JP3832704B2 - 自動車用スライドドアの給電構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドア側のワイヤハーネスを固定したスライダをガイド部にスライド自在に係合させて、スライドドア開閉時におけるスライドドア側のワイヤハーネスと車体側のワイヤハーネスとの接続位置を常に一定とした自動車用スライドドアの給電構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワンボックスカーや一部の乗用車に見られるスライドドアの内部のパワーウィンドモータやドアロックユニットやスピーカといった各補機をドアワイヤハーネスを介して車体側(電源側)のワイヤハーネスに接続するために、従来色々な手段が講じられている。
【0003】
図22は、一例として実開平4−124555号公報に記載された従来の自動車用スライドドアの給電構造を示すものであり、スライドドア101内の各補機102はコントローラ103を介してワイヤハーネス104に接続され、ワイヤハーネス104の端末がドア前端部の一方の接点105に接続されている。車体106側には他方の接点107が設けられ、接点107はワイヤハーネス108を介してバッテリ109に接続されている。車体側の接点107は防塵・防水のための図示しない可動接点を介してスライドドア側の接点105に接続される。
【0004】
しかしながら、上記構造にあっては、スライドドア101の閉時にのみ通電が行われ、ドア101が少しでも開いた状態では、パワーウィンドの開閉やスピーカ等の補機の作動が行われないという欠点があった。また、防塵・防水用の可動接点を介して両接点105,107を接続させる所謂二重接点になっているために、接触抵抗が増し、接続の信頼性が低下するという懸念があった。
【0005】
また、上記構造とは別に一般の建物用のドアにおける給電構造(図示せず)として、実開平5−28893号に、二つの中空のアームを中空の回転軸で連結し、一方のアームをドアに固定し、他方のアームを建物に固定して、アームの内部に電線を挿通させる構造が提案されている。
【0006】
しかしながら、この構造にあっては、ドアが一軸で同心円の開閉動作をする場合には対応可能であるが、自動車のスライドドアのように二次元的で且つ曲線動作を含む開閉動作をするものや、三次元的な開閉動作をするものには適用できず、またアームの肥大化により構造が大型化、複雑化するという問題や、アームが開閉時に振れや異音等を生じやすく、スムーズな開閉を行いにくいといった懸念があった。
【0007】
一方、特開平7−222274号には、図23(a)(b)〜図24(a)(b)に示す自動車用スライドドアの給電構造が提案されている。
図23(a)(b)の構造においては、スライドドア111に対する車体117側のガイドレール112に沿って支持棒113が取り付けられ、支持棒113にカール形状の電線(ワイヤハーネス)114が巻装され、電線114の一端側がヒンジ部115を介してスライドドア111のスピーカ116に接続され、電線114の他端側が車体側のオーディオ本体(図示せず)に接続されている。図23(a) のドア閉時において電線114は支持棒113に沿って延び、図23(b) のドア開時において電線114は縮んで収納される。
【0008】
また、図24(a)(b)に示す構造においては、スライドドア118の開閉動作に伴って電線(ワイヤハーネス)119を繰り出し・巻き取り可能なリール120が車体121側に設けられ、電線119の一端側がヒンジ122を介してドア側のスピーカ123に接続され、電線119の他端側が車体側のオーディオ(図示せず)に接続されている。図24(a) のドア閉時において電線119はリール120から繰り出されて延び、図24(b) のドア開時において電線119はリール120に巻き取られる。
【0009】
しかしながら、図23(a)(b)の構造にあっては、伸縮自在なカール状の電線114を使用するために、電線114の収納スペースが必要である上に、必然的に電線114の実線長が長くなり、電気的伝達損失が大きくなるという懸念があった。特に、回路数が増えたり、太い電線を使用した場合には、カール径を大きくしなければならず、実線長はさらに増大してしまう。
【0010】
また、図24(a)(b)の構造にあっては、電線119の長さに応じてリール120の巻き取り回数と巻き取り軸径とが関係し、巻き取り回数が少ない場合は軸径が大きくなって装置が肥大化し、また、リール120には電線119の捩じれを防止する機構も組み込まなければならず、回路数が増えたり、太い電線を使用する場合にも装置が肥大化するという問題があった。また、図23(a)(b)〜図24(a)(b)の両構造において電線114,119がカール巻きやリール巻きによって繰り返し屈曲するために、スムーズな動作を行い難いと共に、電線(回路部)114,119が傷みやすく、また、電線114,119の本数を増やすと屈曲性が悪くなり、他種類の補機の接続に対応できないという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の各構造における問題点に鑑み、接点の断続を行うことなく、スライドドアの三次元での曲線的な開閉動作に容易に対応でき、また、ワイヤハーネスが長いことに起因する電気的伝達損失を低減させると共に、ワイヤハーネスの繰り返し屈曲に起因する傷みを解消でき、また、アームやアーム内の配線やワイヤハーネスのカール巻きやリール巻き等に起因する構造(装置)の複雑化や肥大化を防止でき、薄型のスライドドアに適用が可能で、また、回路数を増してもワイヤハーネスの屈曲性が良好で多くの補機に対応でき、ワイヤハーネスの配索や端末処理が容易である自動車用スライドドアの給電構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、スライドドアにスライドドア開閉方向のガイド部が設けられ、該ガイド部にスライダがスライド自在に係合し、該スライダにスライドドア側のワイヤハーネスが固定され、該スライダと車体側との間に該ワイヤハーネスの湾曲部が配索され、該ワイヤハーネスが該湾曲部を介して該車体側に接続されたことを特徴とする自動車用スライドドアの給電構造を採用する(請求項1)。
前記ガイド部の上方において前記スライドドアにハーネス支持ガイドを設け、該ハーネス支持ガイドから前記スライダにかけて前記ワイヤハーネスを吊り下げたことも有効である(請求項2)。また、前記スライダをスライドドア閉じ方向に付勢する巻取リールを備えたことも有効である(請求項3)。
また、前記スライダに、連結された一対のリンクアームの一端側を連結し、該一対のリンクアームの他端側を該スライドドア側に軸支させ、該一対のリンクアームから該スライダに前記ワイヤハーネスを配索したことも有効である(請求項4)。
また、前記ワイヤハーネスの湾曲部にコイル部材が外挿されたことも有効である(請求項5)。前記コイル部材が前記湾曲部の両端部に配置されたことも有効である(請求項6)。
また、前記ワイヤハーネスがキャブタイヤケーブルであることも有効である(請求項7)。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図9は、本発明に係る自動車用スライドドアの給電構造(装置)の第一の実施形態を示すものである。
【0014】
図1の如く、スライドドア1のインナパネル2の下部側に水平方向のガイドレール(ガイド部)3が設けられ、ガイドレール3にスライドブロック(スライダ)4がスライド自在に係合し、且つスライドブロック4が巻取リール5で後方すなわちドア開き方向に引っ張られ、スライドブロック4にドア側のワイヤハーネス6の中間部が固定され、ワイヤハーネス6の一方がガイドローラ(ガイド部)7で支持され、ワイヤハーネス6の他方が略U字状に屈曲されて車体8側(バッテリ側)において車体側のワイヤハーネス9とコネクタ10,11で接続されている。本書では車両進行方向を前と定めている。
【0015】
