JP3781381B2 - 積層体及びこれを用いた配線板 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、回路基板の絶縁保護材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来回路基板の絶縁保護方法としてはスクリーン印刷を用いてインクにより保護する方法(特開昭62−263692号公報)、カバーレイフィルムと呼ばれる接着剤付きフィルムをラミネートする方法(特開昭63−110224号公報)等が既に実施されている。
【0003】
前者は一般的に耐熱性のない樹脂で構成されており、またスクリーンを用いて設けるためその印刷精度により最近のファインのパターンに対応出来ない面があった。後者においても耐熱性の優れたポリイミドフィルムを使用することにより信頼性の点では優れているが、その加工工程は金型により打ち抜いた後、熱プレスによりラミネートするという煩雑な工程を必要とし、また打ち抜き精度が低いことにより同様にファインパターンに対応しにくいという問題があった。
【0004】
一方ポリイミド樹脂を種々の方法により回路上に直接設けた後、薬品によりエッチングしてパターン化する方法についても一部実施されてはいるが、この際にはヒドラジン、エチレンジアミン等の危険な薬品を用いねばならず、またそのエッチングに長時間かかるといった問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は信頼性と加工精度に優れ、かつ作業性に優れた回路基板用絶縁保護材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決する手段】
すなわち本発明は、少なくとも感光性樹脂層とポリイミド前駆体樹脂層からなる回路の絶縁保護用フィルムにおいて、ポリイミド前駆体樹脂層が硬化後に3×10 -5 以下の熱膨張係数を有する低熱膨張性樹脂層となる低熱膨張性前駆体樹脂層と、硬化後に低熱膨張性樹脂層より良接着性樹脂層となる良接着性前駆体樹脂層の少なくとも2層を有することを特徴とする絶縁保護フィルムである。
なお、この絶縁保護フィルムは回路の絶縁保護用フィルムを意味し、積層構造を有するフィルムであるので、積層体ともいう。また、低熱膨張性樹脂及び良接着性樹脂は硬化後(イミド化後)のポリイミド樹脂を意味するが、かかるポリイミド樹脂を与える前駆体の層についても、誤解の生じない範囲で説明の簡素化を目的として、低熱膨張性樹脂層及び良接着性樹脂層ともいう。また、良接着性樹脂は基板との接着性を高めるための樹脂であり、低熱膨張性樹脂より高い接着性を有する。
【0007】
感光性樹脂層としては任意の構造が選択可能であり、ネガ型ポジ型いずれも可能である。感光性樹脂は通常紫外線反応型、電子線反応型等があり、構成としてはベースオリゴマー、反応性希釈剤、光開始剤、光増感剤、顔料、重合防止剤等により成っている。ベースオリゴマーとしてはエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等がある。
【0008】
特に感光性樹脂としてはポリイミド前駆体樹脂層のエッチングの際の耐アルカリ性、耐水浸透性の点で紫外線硬化型のアクリル型樹脂が好ましい。特に好ましくは酸により現像、剥離できるアクリル型の感光性樹脂である。その厚みとしては2μmから100μmまでが好ましく、それ未満であれば加工精度は高いものの、膜強度が不足しポリイミド前駆体樹脂層をエッチングする際剥がれ等の問題を生じやすい。100μmを越えると強度が大きく信頼性は高いものの、加工精度が落ち、また高価になる。
【0009】
ポリイミド前駆体樹脂はジアミン化合物と酸無水物化合物とを極性溶媒中0〜200℃で反応させて合成される。この際イミド化反応が起きると溶解性が低下したり、パターニングの際エッチング時間が長くなり好ましくない。
【0010】
極性溶媒としてはN-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、硫酸ジメチル、スルホラン、ブチロラクトン、クレゾ−ル、フェノール、ハロゲン化フェノール、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ダイグライム等が挙げられる。
【0011】
ジアミン化合物としてはp-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、 2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド、 4,4'-ジアミノジフェニルエ−テル、ジアミノトルエン、 4,4'-ジアミノジフェニルメタン、 3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、 3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル] プロパン、1,2-ビス(アニリノ)エタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノベンゾエード、ジアミノジフェニルスルフィド、2,2-ビス(p-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5-ジアミノナフタレン、ジアミノトルエン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4-ビス(p-アミノフェノキシ)ベンゼン、 4,4'-(p-アミノフェノキシビフェニル、ジアミノアントラキノン、 4,4'-ビス(3-アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、1,3-ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(アニリノ)オクタフルオロプロパン、1,5-ビス(アニリノ)デカフルオロプロパン、1,7-ビス(アニリノ)テトラデカフルオロプロパン、下記一般式
【化3】
(但し、式中R2 及びR4 は2価の有機基を示し、R1 及びR3 は1価の有機基を示し、p及びqは1より大きい整数を示す)で表されるジアミノシロキサン、2,2-ビス[4-(p-アミノフェノキシ)フェニル] ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル] ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(2-アミノフェノキシ)フェニル] ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ジメチルフェニル] ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ジトリフルオロメチルフェニル] ヘキサフルオロプロパン、p-ビス(4- アミノ−2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、 4,4'-ビス(4-アミノ−2-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、 4,4'-ビス(4-アミノ−3-トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、 4,4'-ビス(4-アミノ−2-トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、 4,4'-ビス(4-アミノ−5-トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノ−3-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル] ヘキサフルオロプロパン、ベンジジン、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、オクタフルオロベンジジン、 3,3'-メトキシベンジジン、o-トリジン、m-トリジン、 2,2',5,5',6,6'-ヘキサフルオロトリジン、 4,4"-ジアミノターフェニル、4,4"'-ジアミノクォーターフェニル等のジアミン類、並びにこれらのジアミンとホスゲン等の反応によって得られるジイソシアネート類がある。
