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JP2007176767A - カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法 - Google Patents

カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンナノチューブを含有する組成物から不純物を除去でき、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを耐熱性を低下させることなく得ることができる、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法の提供である。
【解決手段】下記工程aを含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
工程a.カーボンナノチューブを含有する組成物に非酸化性酸溶液と接触させる工程の後、アルカリ性溶液を接触させる工程。また、カーボンナノチューブとしては、固体触媒と炭素含有化合物を接触させる方法で得られた単層や2〜5層のカーボンナノチューブのような層数が少ないカーボンナノチューブが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法に関し、さらに詳しくは、不純物を除去でき、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを耐熱性を低下させることなく得ることができる、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法に関する。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性を有することから、燃料電池やリチウム2次電池用負極材として、また、樹脂、金属や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、透明導電フィルム、金属電解粉、電磁波シールド材の材料として期待されている。さらに、L/D(長さ/直径の比)が大きく、直径は数nmであることから、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、太陽電池素子、ナノピンセットの材料として期待されており、また、ナノサイズの空間を有することから、水素などの吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として期待されている。いずれの用途の場合にも、高純度のカーボンナノチューブが要求されており、カーボンナノチューブとしては直径の細い単層や2層のカーボンナノチューブが有利であり、グラファイト層の欠陥が少ない方が特性的に優れている。
カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られており(非特許文献1参照)、なかでも、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価に製造する方法として、触媒化学気相成長法が知られている(非特許文献2参照)。さらに触媒化学気相成長法では、カーボンナノチューブの層数を、単層、2〜5層に制御して製造できることが知られている(非特許文献3、4、特許文献1、2参照)。
上記製造方法で得られたカーボンナノチューブを含有する組成物は、カーボンナノチューブ以外の不純物を含む。例えば、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法ではアモルファスカーボン等の炭素不純物や触媒金属を含み、触媒化学気相成長法では、触媒金属や固体担体を含む。このため、上記製造方法によって得られたカーボンナノチューブを含有する組成物から、これら不純物を除去する精製方法が必要となる。従来から提案されている精製方法として、例えば、アモルファスカーボンを除去するために高温下で酸素と反応させる方法(非特許文献1参照)、触媒金属を除去するために塩酸と接触させる方法(非特許文献5参照)、固体担体を除去するためにフッ化水素酸と接触させる方法(非特許文献6参照)、酸化剤と共に加熱する方法(特許文献3参照)がある。
しかしながら、従来の精製方法では、カーボンナノチューブを構成するグラファイト層に欠陥が生じ、カーボンナノチューブの耐熱性や、機械的強度、導電性、が失われる問題があった。このため、前述した用途の材料としてカーボンナノチューブを使用しても、十分な効果を得ることができなかった。特に、前述した用途の材料に最適と期待される、単層、2〜5層のカーボンナノチューブのような層数が少ないカーボンナノチューブにおいては、カーボンナノチューブの損傷が著しく、耐熱性の低下が大きな問題であった。
斉藤弥八、坂東俊治、カーボンナノチューブの基礎、株式会社コロナ社、p17、23、47 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)303(1999),117-124 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)360(2002),229-234 ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(J. Phys.Chem.)109(2004),1141- マテリアル・レターズ(Materials Letters)57(2002),734-738 アプライド・フィジックス・エー(Applied Physics A)74(2002),345-348 特開2004−123505 国際公開2003/68676号パンフレット 特表2002−525847
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、カーボンナノチューブを含有する組成物から不純物を除去でき、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを耐熱性を低下させることなく得ることができる、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法の提供を目的とする。
上記課題を達成するため、本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、非酸化性酸溶液と接触させる工程の後、アルカリ性溶液を接触させる工程を行うことを特徴とするものである。
すなわち本発明は、以下の構成をとる。
(1)下記工程aを含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
工程a.カーボンナノチューブを含有する組成物に非酸化性酸溶液と接触させる工程の後、アルカリ性溶液を接触させる工程。
(2)非酸化性酸溶液がリン酸、塩酸、希硫酸、有機酸から選択される酸を含む溶液であることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(3)アルカリ性溶液が水酸化ナトリウムを含む溶液であることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(4)下記工程bを含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
工程b.カーボンナノチューブを含有する組成物にさらに200〜800℃の温度かつ常圧下で酸素を含む気体を接触させる工程。
(5)下記工程cを含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
工程c.カーボンナノチューブを含有する組成物に有機溶媒を接触工程。
