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JP3796959B2 - 無段変速機付き車両の車速制御装置 - Google Patents

無段変速機付き車両の車速制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の走行速度を制御する装置に関し、特に、無段変速機付き車両の車速制御性能を改善するものである。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
目標駆動力を入力とし実車速を出力とする制御対象の車両を、積分要素とむだ時間要素の積の形の数式化モデルで表し、この数式化モデルにより実車速から実駆動力を逆算し、目標駆動力から実駆動力を減じて走行抵抗などの外乱を推定し、この外乱推定値により次の目標駆動力を補正するようにした車速制御装置が知られている(例えば、特開平8−207619号公報参照)。
この装置では、目標駆動力と実駆動力にローパスフィルター処理を施して外乱推定値を求めている。
【0003】
また、無段変速機付き車両に対して、目標車速を維持するために必要な駆動力を達成するエンジントルクと変速比の組み合わせの中から、最適燃費を達成できる組み合わせを算出してエンジンと無段変速機を制御するようにした制御アルゴリズムが提案されている(例えば、自動車技術学会誌 vol.48,No.10,1994)。
この制御アルゴリズムによれば、目標駆動力と車速とに基づいてエンジンの出力を求め、予め設定されたエンジン定常特性マップ上において、エンジン回転速度およびエンジントルクに対する最適燃費運転線と等出力線との交点により、エンジン回転速度とエンジントルクを決定するとともに、無段変速機の変速比を決定している。
【0004】
しかしながら、後者の制御アルゴリズムによれば、エンジンの定常特性マップによりエンジントルクと変速比を求めて駆動軸トルクを制御しており、エンジンの過渡特性がまったく考慮されていない。そのため、例えば急な登坂路や降坂路での定速走行時のように、すでにエンジントルクが飽和している状況では、駆動軸トルクが変速比によって達成されるので、駆動軸トルクの過渡特性は変速比の過渡特性に依存する。この変速比の過渡特性はエンジンの過渡特性に比べて遅いため、登坂路や降坂路の定速走行では目標駆動軸トルクに対する実駆動軸トルクの遅れが大きくなる。
【0005】
図8および図9は、加速時に無段変速機をダウンシフトした時の、駆動力(駆動軸トルク)、エンジントルクおよび変速比の指令値に対する実際値の変化を示す図であり、図8はエンジントルクが飽和していない場合を、図9はエンジントルクがすでに飽和している場合の特性を示す。
加速時に無段変速機をダウンシフトすると、エンジン側の等価イナーシャの変化によって見かけ上のトルク(イナーシャトルク)が発生し、駆動軸トルクの立ち上がりが遅れて変速中に加速力不足となる。このような場合に、イナーシャトルクの影響を打ち消すためにエンジントルク指令値にイナーシャトルク分の補正値を加えても、すでにエンジントルクが飽和しているので効果がない。
【0006】
一方、前者の車速制御装置では、有段式変速機を前提としたものであり、駆動軸トルクの遅れはエンジンの遅れのみと仮定して車速制御系(車両モデル)を設計している。このため、駆動軸トルクの遅れが制御系設計の際に仮定した値よりも著しく大きくなった場合には、車速制御系における安定余裕がなくなって車速ハンチングなどが発生するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、登坂路や降坂路などでエンジントルクが飽和した状態でも車速を安定に制御することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、目標車速を設定する車速設定手段と、実車速を検出する車速検出手段と、実車速を目標車速に一致させるための目標駆動力を演算する駆動力演算手段と、目標駆動力を入力とし実車速を出力とする制御対象の車両の数式化モデルを用いて、実車速に数式化モデルの逆系とローパスフィルターを乗じた値から目標駆動力にローパスフィルターを乗じた値を差し引いて制御対象の車両に加わる外乱を推定する外乱推定手段と、外乱推定値により目標駆動力を補正する駆動力補正手段と、目標駆動力補正値を達成するための目標エンジントルクと目標エンジン回転速度とを演算するエンジン制御指令値演算手段と、目標エンジントルクに応じてエンジントルクを制御するエンジントルク制御手段と、エンジン回転速度が目標エンジン回転速度に一致するように無段変速機の変速比を制御する変速比制御手段とを備えた無段変速機付き車両の車速制御装置に適用される。
