JP3825702B2 - 生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、及びそれより得られる発泡体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は生分解性ポリエステル樹脂と多価イソシアネート化合物とからなり、機械的強度、耐熱性に優れ、操業性に問題のない発泡体等の成形に有利なレオロジー特性を有する生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、及びそれから得られる発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸は他の生分解性樹脂と比較して融点が高く耐熱性に優れる特徴を持つ反面、溶融粘度が低く、例えば、押出発泡成形する際に破泡を起こして十分な発泡倍率が得られなかったり、インフレーション成形する際にバブルが安定せず、成形体に偏肉を生じ易いといった問題があるため、成形条件に厳しい制約を受けたり、生産効率が悪い等の様々な欠点を有していた。従って実用に供するためには、溶融張力の向上及び伸長粘度測定時の歪み硬化性の発現が必要であった。
【0003】
一般に、歪み硬化性を発現させるには高重合度ポリマーを添加する方法や長鎖分岐を有するポリマーを用いる方法が有効と考えられている。高重合度ポリマーの製造では、重合に長時間を要し生産性効率が悪くなるばかりか、長時間の熱履歴による着色や分解等が見られるため、例えば重量平均分子量(Mw)が50万以上の生分解性ポリエステルは実用化されていない。また一方で、分岐ポリ乳酸を製造する方法としては、重合時に多官能性開始剤を添加する方法が知られているが(特開平10−7778号公報、特開2000−136256号公報)、重合時に分岐鎖を導入してしまうと、樹脂の払出などに支障が出たり、分岐の度合いを自由に変更できないなどの点で問題があった。また、層状珪酸塩を溶融混練する方法が検討されているが、層状珪酸塩の分散性に問題があり、生分解性樹脂ではまだ実用化されていない。
【0004】
一方、生分解性樹脂を作製後、過酸化物や反応性化合物等との溶融混練により架橋を生じさせる方法は、簡便で、分岐度合いを自由に変更できる点から、多くの研究が行われている。しかしながら、特開平11−60928号公報に用いられている酸無水物や多価カルボン酸は反応性にムラが生じやすかったり、減圧にする必要があるなど実用的でない。一方、特許第2571329号公報ではグリコールとジカルボン酸とから構成される脂肪族ポリエステルの発泡に、また特開2000−17037号公報ではポリ乳酸の発泡に、それぞれ多価イソシアネートを使用することが開示されている。しかし、これらの方法では、多価イソシアネート化合物の使用量が多いため、均一な反応が起こりにくく、部分的に強固に架橋して操業性が低下したり、また生分解性が損なわれるという問題があった。また多価イソシアネート化合物は反応性が高い反面、再溶融時に分子量が低下しやすかったり、操業時の安全性に問題があるなど、特に使用量が多い場合はこれらの問題点が強く出て実用化レベルに達した技術は確立されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、機械的強度、耐熱性に優れ、操業性に問題のない発泡体等の成形に有利なレオロジー特性を有する生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、及びその発泡体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、生分解性ポリエステル樹脂と多価イソシアネート化合物とからなる特定の組成物が、溶融粘度の向上及び伸長粘度測定における歪み硬化性の発現により、発泡成形性に優れたレオロジー特性を有するのみならず、得られた成形加工品の耐熱性や機械的強度にも優れ、操業性・安全性にも問題がないことを見出し、本発明に到達した。
【0007】
(1)α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂100質量部と、多価イソシアネート化合物0.01〜0.4質量部、及び過酸化物0.1〜5質量部とを溶融混練することを特徴とする発泡用生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
(2)(1)記載の製造方法によって得られる発泡用生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(3)(2)記載の発泡用生分解性ポリエステル樹脂組成物を発泡成形して得られる生分解性樹脂発泡体。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、生分解性ポリエステル樹脂は、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有することが必要である。α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位としては、D−乳酸、L−乳酸、又はこれらの混合物、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒロドキシ吉草酸、3−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。D−乳酸、L−乳酸又はこれらの混合物を含有する生分解性ポリエステル樹脂は、機械的強度、耐熱性に優れるため好ましい。これらのα−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の含有量は50モル%以上であることが必要である。含有量が50モル%未満であると、生分解性、耐熱性が低下するという問題がある。従って、本発明の生分解性ポリエステル樹脂は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒロドキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)、これらの共重合体、及びこれらの混合物等を50モル%以上含有している。
