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JP3826712B2 - 液体噴射装置 - Google Patents

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JP3826712B2
JP3826712B2 JP2001035761A JP2001035761A JP3826712B2 JP 3826712 B2 JP3826712 B2 JP 3826712B2 JP 2001035761 A JP2001035761 A JP 2001035761A JP 2001035761 A JP2001035761 A JP 2001035761A JP 3826712 B2 JP3826712 B2 JP 3826712B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル開口から液体滴を吐出させるヘッド部材を備えた液体噴射装置に係り、とりわけ、ノズル開口に液体を供給するための液体容器が交換可能な液体噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置は、ノズル開口を有する記録ヘッドと、ノズル開口部分のインクを吐出させる吐出駆動手段(例えば、圧電振動子や発熱素子)と、記録データに応じて吐出駆動手段を制御する吐出制御手段とを備えている。ノズル開口へのインクの供給は、インクカートリッジ(インク容器)と、インクカートリッジからノズル開口に至るインク連通路とによって行われる。インクカートリッジは、通常交換可能である。
【0003】
インクジェット式記録装置の記録品質は、基本的にはノズル開口の径や数などで規定される印刷ヘッドの解像度に依存するが、その他、インクの種類や粘度、記録媒体上での滲み具合等によっても影響され得る。
【0004】
たとえばノズル開口部分では、インクが空気に曝されているので、インク溶媒(例えば、水)が徐々に蒸発する。このインク溶媒の蒸発によりノズル開口部分のインク粘度が上昇し、記録画像の画質を悪化させる。このため、インクジェット式記録装置では、ノズル開口部分のインクの増粘を防止する対策として、ノズル開口からのインクの吸引(クリーニングと呼ばれる)が行われている。
【0005】
特に、インクカートリッジを設置(交換)した場合には、新しいインクカートリッジからノズル開口までのインクの導通が安定するまでクリーンニングが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、耐光性に優れるインクとして、顔料インクが用いられている。顔料インクは、例えば、顔料と、分散剤と、溶剤と、添加剤とから構成され、特に対紫外線性に優れたインクである。
【0007】
従来、顔料インクは、負圧状態を容易かつ安定に提供することができるように、フォーム材に浸透させた状態(フォーム方式)でインクカートリッジに収容されていた。しかしながら、フォーム方式のインクカートリッジでは、インク残量が多くなってしまう他、インク収容効率(インク充填量/単位堆積)が小さいという問題があった。
【0008】
また、顔料インクは、顔料粒子が分散剤によって溶媒中に分散している液体であるため、沈降現象が生じ易い。特に、フォーム方式のインクカートリッジでは、顔料インクの攪拌が実質的に実施され難いため、顔料インクに生じる沈降現象を防止することができず、記録品質の悪化を招き得る。
【0009】
そこで、本件発明者らは、フォーム材を使用しないタイプの顔料インクのインクカートリッジの開発を進めてきた。このようなタイプのインクカートリッジにおいて特に問題となるのは、インク表面の波立ちによって気泡が取込まれて、インク表面が泡立ってしまうことである。染料インクの場合、発生した泡は直ちに消失するが、顔料インクの場合、泡消えが悪く、記録品質の悪化を招き得る。特に、樹脂系の分散剤や表面活性剤を含有する顔料インクの場合に、泡消えが著しく悪い。
【0010】
本件出願人によって出願された特願2000−321319号には、このような気泡取込みによる泡立ちを防止したインクカートリッジが記載されている。特願2000−321319号に記載されている内容は、ここでの引用によって、本願明細書の記載内容の一部となる。
【0011】
しかしながら、特願2000−321319号に記載されたインクカートリッジでは、気泡取込みによる泡立ちが効果的に防止される一方で、フィルタ室前後の流路におけるインクの沈降現象が問題となり得る。なぜなら、フィルタ室前後の流路は狭く、カートリッジの走査運動等による攪拌効果がほとんど期待できないからである。
【0012】
本件発明者は、気泡取込みによる泡立ちの防止とカートリッジの走査運動等による攪拌効果の確保とが、基本的に相反する課題であることに着目した。すなわち、気泡取込みによる泡立ちの防止が実現される場合には、カートリッジの走査運動等による攪拌効果が不十分となり得るのである。その場合、インクカートリッジ内の少なくとも部分的な流路、特にノズル開口に相対的に近い流路において、インク濃度が不均一となり得る。
【0013】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、インクカートリッジ内のインクの沈降状態に基づいて、ノズル開口部分のインクを好適に吸引することができるインクジェット式記録装置、広くは、液体容器内の液体の沈降状態に基づいて、ノズル開口部分の液体を好適に吸引することができる液体噴射装置を提供すること主目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、含有成分の沈降現象が発生し得る液体を収容する液体室を有する液体容器が設置される液体容器設置部と、ノズル開口を有するヘッド部材と、液体容器設置部に設置される液体容器の液体室の内部とノズル開口とを連通させる液体連通路と、液体容器設置部に設置される液体容器の液体室における液体の沈降状態に関する沈降状態情報を取得する沈降状態取得部と、ノズル開口部分の液体を吸引するクリーニング部と、沈降状態取得部が取得した液体の沈降状態情報に基づいて、クリーニング部を制御するクリーニング制御部と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置である。
【0015】
