましいが、これらに他のドメインを含んでいるものも含まれる。例えば、第1イムノグロブリン様ドメインから第3イムノグロブリン様ドメインの全てを含むポリペプチド、第1イムノグロブリン様ドメインから第4イムノグロブリン様ドメインの全てを含むポリペプチド、第1イムノグロブリン様ドメインから第5イムノグロブリン様ドメインの全てを含むポリペプチド等も本発明のポリペプチドに含まれる。また、第1イムノグロブリン様ドメインから第5イムノグロブリン様ドメインのうち、第3イムノグロブリン様ドメインから第5イムノグロブリン様ドメインの任意の1つまたは2つのドメインが欠失しているポリペプチドも、本発明のポリペプチドに含まれる。なお、VEGFに結合してVEGFの活性を阻害することができる限り、本発明のポリペプチドにおけるこれらドメインのアミノ酸配列は、一部のアミノ酸が置換などにより変異していてもよい。このアミノ酸の改変は当業者であれば、公知の方法を用いて行うことができる。
しかし、余り分子量が大きいポリペプチド、例えば第1イムノグロブリン様ドメインから第6イムノグロブリン様ドメインの全てを含むポリペプチドまたは第1イムノグロブリン様ドメインから第7イムノグロブリン様ドメインの全てを含むポリペプチドも当然のことに、VEGFに特異的かつ高親和性で結合しうるものであるが、分子量が大きすぎるので「組換えDNA技術による発現が行いやすく、患部への浸潤も速やかである」という本願発明の目的を達成するには不満足なものである。
なお、KDRの各ドメインの境界は明確に区別されるものではないが、本明細書においては各ドメインは、それぞれ、すでに公表されている配列番号:1に示されるKDRの全アミノ酸配列中の以下の残基番号のアミノ酸配列を含むドメインと定義される。下記の残基番号は、配列番号:1のものと同じである。即ち、成熟KDRのN末端(配列番号:1の1位の「Ala」)から数えた残基番号を示す。
第1イムノグロブリン 1〜115
第2イムノグロブリン 116〜214
第3イムノグロブリン 218〜319
第4イムノグロブリン 319〜392
第5イムノグロブリン 393〜533
第6イムノグロブリン 534〜645
第7イムノグロブリン 646〜750
さらに本発明は、上記KDRの細胞外領域と他のタンパク質(例えば、イムノグロブリンのFc領域)とが融合したポリペプチドも含む。
これらのポリペプチドは次のような手順を経て生産することができる。ヒト血管内皮細胞、例えばヒト臍帯由来血管内皮細胞(岩城硝子、森永乳業、クラボウなどが販売)を培養し酸性フェノール法(P. Chomzynski and N. Sacchi, Anal. Biochem., 162:156(1987))により全RNAを抽出し、オリゴdTセルロースによってポリ(A)+RNAを調製する。これを鋳型として逆転写酵素とオリゴdT(12〜16)プライマーを用いて1本鎖cDNAまたは2本鎖cDNAを合成する。ポリ(A)+RNAの調製法、cDNAの調製法についてはJ.サンブルック(J. Sambrook)らの「分子クローニング(Molecular Cloning)」(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に従って行うことができる。また市販のポリ(A)+RNA調製試薬(Oligotex-dT30:宝酒造製)やcDNA合成キット(ファルマシアバイオシステム製)を用いても行うことができる。既にcDNAライブラリーからクローニングされたKDR cDNAがある場合は、直接、発現させようとする領域のDNAを適当な制限酵素で切り出し、発現ベクターに導入してもよい。
次に得られたcDNAを鋳型としてPCR法(”PCR Protocols”, Michael A.Innis et. al., Academic Press Inc., 1990)により目的部分のDNAを増幅することができる。例えば、以下のようなプライマーを使用すればよい。プライマーDNAはDNA合成機(アプライドバイオシステムズ製、日本ミリポアリミテッド製など)で合成するか、カスタムDNAを注文することができる(サワディテクノロジー)。例えば第1〜第6イムノグロブリン様ドメインをコードするcDNAを得る場合は、
第1〜第3イムノグロブリン様ドメインをコードするcDNAを得る場合は、
を用いればよい。
配列中、NはA、C、G、Tの何れか、XまたはYは制限酵素認識配列、括弧内の数字は塩基数を表す。具体的には、N(3〜5)はA、C、G、Tの何れかが3〜5個存在することを示し、X(6)またはY(6)は、6塩基を認識する制限酵素の認識配列を示す。これらの制限酵素認識配列は、増幅しようとするDNA断片およびそれを挿入しようとするベクターには存在しない配列にすることが望ましい。配列番号:1に記載の塩基配列を参考にして適宜下流プライマーを設計し、所望のC末端をコードするDNA断片を増幅することができる。また発現ベクターに組み込まれた時には、ポリペプチドのコーディング配列はプロモーターに対して順方向に配置していなければならない。プライマー配列中、KDR、DNA配列と対応する部分は必ずしも21塩基に限定する必要はなく17〜25塩基程度でもよい。PCRの条件は前述の「PCR Protocols」記載の標準的条件でよいが、鋳型の量やプライマー配列によって反応の進み方が異なるので、効率よく行うために、各パラメーター(例えばMg++濃度、アニーリング温度、延長反応時間、サイクル数など)を適宜変更し、至適化することができる。PCRに使用するDNAポリメラーゼは、Taqポリメラーゼよりプルーフリーディング(3’エクソヌクレアーゼ)活性のあるPfuポリメラーゼ(Stratagene製)かTaqポリメラーゼにPfuポリメラーゼを添加したものを用いた方がPCR増幅時の信頼性(Fidelity)が増す(W. M. Barnes, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 91:2216(1994))。
