JP3830891B2 - ロウ材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、良好な耐食性と十分な接合強度を有するロウ付けを行うことが可能なロウ材に関し、特に、チタンやステンレス鋼などの外観の装飾性を要求される金属をロウ付けするのに好適で、純チタンの変態点以下の温度でロウ付けを行うことができるロウ材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロウ付けは金属を比較的容易に接合することができる金属加工の技術として古くから知られている。ロウ付けは、現在でも重要な金属加工の技術であるため、様々な産業分野で用いられ、そのロウ付けに用いられるロウ材の種類も多岐に渡ってきている。
【0003】
しかしながら、金属やその合金の種類によっては、有効なロウ材が見つけられていないものがある。チタン(純チタン及びチタン合金を含む)もその一つである。チタン(Ti)は軽量、高強度でかつ耐食性が高いという優れた特性を有しているため様々な産業分野で広く用いられ、ステンレス鋼と同様に外観の装飾性を要求される金属製品(例えば、腕時計や眼鏡のフレーム)にも用いられている。
【0004】
純チタンの結晶は常温では六方最密構造であるが、変態点(変態時の温度)である882℃以上の温度では体心立方構造になる。また、Tiはその表面に空気や水分などによって不動態膜と呼ばれる薄い酸化膜を形成していて、この不動態膜が強固で除去しにくいため、ロウ材の濡れ性が悪いという性質を有しており、ロウ付けした時に十分な接合強度が得られなくなっていた。このTiをロウ付けするときには、通常フラックス(有機系の溶媒)を使用して不動態膜を除去するようにしている。ところが、そのフラックスの中に樹脂等の有機物が混合されているため、炉の中でロウ付けを行う場合には、その有機物により炉の中が汚染される可能性があった。
【0005】
ところで、社団法人日本チタン協会による「チタンの加工技術」(日刊工業新聞社発行)に記載されているように、Tiで製造されている部材(以下「Ti部材」という)に用いられるロウ材として、従来からAg基ロウやTi基ロウが知られている。
【0006】
Ag基ロウはロウ材自体の融点が約800℃から1000℃程度である。中にはTiの変態点以下の温度でロウ付けできるロウ材、例えばJIS規格によるBVAg−8(融点780℃)もあり、これをTi部材のロウ付けに使用することもある。しかし、このロウ材は耐食性が芳しくないため、ロウ付けした後で腐食を引き起こしやすく、時計や眼鏡といった外観の装飾性を要求される金属製品のロウ付けにはあまり使用されていない。
【0007】
Ti基ロウには、例えばTiCuNi系ロウ材がある。このTiCuNi系ロウ材は、融点が900℃以上であるため、ロウ付けをTiの変態点以上の温度で行わなければならず、ロウ付けしたTi部材がロウ付けした後に変態して結晶組織が粗大化してしまう欠点がある。そのため、Ti基ロウでロウ付けしたときは、その粗大化した組織を研磨等を行って取り除き、その後で鏡面仕上げなどの工程を行わねばならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平9−85485号公報には、純チタンまたはチタン合金と、純金または金の合金との接合において、純金または金の合金部が侵食されずに接合できるロウ材について記載されている。しかし、このロウ材は、銀(Ag)をベースにインジウム(In)及び銅(Cu)を混合して作製されており、純チタンの変態点以上の1023℃で接合しなければならない欠点がある。
【0009】
一方、Tiの接合方法としては、ロウ付けの他に溶接も広く用いられている。溶接は、接合強度や耐食性という点での問題はないが、接合のため部分的に高温に熱しなければならないという点が問題となる。そのため、純チタンの変態点を越えるところが発生して結晶組織の粗大化が起こってしまい、溶接を施して加工した部分に後加工が必要になる欠点があった。また、Tiを接合するには、溶接用に形成した突起に電流を流して溶接するプロジェクション溶接が行われることがある。しかし、このプロジェクション溶接は、接合する部材の構造が複雑であると、その突起(プロジェクション部)に電流を均一に集中させにくくなり、溶接が困難になる欠点があった。
【0010】
以上のように、従来のTiやステンレス鋼などからなる金属製品を接合する技術には、良好な耐食性と十分な接合強度を確保でき、しかも、純チタンの変態点以下の温度で接合することができる方法は存在しなかった。