本発明は、特に顔料インクを使用するインクジェット式記録装置を意図したものであるが、それに限定されず、含有成分の沈降現象が発生し得る液体を使用する液体噴射装置全般に適用され得るものである。
【0016】
本発明によれば、液体容器の液体室における液体の沈降状態情報が取得され、当該沈降状態情報に基づいてクリーニング部が制御されるため、例えばノズル開口に相対的に近い流路における液体の沈降状態が所定レベル以上である場合、当該流路内の液体を吸引してから、目的とする液体噴射動作を行うことができる。
【0017】
液体容器の液体室における液体の沈降状態に関する沈降状態情報を取得する沈降状態取得部としては、種々の態様が採用され得る。例えば、実際に沈降状態を測定するセンサを用いることも理論上は可能である。具体的には、濃度差や粘度等の測定センサを小型化して、液体容器に埋込むことも可能である。
【0018】
現時点では、実際に沈降状態を測定するセンサを使用することは、コストの問題から好ましくない。本件発明者は、実用上の形態として、沈降現象の継続時間から沈降状態を取得する態様を提案する。この場合、液体自体の沈降現象発生のし易さを考慮することが好ましい。
【0019】
より具体的に説明すれば、前記沈降状態情報は、液体容器を液体容器設置部に設置した設置時点から現在時点までの設置後経過時間に基づく情報であることが好ましい。この場合、前記沈降状態取得部は、前記設置時点を記憶する設置時記憶部と、現在時点を認識する時計機能部と、前記設置時点から現在時点までの経過時間を算出する設置後経過時間算出部と、を有していることが好ましい。
【0020】
この場合、更に好ましくは、クリーニング制御部は、前記設置後経過時間の長さに応じて、液体の初期吸引量がより多くなるようにクリーニング部を制御するようになっている。
【0021】
更に好ましくは、前記沈降状態情報は更に、液体自体の沈降現象発生のし易さに基づく情報であり、液体容器は、液体室内の液体の沈降現象発生のし易さに関する沈降特性情報を記憶する沈降特性記憶部を有しており、前記沈降状態取得部は、液体容器設置部に設置される液体容器の沈降特性記憶部に記憶された沈降特性情報を読取る特性情報読取部と、前記設置後経過時間と前記沈降特性情報とから、液体の沈降状態を推定する沈降状態推定部と、を有している。
【0022】
この場合、更に好ましくは、クリーニング制御部は、前記沈降状態に応じて、液体の初期吸引量がより多くなるようにクリーニング部を制御するようになっている。
【0023】
以上の態様は、液体容器の設置直前に、例えば使用者の手作業によって十分な攪拌動作が行われる場合に有効である。その場合、設置後経過時間が、実質的に沈降現象の継続時間となるからである。
【0024】
あるいは、前記沈降状態情報は、液体容器の製造時点から現在時点までの製造後経過時間に基づく情報であることが好ましい。この場合、液体容器は、液体容器の製造時点に関する製造時情報を記憶する製造時記憶部を有しており、前記沈降状態取得部は、液体容器設置部に設置される液体容器の製造時記憶部に記憶された製造時情報を読取る製造時情報読取部と、現在時点を認識する時計機能部と、前記製造時情報に基づいて、液体容器の製造時点から現在時点までの製造後経過時間を算出する製造後経過時間算出部と、を有していることが好ましい。
【0025】
この場合、更に好ましくは、クリーニング制御部は、前記製造後経過時間の長さに応じて、液体の初期吸引量がより多くなるようにクリーニング部を制御するようになっている。
【0026】
更に好ましくは、前記沈降状態情報は、更に、液体自体の沈降現象発生のし易さに基づく情報であり、液体容器は、液体室内の液体の沈降現象発生のし易さに関する沈降特性情報を記憶する沈降特性記憶部を有しており、前記沈降状態取得部は、液体容器設置部に設置される液体容器の沈降特性記憶部に記憶された沈降特性情報を読取る特性情報読取部と、前記製造後経過時間と前記沈降特性情報とから、液体の沈降状態を推定する沈降状態推定部と、を有している。
【0027】
この場合、更に好ましくは、クリーニング制御部は、前記沈降状態に応じて、液体の初期吸引量がより多くなるようにクリーニング部を制御するようになっている。
【0028】
以上の態様は、液体容器の製造後に十分な攪拌動作が行われ得ない場合に有効である。その場合、製造後経過時間が、実質的に沈降現象の継続時間となるからである。
【0029】
あるいは、前記沈降状態情報は、前回の液体吐出時点から現在時点までの前吐出後経過時間に基づく情報であることが好ましい。この場合、前記沈降状態取得部は、前回の液体吐出時点を記憶する前吐出時記憶部と、現在時点を認識する時計機能部と、前回の液体吐出時点から現在時点までの経過時間を算出する前吐出後経過時間算出部と、を有していることが好ましい。
【0030】
この場合、更に好ましくは、クリーニング制御部は、前記前吐出後経過時間の長さに応じて、液体の初期吸引量がより多くなるようにクリーニング部を制御するようになっている。
【0031】
更に好ましくは、前記沈降状態情報は、更に、液体自体の沈降現象発生のし易さに基づく情報であり、液体容器は、液体室内の液体の沈降現象発生のし易さに関する沈降特性情報を記憶する沈降特性記憶部を有しており、前記沈降状態取得部は、液体容器設置部に設置される液体容器の記憶部に記憶された沈降特性情報を読取る特性情報読取部と、前記前吐出後経過時間と前記沈降特性情報とから、液体の沈降状態を推定する沈降状態推定部と、を有している。
【0032】
この場合、更に好ましくは、クリーニング制御部は、前記沈降状態に応じて、液体の初期吸引量がより多くなるようにクリーニング部を制御するようになっている。
【0033】
以上の態様は、前吐出後経過時間が極めて長く、その間に沈降現象が進行している可能性がある場合に有効である。この場合、前吐出後経過時間が、実質的に沈降現象の継続時間に相当するからである。
【0034】
あるいは、前記沈降状態情報は、前回の液体容器の攪拌時点から現在時点までの前攪拌後経過時間に基づく情報であることが好ましい。この場合、前記沈降状態取得部は、前回の液体攪拌時点を記憶する前攪拌時記憶部と、現在時点を認識する時計機能部と、前回の液体攪拌時点から現在時点までの経過時間を算出する前攪拌後経過時間算出部と、を有していることが好ましい。
【0035】
この場合、更に好ましくは、クリーニング制御部は、前記前攪拌後経過時間の長さに応じて、液体の初期吸引量がより多くなるようにクリーニング部を制御するようになっている。
【0036】