この場合のPCRで増幅しようとするDNA断片は配列が既知なので、増幅後アガロースゲル電気泳動でサイズを確認し、またゲルより回収して、適当な制限酵素で消化し、その電気泳動パターンを調べることにより目的のDNA断片が得られたかどうか判断することができる。アガロースゲル電気泳動、DNA断片のゲルからの回収、制限酵素による切断は前述の「Molecular Cloning」に従って行うことができる。またDNAのゲルからの回収には市販のグラスビーズを利用したキット(例えばバイオラッド製Prep-A-Gene)を使用することができる。
回収したDNA断片は、X(6)およびY(6)を切断できる制限酵素で断片の両端を消化し、フェノール処理により除タンパクを行い、エタノール沈澱し、適当なバッファー、例えばTE(10mM Tris-HCl(pH7.5)/1 mM EDTA)に溶かす。同様にして適当な発現ベクターのクローニング用部位を、X(6)およびY(6)を切断できる制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動を行い、ベクターDNAを回収する。このようにすることによってX(6)およびY(6)切断部位間の小さな断片を除くことができる。これらの挿入しようとするDNA断片および切断したベクターDNAを、例えばベクターDNA:挿入DNA断片の比が1:5〜1:10になるように加え、T4DNAリガーゼを用いてライゲーション反応を行う。ライゲーション産物を大腸菌コンピテント細胞に加え、形質転換を行い、ベクターにコードされた選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性など)に対応する抗生物質を含む培地でまず抗生物質耐性の形質転換体を選択する。
発現ベクターにDNA断片が挿入された組換え体は、抗生物質耐性の各形質転換体が持つプラスミドの制限酵素切断パターンを調べて選択する。または各形質転換体を菌体ごと鋳型として、挿入しようとするDNA断片を増幅したプライマーを用いてPCRを行うことにより、目的とするDNA断片が増幅されるか否かで組換え体かどうか調べることができる。これらの大腸菌の組換え体を得る一連の操作は前述の「分子クローニング」に従って行うことができる。
本発明のポリペプチドを生産させるために様々な宿主を利用することができる。例えば大腸菌(Escherichia coli)、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus liqueniformis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringensis)などのグラム陰性またはグラム陽性細菌、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Shizosaccharomyces pombe)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのような酵母、アスペルギルス(Aspergillus)属のような真菌類、Sf9(Spodoptera frugiperda由来)、Sf21、TN5(Trichoplusia ni由来)、BN4(Bombyx moli)などのような昆虫細胞、CHO(チャイニーズハムスター卵巣由来)、COS細胞(サル腎臓由来)などのような哺乳類細胞が利用できる。ベクターは宿主の種によってそれぞれ適したベクターを利用すればよい。最終的な形質転換細胞を得る前に、本発明のポリペプチドを生産しようとする宿主と大腸菌とのシャトルベクターを用い、一度大腸菌で組換えDNAを得るのがより容易であろう。本発明のポリペプチドを生産する組換え宿主を得るための形質転換方法は、大腸菌ではコンピテント細胞法、バチルス属ではコンピテント細胞法(K. Bott and G. A. Willson, J. Bacteriol., 94:562(1967))、プロトプラスト法(M. Mandel and A. Higa, J. Mol. Biol., 53:159(1970))、酵母ではプロトプラスト法(M. Broker et al., BioTechniques, 5:516(1987))、昆虫細胞およびほ乳類細胞ではリポフェクチン法(R. W. Malone et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 86:6077(1989))、リン酸カルシウム法(F. L. Graham and A. J. van der Eb, Virology, 52:456(1973))により行うことができる。またエレクトロポレーション法(バイオラッド社パンフレット等参照)は前述の全ての細胞に応用可能である。
基本的には、使用する宿主内で複製可能なプラスミドまたはウイルスDNAを用い、発現させたい部分をコードするDNAをその宿主内で機能する強力なプロモーターの下流に組入れればよい。発現させようとする遺伝子に翻訳開始コドンがない場合には、これを付加する必要がある。また原核細胞を宿主に用いる場合はリボソーム結合配列が(J. R. MacLaughlin et al., J. Biol. Chem., 256:11283(1981))必要である。宿主染色体DNAの一部を有し、宿主内で複製できないベクターを用いて宿主染色体と相同組換えを起こさせ、宿主染色体内にベクターごと組込む方法も利用することができる(特開平4-278092号、D. J. King et al., Biochem. J., 281:317(1992))。また、培養細胞ではなく、動物あるいは植物固体を宿主とする方法も利用可能である。例えばカイコのウイルスであるBmNPVの組換えウイルスを作成しカイコに接種することにより、培養細胞を宿主とする場合に比べ、より高い生産性でカイコ体液からポリペプチドが得られるであろう(河合秀樹、下群洋一郎、バイオインダストリー、8:39(1991))。pSV系ベクターの組換え体で形質転換したマウスミエローマ細胞をSCIDマウスやヌードマウスの腹腔に移植し、腹水から組換えポリペプチドを回収することも可能であろう。