(6)カーボンナノチューブを含有する組成物が、固体触媒を含有することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(7)カーボンナノチューブを含有する組成物が、500〜1200℃の高温条件下で、固体触媒と炭素含有化合物を接触させる方法で得られたものであることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(8)固体触媒が、固体担体に金属が担持された形態であることを特徴とする、(6)または(7)に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(9)固体担体が、無機多孔体であることを特徴とする、(8)に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(10)前記無機多孔体が、ゼオライトであることを特徴とする、(9)に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(11)前記無機多孔体が、メソポーラス材料であることを特徴とする、(9)に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(12)前記メソポーラス材料が、メソポーラスシリカであることを特徴とする、(11)に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(13)カーボンナノチューブが単層のカーボンナノチューブを含有することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
(14)カーボンナノチューブが2〜5層のカーボンナノチューブを含有することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
本発明によれば、非酸化性酸溶液と接触させる工程の後、アルカリ性溶液を接触させる工程を行うことを特徴とするカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法によって、純度を高めたカーボンナノチューブが得られるばかりでなく、機械的強度、導電性、に優れたカーボンナノチューブを耐熱性を低下させることなく得ることができる。
さらに本発明の精製方法は、単層や2〜5層のカーボンナノチューブのような層数が少ないカーボンナノチューブに対して特に効果が高い。
特に本発明の精製方法を、500〜1200℃の高温条件下で、固体担体に金属が担持された形態の固体触媒と炭素含有化合物を接触させる方法によって製造された、単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物に行うことで、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセット、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤などの用途に最適な材料として期待されるカーボンナノチューブを、高純度で得ることができる。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブの形態は、高分解能透過型電子顕微鏡で調べることができる。グラファイトの層は、透過型電子顕微鏡でまっすぐにはっきりと見えるほど好ましいが、グラファイト層が乱れているものに対しても本発明の精製方法を適用することができる。グラファイト層が乱れたものは、カーボンナノファイバーと定義することがあるが、このようなカーボンナノファイバーも本発明においてはカーボンナノチューブに含むものとする。
本発明のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法は、非酸化性酸溶液と接触させる工程の後、アルカリ性溶液を接触させる工程aを含むものである。また、本発明の精製方法は、以下のような不純物が含まれているカーボンナノチューブを含有する組成物に効果的である。例えば、非晶性シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、ゼオライト、アスベスト、ガラス繊維などの無機材料からなる固体担体や、元素周期表に定められた1族〜16族の典型金属元素、および遷移金属元素から選ばれる金属元素を含む金属やこれらの酸化金属、アモルファスカーボンやナノパーティクルと呼ばれる微少なグラファイト粒子またはフラーレンなどの炭素不純物である。これら不純物は、後述するようにカーボンナノチューブの製造過程で生成したり、反応系に存在させたりした結果、製造したカーボンナノチューブを含有する組成物中に含まれる不純物となるものである。本発明ではこれら不純物を除去し、カーボンナノチューブを含有する組成物を精製する方法を提供する。以下本発明の精製方法について詳細に説明する。
本発明の精製方法は、下記工程aを含むものである。
工程a.カーボンナノチューブを含有する組成物に、非酸化性酸溶液と接触させる工程(工程a1)の後、アルカリ性溶液を接触させる工程(工程a2)。
上記工程aにおいて、カーボンナノチューブを含有する組成物に非酸化性酸溶液を接触させる工程a1では、主に金属を除去することができる。また、酸性水溶液の種類や濃度、温度などの条件によってはアモルファスカーボンやナノパーティクルなどの炭素不純物も除去できる。アルカリ性溶液を接触させる工程a2では、主に固体担体を除去できる。そのため、本発明のようにより純度を上げようとする場合には非酸化性酸溶液のみを接触させる精製法、またはアルカリ性溶液のみを接触させる精製法では不純物の除去を十分に行うことは困難であり、また、アルカリ性溶液を接触させる工程の後、非酸化性酸溶液と接触される工程を行なう精製法を採用しても十分に不純物することは困難である。そのため、非酸化性酸溶液と接触させる工程の後、アルカリ性溶液を接触させる工程を行うことが必要である。
カーボンナノチューブを含有する組成物に非酸化性酸溶液と接触させる工程の後、アルカリ性溶液を接触させる工程を行うことで、不純物を除去できるだけでなく、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを耐熱性を低下させることなく得ることができる理由は明らかではないが、以下のように推測している。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有している。グラファイト層は炭素六員環で構成されており、グラファイト層の表面はパイ電子で覆われている。カーボンナノチューブのグラファイト層に、炭素原子の欠落などによる構造的欠陥が存在すると、カーボンナノチューブの耐熱性や機械的強度は低下する。また、カーボンナノチューブのグラファイト層に、不対電子対や官能基、付着物などによる電子的欠陥が存在すると、カーボンナノチューブの導電性は低下する。つまり、カーボンナノチューブのグラファイト層に構造的欠陥や電子的欠陥が多いと、カーボンナノチューブの耐熱性、機械的強度、導電性、は失われる。
例えば従来の精製法のように、酸素による燃焼を含む酸化剤による酸化によって不純物を除去しようとすると、不純物だけではなく、カーボンナノチューブ自身も酸化を受けて表面に官能基が導入されたり、カーボンナノチューブが切断されて短くなったりたりする。そのように表面に欠陥が増加するとカーボンナノチューブの耐熱性は低下する。また、カーボンナノチューブを含有する組成物にアルカリ水溶液を最初に接触させると、固体担体などは溶解(またはコロイド状に分散)し精製されるが、触媒金属は溶解されずに残るため、組成物中の金属濃度が高まるうえ、カーボンナノチューブに微粒子状の金属が高分散担持された状態となる。また、金属がアルカリ溶液中で一部水酸化物となり、その金属の水酸化物がアルカリ溶液に溶解した固体担体の水酸化物との相互作用によって複合化してゲル状になり、その後の酸処理でも除去されづらくなる。さらに固体担体として無機多孔体を用いた場合には、細孔内にナノパーティクルなどの微小炭素不純物が生成しやすいが、従来の精製法のようにアルカリ水溶液を最初に接触させるとこれらの微小炭素不純物が溶出してしまい、その後の精製でも除去されづらいためにカーボンナノチューブの純度や耐熱性が低下するという問題も発生する。