そして、エンジントルクの飽和状態を検出するエンジントルク飽和検出手段を備え、外乱推定手段は、エンジントルク飽和検出手段でエンジントルクの飽和状態が検出されると、車速を安定に制御することができるように前記ローパスフィルターの時定数を大きくしてカットオフ周波数を下げることにより、上記目的を達成する
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、登坂路や降坂路などでエンジントルクが飽和した状態で変速比を変えても、車速を安定に制御することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は一実施の形態の構成を示す図である。
車速制御コントローラーAは車速制御を行い、エンジントルクコントローラーBはエンジン10のトルクを制御する。また、変速比コントローラーCはベルト式無段変速機11の変速比を制御する。コントローラーA、B、Cはそれぞれマイクロコンピューターと通信回路などを備え、相互に通信を行いながら目標車速を達成するための目標駆動軸トルクを求め、目標駆動軸トルクに基づいてエンジン10のトルクと無段変速機11の変速比を制御する。
【0011】
車速制御コントローラーAにはセットスイッチ1、アクセラレートスイッチ2、コーストスイッチ3、キャンセルスイッチ4、ブレーキスイッチ5、クランク角センサー6などが接続される。セットスイッチ1は、現在の車速を目標車速に設定して車速制御を開始するためのスイッチである。アクセラレートスイッチ2は設定車速を増加するためのスイッチ、コーストスイッチ3は設定車速を低減するためのスイッチである。キャンセルスイッチ4は定速走行制御を解除するためのスイッチ、ブレーキスイッチ5はフットブレーキが操作された時に作動するスイッチである。このブレーキスイッチ5が作動したら、キャンセルスイッチ4が操作された場合と同様に定速走行制御を解除する。クランク角センサー6はエンジン回転速度に応じた周期のパルス列信号を出力する。車速コントローラーAは、クランク角センサー6からのパルス列信号の周期とパルス数を計測して、エンジン10の回転速度を検出する。
【0012】
エンジントルクコントローラーBには車速センサー7、アクセルセンサー8などが接続される。車速センサー7は無段変速機11の出力軸に取り付けられ、車速に応じた周期のパルス列信号を出力する。エンジンコントローラーBは、車速センサー7からのパルス列信号の周期とパルス数を計測して、車速(出力軸回転速度)を検出する。アクセルセンサー8はポテンショ型センサーであり、乗員の加速意志としてアクセルペダルの踏み込み量を検出する。
【0013】
変速比コントローラーCには上述した車速センサー7とアクセルセンサー8の他に、プライマリー回転速度センサー9が接続される。プライマリー回転速度センサー9は、ベルト式無段変速機11のプライマリー・プーリーの回転速度を検出する。
【0014】
エンジン10は、スロットルアクチュエーターによる吸入空気と、インジェクターによる燃料噴射と、点火プラグによる点火時期の制御によって、エンジントルクを調節することができる。ベルト式無段変速機11は、プライマリー・プーリーとセカンダリー・プーリーの半径を油圧機構で可変することによって変速比を無段階に調節することができる。
【0015】
図2は、車速制御コントローラーAの車速制御を示すフローチャートである。このフローチャートにより、一実施の形態の動作を説明する。
