JP3786002B2 - 内燃機関の高圧燃料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の高圧燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の気筒内へ直接的に燃料を噴射するには、各燃料噴射弁へ高圧燃料を供給することが必要であり、そのための高圧燃料供給装置が公知である。
【0003】
一般的な高圧燃料供給装置は、各燃料噴射弁に通じるデリバリパイプを具備している。デリバリパイプにはリリーフ弁が設けられ、デリバリパイプ内の燃料圧力が機関運転時の燃料噴射圧力である所望高燃料圧力より異常に高まることを防止している。特開平11−351088号公報には、リリーフ弁の開弁圧力を異常高燃料圧力ではなく、所望高燃料圧力よりも低く設定し、機関運転時には、リリーフ弁を介してデリバリパイプから流出する以上の量の燃料を高圧ポンプによってデリバリパイプ内へ圧送することにより、デリバリパイプ内を所望高燃料圧力に維持することが提案されている。
【0004】
この従来技術では、機関停止時に高圧ポンプによるデリバリパイプ内への燃料圧送が停止されると、デリバリパイプ内の燃料圧力は直ぐに所望高燃料圧力より低いリリーフ弁の開弁圧力となる。それにより、機関停止直後の再始動時においても、デリバリパイプ内の燃料圧力が高圧となっていることはなく、この高圧に逆らって燃料噴射弁を開弁する必要がないために、機関始動時には燃料噴射弁の開弁に際しての駆動力が低下するが、この低下した駆動力によっても十分に燃料噴射弁を開弁することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、機関減速時にはフューエルカットを実施するのが一般的である。フューエルカットは、機関回転数を早期に低下させるためのものであるが、あまり機関回転数を低下させ過ぎると運転再開が困難となるために、機関回転数が所定回転数まで低下した時には機関減速がさらに持続しても燃料噴射が再開されフューエルカットから復帰されるようになっている。一般的な及び前述の従来技術における高圧燃料供給装置では、フューエルカット時においてもデリバリパイプ内の燃料圧力は所望高燃料噴射に維持されている。それにより、フューエルカット復帰時において燃料噴射弁の開弁時間を最小としても比較的多量の燃料が噴射され、フューエルカット復帰時には突然に比較的大きな機関出力が発生して大きなトルクショックがもたらされる。
【0006】
従って、本発明の目的は、機関減速中のフューエルカット復帰時において大きなトルクショックの発生を防止することができる内燃機関の高圧燃料供給装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載の内燃機関の高圧燃料供給装置は、各燃料噴射弁に通じるデリバリパイプと、前記デリバリパイプへ接続された高圧ポンプと、前記デリバリパイプに接続されたリーク通路とを具備し、前記リーク通路は、前記デリバリパイプ内の燃料圧力を、機関減速中のフューエルカット復帰時において前記燃料噴射弁の最小開弁時間での燃料噴射量が大きなトルクショックを発生させない燃料噴射量となるような所定燃料圧力まで低下させることを可能とし、前記高圧ポンプは、機関運転時において前記リーク通路を介して前記デリバリパイプ内からリークする以上の量の燃料を前記デリバリパイプ内へ圧送することができ、フューエルカット中において前記デリバリパイプへの燃料圧送を中止し、前記リーク通路は、前記高圧ポンプと前記デリバリパイプとを連通する高圧通路と共通とされ、前記高圧ポンプを通して前記デリバリパイプから燃料をリークし、前記高圧通路には前記高圧ポンプから前記デリバリパイプへの燃料流れのみを許容する逆止弁が配置されており、前記逆止弁の弁体自身又は前記弁体のシート部に前記逆止弁の上流側と下流側とを常時連通する連通路が形成され、それによって前記高圧通路を前記リーク通路としても機能させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による高圧燃料供給装置の実施形態を示す概略図である。同図において、1は燃料噴射弁であり、例えば、内燃機関の各気筒内へ直接的に燃料を噴射するためのものである。2は各燃料噴射弁1へ高圧燃料を供給するためのデリバリパイプである。3は燃料タンクであり、燃料タンク3内には低圧ポンプ4が配置されている。低圧ポンプ4は、バッテリにより駆動される電気式ポンプであり、例えば、0.3MPaの定格吐出圧力を有している。低圧ポンプ4は、スタータスイッチのオン信号と同時に作動される。低圧ポンプ4の吸入側には、燃料タンク3から燃料を吸入する際の異物を除去するためのフィルタ6が設けられている。