ガイドレール3とスライドブロック4と巻取リール5とガイドローラ7とで本例の自動車用スライドドアの給電装置Aが構成されている。巻取リール5はガイドレール3の後方においてスライドドア1のインナパネル2に固定され、ガイドローラ7はインナパネル2の高さ方向中間部において回動自在に組み付けられている。ドア側及び車体側のワイヤハーネス6,9の各コネクタ10,11は車体8のステップ部12の垂壁13の内側に固定されている。スライドドア1は下端側においてヒンジローラ14で車体側のレール15(図7)にスライド自在に係合している。
【0016】
ガイドレール3は、真直な帯状の板部16の高さ方向中央にスリット(長孔)状のガイド孔17を形成し、板部16の両端と長手方向中間部とに固定部18〜20を形成して成るものであり、各固定部18〜20はリング状のスペーサ21を介してインナパネル2にボルト22で固定されている。インナパネル2とガイドレール3との間にはスペーサ21の板厚分の隙間23が構成されている。ガイドレール3のガイド孔17にスライドブロック4の軸部(支軸)24が貫通して係合し、例えば軸部24の先端のフランジ部(図示せず)がガイドレール3の裏側の隙間23に位置している。軸部24の外周には例えばベアリング(図示せず)が設けられ、ベアリングがガイド孔17に摺接することで、スライドブロック4が長孔状のガイド孔17に沿って水平方向にスムーズに進退する。
【0017】
巻取リール5は、リール本体25の内側にワイヤ26を巻き取るためのばね手段(図示せず)を有しており、ノズル27から伸びたワイヤ26は常に引張方向に付勢されている。ワイヤ26の先端はスライドブロック4の後端に連結されている。それによってスライドブロック4は常に後方へ付勢されている。巻取リール5は、スライドドア1を閉じる際にスライドブロック4を後方へ移動しやすくする(移動を補助する)ためのものである。巻取リール5による引張力はドア側のワイヤハーネス6をピンと張っておく程度のものである。
【0018】
また、ガイドローラ(ハーネス支持ガイド)7は、ガイドレール3の上方でインナパナル2に固定された軸部28と、軸部28の回りを例えばベアリングを介して回動自在なプーリ状の溝付のローラ29とで構成される。断面半円状の溝30にドア側のワイヤハーネス6が外れ出しなく係合している。なお、回動自在なガイドローラ7に代えて固定式の図示しないガイド軸(ハーネス支持ガイド)を用いることも可能である。ガイド軸に同様の溝30が形成されることは言うまでもない。
【0019】
ドア側のワイヤハーネス6はガイドローラ7から吊り下げられた状態で、スライドブロック4の移動によって揺動する。ワイヤハーネス6の先端部側はガイドローラ7の前方に短い距離で水平に延び、ワイヤハーネス6の先端側のコネクタ31でスライドドア内部の図示しないパワーウィンドモータやドアロックやスピーカといった補機のワイヤハーネスのコネクタに接続されている。コネクタ31はインナパネル2に固定されている。
【0020】
スライドブロック4から車体8側へ続くワイヤハーネス6の下側部分は前方に向けて略U字状に湾曲し、この湾曲部38を介して前述の如くコネクタ10,11を介して電源線である車体側のワイヤハーネス9に続いている。車体側のワイヤハーネス9はステップ12の壁部の内面に沿って前方(バッテリ側)へ続いている。例えば一方のコネクタ10は雄型で、合成樹脂製のコネクタハウジング(符号10で代用)の内部に雌端子(図示せず)を有し、他方のコネクタ11は雌型で、コネクタハウジング(符号11で代用)の内部に雄端子(図示せず)を有している。
【0021】
図2の如く、スライドブロック4は矩形状に形成され、長手方向中央に切欠された段部32を有し、段部32の前方にドア側のワイヤハーネス6を湾曲した状態で突出させている。スライドブロック4の後半部は厚肉に形成され、厚肉部33の板厚方向に押え板34を重合させてワイヤハーネス6を挟みつけるように固定している。押え板34にはほぼ90°に湾曲したアーチ部35が膨出形成され、厚肉部33にはアーチ部35に対応した溝部36が形成され、押え板34が小ねじ37で厚肉部33に固定され、溝部36とアーチ部35との間にワイヤハーネス6が挟持されている。
【0022】
スライドブロック4とコネクタ10との間においてドア側のワイヤハーネス6のU字状の湾曲部38の外周にコイルスプリング(コイル部材)39が巻き付けられるように装着されている。コイルスプリング39はワイヤハーネス6の湾曲部38の方向付けを行うと共に、湾曲部38を擦れ等から保護する。湾曲部38の方向付けは、湾曲部38を緩やかに屈曲した状態に保ち(矯正し)、スライドブロック4の移動に伴う湾曲部38の折れ曲がりや波打ち等を防止してワイヤハーネス6の破損を防ぐためのものである。
【0023】
コイルスプリング39の両端はばね力によってスライドブロック4の段部32とコネクタ10の嵌合面とは反対側の端面10aとに押接されており、段部32や端面10aから離れてずれ落ちたりすることがない。コイルスプリング39の両端をスライドブロック4とコネクタ10とに係止手段(図示せず)で固定させることも可能である。コイルスプリング39の内径をワイヤハーネス6の外径と同等ないしはそれ以下に設定して、ワイヤハーネス6の外周面に密着させることも可能である。
【0024】
図3の如く、ドア側のワイヤハーネス6の湾曲部38においてスライドブロック4側とコネクタ10側の二箇所に限定して部分的にコイルスプリング(コイル部材)40,41を外挿することも可能である。コイルスプリング40,41の先端はスライドブロック4の段部32とコネクタ10の端面10aとに密着固定されている。図2の例と同様にコイルスプリング40,41の内径を湾曲部38の外周に密着させることも可能である。湾曲部38の両端部がコイルスプリング40,41で方向付けされるから、スライドブロック4の移動によっても常に湾曲部38がU字形状を保ち、図2の例と同様の効果を奏する。
【0025】
図4の如く、本例のワイヤハーネス6としてはキャブタイヤケーブルが使用されている。キャブタイヤケーブルは例えばJIS C3327にも示される如く、内側に複数本の電線42〜43を配置し、複数本の電線42〜43の間に発泡ポリエチレン等の絶縁体44を充填し、絶縁体44の外側にビニル絶縁シース45を被着させたものであり、本例では太さの異なる二種類の電線42,43を挿通させている。
【0026】
ワイヤハーネス6としてキャブタイヤケーブルを用いることで、完全な断面円形状のワイヤハーネス6を得ることができ、ワイヤハーネス6の屈曲性が屈曲方向によって相違することなく均一であるから、図1のガイドローラ7からスライドブロック4を経てコネクタ接続させるまでの配索作業が容易化すると共に、湾曲部38における形状保持性が良好であり、しかもコネクタ10を組み付ける際のワイヤハーネス6の切断や皮剥きや端子圧着といった端末処理も容易である。
【0027】
図5の如く、スライドドア1の閉じ状態でスライドブロック4は巻取リール5のワイヤ26に引っ張られてガイドレール3の後端部に位置し、ドア側のワイヤハーネス6はスライドブロック4から前方に傾斜して立ち上がり、ガイドローラ7で支持されて前方のコネクタ31へ延びている。スライドブロック4の軸部24(図1)はガイドレール3のガイド孔17の後端に当接するか、後端に近傍に位置している。スライドブロック4が巻取リール5で引っ張られていることで、車両走行中のスライドブロック4の移動が防止され、ドア側のワイヤハーネス6の弛みや弛みに伴う磨耗や異音等が防止される。
【0028】
スライドブロック4からは車体側へワイヤハーネス6の湾曲部38(図1参照)が延長されている。湾曲部38(図1)は車体8のステップ部12においてコネクタ接続により固定されている。図5で10はコネクタ、46は窓ガラス、47は把手である。
【0029】
図6の如く、ワイヤハーネスの湾曲部38が車体側に連結されているために、スライドドア1の開き状態でスライドブロック4はガイドレール3の前端部へ移動して位置する。正確には、スライドブロック4は図5のスライドドア1の閉じ状態とほぼ同じ位置にあり、スライドドア1がスライドブロック4を残して後退したことになる。巻取リール5のワイヤ26は伸ばされてスライドブロック4を後方に引っ張っているが、ワイヤハーネス6の湾曲部38の保持力でスライドブロック4は前方へ留められている。
【0030】