更に好ましくは、前記液体の沈降状態に関する情報は、更に、液体自体の沈降現象発生のし易さに基づく情報であり、液体容器は、液体室内の液体の沈降現象発生のし易さに関する沈降特性情報を記憶する沈降特性記憶部を有しており、前記沈降状態検出部は、液体容器設置部に設置される液体容器の記憶部に記憶された沈降特性情報を読取る特性情報読取部と、前記前攪拌後経過時間と前記沈降特性情報とから、液体の沈降状態を推定する沈降状態推定部と、を有している。
【0037】
この場合、更に好ましくは、クリーニング制御部は、前記沈降状態に応じて、液体の初期吸引量がより多くなるようにクリーニング部を制御するようになっている。
【0038】
以上の態様は、液体容器が攪拌され得る場合に有効である。この場合、前攪拌後経過時間が、実質的に沈降現象の継続時間となるからである。液体容器の攪拌の態様は、特に限定されない。
【0039】
また、本発明は、含有成分の沈降現象が発生し得る複数種類の液体をそれぞれ収容する複数の液体室を有する液体容器が設置される液体容器設置部と、複数のノズル開口を有するヘッド部材と、液体容器設置部に設置される液体容器の各液体室の内部と各ノズル開口とをそれぞれ連通させる複数の液体連通路と、液体容器設置部に設置される液体容器の各液体室における液体の沈降状態に関する沈降状態情報をそれぞれ取得する沈降状態取得部と、複数のノズル開口部分の各液体を吸引する複数のクリーニング部と、沈降状態取得部が取得した各液体室の沈降状態情報に基づいて、複数のクリーニング部をそれぞれ制御するクリーニング制御部と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置である。
【0040】
本発明によれば、各液体室における液体の沈降状態情報に基づいて、各液体室の液体毎に適切なクリーニングを実施することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0042】
図1は、本発明によるインクジェット式記録装置の第1の実施の形態の概略斜視図であり、図2は、その装置内部の印字機構を示す概略構成図である。図1及び図2に示すように、本実施の形態のインクジェット式記録装置は、筐体3と、黒インクカートリッジ1(液体容器)及びカラーインクカートリッジ2(液体容器)が載置されるキャリッジ11とを備えている。
【0043】
図1に示すように、筐体3の上面には、操作パネル4が設けられている。この場合、操作パネル4には、電源スイッチ5、インクカートリッジ交換指令スイッチ6、黒インククリーニング指令スイッチ7、カラーインククリーニング指令スイッチ8、黒インクインクエンド表示器9及びカラーインクインクエンド表示器10が設けられている。
【0044】
図2に示すように、キャリッジ11は、タイミングベルト12を介してキャリッジ駆動モータ13に接続される共に、ガイド部材14に摺動可能に支持されている。ガイド部材14は、プラテン15と平行に配置されている。これにより、キャリッジ11はプラテン15に平行に往復移動可能となっている。この移動方向は主操作方向と呼ばれる。
【0045】
キャリッジ11の下方面には、黒インクを吐出するための複数のノズル開口が配列された黒インク用記録ヘッド17と、イエロー、マゼンタ及びシアンの3色のカラーインクをそれぞれ吐出するための複数のノズル開口が配列されたカラーインク用記録ヘッド18とが設けられている。
【0046】
黒インク用記録ヘッド17及びカラーインク用記録ヘッド18が対向する面には、記録紙などの記録媒体16が、主操作方向と直交する方向に移動可能に支持されている。この方向は副走査方向と呼ばれる。
【0047】
記録ヘッド17及び18の非印刷領域の一部(図2の右側領域)には、キャッピングユニット19(クリーニング部)が配置されている。キャッピングユニット19は、黒インク用記録ヘッド17のノズル開口を封止するキャップ20aと、カラーインク用記録ヘッド18のノズル開口を各色毎に封止するキャップ20b〜20dとを有している。
【0048】
この場合、これらのキャップ20a〜20dは、同一のスライダ21に搭載されており、モータ等によって駆動される4連構成のポンプユニット23a〜23d(クリーニング部)にチューブ(図示せず)を介してそれぞれ接続されている。これにより、各キャップ20a〜20dは独立に負圧の供給を受けて、対応する記録ヘッド17及び18の各色毎のノズル開口からインクを吸引する、すなわち、クリーニング処理を行うようになっている。
【0049】
図3は、黒インクカートリッジ1の斜視図である。図3に示すように、黒インクカートリッジ1は、黒インクを収容するインク室1aを有しており、インク室1aと黒インク用記録ヘッド17のインク連通路17aとを接続可能なインク供給口26が底面25に設けられている。また、当該底面25には、電気的に書換え可能なメモリ装置である半導体記憶手段27(特性記憶部及び製造時記憶部)が設けられている。また、半導体記憶手段27へのアクセスのための電気接点33も、底面25に設けられている。
【0050】
この場合、半導体記憶手段27は、当該黒インクカートリッジ1の製造時点に関する情報、例えば製造年月日と、インク室1aに収容されるインクの特性に関する情報、この場合インクの沈降現象の発生のし易さに関する沈降特性情報と、を記憶している。インク室1aには、フォーム材に浸透されていない態様で黒色の顔料インクが収容されている。
【0051】
一方、図4は、カラーインクカートリッジ2の斜視図である。図4に示すように、カラーインクカートリッジ2は、カラーインクとしてのイエロー、マゼンダ、シアンの各インクを個別に収容するインク室2a、2b、2cを有しており、各インク室2a、2b、2cとカラーインク用記録ヘッド18のインク連通路18aとを接続可能なインク供給口29〜31が、底面28に設けられている。また、当該底面28には、電気的に書換え可能なメモリ装置である半導体記憶手段32(記憶部)が設けられている。また、半導体記憶手段32へのアクセスのための電気接点34も、底面28に設けられている。
【0052】
この場合、半導体記憶手段32は、当該カラーインクカートリッジ2の製造時点に関する情報、例えば製造年月日と、各インク室2a〜2cに収容されるインクの特性に関する情報、この場合インクの沈降現象の発生のし易さに関する沈降特性情報と、を記憶している。各インク室2a〜2cには、フォーム材に浸透されていない態様で各色の顔料インクが収容されている。
【0053】
