JP3782993B2 - 中空状ナノファイバーの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は中空状ナノファイバーの製造法に関し、さらに詳しくは、層数および直径を制御可能にし、かつグラファイト層の欠陥が少ない、特にカーボンナノチューブと定義される領域の中空状ナノファイバーの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層以上に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。多層カーボンナノチューブの中で、2層のものを2層カーボンナノチューブという。これらのカーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性を有することから複合材料として、またナノサイズの空間を有することから吸着材料として、また先端が非常に細いためフィールドエミッションの電子源として大きく期待されている。いずれの用途の場合にも、ナノチューブは太さの細いものの方が有利であり、グラファイト層の欠陥が少ない方が特性的に優れている。
【0003】
このようなカーボンナノチューブの製造方法としては、アーク放電法及び化学蒸着法(化学気相成長法と呼ばれることもあり、以下、CVD法という)による方法が知られている。
【0004】
前者のアーク放電法は、真空中又は不活性気体雰囲気中で炭素棒を電極として、高電圧・高電流のアーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブを製造するものであって、カーボンナノチューブは陰極堆積物中にグラファイト、カーボンナノパーティクルなどと一緒に得られる。後者のCVD法は、鉄、ニッケルなどの金属微粒子の存在下で原料ガスを数百℃で反応させることにより、カーボンナノチューブを製造するものである。このときの原料ガスとしては、ベンゼン、トルエン、オルトメチルジアリルケトン、アセチレン、エチレン、メタン等が用いられる。
【0005】
アーク放電法により作られたカーボンナノチューブは、グラファイト層の欠陥の少ないナノチューブが得られるが、アモルファスカーボンなどの不純物が多いという欠点がある。また、CVD法で作られたカーボンナノチューブは、不純物が少なく、しかも安価にカーボンナノチューブを製造することができる利点があるが、生成したカーボンナノチューブはグラファイト層に欠陥が多いため、後処理として2900℃程度の熱処理をしないと、欠陥の少ないグラファイト層が形成されないという欠点がある。
【0006】
このような問題を解決する方法として、篠原らは、粉末状のY型ゼオライトにコバルトとバナジウムを担持させた触媒を用いることにより、欠陥の少ない約10層の多層カーボンナノチューブを製造可能にすることを報告している(非特許文献1)。
【0007】
また、J. B. Nagyらは、粉末状のY型ゼオライトやアルミナにコバルトと鉄、コバルトとバナジウム、またはコバルトとモリブデンを担持させた触媒を用いることにより、欠陥の少ない2層から十数層の多層カーボンナノチューブを製造可能にすることを報告している(非特許文献2)。
【0008】
このようにゼオライトに金属を担持させた触媒を用いる製造方法によると、グラファイト層の欠陥の少ない多層カーボンナノチューブを安価に作ることができる。しかし、触媒反応を支配する金属触媒の物性を制御した例はなく、その結果、生成するカーボンナノチューブの層数や直径を制御できていなかった。特に、単層カーボンナノチューブや2層カーボンナノチューブを選択性、収率ともに高く合成する手法は見出されていなかった。この原因として、Y型ゼオライトは親水性が高く、イオン交換点が多いことから、触媒金属担持時に金属塩水溶液がゼオライト細孔内に吸着しやすく、ゼオライト細孔内のイオン交換点に金属が優先的に導入されていたことが考えられる。その結果、カーボンナノチューブの合成に用いられるゼオライト外表面の金属担持量が少なかったものと推測される。
【0009】
【非特許文献1】
ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters) 303(1999), 117-124
【非特許文献2】
ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters) 317(2000), 7-76
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、金属触媒を用いる製造方法において、層数および直径を制御可能にし、かつグラファイト層の欠陥が少ないカーボンナノチューブを得られるようにする中空状ナノファイバーの製造法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の中空状ナノファイバーの製造法は、X線光電子分光法で測定したコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが779.3eV以上で、かつ781.0eV以下であるコバルト微粒子とコバルト以外の第2金属成分としてバナジウム、モリブデン、マンガン、鉄、ニッケル、パラジウムから選ばれる少なくとも一種類の3〜12族の金属とを担体に担持した触媒を用い、500〜1200℃で炭素含有物と接触させることにより、1〜5層のカーボンナノチューブを主成分とする中空状ナノファイバーを生成することを特徴とするものである。
【0015】
このように中空状ナノファイバーを製造する際に、触媒となるコバルト微粒子の電子状態、担体表面のコバルト原子比、担体表面のコバルトとチタンの原子比、或いは担体表面のコバルトと第2金属成分との重量比を制御することにより、グラファイト層の欠陥が少なく、アモルファスカーボンなどの不純物の生成が少なく、かつ太さと層数を制御した中空状ナノファイバーを得ることができる。
【0016】
また、担体をゼオライトにする場合は、担持される金属触媒の電子状態が変わるため、生成する中空状ナノファイバーの物性を制御することができる。
【0017】
また、グラファイト層の欠陥が少ないカーボンナノチューブを直接生成するため、後処理でグラファイト化するための費用がかかる熱処理(温度2900℃以上)が不要になる。また、外径が50nm以下で、内径が0.3nm以上15nm以下の太さが細いカーボンナノチューブと定義される領域の良質の中空状ナノファイバーを製造することができる。
【0018】
アルミノシリケートを金属触媒の担体とする場合は、特にUSY型の場合において、単層のカーボンナノチューブのバンドルや一部が2層以上になった単層カーボンナノチューブや内径が非常に細い単層カーボンナノチューブを得ることができる。また、メタロシリケートゼオライトを金属触媒の担体とする場合には、特にチタノシリケートゼオライトの場合において、2層のカーボンナノチューブのバンドルや、一部が3層以上になった2層カーボンナノチューブや、内径が非常に細い2層カーボンナノチューブを得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の中空状ナノファイバーの製造法では、X線光電子分光法で測定したコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが779.3eV以上で、781.0eV以下であるコバルト微粒子を担体に担持させた触媒が使用される。この触媒は、担体上に担持された触媒組成物の形態で使用され、金属の種類として、コバルト(Co)を含むことが必須である。コバルトは細い中空状ナノファイバーを合成するのに有効であり、特に担体から電子を与えられている状態のコバルトが好ましい。
【0020】
コバルトが担体から電子を与えられているか否かを判断する方法としては、X線光電子分光法が有効である。ここで言うX線光電子分光法とは、電子分光法の1種である。電子分光法とは、物質に光やX線などの電磁波、電子やイオンのような荷電粒子、或いは励起電子を当てて、そのとき発生する電子の運動量分布やエネルギー分布を測定することにより、物質の物理状態を測定する方法である。入射線として光を利用した光電子分光法の中でも、特にX線照射によるX線光電子分光法(XPS、ESCA)が本用途には有効である。
【0021】
コバルトの電子状態の測定方法を以下に示す。
担体上にコバルトを担持した後に、アルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却し、しかるのち大気中に曝し、X線光電子分光法を測定する。この方法は、冷却したのち空気中に触媒をさらすので、微粒子である触媒金属は酸化されてしまい、実際の反応中の触媒状態とは異なるが、担体から金属への電子の授受は評価することができる。
【0022】
試料を超高真空中に置き、試料表面に集光軟X線(150〜1000μm)を照射し、表面近傍(〜数nm)から出た光電子をアナライザーで検出する。束縛電子の結合エネルギー値から表面に存在する元素の種類を同定し、ピークのエネルギーシフトから価数や結合状態を測定する。この電子の結合エネルギーが大きいほど、コバルトから担体に電子が引き寄せられ、逆に電子の結合エネルギーが小さいほど、担体からコバルトに電子が供与されていると推測される。このコバルトまわりの電子の結合エネルギーを制御することで、生成するナノファイバーの物性を制御することができる。
【0023】
上記方法で測定したコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが779.3eV以上で、781.0eV以下であるコバルトを含む触媒を使用することにより、細い中空状ナノファイバー、特にカーボンナノチューブ(単層や2〜5層のカーボンナノチューブ)が製造しやすくなる。更に好ましくは、電子の結合エネルギーが779.5eV以上で、780.5eV以下であるコバルトの場合は、2〜5層のカーボンナノチューブが得やすくなる。コバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが779.3eV未満、または781.0eV超であると、カーボンナノチューブを含む中空状ナノファイバーの収率や生成物の物性が著しく低下する。
【0024】
本発明に使用する金属触媒としては、担体に対するコバルトの担持量が、X線光電子分光法で10kV、18mAで測定したとき、担体表面のコバルト原子比が0.1〜1.5%であるものであってもよい。