巻取リール5は、図5の如くスライドドア1を矢印イ方向に閉じる際に、スライドブロック4を補助してスムーズに後方にスライド移動させる。スライドドア1の開閉時にワイヤハーネス6はガイドローラ7とスライドブロック4との間で揺動するが、ガイドローラ7は揺動時のワイヤハーネス6を低い摩擦力で支持し、ガイドローラ7の外周に沿ったワイヤハーネス6の屈曲動作をスムーズに行わせる。ワイヤハーネス6は揺動時に弛みを生じるが、ワイヤハーネス6の揺動部48を前方ないし後方に引っ張る弛み吸収機構(図示せず)を設けることも可能である。
【0031】
図7の如く、スライドドア1の閉じ状態で、スライドドア1は車体8の外側面と同一面に位置する。スライドドア1の下端側のヒンジローラ14はレール15の前側の傾斜部15aの前端に位置する。ドア側のワイヤハーネス6(図1)の湾曲部38は上方視で根元が狭まった略U字状に屈曲して、スライドドア1の後端側に位置する。
【0032】
図8の如く、スライドドア1の開き途中において、スライドドア1はレール15の屈曲形状に沿って大きく外側に突出する。スライドブロック4(図6)はスライドドア1のガイドレール3(図6)の途中に位置し、ワイヤハーネス6(図1)の湾曲部38は幅広に大きく開いて略U字状に屈曲する。ヒンジローラ14はレール15の傾斜部15aから真直部15bに沿って移動する。
【0033】
図9の如く、スライドドア1の開き状態において、スライドドア1は車体8の外側面に沿って平行に位置し、ヒンジローラ14はレール15の真直部15bの後端側に位置する。スライドブロック4(図6)はスライドドア1の前端側に位置し、ワイヤハーネス6(図1)の湾曲部38はやや後方に引っ張られて傾斜した略U字状を呈する。
【0034】
本実施形態によれば、ドア側のワイヤハーネス6(キャブタイヤケーブル)に湾曲部38を形成したことで、スライドドア1の三次元での曲線的な開閉動作にスムーズに対応できる。また、スライドドア1の中央上部からドア側のワイヤハーネス6を吊って、巻取リール5に連結したスライドブロック4で位置調整するという簡単な機構であるから、奥行寸法(ドアの厚さ方向の寸法)を小さくでき、薄型のスライドドア1に適用可能である。また、ドア側のワイヤハーネス6としてキャブタイヤケーブルを採用したので、配索や端末処理が簡単である。
【0035】
また、スライドブロック4の押え板34を小ねじ37で締め付けてドア側のワイヤハーネス6を固定する構造であるから、ワイヤハーネス6の脱着作業が容易であり、組付性やメンテナンス性が良い。また、スライドブロック4から車体側にかけてドア側のワイヤハーネス6をU字状に湾曲させたから、スライドドア開閉時のワイヤハーネス6の屈曲動作が湾曲部38においてスムーズに行われると共に、湾曲部38の弾性によってワイヤハーネス6の伸び縮みや引張力が吸収され、ワイヤハーネス6の傷みが防止される。特にコイルスプリング39〜41を湾曲部38に外挿することで、外部との干渉から湾曲部38が保護されると共に、湾曲部38の形状保持が積極的に行われ、ワイヤハーネス6の伸び縮みや引張力の吸収効果が助長され、且つスライドドア開閉時にスライドブロック4がガイドレール3上の所定に位置に保持され、ワイヤハーネス6の揺動部48(図5)のばたつき等の不要な動きが防止される。また、スライドドア開閉時に巻取リール5によってもスライドブロック4の不要な進退動作が防止され、スライドブロック4がガイドレール3上の所定に位置に保持され、上記同様の効果が奏される。
【0036】
図10〜図15は、本発明に係る自動車用スライドドアの給電構造(装置)の第二の実施形態を示すものである。
図10の如く、本例の自動車用スライドドアの給電装置Bは前例の巻取リール5(図1)をなくし、ガイドレール(ガイド部)51に二本(一対)のリンクアーム52,53を開閉自在に設け、ドア側のワイヤハーネス54を二本のリンクアーム52,53に沿って配索して、二本のリンクアーム52,53の開閉動作で伸縮させるものである。
【0037】
前例同様にスライドドア1のインナパネル2の下部に水平方向のガイドレール51が固定され、ガイドレール51の長孔形状のガイド孔55にスライドブロック(スライダ)56がスライド自在に係合している。スライドブロック56に第一のリンクアーム52の一端部が軸部57(図11)を介して回動自在に連結されている。ガイドレール51の前端部に第二のリンクアーム53の一端部が軸部58(図11)を介して回動自在に連結され、第一のリンクアーム52の他端部と第二のリンクアーム53の他端部とが回転軸59で連結されている。両リンクアーム52,53は逆V字状に上向きに起立する。他の構成は第一実施形態と概ね同様である。ガイドレール51とスライドブロック56と二本のリンクアーム52,53とで本例の自動車用スライドドアの給電装置Bが構成されている。
【0038】
前例同様にガイドレール51は、真直な帯状の板部60の高さ方向中央にスリット状のガイド孔55を形成し、板部60の両端と長手方向中間部とに固定部62〜64を形成して成るものであり、各固定部62〜64はリング状のスペーサ65を介してインナパネル2にボルト66で固定される。インナパネル2とガイドレール51との間にはスペーサ65の板厚分の隙間67が構成されている。
【0039】
ガイドレール51のガイド孔55にスライドブロック56の軸部(支軸)68が貫通して係合し、軸部68の先端のフランジ部69(図13)がガイドレール51の裏側の隙間67に位置している。軸部68はベアリング70(図13)によって回動自在であり、それによってスライドブロック56がガイド孔55に沿って水平方向にスムーズに進退する。
【0040】
また、ガイドレール51の裏側において第一のリンクアーム52の一端部が軸部71(図12,図13参照)でスライドブロック56の前半部(薄肉部)72に連結されている。第一のリンクアーム52の一端部は前記隙間67内に位置し、ガイドレール51の裏面に沿ってスライドブロック56と一体に移動する。
【0041】
第一のリンクアーム52の他端部に第二のリンクアーム53の他端部がラップした状態で軸部59で連結されている。第二のリンクアーム53の一端部はガイドレール51の先端側の固定部62の裏側に軸部73で回動自在に連結されている。第二のリンクアーム53の一端部も隙間67内に位置している。これらリンクアーム52,53の連結構造は図12〜図13で後述する。
【0042】
図10において、ドア側のワイヤハーネス54はスライドブロック56から第一のリンクアーム52と第二のリンクアーム53の各表面に沿って略逆V字状に配索され、第二のリンクアーム53の下端側からU字状に折り返されて、スライドドア1内の補機側のワイヤハーネス(図示せず)とコネクタ接続されている。ワイヤハーネス54は図示しないバンドクリップ等で各リンクアーム52,53に固定されている。各リンクアーム52,53にはワイヤハーネス54の両側において固定用の孔74が複数対設けられている。ワイヤハーネス54は軸部59の上方で若干の余長を有している。
【0043】
スライドブロック56の移動に伴って、両リンクアーム52,53が前後に開閉(伸縮)し、ワイヤハーネス54がリンクアーム52,53と一体に伸縮する。両リンクアーム52,53はスライドブロック56の移動を補助すると同時に、スライドドア1内でのワイヤハーネス54の取り込み経路がスライドドア1の両端側になった時、ワイヤハーネス54の垂れ下がり防止と絡み防止とを担う。スライドブロック56の後退動作を補助する点で前例の巻取リール5(図1)と同じ働きをする。
【0044】
両リンクアーム52,53はガイドレール51よりも上側に配置され、且つ逆V字状に開く如く配置されていることが必須条件であり、リンクアーム52,53の自重によりリンクアーム52,53が開きやすくなり、スライドブロック67の後退動作が大きな力で確実に行われる。リンクアーム52,53でスライドブロック56を後退させる力は、両リンクアーム52,53が図10の如く逆V字状に半ば開いた状態から徐々に大きくなり、スライドドア1の全開時にスライドブロック56が確実にガイドレール51の後端側へ押しやられる。
【0045】
