JP3814002B2 - 工業ミシン用軸受構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一部がミシン本体の外部に露出している針棒装置や押え装置等に好適な摩耗粉による縫製物の汚染を防止することのできる工業ミシン用軸受構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工業ミシンの針棒装置や押え装置等においては、金属素材により形成され上下方向に往復運動する針棒および押え棒を金属製の軸受部材を用いて摺動可能に保持する軸受構造が用いられている。このような軸受構造においては、ミシンの高速運転にともなって摺動部位が発熱し、この発熱に起因して焼付損傷(針棒あるいは押え棒等が軸受と焼き付いてしまい針棒あるいは押え棒等が動作しなくなる)や摩耗、発熱を生じる場合があるという問題点があった。
【0003】
そこで、このような焼付損傷や摩耗を防止するために、軸受構造の摺動部位には、潤滑油が用いられているが、潤滑油自体も発熱により劣化するので、給油手段を設けて摺動部位に潤滑油を強制的に供給する構成が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の工業ミシンの針棒装置や押え装置等の摺動部位に対して潤滑油を強制的に供給する給油手段を設けるということは、ミシン構造の複雑化や部品点数の増加等を招きコストを増加させるばかりでなく、摺動部位に供給する潤滑油の量(給油量)を適正に制御するのが困難であり、摺動部位に対する給油量が多い場合には、潤滑油によって縫製物を汚染する場合があるという問題点があった。また逆に、油芯やオイルミストを用いた微量給油あるいはグリース給油によって摺動部位に対する給油量を少なくした場合には、焼付損傷あるいは摩耗、発熱を確実に防止することができない場合があるという問題点があった。
【0005】
このような焼付損傷や摩耗の発生等という問題点に対処するために、例えば、特開昭63−164993号公報、特開平2−109592号公報等が提案されている。
【0006】
前記特開昭63−164993号公報に記載の構成は、ミシンの往復運動する被軸受部材としての駆動軸と、この駆動軸を支持する軸受部材の何れか一方をセラミックスで形成することによって摺動部位を無給油としたものである。しかしながら、セラミックスにより無給油とした場合においても、摩耗を防止することができず、摩耗粉が発生して縫製物を汚染してしまうという問題点があった。また、同公報には、駆動軸と軸受部材との少なくとも一方に溝を設け、この溝に潤滑油を充填し、この溝に充填された潤滑剤が軸受部材の外部に漏洩するのを防止するために軸受部材の両端部にオイルシールからなる密封装置を配設したものが提案されているが、セラミックスに溝加工を施すのは、セラミックス素材の硬さ、脆さ等の特性により困難さをともない、コストが高く、実用的でないという問題点があった。
【0007】
また、前記特開平2−109592号公報に記載の構成は、ミシンの針棒装置において、針棒を、アルミニウム合金を母材としこの母材の表面に硬質アルマイト皮膜を生成させ、この硬質アルマイト皮膜に四フッ化樹脂または二硫化モリブテンを含浸させて形成し、針棒を支持する軸受部材をポリイミド系またはポリイミドアミド系樹脂によって形成することにより、摺動部位を無給油としたものである。しかしながら、硬質アルマイトと樹脂系軸受とにより形成された摺動部位においては、多量の摩耗粉が発生し、この摩耗粉が軸受部材の外部に排出され縫製物を汚染してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、摺動部位を無給油あるいは微量給油とした場合においても摩耗粉による縫製物の汚染を防止することができる工業ミシン用軸受構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため特許請求の範囲の請求項1に記載の本発明の工業ミシン用軸受構造の特徴は、少なくとも摺動面が樹脂からなる樹脂層により形成された軸受部材と、この軸受部材により摺動可能に支持され少なくともミシン本体の外部に一部が露出し前記軸受部材の摺動面と摺動可能に当接された上下方向に往復運動可能な被軸受部材と、前記軸受部材のミシン本体の外部に露出している下端部に配設され前記軸受部材の摺動面と前記被軸受部材の被摺動面との摺動により生じる摩耗粉を吸着する油分を含浸した摩耗粉捕獲部材とを有する点にある。前記摩耗粉捕獲部材が、断面略L字形状に形成された捕獲部材取付体によって軸受部材の下端部の端面に取着されており、前記捕獲部材取付体は、複数の止めねじによって軸受部材の下端部の外周面を囲繞するようにして取着されており、前記捕獲部材取付体は、前記複数の止めねじを緩めることにより着脱可能とされていることが好ましく、さらに、前記被軸受部材が、針棒あるいは押え棒であることが好ましい。