【0011】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、外観の装飾性を要求される部材に用いられるTiやステンレス鋼のような金属をロウ付けするためのロウ材において、Tiの変態点以下の温度で接合するとともに、良好な耐食性と十分な接合強度を確保できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明によるロウ材は、Pd,Pt,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、上記Pが2重量%を超えてかつ20重量%未満の範囲内で含まれ、上記Ptが4重量%を超えてかつ86重量%未満の範囲内で含まれ、上記Niが4重量%を超えてかつ36重量%未満の範囲内で含まれ、残部がPd及び不可避的不純物からなることを特徴とするロウ材である。
このようなロウ材において、上記Pが3重量%から17重量%の範囲内で含まれ、上記Ptが5重量%から85重量%の範囲内で含まれ、上記Niが5重量%から32重量%の範囲内で含まれるとよい。
【0013】
また、この発明は、Pd,Cu,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、上記Pが4重量%から18重量%の範囲内で含まれ、上記Cuが2重量%から64重量%の範囲内で含まれ、上記Niが7重量%から36重量%の範囲内で含まれ、残部がPd及び不可避的不純物からなるロウ材も提供する。
【0014】
さらに、この発明は、Pd,Au,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、上記Pが2重量%を超えてかつ20重量%未満の範囲内で含まれ、上記Auが2重量%を超えてかつ60重量%未満の範囲内で含まれ、上記Niが4重量%を超えてかつ32重量%未満の範囲内で含まれ、残部がPd及び不可避的不純物からなるロウ材も提供する。
このようなロウ材において、上記Pが3重量%から19重量%の範囲内で含まれ、上記Auが3重量%から59重量%の範囲内で含まれ、上記Niが5重量%から31重量%の範囲内で含まれるとよい。
【0015】
また、この発明は、Pt,Cu,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、上記Pが4重量%から19重量%の範囲内で含まれ、上記Cuが2重量%から66重量%の範囲内で含まれ、上記Niが7重量%から36重量%の範囲内で含まれ残部がPt及び不可避的不純物からなるロウ材も提供する。
さらに、この発明は、Pt,Au,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、上記Pが4重量%から21重量%の範囲内で含まれ、上記Auが5重量%から62重量%の範囲内で含まれ、上記Niが5重量%から22重量%の範囲内で含まれ、残部がPt及び不可避的不純物からなるロウ材も提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明によるロウ材を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
〔第1のロウ材〕
まず、この発明による第1のロウ材であるPd−P系のロウ材について説明する。Pd−P系のロウ材は、パラジウム(Pd)とリン(P)とに対し、そのPdと全率固溶する金属を加えたもので、その一例として、プラチナ(Pt)とニッケル(Ni)を加えたPdPtNiP系のロウ材がある。
【0018】
このPdPtNiP系のロウ材は、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、リン(P)を所望の組成になるように秤量して、それらの金属を高周波溶解法により溶解して合金を作製し、その後、その合金をアルゴン(Ar)雰囲気中で厚さ約60μmの細長い箔形状(リボン形状)に加工することによって作製している。
【0019】
そして、PdPtNiP系のロウ材について、Pd、Pt、Ni、Pの4つの金属元素の組成の割合(重量%)を適宜変えながら、1)から16)までの16通りのサンプルを作製し、それぞれのロウ材の融点とTiに対する濡れ性を調べたところ、表1のようになった。
【0020】
【表1】
【0021】
表1からみて、PdPtNiP系のロウ材がこの発明の目的とするロウ材となるために必要なP,Pt及びNiの各金属の割合は以下のようになる。
Pの割合がサンプル13)のように2重量%の場合は融点が910℃であるが、サンプル10)のように3重量%になると融点が642℃に低下して、この発明の目的とするTiの変態点以下の低い温度でのロウ付けによる接合(以下「低温接合」という)が可能となるからことからみて、Pの割合は2重量%を超える必要があり、約3重量%以上であるのが好ましい。また、サンプル3)のように20重量%の場合は融点が932℃であるが、サンプル4)、5)のように17重量%になると融点がそれぞれ870℃、721℃に低下して低温接合が可能となることからみて、Pの割合は20重量%未満である必要があり、約17重量%以下であるのが好ましい。したがって、Pの割合にはPdPtNiP系のロウ材がこの発明の目的とするロウ材となるために必要な範囲が存在し、それは、Pの割合が2重量%を超えてかつ20重量%未満であり、好ましくは、約3重量%から約17重量%の範囲である。