図12の如く、スライドドア1(図10)の全開状態で両リンクアーム52,53は実線で示す如く完全に閉じて上向きに垂直に起立し、スライドドア1の全閉状態で両リンクアーム52,53は鎖線の如くヘの字状に開く。スライドドア1の全閉状態で両リンクアーム52,53を水平方向に一直線に伸長させると、両リンクアーム52,53がロックしてスライドドア1(図10)が開かなくなってしまうため、スライドドア1の全閉状態で両リンクアーム52,53をヘの字状に保持させる必要がある。スライドドア1の全閉状態で両リンクアーム52,53がヘの字状に開き、自重でもってスライドブロック56を後方に押圧しているから、車両走行中のスライドブロック56の移動が防止され、ドア側のワイヤハーネス54(図10)の弛みや弛みに伴う磨耗や異音等が防止される。
【0046】
両リンクアーム52,53が閉じ状態から開き状態に移行する際に、両リンクアーム52,53を連結する中央の軸部59は円弧状の軌跡を描いて移動する。両リンクアーム52,53の開閉動作は、スライドブロック56がガイドレール51に沿って移動することで行われ、スライドブロック56はワイヤハーネス54(図10)の湾曲部75によってほぼ同じ位置に保たれる。
【0047】
前述の如く第一のリンクアーム52の一端部は軸部71でスライドブロック56の前半の薄肉部72に連結され、第二のリンクアーム53の一端部は軸部73でガイドレール51の前側の固定部62に連結されている。固定部62は水平方向のガイド孔55よりも上方に突出して位置し、軸部73はガイド孔55の前端の上方に位置している。第一のリンクアーム52の軸部71はガイド孔55を貫通して位置しており、第二のリンクアーム52は第一のリンクアーム52よりもやや短く形成されている。それにより、第一のリンクアーム52が開きやすく且つ閉じやすくなっている。ガイドレール51の両側の固定部62,63と長手方向中間の固定部64とにはボルト挿通孔76〜78が設けられている。
【0048】
図13の如く、ガイドレール51はスライドドア1のインナパナル2からスペーサ65分の隙間67をあけて対向し、隙間67に第一のリンクアーム52と第二のリンクアーム53の各一端部が位置している。スライドブロック56はピンやボルトといった軸部68でガイドレール51のガイド孔55にスライド自在に係合している。ガイド孔55内において軸部68の外周にベアリング70が設けられ、ベアリング70によってスライド抵抗が低減され、軸部68の先端にはフランジ部69がねじ込み固定され、フランジ部69でスライドブロック56がガイドレール51に位置決め保持されている。
【0049】
また、スライドブロック56の前半の薄肉部72とガイドレール51のガイド孔55と第一のリンクアーム52の一端部とを貫通して軸部71が設けられ、軸部71の両端にフランジ部79,80が設けられ、ガイド孔55と一端部において軸部71の外周にそれぞれベアリング81が設けられ、各ベアリング81によって軸部71がガイド孔55内を低力で摺動し、且つ第一のリンクアーム52が軸部71の回りをスムーズに回動する。スライドブロック56は前後二本の軸部68と軸部71でガイド孔55内を安定にスライド移動する。
【0050】
また、第一のリンクアーム52の他端部と第二のリンクアーム53の他端部とを貫通して軸部59が設けられ、軸部59の両端にフランジ部82,83が設けられ、軸部59の外周にベアリング84が設けられ、両リンクアーム52,53はベアリング84によってスムーズに回動する。
【0051】
また、第二のリンクアーム53の一端部は固定部62の裏側に環状のスペーサ85を介して配置され、一端部とスペーサ85を貫通してボルトである軸部73が設けられ、一端部において軸部73の外周にベアリング86が設けられ、ベアリング86によって第二のリンクアーム53がスムーズに回動する。軸部73はフランジ部87を経てインナパネル2にねじ込まれている。
【0052】
図10において、スライドブロック56から車体8側へ続くワイヤハーネス54の下側部分は前方に向けて略U字状に湾曲し、湾曲部75はコネクタ88,11を介して電源線である車体側のワイヤハーネス9に続いている。車体側のワイヤハーネス9はステップ部12の壁部の内面に沿って前方(バッテリ側)へ続いている。
【0053】
図14の如く、スライドブロック56は矩形状に形成され、中央の段部89の前方、すなわち第一のリンクアーム52の軸部71に続くフランジ部80に対向してワイヤハーネス54の湾曲部75が突出している。前例同様にスライドブロック56の後半部は厚肉に形成され、厚肉部90の板厚方向に押え板91を重合させてワイヤハーネスを挟みつけるように固定している。押え板91にはほぼ90°に湾曲したアーチ部92が膨出形成され、厚肉部90にはアーチ部92に対応した溝93が形成され、押え板91が小ねじ94で厚肉部90に固定され、溝93とアーチ部92との間にワイヤハーネス54が挟持されている。
【0054】
前例同様に、スライドブロック56とコネクタ88との間においてドア側のワイヤハーネス54のU字状の湾曲部75の外周にコイルスプリング(コイル部材)95が巻き付けられるように装着されている。コイルスプリング95はワイヤハーネス54の湾曲部75の方向付けを行うと共に、湾曲部75を擦れ等から保護する。コイルスプリング95の両端はばね力によってスライドブロック56の段部89とコネクタ88の端面88aとに押接している。
【0055】
図15の如く、ドア側のワイヤハーネス54の湾曲部75においてスライドブロック56側とコネクタ88側の二箇所に限定して部分的にコイルスプリング96,97(コイル部材)を配置することも可能である。各コイルスプリング96,97の端部はスライドブロック56の段部89とコネクタ88の端面88aとに密着固定されている。図14も同様であるが、コイルスプリング96,97の内径を湾曲部75の外周に密着させることも可能である。湾曲部75の両端部がコイルスプリング96,97で方向付けされるから、スライドブロック56の移動によっても常に湾曲部75がU字形状を保つ。
【0056】
第一の実施形態(図4参照)と同様に、ワイヤハーネス54としてキャブタイヤケーブルが使用されている。キャブタイヤケーブルを用いることで、完全な断面円形状のワイヤハーネス54を得ることができ、屈曲性が均一であるから、両リンクアーム52,53への配索作業や、スライドブロック56から湾曲させて車両側のワイヤハーネス9のコネクタ11に接続させるまでの配索作業が容易化すると共に、湾曲部75における形状保持性が良好であり、しかもコネクタ88を組み付ける際の端末処理も容易である。
【0057】
図10において、ドア側及び車体側のワイヤハーネス54,9の各コネクタ88,11はステップ部12の垂壁13の内側に固定されている。スライドドア1は下端側においてヒンジローラ14で車体側のレール15(図7)にスライド自在に係合している。前例同様にワイヤハーネス54の湾曲部75が車体側でコネクタ接続により支持されているために、スライドドア1の開き時にスライドブロック56はガイドレール51の前端部へ移動する。正確には、スライドドア1がスライドブロック56を残して後退する。
【0058】
第一の実施形態の図7〜図9に示す作用は本実施形態においても同様であり、図7〜図9における湾曲部の符号38を符号75と読み替えるものとする。すなわち、図7のスライドドア1の閉じ状態において、スライドドア1は車体8の外側面と同一面に位置する。スライドドア1の下端側のヒンジローラ14はレール15の前側の傾斜部15aの前端に位置する。ドア側のワイヤハーネス54(図10)の湾曲部75は上方視で元が狭まった略U字状に屈曲して、スライドドア1の後端側に位置する。
【0059】
図8のスライドドア1の開き途中において、スライドドア1はレール15の屈曲形状に沿って大きく外側に突出する。スライドブロック56(図10)はスライドドア1の途中に位置し、ワイヤハーネス54(図10)の湾曲部54は幅広に大きく開いて略U字状に屈曲する。ヒンジローラ14はレール15の傾斜部15aから真直部15bに沿って移動する。
【0060】
図9とスライドドア1の開き状態において、スライドドア1は車体8の側面に沿って平行に位置し、ヒンジローラ14はレール15の真直部15bの後端側に位置する。スライドブロック56(図10)はスライドドア1の前端側に位置し、ワイヤハーネス54(図10)の湾曲部75はやや後方に引っ張られて傾斜した略U字状を呈する。