本発明のDNAを用いたトランスジェニック動物(G. Wright at al., Bio/Technology, 9:830(1991))あるいはトランスジェニック植物(M. Owen et al., Bio/Technology, 10:790(1992))を宿主として利用することも可能であろう。
本発明のポリペプチドを細胞外に分泌させるには、真核細胞を宿主に用いる場合はKDRのシグナルペプチドコーディング部分をそのまま使用すればよい。細菌を用いる場合には、使用する宿主の分泌タンパク質のシグナルペプチドをコードするDNAを利用することができるであろう。例えば、大腸菌では外膜タンパク質であるOmpA、OmpF、フォスファターゼであるPhoA、マルトース結合タンパク質であるMalB、バチルス(Bacillus)属では塩基配列が既知のアミラーゼ、アルカリフォスファターゼ、セリンプロテアーゼなどのシグナルペプチドをコードするDNAを利用することができる。また細胞内に発現させる場合には、開始コドン以外のシグナルペプチドコーディング部分を除いて利用すればよい。また、細菌の細胞内で外来性のポリペプチドを高発現させた場合にはしばしば封入体の形成が起こるが、その場合は8M尿素で可溶化後、数μg/mlのポリペプチド濃度まで希釈し透析により徐々に尿素を除くことで活性の何割かが回収できるであろう。また、大腸菌内で大腸菌チオレドキシンを同時に高発現させることにより、封入体を生じさせにくくさせることも可能である。
前述のような方法で得られた本発明のポリペプチドは、一般的な生化学的方法により精製することができる。例えば硫酸アンモニウム沈澱、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、疎水性クロマトグラフィーなどを利用することができる。本発明のポリペプチドはヘパリン親和性を有するので、ヘパリン樹脂によるアフィニティクロマトグラフィーを利用することができる。他のポリペプチドとの融合ポリペプチドの場合は、相手のポリペプチドが有する特性を利用して精製することが可能である(M. Uhlen et al., Methods Enzymol., 185:129(1990))。例えば融合ポリペプチドの相手が抗体のFc領域である場合にはプロテインAセファロースあるいはプロテインGセファロース(E. Harlow and D. Lane,"Antibodies", Cold Spring Harbor Laboratoly Press, 1988)、グルタチオントランスフェラーゼ(GST)である場合にはグルタチオンセファロース(D. B. Smith and F. S. Johnson, Gene, 67:31(1988))、クロラムフェニコールトランスフェラーゼである場合にはクロラムフェニコールセファロース、ヒスチジンオリゴマーである場合にはNi++-NTA(nitryltriacetic acid)アガロースを用いたアフィニティクロマトグラフィー(F. H. Arnold, Bio/Tecnology, 9:15(1991))を利用することができる。
本発明のポリペプチドを含む画分は本ポリペプチドに反応する抗体を用いたEIAあるいはウエスタン解析によって検出することができる。本発明のポリペプチドと反応する抗体は、N末端より25番目〜39番目のアミノ酸配列に対応するオリゴペプチドを合成し、牛血清アルブミンあるいはKLH(keyhole lymphet hemocyanine)などのキャリアータンパク質とのコンジュゲイトを作成しウサギなどに標準的な方法で免疫することで得られる(E. Harlow anr D. Lane, "Antibodies", Cold Spring Harbor Press, 1988)。また本発明ポリペプチドと他のポリペプチドとの融合ポリペプチドを大腸菌で生産し、前述のように融合相手のポリペプチドの特性を利用して精製して免疫原として用いても本発明のポリペプチドに反応する抗体は得られる。
本発明のポリペプチドはVEGFに結合するので、その活性を指標として精製することもできる。例えばEIA用に抗体固相化プレートを調製するのと同様の要領で、精製前の本発明のポリペプチドを含む溶液を適当に希釈し、96穴のポリスチレン製マイクロタイタープレートをコートしてブロッキング処理したプレートを作成する。このプレートはVEGFを特異的に結合するので、125I標識VEGFを使用すればウェルに残る放射活性から結合が確認できる。本発明のポリペプチドを精製するために行ったクロマトグラフィーの画分と125I−VEGFをプレインキュベートしてからこのプレートのウェルに移し、残る放射活性を測定する。その画分に本発明のポリペプチドが存在すれば、プレインキュベーション中にVEGFに結合し、プレート上の本発明のポリペプチドと拮抗してプレートに結合しにくくなることで、存在が確認できる。
本発明のポリペプチドは、VEGFに結合してVEGFがVEGFレセプターに結合することを阻害する。すなわち、本発明のポリペプチドはVEGF活性を阻害するので、VEGF刺激による血管内皮細胞の増殖を阻害し、VEGFによる血管透過性促進を阻害する。更に、本発明のポリペプチドは、インビボでVEGFによる血管新生を阻害し、腫瘍の増殖を阻害する。
従って、本発明のポリペプチドは、ガンをはじめとする各種疾病の治療薬として、さらにはそれらの疾病の診断薬、検査薬として有効に利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、KDR細胞外領域のドメインの構成を表す模式図である。