【0014】
7はデリバリパイプ2内の燃料圧力を目標高燃料圧力近傍に維持するための高圧ポンプである。この高圧ポンプ7は、クランクシャフトと連動するカム7eによって駆動される機関駆動式である。高圧ポンプ7は、吸入口7bを介してシリンダ7d内に吸入された燃料を吐出口7cから吐出するものであり、このためにシリンダ7d内を摺動するプランジャ7aを有している。吸入口7bは低圧配管8を介して低圧ポンプ4の吐出側に接続され、吐出口7cは高圧配管11を介してデリバリパイプ2へ接続されている。低圧配管8にも、燃料中の異物を除去するためのフィルタ10が配置されている。
【0015】
プランジャ7aは、吸入行程としてバネ7fによりシリンダ7d内の空間を拡大させるように動かされ、吐出行程としてカム7eによりシリンダ7d内の空間を縮小させるように動かされる。16は吸入口7bを開閉するための弁体であり、バネ16bによって開弁方向に常に付勢されている。16aは弁体16をバネ16bに逆らって閉弁方向に付勢するためのソレノイドである。ソレノイド16aは高圧ポンプ7の吸入行程において非励磁状態とされ、弁体16がバネ16bによって開弁させられるために、吸入口7bを介して低圧配管8からシリンダ7d内に燃料が吸入される。この燃料は低圧ポンプ4によって前述したように0.3MPaに昇圧されているために、吸入行程中において低圧配管8内で負圧に伴う燃料蒸気が発生することはない。
【0016】
一方、高圧ポンプ7の吐出行程において、ソレノイド16aは所望時期に励磁状態とされ、弁体16を閉弁させる。シリンダ7d内の燃料は、弁体16の閉弁以前において、高圧のデリバリパイプ2内へ圧送されることなく低圧配管8を介して低圧ポンプ4へ戻されるが、弁体16の閉弁後においてデリバリパイプ2内へ圧送される。本高圧燃料供給装置においては、二つの気筒の燃料噴射毎に高圧ポンプ7の吐出行程がもたらされるようになっており、弁体16の閉弁時期を制御して、これら二気筒への燃料噴射に使用された燃料量に調量してデリバリパイプ2内へ燃料を圧送することにより、デリバリパイプ2内を目標高燃料圧力近傍に維持することが可能となる。
【0017】
高圧配管11には、高圧ポンプ7により発生する圧力脈動によって燃料が逆流することを防止するために、僅かな圧力差で開弁する逆止弁12が配置されている。21はデリバリパイプ2内の燃料圧力を監視するための圧力センサである。
【0018】
このように、プランジャ7aによって吐出される全燃料のうちで不必要な分の燃料は低圧配管8を介して燃料タンク3へ戻されるために、この時には高圧の燃料が低圧ポンプ4内を逆流することとなる。この逆流を防止するために、低圧ポンプ4の定格吐出圧力を僅かに越える圧力で開弁する安全弁を介して低圧配管8を燃料タンク3へ連通させるようにしても良い。
【0019】
機関運転中は高圧ポンプ7が良好に作動するために、意図する燃料吐出が可能となってデリバリパイプ2内を目標高燃料圧力近傍に維持することができ、燃料噴射弁1を介して良好な燃料噴射が可能となる。目標高燃料圧力は、燃料噴射量に係わらずに、例えば、12MPaのような第一目標高燃料圧力に固定しても良いが、機関低負荷時のような燃料噴射量が少ない時には、燃料噴射弁の開弁時間が非常に短くなって正確な燃料噴射量の制御が難しくなるために、この時のために、例えば、8MPaのような第二目標高燃料圧力を有するようにしても良い。もちろん、機関負荷又は機関運転状態に応じて三つ以上の目標高燃料圧力を設定するようにしても良い。
【0020】
22はデリバリパイプ2と燃料タンク3とを連通するリリーフ配管であり、第一目標高燃料圧力より僅かに高い圧力で開弁するリリーフ弁23が配置され、デリバリパイプ2内の燃料圧力が何らかの要因によって第一目標高燃料圧力を越えて異常に高まることを防止している。
【0021】