【0010】
そして、このような構成とすることにより、上下方向に往復する被摺動面と樹脂からなる樹脂層により形成された摺動面とを摺動させることにより、摺動部位を無給油あるいは微量給油とすることができるとともに、摩耗粉捕獲部材によって被摺動面と摺動面とを摺動させることにより生じる摩耗粉を吸着することができるので、摩耗粉による縫製物の汚染を確実に防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態により説明する。
【0012】
図1および図2は本発明に係る工業ミシン用軸受構造を針棒に用いた第1の実施の形態を示すものであり、図1は全体構成の要部を示す斜視図であり、図2は要部の拡大断面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態においては、工業ミシン1のミシン本体2は、図1において破線にて示すように、下部にベッド3が配設され、上部にベッド3と平行にしてミシンアーム4が配設されており、ベッド3とミシンアーム4とは、ベッド3の右側に配設された連結部5により連結され、全体として正面略コ字形状に形成されている。
【0014】
前記ミシンアーム4の内部には、その長手方向の略中央部に略円筒形状に形成された上軸軸受6がその軸芯をベッド3と略平行にして配設されており、この上軸軸受6には、上軸7がベッド3と略平行な略水平にして回動可能に支持されている。この上軸7の右端部近傍には、プーリ8が取着されており、このプーリ8には、ベッド3の右端部に配設された駆動モータの駆動力がタイミングベルト(共に図示せず)を介して伝達されるようになっている。
【0015】
前記上軸7の左端部近傍には、針棒装置9が配設されている。この針棒装置9は、プーリ側から順に上軸7に配設された針棒クランク10および針棒クランクロッド11と、針棒クランクロッド11に針棒抱き12を介して上下運動可能に配設された被軸受部材13としての針棒14とにより構成されている。
【0016】
前記ミシンアーム4の左端部近傍には、針棒14を上下方向に垂直、かつ、上下方向に往復移動可能に支持する軸受部材15としての上下1対の針棒軸受16が配設されている。この上下1対の針棒軸受16の内の、図1において上方に示す一方は、全体がミシンアーム4の左端部の内部に位置する針棒上軸受16aとされ、図1において下方に示す他方は、その下端部がミシンアーム4、すなわちミシン本体2の外部に露出した針棒下軸受16bとされている。
【0017】
図2に詳示するように、本実施の形態の被軸受部材13としての針棒14は、鋼材またはアルミニウム合金等の金属により構成されている。尚、図2には、より耐摩耗性の優れたセラミックスからなる被覆層18が針棒14の母材17の表面(外周面)に形成されている。つまり、後述する軸受部材15の摺動面19たる針棒軸受16の摺動面19aと摺動する被軸受部材13の被摺動面20たる針棒14の被摺動面20aがセラミックスからなる被覆層18により形成されている。この被覆層18を形成するセラミックスとしては、TiN、TiC、TiCN、CrN、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)等を例示することができる。
【0018】
また、本実施の形態の軸受部材15としての針棒軸受16は、鋼材またはアルミニウム合金等の金属からなる母材21の表面(内周面)に樹脂からなる樹脂層22を形成することにより構成されている。つまり、前記被軸受部材13の被摺動面20たる針棒14の被摺動面20aと摺動する軸受部材15の摺動面19たる針棒軸受16の摺動面19aが樹脂からなる樹脂層22により形成されている。この樹脂層22を形成する樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の耐熱性樹脂を例示することができる。
【0019】
すなわち、本実施の形態においては、針棒14のセラミックスからなる被覆層18により形成された被摺動面20aと、針棒軸受16の樹脂からなる樹脂層22により形成された摺動面19aとにより、無給油状態での針棒14の高速運転を可能としている。
【0020】
なお、摺動面19aと被摺動面20との間に、従来より格段に給油量の少ない微量給油あるいはグリース給油を施す構成としてもよい。
【0021】