【0025】
担体表面のコバルトの原子比の測定に関し、試料の調製方法および測定方法は、先述の電子状態の測定法と同様である。測定の結果得られるピークの面積を用いて、試料表面近傍の元素を定量化することができる。このとき、X線の出力により試料表面近傍から得られる情報が異なり、出力が高いほど試料内部の情報が無視できなくなる。そのため本発明では、X線の出力を10kV、18mAと規定している。本測定条件で試料を測定したとき、担体表面のコバルト原子比が0.1〜1.5%であるとき、特に質の良い中空状ナノファイバーが得られる。
【0026】
コバルトの原子比が0.1%未満では、触媒金属量が少なすぎるため、中空状ナノファイバーの生成量が少ない。また、コバルトの原子比が1.5%を超えると、後述するようにコバルト粒子の凝集が進行する。また、コバルトが多すぎることから、個々のコバルト原子に対する担体からの電子の寄与が減少し、生成する中空状ナノファイバーの物性を制御し難くなる。その結果、直径が大きいカーボンナノチューブや中空ナノファイバーが優先的に生成し、2〜5層に代表される細いカーボンナノチューブの生成が抑制される。
【0027】
また、本発明に使用する金属触媒としては、X線光電子分光法で10kV、18mAで測定した担体表面のコバルトとチタンの原子比が0.3以上かつ2.0以下であるコバルト微粒子をチタンを含有する担体に担持した触媒を用いるものであってもよい。この触媒を使用するときは、次の二つの要件が重要である。
【0028】
(1)担体がチタンを含有すること。
(2)X線光電子分光法で10kV、18mAで測定した担体表面のコバルトとチタンの原子比が、0.3以上、かつ2.0以下であること。
【0029】
チタンを含有する担体としては、金属状チタン、酸化チタン、チタン酸塩、酸化チタンと他の酸化物の混合物、チタンを含む複合酸化物、チタンを骨格中に含有するゼオライトなどがあげられる。X線光電子分光法で10kV、18mAで測定した担体表面のコバルトとチタンの原子比が、0.3以上、かつ2.0以下であるためには、担体中のチタン濃度が高すぎるものは好ましくない。この点から、酸化チタンと他の酸化物の混合物、チタンを含む複合酸化物、チタンを骨格中に含有するゼオライトが好しく用いられる。ここで、コバルトは中空状ナノファイバーを生成する触媒として用いられるため、原子比が低すぎると中空状ナノファイバーの収率が下がり、好ましくない。また、チタンはコバルトの助触媒として働いており、チタンの原子比が高くなりすぎると、チタンの触媒作用が強くなりすぎるため好ましくない。以上のことから、コバルトとチタンの原子比が、0.3以上、かつ2.0以下であることが好ましく、特に0.5以上、かつ1.5以下であることが好ましい。
【0030】
また、本発明に使用する金属触媒としては、コバルトとコバルト以外の第2金属成分との担体表面の重量比((コバルトの重量)/(第2成分金属の重量))が2.5以上、または、原子比((コバルトの原子数)/(第2成分金属の原子数))が5〜15であるコバルト微粒子を担体に担持したものであってもよい。これは中空状ナノファイバーの合成触媒としてコバルトが機能した場合、中空状ナノファイバーの物性を制御し易いためであり、第2金属成分の存在比が高まると、第2金属成分が中空状ナノファイバーの合成触媒として大きく寄与することとなり、その結果として、中空状ナノファイバーの物性を制御しにくくなるからである。
【0031】
コバルト以外の第2金属成分とは、ESCAなどによる担体表面の元素分析の結果、担体やコバルト以外に存在比が最も大きい第3〜12族の金属のことを言う。第2金属成分はコバルト触媒の助触媒として機能したり、コバルトと合金を形成し、金属触媒の粒径や電子状態を制御する機能を有すると考えられる。この第2金属成分としては、第3〜12族の金属のうちバナジウム、モリブデン、マンガン、鉄、ニッケル、パラジウムの少なくとも一種類が用いられる。
【0032】
(コバルト)/(第2成分金属)の比は、高いほどコバルトに起因する触媒反応が支配的になり、高性能の中空状ナノファイバーを合成することができる。そのため(コバルト)/(第2成分金属)の比は大きいほどよく、重量比で2.5以上とするが、好ましくは3.0以上、さらに好ましくは5.0以上である。5.0以上の場合は特に効果が高く、直径20nm以上のナノファイバーの生成が極端に抑えられる。また、原子比で5〜15であるとき、特に6〜12の場合は特に効果が高く、直径20nm以上のナノファイバーの生成が極端に抑えられる。これは特にメタロシリケートを担体としたとき顕著である。なお、担体表面の重量比は、X線の出力を10kV、18mAと規定したX線光電子分光法を用いることで測定できる。
【0033】
また、担体表面の金属種としては、コバルトおよび第2金属成分以外の金属種が存在しても良く、特に生成する中空状ナノファイバーの物性を制御する目的で3種類以上の金属種を用いるようにしてもよい。
【0034】
また、上述した本発明に使用する触媒金属は、担体上に担持された金属微粒子の80%以上が、0.5から10nmの大きさを有することが好ましい。金属微粒子の粒径が、生成する中空状ナノファイバーの直径に影響すると考えられることから、細い中空状ナノファイバーの製造を目指す場合には、粒径の小さい金属微粒子が必要となる。そのため担体上に存在する金属微粒子の個数の80%以上が、0.5から10nmの大きさを有することが好ましい。上記した金属触媒の担持方法を用いることにより、このような金属微粒子の直径を達成することができる。
【0035】
担体へのコバルトを含む金属の担持方法は、特に限定されない。例えば、コバルトなどの金属の塩を溶解させた非水溶液中(例えばエタノール溶液)又は水溶液中に担体を含浸し、充分に分散混合した後に乾燥させ、窒素、水素、不活性ガスまたはその混合ガス中で高温(300〜900℃)で加熱することにより、担体に金属を担持させることができる(含浸法)。
【0036】
特に、担体が多孔性物質の場合の吸着は、コバルトを含む金属塩の水溶液量をなるべく少なくし、担体の細孔内に水溶液を吸着させ、余分な水溶液はろ過などで除去して乾燥させる平衡吸着法が最も好ましい。その理由は、多孔性物質の細孔に平衡吸着法で金属を担持させると比較的担持された金属の径が均一になり、生成した中空状ナノファイバーの径が均一になるためである。また、金属は担体の細孔入り口付近に存在し、高温下でも凝集しにくくなるので、特に耐熱性を有する担体を用いた場合には、平衡吸着法は有効な金属の担持法である。
【0037】
または、コバルトを含む金属塩の水溶液に担体を含浸し、含浸法又は平衡吸着法で金属塩を担持させた後に乾燥させ、窒素、水素、不活性ガスまたはその混合ガス中で高温(300〜900℃)で加熱することにより、担体の結晶表面に金属を担持させることもできる。勿論、金属塩を担持した後、空気中で焼成して金属酸化物にした後、水素を使用して還元することにより、担体に金属を担持させることもできる。
【0038】
ここで用いるコバルト原料は特に限定されないが、上述の方法で用いる金属塩溶液の調製のしやすさや価格から、硝酸コバルト、酢酸コバルト、硫酸コバルト等の無機酸塩、エチレンジアミン4酢酸コバルト錯体、下記の化1で表されるコバルトアセチルアセトナート錯体類縁物(化1において、Rはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基,i−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基から選ばれる少なくとも一つを含む)、等の錯塩、塩化コバルト、臭化コバルト、フッ化コバルト等のハロゲン化物、およびシュウ酸コバルト、ステアリン酸コバルト等の有機酸塩が好んで用いられる。
【0039】
【化1】
コバルトの担体としては、コバルト金属微粒子を高分散担持できることが必要であり、かつ、上述の通りコバルト金属微粒子に電子を与えられることが必要である。この条件を満たす担体であれば特に限定されないが、無機酸化物、ゼオライト、シリコン、グラファイト、カーボンナノチューブ等が好しく使用される。特に、担体の電子吸引性が高い場合、触媒金属から担体へ電子が移動し、触媒金属上の電子密度が低くなる。その結果、コバルト上の電子の結合エネルギーがより高くなる。逆に、担体の電子供与性が高い場合、担体から触媒金属へ電子が移動し、触媒金属上の電子密度が高くなる。その結果、コバルト上の電子の結合エネルギーが低くなる。これらのことから、適度な電子吸引/供与性を有する担体が好ましく、特に、ゼオライトを用いた場合は、シリカアルミナ比が小さく極性が高いゼオライトより、USY型やチタノシリケートなど、極性が低いゼオライトが好んで用いられる。
【0040】
本発明において、中空状ナノファイバーを製造するために触媒と炭素含有化合物とを接触させるときの温度は、500〜1200℃であり、好ましくは600℃〜1000℃の範囲にするのがよい。温度が500℃よりも低いと、ナノファイバーの収率が悪くなり、また温度が1200℃よりも高いと、使用する反応器の材質に制約があると共に、ナノファイバー同士の接合が始まり、ナノファイバーの形状のコントロールが困難になる。特に細いナノファイバー(単層カーボンナノチューブや2層〜5層カーボンナノチューブ等の細いカーボンナノチューブ)は、比較的高い温度で接触させることにより得ることができる。炭素源にもよるが、750℃以上で接触させることが好ましい。
【0041】
触媒と炭素含有化合物との接触のさせ方は、特に限定されない。例えば、管状炉に設置された石英製、アルミナ製等の耐熱性の反応管内に、上述した触媒を置き、加熱下に炭素含有化合物ガスを流すことにより達成することができる。触媒と炭素含有化合物の接触方法は、上記のような方法のほかに、触媒を噴霧する方法、触媒を攪拌しながら接触させる方法であってもよい。接触させている時間(反応時間)は、目的とするナノファイバーや炭化水素のガス流量、炭化水素の濃度によって最適値は変わるが、数分から数時間が一般的である。反応時間は短いほうが細いナノファイバーが得られるが、収量は少なくなる。また、反応時間が長くなると収量は増加するが、ナノファイバーは太くなる傾向がある。
【0042】
本発明において、炭素含有化合物は特に限定されないが、好ましくは炭化水素又は一酸化炭素を使うとよい。
【0043】