ところで、機関減速時には、燃料消費の低減及び早期減速を目的として、各燃料噴射弁1からの燃料噴射が停止され、すなわち、フューエルカットが実施される。それにより、機関回転数は比較的急激に低下する。機関減速時間が比較的長くて、機関回転数が、所定回転数、例えば、アイドル回転数まで低下しても依然として機関減速中である場合には、確実な運転再開を保証するために、燃料噴射が再開されてフューエルカットから復帰される。
【0022】
一般的な高圧燃料供給装置では、もし、フューエルカットの実施と同時に高圧ポンプによるデリバリパイプへの燃料圧送を停止したとしても、このフューエルカット復帰時におけるデリバリパイプ内の燃料圧力は、フューエルカットによってデリバリパイプ内の燃料消費がないために、機関減速直前の値、すなわち、通常運転時の燃料圧力である。機関減速直前には、高負荷運転が実施されていることが多く、この燃料圧力は、前述したように、二つの目標高燃料圧力を有する場合においても、高い側の第一目標高燃料圧力近傍となっていることが多い。
【0023】
フューエルカット復帰時において、デリバリパイプ内がこのような高い燃料圧力であると、燃料噴射弁を最小開弁時間で開弁しても比較的多量の燃料が気筒内へ供給され、比較的高い機関出力が発生してしまう。それにより、機関減速中のフューエルカット復帰時において、大きなトルクショックがもたらされ、運転者は違和感を有することとなる。
【0024】
もちろん、運転者が、このような機関減速中のフューエルカット復帰ではなく、意図的に機関減速を終了して機関加速のためにアクセルペダルを踏み込んでフューエルカットから復帰する場合にも、突然に比較的大きな機関出力が発生して同様なトルクショックがもたらされるが、これは運転者の意図であり、運転者が違和感を有するようなことはない。
【0025】
本実施形態は、機関減速中のフューエルカット復帰に際してのトルクショックの発生を防止することを目的としている。そのために、高圧配管11に配置された逆止弁12は、図2に示すような構造を有している。一般的な逆止弁は、球状の弁体と、弁体をシート部に対して付勢するスプリングとを有している。本実施形態の高圧配管11に配置された逆止弁12は、弁体12が当接する環状のシート部12bの一部に切欠きAが設けられている。それにより、弁体12aがスプリング12cによってシート部12bに対して付勢されても、切欠きAによって逆止弁12の上流側と下流側とは常に連通されている。すなわち、切欠きAは、逆止弁12の上流側と下流側とを常に連通する連通路を構成している。
【0026】
本実施形態においては、フューエルカット中において高圧ポンプ7の燃料圧送が停止され、すなわち、高圧ポンプ7の吐出行程においてソレノイド16aを励磁状態とすることはなく、弁体16を開弁させ続ける。それにより、フューエルカット中においてデリバリパイプ2内の燃料は、逆止弁12のシート部12bにおける切欠きAを介してリークし、高圧ポンプ7を通して燃料タンク3へ戻される。
【0027】
こうして、機関減速中に機関回転数が所定回転数まで低下してフューエルカットから復帰される時には、デリバリパイプ2内の燃料圧力は、フューエルカット開始時点の燃料圧力が第一目標高燃料圧力近傍であったとしても、フューエルカット中における燃料リークによって第二目標高燃料圧力よりも低くなっている。それにより、フューエルカット復帰時における燃料噴射弁の最小開弁時間での燃料噴射量は、例えば、アイドル時の燃料噴射量より少なくすることができ、発生する機関出力は非常に小さく、大きなトルクショックをもたらすことはない。
【0028】
本実施形態において、逆止弁12のシール部12bにおける切欠きの大きさは、例えば、デリバリパイプ内の燃料圧力を毎秒1MPa程度低下させる燃料リークが発生するように選択されている。この燃料リーク量は、通常の高圧ポンプのクランキングにおける燃料圧送量の1/10以下である。それにより、通常運転時においてもこの燃料リークは発生することとなるが、高圧ポンプの圧送燃料量を僅かに増加するだけで燃料リーク分は相殺され、デリバリパイプ2内を第一目標高燃料圧力又は第二目標高燃料圧力に十分に維持することができる。
【0029】