前記針棒下軸受16bのミシン本体2の外部に露出している下端部には、摩耗粉を捕獲するための略円環状に形成された摩耗粉捕獲部材23が配設されており、この摩耗粉捕獲部材23は、断面略L字形状に形成された捕獲部材取付体24によって針棒下軸受16bの下端部の端面に取着されるようになっている。また、捕獲部材取付体24は、複数の止めねじ25によって針棒下軸受16b下端部の外周面を囲繞するようにして取着されており、捕獲部材取付体24は、各止めねじ25を緩めることにより着脱可能とされている。
【0022】
つまり、必要に応じて捕獲部材取付体24を着脱することにより、摩耗粉捕獲部材23を容易に交換することができるようになっている。
【0023】
前記摩耗粉捕獲部材23は、その内周面が針棒14と当接するので、毛細管現象を有するとともに針棒14を損傷しない部材、例えば、フェルト、油芯、不織布、樹脂焼結部材等を素材とし、この素材に油分を含浸させることにより形成されており、軸受部材15たる針棒軸受16の端部から外部に排出される摩耗粉を油分の吸着力により捕獲することができるようになっている。
【0024】
また、摩擦捕獲部材23の素材に対する油分の供給(含浸)は、素材に予め油分を供給しても、摩擦捕獲部材23を針棒下軸受16bに取着する際に油分を供給しても、摩擦捕獲部材23を針棒下軸受16bに取着した後に外部から針棒下軸受16bの摺動面19aと針棒14の被摺動面20aとの間の隙間を通して供給してもよい。
【0025】
前記針棒14、針棒下軸受16bおよび摩耗粉捕獲部材23により、本実施の形態の工業ミシン用軸受構造26が構成されている。
【0026】
また、針棒下軸受16bに対する摩擦捕獲部材23の取着構成としては、例えば、図3に示すように、針棒下軸受16bの下端部の樹脂層22の内周面に環状の溝27を形成し、この溝27に円環状に形成した摩耗粉捕獲部材23の外周部を嵌合する構成や、図4に示すように、針棒下軸受16bの下端部に、軸芯方向に延出するフランジ部28を樹脂からなる樹脂層22により形成された摺動面19aの下端面から長手方向に間隔をおいて設けることにより、針棒下軸受16aの下端部の内周面に環状の溝29を形成し、この溝29に円環状に形成した摩耗粉捕獲部材23の外周部を嵌合する構成等の各種の構成から選択することができ、特に、本実施の形態の取着構成に限定されるものではない。
【0027】
つぎに、前述した構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0028】
本実施の形態の工業ミシン1の運転が開始されると、図示しない駆動モータの駆動力が図示しないタイミングベルトを介してプーリ8に伝達されて上軸7が、例えば図1において矢印Aにて示す方向に回転駆動する。この上軸7の回転運動は、針棒クランク10、針棒クランクロッド11、針棒抱き12の順に伝達し、針棒14は、図1および図2において両矢印Bにて示すように上下方向に往復運動を開始する。そして、針棒14の上下方向への往復運動により、針棒14の被摺動面20aは、上下1対の針棒軸受16の摺動面19aとの間で摺動し摩耗が生じる。
【0029】
本実施の形態においては、針棒14の被摺動面20aと針棒軸受16の摺動面19a、すなわち、被摺動面20(図においてはセラミックスからなる被覆層18により形成されている)と樹脂からなる樹脂層22により形成された摺動面19とを摺動させることにより、摺動部位を無給油あるいは微量給油とした場合の焼付損傷を防止することができるとともに、従来より格段に少ない微量給油状態あるいは無給油状態で高速運動を可能とし、従来の潤滑油による縫製物の汚染を防止することができるものの、針棒軸受16の樹脂層22により形成された摺動面19aの摩耗、特に、初期摩耗を防止することができず、このままでは、摩耗によって生じる摩耗粉、特に、初期摩耗によって生じる摩耗粉による縫製物の汚染が生じ、ミシンの商品価値が低下してしまう。
【0030】
しかし、本実施の形態においては、針棒下軸受16bの下端部には油分を含油した摩耗粉捕獲部材23が配設されており、この摩耗粉捕獲部材23により、針棒下軸受16bの下端部からベッド3の上面に位置する図示しない縫製物に向かって排出される摩耗粉を含浸させた油分により確実に吸着して捕獲することができるので、摩耗粉による縫製物の汚染を確実に防止することができ、ミシンの商品価値を確実に向上させることができる。
【0031】
なお、摩耗粉を摩耗粉捕獲部材23により吸着し続けると、摩耗粉捕獲部材23の目詰まりが生じることが推考されるが、摩耗粉の発生量は縫製物に付着した際の縫製物に与える影響性からみると一見多量に見えるが、定量的には少なく、ミシン使用上はほとんど目詰まりしない。すなわち、本実施の形態の工業ミシン1を用いて摩耗粉捕獲部材23の耐久実験をしたところ、一般の1年分の使用時間に対応する連続運転300〜500時間の連続運転において目詰まりの発生はなかったことが判明した。但し、本実施の形態においては、摩耗粉捕獲部材23が目詰まりを生じた場合を想定して、摩耗粉捕獲部材23の交換を容易に可能にする構成になっている。
