JP3829295B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に易接着樹脂層を形成した積層フィルムにおいて、接着性に優れた易接着樹脂層を使用して構成される積層ポリエステルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはポリエチレンナフタレート(PEN)に代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等の優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種の用途において支持フィルムとして使用されている。
【0003】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、その表面が高度に結晶化されているために凝集力が強く、したがって、各用途毎の機能層との接着性に乏しい欠点がある。そこで、かかる欠点を解消するために、ポリエステルフィルムの表面に結晶性の低いポリエステル層を共押出により積層する方法、プライマーとして水分散性のポリエステル系樹脂やアクリル樹脂を塗布する方法等が提案されている(特公昭49−10243号公報、特開昭52−19786号公報、特開昭52−19787号公報、特開昭54−43017号公報等)。
【0004】
しかるに上記公知の方法において、プライマーとしてポリエステル系樹脂、アクリル樹脂を使用した支持フィルムは、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂を主成分とする機能層との接着性等に劣るという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、インクジェット印刷インク受像層等のポリビニルアルコール等の親水性樹脂を主成分とする親水性機能層に対する接着性に優れた易接着樹脂層を有する積層フィルムを提供することを解決課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を採用することにより、上記課題が容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、二軸延伸ポリエステルフィルム支持体の少なくとも一方の表面に易接着樹脂層を設けてなる積層フィルムにおいて、前記易接着樹脂層が、水分散性官能基を有する芳香族共重合ポリエステル(A)、ポリビニルアルコール(B)およびビニルピロリドンを主構成単位とする共重合樹脂(C)を下記式(1)および(2)の範囲の比率で含有し、かつ、少なくとも一軸方向に延伸されていることを特徴とする積層フィルムに存する。
【数3】
(A)/{(B)+(C)}=1/9〜9/1 ……(1)
(B)/(C)=2/8〜10/0 ……(2)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、二軸延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、代表的には、例えば、構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート(PET)、構成単位の80モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、構成単位の80モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであるポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)等が挙げられる。その他には、ポリエチレンイソフタレート、ポリ−1,4−ブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
【0008】
上記の優位構成成分以外の共重合成分としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸およびオキシモノカルボン酸等のエステル形成性誘導体を使用することができる。
【0009】
また、ポリエステルとしては、単独重合体または共重合体のほかに、他の樹脂との小割合のブレンドも使用することができる。
本発明において、二軸延伸ポリエステルフィルムは、滑り性を付与するため、突起形成剤として、添加粒子、析出粒子、その他の触媒残渣等を含有していてもよい。これらの突起形成剤の種類、大きさ、配合量は、目的とする滑り性、透明性などに応じて適宜選択される。
【0010】
また、二軸延伸ポリエステルフィルムは、必要に応じ、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光線遮断剤、着色剤などを含有していてもよい。さらに、フィルムの白色化のため、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウム等で代表される白色顔料や、低密度化を目的として、ポリエステルと非相溶な樹脂、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−4−メチルペンテン等のようなボイド形成剤を含有していてもよい。
【0011】