車速制御コントローラーAは所定の周期、例えば10mSごとにこの制御プログラムを実行する。ステップ1において、マイクロコンピューターのインプットキャプチャー機能により計測した車速パルス幅(n周期)の逆数から実車速を求める。続くステップ2では、キャンセルスイッチ4とブレーキスイッチ5の操作を確認し、いずれかのスイッチが操作されてON状態にある時は自動車速制御ASCDがキャンセルされたと判断してステップ6へ進み、そうでなければステップ3へ進む。ステップ6では、ASCDのキャンセルにともなって各種のフラグや変数などを初期化し、処理を終了する。
【0016】
一方、ASCDがキャンセルされていない時は、ステップ3でセットスイッチ1の操作を確認する。セットスイッチ1が操作されてON状態にある時は、乗員に目標車速Vsprの設定意志があると判断してステップ4へ進み、そうでなければステップ7へ進む。ステップ4では目標車速Vsprに現在の車速Vspを設定し、続くステップ5でASCD作動フラグをセットし処理を終了する。
【0017】
ASCDのキャンセル操作および目標車速Vsprの設定操作がない時は、ステップ7でASCD作動フラグを確認し、セットされている時は自動車速制御中(ASCD作動中)であると判断してステップ8へ進み、そうでなければステップ6へ進む。ステップ6では、上述したように各種のフラグや変数などを初期化して処理を終了する。
【0018】
ASCD作動中の時は、ステップ8でアクセラレートスイッチ2の操作を確認する。アクセラレートスイッチ2がON状態にある時は加速制御モードと判断し、現在の目標車速Vsprに所定値ΔVを加算して車両を加速する。そして、アクセラレートスイッチ2がOFF状態になった直後の実車速Vspを目標車速Vsprに設定する。続くステップ9ではコーストスイッチ3の操作を確認する。コーストスイッチ3がON状態にある時は減速モードと判断し、現在の目標車速Vsprから所定値ΔVを減算して車両を減速する。そして、コーストスイッチ3がOFF状態になった直後の実車速Vspを目標車速Vsprに設定する。
【0019】
ステップ10において、エンジントルクコントローラーBと通信を行い、エンジントルク飽和フラグを確認する。エンジントルクコントローラーBは、スロットル開度、エンジン回転速度、燃焼モード、エンジン冷却水温、燃料カット状況などに基づいて、エンジントルクの飽和と、正トルクか負トルクかを判断し、エンジントルク飽和フラグのセット、リセットを行う。
【0020】
ステップ11において、変速比を変えた時にエンジン側の等価イナーシャ変化に起因して発生するイナーシャトルクI_Teを、次式により求める。
【数1】
I_Te=J1*Gw*Gf*(dGcvtr/dt)
ここで、J1はエンジン10および無段変速機11の入力側の慣性モーメント、Gwは駆動輪の角速度、Gfは最終減速機の減速比、Gcvtrは後述する変速比指令値である。なお、イナーシャトルクI_Teの算出方法は上記数式1の方法に限定されない。
【0021】
ステップ12では、実車速Vspを目標車速Vsprに一致させるための最終目標駆動力y1を演算する。最終目標駆動力y1の演算は、図3に示すように、線形制御手法であるモデルマッチング手法と近似ゼロイング手法による車速フィードバック補償器を用いて行なう。車速フィードバック補償器に組み込まれた制御対象の数式化モデルは、目標駆動力を操作量とし車速を制御量として車両をモデル化することにより、相対的に応答性の速いエンジンやトルクコンバータの過渡特性、およびトルクコンバータの非線形定常特性を省略することができる。そして、予め計測されたエンジン非線形特性データマップを用いて目標駆動力に実駆動力が一致するような目標スロットル開度を算出し、スロットル開度をサーボコントロールすることにより、エンジンの非線形な特性を線形化することができる。したがって、目標駆動力を入力とし車速を出力とする数式化モデルは積分特性となり、補償器ではこの車両モデルの伝達特性をパルス伝達関数P(z-1)とおくことができる。
【0022】
(z-1)は遅延演算子であり、(z-1)を乗ずると1サンプリング周期前の値となる。同様に、(z-n)は遅延演算子の一般的な表現であり、(z-n)を乗ずるとnサンプリング周期前の値となる。なお、”-1”、”-n”は代数学における”乗べき”のべき数であり、厳密には上付文字で表すべきであるが、この明細書では上付文字の見づらさをなくすためにそれぞれ(z-1)、(z-n)と表現する。