【0022】
また、Ptの割合は次のようになる。Ptの割合がサンプル1)のように4重量%の場合は融点が915℃であるが、サンプル4)のように5重量%になると融点が870℃に低下して低温接合が可能となることからみて、Ptの割合は4重量%を超える必要があり、約5重量%以上であるのが好ましい。そして、サンプル16)のように86重量%の場合は融点が910℃であるが、サンプル15)のように85重量%になると融点が860℃に低下して低温接合が可能となることからみて、Ptの割合は86重量%未満である必要があり、約85重量%以下であるのが好ましい。したがって、Ptの割合にはPdPtNiP系のロウ材がこの発明の目的とするロウ材となるために必要な範囲が存在し、それは4重量%を超えてかつ86重量%未満であり、好ましくは、約5重量%から約85重量%の範囲である。
【0023】
さらに、Niの割合は次のようになる。Niの割合がサンプル9)のように4重量%では融点がTiの変態点よりも低くなるが、Tiに対する濡れ性が不十分になる傾向が見られる。しかし、Niの割合がサンプル8)のように5重量%では融点がTiの変態点よりも低く、Tiに対する濡れ性も十分になる。そして、サンプル7)のように36重量%ではTiに対する濡れ性は良好でも融点がTiの変態点を越えてしまうが、サンプル6)のように32重量%になれば融点がTiの変態点以下になる。したがって、Niの割合にはPdPtNiP系のロウ材がこの発明の目的とするロウ材となるために必要な範囲が存在し、それは、4重量%を超えてかつ36重量%未満であり、好ましくは、約5重量%から約32重量%の範囲である。
【0024】
そして、Tiに対する濡れ性が特に良好なのは、融点が500〜600℃程度のサンプル10)、11)、12)であり、これらは、いずれも純チタン上でも広範囲に広がった。また、詳しくは後述するが、耐食性及び接合強度についても十分であった。
【0025】
以上のとおり、PdPtNiP系のロウ材は、Pの割合が上述の範囲内にあるときは低温接合が可能となり、さらに、Ptの割合が上述の範囲内にあるときは低温接合に加え、良好な耐食性の確保及び十分な接合強度の確保という3つの要件をすべて満足することができ、Tiに対する濡れ性も改善されたロウ材となる。さらに、Niの割合が上述の範囲内にあるときはロウ材の脆弱性が無くなり、Tiに対する濡れ性も一層改善されてなお望ましいロウ材となる。
【0026】
次に、上述した特定の割合で構成されるPdPtNiP系のロウ材がこの発明の目的とするロウ材となる理由を図1及び図2に示す合金の状態図を参照して詳しく説明する。図1は、横軸がPdに対するPの割合を示し、縦軸が融点を示すPd−Pの2元系の状態図、図2は横軸がPtに対するPの割合を示し、縦軸が融点を示すPt−Pの2元系の状態図であり、いずれも下記の文献1にそれぞれの詳しい説明が記載されている。
文献1:Binary Alloy Phase Diagrams volume1,volume2 American
Society for Metals Metals Park,Ohio 44073
【0027】
PdとPの合金は、図1に示すように、Pの割合を増加していくにつれて融点が1555℃から低下していき、Pの割合が6重量%でPdの割合が94重量%になると共晶組成となり、融点が大幅に低下して約800℃になる。この共晶組成となった状態をPd−Pの第1の共晶とする。また、Pの割合をさらに増加していくと一旦融点が約1000℃付近まで上昇したのち、Pの割合が12重量%でPdの割合が88重量%になると再び共晶組成となり、融点が約800℃付近まで大幅に低下する。この共晶組成となった状態をPd−Pの第2の共晶とする。
【0028】
また、PtとPの合金は、図2に示すように、Pの割合を増加していくにつれて融点が1769℃から低下していき、Pの割合が4重量%でPtの割合が96重量%になると共晶組成となり、融点が大幅に低下して約600℃になる。この共晶組成となった状態をPt−Pの共晶とする。
【0029】
このように、PdとPの合金は共晶組成となることによって融点が下がるという性質を有することからすると、PdPtNiP系のロウ材がこの発明の目的とするロウ材となるのは、上述したPd−Pの第1の共晶か第2の共晶を利用し得る特定の組成の場合と考えられる。また、PtとPの合金も共晶組成になると融点が下がるという性質を有することからすると、Pt−Pの共晶を利用し得る特定の組成の場合も考えられる。さらに、Pd−Pの第1の共晶または第2の共晶と、Pt−Pの共晶の両方を利用する組成であれば、融点を大幅に低下させることができると考えられる。いずれの場合も、PdとPの合金は、Pの割合が6重量%を超えるとPd−Pの第1の共晶を外れ、12重量%になると第2の共晶になることからすると、Pの割合が3重量%から10重量%で含まれる組成ではPd−Pの第1の共晶を利用し、Pの割合が10重量%から17重量%で含まれる組成では、Pd−Pの第2の共晶を利用していると考えられる。
