JP3781811B2 - 差動制限装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両等に用いられるデファレンシャル装置の差動制限装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭62−98047号公報に図11のようなデファレンシャル装置101が記載されている。このデファレンシャル装置101は、デフケース103の略中央部に固定されたピニオンシャフト105と、このピニオンシャフト105に回転自在に支承されたピニオンギヤ107と、このピニオンギヤ107に左右両側から噛み合う一対のサイドギヤ109とを備えている。
【0003】
各サイドギヤ109の軸方向外側には、コーン型クラッチ部材111がスプライン結合されている。
【0004】
コーン型クラッチ部材111の外周には、軸方向外側に向って内径方へ傾斜する円錐状のクラッチ面113が形成され、一方、デフケース103の内周面には、コーン型クラッチ部材111のクラッチ面113と面接触して係合するクラッチ面115が形成されている。
【0005】
左右のサイドギヤ109には、図示されていない左右の車軸がそれぞれスプライン係合により連結されている。
【0006】
このようなデファレンシャル装置101において、左右の車軸間に駆動抵抗差が生じると、すなわち、サイドギヤ109相互の差動回転が生じると、サイドギヤ109とピニオンギヤ107との噛み合いスラスト力によってコーン型クラッチ部材111のクラッチ面113がデフケース103のクラッチ面115に摩擦係合し、車軸間の差動回転が制限され、両車軸に必要に応じてトルク配分がなされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のデファレンシャル装置101にあっては、コーン型クラッチ部材111がデフケース103に締結される際、クラッチ面113とクラッチ面115とが一気に摩擦係合するため、スリップによる異音が発生するという問題があった。
【0008】
また、コーン型クラッチ部材111の外周面にクラッチ面113とクラッチ面115の摺動面を潤滑するための油溝117が形成されているが、この油溝117が、周方向のらせん状に形成された一条の溝であるため、溝からクラッチ面113,115へ供給される潤滑油が不充分で、クラッチ面113,115での潤滑油の保持力が低くなり、クラッチ面113,115に摩耗、かじり、焼付き等が生じ差動制限力が不安定になるという問題点があった。このような問題点は、特に車両が傾斜していた場合にはより顕著にあらわれていた。
【0009】
そこでこの発明は、簡単な構造で摩耗、かじり、焼付き等を防止でき、安定した差動制限力を得ることができる差動制限装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の差動制限装置は、駆動側に連動連結されて回転するデフケースと、デフケースと一体的に回転するピニオンシャフトと、ピニオンシャフトに回転自在に支承されたピニオンギヤと、ピニオンギヤと噛合う一対のサイドギヤとを備え、前記サイドギヤと前記デフケースとの間に軸方向外側へ向かって内径方向へ傾斜するコーンクラッチ部を設け、前記コーンクラッチ部のサイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面の少くともいづれか一方に、両クラッチ面の摺動部に供給される潤滑油を保持するように互いに交差して軸方向一端側から他端側へ連通する複数の細溝からなる交差溝を周方向全周にわたって形成し、さらに両クラッチ面のいずれか一方に軸方向一端側から他端側へ連通し前記交差溝に潤滑油を供給する広幅の溝を形成したことを特徴とする。
【0011】
従って、サイドギヤ相互の差動回転が生じると、サイドギヤとピニオンギヤとの噛合いスラスト力により、コーンクラッチ部のサイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面とに摩擦抵抗力が生じ、これにより差動制限力を得ることができる。
【0012】
さらに、サイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面の少くともいづれか一方に、複数の交差溝を周方向全周にわたって形成しているので、サイドギヤとデフケースとの差動回転時に、サイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面との摺動部に交差溝を介して充分な潤滑油が保持されているため、両クラッチ面の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0013】
また、サイドギヤとデフケースとの差動回転時に、サイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面とが摺動係合しても、スリップ音等の異音の発生を防止できる。
【0014】