また、本発明のポリエステルフィルムは、多層構造であってもよく、この場合、その一部の層はポリエステル以外のポリマーで形成されていてもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に易接着樹脂層を設けてなる。
本発明の最大の特徴は、上記の積層フィルムを形成するための易接着樹脂層が、水分散性官能基を有する芳香族ポリエステル(A)、およびポリビニルアルコール(B)を含有し、かつ、少なくとも一軸方向に延伸されている点にある。
【0012】
水分散性官能基を有する芳香族共重合ポリエステル、ポリビニルアルコールを含有する易接着層は、二軸延伸ポリエステルフィルム支持体と親水性機能層の接着性を高める。以下、便宜上、易接着樹脂層に含有される水分散性官能基を有する芳香族共重合ポリエステルを易接着ポリエステルと呼ぶ。
本発明の易接着ポリエステルは、以下のようなヒドロキシ化合物およびカルボン酸化合物を原料とする通常の重縮合反応によって合成することができる。
【0013】
本発明の易接着ポリエステルに共重合されるヒドロキシ化合物として、脂肪族ヒドロキシ化合物化合物、脂環式ヒドロキシ化合物化合物と芳香族ヒドロキシ化合物、好ましくは脂肪族ヒドロキシ化合物、脂環式ヒドロキシ化合物が共重合される。
ジエチレングリコール等のエチレングリコールの縮合ジオールが用いられる場合、その成分は、易接着ポリエステルに含まれる全ヒドロキシ化合物成分に対し、20モル%以下、さらには10モル%以下、特に5モル%以下であることが好ましく、当該成分が多すぎると易接着樹脂層として十分な耐ブロッキング性、接着性が得られないことがある。
【0014】
芳香族ヒドロキシ化合物が用いられる場合、そのヒドロキシ化合物成分は、易接着ポリエステルに含まれる全ヒドロキシ化合物成分に対し、5モル%以下、さらには2モル%以下であることが好ましい。当該成分が多すぎると易接着樹脂層として十分な接着性を得ることができないことがある。さらに、易接着樹脂層を基体ポリエステルフィルムと共に延伸する過程で十分な延伸適性を得ることが困難となることがある。
【0015】
本発明の易接着ポリエステルに共重合されるカルボン酸化合物として、芳香族カルボン酸化合物、脂環式カルボン酸化合物と脂肪族カルボン酸化合物がある。芳香族カルボン酸化合物が用いられる場合、そのカルボン酸成分は、易接着ポリエステルに含まれる全カルボン酸成分に対し、98%以下、さらには95モル%以下、特に90モル%以下であることが好ましい。当該成分が少ない方が易接着樹脂層として十分な接着性を示すことができる。芳香族カルボン酸化合物の易接着ポリエステルに含まれる全カルボン酸成分の下限は、通常50モル%以上である。当該成分が50モル%未満では、易接着樹脂層として十分な耐ブロッキング性を示すことが困難になる場合がある。
【0016】
脂肪族カルボン酸化合物が用いられる場合、そのカルボン酸成分は、易接着ポリエステルに含まれる全カルボン酸成分に対し、5モル%以下、さらには2モル%以下、特に0モル%であることが好ましく、当該成分が多くなると易接着樹脂層として接着性には優れるが、十分な耐ブロッキング性を示すことが困難になることがある。
【0017】
易接着ポリエステルの組成中のカルボン酸成分は、全カルボン酸成分に対し芳香族カルボン酸化合物を50モル%以上、脂環式カルボン酸を2〜50モル%の範囲で共重合したもの、さらには全カルボン酸成分に対し芳香族カルボン酸を60モル%以上、脂環式カルボン酸を10〜40モル%の範囲で共重合したものが好ましい。
【0018】
本発明で用いる易接着ポリエステルを構成する水分散性官能基を有するエステル形成性化合物は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基等の有機酸基および/またはその塩基を含有するエステル形成性化合物であり、好ましくはスルホン酸塩を有する芳香族カルボン酸化合物、カルボン酸塩を有する芳香族カルボン酸化合物、スルホン酸塩を有するヒドロキシ化合物、またはカルボン酸塩を有するヒドロキシ化合物等が用いられる。これらの中でもスルホン酸塩を有する芳香族カルボン酸化合物とカルボン酸塩を有するヒドロキシ化合物が特に好ましく用いられる。
【0019】
これらの水分散性官能基を有するエステル形成性化合物は、易接着ポリエステルを形成する全ヒドロキシ化合物または全カルボン酸化合物に対し、1〜15モル%、さらには1〜12モル%、特に3〜12モル%であることが好ましい。当該成分が多すぎると、易接着層として十分な接着性、耐ブロッキング性が得られないことがある。当該成分が少なすぎると、機能層としてポリビニルアルコール等のような親水性樹脂層を設ける場合に、その接着性、塗布性が低下する傾向がある。
【0020】
本発明で用いる易接着ポリエステルは、上記に記載した範囲の構成単位からなる共重合ポリエステルであればよい。易接着ポリエステルの平均分子量(GPCによる)は特に制限はないが、通常5000以上、好ましくは8000以上のものが用いられる。易接着ポリエステルの平均分子量が5000未満では、易接着樹脂層の耐水・機能層との接着性が低下する傾向がある。
【0021】