【0030】
PdPtNiP系のロウ材は、そのような特定の組成で構成されるPd、P及びPtの合金に対して、そのPdと全率固溶する金属であるNiとを添加したものと考えればよい。Niを添加することによって、ロウ材により接合しようとする金属部材への濡れ性が向上し、ロウ材の脆弱性が改善するという効果が得られる。しかし、添加されるNiは、PtとともにPdと置換される形となるから、不適切な量を添加すればPdとPの組成が共晶から外れてしまい、融点が上昇したり、均一に固溶しなくなったりしてこの発明の目的とする好ましいロウ材が得られなくなってしまう可能性がある。したがって、Niの割合にもPdPtNiP系のロウ材がこの発明の目的とするロウ材となるために必要な範囲が存在すると考えられる。
【0031】
以上の点からみて、PdPtNiP系のロウ材を構成するP、Pt、Niのそれぞれの割合には、この発明の目的とするロウ材を得るために必要な範囲が存在し、上述のサンプル1)からサンプル16)までに示す実験結果から求められた範囲がそれぞれの望ましい範囲であると考えられる。
【0032】
以上をまとめると、この発明によるPdPtNiP系のロウ材は、Pの割合が2重量%を超えてかつ20重量%未満であり、好ましくは約3重量%から約10重量%の範囲内にある場合及び約10重量%から約17重量%の範囲内にある組成の場合は第1の共晶または第2の共晶を利用して、低温接合が可能なロウ材になっていると考えられる。また、この組成の中でも、Ptの割合が4重量%を超えてかつ86重量%未満であり、好ましくは約5重量%から約85重量%の範囲内にある組成の場合は、Pt−Pの共晶を利用することによって、さらに低融点でのロウ付けが可能なロウ材になっていて、しかも、良好な耐食性の確保及び十分な接合強度の確保という3つの要件をすべて満足することができ、Tiに対する濡れ性も改善されたロウ材になると考えられる。いずれの場合も、Niの割合が4重量%を超えてかつ36重量%未満であり、好ましくは5重量%から32重量%の範囲にあれば低融点で均一な合金となり、かつ脆弱性が無く、濡れ性が一層良好なロウ材が得られる。
【0033】
(PdCuNiP系のロウ材)
次に、この発明による第1のロウ材であるPd−P系の他のロウ材について説明する。このロウ材は、パラジウム(Pd)とリン(P)とに対し、そのPdと全率固溶する金属として、銅(Cu)とニッケル(Ni)を加えたPdCuNiP系のロウ材である。このPdCuNiP系のロウ材は、上述のPdPtNiP系のロウ材と同様の方法により作製しているので、その作製方法の詳しい説明は省略する。
【0034】
このロウ材も、上述のPdPtNiP系のロウ材と同様に、各金属がある特定の割合で構成されているときにこの発明の目的とするロウ材となるが、それは、上述したPd−Pの第1の共晶または第2の共晶を利用する場合、あるいは後述するCu−Pの共晶を利用する場合と考えられる。
【0035】
図3は、横軸がCuに対するPの割合を示し、縦軸が融点を示すCu−Pの2元系の状態図で、上述した文献1に記載されている。図3に示すように、CuとPの合金は、Pの割合を増加していくにつれて融点が約1084℃から低下していき、Pの割合が約8重量%でCuが約92重量%になると共晶組成となり、融点が約714℃に低下する。この共晶組成となった状態をCu−Pの共晶とする。
【0036】
PdCuNiP系のロウ材がこの発明の目的とする低温接合が可能なロウ材になるために必要なPの割合は約4重量%から約18重量%の範囲である。また、PdCuNiP系のロウ材は、Cu−Pの共晶を利用し得る組成になるとさらに低融点でのロウ付けが可能なロウ材になると考えられるが、そのためのCuの割合は、約2重量%から約64重量%の範囲である。この場合は、良好な耐食性及び十分な接合強度を有し、Tiに対する濡れ性が改善されたロウ材が得られる。さらに、Niの割合についても最適な量の範囲が存在し、Niの割合が約7重量%から約36重量%の範囲内にあれば低温接合が可能なだけでなく、低融点で均一な合金となり、また脆弱性が改善され、かつTiに対する濡れ性が一層改善された望ましいロウ材が得られる。
【0037】
(PdAuNiP系のロウ材)
以上のPd−P系のロウ材では、Pdに対して全率固溶する金属として、Pt及びNiを加えたPdPtNiP系のロウ材と、Cu及びNiを加えたPdCuNiP系のロウ材について説明したが、Pd−P系のロウ材はこれらに限られるものではなく、PdAuNiP系のロウ材も含まれる。