本実施形態では、リーク通路は、前述の逆止弁の構造によって高圧ポンプ7とデリバリパイプ2とを連通する高圧通路と共通とされ、高圧ポンプを通してデリバリパイプから燃料をリークするようになっている。それにより、通常運転時における高圧ポンプ7の吐出行程では、高圧ポンプ7のシリンダ7d内の燃料圧力がデリバリパイプ2内の燃料圧力より高いために、デリバリパイプ2からの燃料リークは発生しない。もちろん、リーク通路は、デリバリパイプ2と燃料タンクとを直接的に連通するものでも良いが、本実施形態のリーク通路によれば、前述したように機関運転中の燃料リーク量を減少させることができるために、その分、高圧ポンプ7の圧送燃料量を減少させて高圧ポンプ7の負荷を低減することが可能となる。
【0030】
また、逆止弁12に連通路を設けて高圧通路とリーク通路とを共通とすることにより、逆止弁12の連通路には、高圧ポンプ7による燃料圧送時と燃料リーク時とで逆方向に燃料が流れることとなり、連通路を構成する切欠きAに異物が詰まったままとなるようなことはない。
【0031】
図3は、リーク通路を高圧ポンプ7とデリバリパイプ2とを連通する高圧通路11と共通とするための逆止弁のもう一つの構造を示しており、この逆止弁12’では、逆止弁12’の上流側と下流側とを連通する連通路としての溝Bが、弁体12a’に形成されている。もちろん、このような構成でも前述と全く同様な効果を得ることができる。
【0032】
本実施形態は、高圧通路11に配置された逆止弁12に連通路を形成してリーク通路を高圧通路11と共通としたが、この逆止弁12ではなく、リリーフ弁23に同様な連通路を形成すれば、リーク通路をリリーフ通路22と共通とすることもできる。
【0033】
図4は本発明による高圧燃料供給装置のもう一つの実施形態を示す概略図である。前述の実施形態との違いについてのみ以下に説明する。本実施形態において、高圧配管11に配置された逆止弁12は、弁体及びシート部に連通路が形成されていない一般的なものである。燃料のリーク通路24は、高圧配管11と低圧配管8とを連通するように形成されている。もちろん、デリバリパイプ2と低圧配管8とを連通するようにしても良い。リーク通路24には、通路断面を狭めた絞り部25が形成されており、フューエルカット中において高圧ポンプによる燃料圧送を停止すれば、図1の実施形態におけるリーク通路と同様に、リーク通路24を介しての燃料リークによってデリバリパイプ2内の燃料圧力は、例えば、毎秒1MPaだけ圧力低下するようになっている。
【0034】
このような構成によって、本実施形態の高圧燃料供給装置でも、図1の実施形態と同様に、機関減速中のフューエルカット復帰時において、リーク通路24を介しての燃料リークによりデリバリパイプ2内の燃料圧力を十分に低くすることができ、燃料噴射弁による少量の燃料噴射が可能となって大きなトルクショックが発生することはない。
【0035】
ところで、機関始動時には、ほぼ大気圧まで低下しているデリバリパイプ2内の燃料圧力を早急に高めなければならない。低圧ポンプ4は、電気駆動式であるためにクランキングの開始当初から比較的多量の燃料圧送が可能であるが、高圧ポンプ7は機関駆動式であるために吐出行程を最大に利用してもクランキングの機関回転数では僅かな量の燃料しか圧送することができない。本実施形態においては、低圧配管と高圧配管とがリーク通路24によって連通されているために、機関始動時において、高圧ポンプ7の吐出行程中には高圧ポンプによりデリバリパイプ2内へ燃料が圧送され、高圧ポンプ7の吸入行程中にはリーク通路24を介して低圧ポンプ4によりデリバリパイプ2内へ燃料が圧送される。それにより、デリバリパイプ2内の燃料圧力を低圧ポンプ4の定格吐出圧力又はそれより高い所望圧力として燃料噴射を開始する場合に、燃料噴射開始までの時間を短縮することができる。
【0036】
本実施形態において、絞り部25に代えて、図2又は図3の逆止弁をリーク通路24に配置するようにしても良い。それにより、機関始動時において高圧ポンプ7の吸入行程中に低圧ポンプ4の吐出燃料が逆止弁を開弁させてデリバリパイプ2内へ容易に圧送されるようになり、さらに燃料噴射開始までの時間を短縮することができる。また、こうしてリーク通路24に配置された逆止弁12の連通路には、機関始動時と燃料リーク時とで逆方向に燃料が流れることとなり、連通路を構成する切欠きに異物が詰まったままとなるようなことはない。
【0037】