炭化水素は芳香族であっても、非芳香族であってもよい。芳香族の炭化水素では、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン又はこれらの混合物などを使用することができる。また、非芳香族の炭化水素では、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、又はこれらの混合物等を使用することができる。炭化水素には、また酸素を含むもの、例えばメタノール若しくはエタノール、プロパノール、ブタノールのごときアルコール類、アセトンのごときケトン類、及びホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドのごときアルデヒド類、トリオキサン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルのごときカルボン酸類、酢酸エチルなどのエステル類又はこれらの混合物であってもよい。これらの中でも、特に非芳香族の炭化水素は、質の良い中空状ナノファイバーを得ることができるため、最も好ましい炭素源である。
【0044】
上記金属触媒を担持する担体には、無機酸化物、シリコン、グラファイト、カーボンナノチューブ等が好んで用いられる。特に、ゼオライトが好ましい。ゼオライトは、コバルト金属微粒子を高分散担持することができ、かつ、上述の通りコバルト金属微粒子に電子を与えられるからである。
【0045】
本発明においてゼオライトとは、分子サイズの細孔径を有した結晶性無機酸化物からなるものである。ここに分子サイズとは、世の中に存在する分子のサイズの範囲であり、一般的には、0.2nmから2nm程度の範囲を意味する。さらに具体的には、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、あるいは結晶性メタロアルミノフォスフェート等で構成された結晶性マイクロポーラス物質のことである。
【0046】
結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタロアルミノフォスフェートとしては、特に種類は制限されないが、例えば、アトラス オブ ゼオライト ストラクチュア タイプス(マイヤー、オルソン、バエロチャー、ゼオライツ、17(1/2)、1996)(Atlas of Zeolite Structure types(W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Zeolites, 17(1/2),1996))に掲載されている構造をもつ結晶性無機多孔性物質が挙げられる。また、本発明に使用されるゼオライトは、本文献に掲載されているものに限定されるものではなく、近年次々と合成されている新規な構造を有するゼオライトも含まれる。好ましい構造は、入手が容易なFAU型、MFI型、MOR型、BEA型であるが、これに限定されない。
【0047】
また、前記ゼオライトとして、構造骨格内にケイ素以外のヘテロ元素を、ケイ素/ヘテロ原子モル比で25以上となるように含むアルミノシリケートゼオライト、メタロシリケートゼオライト、またはメタロアルミノシリケートが好ましく使用することができる。ヘテロ原子がアルミニウムであるゼオライトはアルミノシリケートであり、ケイ素/アルミニウムモル比が25以上ということは、ハイシリカゼオライトに属する。このようなシリカアルミナ比をとることができれば、その結晶構造は特に限定されないが、例えば、MFI型、MOR型、FAU型、CIT−5型が好んで用いられる。特に、高耐熱性FAU型ゼオライトであるUSY型ゼオライトは好ましい。
【0048】
また、アルミニウムやシリコン以外のヘテロ元素を含むゼオライトは、メタロシリケートと言われる。ヘテロ元素の種類は特に限定されないが、例えば、ホウ素、ガリウム、鉄、コバルト、チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、亜鉛が好んで用いられる。メタロシリケートゼオライトは、種類は特に限定されないが、耐熱性が高いほうが好ましい。反応温度以上の温度に対して耐熱性を有することが好ましく、特に800℃以上の耐熱性を有するものが好ましい。
【0049】
ゼオライトが800℃の耐熱性を有するとは、窒素または乾燥空気の雰囲気中で800℃で30分間焼成した時、その焼成前後において室温で粉末X線回折(XRD)を行った時、そのゼオライトのピーク位置、ピーク高さ比が共に同様のピークを有していることを意味する。好ましくは、800℃で加熱後、粉末X線回折を行った時、焼成前のゼオライトと同様のピークを有するだけでなく、実質的構造変化がないものがよい。メタロシリケートの結晶構造は特に限定されないが、MFI型はメタロシリケート構造が安定で好んで用いられる。
【0050】
金属触媒微粒子をゼオライト担体表面に析出させる方法として、コバルトシリケート、鉄シリケートなどのメタロシリケートを合成し、これを高温で焼成し、骨格中のコバルト、鉄をゼオライト表面に析出させ、微粒子化する方法を用いることもできる。本方法を用いることで、数十nm以上の大きさを持つ金属粒子の生成を抑制できるため、6層以上の多層カーボンナノチューブや、外径が50nm以上のナノファイバーの生成を抑制することができる。本方法として、コバルトシリケート、鉄シリケートなど、1種類のヘテロ原子を骨格内に有するゼオライトだけでなく、鉄、コバルト、チタンなど、2種類以上のヘテロ原子を骨格内に有するゼオライトも好ましく使用することができる。
【0051】
本発明において、担体としては、構造骨格内にシリコン以外のヘテロ元素を、ケイ素/ヘテロ原子モル比で25以上となるように含むものが好ましい。ヘテロ原子がアルミニウムや3価の元素である場合は、ケイ素/ヘテロ原子比が25より小さいと、骨格中の電荷バランスを補償するイオン交換点が多くなり、耐熱性が低くなる。その結果、中空状ナノファイバーの合成温度が低くなり、生成する中空状ナノファイバーのグラファイト化度が低くなる。
【0052】
ケイ素/ヘテロ原子比が高い(100以上)ゼオライトは、それだけ耐熱性が高くなり、中空状ナノファイバーの合成温度を上げることができるため好ましい。また、ケイ素/ヘテロ原子比が低い(25以上100以下)ゼオライトでは、骨格中のヘテロ原子がゼオライト外表面金属に及ぼす影響が大きく、中空状ナノファイバー合成において、触媒反応を制御しやすい点で好ましい。また、ヘテロ元素が4価の元素である場合、ケイ素/ヘテロ原子比が25より小さいメタロシリケートの合成は極めて困難であり、かつ、安定性が低いため、ケイ素/ヘテロ原子比は25以上が好ましい。ヘテロ原子は骨格にあることが好ましいが、焼成中などに骨格外へ抜け出ていても構わない。たとえ抜け出ていても、金属との相互作用の点では十分に効果を奏するものと考えられる。
【0053】
ゼオライト骨格中のSi/ヘテロ原子の原子比は、29Si MAS NMRで測定することができる。また、骨格から抜け出たヘテロ原子も含めて測定する場合には、エネルギー分散型X線分光分析法(EDX)により測定することができる。
【0054】
上述のコバルトの電子状態を作り出すために、担体であるゼオライトの種類が重要である。チタンのような遷移金属を構造骨格に持ったゼオライトは、特にこのような状態を作り出しやすくすることができる。その理由は、遷移金属はd軌道に電子を有しており、その電子がゼオライト上の金属種に電子を与えているものと推定することができる。
【0055】
実質的にアルミニウムなどの3価の成分を含まないゼオライトを後処理により製造する方法としては、予めアルミニウムなどを含んだ結晶性アルミノシリケートを製造し、キールの方法(ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー、71巻、4155頁、(1967年))又はスキールらの方法(第6回国際ゼオライト学会予稿集、87ページ(1984年))で、脱アルミニウムしてハイシリカゼオライトにして、耐熱性を向上させる方法もある。しかし、通常は、このままでは、焼成中にゼオライトは構造変化を起こす。それは、アルミニウムが抜けたところが構造欠陥となるためである。この構造欠陥が焼成中に構造変化を起こす原因となる。
【0056】
本発明において、金属触媒の担体に使用するゼオライトには、構造骨格内にアルミニウムを含むアルミノシリケート、アルミニウムやケイ素以外のヘテロ元素を含むメタロシリケート、およびアルミニウムとヘテロ原子の両方を含むメタロアルミノシリケートを使用することができる。本発明者らが鋭意検討した結果によれば、触媒となる金属と担体との親和性が、高品質のカーボンナノチューブを作る上で、またカーボンナノチューブの層数や太さを制御する上で重要な因子になっていることを知見した。特に、チタノシリケート、コバルトシリケート、およびボロシリケートから選ばれる少なくとも一つを担体に用いることで、細い中空状ナノファイバーを製造しやすくなることを見出した。
【0057】
上記のようなゼオライトの結晶の大きさは特に制限はない。一般には数10nmから数10μmである。結晶が小さい方が外表面積が大きいので、カーボンナノチューブの収量を多くすることができるため好ましい。しかし、余り小さくても凝集がはげしく、実質的な外表面積が減少するので、大きさとしては、0.1〜10μmの結晶であることが好ましい。
【0058】
本発明では原料として炭素含有化合物が使用され、その詳細は前述した通りである。しかし、炭素含有化合物以外に希釈ガスを好ましく使用することができる。希釈ガスとしては、特に限定されないが、酸素ガス以外のものが好ましく使用される。酸素は爆発の可能性があるので通常使用しないが、爆発範囲外であればかまわない。窒素、アルゴン、水素、ヘリウム等が好ましく使用される。
【0059】
これらのガスは、炭素含有化合物ガスの濃度のコントロールや、キャリヤガスとして作用する。このうち水素は、特に触媒金属の活性化に効果があるので好ましい。アルゴンの如き分子量が大きいガスは、アニーリング効果が大きいので好ましい。キャリアガス中の炭素含有化合物の蒸気の濃度が高くなると、収量は向上するが、太いカーボンナノチューブができる傾向がある。また、キャリアガス中の炭素含有化合物の蒸気の濃度が低くなると、細いカーボンナノチューブができるが、収量が低くなる傾向がある。
【0060】