【0061】
上記第二の実施形態によれば、ワイヤハーネス54をスライドブロック56とリンクアーム52,53に添わせて取り付けただけの簡単な構造であるために、奥行寸法を小さくでき、薄型のスライドドア1に適用可能である。また、一対のリンクアーム52,53を用いてワイヤハーネス54を支持したから、スライドドア1の開閉時におけるワイヤハーネス54の弛みや垂れ下がりや絡みが起こらず、またワイヤハーネス54がインナパネル2に接触して磨耗することがなく、ワイヤハーネス54が確実に保護される。また、リンクアーム52,53の自重による後退動作でスライドドア1の閉じ時にスライドブロック56が所定の位置に確実に戻されるから、ワイヤハーネス54の戻り遅れによる湾曲部75の無理な引張すなわちコネクタ88への引張負荷が防止される。
【0062】
また、前記形態と同様にワイヤハーネス54の湾曲部75により、スライドドア1の三次元での曲線的な開閉動作にスムーズに対応でき、ドア側のワイヤハーネス54としてキャブタイヤケーブルを使用したので、配索や端末処理が簡単である。また、スライドブロック56の押え板91によるワイヤハーネス54の着脱作業性の向上や、湾曲部75によるワイヤハーネス54の屈曲動作のスムーズ化やワイヤハーネス54の伸び縮みや引張力の吸収作用や、コイルスプリング95〜97による湾曲部75の保護や形状保持作用があることは前記形態と同様である。
【0063】
なお、上記各実施形態では、スライドドア側にガイドレール3,51を設けてドア側のワイヤハーネス6,54をスライドブロック4,56と一体で移動させる構造を示したが、車体側にガイドレールを設け、ガイドレールに係合したスライドブロックに車体側のワイヤハーネスを固定し、車体側のワイヤハーネスのU字状の湾曲部を介してドア側のワイヤハーネスとコネクタ接続させる構造とすることも可能であり、この場合は例えば図1のスライドドア1を車体に、車体8をスライドドアに読み替えるものとする。
【0064】
図16は、本発明に係る自動車用スライドドアの給電構造の第三の実施形態を示すものである。
この構造は、一対の連結したリンクアーム125,126の一端側をスライドドア127側に軸支し、他端側をスライドブロック(スライダ)128に連結した構造において、スライドブロック128を水平方向スライド自在に係合させるガイドレール(ガイド部)として、側面衝突対策用の補強部材である板状補強材129を用い、板状補強材129に水平方向のスリット状の長孔であるガイド孔130を設けたことを特徴とするものである。
【0065】
前記第二の実施形態におけるガイドレールを廃止し、既存の側面衝突対策用の板状補強材129を利用してガイドレールの代わりとしたことで、部品点数・部品コストが削減され、且つガイドレール単体での組付工数が削減されている。また、ガイドレールがない分、スライドドア127の重量が軽減されている。
【0066】
板状補強材129は波型状に形成され、スリット状のガイド孔130は波型部131の下側の平坦部132に形成されている。波型部131は、上下方向に二つないしそれ以上の数で並列に連続した略への字状の各山部133と、上側及び下側の各山部133に続いた半山部134とで構成されている。下側の半山部134に前記平坦部132が続き、平坦部132の幅は一つの山部133の幅にほぼ等しい。平坦部132の表面と各山部133の頂点133aとはほぼ同じ高さ(スライドドア厚さ方向の高さ)に位置し、各山部133の頂点133aは前記ガイド孔130と同様に水平方向に平行に位置し、各山部133の頂点133aと上側の半山部134の頂点とに一対のリンクアーム125,126の裏面が線接触して、小さな摺動抵抗で摺接可能となっている。
【0067】
波型部131は本来、板状補強材129の剛性を高めるためのものであるが、一対のリンクアーム125,126との接触面積を減らしてリンクアーム125,126の開閉動作をスムーズに行わせるためにも有効なものである。板状補強材129の上下方向の幅は図16の如くほぼ閉止する直前のリンクアーム125,126の長さ(上下方向の高さ)よりもやや低くても、あるいは高くても構わない。板状補強材129はスライドドア127の全幅と同程度ないしはやや短く、谷部の幅狭な平坦部135がボルト136等の固定手段でスライドドア127のインナパネル137に固定されている。
【0068】
前側のリンクアーム126の前端部126aが板状補強材129の下側の平坦部132にボルト等の軸部138で回動自在に支持されている。軸部138はガイド孔130の前端のやや上側に位置している。前記第二の実施形態も同様であるが、前側の軸部138がガイドレールないしはスリット状のガイド孔130の直近に位置していることで、リンクアーム125,126の開閉動作が小さなスムーズに行われる。
【0069】
第二の実施形態と同様に、一対のリンクアーム125,126は中央の軸部139で連結され、後側のリンクアーム125の後端部125aがスライドブロック128に軸部140で回動自在に支持されている。ワイヤハーネス141は一対のリンクアーム125,126に沿って配索固定され、前側のリンクアーム126の前端側から板状補強材129の各山部133の頂点133aに沿って上向きに配索されて、スライドドア127内の電装部品や補機等に接続されている。ワイヤハーネス141が板状補強材129の各山部133の頂点133aにほぼ点接触で接触しているから、リンクアーム125,126の開閉時におけるワイヤハーネス141とスライドドア側との摺接抵抗及び接触摩擦が小さく、ワイヤハーネス141の擦れや磨耗が防止される。
【0070】
ワイヤハーネス141は後側のリンクアーム125からスライドブロック128を経て前向きに湾曲し、この湾曲部141aから車両ボディ側のステップ142の後端側で車両ボディ側のワイヤハーネス143にコネクタ144で接続されている。
【0071】
図17は、スライドブロック(スライダ)128の組付構造を示すものであり、前記第二の実施形態の図14と同様にスライドブロック128は本体部分144と押え板145とに分割され、本体部分144の後半の厚肉部146に、押え板145のアーチ部147の内側の溝148に対向する湾曲状のワイヤハーネス収容溝149が形成されている。収容溝149にワイヤハーネス141(図16)を嵌合した状態で、押え板145が複数本の小ねじ150で厚肉部146に固定される。
【0072】
収容溝149のやや後側に隣接して厚肉部146に後側の軸部151(図16)が設けられる。後側の軸部151はボルト152とナット部材153とリング171とで構成される。ナット部材153は、板状補強材129の裏面に接するフランジ部154と、フランジ部154の中央に突設され、内側に雌ねじ孔155を有し、スリット状のガイド孔130内に位置するボス部156とで構成される。リング171はボス部156の外周に回動自在に係合し、ガイド孔130の内面に摺接する。ボルト152は厚肉部146の挿通孔157に厚肉部146の表面側から挿通され、ボス部156の雌ねじ孔155に螺挿される。
【0073】
スライドブロック128の本体部分144の前半の薄肉部158には後側のリンクアーム125の後端部125aが前側の軸部140(図16)で回動自在に支持される。前側の軸部140は、雄ねじ部材159と雌ねじ部材160と各ねじ部材159,160に係合するリング164,166とで構成される。雄ねじ部材159は、板状補強材129の裏面に接するフランジ部161と、フランジ部161の中央に突設され、ガイド孔130内に位置するボス部162と、ボス部162の中央に突設され、ガイド孔130を貫通するボルト部163とで構成される。リング164はボス部162の外周に回動自在に係合し、ガイド孔130の内面に摺接する。
【0074】
雌ねじ部材160は、後側のリンクアーム125の後端部の表面に接するフランジ部165と、フランジ部165の中央に突設され、リンクアーム125の孔部170内に位置し、内側に雌ねじ孔167を有するボス部168とで構成され、ボス部168の外周にリング166が係合し、リング166の外周が孔部170に係合する。スライド部材128は前後の各リング171,164によってガイド孔130に低摺動抵抗でスムーズに摺接し、且つ前側のリング166によってスムーズに回動する。図17の構造は図14の構造と同様である。