【0032】
また、本実施の形態における工業ミシン用軸受構造26における摩耗粉の発生は、被摺動面20と、樹脂からなる樹脂層22により形成された摺動面19とが摺動した際に、被摺動面20と摺動面19とがなじむまでの初期摩耗により生じるものがほとんどであり、この初期摩耗により生じた摩耗粉が外部に排出されるのを防止することにより、摩耗粉による縫製物の汚染を確実に防止することができるということが実験により判明した。
【0033】
なお、摩耗粉は、針棒下軸受16bの上端部、針棒上軸受16aの上端部および下端部からも排出されるが、この針棒下軸受16bの上端部、針棒上軸受16aの上端部および下端部は、ミシン本体2の内部に位置しているので、ミシン本体2の外部へ摩耗粉が排出されることはなく、針棒下軸受16bの上端部、針棒上軸受16aの上端部および下端部に摩耗粉捕獲部材23を必ずしも設ける必然性はないが、必要に応じて、摩耗粉捕獲部材23をミシン本体2の内部に位置する針棒下軸受16bの上端部や、針棒上軸受16aの上端部および下端部に配設することを否定するものではない。
【0034】
図5は本発明に係る工業ミシン用軸受構造を針棒に用いた第2の実施の形態を示す要部の拡大断面図である。
【0035】
図5に示すように、本実施の形態の工業ミシン用軸受構造26Aは、前述した第1の実施の形態の軸受部材15としての針棒下軸受16bのかわりに、全体を樹脂層22のみにより形成した針棒下軸受16baを用いたものである。その他の構成は前述した第1の実施の形態の工業ミシン用軸受構造26と同様とされている。
【0036】
このような構成の本実施の形態の工業ミシン用軸受構造26Aは、前述した第1の実施の形態の工業ミシン用軸受構造26と同様の効果を奏する。
【0037】
図6および図7は本発明に係る工業ミシン用軸受構造を押え棒に用いた第3の実施の形態を示すものであり、図6は全体構成の要部を示す斜視図であり、図7は要部の拡大断面図である。なお、前述した実施の形態のものと同一ないしは相当する構成については、図面中に同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0038】
図6に示すように、本実施の形態においては、図6において破線にて示すミシンアーム4の左端部近傍に押え装置30が配設されている。この押え装置30は、下端部がミシン本体2の外部に露出した被軸受部材13としての押え棒31を有しており、この押え棒31は、ミシンアーム4の左端部近傍の内部にその下端部がミシンアーム4からベッド3に向かって突出するように、すなわちミシン本体2の外部に露出するようにして配設された軸受部材15たる押え棒軸受32と、ミシンアーム4の内部に押え調節ねじ33を締め付けることにより固定された押え棒案内34とにより、図6および図7において両矢印Cにて示す上下方向に往復移動可能に支持されて配設されている。この押え棒31の下端には、押え36が取着されており、押え調節ばね37により下方に向かって押しつけるように付勢されている。そして、図示しない周知の押え上げおよび膝上げ装置の運動を押え棒抱き35を介して押え棒31に伝達することにより押え棒31の上下運動が行われるようになっている。
【0039】
図7に詳示するように、本実施の形態の被軸受部材13としての押え棒31は、前述した第1の実施の形態の針棒14と同様に、鋼材またはアルミニウム合金等の金属により構成されている。尚、図7には、より耐摩耗性の優れたセラミックスからなる被覆層18が押え棒31の母材38の表面(外周面)に形成されている。つまり、後述する軸受部材15の摺動面19たる押え棒軸受32の摺動面19bと摺動する被摺動面20bがセラミックスからなる被覆層18により形成されている。
【0040】
また、本実施の形態の軸受部材15としての押え棒軸受32は、前述した第1の実施の形態の針棒下軸受16bと同様に、鋼材またはアルミニウム合金等の金属からなる母材39の表面(内周面)に樹脂からなる樹脂層22を形成することにより構成されている。つまり、前記被軸受部材13の被摺動面20たる押え棒31の被摺動面20bと摺動する軸受部材15の摺動面19たる押え棒軸受32の摺動面19bが樹脂からなる樹脂層22により形成されている。
【0041】