図5は、図3及び図4に示す各カートリッジ1及び2が装着されるヘッドホルダ35(インク容器設置部)を示す斜視図である。図5に示すように、ヘッドホルダ35には、各カートリッジ1及び2の電気接点33及び34と電気的に接触可能な電気接点36及び37が設けられている。これらの電気接点36及び37は、半導体記憶手段27及び32に記憶された情報を読取る情報読取部38及び39(製造時情報読取部及び特性情報読取部)にそれぞれ接続されている。情報読取部38及び39は、フレキシブルケーブル40によって、記録装置本体の制御装置41(図2参照)に接続されている。
【0054】
半導体記憶手段27及び32は、書込みできない読取り専用の記憶手段であってもよい。あるいは、これらが書込み可能な記憶手段である場合、情報読取部38及び39は、半導体記録手段27及び32に対する書込み機能を有していてもよい。
【0055】
ここで、各インク室1a及び2a〜2cの内部構造の一例について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、インク室100(1a、2a〜2c)の縦断面を示す図であり、図7は、図6のフィルタ室105近傍の横断面を示す図である。これらの図に示す内部構造の詳細は、前記の特願2000−321319号に詳細に記載されている。
【0056】
図6に示すように、インク室100は、略水平方向に延びる分割壁102によって、上部領域である第2インク収容室103と下部領域である第1インク収容室101とに略分割されている。第2インク収容室103は更に、第1バッファ室115、第2バッファ室116及びフィルタ室105に略分割されている。
【0057】
更に、流路形成壁111a乃至111j及び分割壁102によって、第1インク収容室101の下方から側壁130と微小間隙を保って鉛直方向に上昇する流路Aと、第2インク収容室103の上部を水平方向に延びる流路Bと、第1バッファ室115からフィルタ室105の下方側を迂回して第2バッファ室116に至る流路Cと、第2バッファ室116の下方から流路Aに平行かつ隣接して上昇する流路Dと、流路Bに平行かつ隣接して延びてフィルタ室105内に連通する流路Eと、が形成されている。
【0058】
流路Aと側壁130との間の空間(微小間隙)及び流路Bの上方側の空間は、空気室121と接触する領域となっている。空気室121は、その上面側に張設された通気性膜を介して、大気に開放されている。
【0059】
図7に示すように、フィルタ室105の裏側には、中央壁106を介して、差圧弁収容室104が形成されている。中央壁106は、差圧弁収容室104側に突出する中央凸弁座106aと、その周囲に設けられた複数の貫通孔106bと、を有している。
【0060】
フィルタ室105には、当該中央壁106と間隙を介して対向するように、フィルタ118が配置されている。
【0061】
差圧弁収容室104には、当該中央壁106と対向するように、中心孔140bを有する略円形の膜弁140が配置されている。膜弁140は、その外周部140aで差圧弁収容室104に固定されると共に、その中央部が中央壁106に対する当接状態(図7(a))と離間状態(図7(b))との間で、すなわち、その中心孔140bが中央凸弁座106aに対して当接閉塞状態(図7(a))と離間開放状態(図7(b))との間で、弾性的に変形移動可能である。
【0062】
膜弁140は、通常は図7(a)に示すように、コイルバネ142によって中央壁106の中央凸弁座106aの側に付勢されており、中央壁106に対する当接状態にある。しかし、インクの消費によってインク供給口114(26、29〜31)に所定の負圧が発生した時点では、当該負圧により、図7(b)に示すように、膜弁140が弁座106aから離れるようになっている。これにより、中央孔140b及び貫通孔106bを介して、フィルタ室105内のインクが差圧弁収容室104内に移動する。このインクの移動によって負圧が解消すると、膜弁140は、コイルバネ142の復元力によって再び図7(a)に示す状態に戻るようになっている。
【0063】
差圧弁収容室104は、図6に示すように、第1インク収容室101内を当該第1インク収容室101と連通しない態様で延びるインク供給路113を介して、インク供給口114(26、29〜31)に連通している。
【0064】
以上のような内部構造を有するインクカートリッジにおいて、インクが消費されてインク供給口114に負圧が発生すると、当該負圧のために膜弁140がコイルバネ142の付勢力に抗して、弁座106aから離れる。これにより、中央孔140b及び貫通孔106bを介して、フィルタ室105内のインクが差圧弁収容室104内に移動し、さらにインク供給口114に流れ込む。
【0065】
また、フィルタ室105内のインクの差圧弁収容室104内への移動に伴って、流路E〜A内のインクが、順にフィルタ室105に向かって移動する。そして、第1インク収容室101の底部のインクが、新たに流路Aに侵入する。
【0066】
ここで、流路E〜Aが迷路状に狭く形成されているため、インク内に存在し得る気泡は、第1インク収容室101、第1バッファ室115及び第2バッファ室116内にトラップされ、フィルタ室105に侵入することが顕著に抑制される。
【0067】
従って、インクカートリッジ100内のインクは、第1インク収容室101、第1バッファ室115及び第2バッファ室116において、例えばインクカートリッジの走査運動によって揺動(攪拌)され得るが、その揺動によってインク供給口114へのインク供給圧が不安定となることが回避され得る。
【0068】
以上のようなインクカートリッジ100では、例えば前回のインク吐出時から長時間が経過している場合等において、フィルタ室105及びその前後の流路部分で、インクに沈降現象が生じ得る。そして、沈降現象によって生じた濃度差は、当該流路部分が比較的狭く実質的な攪拌作用が実施されないために、例えばインクカートリッジ100を空走させたとしても、解消しない。従って、当該部分のインクを用いると、記録品質が悪化してしまう。
【0069】
以下に詳述するように、本実施の形態では、濃度差が解消しない部分のインクをクリーニングによって吸引することができる。これにより、記録品質の悪化が効果的に防止される。
【0070】
図8は、制御装置41の概略ブロック図である。図8に示すように、キャリッジ11の各インクカートリッジ1、2が対向する位置に押圧スイッチ43、44がそれぞれ設けられている。各押圧スイッチ43、44は、インクカートリッジ設置判定部42に接続され、各インクカートリッジ1、2が設置(交換)されたか否かが判定されるようになっている。