図5は、図4の実施形態における変形例を示すリーク通路の断面図である。本変形例のリーク通路24’には、図4の実施形態と同様な絞り部25が設けられると共に、絞り部25’より低圧配管側に圧力調整弁26が配置されている。圧力調整弁26は、弁体26aと、弁体26aをシート部26bへ付勢するスプリング26cとを有し、高圧配管と低圧配管との圧力差がスプリング26cの付勢力より大きければ弁体26aは開弁され、高圧配管から低圧配管への燃料流れを許容する。
【0038】
スプリング26cは、バイメタル又は形状記憶合金等の温度によって弁体26aに作用する付勢力を変化させるものであり、温度が低いほど付勢力は小さくなる。このような構成によっても、機関減速中のフューエルカット復帰時において、圧力調整弁26は、高圧配管と低圧配管との比較的大きな差圧が作用して開弁し、図4の実施形態と同様に、リーク通路24’を介しての燃料リークによりデリバリパイプ2内の燃料圧力を十分に低くすることができ、燃料噴射弁による少量の燃料噴射が可能となって大きなトルクショックが発生することはない。
【0039】
ところで、機関停止時においても高圧ポンプ7によるデリバリパイプ2内への燃料圧送が停止されるために、デリバリパイプ2内の燃料圧力はリーク通路24’を介しての燃料リークによって徐々に圧力低下する。また、デリバリパイプ2内の燃料温度は、機関運転中においては燃料タンクから供給される比較的低温度の燃料によってデリバリパイプ2の温度に比較して低くなっているが、機関停止直後において、このような燃料供給がなくなるために、デリバリパイプ2の温度と等しくなり、その後、デリバリパイプ2の温度と共に徐々に低下する。
【0040】
機関停止直後において燃料温度が高まると、スプリング26cの付勢力が強くなり、デリバリパイプ2内の燃料圧力がある圧力に低下した時に、圧力調整弁26は閉弁され、リーク通路24’を介しての燃料リークは発生しなくなる。その後、デリバリパイプ2の温度と共に燃料温度が低下するに伴って、スプリング26cの付勢力は徐々に低下するために、リーク通路24’を介しての燃料リークの発生及び停止を繰り返して、デリバリパイプ2内の燃料温度が高いほどデリバリパイプ2内の燃料圧力を高く維持することができる。
【0041】
燃料は、温度が高いほど高くなる飽和蒸気圧を有している。本実施形態の圧力調整弁26は、燃料温度に対する開弁圧力を、燃料温度に対する飽和蒸気圧より高く設定されている。それにより、機関停止後において、デリバリパイプ2内の燃料圧力が各燃料温度で飽和蒸気圧となることは防止され、デリバリパイプ2内で燃料蒸気が発生することはない。
【0042】
本高圧燃料供給装置が取り付けられる内燃機関は筒内噴射式であるために、吸気行程での燃料噴射によって気筒内に均質混合気を形成する均質燃焼と、圧縮行程での燃料噴射によって点火プラグ近傍だけに可燃混合気を形成する成層燃焼とを実施可能である。一般的には、高負荷側では均質燃焼が実施され、低負荷側では成層燃焼が実施される。機関始動時には、大気圧近傍へ低下しているデリバリパイプ2内の燃料圧力を目標高燃料圧力にすることは困難であるために、筒内圧の低い吸気行程での燃料噴射が可能な均質燃焼が実施される。
【0043】
しかしながら、吸気行程噴射においても、噴射圧が高いほど吸気との摩擦力が大きくなって噴射燃料の気化が促進されるために、できるだけ高圧で燃料を噴射することが好ましい。機関始動時には、低圧ポンプ4だけ又は低圧ポンプ4及び高圧ポンプ7によってデリバリパイプ2内を所望圧力まで加圧して燃料噴射を開始することとなるが、もし、デリバリパイプ2内に燃料蒸気による空間が形成されていると、先ず、この空間を圧縮してなくさなければならず、所望圧力への加圧までに長い時間が必要となって機関始動性が悪化することとなる。本実施形態によれば、機関停止中においてデリバリパイプ2内には燃料蒸気が発生しないために、このような機関始動性の悪化を防止することができる。
【0044】
本実施形態の圧力調整弁26は、前述したようにリーク通路をリリーフ通路22と共通とする場合において、リリーフ弁23より下流側においてリリーフ通路22に配置するようにしても、機関停止中におけるデリバリパイプ2内の燃料蒸気の発生を防止することができる。
【0045】