【0075】
図18は、上記第三の実施形態と同様に、一対の連結したリンクアーム125′,126′の一端側をスライドドア172側に軸支し、他端側をスライドブロック(スライダ)173に連結した構造において、スライドブロック173を水平方向スライド自在に係合させるガイドレール(ガイド部)として、側面衝突対策用の補強部材であるパイプ形状のバー状補強材173を用いたことを特徴とするものである。
【0076】
バー状補強材174はその前後両端部がブラケット175でスライドドア172のインナパネル176にしっかりと固定されている。各ブラケット175は一対の脚部177と、脚部177を連結する垂直方向の壁部178と、壁部178に一体形成された筒状の嵌合部179とで構成されている。各筒状の嵌合部179にバー状補強材174の各端部が挿入固定され、脚部177と一体の鍔部180がボルト181でインナパネル176に固定される。前側のブラケット175の上側のボルト181は前側のリンクアーム126′の前端部を支持する軸部を兼ねている。
【0077】
ブラケット175に支持されることでバー状補強材174はインナパネル176の表面からやや距離をあけてインナパネル176と平行に位置している。バー状補強材174にはやや大きめのスライドブロック173がスライド自在に係合している。
【0078】
図19にスライドブロック173の詳細構造を示す如く、スライドブロック173は例えば合成樹脂を材料として板厚方向に分割可能に構成され、インナパネル176寄りのブロック本体182は略矩形状に形成され、車室寄りのブロック本体183は前側上部を矩形状に切欠した形状に形成されている。両ブロック本体182,183の下半部に断面半円形の摺動溝184が水平方向に形成され、各摺動溝184は合体してバー状補強材174の外径よりも若干大径な内径を有する。各摺動溝184をさらに大径に形成し、低摺動抵抗の半割りのスリーブ(図示せず)を嵌合固定させ、スリーブの内面に沿ってバー状補強材174を摺動させることも可能である。
【0079】
各ブロック本体182,183の上半部には、ワイヤハーネス141′を前向きに湾曲させた状態で保持するための断面半円形の湾曲した屈曲溝185が形成されている。インナパネル176寄りのブロック本体182には、図18の如く後側のリンクアーム125′の後端部125a′を軸部140′で回動自在に支持するための固定孔186が設けられている。両ブロック本体182,183は、バー状補強材174を係合させ、且つワイヤハーネス141′を嵌合させた状態で、複数の小ねじ187で合体固定される。
【0080】
図18において、一対のリンクアーム125′,126′は中央の軸部139′で開閉自在に連結され、一対のリンクアーム125′,126′に沿ってワイヤハーネス141′が配索固定され、且つスライドブロック173を経て前向きに突出されて湾曲して後向きに折り返されてステップ後部で車両ボディ側のワイヤハーネス143′とコネクタ接続されている。
【0081】
図18のバー状補強材174をガイドレールと兼用した構造によれば、新たにガイドレールを設ける必要がないから、部品コストや部品の取付工数・取付コストが削減されると共に、スライドドア172の軽量化が図られる。特に、ガイドレール174が中空のパイプ状であるから、軽量である。中実円柱状のバー状補強材(図示せず)を用いる場合も同様であるが、バー状補強材174は曲げ剛性に優れるために、撓み難く、一対のリンクアーム125′,126′の開閉時にこじり力等が作用した場合でも、曲りなく真直に位置して、スライドブロック173をスムーズに摺接可能である。
【0082】
なお、バー状補強材は断面円形に限らず、断面三角形状やL型状等、種々の形状のものを適用可能である。また、図16〜図19に示したガイドレールの構造を第一の実施形態(図1〜図9)のガイドレールに適用することも可能である。
【0083】
図20〜図21は、本発明に係る自動車用スライドドアの給電構造の第四の実施形態を示すものである。
この構造は、図20の如く、スライドドア1の内面側にワイヤハーネス固定部材としての略逆V字状に連結された一対のリンクアーム191,192が屈曲自在に配置され、一対のリンクアーム191,192に沿ってワイヤハーネス193が配索され、スライドドア190の内面側の平板状のプレート194に、車両前後方向に真直に延びた第一のガイド孔(ガイド部)195が設けられると共に、第一のガイド孔195の上側で円弧状に湾曲した第二のガイド孔(ガイド部)196が設けられ、プレート194に、一対のリンクアーム191,192の一端部191aが回動自在に軸支され、第一のガイド孔195に一対のリンクアーム191,192の他端部192a側がスライド自在に係合し、第二のガイド孔196に一対のリンクアーム191,192の連結部である中央の軸部197がスライド自在に係合したことを特徴とするものである。
【0084】
プレート194は金属板あるいは合成樹脂板で長方形状に形成されたものであり、周端部がボルト198でスライドドア190のインナパネル199に固定されている。プレート194を用いずに、インナパネル199に直接、第一及び第二のガイド孔195,196を設けることも可能である。その場合、インナパネル199の少なくとも両ガイド孔195,196を設ける部分は平坦に形成しておく必要がある。
【0085】
プレート194の下端部寄りにおいて第一のガイド孔195が水平に設けられている。第一のガイド孔195の前端部のやや上側において前側のリンクアーム191の前端部191aが前側の軸部200でプレート194に連結されている。前側のリンクアーム191は軸部200を中心として回動自在である。本明細書において前後とは車両進行方向の前後と一致する。
【0086】
前側のリンクアーム191と後側のリンクアーム192とは前記連結部である中央の軸部197で連結されている。後側のリンクアーム192の後端部192aは矩形ブロック状のスライドブロック(スライダ)201の前端側に軸部202で回動自在に軸支され、スライドブロック201は軸部14と並列な後側の軸部203を介して第一のガイド孔195にスライド自在に係合している。軸部203には、プレート194の裏面に摺接する鍔部(図示せず)が設けられている。後側の軸部203と共に前側の軸部202を第一のガイド孔195にスライド自在に係合させることも可能である。スライドブロック201にはワイヤハーネス193の中間部が半割り状の筒部材204で固定されている。
【0087】
ワイヤハーネス193は前側のリンクアーム191から後側のリンクアーム192に沿って配索固定され、スライドブロック201から湾曲して車両ボディ本体のステップ部の近傍で車両ボディ本体側のワイヤハーネス204にコネクタ206で接続されている。また、ワイヤハーネス193は前側のリンクアーム191からスライドドア190の内部に導入され、スライドドア内の図示しない電装部品に接続されている。略逆V字状に連結された一対のリンクアーム191,192と真直な第一のガイド孔195とスライドブロック201とプレート194とを用いた構成は、前記図16の第三の実施形態における板状補強材に代えてプレート194を用いた構成とほぼ同じである。
【0088】
一対のリンクアーム191,192は頂部で連結され、その連結部である中央の軸部197が円弧状の第二のガイド孔196にスライド自在に係合している。この点が前記実施形態にない特徴部分である。一対のリンクアーム191,192の連結部である軸部197が円弧状の第二のガイド孔196にスライド自在に係合したことで、リンクアーム191,192のぶれやガタ付きが防止されている。
【0089】
第二のガイド孔196は第一のガイド孔195の前半部の上側に配置され、第二のガイド孔196の前端196aはプレート194の上端部において第一のガイド孔195の前端195aよりもやや後方に位置し、第二のガイド孔196の後端はプレート194の高さ方向中間部において第一のガイド孔195の長手方向中間部の上側に位置している。前側のリンクアーム191は前側の軸部200を中心として円運動し、第二のガイド孔196の円弧形状及び湾曲方向は前側のリンクアーム191の先端部すなわち一対のリンクアーム191,192の連結部197の回動軌跡と一致している。