【0071】
キャリッジモータ制御部45は、主制御部46からの制御を受けて、キャリッジ11をプラテン15と平行に移動させるようになっている。
【0072】
吸引制御部47(クリーニング制御部)は、主制御部46による制御を受けて、キャリッジモータ制御部45を介して記録ヘッド17及び18のノズル開口をキャッピングユニット19によって封止させると共に、ポンプ制御部48を介して各吸引ポンプ23a〜23dの吸引力や吸引時間を制御するようになっている。
【0073】
印字・フラッシング制御部49は、ホスト(図示せず)からの記録データに基づいてヘッド駆動部50を駆動させ、記録ヘッド17及び18のノズル開口からインク滴を適宜に吐出させて印字を実行するようになっている。さらに、インクの増粘の程度等に応じてヘッド駆動部50を駆動させ、記録ヘッド17及び18のノズル開口部分のインクを微振動させてフラッシング処理を実行するようになっている。
【0074】
主制御部46は、ホスト(図示せず)からの記録データ等に基づいて、キャリッジモータ制御部45、印字・フラッシング制御部49及び吸引制御部47を制御するようになっている。また、主制御部46は、現在時点を認識する時計機能部46aに接続されている。時計機能部46aは、独自に時計機能を有していてもよいが、通常はホストから時計情報を得るようになっている。
【0075】
ここで、本実施の形態の主制御部46は、インクカートリッジ設置判定部42が黒インクカートリッジ1が設置されたことを判定した場合、新しい黒インクカートリッジ1の半導体記憶手段27に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ1が製造された製造年月日と当該インクカートリッジ1が収容する黒インクについての沈降特性情報とを、情報読取部38を介して取得して、記憶部46cに記憶するようになっている。
【0076】
そして、主制御部46に設けられた演算部46b(製造後経過時間算出部)が、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
【0077】
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算方法について、図9を用いて説明する。
【0078】
図9は、図6及び図7を用いて説明したタイプのインクカートリッジでの、製造後2年間の静置状態の後に吐出されたインクについて、OD値を測定したグラフである。OD値は、インクの濃度に略比例する指標である。
【0079】
図9に示すように、消費インク量が0〜5gの範囲では、OD値が急激に上昇しており、5g〜20gの範囲では、OD値が徐々に低下して、以後は所定レベルにて安定する。従って、この場合には、インクの初期吸引量を少なくとも5g以上とすることが好ましい。
【0080】
図9に示すようなOD値の所定レベルに対する偏差は、フィルタ室105近傍の流路部分におけるインクの沈降現象の結果である。この偏差の程度は、インクの沈降現象の継続時間、この場合、製造年月日から現在時点までの経過時間に依存する。
【0081】
従って、製造後に所定時間以上が経過した場合、インクの沈降現象によって濃度差が生じているインクをクリーニング処理によって排出すべく、インクの初期吸引量は製造後経過時間の長さに応じて多く設定される。ここで、製造後経過時間の長さに加えて、黒インクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮されることが好ましい。この場合、演算部46bが沈降状態推定部として機能する。
【0082】
あるいは、インクカートリッジ設置判定部42が黒インクカートリッジ1が設置されたことを判定した場合、主制御部46は、時計機能部46aを利用して当該設置時に関する情報を取得し、記憶部46cに記憶するようになっている。
【0083】
インクカートリッジの形態によっては、インクカートリッジ内の狭い流路部分でのインクの沈降状態が、インクカートリッジの設置前に使用者が当該インクカートリッジを上下等に振ったり転回させたりすることによって解消可能な場合がある。このような場合、その後のインクジェット記録装置において問題となり得るインクの沈降現象は、インクカートリッジの設置時点から継続することになる。
【0084】
従って、この場合、主制御部46に設けられた演算部46b(設置後経過時間算出部)が、取得された設置時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
【0085】
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図9のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、黒インクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮されることが好ましい。
【0086】
あるいは、主制御部46は、時計機能部46aを利用して、前回の黒インク吐出時に関する情報を取得し、記憶部46cに記憶するようになっている。
【0087】
インクジェット記録装置の使用の態様によっては、前回の黒インク吐出時から長時間に亘って黒インクの使用が中断される場合がある。このような場合、その後のインクジェット記録装置において問題となり得るインクの沈降現象は、前回のインク吐出時点から継続することになる。
【0088】
従って、この場合、主制御部46に設けられた演算部46b(前吐出後経過時間算出部)が、取得された前回のインク吐出時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
【0089】
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図9のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、黒インクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮されることが好ましい。
【0090】
あるいは、インクカートリッジを攪拌する攪拌機構が設けられている場合、主制御部46は、時計機能部46aを利用して、前回のインクカートリッジ攪拌時に関する情報を取得し、記憶部46cに記憶するようになっている。