そこで、精製手順を改良し、始めにカーボンナノチューブを含有する組成物に非酸化性酸溶液と接触させる工程を行い、その後、アルカリ性溶液を接触させる工程を行うことで、金属残存量が少なく、カーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥を生じることなく精製することができることから耐熱性が低下しないものと推測される。さらに固体担体として無機多孔体を用いた場合には、最初に非酸化性酸溶液と接触させることで微小炭素不純物を洗い流す効果が期待されることから、耐熱性が低下しないものと推測される。
カーボンナノチューブを含有する組成物に接触させる非酸化性酸溶液の種類としては、リン酸、塩酸、希硫酸のような無機酸の溶液、または酢酸、クエン酸、シュウ酸のような有機酸の溶液を用いることができ(なかでも塩酸が好ましい。)、これらを単独で用いても、2種類以上混合して用いても構わない。また、非酸化性酸溶液は主に水で希釈されて用いられるが、メタノールやエタノールなどのアルコール類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸などの低級脂肪族カルボン酸類、N,N−ジメチルホルムアミドなどの窒素含有有機溶媒などで希釈または混合して用いることもできる。
ここでの非酸化性酸溶液とは、酸化剤として作用しない酸、つまり対象物であるカーボンナノチューブから電子を奪う働き(酸化)をする能力がない酸の溶液のことである。一方、カーボンナノチューブに接触させる酸として、硝酸、濃硫酸、クロム酸、過酸化水素や過マンガン酸カリウム水溶液などの酸化性酸を用いるとカーボンナノチューブに対して酸化剤として作用するためカーボンナノチューブの表面が酸化されて欠陥を生じる結果耐熱性が低下し、好ましくない。
また、非酸化性酸溶液としてpH5以下、好ましくはpH4以下、さらに好ましくはpH3以下の酸性水溶液を用いることが、不純物の除去効率の点から好ましい。
酸性溶液を接触させる方法、時間、濃度、温度、圧力、浴比は特に限定されるものではなく、効率よく不純物が除去でき、カーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が生じない範囲内で任意に設定することができる。上記範囲内であれば、高温、高圧に設定してもよく、酸性溶液が超臨界状態となりうる状態に設定しても構わない。接触方法としては、カーボンナノチューブを含有する組成物を非酸化性酸溶液に投入する方法が挙げられる。その際には攪拌することが好ましい。温度としては通常0℃〜200℃が好ましく、20℃〜100℃がさらに好ましい。圧力としては通常5000hPa以下が好ましく、900〜1200hPaがさらに好ましい。
より具体的な操作方法として、カーボンナノチューブを含む組成物を、pH5以下(好ましくはpH4以下、さらに好ましくはpH3以下)の塩酸水溶液に投入し、1〜10時間程度(好ましくは1〜5時間程度、さらに好ましくは1〜3時間程度)撹拌する方法を挙げることができる。
浴比としては、カーボンナノチューブが均一に懸濁する液量であり、かつカーボンナノチューブを含む組成物中に存在すると考えられる金属を溶解させるのに必要なモル数以上の酸を含む液量であればよいが、操作性の点からカーボンナノチューブ1gあたり2ml〜5000mlであることが好ましい。
次に工程a2について説明する。
カーボンナノチューブを含有する組成物に接触させるアルカリ性溶液の溶質の種類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニアなどのが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましい。溶媒としては、水、メタノールやエタノールなどのアルコール類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸などの低級脂肪族カルボン酸類、N,N−ジメチルホルムアミドなどの窒素含有有機溶媒等が挙げられ、なかでも水が好ましい。これらを単独で用いても、混合して用いても構わない。なかでも水酸化ナトリウム水溶液を用いることが好ましく、その理由は明らかではないが、水酸化ナトリウムを用いることで、より高い導電性を有するカーボンナノチューブを得ることができる。
また、アルカリ性溶液としてpH10以上、好ましくはpH12以上、さらに好ましくはpH13以上のアルカリ性水溶液を用いることが、不純物の除去効率の点から好ましい。
また、アルカリ性水溶液を接触させる方法、時間、温度、圧力、浴比は特に限定されるものではなく、不純物の除去効率が良く、カーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が生じない範囲内で、任意に設定することができる。上記範囲内であれば、高温、高圧に設定してもよく、超臨界状態となりうる状態に設定しても構わない。接触方法としてはカーボンナノチューブを含有する組成物をアルカリ性溶液に投入する方法が好ましい。その際には攪拌することが好ましい。
温度としては通常0℃〜200℃であることが好ましく、20℃〜100℃であることがさらに好ましい。また、圧力としては5000hPa以下であることが好ましく、900〜1200hPaであることがより好ましい。浴比としては、カーボンナノチューブが均一に懸濁する液量であり、かつカーボンナノチューブを含む組成物中に存在すると考えられる固体担体を溶解させるのに必要なモル数以上の酸を含む液量であればよいが、操作性の点からカーボンナノチューブ1gあたり2ml〜5000mlであることが好ましい。
より具体的な操作方法として、カーボンナノチューブを含む組成物を、pH10以上(好ましくはpH12以上、さらに好ましくはpH13以上)のアルカリ性水溶液(好ましくは水酸化ナトリウム水溶液)に投入し、アルカリ性水溶液を60〜90℃に保持した状態で、1〜10時間程度撹拌する方法を挙げることができる。
また、工程a1の後、工程a2に移る前には、過剰のアルカリ溶液を加えることで全体がアルカリ性溶液となるようにしてもよいが、固液分離を行なうことが好ましい。固液分離の方法としては、固体部分としてカーボンナノチューブを高純度に含有する組成物が得られる方法であれば特に限定されるものではなく、フィルトレーションや遠心分離などの公知の方法を用いることができる。
また、回収したカーボンナノチューブを精製水に接触させて撹拌した後、固液分離する作業(洗浄作業)を行い、カーボンナノチューブを洗浄してもよい。また、洗浄作業の別の方法として、フィルトレーションによってフィルター上に回収したカーボンナノチューブに、精製水を接触させ、洗浄する方法をとることもできる。
さらに工程aは数回繰り返し行っても良い。つまり、上記操作1回で不純物を除去してもよいし、上記操作を繰り返し行って不純物を除去してもよい。また、工程a1と工程a2の間に後述するような別の精製工程を行っても良い。さらに工程aを1回行った後、工程a1またはa2のみをさらに繰り返しても良い。
本発明においては上記工程aに加えて下記工程bを行うことも好ましい。
工程b.カーボンナノチューブを含有する組成物に、200〜800度の温度かつ常圧下で酸素を含む気体を接触させる工程。
この工程では、アモルファスカーボンやナノパーティクルなどの炭素不純物を除去できる。このため、カーボンナノチューブの純度をよりいっそう高めることができる。工程bを具体的に説明すると、アモルファスカーボンやナノパーティクルの炭素不純物は、カーボンナノチューブが燃焼する温度より低い温度で燃焼が開始するため、この燃焼温度の差を利用した方法である。温度が低すぎると炭素不純物が除去できず、温度が高すぎるとカーボンナノチューブが燃えてしまう。このため、200〜800℃、好ましくは300〜600℃、より好ましくは350〜500℃の温度が好適である。酸素と接触させる時間は、カーボンナノチューブのグラファイト層に欠陥が生じない範囲で任意に選ぶことができるが、通常10分〜6時間であることが好ましく、30分〜2時間であることがより好ましい。また、本発明において、常圧下とは、特別な加圧操作を加えない状態であることをいい、反応系の自圧は常圧に含まれるものとする。
カーボンナノチューブを含む組成物に接触させる酸素を含む気体について、以下説明する。上記酸素を含む気体としては酸素以外の気体を含むことが好ましい。この酸素以外の気体としては、二酸化炭素の他、窒素、アルゴン等の不活性気体が挙げられ、なかでも窒素又はアルゴンのような不活性気体が好ましい。また、酸素の濃度としては5%〜30%が好ましく、18%〜22%がより好ましい。