【0090】
第二のガイド孔196の後端部にはガイド孔197の幅寸法Dよりも大径な円径の挿通孔207が形成されている。この挿通孔207から中央の軸部197の鍔部208(図21)が挿入されてプレート194の裏面側に位置し、裏面側で第二のガイド孔196の周縁209に沿って摺接可能となる。挿通孔207の位置は、スライドドア190を閉止した際に中央の軸部197が到達しない位置に配置される。第二のガイド孔196の長さはスライドドア190の開閉時の前側のリンクアーム191の回動軌跡よりも長く設定されている。スライドドア190を前方へ閉めるに従って中央の軸部197が第二のガイド孔196の前端側から後端側に向けて移動するが、スライドドア190の全閉時に軸部197は挿通孔207の手前に位置する。
【0091】
これにより、スライドドア190の開閉時に第二のガイド孔196から中央の軸部197が外れることが防止され、一対のリンクアーム191,192が常に第二のガイド孔196でガタ付きなく安定に支持される。また、挿通孔207によって中央の軸部197を第二のガイド孔196に係合させる作業が容易化する。
【0092】
なお、真直な第一のガイド孔195とスライドブロック201側の前後の軸部202,203との係合に挿通孔207と同様の構成を採用することも可能である。すなわち、第一のガイド孔195の後端部に軸部202,203の鍔部(図示せず)よりも大径な挿通孔(図示せず)を形成しておく。スライドドア190の開閉時に最後部の軸部203がその挿通孔に達しないように第一のガイド孔195の長さを設定する。
【0093】
図21は、一対のリンクアーム191,192の連結部である中央の軸部197とプレート194の円弧状の第二のガイド孔196との係合状態を示す図20のC−C断面図である。
中央の軸部197は、プレート194を挟むようにプレート194の表裏面に対向した第一の鍔部208と第二の鍔部210とを有している。挟むといっても強く接するのでなく、各鍔部208,210が若干の隙間をもって第二のガイド孔196の周縁209に弱く接するのである。両鍔部208,210は第二のガイド孔196の周縁に対する摺接部として作用する。
【0094】
第一の鍔部208は短円柱状の軸本体211の基端側において第二のガイド孔196の内幅よりも大径に形成され、且つガイド孔終端の挿通孔207(図20)の内径よりもやや小径に形成されている。第二の鍔部210は軸本体211の長手方向中間部において第一の鍔部208及び挿通孔207(図20)よりも大径に形成されている。両鍔部208,210の間にプレート194の第二のガイド孔196の周縁部209をスライド自在に係合させる周溝212が構成されている。軸本体215と両鍔部208,210とで、第二のガイド孔196に対するスライド係合部213が構成されている。中央の軸部197はスライド係合部213を一体に備えている。
【0095】
第一の鍔部208は挿通孔207(図20)からプレート194の裏面側に挿入され、軸本体211が第二のガイド孔196内にスライド自在に係合する。小径側の第一の鍔部208を挿通孔207内に挿入した際に、大径側の第二の鍔部210はプレート194の表面に当接する。第一の鍔部208と第二の鍔部210との間の距離はプレート194の板厚よりもやや大きく、両鍔部208,210はプレート194の表裏面に沿って摺接可能である。各鍔部208,210とプレート194との間の隙間は一対のリンクアーム191,192がプレート194に対してガタ付きや異音を発生しない程度に小さなものである。
【0096】
軸本体211の先端側には小径な雄ねじ部214が形成され、雄ねじ部214には鍔付きのナット部材215が螺合されている。前側のリンアクーム191の連結側端部の円孔216がカラー217を介して軸本体211に外挿され、後側のリンクアーム192の連結側端部の円孔218がカラー219を介してナット部材215の軸部220に外挿されている。両リンクアーム191,192の間にはワッシャ221が装着されている。ナット部材215の鍔部222は後側のリンクアーム192に摺動自在に接している。一対のリンクアーム191,192は第二の鍔部210と第三の鍔部222との間に回動自在に保持されている。第三の鍔部222には締め付け具(図示せず)に対する係合孔223が設けられている。
【0097】
なお、第二の鍔部210として図示しないEリングやワッシャ等を用いることも可能である。Eリングの場合は軸本体211に周溝を形成し、ワッシャの場合は軸本体211に突き当て段部を形成して、第一の鍔部208との間でプレート194を強く挟まないようにする。
【0098】
図20において、スライドドア190はスライド部224で車両ボディ本体側のガイドレール(図示せず)にスライド自在に係合している。図20のスライドドア190の開き中途(全開間近)の状態で、一対のリンクアーム191,192は略逆V字状に起立して位置している。この状態からスライドドア190を後方にスライドさせて全開にすることで、一対のリンクアーム191,192は前側の軸部200を支点として前方に回動し、ほぼ垂直に起立する。この際、スライドブロック201は第一のガイド孔195の前端側に移動し、中央の軸部197は第二のガイド孔196の前端側に移動する。
【0099】
また、図20の状態からスライドドア190を前方にスライドさせて閉止するに伴って、スライドブロック201は第一のガイド孔195に沿って後方に移動し、一対のリンクアーム191,192は鎖線の如く略への字状に開く。この際、中央の軸部197は第二のガイド孔196に沿って円弧状に後方へ移動する。前側のリンクアーム191は前側の軸部200を支点として回動し、それに伴って中央の軸部197が第二のガイド孔196に沿って円弧状の軌跡を描く。
【0100】
なお、ワイヤハーネス193はスライドブロック201から車両ボディ本体側に続く湾曲部分193aで可撓性をもって車両ボディ本体側に固定されており、それによってスライドドア190の開閉に伴う一対のリンクアーム191,192の開閉(伸縮)動作が可能となっている。スライドドア190の開閉時にワイヤハーネス193の湾曲部分193aはスライドブロック201と共に実質的にさほど移動せず、スライドドア190のみが前後に移動する。それにより、スライドドア190に対して相対的にスライドブロック201が移動したことになる。
【0101】
一対のリンクアーム191,192がその中央の連結部197においてプレート194の第二のガイド孔196に係合しているから、スライドドア190の開閉操作時や車両走行時の衝撃や振動によっても、一対のリンクアーム191,192や軸部197がスライドドア190の内壁面や図示しない他の部品に擦れたりぶつかったりすることがなく、また一対のリンクアーム191,192が相互にガタ付いたりすることがなく、それにより、リンクアーム191,192やリンクアーム上のワイヤハーネス193やスライドドア190の傷付きや異音等の発生が防止される。
【0102】
なお、上記第四の実施形態において、プレート194の第一及び第二のガイド孔195,196に代えて、各ガイド孔を有する各ガイドレール(図示せず)をスライドドア190のインナプレート194に直接固定することも可能である。また、ワイヤハーネス193として複数本の電線ではなく一本の電線やキャブタイヤケーブルを用いることも可能である。また、中央の軸部197に代えて前側のリンクアーム191の連結部の近傍に、第二のガイド孔192に対するスライド係合部(図示せず)を設けることも可能である。
【0103】
また、第四の実施形態(図20)のガイド孔195の構造を第一の実施形態(図1)のガイドレール3に代えて用いることも可能である。また、第一の実施形態におけるワイヤハーネスの湾曲部にコイル部材39(図2)を外挿した構造や、コイル部材41(図3)を湾曲部の両端部に配置した構造や、ワイヤハーネスがキャブタイヤケーブル6(図4)である構成を上記第三及び第四の実施形態に適用することも可能である。また、第三の実施形態の特に図18のバー状補強材174を用いた構造に第四の実施形態の第二のガイド孔196とスライド係合部213の構造を適用することも可能である。