さらに、交差溝の中に軸方向の広幅の溝を形成しているので、各溝を介して交差溝に充分な潤滑油が供給されるため、交差溝における潤滑油の保持力が高くなり、両クラッチ面の摩耗、かじり、焼付き等の防止効果をより高めることができる。
【0015】
請求項2の差動制限装置は、請求項1記載の差動制限装置であって、前記交差溝をローレット加工により形成したことを特徴とする。
【0016】
従って、請求項1の差動制限装置と同様に、サイドギヤとデフケースとの差動回転時に、サイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面との摺動部にローレット加工により形成された交差溝を介して充分な潤滑油が保持されているため、両クラッチ面の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0020】
請求項3の差動制限装置は、請求項1又は請求項2記載の差動制限装置であって、前記細溝は前記両クラッチ面の一方に設けられ、前記広幅の溝は両クラッチ面の他方に周方向に所定の間隔をおいて複数箇所に形成したことを特徴とする。
【0021】
従って、サイドギヤとデフケースとの差動回転時に、他方側に形成された軸方向の広幅の溝を介して充分な潤滑油が供給されて、この潤滑油は一方側に形成された交差溝を介して保持されているため、両クラッチ面の摩耗、かじり、焼付き等の防止効果をより高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1はこの発明の一実施形態に係る差動制限装置の断面図、図2は図1の矢視Xの側面図を示すものである。左右方向は図1での左右の方向である。なお、符号を与えていない部材は図示されていない。
【0024】
デフケース1はデフキャリヤに回転自在に支承され、駆動側であるドライブシャフトと一体のドライブピニオンに連動連結されたリングギヤがデフケース1に固定されることで、リングギヤとデフケース1とは一体となって回転する。
【0025】
デフケース1は鋳物で形成されたケース本体1aとカバー1bとからなり、ボルトによって一体的に締結されている。
【0026】
デフケース1の略中央部にピニオンシャフト3が配置されており、ピニオンシャフト3は端部をデフケース1にピン5を介して固定されている。ピニオンシャフト5には一対のピニオンギヤ7が回転自在に支承されている。
【0027】
ピニオンギヤ7には、デフケース1と同軸に配置された一対のサイドギヤ9が左右両側から噛み合っている。そして、各サイドギヤ9には左右の車軸がそれぞれスプライン係合により連結されている。
【0028】
各サイドギヤ9の外径部には、軸方向外側へ向って内径方へ傾斜するように形成されたコーン部(コーンクラッチ部)11が設けられており、このコーン部11の外周面は第1のクラッチ面(サイドギヤ側のクラッチ面)13とされている。
【0029】
一方、デフケース1の内周面には、コーン部11の第1のクラッチ面13と面接触して係合する第2ののクラッチ面(デフケース側のクラッチ面)15が形成されている。そして、サイドギヤ9は、コーン部11の第1のクラッチ面13でデフケース1の第2のクラッチ面15により回転自在にセンターリングされている。
【0030】
ピニオンギヤ7の背面17(径方向外側の面)は、デフケース1に形成された支承部19により摺動回転自在に保持されている。支承部19の摺動面は球面形状であり、サイドギヤ9との噛み合いによるピニオンギヤ7の噛み合い反力とピニオンギヤ7の遠心力とを負担する。
【0031】
前記コーン部11の第1のクラッチ面13には、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に潤滑油を供給するとともに保持する交差溝21が周方向全周にわたって形成されている。交差溝21は互いに交差して軸方向一端側から他端側へ連通する複数の細溝によって形成されている。この交差溝21はローレット加工等により形成されている。
【0032】
さらに、コーン部11の第1のクラッチ面13には、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に潤滑油を供給する広幅の溝23が周方向に所定の間隔をおいて複数個所に形成されている。
【0033】
この実施形態の溝23は、軸方向に対して所定の角度で傾斜させ、軸方向一端側から他端側へ連通させて形成している。
【0034】
なお、交差溝および広幅の溝は、デフケース1の第2クラッチ面(デフケース側のクラッチ面)15に設けてもよく、また、コーン部(コーンクラッチ部)11の第1のクラッチ面(サイドギヤ側のクラッチ面)13とデフケース1の第2のクラッチ面(デフケース側のクラッチ面)15の両方に設けてもよい。
【0035】
また、デフケース1の左側壁と、右コーナー部には潤滑油が流出入する開口25,27が複数個所に設けられ、左右のサイドギヤ9の一部が露出されている右コーナ部の開口27は、デフケース1の中心線に対しα°の角度を有し、潤滑油が流入し易いようになっている。また、サイドギヤ9と摺動する内側面には、図3に示すように、Rが形成されている。