また、工程aと工程bの順番は限られたものではなく、それぞれの工程を数回繰り返し行っても良い。特に好ましい手順としては、工程bを行った後で、工程aを行うことが、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを耐熱性を低下させることなく得られる手順として挙げられる。
また、本発明においては、さらに下記工程cを行う、すなわち、工程a、または工程aかつ工程bに加えて、さらに工程cを行うことが好ましい。
工程c.カーボンナノチューブを含有する組成物に有機溶媒を接触させる工程。
この工程cは、カーボンナノチューブを含有する組成物を有機溶媒に接触させて、不純物を抽出する工程である(以下この工程cのことを「抽出工程」と称する場合もある)。この工程では、フラーレン、ナノパーティクルのように有機溶媒に可溶な不純物を除去できる。
有機溶媒による抽出工程としては、例えば、フラーレンはトルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ヘキサンなどの有機溶媒に溶解するが、カーボンナノチューブはこれらの有機溶媒に溶解が困難であることを利用した、固液分離による方法を挙げることができる。
上記工程cにおいて、用い得る有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素化合物、クロロホルム、クロロベンゼン、ヨウ化メチルなどのハロゲン化合物、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類が好ましく、具体的には トルエン、ベンゼン、ヘキサンが挙げられ、特にトルエンが好ましい。
また、カーボンナノチューブを含有する組成物と有機溶媒との接触方法としては、
カーボンナノチューブを含有する組成物を有機溶媒に投入し、浸漬する方法が好ましい。
カーボンナノチューブを含有する組成物と有機溶媒を接触させる時間は、不純物が有機溶媒に溶解するるような時間であれば特に制限はないが、通常15分〜6時間であることが好ましく、30分〜2時間であることがさらに好ましい。また、接触させる際の有機溶媒の温度は、 0〜200℃であることが好ましく、20℃〜100℃であることがより好ましい。圧力は、5000hPa以下であることが好ましく、900〜1200hPaであることがより好ましい。浴比は、カーボンナノチューブが均一に懸濁する液量であればよいが、操作性の点からカーボンナノチューブ1gあたり2ml〜5000mlであることが好ましい。また、浸漬する際には超音波処理、攪拌等を行うことも好ましい方法であるが、なかでも 超音波処理を行うことが好ましい。
また、固液分離を行う場合、濾過、遠心分離などの方法を用いることができるが、なかでも濾過の方法が好ましい。
また、工程a、b、cの順番は限られたものではなく、それぞれの工程を数回繰り返し行っても良い。特に好ましい手順としては、工程bに続いて工程aを行った後で、工程cを行うことが、機械的強度、導電性、に優れるカーボンナノチューブを耐熱性を低下させることなく得られる手順として挙げられる。例えば、具体的な好ましい例として、カーボンナノチューブを含む組成物を、電気炉を用いて大気組成かつ常圧下で200〜800(特に好ましくは400±50℃)で1時間加熱し、室温まで放冷後、pH5以下(好ましくはpH4以下、さらに好ましくはpH3以下)の非酸化性酸溶液(好ましくはリン酸、塩酸、希硫酸、酢酸)に投入し、1〜10時間程度撹拌後、メンブレンフィルターを用いて吸引ろ過(固液分離)し、固体部分としてカーボンナノチューブを回収し、さらにこれをpH10以上(好ましくはpH12以上、さらに好ましくはpH13以上)のアルカリ性溶液(好ましくは水酸化ナトリウム水溶液)に投入し、アルカリ性溶液を60〜90℃に保持した状態で、1〜10時間程度撹拌後、メンブレンフィルターを用いて吸引ろ過(固液分離)し、固体部分としてカーボンナノチューブを回収し、さらにこれを有機溶媒(好ましくはトルエン)に投入して超音波処理などによって分散させたものをメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過(固液分離)し、固体部分としてカーボンナノチューブを回収する方法を挙げることができる。
このような精製方法によって、不純物が除去でき、純度を高めたカーボンナノチューブが得られるばかりでなく、機械的強度、導電性に優れたカーボンナノチューブを耐熱性を低下させることなく得られる。耐熱性の評価方法の1つとしては、大気雰囲気下で10℃/分で室温から800℃まで昇温して示差熱分析(DTA)を行ったときの発熱ピークの温度を用いることができる。200℃以降にDTA曲線が一度上に上がってから下に下がりピークを形成するが、そのピークが800℃以前にある場合に、「発熱ピークが現れる」という。それがピークかどうか判断が付かない場合は、曲線の登りはじめところと、下がりきったところを結んでベースラインとし、そのベースラインからの垂線と曲線が交わったところで一番長いところを選び、その長さがノイズの高さの5倍以上の長さがある場合をピークという。また、その交点のところの温度を読みとり、発熱曲線のピークとする。この発熱ピークはカーボンナノチューブの燃焼による酸化熱によるものであると考えられるため、発熱ピークが高いほど燃えにくい、すなわち耐熱性が高いと判断することができる。
本発明の方法によって精製されたカーボンナノチューブは従来法によって精製されたカーボンナノチューブに比較して優れた耐熱性を有するため、そのカーボンナノチューブは、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセット、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤などの用途に好適な材料となりうる。
カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られており、なかでも、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価に製造する方法として、触媒化学気相成長法が知られている。さらに触媒化学気相成長法では、カーボンナノチューブの層数を、単層、2〜5層に制御して製造できることが知られている。
本発明に用いるカーボンナノチューブの製造方法は、特に限定されるものではなく、上記のような様々な技術によって製造されたカーボンナノチューブを用いることができる。とりわけ、触媒化学気相成長法で製造したカーボンナノチューブを用いることが好ましい。以下、詳細にその理由を述べるが、ここにその理由を要約すると、カーボンナノチューブを安価に製造できるためコスト的に優れること、得られるカーボンナノチューブがグラファイト層の欠陥が少なく、直径の細い単層や2〜5層のカーボンナノチューブであるため特性的に優れていることによる。
触媒化学気相成長法のより具体的な方法として、500〜1200℃の高温条件下で固体触媒と炭素含有化合物を接触させる方法が好ましい。この方法により、グラファイト層の欠陥が少なく、直径の細い単層や2〜5層のカーボンナノチューブを安価に製造できる。
さらに、上記カーボンナノチューブの製造方法において、固体担体に金属が担持された形態を特徴とする固体触媒を用いることで、直径の制御されたカーボンナノチューブを製造することができ、より好ましい。
固体担体としては有機物でも無機物でも良いが、耐熱性の観点から無機物が好ましい。無機の固体担体としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、ケイ酸塩、珪藻土、アルミノシリケート、層状化合物、ゼオライト、活性炭、グラファイトなどを挙げることができる。中でも触媒金属が均一に担持できる無機多孔体の形態であるものが好ましく、特にメソポアを有するメソポーラス材料が好ましい。無機多孔体の中でも、特に、精製工程においてアルカリ性水溶液と接触させることで、溶解またはコロイド状に分散するなどして、容易にカーボンナノチューブと固液分離できるものが好ましい。その理由は、無機多孔体の除去に必要な精製工程が簡素化でき、低コスト化できることによる。好ましい例としてゼオライトまたはメソポーラス材料が挙げられる。その理由は、上記した条件に合致するだけでなく、さらにグラファイト層の欠陥が少ない単層や2〜5層の直径の細いカーボンナノチューブを主成分とする、カーボンナノチューブを含有する組成物を製造することができるからである。特にメソポーラスシリカを用いることで直線性の良いカーボンナノチューブを製造することができ特に好ましい。