【0104】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、スライドドアの開閉操作時にワイヤハーネスの湾曲部によってスライダがほぼ一定位置に保持されると共に、スライダの若干の進退動作や、スライドドアの三次元的な動きに起因するワイヤハーネスの撓み変形が許容され、湾曲部の弾性で開閉操作時のワイヤハーネスの引張力や圧縮力が吸収されるから、スライドドアの三次元での曲線的な開閉動作に容易に対応できると共に、ワイヤハーネスの傷みやコネクタへの引張負荷が防止される。また、スライダから車体側へのワイヤハーネスの線長すなわち湾曲部の線長が短くて済むから、ワイヤハーネスが長いことに起因する電気的伝達損失が低減される。
【0105】
また、請求項2記載の発明によれば、ハーネス支持ガイドからスライダにワイヤハーネスが垂下され、スライドドアの開閉操作時にワイヤハーネスが前後に揺動する構造であるから、スライドドアの奥行寸法をとらず、薄型のスライドドアに適用可能である。
【0106】
また、請求項3記載の発明によれば、スライドドアの開き操作時に巻取リールによってスライダが定位置に矯正的に戻され、湾曲部によるスライダの復元作用が補助されるから、スムーズな復元動作とスライダの定位置化が促進されると共に、ワイヤハーネスのばたつき等が抑えられ、スムーズな揺動が可能となる。また、ガイド部とスライダとハーネス支持部と巻取リールという簡単な構造で給電装置が構成され、構造が簡素化・コンパクト化する。
【0107】
また、請求項4記載の発明によれば、スライドドアの開閉操作時に一対のリンクアームが伸縮(開閉)してスライダのスライド動作を補助するから、スライドドアに対して相対的にスライダとワイヤハーネスがスムーズに移動し、スライダの定位置化が促進されると共に、車体側とスライダとの間でワイヤハーネスに無理な力がかからず、ワイヤハーネスが保護される。また、リンクアームがワイヤハーネスを支持しているから、スライドドアの開閉操作時におけるワイヤハーネスの擦れや、スライドドア全閉時におけるワイヤハーネスの垂れ下がりや絡みが防止される。また、スライドドアの開閉操作時にワイヤハーネスが一対のリンクアームと一体的に屈曲するから、ワイヤハーネスの屈曲動作がスムーズ且つ確実に行われる。また、ガイド部とスライダと一対のリンクアームという簡単な構造で給電装置が構成され、構造が簡素化・コンパクト化される。
【0109】
また、請求項5記載の発明によれば、コイル部材によってワイヤハーネスの湾曲部が外部との干渉から保護されると共に、湾曲部の形状が保持され、湾曲部の方向付けが矯正的に行われるから、請求項1記載の発明の効果で述べた湾曲部の作用が促進される。
また、請求項6記載の発明によれば、湾曲部の両端で湾曲方向が矯正されるから、請求項5と同様に湾曲部の作用が促進される。
【0113】
また、請求項7記載の発明によれば、キャブタイヤケーブルの柔軟性と屈曲の均一性によってスライドドアへのワイヤハーネスの配索作業が容易化すると共に、屈曲性が良いから回路数の増加が可能で、多くの補機に対応でき、しかもコネクタ接続のための端末処理も容易化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用スライドドアの給電構造の第一の実施形態(スライダを用いた構造)を示す斜視図である。
【図2】ワイヤハーネスの湾曲部の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】ワイヤハーネスの湾曲部の他の実施形態を示す斜視図である。
【図4】ワイヤハーネスの一形態であるキャブタイヤケーブルを示す断面図である。
【図5】スライドドアを閉じた時の状態を示す正面図である。
【図6】スライドドアを開いた時の状態を示す正面図である。
【図7】スライドドアを閉じた時の状態を示す平面図である。
【図8】スライドドアを開く途中の状態を示す平面図である。
【図9】スライドドアを開いた時の状態を示す平面図である。
【図10】本発明に係る自動車用スライドドアの給電構造の第二の実施形態(リンクアームを用いた構造)を示す斜視図である。
【図11】リンクアームの取付状態を示す一部を破断した側面図である。
【図12】ガイドレール上でのリンクアームの作動状態を示す正面図である。
【図13】リンクアームの取付状態を示す一部を破断した平面図である。
【図14】ワイヤハーネスの湾曲部の一実施形態を示す斜視図である。
【図15】ワイヤハーネスの湾曲部の他の実施形態を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る自動車用スライドドアの給電構造の第三の実施形態(補強材をガイド部とした構造)を示す斜視図である。
【図17】スライドブロックの組付構造を示す分解斜視図である。
【図18】補強材をガイド部とした自動車用スライドドアの給電構造の他の実施形態を示す斜視図である。
【図19】スライドブロックの組立構造を示す分解斜視図である。
【図20】本発明に係る自動車用スライドドアの給電構造の第四の実施形態(第二のガイド部を用いた構造)を示す斜視図である。
【図21】連結部すなわちスライド係合部を示す図20のC−C断面図である。
【図22】一従来例を示す斜視図である。
【図23】他の従来例を示し、(a) はドア閉時の横断面図、(b) はドア開時の横断面図である。
【図24】図23に類似したその他の従来例を示し、(a) はドア閉時の横断面図、(b) はドア開時の横断面図である。
【符号の説明】
1,127,172,190 スライドドア
3,51 ガイドレール(ガイド部)
4,56,128,173,201 スライドブロック(スライダ)
5 巻取リール
6,54,141,141′,193 ワイヤハーネス
7 ガイドローラ(ハーネス支持ガイド)
17,55,130,195 ガイド孔(ガイド部)
24,68,71,202,203 軸部
38,75,141a,193a 湾曲部
39,95、40〜41,96〜97 コイルスプリング(コイル部材)
52,53,125,126,125′,126′191,192 リンクアーム
129 板状補強材
174 バー状補強材
194 プレート
197 軸部(連結部)
199 インナパネル
207 挿通孔
208,210 鍔部
Claims (7)
- スライドドアにスライドドア開閉方向のガイド部が設けられ、該ガイド部にスライダがスライド自在に係合し、該スライダにスライドドア側のワイヤハーネスが固定され、該スライダと車体側との間に該ワイヤハーネスの湾曲部が配索され、該ワイヤハーネスが該湾曲部を介して該車体側に接続されたことを特徴とする自動車用スライドドアの給電構造。
- 前記ガイド部の上方において前記スライドドアにハーネス支持ガイドを設け、該ハーネス支持ガイドから前記スライダにかけて前記ワイヤハーネスを吊り下げたことを特徴とする請求項1記載の自動車用スライドドアの給電構造。
- 前記スライダをスライドドア閉じ方向に付勢する巻取リールを備えたことを特徴とする請求項2記載の自動車用スライドドアの給電構造。
- 前記スライダに、連結された一対のリンクアームの一端側を連結し、該一対のリンクアームの他端側を該スライドドア側に軸支させ、該一対のリンクアームから該スライダに前記ワイヤハーネスを配索したことを特徴とする請求項1記載の自動車用スライドドアの給電構造。
- 前記ワイヤハーネスの湾曲部にコイル部材が外挿されたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自動車用スライドドアの給電構造。
- 前記コイル部材が前記湾曲部の両端部に配置されたことを特徴とする請求項5記載の自動車用スライドドアの給電構造。
- 前記ワイヤハーネスがキャブタイヤケーブルであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の自動車用スライドドアの給電構造。
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