【0091】
インクカートリッジを攪拌する攪拌機構が設けられた場合、当該攪拌機構を活用して、インク吐出の前にインクの沈降状態を常に解消させることが好ましい。しかしながら、当該攪拌機構の使用と濃度差の生じたインクのクリーニング(吸引)とが、コスト等の諸要因を加味して選択的になされ得る場合がある。このような場合、インクジェット記録装置において問題となり得るインクの沈降現象は、前回の攪拌時点から継続することになる。
【0092】
従って、この場合、主制御部46に設けられた演算部46b(前攪拌後経過時間算出部)が、取得された前回の攪拌時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
【0093】
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図9のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、黒インクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮されることが好ましい。
【0094】
主制御部46及び吸引制御部47は、求めた黒インクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23aを制御して、インクカートリッジ設置時等におけるインク充填吸引処理を実行するようになっている。
【0095】
同様に、本実施の形態の主制御部46は、インクカートリッジ設置判定部42がカラーインクカートリッジ2が設置されたことを判定した場合、新しいカラーインクカートリッジ2の半導体記憶手段32に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ2が製造された製造年月日と当該インクカートリッジ2が収容する各インクの沈降特性情報とを、情報読取部39を介して取得して、記憶部46cに記憶するようになっている。
【0096】
そして、主制御部46に設けられた演算部46b(製造後経過時間算出部)が、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
【0097】
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、各カラーインクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算の詳細については、黒インクの場合と略同様である。ここで、経過時間の長さに加えて、各カラーインクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮されることが好ましい。
【0098】
あるいは、インクカートリッジ設置判定部42がカラーインクカートリッジ2が設置されたことを判定した場合、主制御部46は、時計機能部46aを利用して当該設置時に関する情報を取得し、記憶部46cに記憶するようになっている。
【0099】
この場合、主制御部46に設けられた演算部46b(設置後経過時間算出部)が、取得された設置時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
【0100】
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図9のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、各カラーインクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮されることが好ましい。
【0101】
あるいは、主制御部46は、時計機能部46aを利用して、前回のカラーインク吐出時に関する情報を取得し、記憶部46cに記憶するようになっている。
【0102】
この場合、主制御部46に設けられた演算部46b(前吐出後経過時間算出部)が、取得された前回のカラーインク吐出時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
【0103】
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図9のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、各カラーインクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮されることが好ましい。
【0104】
あるいは、インクカートリッジを攪拌する攪拌機構が設けられている場合、主制御部46は、時計機能部46aを利用して、前回のインクカートリッジ攪拌時に関する情報を取得し、記憶部46cに記憶するようになっている。
【0105】
この場合、主制御部46に設けられた演算部46b(前攪拌後経過時間算出部)が、取得された前回の攪拌時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
【0106】
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図9のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、各カラーインクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮されることが好ましい。
【0107】
主制御部46及び吸引制御部47は、求めた各インクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23b〜23dを制御して、インクカートリッジ設置時等におけるインク充填吸引処理を実行するようになっている。
【0108】
次に、以上のような構成よりなる本実施の形態の作用について説明する。
【0109】
黒インクカートリッジ1が設置(交換)されると、インクカートリッジ設置判定部42が押圧スイッチ43からの信号によって黒インクカートリッジ1が設置(交換)されたことを判定する。
【0110】
そして、主制御部46が、新しい黒インクカートリッジ1の半導体記憶手段27に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ1が製造された製造年月日と当該インクカートリッジ1が収容する黒インクの沈降特性情報とを、情報読取部38を介して取得する。