上記ゼオライトとは、分子サイズの細孔径を有した結晶性無機酸化物である。分子サイズとは、世の中に存在する分子のサイズの範囲であり、一般的には、0.2から2nm程度の範囲を意味する。さらに具体的には、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、あるいは結晶性メタロアルミノフォスフェート等で構成された結晶性マイクロポーラス物質のことである。結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタロアルミノフォスフェートの種類は特に制限がなく、例えば、アトラス オブ ゼオライト ストラクチュア タイプス(マイヤー、オルソン、バエロチャー、ゼオライツ、17(1/2)、1996)(Atlas of Zeolite Structure types(W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Zeolites, 17(1/2), 1996))に掲載されている構造をもつ結晶性無機多孔性物質が挙げられる。また、本文献に掲載されているものに限定されるものではなく、近年次々と合成されている新規な構造を有するゼオライトも含む。好ましい構造は、入手が容易なFAU型、MFI型、MOR型、BEA型であるが、これに限定されない。
また、メソポーラス材料とは、2〜50nm程度の直径を有する細孔を持つ材料である。通常、界面活性剤と無機物質の協奏的な自己組織化により合成される。メソポーラス材料は大きい比表面積と高い安定性など、触媒や吸着剤としての優れた基本物性を有する。この様な材料のメソポーラス細孔は、担体上でカーボンナノチューブを合成する際に金属担持する細孔として有用である。代表的物質としてメソポーラスシリカが挙げられる。メソポーラスシリカの結晶構造は特に限定されないが、例えば、モービル社が開発したヘキサゴナル構造をもつMCM−41、キュービック構造をもつMCM−48、層状すなわちラメラ構造をもつMCM−50があり、特に規則的な六角形の細孔が平行に配列したMCM−41構造が好んで用いられる。
固体触媒を構成する触媒金属の種類としては、元素周期表に定められた1族〜16族より選ばれる典型金属元素、遷移金属元素を少なくとも1種類以上含む金属元素を挙げることができる。中でも、触媒金属に、Co、Fe、Niより選ばれる金属元素を少なくとも1種類以上用いることで、グラファイト層の欠陥が少ないカーボンナノチューブを、収率良く合成することが可能となり好ましい。
固体担体への触媒金属の担持量は、好ましくは0.1重量%〜10.0重量%、より好ましくは0.5重量%〜5.0重量%であることが、直径の制御されたカーボンナノチューブを選択的に得られることから好ましい。
固体担体への触媒金属の担持方法は特に限定されない。担持したい金属塩を溶解させた水や非水溶液中(例えばエタノール溶液)に、固体担体を含浸し、充分に分散混合した後、乾燥させ、空気中や不活性ガス中で高温(300〜600℃)で加熱することによって、固体担体表面に金属を担持することができる含浸法や、金属塩の水溶液またはアルコール量をなるべく少なくし、固体担体の細孔内に、該水溶液を吸着させ、余分な水溶液またはアルコールをろ過などで除去して乾燥させる平衡吸着法や、金属カチオンと固体担体のカチオンを水溶液中で交換するイオン交換法などが用いられる。また、含浸法や平行吸着法によって固体担体に金属塩を担持させた後に乾燥させ、窒素、水素、不活性ガスまたはその混合ガス中で高温(300〜900℃)で加熱することにより、担体の結晶表面に金属を担持させることもできる。金属塩を担持した後、空気中で焼成して金属酸化物にすることもできる。
上記の方法で用いる金属塩は特に限定されない。通常硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、エチレンジアミン4酢酸錯体やアセチルアセトナート錯体のような錯塩、金属のハロゲン化物、有機錯塩などが用いられる。
また、炭素含有化合物としては、気体、液体、固体いずれでも良いが、500〜1200℃の高温条件下でガス状となり固体触媒と接触することが、収率良くカーボンナノチューブが得られることから好ましい。炭素含有化合物の種類としては、炭素原子を含有していれば特に限定はないが、通常は一酸化炭素や炭化水素化合物であり、脂肪族であっても芳香族であってもよく、炭素炭素結合も飽和結合であっても不飽和結合を含んでいても良い。これらは、単独で使用しても、混合して使用しても構わない。芳香族の炭化水素では、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン又はこれらの混合物などを好ましく使用することができる。また、非芳香族の炭化水素では、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、又はこれらの混合物等を好ましく使用することができる。炭化水素では、酸素を含むもの、例えばメタノール若しくはエタノール、プロパノール、ブタノールのごときアルコール類、アセトンのごときケトン類、及びホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドのごときアルデヒド類、トリオキサン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルのごときエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類又はこれらの混合物であってもよい。
炭素含有化合物は、窒素、アルゴン、水素、ヘリウム等の不活性ガスとの混合物を用いても、単独で用いても構わないが、固体触媒に炭素含有化合物のガスが供給される反応場は、不活性ガス雰囲気下、または真空雰囲気下(減圧下)であることが、収率良くカーボンナノチューブが得られることから好ましい。
固体触媒と炭素含有化合物を接触させる温度は、500℃〜1200℃、好ましくは600℃〜1000℃である。温度が低いと収率良くカーボンナノチューブを得ることが困難になり、温度が高いと使用する反応器の材質に制約が生じる。
固体触媒と炭素含有化合物の接触のさせ方は特に限定されない。例えば、固体触媒を加熱炉内に保持し、炭素含有化合物を加熱炉内に供給して加熱炉内で接触させる方法や、固体触媒を加熱炉で流動させ、炭素含有化合物を加熱炉内に供給して加熱炉内で接触させる方法などがある。
本発明の精製方法を直線性の良いカーボンナノチューブに用いることは特に効果的である。ここでいう直線性とは、高分解能透過型電子顕微鏡写真(TEM写真、10万倍以上、カーボンナノチューブの長さに応じ、適した倍率を選択するものとする。)で任意に選択したカーボンナノチューブの屈曲部間平均距離が長いことを指す。ここで、カーボンナノチューブ中の屈曲部とは、カーボンナノチューブのグラファイト構造中に炭素5員環と7員環が存在することによる屈曲を言い、TEM写真でカーボンナノチューブが折れ曲がって観察される部分のことを言う。直線性の判断は、高分解能透過型電子顕微鏡で選んだ任意の2層カーボンナノチューブについて屈曲部から屈曲部までの距離の平均を求め、それを10本以上の2層カーボンナノチューブについて平均した結果が、100nm以上であると直線性がよいといえる。屈曲部から屈曲部までの距離が長ければ長いほどカーボンナノチューブの直線性は向上し、導電性、熱伝導性が高いカーボンナノチューブとなる。屈曲部間距離は長いほど好ましく、300nm以上がより好ましく、500nm以上がさらに好ましく、1μm以上が最も好ましい。
上記のような直線性のよいカーボンナノチューブは、メソポーラスシリカを担体とする触媒を用いることにより得ることができ、炭素含有化合物としてアルコール類を用い減圧下で固体触媒と反応させることにより、その直線性をより一層向上させることができる。