【0036】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0037】
駆動側に連動連結されたリングギヤの回転によりデフケース1が回転すると、この回転はピニオンシャフト3、ピニオンギヤ7を介して左右のサイドギヤ9に伝達され、各サイドギヤ9に連結された左右の車軸を回転させる。このとき、左右の車軸間に駆動抵抗差が生じると、ピニオンギヤ7の自転により駆動力は左右の車軸間で差動分配される。
【0038】
一方、左右の車軸間に駆動抵抗差が生じると、すなわち、サイドギヤ9相互の差動回転が生じると、サイドギヤ9とピニオンギヤ7との噛合いスラスト力によって、コーン部(コーンクラッチ部)11の第1のクラッチ面(サイドギヤ側のクラッチ面)13とデフケース1の第2のクラッチ面(デフケース側のクラッチ面)15とが摩擦係合され、差動制限力が与えられる。
【0039】
この差動制限力により左右の車軸間の差動回転が制限され、各車軸に必要に応じトルク配分がなされる。
【0040】
さらに、第1のクラッチ面13に、互いに交差して軸方向一端側から他端側へ連通する複数の細溝からなる交差溝21を周方向全周にわたって形成しているので、サイドギヤ9とデフケース1との差動回転時に、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に交差溝21を介して充分な潤滑油が保持されているため、第1,第2のクラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0041】
また、サイドギヤ9とデフケース1との差動回転時に、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15とが摺動係合しても、スリップ音等の異音の発生が防止できる。
【0042】
また、第1のクラッチ面13には、軸方向に対し所定の角度で傾斜させ、軸方向一端側から他端側へ連通する広幅の溝23を形成しているので、この溝23を介して交差溝21に充分な潤滑油が供給されるため、交差溝21における潤滑油の保持力が高くなり、第1,第2のクラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等の防止効果をより高めることができる。また、第1のクラッチ面13の摺動面22も傾斜して形成されるため、周方向の支持長さが長くなり、摺動面22端部で摺動することがなく、第1,第2のクラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等がより防止される。
【0043】
図4乃至図10は、他の溝の例を示している。
【0044】
図4の例は、コーン部11の第1のクラッチ面に設ける交差溝21をローレット加工によって形成している。
【0045】
従って、上記一実施形態と同様に、サイドギヤ9とデフケース1との差動回転時に第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に交差溝21を介して充分な潤滑油が保持されているため、第1,第2クラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0046】
この例では、交差溝21をローレット加工により形成しているので、交差溝21を容易に形成することができる。
【0047】
図5の例は、コーン部11の第1のクラッチ面13に、交差溝21を形成するとともに、この交差溝21の中に軸方向一端側から他端側へ連通する広幅の溝31を螺旋状に形成している。
【0048】
従って、上記一実施形態と同様に、サイドギヤ9とデフケース1との差動回転時に、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に交差溝21を介して充分な潤滑油が保持されているため、第1,第2のクラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0049】
さらに、この例では、交差溝21の中に螺旋状の広幅の溝31を形成しているので、この溝31を介して交差溝21に充分な潤滑油が供給されるため、交差溝21における潤滑油の保持力が高くなり、第1,第2のクラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等の防止効果をより高めることができる。
【0050】
図6の例は、コーン部11の第1のクラッチ面13に、交差溝21を形成するとともに、この交差溝21の中に軸方向一端側から他端側へ連通する軸方向の広幅の溝33を、軸方向に平行させて周方向に所定の間隔をおいて、複数個所に形成している。
【0051】
従って、上記一実施形態と同様に、サイド9とデフケース1との差動回転時に、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に交差溝21を介して充分な潤滑油が保持されているため、第1,第2のクラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0052】