図2は、「EDK13」を発現する組換えバキュロウイルスを感染させた細胞の培養上清と125I−BEGF165との共有架橋産物の電気泳動後のオートラジオグラフィーである。
図3は、HUVECのVEGF依存性チミジン取り込み促進のEDK13発現培養上清による阻害を示す図である。
図4Aは、EDK12/hIgG-Fc融合遺伝子組換えウイルス感染カイコ体液の抗EDKペプチド血清によるウエスタン解析を、図4Bは、EDK13/hIgG-Fc融合遺伝子組換えウイルス感染カイコ体液の抗EDKペプチド血清によるウエスタン解析を示す図である。
図5は、精製VK12Hおよび精製VK13HのSDS−PAGEパターンを示す図である。
図6は、VEGFコートプレートに対する精製VK12Hおよび精製VK13Hの結合能を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
<KDR細胞外領域(EDK)の部分断片を発現する組換えバキュロウイルスの作成>
・ヒト臍帯由来血管内皮細胞(HUVEC)cDNAの調製
HUVEC(クラボウ製)約1x107個の細胞に1mlのISOGEN(和光純薬工業製)を加え、ペッスルで細胞を破砕し更に9mlのISOGENを加え5分間振とうした。この溶液に1mlのクロロフォルムを添加し1分間振とうし、10,000rpmで10分間遠心し、上清を回収し、1/10容の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)を添加して混合し更に2.5容のエタノールを添加した。遠心して沈澱を回収し、75%エタノールで沈澱を洗浄し乾燥して100μlの加熱滅菌した純水に溶解した。102μgのRNAが得られた。この溶液に10%SDSを1μl添加し100μlの「Oligotex-dT30(宝酒造製)」を添加し65℃で5分間保温した後、氷中にて急冷した。この溶液に20μlの5M塩化ナトリウムを混合し37℃で10分間保温した。この懸濁液を15,000rpmで15分間遠心し、沈澱を100μlの加熱滅菌した純水に懸濁し65℃で5分間保温した。この懸濁液を15,000rpmで15分間遠心した上清を回収してエタノール沈澱を行った。乾燥した沈澱を20μlの加熱滅菌した純水に溶解し、HUVECポリ(A)+RNAとした。以下この溶液を用いファルマシアのcDNA合成キットを用い、マニュアルに従ってoligo(dT)プライミングのHUVEC2重鎖cDNA溶液100μlを得た。
・KDR細胞外領域(EDK)の部分断片をコードするDNAのクローニング
上記で得たHUVEC由来cDNAを鋳型として、以下の条件でPCRを行った。
プライマー配列は以下の通りである。
「プライマー1」の下線部はKDRのN末端コーディング配列に、「プライマー2」の下線部は第6イムノグロブリン様ドメインのC末端コーディング配列に対応する。
反応液50μlからミネラルオイルを除くために等量のクロロフォルムで処理し、水層を回収し、10%SDSを1μl添加し、60℃で5分間保温した。この溶液を等量のTE飽和フェノールで処理し、水層を回収し、エタノール沈澱してDNA断片を回収した。乾燥した沈澱を30μlのTEに溶解し、アガロースゲル電気泳動にかけた。およそ2.0KbpのDNA断片を切り出し、「Prep-A-Gene」(バイオラッド製)を使用しマニュアルに従いDNA断片を回収した。次にこのDNA断片をBamHIで消化し、その反応液を等量のTE飽和フェノールで処理し、水層から「Prep-A-Gene」を用いてBamHI消化DNA断片を回収した。このBamHI消化DNA断片に対して「T4ポリヌクレオチドキナーゼ(T4 Polynucleotide Kinase)」(宝酒造製)を用いて、5'末端のリン酸化を行った。この反応液から等量のTE飽和フェノールで処理した水層を回収し、エタノール沈澱し5'末端リン酸化BamHI消化DNA断片を回収した。
同様にプラスミドベクターpUC118 HincII/BAP処理済みDNA(宝酒造製)1μgをBamHIで消化し、その反応液を等量のTE飽和フェノールで処理し、その水層から「Prep-A-Gene」を用いてBamHI消化pUC118 HincII/BAP処理済みDNAを回収した。このようにして得られたDNA断片とプラスミドDNAを10:1のモル比で混合し、ライゲーション(ライゲーションキット、宝酒造製)を行った。このライゲーション溶液を用いて大腸菌JM109のコンピテントセル(宝酒造製)を形質転換し、75μg/mlのアンピシリンを含む2xTY培地(1l中16gトリプトン、10g酵母エキス、5g塩化ナトリウム、1.5g寒天)にプレーティングし37℃で一夜培養した。出現するアンピシリン耐性コロニーを爪楊枝で突き、50μg/mlのアンピシリンを含む10mlの2xTY培地で37℃で1夜培養し、回収した菌体からアルカリ法(前述の「Molecular Cloning」の方法に従った)でプラスミドDNAを抽出し、「pED KH8」と名付けた。
・KDR細胞外領域(EDK)の部分断片を発現する組換えバキュロウイルスの作成用組換えトランスファーベクターの構築
*第1〜第6イムノグロブリン様ドメインを発現する組換えバキュロウイルスの作成用組換えトランスファーベクターの構築
上記のようにして得られたプラスミド「pEDKH8」をBamHIおよびEcoRIで消化し、その反応液を等量のTE飽和フェノールで処理し、水層から「Prep-A-Gene」を用いてBamHI、EcoRI消化DNA断片を回収した。同様に組換えバキュロウイルス用トランスファーベクターであるプラスミドpVL1393(PharMingen製)1μgをBamHIおよびEcoRIで消化し、その反応液を等量のTE飽和フェノールで処理し、水層から「Prep-A-Gene」を用いてBamHI、EcoRI消化pVL1393断片を回収した。