生成された炭素を主成分とする中空状ナノファイバーは、中空状であれば特に制限はない。ナノファイバーが中空状であることは、透過型電子顕微鏡で確認することができる。本発明から得られる中空状ナノファイバーは、外径が50nm以下で、内径が0.3nm以上15nm以下の極細の中空状ナノファイバーにすることができる。特に、中空状ナノファイバーの壁を欠陥の少ないグラファイト層で形成することができる。このように欠陥の少ないグラファイト層からなることは、高分解能透過型電子顕微鏡によって確認することができる。
【0061】
上記のような極細の中空状ナノファイバーは、一般的にカーボンナノチューブと定義される。多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブは、ともに炭素を主成分とする中空状ナノファイバーに含まれる。
【0062】
また、本発明の製造法によれば、中空状ナノファイバーが下記(1)〜(3)の要件の全てを満たす中空状ナノファイバーを得ることができる。
【0063】
(1)高分解能透過型電子顕微鏡で2層カーボンナノチューブが観察されること。
(2)共鳴ラマン散乱測定により、150〜350cm-1の領域にピークが観察されること。
(3)共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm-1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm-1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が1.0以上であること。
【0064】
ここでいう高分解能透過型電子顕微鏡による2層カーボンナノチューブの観察手法は、特に限定されるものではないが、例えば、中空状ナノファイバーを含有する試料をエタノールなど揮発性の高い溶媒に添加し、中空状ナノファイバーを溶媒中に分散させた後、中空状ナノファイバーを含む溶媒数滴をマイクログリッド上に滴下し、溶媒を揮発させた後に、高分解能透過型電子顕微鏡で観察する手法が好ましく用いられる。
【0065】
2層カーボンナノチューブを観察するためには、倍率を50万倍以上、好ましくは100万倍以上に上げる手法が用いられる。観察されるカーボンナノチューブの壁を構成するグラフェンシートが2本で観察されるものが2層カーボンナノチューブである。また、単層カーボンナノチューブの壁が部分的に2層になっていたり、多層カーボンナノチューブの壁が部分的に2層になっているものは2層カーボンナノチューブとは言わない。カーボンナノチューブの壁を構成するグラフェンシートが2本で観察される領域が、少なくとも30nm以上連続していなければ、2層カーボンナノチューブとは言わない。グラフェンシートが2本で観察される領域が長ければ長いほど、均質な2層カーボンナノチューブと言えるため好ましい。
【0066】
また、共鳴ラマン散乱測定により、150〜350cm-1の領域にピークが観察されるとは、RBM(Radial Breathing Mode)が観察されることを言う。RBMとは、細いカーボンナノチューブの伸縮振動に起因するピークであり、直径0.7〜1.6nmのカーボンナノチューブが存在することを示唆している。
【0067】
また、共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm-1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm-1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/D比が1.0以上であることとは、生成する中空状ナノファイバーのグラファイト化度が高いことを意味している。共鳴ラマン散乱測定では、1560〜1600cm-1付近の構造がG-bandであり、その他に不純物のアモルファスやカーボンナノチューブの欠陥に起因するものとして、1310〜1350cm-1付近のD-bandと呼ばれるピークが観測される。ラマン強度はグラファイトの1000倍程度に達し、共鳴効果が支配的である。
【0068】
カーボンナノチューブは、キラリティー、直径により、それぞれ異なった電子構造を取る。その中で、励起光がカーボンナノチューブのEgと一致する場合に共鳴が起こり、ラマンスペクトルが発現する。そのため、励起光波長を変えていくと、次々とスペクトルは変化する。カーボンナノチューブのG-bandは共鳴効果により強調されるため、試料の純度によって強度が大きく変化する。一方、1330cm-1付近のブロードなD-bandは不純物による寄与が大きく、これは共鳴効果により強い強調を受けないため、G-bandとD-bandの強度比を取ることにより、ナノチューブ試料の純度を見積ることが可能となる。本発明にある製造方法を用いることで、純度の高い中空状ナノファイバーを製造することができ、その結果、G/D比は1.0以上となる。
【0069】
本発明によれば、主成分が1層〜5層カーボンナノチューブからなる中空状ナノファイバーが得られやすく、かつバンドル状(束状)で得られることが多い。1層〜5層カーボンナノチューブを選択的に合成する場合、ゼオライト担体にはUSY型ゼオライトやチタノシリケートを好ましく使用することができる。
【0070】
また、本発明によれば、主成分が2層から5層カーボンナノチューブである中空状ナノファイバーが得やすく、特に2層カーボンナノチューブをバンドル状(束状)で得ることができる。2層から5層カーボンナノチューブを選択的に合成する場合は、ゼオライト担体にはチタノシリケート、コバルトシリケートを好ましく使用することができる。
【0071】
本発明の製造法によれば、触媒調製法のコントロールによりカーボンナノチューブのコントロールが容易である。そのうちの一つの2層カーボンナノチューブは、平均内径が約2nmよりも大きくできるのが特徴である。一般に内径が大きい2層カーボンナノチューブは比較的ゆがみが多く、太さが均一にならない場合が多いが、本発明の製造法で生成された2層〜5層カーボンナノチューブによれば、太さが均一であり、しかも触媒金属粒子を多く含まないという特徴を有している。
【0072】
本発明の製造法では、比較的内径が大きく5〜15nmである2層〜5層カーボンナノチューブを選択的に得ることが出来る。カーボンナノチューブの中空部分には、金属を始めとした様々な物質を取り込めるが、内径が大きい2層〜5層カーボンナノチューブは、その内容積の大きさから、将来的に取り込める物質の種類が増えるだけでなく、分子ふるい効果を付与できる可能性を有している。
【0073】
さらに、反応条件、触媒前処理条件を選べば、今まで得られたことがない、内径が1nm以下の2層〜5層カーボンナノチューブも得ることができる。これは1nm以下のゼオライト特有の微細孔に金属触媒が入れ子状に担持されているためであり、ゼオライトを担体に使うことにより始めて得られるものである。ゼオライトの細孔入口径に近い0.4〜1.0nm、特に0.6〜0.9nmの内径を有する2層〜5層のカーボンナノチューブを得ることができる。単層カーボンナノチューブ中にフラーレンを導入した後、加熱して得られるナノチューブは2層であるが、その2層部分は極めて短いものしか得られていない(約10nm:Chemical Physics Letters, 337(2001) 48-54 )。このように2層部分の短いカーボンナノチューブは、本発明においては、2層カーボンナノチューブとはいわない。
【0074】
本発明で合成される2層カーボンナノチューブには、内径が1nm以下であると共に、長さが15nm以上のものを得ることができる。その長さは20nm以上にすることができ、特に好ましくは30nm以上にすることができる。本発明の製造法では、更に今までに見られたことのない内径が1nm以下の細い2層カーボンナノチューブのバンドルを得ることができる。
【0075】
本発明によれば、2層カーボンナノチューブを選択的に合成することもできる。なお、純度100%の2層カーボンナノチューブを得ることは困難であり、それを同定することも困難であるため、ここで言う2層カーボンナノチューブとは20万倍以上の倍率で透過型電子顕微鏡で見たときに2層カーボンナノチューブがその電子顕微鏡の視野の中に25%以上あれば2層カーボンナノチューブと言って差し支えない。担体には、チタノシリケートゼオライト、コバルトシリケートゼオライト、ボロシリケートゼオライトから選ばれる少なくとも一つを用い、コバルト原料には、コバルトの酢酸塩、硝酸塩、および錯体から選ばれる少なくとも一つを用い、700℃以上の反応条件で炭化水素ガスと接触させることで、特に良好に2層カーボンナノチューブを選択合成することができる。
【0076】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
【0077】
【実施例】
(実施例1)
(Co+Fe)/シリカライト
〔シリカライトの合成〕
18.9gのピペラジンヘキサハイドレート(アルドリッチ)と、5.2gのテトラプロピルアンモニウムブロマイド(アルドリッチ)に蒸留水164gを添加して攪拌した。加熱しながら溶けるまで攪拌した。それに、さらに11.7gのヒュームドシリカ(アルドリッチ)を添加し、80℃に加熱して透明な水溶液を得た。これをポリ4フッ化エチレン・ラインのオートクレーブに入れ、150℃で5日間加熱した。その後冷却して、濾過、水洗、乾燥を行った後、550℃で空気中で焼成した。
【0078】
得られた粉末のX線回折(XRD)を測定したところ、MFI型の構造を有するシリカライト−1であることがわかった。
【0079】
〔シリカライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.08gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)0.11gとをメタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に上記シリカライト−1の粉末1.0gを加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でメタノールを除去することにより、シリカライト−1の結晶表面に金属塩が担持した触媒を得た。