【0038】
このPdAuNiP系のロウ材は、パラジウム(Pd)とリン(P)とに対し、そのPdと全率固溶する金属として、金(Au)とニッケル(Ni)を加えたものである。このPdAuNiP系のロウ材は、PdPtNiP系のロウ材と同様の方法により作製しているので、その作製方法の詳しい説明は省略する。
そして、PdAuNiP系のロウ材について、Pd、Au、Ni、Pの4つの金属元素の組成の割合(重量%)を適宜変えながら、17)から27)までの11通りのサンプルを作製し、それぞれのロウ材の融点とTiに対する濡れ性を調べたところ、表2のようになった。
【0039】
【表2】
Pの割合がサンプル25)のように2重量%の場合は融点が902℃であるから低温接合を可能とするには、Pの割合は2重量%を超える必要があるが、サンプル19)のように20重量%の場合は融点が927℃であるから、20重量%未満である必要がある。しかし、Pd−Pの第1の共晶か、第2の共晶を利用し得る組成にすることを考慮すると、Pの割合は約3重量%以上で19重量%未満が好ましい。
【0040】
Auの割合については、サンプル26)のように2重量%の場合は融点が889℃であるが、サンプル24)のように6重量%になると融点が619℃に低下することからみて、Auの割合は2重量%を超える必要があり、約3重量%以上であるのが好ましい。また、サンプル27)のように60重量%の場合は融点が933℃であるが、サンプル21)のように38重量%になると融点が774℃に低下することからみて、Auの割合は60重量%未満である必要があり、59重量%未満であるのが好ましい。
【0041】
さらに、Niの割合については、サンプル17)のように4重量%の場合は融点がTiの変態点よりも低くなるが、Tiに対する濡れ性が不十分になる傾向が見られる。Tiに対する濡れ性を十分にするには約5重量%以上が好ましい。また、サンプル20)のように32重量%になると、Tiに対する濡れ性は良好でも融点がTiの変態点を越えてしまう。融点をTiの変態点よりも低くするには、約31重量%以下が好ましい。この発明の目的とするロウ材となるためのNiの割合は、4重量%を超えてかつ32重量%未満であり、約5重量%から約31重量%の範囲が好ましい。
【0042】
以上から、PdAuNiP系のロウ材は、Pの割合が上述の範囲内にあるときは低温接合が可能なロウ材となり、加えてAuの割合が上述した範囲内にあるときは耐食性及び接合強度についても十分満足できるロウ材となる。そして、Niの割合が上述した範囲内にあるときは低融点で均一な合金となり、脆弱性が改善され、しかも、Tiに対する濡れ性が改善され一層望ましいロウ材となる。ただし、Auは、Pdと全率固溶するという点ではPtやCuと共通しているが、Pと共晶にはならないので、PdAuNiP系のロウ材は、上述したPd−P系の他のロウ材(PdPtNiP系,PdCuNiP系)とは異なり、AuとPの共晶を利用したロウ材にはならない。
【0043】
〔第2のロウ材〕
続いて、この発明による第2のロウ材であるPt−P系のロウ材について説明する。Pt−P系のロウ材は、プラチナ(Pt)とリン(P)とに対して、そのPtと全率固溶する金属を加えたもので、その一例として、銅(Cu)とニッケル(Ni)を加えたPtCuNiP系のロウ材がある。
このPtCuNiP系のロウ材も、上述のPdPtNiP系のロウ材と同様の方法により作製しているので、その作製方法の詳しい説明は省略する。
【0044】
このロウ材も、そのPdPtNiP系のロウ材と同様に、各金属がある特定の割合で構成されているときにこの発明の目的とするロウ材となるが、その場合は図2に示したPt−Pの共晶を利用する場合、あるいは図3に示したCu−Pの共晶を利用する場合と考えられる。
【0045】
このPtCuNiP系のロウ材は、上述のPt−Pの共晶を利用し得る組成の場合にこの発明の目的とする低温接合が可能なロウ材になると考えられるが、そのためのPの割合は約4重量%から約19重量%の範囲である。Pの割合がこの範囲内にあれば低融点で均一な合金となり、低温接合が可能なロウ材となる。また、Cu−Pの共晶を利用する組成になるとさらに低融点でのロウ付けが可能なロウ材になると考えられるが、そのためのCuの割合は約2重量%から約66重量%の範囲である。Cuの割合がこの範囲内にあればTiの変態点以下のさらに低融点でのロウ付けが可能なだけでなく、良好な耐食性及び十分な接合強度の3つの要件をすべて満足し、Tiに対する濡れ性が改善されたロウ材が得られる。さらに、Niの割合についても最適な量の範囲が存在し、Niの割合が約7重量%から約36重量%の範囲内にあれば低温接合が可能なだけでなく、低融点で均一な合金となり、また脆弱性が改善され、かつTiに対する濡れ性が一層改善された望ましいロウ材が得られる。