このようにして得られたDNA断片とプラスミドDNAを10:1のモル比で混合し、ライゲーションを行った。このライゲーション溶液を用いて大腸菌JM109のコンピテントセルを形質転換し、75μg/mlのアンピシリンを含む2xTY培地にプレーティングし37℃で一夜培養した。出現するアンピシリン耐性コロニーを爪楊枝で突き、前述のPCR反応液から鋳型を除いた溶液15μlに移し、サイクル数を30回にして前述と同様にPCRを行った。PCR後の反応液をアガロースゲルで電気泳動し、2.0kbpのバンドを与えるコロニーから更にシングルコロニーを単離し、「pEDKH22」と名付けた。このプラスミドDNAを、プライマー1あるいはプライマー2を用いてシーケンシング(前述の「分子クローニング」の方法に従った)を行い、上流および下流から約150塩基の配列を調べたところ、KDR細胞外領域(EDK)コーディングDNAの塩基配列と一致した。
*第1〜第3イムノグロブリン様ドメインを発現する組換えバキュロウイルスの作成用組換えトランスファーベクターの構築
上記のようにして得られたプラスミド「pEDKH22」を鋳型として、以下の条件でPCRを行った。
プライマー配列は以下の通りである。
「プライマー3」の下線部は第3イムノグロブリン様ドメインのC末端コーディング配列に対応する。
反応液50μlからミネラルオイルを除くために等量のクロロフォルムで処理し、水層を回収し、10%SDSを1μl添加し、60℃で5分間保温した。この溶液を等量のTE飽和フェノールで処理し、水層を回収し、エタノール沈澱しDNA断片を回収した。乾燥した沈澱を30μlのTEに溶解し、アガロースゲルで電気泳動した。およそ1.0KbpのDNA断片を切り出し、「Prep-A-Gene」を使用しマニュアルに従いDNA断片を回収した。次にこのDNA断片をBamHIおよびEcoRIで消化し、その反応液を等量のTE飽和フェノールで処理し、水層から「Prep-A-Gene」を用いてBamHI、EcoRI消化DNA断片を回収した。
同様に組換えバキュロウイルス用トランスファーベクターであるプラスミドpVL1393、1μgをBamHIおよびEcoRIで消化し、その反応液を等量のTE飽和フェノールで処理し、水層から「Prep-A-Gene」を用いてBamHI、EcoRI消化pVL1393断片を回収した。
このようにして得られたDNA断片とプラスミドDNAを10:1のモル比で混合し、ライゲーションを行った。このライゲーション溶液を用いて大腸菌JM109のコンピテントセルを形質転換し、75μg/mlのアンピシリンを含む2xTY培地にプレーティングし37℃で一夜培養した。出現するアンピシリン耐性コロニーを爪楊枝で突き、前述のPCR反応液から鋳型を除いた溶液15μlに移し、サイクル数を30回にして前述と同様にPCRを行った。PCR後の反応液をアガロースゲル電気泳動し、1.0kbpのバンドを与えるコロニーから更にシングルコロニーを単離し、「pbEDK13」と名付けた。
「pEDKH22」もしくは「pbEDK13」を持つ大腸菌を50μg/mlのアンピシリンを含む100mlの2xTY培地で37℃で1夜培養し、回収した菌体からアルカリ法でプラスミドDNAを抽出し、マニュアルに従ってイオン交換カラム(Diagen GimbH、QIAGEN製)で精製し、各々200μlのTEに溶解した約100μgのプラスミドDNAを得た。
・EDKの部分断片を発現する組換えバキュロウイルスの作成
TMN−FH培地(PharMingen製)で培養した80%コンフルエンシーの状態のSf9細胞(Invitrogen Corp.製)をピペッティングで剥し、2x106個の細胞を直径35mmのディッシュに撒き30分放置して表面に吸着させた後、培地を無血清培地であるEx−Cell400(岩城硝子製)1.5mlに交換した。12μl中に「pbEDK13」4μl(2μg)、欠失バキュロウイルスDNA(BaculoGold、PharMingen製)2μl(20ng)を混合した溶液とリポフェクチンを滅菌純水で2倍希釈した溶液12μlを混合し15分放置した後、全量24μlを前述のディッシュに添加し混合した。このディッシュを湿潤箱に入れ27℃で1昼夜静置培養した後、培地を2.5mlのTMN−FHに置換し27℃で4日間静置培養した。培地を回収し遠心した上清をオリジナルウイルスストックとし、この組換えウイルスを「BEDK13M」と名づけた。「Invitrogen corp.」のマニュアルに従いプラークアッセイを行った結果、これらのウイルスタイターはおよそ3x106であった。得られたオリジナルウイルスストックを用い、「Invitrogen corp.」のマニュアルに従って3段階に増幅したウイルス溶液約30ml(タイターはおよそ5x107/ml)を得た。
同様にして、「pEDKH22」を用い組換えウイルス「BEDK16」を作成した。
<組換えウイルス感染Sf9細胞発現産物の解析>
・125I−VEGF165との共有結合架橋産物
Sf9細胞に組換えウイルス「BEDK13M」をm.o.i.5(m.o.i.とはウイルス粒子:細胞数の比のこと)で感染させ、7日間培養した培養上清に125I−VEGF165(100,000cpm/ng、Amersham製)を200,000cpm添加し、100μlのPBS−0.1%BSA中で室温で1.5時間置いた。この溶液に25mMジサクシニルスベレート(disuccinylsuberate)/ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)/PBS溶液を4μl添加し室温で40分間置いた後、1M Tris-HCl(pH6.8)を1/10容混合した。このサンプルについてレムリ法、非還元条件でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後、オートラジオグラフィによりシグナルを検出した(図2)。