すなわち、本実施の形態においては、押え棒31のセラミックスからなる被覆層18により形成された被摺動面20bと、押え棒軸受32の樹脂からなる樹脂層22により形成された摺動面19bとにより、無給油状態での押え棒31の高速運転を可能としている。
【0042】
前記押え棒軸受32のミシン本体2の外部に露出している下端部には、前述した第1の実施の形態の針棒下軸受16aと同様に、摩耗粉捕獲部材23が配設されている。
【0043】
前記押え棒31、押え棒軸受32および摩耗粉捕獲部材23により、本実施の形態の工業ミシン用軸受構造26Bが構成されている。
【0044】
その他の構成は、前述した第1の実施の形態の工業ミシン用軸受構造26と同様とされている。
【0045】
このような構成の本実施の形態の工業ミシン用軸受構造26Bは、前述した各実施の形態の工業ミシン用軸受構造26,26Aと同様の効果を奏する。
【0046】
図8は本発明に係る工業ミシン用軸受構造を押え棒に用いた第4の実施の形態を示す要部の拡大断面図である。
【0047】
図8に示すように、本実施の形態の工業ミシン用軸受構造26Cは、前述した第3の実施の形態の軸受部材15としての押え棒軸受32のかわりに、樹脂層22のみにより形成した押え棒軸受32aを用いたものである。その他の構成は前述した第3の実施の形態の工業ミシン用軸受構造26Bと同様とされている。
【0048】
このような構成の本実施の形態の工業ミシン用軸受構造26Cは、前述した各実施の形態の工業ミシン用軸受構造26,26A,26Bと同様の効果を奏する。
【0049】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、上記セラミックスからなる被覆層に代えて、無電解ニッケルボロンメッキ層、複合ニッケルリンメッキ層、からなる被覆層等、必要に応じて変更することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の工業ミシン用軸受構造によれば、摺動部位を無給油あるいは微量給油とした場合においても摩耗粉を外部に排出することがないので、摩耗粉による縫製物の汚染を確実に防止することができるという極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る工業ミシン用軸受構造を針棒に用いた第1の実施の形態の全体構成の要部を示す斜視図
【図2】図1の要部の拡大断面図
【図3】図1の摩擦捕獲部材の取着構成の変形例を示す要部の拡大断面図
【図4】図1の摩擦捕獲部材の取着構成の他の変形例を示す図3と同様の図
【図5】本発明に係る工業ミシン用軸受構造を針棒に用いた第2の実施の形態の要部を示す拡大断面図
【図6】本発明に係る工業ミシン用軸受構造を押え棒に用いた第3の実施の形態の全体構成の要部を示す斜視図
【図7】図6の要部の拡大断面図
【図8】本発明に係る工業ミシン用軸受構造を押え棒に用いた第4の実施の形態の要部を示す拡大断面図
【符号の説明】
1 工業ミシン
2 ミシン本体
9 針棒装置
13 被軸受部材
14 (被軸受部材としての)針棒
15 軸受部材
16 (軸受部材としての)針棒軸受
16b 針棒下軸受
18 被覆層
19、19a、19b 摺動面
20、20a、20b 被摺動面
22 樹脂層
23 摩耗粉捕獲部材
26、26A、26B、26C 工業ミシン用軸受構造
31 (被軸受部材としての)押え棒
32 (軸受部材としての)押え棒軸受
Claims (3)
- 少なくとも摺動面が樹脂からなる樹脂層により形成された軸受部材と、この軸受部材により摺動可能に支持され少なくともミシン本体の外部に一部が露出し前記軸受部材の摺動面と摺動可能に当接された上下方向に往復運動可能な被軸受部材と、前記軸受部材のミシン本体の外部に露出している下端部に配設され前記軸受部材の摺動面と前記被軸受部材の被摺動面との摺動により生じる摩耗粉を吸着する油分を含浸した摩耗粉捕獲部材とを有することを特徴とする工業ミシン用軸受構造。
- 前記摩耗粉捕獲部材が、断面略L字形状に形成された捕獲部材取付体によって軸受部材の下端部の端面に取着されており、前記捕獲部材取付体は、複数の止めねじによって軸受部材の下端部の外周面を囲繞するようにして取着されており、前記捕獲部材取付体は、前記複数の止めねじを緩めることにより着脱可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の工業ミシン用軸受構造。
- 前記被軸受部材が、針棒あるいは押え棒であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の工業ミシン用軸受構造。
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