【0023】
図3は、離散時間系で表した一実施の形態の車速フィードバック補償器を示す。C1(z-1)、C2(z-1)は近似ゼロイング手法による外乱推定器であり、外乱やモデル化誤差による影響を抑制する。さらに、C3(z-1)はモデルマッチング手法による補償器であり、目標車速Vsprを入力とし実車速Vspを出力とした場合の制御対象の応答特性を、予め定めた一次遅れとむだ時間要素を持つ規範モデルH(z-1)の特性に一致させる。
【0024】
制御対象の伝達特性は、パワートレインの遅れであるむだ時間を考慮する必要がある。目標駆動力を入力とし実車速を出力とする制御対象のパルス伝達関数P(z-1)は、次式に示す積分要素P1(z-1)とむだ時間要素P2(z-1)(=z-n)の積で表わすことができる。
【数2】
P1(z-1)=T・(z-1)/{M・(1−(z-1))}
ここで、Tはサンプリング周期(この実施形態では10msec)、Mは平均車重である。
【0025】
この時、補償器C1(z-1)は次式で表わされる。
【数3】
C1(z-1)=(1−γ)・(z-1)/{1−γ・(z-1)},
すなわち、補償器C1(z-1)はローパスフィルタである。
【0026】
さらに、補償器C2(z-1)はC1/P1として次式で表わされる。
【数4】
C2(z-1)=M・(1−γ)・(1−(z-1))/{T・(1−γ・(z-1))}
なお、補償器C2は車両モデルの逆系にローパスフィルタをかけたものであり、この補償器C2に実車速Vspを入力することによって実車速Vspに応じた駆動力、すなわちパワートレインの駆動力から走行抵抗などの外乱を差し引いた駆動力を逆算することができる。
【0027】
補償器C1(z-1)におけるローパスフィルタのカットオフ周波数(時定数)は、エンジントルクの飽和、非飽和により設定する。すなわち、エンジントルクが飽和していない場合には、
【数5】
γ=exp(−T/Tb1)
一方、エンジントルクが飽和している場合には、
【数6】
γ=exp(−T/Tb2)
ここで、Tb1、Tb2は時定数であり、Tb1<Tb2である。
【0028】
制御対象のむだ時間を無視して、規範モデルH(z-1)を時定数Taの1次ローパスフィルタと仮定すると、補償器C3は次のような定数となる。
【数7】
C3=K={1−exp(−T/Ta)}・M/T
【0029】
モデルマッチング補償器C3(z-1)に相当する部分の演算を行ない、実車速Vspから目標車速Vsprまで加速するための目標駆動力y4を求める。データy(k)は今回のサンプリング時点における駆動力、データy(k-1)は1サンプリング周期前の駆動力を表わすものとすると、
【数8】
y4(k)=K・{Vspr(k)−Vsp(k)}
【0030】
次に、外乱推定器の一部のロバスト補償器C2(z-1)に相当する部分の演算を行ない、実車速Vspに応じた駆動力、すなわちパワートレインの駆動力から走行抵抗などの外乱を差し引いた駆動力y3を逆算する。
【数9】
y3(k)=γ・y3(k-1)+(1−γ)・M・{Vsp(k)−Vsp(k-1)}/T
【0031】
上述したように、駆動力y3(k)は実車速Vspに応じた駆動力、すなわちパワートレインの駆動力から走行抵抗などの外乱を差し引いた駆動力である。一方、補償器C1はローパスフィルターであるから、駆動力y2(k)は目標駆動力y1をローパスフィルター処理した駆動力である。この駆動力y2(k)に遅延演算子(z-n)を乗じた駆動力y2(k-n)は駆動力y2(k)のnサンプリング周期前の値であり、パワートレインの遅れ(むだ時間)を考慮したパワートレインの現在の実駆動力と見なすことができる。したがって、現在のパワートレインの駆動力y2(k-n)から、走行抵抗などの外乱を差し引いた実車速分の駆動力y3(k)を減じれば、走行抵抗などの外乱Frを推定することができる。
【0032】
次に、目標駆動力y4(k)を走行抵抗推定値Frで補正し、外乱混入による駆動力不足を補償するための最終目標駆動力y1(k)を求める。
【数10】
Figure 0003796959