【0009】
ここで用いられる生分解性ポリエステル樹脂は通常公知の溶融重合法で、あるいはさらに固相重合法を併用して製造される。また、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)及びポリ(3−ヒロドキシ吉草酸)等については微生物による生産も可能である。
【0010】
本発明に用いるα−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂には、ポリ(α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸)の耐熱性を大幅に損ねない範囲で、必要に応じてその他の生分解性樹脂成分を共重合ないしは混合することもできる。その他の生分解性樹脂としては、ポリ(エチレンサクシネート)やポリ(ブチレンサクシネート)等に代表されるジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル、ポリ(ε−カプロラクトン)に代表されるポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、さらに芳香族成分を含んでいても生分解を示すポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)や、(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート)の他、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、デンプンなどの多糖類等が挙げられる。
【0011】
本発明で用いられる生分解性ポリエステル樹脂の分子量としては特に制限はないが、重量平均分子量が5万以上100万未満であることが好ましく、さらには10万以上100万未満であることが好ましい。重量平均分子量が5万未満である場合には樹脂組成物の溶融粘度が低すぎるので好ましくない。逆に、これが100万を超える場合には樹脂組成物の成形性が急速に低下するので好ましくない。
【0012】
本発明で用いられる多価イソシアネート化合物としては、生分解性樹脂との反応性が高くモノマーが残りにくい化合物が好ましい。具体的な化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、多価イソシアネート修飾したポリエステル、多価イソシアネート修飾したポリ(メタ)アクリル酸化合物、多価アルコールに多価イソシアネート修飾した化合物等及びそれらの混合物が挙げられる。
【0013】
多価イソシアネート化合物の配合量は、生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部、好ましくは0.05〜0.4質量部である。0.01質量部未満では本発明の目的とする機械的強度、耐熱性、寸法安定性の改良効果が得られず、0.5質量部を超える場合には未反応のイソシアネート化合物が混練中に蒸気となって発生するなど操業性・安全性に支障が出たり、架橋度合いが高くなりすぎたり、逆に再加熱した場合に分子量が低下するため好ましくない。
【0014】
本発明における生分解性ポリエステル樹脂組成物は、その融点より10℃高い温度での伸張粘度測定で得られる時間−伸張粘度の対数プロット(図1参照)において、屈曲点があらわれるまでの伸張初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸張後期の傾きa2との比(a2/a1)であらわされる歪み硬化係数が、1.05以上、50未満であるような、歪み硬化性が発現されることが好ましい。より好ましい歪み硬化係数は1.5〜30である。歪み硬化係数が1.05未満であると、押出発泡成形時に破泡を起こしたり、成形体に偏肉を生じやすい。また歪み硬化係数が50以上であると成形時にゲルが発生しやすく流動性も大きく低下して好ましくない。
【0015】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、生分解性ポリエステル樹脂、多価イソシアネート化合物、及び後述する過酸化物を原料として、一般的な押出機を用いて溶融混練して製造することができる。混練状態をよくする意味で二軸の押出機を使用することが好ましい。混練温度は(樹脂の融点+5℃)〜(樹脂の融点+100℃)の範囲が、また、混練時間は20秒〜30分が好ましい。この範囲より低温や短時間であると、混練や反応が不充分となり、また高温や長時間であると樹脂の分解や着色が起きることがある。この場合、本発明で用いる多価イソシアネート化合物及び過酸化物は、固体状であればドライブレンドや粉体フィーダーを用いて供給する方法が望ましい。液体状の場合は、加圧ポンプを用いて、押出機の途中から注入する方法が望ましいが、多価イソシアネート化合物と過酸化物の混合液は貯蔵安定性が悪いため、可塑剤などを用いて希釈して注入するか、別々に注入する方法が望ましい。
【0016】
本発明で用いられる過酸化物の例としては、分散性が良好な有機過酸化物が好ましく、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。
【0017】
過酸化物の配合量は生分解性ポリエステル樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。0.1質量部未満では本発明の目的とする機械的強度、耐熱性、寸法安定性の改良効果が得られず、10質量部を超える場合には未利用となり、コスト面で好ましくない。