さらに、この例では、交差溝21の中に軸方向の広幅の溝33を軸方向と平行させて周方向に所定の間隔をおいて複数個所に形成しているので、これら溝33を介して交差溝21に充分な潤滑油が供給されるため、交差溝21における潤滑油の保持力が高くなり、第1,第2のクラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等の防止効果をより高めることができる。
【0053】
図7の例は、コーン部11の第1のクラッチ面13に、交差溝21を形成するとともに、この交差溝21の中に軸方向一端側から他端側へ連通する軸方向の広幅の溝33を、軸方向に対して所定の曲率で湾曲させて周方向に所定の間隔をおいて、複数個所に形成している。
【0054】
従って、上記一実施形態と同様に、サイドギヤ9とデフケース1との差動回転時に、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に交差溝21を介して充分な潤滑油が保持されているため、第1,第2クラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0055】
さらに、この例では、交差溝21の中に軸方向の広幅の溝33を軸方向に対して所定の曲率で湾曲させて周方向に所定の間隔をおいて複数個所に形成しているので、これら溝35を介して交差溝21に充分な潤滑油が供給されるため、交差溝21における潤滑油の保持力が高くなり、第1,第2のクラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等の防止効果をより高めることができる。
【0056】
図8の例は、コーン部11の第1のクラッチ面13に、交差溝21を形成するとともに、この交差溝21の中に複数個所のディンプル37を周方向全周にわたって形成している。
【0057】
従って、上記一実施形態と同様に、サイドギヤ9とデフケース1との差動回転時に、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に交差溝21を介して充分な潤滑油が保持されているため、第1,第2クラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0058】
さらに、この例では、交差溝21の中に複数個所のディンプル37を周方向全周にわたって形成しているので、これらディンプル37がオイル溜りとなり、車両の傾き等により潤滑油が要求されないようなときでもオイル切れを起こすことがないため、焼付き等防止効果をより高めることができる。
【0059】
図9の例は、コーン部11の第1のクラッチ面13に、交差溝21を形成するとともに、この交差溝21の中に軸方向一端側から他端側へ連通する螺旋状の広幅の溝39と、軸方向の広幅の溝41とを互いに交差させて形成している。
【0060】
従って、上記一実施形態と同様に、サイドギヤ9とデフケース1との差動回転時に、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に交差溝21を介して充分な潤滑油が保持されているため、第1,第2クラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0061】
さらに、この例では、交差溝21の中に螺旋状の広幅の溝39と軸方向の広幅の溝41とを互いに交差させて形成しているので、両方の溝39,41を介して交差溝21に充分な潤滑油が供給されるため、交差溝21における潤滑油の保持力が高くなるとともに、両方の溝39,41の交差部40がオイル溜りとなりオイル切れを起すことがないため第1,第2のクラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等防止効果をより高めることができる。
【0062】
図10の例は、コーン部11の第1のクラッチ面13に、交差溝21と螺旋溝31とを形成するとともに、この交差溝21の中に軸方向一端側から他端側に連通する軸方向の狭幅の溝43を周方向に所定の間隔をおいて複数個所に形成している。
【0063】
従って、上記一実施形態と同様に、サイドギヤ9とデフケース1との差動回転時に、第1のクラッチ面13と第2のクラッチ面15との摺動部に交差溝21と螺旋溝31とを介して充分な潤滑油が保持されているため、第1,第2クラッチ面13,15の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0064】
さらに、この例では、交差溝21の中に軸方向の狭幅の溝43を周方向に所定の間隔をおいて複数個所に形成しているので、各狭幅の溝43かおオイル溜りとなり、車両の傾き等により潤滑油が供給されないようなときでもオイル切れを起すことがないため、焼付防止効果をより高めることができる。
【0065】
なお、別部材をサイドギヤやデフケースと一体的に設け、これら別部材のクラッチ面に交差溝等を設けてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1の差動制限装置は、サイドギヤ相互の差動回転が生じると、サイドギヤとピニオンギヤとの噛合いスラスト力により、コーンクラッチ部のサイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面とに摩擦抵抗力によって差動制限力を得ることができる。