易接着ポリエステルのガラス転移温度(Tg)の下限は20℃以上、さらには30℃以上、特に40℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が20℃未満では、易接着樹脂層としたときに十分な耐ブロッキング性が得られないことがある。さらに易接着ポリエステルのガラス転移温度の上限は、140℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が140℃を超えると、易接着樹脂層を基体ポリエステルフィルムと共に延伸する過程で十分な延伸適性を得ることが困難になることがある。
【0022】
本発明で用いるポリビニルアルコールは、通常の重合反応によって合成することができ、水溶性であれば特に制限はない。
ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300〜40000のものが用いられる。重合度が1000以下の場合、易接着樹脂層の耐水性が低下する。
【0023】
本発明のポリビニルアルコールのけん化度は、特に限定されるものではないが、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、99.9モル%以下であるポリ酢酸ビニルけん化物が実用上用いられる。
本発明のビニルピロリドンを主構成単位とする共重合樹脂(以下ビニルピロリドン重合体と記載する)は、通常の重合反応によって合成することができる。
【0024】
本発明のビニルピロリドン重合体は単独重合体でもよいが、ビニルピロリドン成分の含有比率が50重量%を下回らない限り、他のビニル基、アリル基、アクリル基に代表される付加重合性不飽和基を有する他のモノマー成分との共重合体であってもよい。
ビニルピロリドン重合体に共重合される他の付加重合性不飽和基を有するモノマーとしては、側鎖にアルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、アルキロール基、アミド基、ヒドロキシル基、アミノ基(2級・3級・4級)、ポリアルキルエーテル、カルボン酸基、カルボン酸塩基、カルボン酸エステル基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、スルホン酸エステル基、燐酸基、燐酸塩基、燐酸エステル基を持つものが選択される。
【0025】
本発明のビニルピロリドン重合体は、それ単独で重合されたものでもよいが、本発明の易接着樹脂層形成に使われる上記易接着ポリエステルまたはポリビニルアルコール、さらに、易接着ポリエステルとポリビニルアルコール混合物の存在する水分散系内で重合されることが好ましい。
本発明のビニルピロリドン重合体は、重量平均分子量が通常40000以上、好ましくは50000〜3000000のものが用いられる。平均分子量が40000以下の場合、易接着樹脂層の耐水性が低下する傾向がある。
【0026】
易接着樹脂層中の易接着ポリエステル(A)、ポリビニルアルコール(B)、ビニルピロリドン重合体(C)の混合比は、下記式▲1▼および▲2▼を満足する範囲であることが好ましい。
【0027】
【数4】
(A)/{(B)+(C)}=1/9〜9/1 ……(1)
(B)/(C)=2/8〜10/0 ……(2)
易接着ポリエステル成分が少なすぎると、基体ポリエステルフィルムとの間で十分な接着性が得られないことがある。易接着層として十分な接着性を得るためには40重量部以上含有することが好ましい。
【0028】
ポリビニルアルコール成分およびビニルピロリドン重合体成分が少なすぎると、親水性樹脂からなる機能層との間で十分な接着性が得られないことがある。易接着樹脂層として十分な接着性を得るためには10重量部以上含有することが好ましい。
本発明における易接着樹脂層には、必要に応じて上記の易接着ポリエステル以外の水溶性または水分散性のバインダー樹脂を併用してもよい。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、上記ビニルピロリドン重合体以外のビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。
【0029】
易接着ポリエステル以外のバインダー成分の配合量は、塗布層に対する重量部で50重量部以下、さらには30重量部以下の範囲が好ましい。
さらに本発明の易接着樹脂層中には、必要に応じて架橋反応性化合物を含んでいてもよい。
架橋反応性化合物としては、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系などの化合物、ポリアミン類、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリング剤、金属キレート、有機酸無水物、有機過酸化物、熱または光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などの多官能低分子化合物および高分子化合物から選択される。
【0030】