その結果、分子量98,000の共有結合架橋産物が検出できた(図2B、レーン1)のに対して、VEGFレセプターであるFLTの細胞外領域をコードするDNAをプロモーターとは逆向きに挿入した組換えウイルスを感染させ作成したコントロールウイルス感染細胞培養上清では共有結合架橋産物が観察されなかった(図2A、レーン3)。図2Aのレーン1は、陽性対照として「BEDK16」をm.o.i.5で感染させ、7日間培養した培養上清を使用し、レーン3は前述のコントロールウイルス感染細胞を使用した結果である。レーン2及び4は、それぞれレーン1および3の反応に100倍の非標識VEGF165(R&D製)を添加した結果である。図中矢印で示した250Kdのバンドは、EDKの第1〜第6イムノグロブリン様ドメインからなるポリペプチドの2量体とVEGF165の2量体との共有結合架橋産物である。図2Bのレーン1は「BEDK13M」を感染させた培養上清を使用し、レーン2はレーン1の反応に100倍の非標識VEGF165(R&D製)を添加した結果である。
VEGF1652量体の分子量が42,000であるので、共有結合架橋産物の分子量98,000から差し引くと、56,000である。アミノ酸配列から予想される分子量はおよそ56,000であり、このことから、「BEDK13M」を感染させた細胞はEDKの第1〜第3イムノグロブリン様ドメインからなるポリペプチドを発現していることが確認された。「BEDK13M」から発現されるポリペプチドを「EDK13」と名づけた。
・組換えトランスファーベクターへの挿入DNAの塩基配列解析
プラスミド「pbEDK13」にクローニングしたDNAの塩基配列を確認するためにシーケンシングを行った結果、「pbEDK13」の挿入DNAのKDR細胞外領域の第1〜第3イムノグロブリン様ドメインと対応する領域の塩基配列はブルースI.ターマン(Bruce I.Terman)らが報告したKDR遺伝子の配列(配列番号:1)と比較して2箇所異なっているだけのものであった(配列番号:1で382番目のTがAに、636番目のTがCに置換)。その結果アミノ酸配列では、109番目のセリンがスレオニンになっていた。
・VEGFの生物活性の阻害
VEGFによるヒト臍帯由来血管内皮細胞(HUVEC)のチミジン取り込み促進に対する、「EDK13」発現培養上清による阻害を調べた。HUVECを96穴コラーゲンコートプレート(岩城硝子製)に3000個/ウェル/100μl(EGM−UV培地、クラボウ製)で撒き、37℃、5%CO2で24時間培養した。洗浄用培地で2回洗浄した後、20ng/mlのVEGF165を50μlとサンプル50μlをウェルに添加して4日間培養した。50μCi/2nmoles/mlの3H−チミジン(Amersham製)を10μlウェルに添加して更に24時間培養した。PBSで2回洗浄した後、トリプシン/EDTAで細胞を剥し、セルハーベスター(Cambridge Technology Inc.製)でグラスフィルターに回収し液体シンチレーションカウンターで放射活性を測定した(図3)。対照として用いた野性株(wt)ウィルス感染培養上清をサンプルとして添加した場合に比べ、「EDK13」発現培養上清を添加した場合は、有意にVEGF依存性のチミジン取り込みが阻害された。この結果から「EDK13」は、VEGFによるHUVECのチミジン取り込みの促進、即ちDNA合成の促進を阻害することが明らかとなった。
<KDR細胞外領域(EDK)の部分断片とIgG-Fc領域の融合タンパク質の機能確認>
・KDR細胞外領域の部分断片とIgG-Fc領域の融合タンパク質のカイコ体液での発現
*EDK部分断片をコードするDNAの調製
先に得たプラスミド「pEDKH22」DNAを鋳型として以下の条件でPCRを行い、EDKの第1〜第2イムノグロブリン様ドメインまたは第1〜第3イムノグロブリン様ドメインをコードするDNA断片を増幅した。
プライマー1の配列は先に示した。プライマー4の配列は以下の通りである。
プライマー4の波線部はヒトIgG1−Fc領域ヒンジのN末端側5アミノ酸をコードする配列(ただしアンチセンス鎖)に対応し、下線部はEDKの第2イムノグロブリン(205位〜211位)様ドメインをコードする配列(ただしアンチセンス鎖)に対応する。
プライマー1の配列は先に示した。プライマー4の配列は以下の通りである。
プライマー5の波線部はヒトIgG1−Fc領域ヒンジのN末端側5アミノ酸をコードする配列(ただしアンチセンス鎖)に対応し、下線部はEDKの第3イムノグロブリン(313位〜319位)様ドメインをコードする配列(ただしアンチセンス鎖)に対応する。
前述と同様の方法でそれぞれのPCR反応液からEDKの第1〜第2イムノグロブリン様ドメインをコードする0.6Kbpの精製DNA断片および第1〜第3イムノグロブリン様ドメインをコードする0.9Kbpの精製DNA断片得て、それぞれ20μlTE(10mM Tris-HCl, pH7.5, 1mM EDTA-2Na)バッファーに溶解した。
* ヒトIgG1−Fc領域をコードするDNA断片の調製
ヒトリンフォブラストーマIM9株(大日本製薬(株))をRPMI1640培地(GIBCO BRL製)で培養した。4X107の細胞からcDNA溶液を前述と同様にして100μl調製し、2段階のPCRによってヒトIgG1−Fc DNA断片を増幅した。
プライマー6およびプライマー7の配列は以下の通りである。
上記のPCR反応液にプライマー8とプライマー9を200nMになるように添加し、表5の(2)の条件で15サイクル、(3)の条件で1サイクル反応を行った。
プライマー8とプライマー9の配列は以下の通り。