本発明によるカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法を、単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物に用いることは、特に効果的である。ここでいう単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物とは、組成物に含まれるカーボンナノチューブの一部が、単層であるカーボンナノチューブや、2〜5層のカーボンナノチューブで構成されていることをいう。なかでも好ましい状態としては、組成物に含まれるカーボンナノチューブの主成分が、単層のカーボンナノチューブ、および/または、2〜5層のカーボンナノチューブである状態である。上記において主成分とはTEM写真で観察されるカーボンナノチューブのうち半数以上が目的のカーボンナノチューブである状態のことをいう。
単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含む組成物であることは、様々な用途において、5層以上のカーボンナノチューブを使用する場合に比べて少量の使用で優れた効果を得ることができる点から好ましい。このような単層や2〜5層のカーボンナノチューブを製造するには、500〜1200℃の高温条件下で固体担体に金属が担持された形態を特徴とする固体触媒と炭素含有化合物を接触させる方法を用いることができる。
従来の精製方法では、単層や2〜5層のカーボンナノチューブは層数が少ないため、グラファイト構造が損なわれやすく、耐熱性、機械的強度、導電性が著しく失われていたが、本発明によれば、そのようなグラファイト構造の損傷が少ないため、単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物に特に効果が高い。
本発明による精製方法によって得られた単層や2〜5層のカーボンナノチューブは、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセット、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤などの用途の材料として最適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
参考例1
(TS−1ゼオライトへの金属塩の担持)
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.02gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク)社製)0.21gとをエタノール(ナカライテスク社製)40mlに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に、TS−1ゼオライト(エヌイーケムキャット製、ケイ素/チタン比50)を2.0g加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でエタノールを除去して、TS−1型ゼオライト粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
内径32mmの石英管の中央部の石英ウール上に、参考例1の(TS−1ゼオライトへの金属塩の担持)で調整した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃に到達した後、超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を5cc/分で30分供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
上記のようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡(100万倍)で観察したところ、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、任意の100本のカーボンナノチューブについて層数を確認したところ、層数が2〜5層のカーボンナノチューブの本数が90%であった。単層のカーボンナノチューブも5%存在した。カーボンナノチューブの表面にはアモルファスカーボンが付着している様子が観察され、また、ナノパーティクルも観察された。
さらに上記のようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から800℃まで昇温して示差熱分析(DTA)を行ったところ、発熱ピークの温度は513℃であった。
参考例2
(MCM−41の合成)
セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB:アルドリッチ製)3.64gと、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH:アルドリッチ製)1.45gを35℃のイオン交換水28.8mlに加えた後に、ヒュームドシリカ(アルドリッチ製)2.4gを加え1時間撹拌した。20時間エージング後に、オートクレーブに移し、150℃で48時間水熱合成した。水熱合成後に生成物をろ取、洗浄後に550℃で8時間焼成後に、800℃で1時間焼成し、メソポーラスシリカ(MCM−41)を得た。
(MCM−41への金属塩の担持)
硝酸鉄・9水和物(関東化学社製)0.03gと硝酸コバルト・6水和物(関東化学社製)0.17gとをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、MCM−41を1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、MCM−41粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(2層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
内径32mmの石英管の中央部の石英ウール上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間60分)。800℃に到達した後、反応管内を真空引きし、10Pa以下になったことを確認後に、エタノール蒸気を100Paの圧力になるように20分間導入した。エタノール蒸気の導入を止めた後に温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(2層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
上記のようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物を100万倍での観察に加えて10万倍での観察も行ったこと以外は参考例1と同様に高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が2層のカーボンナノチューブの本数が60%であった。単層のカーボンナノチューブも30%存在した。カーボンナノチューブの直線性は高く、屈曲部間距離は1μm以上であった。カーボンナノチューブの表面にはアモルファスカーボンが付着している様子が観察され、また、ナノパーティクルも観察された。
さらに上記のようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から800℃まで昇温して示差熱分析(DTA)を行ったところ、発熱ピークの温度は505℃であった。
実施例1
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
参考例1で得たカーボンナノチューブを含有する組成物0.5gを、濃度5.1mol/リットル(pH3以下)の硫酸水溶液100ml中に投入後、ウォーターバスにて80℃に保持しながら1時間撹拌した。その後、ろ紙(東洋濾紙(株)(Toyo Roshi Kaisha)、フィルターペーパー(Filter Paper)2号 125mm)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