架橋反応性化合物は、主に易接着樹脂層に含まれる樹脂が有する官能基と架橋反応することで、易接着樹脂層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性を改良することができる。例えば易接着樹脂の官能基が水酸基の場合、架橋反応性化合物としてはメラミン系化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機酸無水物などが好ましく、易接着ポリエステルの官能基が有機酸およびその無水物の場合、架橋反応性化合物としてはエポキシ系化合物、メラミン系化合物、オキサゾリン系化合物、金属キレートなどが好ましく、易接着樹脂の官能基がアミン類の場合、架橋反応性化合物としてはエポキシ系化合物などが好ましく、易接着樹脂に含まれる官能基と架橋反応効率が高いものを選択して用いることが好ましい。
【0031】
架橋反応性化合物は反応性官能基が1分子中に2官能以上必ず含まれる限りにおいて、低分子量化合物であっても、反応性官能基を有する高分子重合体のいずれであってもよい。
架橋反応性化合物の配合量は、易接着樹脂層に対する重量部で50重量部以下の範囲、さらには30重量部以下の範囲、特に15重量部以下の範囲が好ましい。
【0032】
さらに本発明の易接着樹脂層中には、必要に応じて塗布層の滑り性改良のために不活性粒子を含んでいてもよい。
不活性粒子としては、無機不活性粒子、有機不活性粒子があり、無機不活性粒子としては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。有機不活性粒子としては、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂による単独あるいは共重合体を含む微粒子、またはこれらと架橋成分を複合した架橋粒子に代表される有機粒子が挙げられる。これらの不活性粒子は軟化温度または分解温度が約200℃以上、さらには250℃以上、特に300℃以上であることが好ましい。
【0033】
不活性粒子の平均粒径(d)は、易接着樹脂層の平均膜厚を(L)とした際、1/3≦d/L≦3、さらには1/2≦d/L≦2の関係を満足するように選択するのが好ましい。
本発明の易接着樹脂層は、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、低分子帯電防止剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を少量含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明の易接着樹脂層は、ポリエステルフイルムの片面だけに形成してもよいし、両面に形成してもよい。片面のみに形成する場合、その反対面には必要に応じて易接着樹脂層と異なる層を形成させ、本発明の記録シート用支持体にさらに他の特性を付与することもできる。なお、塗布液のフイルムへの塗布性および接着性を改良するため、塗布前のフイルムに化学処理や放電処理等のを施してもよい。また、本発明の記録シート用支持体の表面特性をさらに改良するために、易接着樹脂層形成後に放電処理を施してもよい。
【0035】
易接着樹脂層の厚さは、0.01〜2μm、さらには0.02〜0.5μm、特に0.03〜0.2μmの範囲が好ましい。易接着樹脂層の厚さが0.01μm未満の場合は、十分な接着性が得られないことがあり、2μmを超える場合は、耐ブロッキング性が不十分となる傾向がある。
二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、予め乾燥したポリエステルチップと必要な添加剤を混合して押出機にホッパー投入し、押出機にて200〜300℃の温度で溶融混練し、ダイからシート状に押し出して、約70℃以下のキャスティングドラム(回転冷却ドラム)上で急冷して未延伸シートを得、得られたシートを縦およびまたは横方向に4倍以上、好ましくは9倍以上の面積倍率で延伸し、さらに120〜200℃の温度で熱固定を行う方法を採用することができる。
【0036】
二軸延伸ポリエステルフイルムの表面に易接着樹脂層を形成する方法は、塗布、積層押出等があり、特に制限されないが、ポリエステルフイルムを製造する工程中で易接着樹脂の塗布液を塗布する方法が好適に採用される。具体的には、未延伸シート表面に易接着樹脂層を形成する塗布液を塗布して乾燥する方法、一軸延伸フイルム表面に易接着樹脂層を形成する塗布液を塗布して乾燥する方法、二軸延伸フイルム表面に易接着樹脂層を形成する塗布液を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。これらの中では、未延伸フィルムまたは一軸延伸フイルム表面に易接着樹脂層を形成する塗布液を塗布後、積層フィルムのフイルムに熱処理を行う過程で同時に塗布層を乾燥硬化する方法が経済的である。
【0037】
また、易接着樹脂層を形成する方法として、必要に応じ、前述の塗布方法の幾つかを併用した方法も採用し得る。具体的には、未延伸シート表面に第一層を塗布して乾燥し、その後、一軸方向に延伸後、第二層を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。この方法で得たフィルムにおいては、フィルム表面を形成する層が本発明の易接着樹脂層である積層フィルムであれば本発明の目的を達成する。
【0038】
ポリエステルフイルムの表面に易接着樹脂の塗布液を塗布する方法としては、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。