プライマー8はヒトIgG1−FcのN末端アミノ酸をコードする配列と対応し、プライマー9の点線部は制限酵素XbaI認識切断配列、2重下線部はsトップコドン(ただしアンチセンス鎖)、下線部は6個のヒスチジンコドン(ただしアンチセンス鎖)、波線部はヒトIgG1−FcのC末端アミノ酸をコードする配列(ただしアンチセンス鎖)と対応する。
前述と同様の方法でそれぞれのPCR反応液からヒトIgG1−Fcをコードする0.7Kbpの精製DNA断片得て、それぞれ20μlTE(10mM Tris-HCl, pH7.5, 1mM EDTA-2Na)バッファーに溶解した。
* EDK部分断片とヒトIgG1−Fcの融合タンパク質をコードするDNAの調製
前述の様にして得たEDKの第1〜第2イムノグロブリン様ドメイン(EDK12)DNAまたはEDKの第1〜第3イムノグロブリン様ドメイン(EDK13)DNAとヒトIgG1−Fc(hIgG1-Fc)DNAを以下のPCRによって融合した。
前述と同様にしてそれぞれのPCR反応液から1.3Kbpの精製EDK12/hIgG1-Fc融合DNAと1.6Kbpの精製EDK12/hIgG1-Fc融合DNAを得た。
* カイコ発現用組換えウイルスの作成
前述と同様にして上記のそれぞれのDNA断片の両端を制限酵素EcoRIおよびXbaIで消化後、EcoRIおよびXbaIで消化したカイコ核多角体ウイルストランスファーベクターpBMO050(S. Maeda, Gene transfer vectors of a baculovirus, Bombyx mori, and their use for expression of foreign genes in insect cells., Invertebrate cell system applications, p. 167, Vol. I, Ed. By J. Mitsuhashi, CRC Press, 1989)へ導入し、それぞれの精製組換えプラスミドを得た。次に組換えウイルスを得るために、これらのプラスミドDNAとカイコ核多角体ウイルスのシステインプロテアーゼ欠失変異体であるCPdウイルス(T. Suzuki et al., Journal of General Virology, 78, p. 3073, 1997、特開平7−303488)DNAをカイコ由来培養細胞BoMo15AIIc細胞(J. Kobayashi, et al., Cytotechnology 8, p. 103, 1992)にリポフェクチン試薬(GibcoBRL製)を用いて、マニュアルに従いコトランスフェクションを行った。
次に限界希釈法により得たシングルクローンの培養上清をVEGF121(S. Kondo et al., BBA., 1243, p. 195, 1995)をコートしたイムロン2ストリップ(ダイナテック製)と2次抗体にPOD標識抗ヒトIgG抗体(MBL製)に用いてEIAを行い、発色を示すクローンを選択した。培養上清には組換えウイルスが含まれていると考えられたので、更にBoMo15AIIc細胞に感染させウイルスを108/ml程度まで増殖させた。
* 抗EDKペプチド血清の作成
EDKのアミノ酸配列番号表の5位のプロリンから15残基のペプチドをMAPレジンを用いて合成し、ウサギの2週間ごとに3回免疫し抗血清を得た。
* カイコ幼虫へのウイルス接種
それぞれの組換えウイルスを含む培養上清を飼料に混入し、5令のカイコ1当たりに104〜105のウイルスを投与し5日から6日飼育し体液を回収しメラニン化を防ぐためにフェニルチオウレアを添加し−80℃に保存した。
* カイコ幼虫での発現と発現産物の確認
これらのサンプルを用いて、サムブルックらのラボマニュアル「分子クローニング」(J. Sambrook, E.F. Fritsch and T. Maniatis,"Molecular Cloning:A laboratory manual(2nd edition)", ed. by N. Ford et al.,p.18.1-p.18.75, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York(1989))記載の方法に従いSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)し、200倍希釈した抗EDKペプチド血清を用いてウェスタン解析を行ったところ、コントロール体液には見られない、予想分子量と一致する特異的な免疫反応産物が見られた。即ちEDK12/hIgG-Fc融合体の組換えウイルスの場合は分子量約55、000、EDK13/hIgG-Fc融合体の組換えウイルスの場合は分子量約65、000のバンドが免疫反応バンドが見られた(図4A、4B)。これらの結果から確かにEDK部分断片の発現が確認された。またEDK12/hIgG-Fc融合タンパク質およびEDK13/hIgG-Fc融合タンパク質をVK12H、VK13Hと名づけた。
* カイコ体液からのVK12HおよびVK13Hの精製
操作は0℃〜4℃を保って行った。回収保存したカイコ体液を室温で溶解後に15000rpmで10分遠心し、上清をポアサイズ0.45μmのフィルターを通し不溶物を除いた。これに各ストック溶液を添加し、終濃度20mM Tris-HCl(pH8.0), 150mM KCl, 0.1% NP-40, 1mM imidasol-HCl(pH8.0)の溶液にした。この溶液をHi-Trap Chelating/Cu2+(ファルマシア製)にロードし、同バッファーで洗浄し、更に40mM imidazol-HCl(pH8.0)の同バッファーで洗浄した。次に0.3M imidazol-HCl(pH8.0), 0.5M KCl溶液で溶出した。SDS-PAGEを行い回収したところ、ウェスタン解析で観察されたバンドに相当するタンパク質が精製された(図5)。
*精製VK12HおよびVK13HのVEGF結合能の確認