【0080】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のシリカライト−1に金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で800℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した(10kV,18mA)。測定されたコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが780.3eVであった。Fe2P2/3電子の結合エネルギーは、710.6eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は0.7%、鉄の原子比は0.3%であった。
【0081】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、金属塩を担持したシリカライト−1を0.034g取り、アルゴンを30ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を1ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0082】
石英プレート上に堆積した反応物の一部の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が20nm以下で内径が5nm程度の細い中空状ナノファイバーであった。また、高分解能透過型電子顕微鏡で中空状ナノファイバーを観察したところ、ナノファイバーの壁はきれいなグラファイト層で構成されており、層数は1〜20層、特に2〜5層の2層を主成分とする細いカーボンナノチューブが見られた。また、直径が20nm以上のナノファイバーは多く観察された。
【0083】
以上の結果を表1に示した。
(実施例2)
(Co+Fe)/TS−1
〔結晶性チタノシリケートの合成〕
シリカゾル(DuPont社製、LudoxHS−40)6gと、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド22%水溶液(東京化成製)をビーカーにとり、約1時間激しく攪拌した。ここへ、テトライソプロポキシチタン0.34g(ナカライ製)を加え、15分間攪拌した。ここへ蒸留水12.4gを加え、これをテフロン(登録商標)ラインのオートクレーブへ移し、75℃で3時間静置した。次いで、175℃で48時間加熱した。その後冷却して、濾過、水洗、乾燥を行った後、550℃で空気中で焼成した。この粉末のX線回折(XRD)を測定したところ、MFI型の構造を有するTS−1であることがわかった。
【0084】
〔耐熱性ゼオライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.04gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)0.11gとをメタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に上記TS−1の粉末1.0gを加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でメタノールを除去することにより、TS−1の結晶表面に金属塩を担持した触媒を得た。
【0085】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のTS−1に金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが779.8eVであった。Fe2P2/3電子の結合エネルギーは、710.6eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は0.6%、鉄の原子比は0.1%であった。
【0086】
透過型電子顕微鏡観察の結果、図1に示すように、ゼオライト表面に直径約3nmの金属微粒子が形成していることが観察された。
【0087】
〔2層ナノチューブの合成(900℃)〕
内径100mmの石英管の中央部の石英プレート上に、金属塩を担持したTS−1を0.09g取り、アルゴンを250ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を900℃に加熱した(昇温時間約30分)。900℃に到達した後、超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を10ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0088】
石英プレート上に堆積した反応物の一部の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が15nm以下、内径約3nmの2層ナノチューブで構成されたバンドルや、一部が3層以上になった2層カーボンナノチューブが生成していた。これ以外の主生成物は外径15nm以下で、かつ層数が2〜5層の2層を主成分とするカーボンナノチューブでが多く見られた。また、直径が20nm以上のナノファイバーは若干量観察された。
【0089】
以上の結果を表1に示した。
(実施例3)
(Co+Mn)/TS−1
〔結晶性チタノシリケートへの金属塩の担持〕
硝酸マンガン(片山化学製)0.008gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)0.11gとをメタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に実施例2のTS−1の粉末1.0gを加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でメタノールを除去することにより、TS−1の結晶表面に金属塩を担持した触媒を得た。
【0090】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のTS−1に金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが780.0eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は0.6%、鉄の原子比は0.03%であった。
【0091】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、金属塩を担持したTS−1を0.032g取り、アルゴンを30ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を1ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0092】
石英プレート上に堆積した反応物の一部の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が10nm以下で内径が3nm程度の2〜5層カーボンナノチューブが大量に観察された。また、直径が20nm以上のナノファイバーはほとんど観察されなかった。
【0093】
以上の結果を表1に示した。
(実施例4)
(Co+Fe)/シリカライト(低耐熱性)
〔低耐熱性シリカライトの合成〕
20gのテトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド(TPAOH)の20〜25%水溶液(東京化成社製20〜25%水溶液)に、0.28gの水酸化ナトリウム(片山化学社製試薬1級)を添加して攪拌した。それに、さらに5gのヒュームドシリカ(アルドリッチ)を添加し、80℃に加熱することにより透明な水溶液を得た。これをポリ4フッ化エチレン・ラインのオートクレーブに入れ、125℃で8時間加熱したところ、シリカライトの微粒子(平均粒径約80nm)が得られた。
【0094】
得られた粉末のX線回折(XRD)を測定したところ、MFI型の構造を有するシリカライト−1であることがわかった。この粉末を、(株)島津製作所製の熱分析装置DTG−50で窒素50 ml/分の気流中で、5℃/分の昇温速度で800℃まで加熱したところ、700℃から800℃の間にDTA曲線に発熱ピークが現れた。
【0095】
〔ゼオライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.08gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)0.11gとをメタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に上記シリカライト−1の粉末1.0gを加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でメタノールを除去することにより、シリカライト−1の結晶表面に金属塩が担持した触媒を得た。
【0096】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のシリカライト−1に金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で800℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した(10kV,18mA)。測定されたコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが780.2eVであった。Fe2P2/3電子の結合エネルギーは、710.9eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は0.7%、鉄の原子比は0.3%であった。
【0097】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、金属塩を担持したシリカライト−1を0.031g取り、アルゴンを30ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を1ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0098】
石英プレート上に堆積した反応物の一部の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が20nm以下で内径が5nm程度の細い中空状ナノファイバーであった。また、高分解能透過型電子顕微鏡で中空状ナノファイバーを観察したところ、ナノファイバーの壁は比較的きれいなグラファイト層で構成されており、層数は1〜20層、特に2〜5層のカーボンナノチューブが多く見られた。また、直径が20nm以上のナノファイバーは多く観察された。