本発明の易接着樹脂層の形成において用いる塗布液は、通常、安全性や衛生性の観点から水を主たる媒体として調整されていることが好ましい。水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的あるいは造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、主たる媒体である水と混合して使用する場合、水に溶解する範囲で使用することが必要である。有機溶剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明における各種の物性および特性の測定方法、定義は下記のとおりである。また、実施例および比較例中、「部」および「%」とあるのは、各「重量部」および「重量%」を意味する。
(1)水性樹脂接着性
水性樹脂であるポリビニルアセタール(積水化学製エスレックKX−1、以下KX1と記載する)を易接着層表面に塗布し乾燥させた。塗布は、8重量%に調整されたKX1をベーカー式アプリケーターを用いて塗布直後の溶液塗布厚みが約127μmになるようにした。塗布後、速やかにオーブン中で、100℃で4分間加熱し、塗布層を乾燥させた。乾燥したKX1塗布層表面に、セロテープ(ニチバン製18mm巾)を貼り、急速に剥離したときの剥離状況を目視観察し、以下の基準にて判定した。
【0040】
【表1】
─────────────────────
10%未満剥離 :○(良好)
10%以上、50%未満剥離 :△(普通)
50%以上剥離 :×(不良)
─────────────────────
(2)耐ブロッキング特性
支持体フィルムの易接着樹脂層面を重ね、温度40℃、湿度80%RH、荷重10kg/cm2 で20時間プレス処理を行い、ASTM D 1893により決められているプラスチックフィルム間のブロッキング度を測定し定量化する手法に準拠し、プレスしたフィルム面をはがす際にかかる荷重からブロッキング度を求めた。判定基準は以下のとおりである。
【0041】
【表2】
────────────────────
50g以上100g未満 :○(良好)
100g以上250g未満 :△(普通)
250g以上 :×(不良)
────────────────────
実施例・比較例において、易接着樹脂層形成のために用いたバインダー樹脂等は下記のとおりである。
(化合物例)
バインダー樹脂:A1
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸を含有し、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコールを含有する共重合ポリエステル
バインダー樹脂:A2
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸を含有し、ジオール成分として、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピオン酸ジメタノールを含有する共重合ポリエステル
水溶性樹脂1:B
けん化度88モル%、重合度1700のポリビニルアルコール
水溶性樹脂2:C
ポリビニルピロリドン(平均分子量=630000)
不活性粒子:D
平均粒径0.05μmのシリカゾル
実施例1
常法に従いエステル交換反応を行った後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径1.4μmのシリカ粒子を添加した。次いで常法に従って重縮合反応を進め、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを得た。このポリエチレンテレフタレートを280〜300℃の温度で溶融押し出しし、静電密着法を併用しながら冷却ドラム上にキャストし、厚さ約720μmの無定型フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、さらに100℃で横方向に3.9倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0042】
上記の処方で得られるポリエステルフィルムの縦延伸後、横延伸前のフィルムの片面に上記化合物例で示した易接着ポリエステル(A1)50重量部および不活性粒子(シリカゾル:D)5重量部を含有する水分散体を調整し、延伸乾燥後の塗膜厚さが0.05μmになるように片面に塗布して積層フィルムを得た。実施例2〜3および比較例1〜5実施例1において、易接着樹脂層の組成を次の下記表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0043】
以上、得られた易接着フィルムの評価結果をまとめて下記表4に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】
本発明の積層フィルムによれば、OHPフィルム、ラベル、プロッター用フィルム、写真用フィルム、写真印画紙フィルムなど、バーコードラベル、磁気カード、グラフィックアーツ用などの機能層としてPVOH等の水性樹脂を含有する層が使用される全てに対して良好な接着性を有する積層フィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
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