これまで説明した高圧燃料供給装置における高圧ポンプ7は、通常運転時においてデリバリパイプ2内を所望高燃料圧力に維持するように必要量の燃料を調量して圧送するものとしたが、これは本発明を限定するものではない。例えば、デリバリパイプ2にリリーフ通路22が接続され、リリーフ通路22のリリーフ圧力をデリバリパイプ2内の所望高燃料圧力に設定していれば、高圧ポンプとしてスピル機構を有さずに常に全量圧送するものも使用可能である。この場合において、フューエルカット中に高圧ポンプによるデリバリパイプへの燃料圧送を中止するためには、クラッチ等を使用して高圧ポンプの作動を停止させれば良い。もちろん、調量式の高圧ポンプでもクラッチを介して機関駆動力が伝達されるようにすれば、フューエルカット中にクラッチを切り離して燃料圧送を中止するようにしても良い。また、高圧ポンプが電気駆動式であるならば、電力供給を停止して燃料圧送を中止しても良い。
【0046】
【発明の効果】
本発明による内燃機関の高圧燃料供給装置によれば、デリバリパイプに接続されたリーク通路を具備し、このリーク通路は、機関減速中のフューエルカット復帰時においてデリバリパイプ内の燃料圧力を所定燃料圧力まで低下させることを可能とする。機関運転時においては、高圧ポンプは、リーク通路を介してデリバリパイプ内からリークする以上の量の燃料をデリバリパイプ内へ圧送するために、デリバリパイプ内を所望高燃料圧力に維持することができる。また、高圧ポンプはフューエルカット中においてデリバリパイプへの燃料圧送を中止するために、機関減速中のフューエルカット復帰時においてデリバリパイプ内の燃料圧力はリーク通路によって所定圧力まで低下し、燃料噴射弁の最小開弁時間での燃料噴射量が大きなトルクショックを発生させない燃料噴射量となる。それにより、機関減速中のフューエルカット復帰時において大きなトルクショックの発生を防止することができる。また、リーク通路は、高圧ポンプとデリバリパイプとを連通する高圧通路と共通とされ、高圧ポンプを通してデリバリパイプから燃料をリークし、高圧通路には高圧ポンプからデリバリパイプへの燃料流れのみを許容する逆止弁が配置されており、逆止弁の弁体自身又は弁体のシート部に逆止弁の上流側と下流側とを常時連通する連通路が形成され、それによって高圧通路をリーク通路としても機能させるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高圧燃料供給装置の実施形態を示す概略図である。
【図2】図1の高圧燃料供給装置における高圧配管の逆止弁の構造を示す断面図である。
【図3】図1の高圧燃料供給装置における高圧配管の逆止弁のもう一つの構造を示す断面図である。
【図4】本発明による高圧燃料供給装置のもう一つの実施形態を示す概略図である。
【図5】図4の実施形態における変形例を示すリーク通路の断面図である。
【符号の説明】
1…燃料噴射弁
2…デリバリパイプ
4…低圧ポンプ
7…高圧ポンプ
8…低圧配管
11…高圧配管
12…逆止弁
22…リリーフ通路
23…リリーフ弁
24,24’…リーク通路
25…絞り部
26…圧力調整弁
Claims (1)
- 各燃料噴射弁に通じるデリバリパイプと、前記デリバリパイプへ接続された高圧ポンプと、前記デリバリパイプに接続されたリーク通路とを具備し、前記リーク通路は、前記デリバリパイプ内の燃料圧力を、機関減速中のフューエルカット復帰時において前記燃料噴射弁の最小開弁時間での燃料噴射量が大きなトルクショックを発生させない燃料噴射量となるような所定燃料圧力まで低下させることを可能とし、前記高圧ポンプは、機関運転時において前記リーク通路を介して前記デリバリパイプ内からリークする以上の量の燃料を前記デリバリパイプ内へ圧送することができ、フューエルカット中において前記デリバリパイプへの燃料圧送を中止し、前記リーク通路は、前記高圧ポンプと前記デリバリパイプとを連通する高圧通路と共通とされ、前記高圧ポンプを通して前記デリバリパイプから燃料をリークし、前記高圧通路には前記高圧ポンプから前記デリバリパイプへの燃料流れのみを許容する逆止弁が配置されており、前記逆止弁の弁体自身又は前記弁体のシート部に前記逆止弁の上流側と下流側とを常時連通する連通路が形成され、それによって前記高圧通路を前記リーク通路としても機能させることを特徴とする内燃機関の高圧燃料供給装置。
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