【0111】
次に、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、インクカートリッジの設置時点から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、黒インクの前吐出時点から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、インクカートリッジの前攪拌時点から現在時点までの経過時間を演算する。
【0112】
さらに演算部46bは、この経過時間の長さと黒インクの沈降特性情報とに基づいて、黒インクの沈降状態を推定し、黒インクの初期吸引量を演算する。
【0113】
前記経過時間が所定時間以上である場合、インク室1a内の特に狭い流路部分において、インクの沈降現象によって濃度差が発生していると推定される。このため、当該部分のインクを用いて高品質の記録を行うことは困難である。従って、このようなインクをクリーニング処理によって排出すべく、インクの初期吸引量は前記経過時間の長さに応じて多く設定される。
【0114】
主制御部46及び吸引制御部47は、求めたインクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23aを制御して、インクカートリッジ設置時等における黒インクの充填吸引処理を実行する。
【0115】
同様に、カラーインクカートリッジ2が設置(交換)されると、インクカートリッジ設置判定部42が押圧スイッチ44からの信号によってカラーインクカートリッジ2が交換されたことを判定する。
【0116】
そして、主制御部46が、新しいカラーインクカートリッジ2の半導体記憶手段32に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ2が製造された製造年月日と当該インクカートリッジ2が収容する各カラーインクの沈降特性情報とを、情報読取部39を介して取得する。
【0117】
次に、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、インクカートリッジの設置時点から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、各インクの前吐出時点から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、インクカートリッジの前攪拌時点から現在時点までの経過時間を演算する。
【0118】
さらに演算部46bは、この経過時間の長さと各インクの沈降特性情報とに基づいて、各インクの沈降状態を推定し、各インクの初期吸引量を演算する。
【0119】
前記経過時間が所定時間以上である場合、各インク室2a〜2c内の特に狭い流路部分において、インクの沈降現象によって濃度差が発生していると推定される。このため、当該部分のインクを用いて高品質の記録を行うことは困難である。従って、このようなインクをクリーニング処理によって排出すべく、各インクの初期吸引量は前記経過時間の長さに応じて多く設定される。
【0120】
主制御部46及び吸引制御部47は、求めた各インクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23b〜23dを制御して、インクカートリッジ設置時等における各カラーインクの充填吸引処理を実行する。
【0121】
以上のように、本実施の形態によれば、インクカートリッジ1、2内の各インクの沈降状態に関する情報に基づいて吸引ポンプ23a〜23dが制御されるため、インクカートリッジ1、2の設置時等に、適切なインクの充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
【0122】
次に、本発明の第2の実施の形態のインクジェット式記録装置について図10及び図11を用いて説明する。図10は、本発明の第2の実施の形態のインクジェット式記録装置内部の印字機構を示す概略構成図であり、図11は、図10の装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【0123】
図10及び図11に示すように、本実施の形態のインクジェット式記録装置のキャッピングユニット19は、黒インク用記録ヘッド17のノズル開口を封止するキャップ20aと、カラーインク用記録ヘッド18のノズル開口を共通に封止するキャップ20eとを有している。
【0124】
この場合、これらのキャップ20a、20eは、同一のスライダ21に搭載されており、モータ等によって駆動される2連構成のポンプユニット23a、23e(クリーニング部)にチューブ(図示せず)を介してそれぞれ接続されている。これにより、各キャップ20a、20eは独立に負圧の供給を受けて、対応する記録ヘッド17及び18のノズル開口からインクを吸引する、すなわち、クリーニング処理を行うようになっている。
【0125】
その他の構成は、図1乃至図8に示す第1の実施の形態と同様の構成である。第2の実施の形態において、図1乃至図8に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0126】
本実施の形態によれば、インクカートリッジ1、2のインクの沈降状態に関する情報に基づいて吸引ポンプ23a、23eが制御される。これにより、インクカートリッジ1、2の設置時等に、適切なインクの充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
【0127】
特に、カラーインクカートリッジ2については、各インク室2a〜2cに収容された各インクに対して共通に吸引ポンプ23eが制御されるため、インクカートリッジの設置時等に、簡便な充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
【0128】
次に、本発明の第3の実施の形態のインクジェット式記録装置について図12及び図13を用いて説明する。図12は、本発明の第3の実施の形態のインクジェット式記録装置内部の印字機構を示す概略構成図であり、図13は、図12の装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【0129】
図12及び図13に示すように、本実施の形態のインクジェット式記録装置のキャッピングユニット19は、黒インク用記録ヘッド17のノズル開口とカラーインク用記録ヘッド18のノズル開口とを共通に封止するキャップ20gを有している。