【0046】
(PtAuNiP系のロウ材)
Pt−P系のロウ材も、Ptに対して全率固溶する金属として、Cu以外の金属を加えてもよく、例えばAuを加えてもこの発明のロウ材として好ましいロウ材になる。そのロウ材はPtAuNiP系のロウ材である。
【0047】
このPtAuNiP系のロウ材も、Pt−Pの共晶を利用し得る組成の場合にこの発明の目的とする低温接合が可能なロウ材になると考えられるが、そのためのPの割合は約4重量%から約21重量%の範囲である。Pの割合がこの範囲内にあれば低融点で均一な合金となり、低温接合が可能なロウ材となる。Auについても最適な量の範囲が存在し、Auの割合が約5重量%から約62重量%の範囲内にあれば低温接合が可能なだけでなく、良好な耐食性及び十分な接合強度の3つの要件をすべて満足し、Tiに対する濡れ性が改善されたロウ材が得られる。さらに、Niの割合についても最適な量の範囲が存在し、Niの割合が約5重量%から約22重量%の範囲内にあれば低温接合が可能なだけでなく、低融点で均一な合金となり、また脆弱性が改善され、かつTiに対する濡れ性が一層改善された望ましいロウ材が得られる。
【0048】
(ロウ材の耐食性及び接合強度について)
次に、上述したこの発明による第1のロウ材及び第2のロウ材それぞれの耐食性及び接合強度について説明する。
上述した第1のロウ材及び第2のロウ材について、耐食性と接合強度を確認するため、図4に示すような金属部材17を用意して次のような試験を行った。この金属部材17は、長さ約25mm×幅約5mm×厚さ約1mmの純チタン板15,16を十字状に重ね合わせ、その純チタン板15,16が接触する交差部18に上述した第1のロウ材(PdPtNiP系,PdCuNiP系,PdAuNiP系)または第2のロウ材(PtCuNiP系,PtAuNiP系)19をそれぞれ挟み込み、表3に示す実施例1から実施例8と、表4に示す実施例9から実施例14までの合計14とおりのサンプルを用意した。各サンプルとも、交差部18を図示しない治具で固定した後、圧力6×10−6Torr中で表3及び表4に示すロウ付け温度で10分加熱を行い、その後Ar雰囲気中で急冷して作製している。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
耐食性試験は、金属部材17の各サンプルについて、ISO3370に規定されたCASS試験により行い、接合強度試験は、図示しない治具を用いて純チタン板15,16を図5に示すように、厚さ方向a,bに引っ張り試験を行うことで測定した。
【0052】
また、比較のため従来から知られているロウ材のAg基ロウ材(Ag58重量%、Cu32重量%、Pd10重量%)と、Ti基ロウ材(Ti60重量%、Cu25重量%、Ni15重量%)を使用して上述の要領で同様のサンプルを作製し、耐食性試験と接合強度試験を行った。その結果は表5に示すとおりである。なお、表3から表5において、ロウ材は各金属元素の組成割合をそれぞれの元素記号の添え字で示している。例えば、実施例1の場合では、Pd34重量%、Pt53重量%、Ni8重量%、及びP5重量%である。
【0053】
【表5】
【0054】
表3における実施例1から実施例4まではPdPtNiP系のロウ材の試験結果で、そのうち、実施例1から実施例3までは各金属の割合が上述の範囲内にあるロウ材による試験結果である。実施例5及び実施例6はPdCuNiP系のロウ材の試験結果で、そのうち、実施例5は各金属の割合が上述の範囲内にあるロウ材による試験結果である。実施例7及び実施例8はPtCuNiP系のロウ材の試験結果で、実施例7は各金属の割合が上述の範囲内にあるロウ材による試験結果である。
【0055】
表4における実施例9から実施例12まではPd−P系のロウ材にNi、Auを加えたPdAuNiP系のロウ材で、そのうち、実施例9から実施例11までは各金属の割合が上述の範囲内にあるロウ材による試験結果である。実施例13及び実施例14はPt−P系のロウ材にAuとNiを加えたロウ材で、そのうち、実施例13は各金属の割合が上述の範囲内にあるロウ材による試験結果である。
【0056】
以上の表3、表4及び表5から明らかなように、この発明によるロウ材は、いずれも良好な耐食性を示している。また、接合強度は実施例7の790MPaと、実施例11の800MPaは比較例1より若干劣るものの、そのほかの実施例は、いずれも比較例1,2よりも良好な値を示している。しかし、ロウ付け温度をみると、この発明によるロウ材は、いずれもTiの変態点以下の温度でロウ付けが可能であるが、比較例1では、ロウ付け温度が1000℃となってTiの変態点を超えてしまう。以上のように、この発明によるロウ材は、良好な耐食性と十分な接合強度を有するとともに、Tiの変態点以下の温度でロウ付けが可能であるという3つの要件をすべて満足するものとなっている。したがって、この発明によるロウ材は、Tiからなる金属製品の接合に用いても、その金属製品の結晶組織の粗大化が起こることなく接合前の面状態が維持されるため、従来のTiCuNi系ロウ材(比較例1)と比較して優れているということができる。また、Ag基ロウ材(比較例2)と比較すると、特に耐食性の点と、接合強度の点で大変優れているということができる。