続いて、上記固形物を濃度5mol/リットル(pH13以上)の水酸化ナトリウム水溶液100ml中に投入後、ウォーターバスにて80℃に保持しながら5時間撹拌した。その後、孔径10μmのメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過し固液分離した。メンブレンフィルター上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
上記の精製によって得た固形物を100万倍の高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、きれいなグラファイト層で構成されていた。任意の100本のカーボンナノチューブについて層数を確認したところ、層数が2〜5層のカーボンナノチューブが90%であった。単層のカーボンナノチューブも5%存在した。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、この固形物を日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対する珪素は5重量%、金属(鉄、コバルト)は3重量%であった。
さらに上記のカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から800℃まで昇温して示差熱分析(DTA)を行ったところ、発熱ピークの温度は525℃であった。
すなわち、カーボンナノチューブを含有する組成物に、非酸化性酸溶液を接触させた後、アルカリ性溶液を接触させることで、耐熱性を低下させることなくカーボンナノチューブの純度を高めることができた。
実施例2
(2層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
参考例2で得たカーボンナノチューブを含有する組成物0.5gを、濃度6mol/リットル(pH3以下)の塩酸水溶液100ml中に投入後、25℃で2時間撹拌した。その後、ろ紙(東洋濾紙(株)(Toyo Roshi Kaisha)、フィルターペーパー(Filter Paper)2号、125mm)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
続いて、上記固形物を濃度6mol/リットル(pH13以上)の水酸化ナトリウム水溶液100ml中に投入後、室温で3時間撹拌した。その後、孔径10μmのメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過し固液分離した。メンブレンフィルター上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(2層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
上記の精製によって得た固形物を実施例1と同様に100万倍の高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、きれいなグラファイト層で構成された層数が2層のカーボンナノチューブの本数が60%であった。単層のカーボンナノチューブも30%存在した。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、この固形物を日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対する珪素は2重量%、金属(鉄、コバルト)は3重量%であった。
さらに上記のカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から800℃まで昇温して示差熱分析(DTA)を行ったところ、発熱ピークの温度は530℃であった。
すなわち、カーボンナノチューブを含有する組成物に、非酸化性酸溶液を接触させた後、アルカリ性溶液を接触させることで、耐熱性を低下させることなくカーボンナノチューブの純度を高めることができた。
実施例3
(2層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
参考例2で得たカーボンナノチューブを含有する組成物0.5gを、電気炉で大気組成かつ常圧下で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で10分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。その後は、実施例2と同様の処理を行った。
(2層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
上記の精製によって得た固形物を実施例1と同様に100万倍の高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、きれいなグラファイト層で構成された層数が2層のカーボンナノチューブの本数が60%であった。単層のカーボンナノチューブも30%存在した。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、この固形物を日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対する珪素は2重量%、金属(鉄、コバルト)は1重量%であった。
さらに、上記のカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から800℃まで昇温して示差熱分析(DTA)を行ったところ、発熱ピークの温度は570℃であった。
すなわち、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製として、大気組成かつ常圧下での焼成をさらに行うことで、金属をより多く除去できた。これにより、耐熱性を低下させることなくカーボンナノチューブの純度を高めることができた。
比較例1
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
参考例1で得たカーボンナノチューブを含有する組成物0.5gを、濃度2.5mol/リットル(pH13以上)の水酸化ナトリウム水溶液100ml中に投入後、ウォーターバスにて80℃に保持しながら5時間撹拌した。その後、孔径10μmのメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過し固液分離した。メンブレンフィルター上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
続いて、上記固形物を濃度5.1mol/リットル(pH3以下)の硫酸水溶液20ml中に投入後、ウォーターバスにて80℃に保持しながら1時間撹拌した。その後、ろ紙(東洋濾紙(株)(Toyo Roshi Kaisha)、フィルターペーパー(Filter Paper)2号、125mm)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水150mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
上記の精製によって得た固形物を実施例1と同様に100万倍の高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、実施例1で観察されたカーボンナノチューブ同様、きれいなグラファイト層で構成された層数が2〜5層のカーボンナノチューブの本数が90%であった。単層のカーボンナノチューブも5%存在した。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。また、この固形物を日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対する珪素は1重量%以下であったが、金属(鉄、コバルト)は5重量%であった。
さらに上記のカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から800℃まで昇温して示差熱分析(DTA)を行ったところ、発熱ピークの温度は510℃であった。