【0130】
この場合、共通のキャップ20gは、スライダ21に搭載されており、モータ等によって駆動される単一のポンプユニット23g(クリーニング部)にチューブ(図示せず)を介して接続されている。これにより、キャップ20gは負圧の供給を受けて、記録ヘッド17及び18の全ノズル開口からインクを吸引する、すなわち、クリーニング処理を行うようになっている。
【0131】
その他の構成は、図10及び図11に示す第2の実施の形態と同様の構成である。第3の実施の形態において、図10及び図11に示す第2の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0132】
本実施の形態によれば、インクカートリッジ1、2のインクの沈降状態に関する情報に基づいて共通に吸引ポンプ23gが制御される。これにより、インクカートリッジ1、2の設置時等に、適切なインクの充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
【0133】
なお、以上の各実施の形態では、黒インク用記録ヘッド17とカラーインク用記録ヘッド18とが別個に構成されているが、これらは一体に形成されていてもよい。
【0134】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、液体容器の液体室における液体の沈降状態情報が取得され、当該沈降状態情報に基づいてクリーニング部が制御されるため、例えばノズル開口に相対的に近い流路における液体の沈降状態が所定レベル以上である場合、当該流路内の液体を吸引してから、目的とする液体噴射動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインクジェット式記録装置の第1の実施の形態を示す概略斜視図。
【図2】図1の装置内部の印字機構を示す概略構成図。
【図3】黒インクカートリッジの一例を示す概略斜視図。
【図4】3色カラーインクカートリッジの一例を示す概略斜視図。
【図5】インクカートリッジが装着されるホルダの一例を示す概略斜視図。
【図6】インク室の一例の縦断面図。
【図7】図5のインク室におけるフィルタ室近傍の横断面図。
【図8】図1の装置の制御系を示す概略ブロック図。
【図9】消費されるインク量毎のOD値の一例を示すグラフ。
【図10】本発明によるインクジェット式記録装置の第2の実施の形態を示す概略斜視図。
【図11】図10の装置の制御系を示す概略ブロック図。
【図12】本発明によるインクジェット式記録装置の第3の実施の形態を示す概略斜視図。
【図13】図12の装置の制御系を示す概略ブロック図。
【符号の説明】
1 黒インクカートリッジ
2 カラーインクカートリッジ
3 筐体
4 操作パネル
5 電源スイッチ
11 キャリッジ
12 タイミングベルト
13 キャリッジ駆動モータ
14 ガイド部材
15 プラテン
16 記録媒体
17 黒インク用記録ヘッド
17a インク連通路
18 カラーインク用記録ヘッド
18a インク連通路
19 キャッピングユニット
20a〜20d、20e、20g キャップ
21 スライダ
23a〜23d、23e、23g 吸引ポンプ
27、32 半導体記憶手段
33、34 電気接点
35 ヘッドホルダ
38、39 情報読取部
40 フレキシブルケーブル
41 制御装置
42 インクカートリッジ設置判定部
43、44 押圧スイッチ
45 キャリッジモータ制御部
46 主制御部
46a 時計機能部
46b 演算部
46c 記憶部
47 吸引制御部
48 ポンプ駆動部
49 印字・フラッシング制御部
50 ヘッド駆動部
100 インク室
101 第1インク収容室
102 分割壁
103 第2インク収容室
104 差圧弁収容室
105 フィルタ室
106 中央壁
106a 中央凸弁座
106b 貫通孔
111a〜111j 流路形成壁
114 インク供給口
115 第1バッファ室
116 第2バッファ室
118 フィルタ
121 空気室
130 側壁
140 膜弁
140a 外周部
140b 中心孔
142 コイルバネ

Claims (2)

  1. 含有成分の沈降現象が発生し得る複数種類の液体をそれぞれ収容する複数の液体室を有する液体容器が設置される液体容器設置部と、
    複数のノズル開口を有するヘッド部材と、
    液体容器設置部に設置される液体容器の各液体室の内部と各ノズル開口とをそれぞれ連通させる複数の液体連通路と、
    液体容器設置部に設置される液体容器の各液体室における液体の沈降状態に関する沈降状態情報をそれぞれ取得する沈降状態取得部と、
    複数のノズル開口部分の各液体を吸引する複数のクリーニング部と、
    液体容器内の液体を攪拌する攪拌機構と、
    沈降状態取得部が取得した各液体室の沈降状態情報に基づいて、沈降状態のレベルが大きい場合に液体の初期吸引量が多くなるように、複数のクリーニング部をそれぞれ制御するクリーニング制御部と、
    を備え、
    前記沈降状態情報は、前回の液体容器の攪拌時点から現在時点までの前攪拌後経過時間に基づく情報であって、更に、各液体室における液体自体の沈降現象発生のし易さに基づく情報であり、
    液体容器は、各液体室内の液体の沈降現象発生のし易さに関する沈降特性情報を記憶する沈降特性記憶部を有しており、
    前記沈降状態取得部は、
    前回の液体攪拌時点を記憶する前攪拌時記憶部と、
    現在時点を認識する時計機能部と、
    前回の液体攪拌時点から現在時点までの経過時間を算出する前攪拌後経過時間算出部と、
    液体容器設置部に設置される液体容器の沈降特性記憶部に記憶された沈降特性情報を読取る特性情報読取部と、
    前記前攪拌後経過時間と前記沈降特性情報とから、各液体室における液体の沈降状態を推定して前記沈降状態情報を取得する沈降状態推定部と、
    を有している
    ことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 液体容器の各液体室に収容される各液体は、異なる色の顔料インクである
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
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