【0057】
(ロウ材による時計ケースの接合について)
次に、時計外装部品である時計ケースについて、この発明によるロウ材を用いてその先カン部の接合を行った場合について説明する。
図7は、この発明による第1のロウ材であるPdPtNiP系のロウ材を用いて、時計ケース本体1に4個の先カン部3、5、7、9を接合した時計ケース2を示す斜視図である。時計ケース本体1は、Tiからなる肉厚の薄い円筒状の壁部と底部とを有していて、先カン部との接合面を含めてミラー面仕上げの加工が施されている。先カン部3、5、7、9はいずれもTi合金製であり、研削研磨を加えて形成され、時計ケース本体1との接合面を除く外側表面にはヘアーライン面加工が施されている。また、先カン部3、5、7、9には、いずれも予めバネ棒穴11の穴開け加工が行われている。なお、時計ケース本体1と先カン部3、5、7、9はそれぞれ鍛造により成形されている。
【0058】
そして、図8に示すように、時計ケース本体1と各先カン部3、5、7、9の接合面にこの発明によるPdPtNiP系のロウ材19(Pd34重量%、Pt53重量%、Ni8重量%、P5重量%)を挟み込んで圧接し、図示しない治具で固定した後、圧力6×10−6Torr中で700℃の温度を加えて20分間加熱し、その後Ar雰囲気中で急冷した。なお、PdPtNiP系のロウ材の代わりにPdAuNiP系のロウ材(Pd72重量%、Au11重量%、Ni10重量%、P7重量%)を用いてもよい。
【0059】
その結果、この発明によるロウ材は、時計ケース本体1と各先カン部3、5、7、9との間の接合部分に完全に浸透し、両者が外観からみても完全に一体化した時計ケース2が得られた。この時計ケース2は、加熱した時の温度がTiの変態点以下の温度であるため、Tiの結晶組織の粗大化が起こることもなく接合前の面状態が保たれ、時計ケース本体1と各先カン部3、5、7、9で互いの界面が綺麗に形成されている。さらに、接合部分には十分な引っ張り強度(接合強度)を得ることができた。
【0060】
以上のように、この発明によるロウ材を用いて金属製品である時計ケース本体1と先カン部3、5、7、9とを接合すると、両者を好ましい状態で接合することができる。
【0061】
一方、近年、デザインの自由度を拡大したいという要請から、時計ケースは、時計ケース本体と先カン部とを別々に製造し、異なった面状態で仕上げたいという要望が強くなってきている。例えば、時計ケース本体はミラー面仕上げ、先カン部はヘアーライン面仕上げというようである。しかし、時計ケースは、従来、バンドを連結するための先カン部を含めて一体化された部品として製造され、両者の境界面が連続しているため、ミラー面仕上げをする時計ケース本体とヘアーライン面仕上げをする先カン部との境界面をきちんと出すことが困難であった。
【0062】
さらに、時計ケースを一体型にすると、鍛造で製造すればコスト的に有利でも、先カン部の形状がデザイン的に大きな制約を受ける欠点があった。また、先カン部には、バンドを取り付けるバネ棒を挿入するバネ棒穴をドリルによる後加工で形成しているが、それが外側から見えると外観上好ましくないという理由でそのバネ棒穴は先カン部の内側から開けざるを得なかった。そのため、穴開け作業が困難であり、しかも、対向する先カン部がそのバネ棒穴を開ける際に邪魔をして、例えば図6に示すように、バネ棒穴11を先カン部7の加工面7aに垂直に形成することができなくなってしまい、斜めに形成せざるを得なかった。このことから、バネ棒穴をバネ棒の大きさよりも多少大きめに形成する必要があり、バネ棒とバネ棒穴との間に余計な隙間が形成されて緩み(がた)を生む一因になっていた。
【0063】
しかし、上述のように、この発明によるロウ材を用いて時計ケース本体1と各先カン部3、5、7、9とを接合すれば、外観からみても完全に一体化して時計ケース2が得られるため、従来の時計ケースに見られる問題は一切生じないこととなる。
【0064】
この発明によるロウ材で良好に接合される金属はチタンである。チタンの代表的な合金、例えばTi−6Al−4Vは、変態点が995℃であるから、チタン合金に対しても、この発明によるロウ材は十分適用し得るものである。また、チタンに限られず、この発明によるロウ材は、例えば、ステンレス鋼にも適用でき、外観の装飾性を要求される金属に対して適用することができる。
【0065】