【0099】
以上の結果を表1に示した。
(実施例5)
(Co+Fe)/USY(シリカアルミナ比40)
〔USY型ゼオライトへの金属塩の担持〕
USY型ゼオライト(PQコーポレーション製、シリカアルミナ比40)5gを0.1規定NaOH水溶液300mlに加え、室温で3時間攪拌した。これをろ過、水洗した。次に、酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.08gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)0.11gとをエタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に先述のNaOH処理したUSY型ゼオライトを1.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、USY型ゼオライト粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
【0100】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のUSY型ゼオライトに金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子エネルギーが779.5eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は0.2%、鉄の原子比は0.2%であった。
【0101】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、上記で得た金属塩を担持したUSY型ゼオライト粉末を0.029g取り、アルゴンを30ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を1ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0102】
石英プレート上に堆積した反応物反応物の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が20nm以下で内径が5nm程度の細い中空状ナノファイバーであった。また、高分解能透過型電子顕微鏡で中空状ナノファイバーを観察したところ、ナノファイバーの壁は比較的きれいなグラファイト層で構成されており、層数は1〜20層のカーボンナノチューブであり、特に1〜5層のカーボンナノチューブが多く観察された。また、直径が20nm以上のナノファイバーも大量に観察された。
【0103】
以上の結果を表1に示した。
(実施例6)
(Co+Fe)/TS−1
〔TS−1型ゼオライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.008gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)0.11gとをエタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、TS−1ゼオライト(エヌイーケムキャット製、ケイ素/チタン比50)を1.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、TS−1型ゼオライト粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
【0104】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のTS−1型ゼオライトに金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子エネルギーが779.9eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は0.8%、鉄の原子比は0.06%であった。また、コバルトとチタンの原子比は0.87であった。
【0105】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、上記で得た金属塩を担持したTS−1型ゼオライト粉末を0.029g取り、アルゴンを30ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を1ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0106】
石英プレート上に堆積した反応物反応物の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が15nm以下で内径が5nm程度の細い中空状ナノファイバーであった。高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、ナノファイバーの壁は比較的きれいなグラファイト層で構成されており、ほとんどの層数は2〜5層のカーボンナノチューブであり、直径20nm以上のナノファイバーはほとんど観察されなかった。
【0107】
以上の結果を表1に示した。
(実施例7)
(Co+Fe)/TS−1
〔TS−1型ゼオライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.064gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)0.088gとをエタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、TS−1ゼオライト(エヌイーケムキャット製、ケイ素/チタン比50)を1.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、TS−1型ゼオライト粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
【0108】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のTS−1型ゼオライトに金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子エネルギーが779.5eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は0.6%、鉄の原子比は0.05%であった。
【0109】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、上記で得た金属塩を担持したTS−1型ゼオライト粉末を0.029g取り、アルゴンを30ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を1ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0110】
石英プレート上に堆積した反応物反応物の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が15nm以下で内径が5nm程度の細い中空状ナノファイバーであった。高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、ナノファイバーの壁は比較的きれいなグラファイト層で構成されており、ほとんどの層数は2〜5層のカーボンナノチューブであった。直径20nm以上のナノファイバーは多く観察された。
【0111】
以上の結果を表1に示した。
(比較例1)
(Co+Fe)/USY(シリカアルミナ比390)
〔USY型ゼオライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.064gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.088gとをエタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、USY型ゼオライト(東ソー製HSZ-390HUA、シリカ/アルミナ比390)を1.0g加え、超音波洗 浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、USY型ゼオライト粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
【0112】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のUSY型ゼオライトに金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子エネルギーが781.1eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は1.4%、鉄の原子比は0.5%であった。
【0113】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、上記で得た金属塩を担持したUSY型ゼオライト粉末を0.029g取り、アルゴンを30ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を1ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0114】
石英プレート上に堆積した反応物反応物の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が20nm以下で内径が1〜3nm程度の細い中空状ナノファイバーであった。高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、ナノファイバーの壁は比較的きれいなグラファイト層で構成されており、ほとんどの層数は1〜20層のカーボンナノチューブであった。特に単層や1〜5層のカーボンナノチューブが多く観察された。また、直径20nm以上のナノファイバーは若干観察された。単層カーボンナノチューブの比率が高かったが、収率がよくなかった。
【0119】
(比較例2)
(Co+Fe)/USY(シリカアルミナ比390)