比較例2
(2層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
参考例2で得たカーボンナノチューブを含有する組成物0.5gを、濃度6mol/リットル(pH13以上)の水酸化ナトリウム水溶液100ml中に投入後、室温で3時間撹拌した。その後、孔径10μmのメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過し固液分離した。メンブレンフィルター上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
続いて、上記固形物を濃度6mol/リットル(pH3以下)の塩酸水溶液100ml中に投入後、25℃で2時間撹拌した。その後、ろ紙(Toyo Roshi Kaisha、Filter Paper)を用いてろ過し固液分離した。ろ紙上の固形物を、精製水500mlを用いて洗浄後、60℃にセットした乾燥機にて乾燥し、固形物を回収した。
(2層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
上記の精製によって得た固形物を実施例1と同様に100万倍の高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、きれいなグラファイト層で構成された層数が2層のカーボンナノチューブの本数が60%であった。単層のカーボンナノチューブも30%存在した。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかったが、メソポーラスシリカ由来と思われる凝集物が観察された。また、この固形物を日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対する珪素は20重量%、金属(鉄、コバルト)は2重量%であった。
さらに上記のカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から800℃まで昇温して支差熱分析(DTA)を行ったところ、発熱ピークの温度は520℃であった。
比較例3
(2層のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製)
参考例2で得たカーボンナノチューブを含有する組成物0.5gを、電気炉で大気組成かつ常圧下で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で10分保持した後、室温まで冷却した(降温時間60分)。その後は、比較例2と同様の処理を行った。
(2層のカーボンナノチューブを含有する組成物の分析)
上記の精製によって得た固形物を実施例1と同様に100万倍の高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブが観察され、きれいなグラファイト層で構成された層数が2層のカーボンナノチューブの本数が60%であった。単層のカーボンナノチューブも30%存在した。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかったが、メソポーラスシリカ由来と思われる凝集物が観察された。また、この固形物を日本電子(株)社製の走査顕微鏡(JSM−6301F)に付属のEDSで元素分析を行った結果、炭素100重量%に対する珪素は15重量%、金属(鉄、コバルト)は1重量%であった。
さらに上記のカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から800℃まで昇温して支差熱分析(DTA)を行ったところ、発熱ピークの温度は515℃であった。
本発明によれば、カーボンナノチューブを含有する組成物に非酸化性酸溶液と接触させる工程の後、アルカリ性溶液を接触させる工程を行うことを特徴とするカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法によって、純度を高めたカーボンナノチューブが得られるばかりでなく、機械的強度、導電性、に優れたカーボンナノチューブを耐熱性を低下させることなく得ることができる。
特に本発明の精製方法を、500〜1200℃の高温条件下で、固体担体に金属が担持された形態の固体触媒と炭素含有化合物を接触させる方法によって製造された、単層や2〜5層のカーボンナノチューブを含有する組成物に行うことで、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセット、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤などの用途に最適な材料として期待されるカーボンナノチューブを、高純度で得ることができる。

Claims (14)

  1. 下記工程aを含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
    工程a.カーボンナノチューブを含有する組成物に非酸化性酸溶液と接触させる工程の後、アルカリ性溶液を接触させる工程。
  2. 非酸化性酸溶液がリン酸、塩酸、希硫酸、有機酸から選択される酸を含む溶液であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  3. アルカリ性溶液が水酸化ナトリウムを含む溶液であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  4. 下記工程bを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
    工程b.カーボンナノチューブを含有する組成物にさらに200〜800℃の温度かつ常圧下で酸素を含む気体を接触させる工程。
  5. 下記工程cを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
    工程c.カーボンナノチューブを含有する組成物に有機溶媒を接触させる工程。
  6. カーボンナノチューブを含有する組成物が、固体触媒を含有するものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  7. カーボンナノチューブを含有する組成物が、500〜1200℃の高温条件下で、固体触媒と炭素含有化合物を接触させる方法で得られたものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  8. 固体触媒が、固体担体に金属が担持された形態であることを特徴とする、請求項6または7に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  9. 固体担体が、無機多孔体であることを特徴とする、請求項8に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  10. 前記無機多孔体が、ゼオライトであることを特徴とする、請求項9に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  11. 前記無機多孔体が、メソポーラス材料であることを特徴とする、請求項9に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  12. 前記メソポーラス材料が、メソポーラスシリカであることを特徴とする、請求項11に記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  13. カーボンナノチューブが単層のカーボンナノチューブを含有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
  14. カーボンナノチューブが2〜5層のカーボンナノチューブを含有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載のカーボンナノチューブを含有する組成物の精製方法。
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