このように、近似ゼロイング手法で構成された外乱推定器は、制御対象モデルの出力と実際の制御対象の出力との差に基づいて走行抵抗などの外乱を正確に推定することができる。
【0033】
さらに、外乱推定器の一部であるローパスフィルタとしての補償器C1(z-1)に相当する部分の演算を行なう。
【数11】
y2(k)=γ・y2(k-1)+(1−γ)・y1(k-1)
【0034】
最終目標駆動力y1(k)に基づいて目標駆動トルクTorを演算する。
【数12】
Tor=y1・Rt
ここで、Rtはタイヤの有効半径である。
【0035】
ふたたび図2へ戻って車速制御の説明を続けると、ステップ13で目標駆動軸トルクTorの符号を判定し、正の時はステップ14へ進み、負の時はステップ15へ進む。目標駆動軸トルクTorが正の時は、ステップ14で、目標駆動軸トルクTorと最適燃費とを両立させるためのエンジン10の運転点を求める。まず、次式により目標出力Lを算出する。
【数13】
L=Tor・Vspr/Rt または L=y1/Vspr
【0036】
次に、図4に示すエンジン特性図を用いて、目標出力L(正値)を達成しつつ燃料消費率が最低となる運転点、すなわち等出力線と等燃費線との交点を連ねた最適燃費線上にある点を検索する。実際には、出力値(正値)に対応した目標とするエンジン運転点、すなわち等出力線と最適燃費線との交点で決まる目標エンジン回転速度Nerを予めマップに記憶しておき、目標出力L(正値)により表引き演算する。
【0037】
一方、目標駆動トルクTorの値が負の時は、ステップ15で、負の目標駆動軸トルク指令値Torを、スロットル全閉且つ燃料カット状態で実現するエンジン10の運転点を求める。まず、次式により目標出力Lを求める。
【数14】
L=Tor・Vspr/Rt または L=y1・Vspr
【0038】
次に、図5に示すエンジン特性図を用いて、目標出力L(負値)を、燃料カット且つスロットル全閉状態で実現するエンジン運転点を求める。実際には、出力値(負値)に対応した目標とするエンジン運転点、すなわち等出力線と、燃料カット且つスロットル全閉時のエンジントルク線との交点で決まる目標エンジン回転速度Nerを予めマップに記憶しておき、目標出力L(負値)により表引き演算する。
【0039】
ステップ16では、無段変速機11が取り得る変速比範囲や、エンジンなどで決まるエンジン回転速度制限を、目標エンジン回転速度Nerに施す。ステップ17で、目標変速比Gcvtrと目標エンジントルクTer1を求める。
【数15】
Gcvtr=Ner・Rt/Vsp/Gf,
Ter1=Tor/Gcvt/Gf
ここで、Gfはファイナル減速比、Gcvtは実変速比である。
【0040】
ステップ18で、目標エンジントルクTer1とイナーシャトルクI_Teに基づいて最終目標エンジントルクTer2を求める。
【数16】
Ter2=Ter1+I_Te
【0041】
ステップ19では、エンジントルクコントローラーBへ最終目標エンジントルクTer2を出力し、変速比コントローラーCへ目標変速比Gcvtrを出力する。エンジントルクコントローラーBは、エンジン10のトルクが最終目標値Ter2となるように、スロットルアクチュエーターと燃料噴射装置を制御する。また、変速比コントローラーCは、変速比が目標値Gcvtrとなるように無段変速機11を制御する。
【0042】
図6は従来の車速制御装置によるシュミレーション結果を示すタイムチャート、図7は本発明の一実施の形態によるシュミレーション結果を示すタイムチャートである。これらの図は、エンジントルクが飽和状態にあるような急な勾配の下り坂を車速100km/hで定速走行する場合の、目標駆動トルクTorと実駆動トルクTo、目標エンジントルクTerと実エンジントルクTe、目標変速比Gcvtrと実変速比Gcvt、目標車速Vsprと実車速Vsp、道路勾配koubai、ローパスフィルターの時定数Tbなどを示す。なお、ローパスフィルターの時定数Tbは、従来装置が0.4[sec]で固定、一実施の形態が0.4[sec]から0.8[sec]へ切り換えるものとする。
【0043】