また、この発明によるロウ材は、形状を制限されることはない。接合するときの作業の利便性を考慮すると、板形、箔形、線形などで作製することが望ましいが、組成によっては脆弱性を幾分伴う場合もあり得るため、その場合は粉末状にした後、圧粉して成形して使用しても良い。
そして、ロウ付け時の加熱温度は620から850℃、好ましくは650から750℃とするのがよく、ロウ付けする時間は約5分から1時間程度、ロウ付けする時の炉内の雰囲気は10−4Torr以下の圧力とするのが好ましい。
【0066】
【発明の効果】
この発明によるロウ材によれば、金属製品のロウ付けによる接合をTiの変態点以下の低い温度ですることが可能であり、接合した金属製品の良好な耐食性を確保するとともに、十分な接合強度を確保することができる。したがって、この発明によるロウ材は、外観の装飾性を要求されるTiやステンレス鋼のような金属をロウ付けするのに適したものとなる。また、Tiに対する濡れ性も良好なので、ロウ付けするのにフラックスが不必要であり、ロウ付けした後の後加工も不要になるから、構造の複雑な金属製品のロウ付けにも適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸がPdに対するPの割合を示し、縦軸が融点を示すPd−Pの2元系の状態図である。
【図2】横軸がPtに対するPの割合を示し、縦軸が融点を示すPt−Pの2元系の状態図である。
【図3】横軸がCuに対するPの割合を示し、縦軸が融点を示すCu−Pの2元系の状態図である
【図4】2枚の純チタン板を十字状に重ね合わせた金属部材を示す平面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図7に示す先カン部をバネ棒穴を含む平面で切断した断面図である。
【図7】時計ケース本体に4個の先カン部を接合した時計ケースを示す斜視図である。
【図8】時計ケース本体に4個の先カン部を接合する前の時計ケース本体と4個の先カン部とを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1:時計ケース本体、2:時計ケース、3,5,7,9:先カン部、
7a:加工面、11:バネ棒穴、15,16:純チタン板、17:金属部材、
18:交差部、19:ロウ材
Claims (7)
- Pd,Pt,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、
前記Pが2重量%を超えてかつ20重量%未満の範囲内で含まれ、
前記Ptが4重量%を超えてかつ86重量%未満の範囲内で含まれ、
前記Niが4重量%を超えてかつ36重量%未満の範囲内で含まれ、
残部がPd及び不可避的不純物からなることを特徴とするロウ材。 - 前記Pが3重量%から17重量%の範囲内で含まれ、
前記Ptが5重量%から85重量%の範囲内で含まれ、
前記Niが5重量%から32重量%の範囲内で含まれる
ことを特徴とする請求項1記載のロウ材。 - Pd,Cu,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、
前記Pが4重量%から18重量%の範囲内で含まれ、
前記Cuが2重量%から64重量%の範囲内で含まれ、
前記Niが7重量%から36重量%の範囲内で含まれ、
残部がPd及び不可避的不純物からなることを特徴とするロウ材。 - Pd,Au,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、
前記Pが2重量%を超えてかつ20重量%未満の範囲内で含まれ、
前記Auが2重量%を超えてかつ60重量%未満の範囲内で含まれ、
前記Niが4重量%を超えてかつ32重量%未満の範囲内で含まれ、
残部がPd及び不可避的不純物からなることを特徴とするロウ材。 - 前記Pが3重量%から19重量%の範囲内で含まれ、
前記Auが3重量%から59重量%の範囲内で含まれ、
前記Niが5重量%から31重量%の範囲内で含まれる
ことを特徴とする請求項4記載のロウ材。 - Pt,Cu,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、
前記Pが4重量%から19重量%の範囲内で含まれ、
前記Cuが2重量%から66重量%の範囲内で含まれ、
前記Niが7重量%から36重量%の範囲内で含まれ、
残部がPt及び不可避的不純物からなることを特徴とするロウ材。 - Pt,Au,Ni,Pを主成分として構成されるロウ材であって、
前記Pが4重量%から21重量%の範囲内で含まれ、
前記Auが5重量%から62重量%の範囲内で含まれ、
前記Niが5重量%から22重量%の範囲内で含まれ、
残部がPt及び不可避的不純物からなることを特徴とするロウ材。
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