【0067】
さらに、サイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面の少くともいづれか一方に、互いに交差した複数の細溝からなる交差溝を周方向全周にわたって形成しているので、サイドギヤとデフケースとの差動回転時に、サイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面との摺動部に交差溝を介して充分な潤滑油が保持されているため、両クラッチ面の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0068】
また、サイドギヤとデフケースとの差動回転時に、サイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面とが摺動係合しても、スリップ音等の異音の発生を防止できる。
【0069】
請求項2の差動制限装置は、請求項1の差動制限装置において、交差溝をローレット加工により形成している。
【0070】
従って、請求項1の差動制限装置と同様に、両クラッチ面の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0071】
さらに、交差溝がローレット加工により形成されているので、交差溝の加工が容易になる。
【0073】
従って、両クラッチ面の摩耗、かじり、焼付き等が防止され、差動制限力が安定する。
【0074】
さらに、交差溝の中に複数個のディンプルを周方向全周にわたって形成しているので、これらディンプルがオイル溜りとなり、車両の傾きなどにより潤滑油が供給されないようなときでもオイル切れを起すことがないため、焼付き防止効果をより高めることができる。
【0075】
請求項3の差動制限装置は、サイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面のいづれか一方側に交差溝を全周にわたって形成し、他方側には軸方向の広幅の溝を周方向の複数個所に形成しているので、サイドギヤとデフケースとの差動回転時に、他方側に形成された軸方向の広幅の溝を介して充分な潤滑油が供給されて、この潤滑油は一方側に形成された交差溝を介して保持されているため、両クラッチ面の摩耗、かじり、焼付き等の防止効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態に係る差動制限装置の断面図である。
【図2】 図1の矢視Xの側面図である。
【図3】 図1のJ−J線断面図である。
【図4】 交差溝の他の例を示すサイドギヤの下半分の側面図である。
【図5】 交差溝の他の例を示すサイドギヤの下半分の側面図である。
【図6】 交差溝の他の例を示すサイドギヤの下半分の側面図である。
【図7】 交差溝の他の例を示すサイドギヤの下半分の側面図である。
【図8】 交差溝の他の例を示すサイドギヤの下半分の側面図である。
【図9】 交差溝の他の例を示すサイドギヤの下半分の側面図である。
【図10】 交差溝の他の例を示すサイドギヤの下半分の側面図である。
【図11】 従来例に係るデファレンシャル装置の断面図である
【符号の説明】
1 デフケース
3 ピニオンシャフト
7 ピニオンギヤ
9 サイドギヤ
11 コーン部(コーンクラッチ部)
13 第1のクラッチ面(サイドギヤ側のクラッチ面)
15 第2のクラッチ面(デフケース側のクラッチ面)
21 交差溝
23,31,33,35,39,41 広幅の溝
37 ディンプル
43 狭幅の溝
Claims (3)
- 駆動側に連動連結されて回転するデフケースと、デフケースと一体的に回転するピニオンシャフトと、ピニオンシャフトに回転自在に支承されたピニオンギヤと、ピニオンギヤと噛合う一対のサイドギヤとを備え、前記サイドギヤと前記デフケースとの間に軸方向外側へ向かって内径方向へ傾斜するコーンクラッチ部を設け、前記コーンクラッチ部のサイドギヤ側のクラッチ面とデフケース側のクラッチ面の少くともいづれか一方に、両クラッチ面の摺動部に供給される潤滑油を保持するように互いに交差して軸方向一端側から他端側へ連通する複数の細溝からなる交差溝を周方向全周にわたって形成し、さらに両クラッチ面のいずれか一方に軸方向一端側から他端側へ連通し前記交差溝に潤滑油を供給する広幅の溝を形成したことを特徴とする差動制限装置。
- 請求項1記載の差動制限装置であって、前記交差溝をローレット加工により形成したことを特徴とする差動制限装置。
- 請求項1又は請求項2記載の差動制限装置であって、
前記細溝は前記両クラッチ面の一方に設けられ、前記広幅の溝は両クラッチ面の他方に周方向に所定の間隔をおいて複数箇所に形成したことを特徴とする差動制限装置。
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