〔USY型ゼオライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.064gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.088gとをエタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、USY型ゼオライト(東ソー製HSZ-390HUA、シリカ/アルミナ比390)を1.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、USY型ゼオライト粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
【0120】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のUSY型ゼオライトに金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子エネルギーが781.1eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は1.4%、鉄の原子比は0.5%であった。
【0121】
〔単層カーボンナノチューブの選択合成〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、上記で得た金属塩を担持したUSY型ゼオライト粉末を0.029g取り、アルゴンを30ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。エタノール(試薬特級、東京化成製)をマイクロフィーダーで2.1mg/分で30分間供給した後、エタノールの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0122】
反応管中の石英プレート上に堆積した生成物の形状を日本電子データム(株)走査電子顕微鏡JSM−6301NFで測定したところ、極めて細いナノファイバー状物質が多く見られた。更に、高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、生成物のほとんどが、直径2nm以下の単層カーボンナノチューブであった。直径20nm以上のナノファイバーは全く観察されなかった。しかし、収率がよくなかった。
【0127】
(実施例8)
(Co+Fe)/TS−1
〔TS−1型ゼオライトへの金属塩の担持〕
鉄アセチルアセトナート錯体(日本化学産業製)0.021gとコバルトアセチルアセトナート錯体(日本化学産業製)0.2gとをアセトン(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、TS−1ゼオライト(エヌイーケムキャット製、ケイ素/チタン比50)を2.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、TS−1型ゼオライト粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
【0128】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のTS−1型ゼオライトに金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却し、しかる後、一旦空気中に取り出してX線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子エネルギーは780.0eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は1.4%、鉄の原子比は0.14%であった。
【0129】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの縦型石英管の中央部の石英ウール上に、上記で得た金属錯体を担持したTS−1型ゼオライト粉末を1.0g取り、アルゴンを60ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を0.5ml/分で300分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0130】
石英プレート上に堆積した反応物反応物の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が15nm以下で内径が5nm程度の細い中空状ナノファイバーであった。高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、ナノファイバーの壁は比較的きれいなグラファイト層で構成されており、全ての層数は2〜5層のカーボンナノチューブで、特に2層が主成分であった。直径20nm以上のナノファイバーは全く観察されなかった。
【0131】
以上の結果を表1に示した。
(実施例9)
(Co+Fe)/ボロシリケート
〔ボロシリケート型ゼオライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.064gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.088gとをエタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、ボロシリケートゼオライト(エヌイーケムキャット製、ケイ素/ホウ素比50)を1.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、ボロシリケート型ゼオライト粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
【0132】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のボロシリケートゼオライトに金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子エネルギーが780.1eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は1.4%、鉄の原子比は0.07%であった。
【0133】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの縦型石英管の中央部の石英ウール上に、上記で得た金属錯体を担持したTS−1型ゼオライト粉末を1.0g取り、アルゴンを60ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。エタノールをマイクロフィーダーでガスとして0.5ml/分で300分間供給した後、エタノールの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0134】
石英プレート上に堆積した反応物反応物の形状を透過型電子顕微鏡で測定したところ、外径が5nm以下の細い中空状ナノファイバーであった。高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、ナノファイバーの壁は比較的きれいなグラファイト層で構成されており、全ての層数は1〜5層のカーボンナノチューブであった。直径20nm以上のナノファイバーは全く観察されなかった。
【0135】
以上の結果を表1に示した。
(実施例10)
〔耐熱性ゼオライトへの金属塩の担持(高流速)〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.10gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.06gとをメタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に上記TS−1の粉末1.0gを加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でメタノールを除去 することにより、TS−1の結晶表面に金属塩を担持した触媒を得た。
【0136】
〔2層カーボンナノチューブの合成(800℃)〕
内径30mmの縦型石英管の中央部に石英ウールを詰め、その上に上記で得た金属塩を担持したTS−1を1.0g取り、アルゴンを600ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間約30分)。800℃に到達した後、超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を5ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0137】
石英ウール上に堆積した反応物の一部の形状を高分解能透過型電子顕微鏡で測定したところ、内径約4nmの2層カーボンナノチューブが多く生成していた。そのラマンスペクトルの結果、G/D比は2.75、150〜350cm-1内に多数のピークが観察された。
【0138】
以上の結果を表1に示した。
(比較例3)
(Co+Fe)/USY(シリカアルミナ比390)
〔Y型ゼオライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.08gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.11gとをエタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に比較例1と同じUSY型ゼオライト粉末(東ソー製)を1.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、USY型ゼオライト粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
【0139】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のUSY型ゼオライトに金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で900℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子エネルギーが781.3eVであった。Fe2P2/3電子の結合エネルギーは、710.9eVであった。
【0140】