【0018】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、上記のように、生分解性ポリエステル樹脂、多価イソシアネート化合物、及び過酸化物を原料としてこれらを溶融混練して製造することができるが、一般に過酸化物は溶融混練中に分解するため、得られた樹脂組成物中に過酸化物が必ず含有されているとは限らない。
【0019】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材等を添加することも可能である。熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。
【0020】
なお、本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物に上記添加剤や他の熱可塑性樹脂を混合する方法は特に限定されるものではなく、通常の加熱溶融後、例えば、従来より知られている一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等を用いる混練法によって混練するとよい。また、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも効果的である。また、生分解性樹脂の重合時に加えてもよい。
【0021】
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物から発泡体を製造する際の発泡方法には、一般的な方法全てを適用することができる。例えば、押出機を用いて、樹脂にあらかじめ樹脂の溶融温度で分解する分解型発泡剤をブレンドしておき、スリット状ノズルから押出してシート状にしたり、丸形ノズルから押出してストランド形状にすることができる。分解型発泡剤の例としては、アゾジカルボンアミドやバリウムアゾジカルボキシレートに代表されるアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンに代表されるニトロソ化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)やヒドラジカルボンアミドに代表されるヒドラジン化合物、あるいは炭酸水素ナトリウムなどの無機系の発泡剤などを挙げることが出来る。また、押出機途中から揮発型発泡剤を注入して発泡することも可能である。この場合の発泡剤としては、窒素、二酸化炭素、水等の無機化合物や、メタン、エタン、ブタンなどの各種炭化水素、フロン化合物、エタノールやメタノール等の各種アルコール類に代表される有機溶媒などを挙げることが出来る。また、あらかじめ樹脂組成物の微粒子を作製し有機溶媒や水など上記に示した発泡剤を含浸させた後、温度や圧力の変化で発泡させて発泡微粒子を作製する方法も適用できる。
【0022】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0023】
実施例及び比較例の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)分子量:
示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置(島津製作所製)を用い、テトラヒドロフランを溶出液として40℃で標準ポリスチレン換算で求めた。
(2)曲げ弾性率:
ASTM−790に準じて150mm×10mm×6mmの試験片を作製し、変形速度1mm/分で荷重をかけ、曲げ弾性率を測定した。
(3)融点:
示差走査熱量計DSC―7(パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(4)MFR:
JIS K7210に従い、附属書A表1のFの条件にて測定した。
(5)伸長粘度:
伸長粘度測定装置RME(レオメトリック社製)を用い、60mm×7mm×1mmの試験片を作製し、その両端を金属ベルトクランプにより支持した後、樹脂組成物の融点よりも10℃高い温度で、歪み速度0.1sec-1で回転させて測定サンプルに伸長変形を加え、変形中にピンチローラにかかるトルクを検出することにより伸長粘度を求めた。
(6)歪み硬化係数(a2/a1)(図1参照):
伸長時間と伸長粘度の両対数プロットにおいて、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)を算出した。
(7)発泡倍率:
生分解性ポリエステル樹脂組成物のペレットをいったん乾燥した後、発泡剤として液化炭酸ガスを用い、バッチ発泡試験(耐圧容器を用い、融点より10℃低い温度で,10MPaで二酸化炭素を含浸後、常圧へ戻す)並びに連続発泡シート作製実験(二軸押出成形機PCM−30(池貝製、ダイのスリット長さ40mm、スリット巾1mm)を用い、押出ヘッド温度;200℃、ダイ出口温度;160℃)を行った。
得られた発泡体を水中に浸漬した際に増加する体積と、発泡体の質量と樹脂密度から求まる体積との比から算出した。
(8)発泡体外観:
○:均一なロッド状になり、表面の肌荒れが無い。
△:一部不均一なロッド状になるが、表面の肌荒れが無い。
×:不均一なロッド状になり、表面の肌荒れある。
【0024】
実施例及び比較例に用いた原料は次のとおりである。
(1)生分解性ポリエステル樹脂:
A:ポリ乳酸(重量平均分子量20万、L体99%、D体1%)
B:ポリ乳酸(重量平均分子量18万、L体90%、D体10%)
C:ポリ乳酸(重量平均分子量18万、L体80%、D体20%)
D:ポリ乳酸(重量平均分子量9万、L体85%、D体15%)
(2)多価イソシアネート化合物:
HMDI:ヘキサメチレンジイソシアネート(ナカライ化学製)
TDI:トリレンヘキサメチレンジイソシアネート(ナカライ化学製)
TN:タケネート(武田薬品工業製)
MI:ミリオネート(日本ポリウレタン工業製)
(3)過酸化物:
I:ジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂製)
J:2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂製、可塑剤であるアセチルトリブチルクエン酸に10%溶液となるよう溶解して用いた)