100μlの100ngVEGF121/ml PBS(食塩りん酸バッファー)をイムロン2ストリップのウェルに添加し4℃で一夜置いた。ウェル内の液を捨て300μlの1%BSA(牛血清アルブミン)/PBSを添加し、室温で2時間ブロッキングした。次に100μlの稀釈した精製VK12HおよびVK13H溶液を添加し室温で1時間置いた後、0.1%BSA/PBSでウェルを6回洗浄した。0.1%BSA/PBSで1000倍に希釈した100μlのPOD標識抗ヒトIgG抗体(MBL製)を添加し1時間室温で置き、0.1%BSA/PBSでウェルを6回洗浄した。100μlの10mM酢酸ナトリウム(pH5.2)、0.15%過酸化水素、1錠/20mlのOPD(オルトフェニレンジアミン)錠(和光純薬)を添加し30分呈色反応を行い、100μlの2N硫酸を添加して反応を停止し、492nmの吸光度を測定した(図6)。その結果、VEGFコートプレートでコントロールとして100倍希釈非組換えウイルス感染カイコ体液を用いた場合や5μg/mlヒトIgG1(BioPur AG製,#10-3 1-1212、スイス)を添加した場合は全く発色せず、精製VK12HおよびVK13Hを用いた場合は強く発色した。また、これらの発色は外から添加した過剰VEGF165(R&D製)によっての発色は阻害された。これらのことは、VK12HおよびVK13HはVEGFに特異的に結合することを示している。以上の結果から、KDR細胞外領域の第1〜第2ドメインとヒトIgG1−Fcの融合タンパク質およびKDR細胞外領域の第1〜第3ドメインとヒトIgG1−Fcの融合タンパク質はVEGF結合能を有している事が判明した。
産業上の利用可能性
本発明のポリペプチドは、VEGF刺激による血管新生を阻害することができるので、固形ガンその他の病理学的血管新生を伴う疾病の治療に利用でき、また、ヒト由来のアミノ酸からなるので、ヒトに投与しても抗体ができにくい。更に、従来のポリペプチド(R.L.Kendal and K.A.Thomas,Proc.Natl.,Acad.Sci.,U.S.A.,90:10705(1993))より分子量が小さいので、組換えDNAによる発現が行いやすく、患部へも速やかに浸潤できる。
配列表
(1)出願人氏名:東亞合成株式会社
(2)発明の名称:VEGF結合性ポリペプチド
(3)整理番号:T1−807PCT
(4)出願番号:
(5)出願日:
(6)優先権のもととなった出願をした国名および出願番号:日本国、特願平9−19706号
(7)優先日:平成9年1月17日
(8)配列の数:13
配列番号:1
配列の長さ:2295
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
起源
生物名:ヒト
細胞の種類:胎盤組織
配列の特徴
特徴を表す記号:CDS
存在位置:1..1014
特徴を決定した方法:E
特徴を表す記号:CDS
存在位置:1015..2295
特徴を決定した方法:S
特徴を表す記号:sig peptide
存在位置:1..57
特徴を決定した方法:S
特徴を表す記号:mat peptide
存在位置:58..2292
特徴を決定した方法:S
配列
配列番号:2
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:3
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:4
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:5
配列の長さ:45
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:6
配列の長さ:53
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:7
配列の長さ:50
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:8
配列の長さ:42
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:9
配列の長さ:42
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:10
配列の長さ:24
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:11
配列の長さ:24
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:12
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
配列番号:13
配列の長さ:49
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列
Claims (6)
- KDRの細胞外領域の第1イムノグロブリン様ドメインから第2イムノグロブリン様ドメインまでの領域からなるポリペプチド。
- 請求項1に記載のポリペプチドと、イムノグロブリンのFc領域とが融合したポリペプチドであって、VEGFに結合してVEGFの活性を阻害することができる、ポリペプチド。
- 請求項1または2のいずれか一項記載のポリペプチドをコードするDNA。
- 請求項3記載のDNAを含むベクター。
- 請求項4記載のベクターを保持する形質転換体。
- 請求項1または2のいずれか一項記載のポリペプチドを発現するために適切な条件下で請求項5の形質転換体を培養することを含む、該ポリペプチドを生産するための方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP1970697 | 1997-01-17 | ||
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