〔ナノファイバーの合成(600℃)〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、上記で得た金属塩を担持したUSY型ゼオライト粉末を0.029g取り、窒素を30ml/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を600℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を6ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0141】
石英プレート上に堆積した反応物反応物の形状を日本電子データム(株)製の走査電子顕微鏡JSM−6301NFで測定したところ、中空状ナノファイバーの生成量は極めて少なかったが、外径が20nm以下で内径が5nm程度の細い中空状ナノファイバーが少量観察された。高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、ナノファイバーの壁は比較的きれいなグラファイト層で構成されており、ほとんどの層数は1〜20層のカーボンナノチューブであり、特に2〜5層のカーボンナノチューブはほとんど観察されず、全体的に太めであった。また、直径20nm以上のナノファイバーは多く観察された。
【0142】
以上の結果を表1に示した。
(比較例4)
(Co+Fe)/Na−Y型
〔Na−Y型ゼオライトへの金属塩の担持〕
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.08gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.11gとをエタノール(ナカライテスク社製)7mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液にNa−Y型ゼオライト(東ソー製シリカアルミナ比5.1)の粉末を1.0gずつ加え、超音波洗浄機で10分間処理し、120℃の恒温下でエタノールを除去し、触媒とした。
【0143】
〔触媒の光電子分光測定〕
上述のNa−Y型ゼオライトに金属塩を担持した触媒をアルゴンガス中で800℃で30分焼成した後、アルゴンガス中で室温まで冷却した後、一旦空気中に取り出し、X線光電子分光法装置で触媒を測定した。測定されたコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが779.2eVであった。Fe2P2/3電子の結合エネルギーは、709.9eVであった。また、担体表面のコバルトの原子比は2.9%、鉄の原子比は0.6%であった。
【0144】
〔ナノファイバーの合成(800℃)〕
内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に、上記触媒を0.03g取り、アルゴンを30ml/分で供給した。各石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を6ml/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却した。
【0145】
反応管中の石英プレート上に堆積した反応物の形状を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、外径20nm以上の大量の中空状ナノファイバーと外径20nm以下、層数5〜20層のカーボンナノチューブが少量観察された。得られたカーボンナノチューブのグラファイト層は欠陥が少なく、2〜5層のカーボンナノチューブはほとんど観察されず、全体的に太めであった。
【0146】
以上の結果を表1に示した。
【0147】
【表1】
【0148】
【発明の効果】
本発明の製造法によると、X線光電子分光法で測定したコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが779.3eV以上で、781.0eV以下であるコバルト微粒子を担体に担持させた触媒、X線光電子分光法で10kV、18mAで測定した担体表面のコバルト原子比が0.1から1.5%であるコバルト微粒子を担体に担持した触媒、X線光電子分光法で10kV、18mAで測定した担体表面のコバルトとチタンの原子比が0.3以上かつ2.0以下であるコバルト微粒子をチタンを含有する担体に担持した触媒、或いは担体表面のコバルトと第2金属成分との重量比((コバルトの重量)/(第2金属成分の重量))が2.5以上であるコバルト微粒子を担体に担持した触媒を用い、その触媒と炭素含有化合物とを温度500〜1200℃で接触させることにより、触媒となるコバルト微粒子の電子状態を制御することでグラファイト層の欠陥が少なく、かつ太さと層数を制御した太さの細い良質な中空状ナノファイバーを効率良く得ることができる。
【0149】
また、グラファイト層の欠陥が少ないカーボンナノチューブを直接生成するため、後処理でグラファイト化するための費用がかかる高温の熱処理を不要にすることが可能になり、また太さを外径30nm以下、内径0.3nm以上15nm以下の細いカーボンナノチューブと定義される領域の良質の中空状ナノファイバーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チタノシリケート上に担持されたコバルト、鉄金属微粒子の透過型電子顕微鏡写真の模式図である。
Claims (17)
- X線光電子分光法で測定したコバルト2P3/2 の電子の結合エネルギーが779.3eV以上で、かつ781.0eV以下であるコバルト微粒子とコバルト以外の第2金属成分としてバナジウム、モリブデン、マンガン、鉄、ニッケル、パラジウムから選ばれる少なくとも一種類の3〜12族の金属とを担体に担持した触媒を用い、500〜1200℃で炭素含有物と接触させることにより、1〜5層のカーボンナノチューブを主成分とする中空状ナノファイバーを生成することを特徴とする中空状ナノファイバーの製造法。
- X線光電子分光法で10kV、18mAで測定した担体表面のコバルト原子比が0.1から1.5%であることを特徴とする請求項1に記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- X線光電子分光法で10kV、18mAで測定した担体表面のコバルトとチタンを含有する担体における該担体表面のチタンの原子比が0.3以上かつ2.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 担体表面のコバルトと第2金属成分との重量比((コバルトの重量)/(第2金属成分の重量))が2.5以上であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記担体表面のコバルトと第2金属成分との原子比((コバルトの原子数)/(第2金属成分の原子数))が5から15である請求項4に記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記担体上に担持された金属微粒子の80%以上が、0.5から10nmの大きさを有する請求項1〜5のいずれかに記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記金属微粒子が、金属酢酸塩、金属硝酸塩、および金属錯体から選ばれる少なくとも一つを原料として担体上に担持した後、加熱処理によって微粒子化したものである請求項1〜6のいずれかに記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記担体がゼオライトである請求項1〜7のいずれかに記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記ゼオライトが、USY型ゼオライト、MFI型ゼオライト、MFI型メタロシリケートから選ばれる少なくとも一つである請求項8に記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記担体がゼオライトであり、該ゼオライトが、チタノシリケート、コバルトシリケート、およびボロシリケートから選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1、2、4〜9のいずれかに記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記担体がゼオライトであり、該ゼオライトがチタノシリケートを含むことを特徴とする請求項3に記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記炭素含有化合物が炭化水素又は一酸化炭素である請求項1〜11のいずれかに記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 生成後の中空状ナノファイバーの外径が50nm以下、内径が0.3nm以上15nm以下である請求項1〜12のいずれかに記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記中空状ナノファイバーがカーボンナノチューブである請求項13に記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 生成後の中空状ナノファイバーが、下記(1)〜(3)の要件全てを満たしている請求項1〜14のいずれかに記載の中空状ナノファイバ ーの製造法。
(1)高分解能透過型電子顕微鏡で2層カーボンナノチューブが観察されること。
(2)共鳴ラマン散乱測定により、150〜350cm-1の領域にピークが観察されること。
(3)共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm-1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm-1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が1.0以上であること。 - 前記中空状ナノファイバーの主成分が2層から5層カーボンナノチューブである請求項1〜14のいずれかに記載の中空状ナノファイバーの製造法。
- 前記中空状ナノファイバーの主成分が2層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項16に記載の中空状ナノファイバーの製造法。
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