K:2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3の不活性固体希釈粉体(日本油脂製、生分解性ポリエステル樹脂にあらかじめドライブレンドして用いた)
【0025】
実施例1
二軸押出成形機(池貝製PCM−30、ダイス直径;4mm×3孔、押出ヘッド温度;200℃、ダイ出口温度;180℃)を用い、重量平均分子量20万のポリ乳酸(L体99%、D体1%)(A)100質量部を供給した。発泡核剤としてタルク(林化成製)0.5質量部を添加した。混練機途中からポンプを用いてヘキサメチレンジイソシアネート(ナカライ化学製)(HMDI)0.25質量部とジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂製)(I)0.75質量部をアセチルトリブチルクエン酸2質量部に溶解した溶液を注入し、押出し、ペレット状に加工し、生分解性ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた組成物の物性と、発泡試験の結果を表1に示した。
【0026】
実施例2〜12、比較例1〜6
生分解性ポリエステル樹脂、多価イソシアネート化合物、及び過酸化物をそれぞれ表1に示す種類と量に変えた以外は実施例1と同様にして組成物を得、発泡試験を行った。結果を表1にまとめた。
【0027】
【表1】
【0028】
表1から明らかなように実施例1〜12において、曲げ弾性率に優れ、独立発泡で均一な発泡体が得られることが分かり、生分解性の樹脂組成を変更しても曲げ弾性率に優れ、独立発泡で均一な発泡体が得られることが分かった。
比較例1及び比較例4〜5においては、多価イソシアネート化合物を含有していないため、曲げ弾性率を代表とする機械的強度の改善が図れず、歪み硬化係数も低いものであった。これらの樹脂を発泡処理を行っても満足な発泡体が得られなかった。
比較例2においては、過酸化物を原料として用いないため、曲げ弾性率を代表とする機械的強度の改善が図れず、歪硬化係数も測定できないものであった。その樹脂の発泡体を得ようとしたが破泡して満足な発泡体を得ることができなかった。
比較例3では、過剰なイソシアネート化合物により、分子量が低下してしまい、曲げ弾性率を代表とする機械的強度の改善が図れず、歪硬化係数が低いものであった。その樹脂の発泡体を得ようとしたが破泡して満足な発泡体を得ることができなかった。比較例6では、架橋が進みすぎて押出機途中で詰まりが発生し、樹脂組成物を得ることはできなかった。
【0029】
実施例13
実施例2で得られた生分解性樹脂組成物に対し、発泡剤としてアゾジカルボンアミド系熱分解型発泡剤(永和化成製ビニホールAC#3)が1.5質量%になるようにドライブレンドして発泡試験を行った。すなわち、一軸40mm径の押出しTダイ試験機(スルーザー型スタティックミキサー3.5段併設、スリット長500mm、スリット幅1.5mm)を用い、溶融温度220℃、ダイ出口温度160℃、スクリュー回転数16rpm、引取り速度3m/分で製膜した。製膜時の発泡状態は極めて均一であり、得られた発泡体の発泡倍率は4倍で、独立型の気泡から構成されているものであった。
【0030】
実施例14
発泡剤として液化二酸化炭素を生分解性樹脂組成物の3質量%になるように高圧ポンプで押出して押出機途中から注入した以外は実施例13と同様に発泡試験を行った。製膜時の発泡状態は極めて均一であり、得られた発泡体の発泡倍率は12倍で、独立型の気泡から構成されているものであった。
【0031】
実施例15
実施例2で得られた生分解性樹脂組成物を、凍結粉砕し、平均粒径1mmの粒子を作製した。この粒子をいったん乾燥した後、発泡剤として液化炭酸ガスを用い、バッチ発泡試験(耐圧容器を用い、融点より10℃低い温度で,10MPaで二酸化炭素を含浸後、常圧へ戻す)を行った。得られた発泡粒子は極めて均一であり、発泡倍率は35倍で、独立型の気泡から構成されているものであった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、機械的強度、耐熱性に優れ、発泡体等の成形に有利なレオロジー特性を有する生分解性ポリエステル樹脂組成物を、簡便に、コストも低く作製することができ、この樹脂を用いて発泡性に優れた発泡体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1、歪み硬化係数)を求める際の伸長時間と伸長粘度の模式図を示す。
Claims (5)
- α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂100質量部と、多価イソシアネート化合物0.01〜0.4質量部、及び過酸化物0.1〜5質量部とを溶融混練することを特徴とする発泡用生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位が、D−乳酸、L−乳酸又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載の発泡用生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1又は2記載の製造方法によって得られる発泡用生分解性ポリエステル樹脂組成物。
- 生分解性ポリエステル樹脂組成物の融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1、歪み硬化係数)が、1.05以上、50未満であるような、歪み硬化性が発現されることを特徴とする請求項3記載の発泡用生分解性ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項3又は4に記載の発泡用生分解性ポリエステル樹脂組成物を発泡成形して得られる生分解性樹脂発泡体。
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