従来の車速制御装置においては、エンジントルクの飽和により駆動軸トルクの遅れが大きくなり、さらに変速によるイナーシャトルクが発生すると、車速制御系における安定余裕が損なわれ、その結果、車速などにハンチングが発生してしまう。これに対し一実施の形態では、エンジントルクが飽和し、イナーシャトルクが補正できない場合には、時定数を0.8[sec]に切り換えるので、車速制御の安定性が確保され、車速ハンチングが改善される。
【0044】
このように、急な登坂路、降坂路での定速走行時に、エンジントルクがすでに飽和しており、イナーシャトルクの影響を打ち消すことができない場合には、外乱補償器におけるローパスフィルターの時定数を大きくしてカットオフ周波数を下げるようにしたので、目標駆動軸トルクに対する実駆動軸トルクの遅れが大きくなり、さらにイナーシャトルクが発生した場合でも、車速制御系は外乱補償器による補正を弱めているため、車速制御の安定性を確保することができ、車速などのハンチングを改善することができる。
【0045】
以上の一実施の形態の構成において、セットスイッチ1および車速制御コントローラーAが車速設定手段を、車速センサー7が車速検出手段を、車速制御コントローラーAが駆動力演算手段、外乱推定手段、駆動力補正手段およびエンジン制御指令値演算手段を、エンジントルクコントローラーBがエンジントルク制御手段およびエンジントルク飽和検出手段を、変速比コントローラーCが変速比制御手段をそれぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】 一実施の形態の車速制御を示すフローチャートである。
【図3】 離散時間系で表した一実施の形態の車速フィードバック補償器を示す図である。
【図4】 エンジントルクが正の場合のエンジン特性図である。
【図5】 エンジントルクが負の場合のエンジン特性図である。
【図6】 従来の車速制御装置によるシュミレーション御結果を示す図である。
【図7】 一実施の形態のシュミレーション結果を示す図である。
【図8】 従来の車速制御装置によるエンジントルクが飽和していない時の駆動軸トルクと変速比の応答特性を示す図である。
【図9】 従来の車速制御装置によるエンジントルクが飽和している時の駆動軸トルクと変速比の応答特性を示す図である。
【符号の説明】
A 車速制御コントローラー
B エンジントルクコントローラー
C 変速比コントローラー
1 セットスイッチ
2 アクセラレートスイッチ
3 コーストスイッチ
4 キャンセルスイッチ
5 ブレーキスイッチ
6 クランク角センサー
7 車速センサー
8 アクセルセンサー
9 プライマリー回転速度センサー
10 エンジン
11 ベルト式無段変速機

Claims (1)

  1. 目標車速を設定する車速設定手段と、
    実車速を検出する車速検出手段と、
    前記実車速を前記目標車速に一致させるための目標駆動力を演算する駆動力演算手段と、
    前記目標駆動力を入力とし前記実車速を出力とする制御対象の車両の数式化モデルを用いて、前記実車速に前記数式化モデルの逆系とローパスフィルターを乗じた値から前記目標駆動力に前記ローパスフィルターを乗じた値を差し引いて制御対象の車両に加わる外乱を推定する外乱推定手段と、
    前記外乱推定値により前記目標駆動力を補正する駆動力補正手段と、
    前記目標駆動力補正値を達成するための目標エンジントルクと目標エンジン回転速度とを演算するエンジン制御指令値演算手段と、
    前記目標エンジントルクに応じてエンジントルクを制御するエンジントルク制御手段と、
    エンジン回転速度が前記目標エンジン回転速度に一致するように無段変速機の変速比を制御する変速比制御手段とを備えた無段変速機付き車両の車速制御装置において、
    エンジントルクの飽和状態を検出するエンジントルク飽和検出手段を備え、
    前記外乱推定手段は、前記エンジントルク飽和検出手段でエンジントルクの飽和状態が検出されると、車速を安定に制御することができるように前記ローパスフィルターの時定数を大きくしてカットオフ周波数を下げることを特徴とする無段変速機付き車両の車速制御装置。
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