【0012】
また、テトラカルボン酸無水物並びにその誘導体としては次の様なものが挙げられる。なお、ここではテトラカルボン酸として例示するが、これらのエステル化物、酸無水物、酸塩化物も勿論使用できる。ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、3,3',4,4'-ジフェニルメタンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4−ジカルボキシフェニル) プロパン、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル) ヘキサフルオロプロパン、 3,4,9,10-テトラカルボキシペリレン、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ) フェニル] プロパン、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ) フェニル] ヘキサフルオロプロパン、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等がある。また、トリメリット酸及びその誘導体も挙げられる。
【0013】
また、反応性官能基を有する化合物で変成し、架橋構造やラダー構造を導入することもできる。例えば、次のような方法がある。
(a)下記一般式(3)で表される化合物で変成することによって、ピロロン環やイソインドロキナゾリンジオン環等を導入する。
【化4】
〔但し、式中R5 は2+X価(Xは1又は2である)の芳香族残基を示し、Zは−NH2 基、−CONH2 基又は−SO2 NH2 基から選択された置換基であってアミノ基に対してオルソ位である。〕
(b)重合性不飽和結合を有するアミン、ジアミン、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸の誘導体で変成して硬化時に橋かけ構造を形成する。不飽和化合物としては、マレイン酸、ナジック酸、テトラヒドロフタル酸、エチニルアニリン等が使用できる。
(c)フェノール性水酸基あるいはカルボン酸を有する芳香族アミンで変成し、この水酸基又はカルボキシル基と反応しうる橋かけ剤を形成する。
【0014】
本発明はこの様にして得られたポリイミド前駆体を感光性樹脂層と接してフィルム状に設けるわけであるが、その樹脂層全体の硬化後の熱膨張係数は3×10-5/℃以下であることが好ましい。特にフレキシブルプリント基板等の柔軟な回路上に設ける場合、熱膨張係数が3×10-5/℃を越えるとイミド化反応等の高温熱処理後冷却時に回路が反ってしまい、実用上支障が生じやすい。
【0015】
本発明においてはポリイミド前駆体樹脂層が低熱膨張性樹脂層と良接着性樹脂層の少なくとも2層の構造を有することが必要である。
【0016】
低熱膨張性樹脂層は硬化後に3×10-5/℃未満の熱膨張係数を有することが好ましく、それ以上であると得られる基板の反りが生じて好ましくない。低熱膨張性樹脂層として好ましくは下記一般式(1)あるいは一般式(2)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体が好ましく、熱膨張係数が小さく、かつ屈曲性等の機械的特性に優れている。
【化5】
【0017】
これらの繰り返し単位の他に熱膨張係数のコントロール、あるいは機械的特性の調整等を目的として、前期化合物等を用いて共重合あるいはブレンドすることも可能である。また種々の特性改良を目的として無機質、有機質、又は金属等の粉末、繊維、チョプドストランド等を混合して使用することもできる。また硬化時の回路の酸化を防ぐ目的で酸化防止剤等の添加剤あるいは接着性の向上を目的としてシランカップリング剤を加えることも可能である。また可とう性の向上あるいは流れ性、接着性の向上等を目的として異種のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0018】
良接着性樹脂層は基板との接着性を高めるために必須であり、また必要に応じ、低熱膨張性樹脂層を間に挟んだ3層構造にして、回路に張り合わせた後、更に後加工で他の部材、例えば補強板等との接着の際の接着性を発現させることも可能である。
【0019】
本発明でいう良接着性樹脂は上述の炭素数16個以上の芳香族テトラカルボン酸又はその誘導体と炭素数12個以上の芳香族ジアミン化合物とを主に反応させて得ることができる。
【0020】
これらの主構造以外に接着性、耐熱性、充填性等の諸特性の改善を目標に種々のジアミン及びテトラカルボン酸化合物を共重合することが可能であり、また別途合成したポリイミド前駆体樹脂をブレンドすることも差し支えない。更に、同様の目的で異種の熱可塑性ポリマー、ゴム等を良接着性樹脂層にブレンドしてより高い接着力を発現させることも可能である。特に銅箔光沢面との十分な接着力が要求される場合、ニトリルブタジエンゴム等をブレンドすることは有用である。また、回路の酸化や樹脂の劣化を防止する目的で酸化防止剤等の添加剤を加えたり、流れ性、表面性を制御する目的で無機粒子を添加することも可能である。
【0021】
この良接着性樹脂層と低熱膨張性樹脂層との厚みの比率は任意に設定可能であるが、一般に、前述の芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンから得られる良接着性樹脂層は熱膨張係数が5×10-5/℃以上であるためにその層が厚すぎると得られる基板の反りが生じて好ましくない。
【0022】
また、この多層のポリイミド前駆体樹脂層は有機溶剤を10部以上含むことが好ましく、それ未満であると回路への充填性が不十分となり、凹凸部に気泡が生じ易い。有機溶剤としては、前述の非プロトン系極性溶媒が好ましく、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、ジメチルスルフォキサイド等が挙げられる。
【0023】
ポリイミド前駆体樹脂層の厚みは2μmから300μmが好ましく、それ未満であると、回路の絶縁に対する信頼性に乏しく、また折り曲げ等の機械的特性が低い。300μmを越えるとイミド化反応の際劣化反応が生じやすく好ましくない。
【0024】
この様にして得られたポリイミド前駆体を感光性樹脂層に接触して層を形成するわけであるが、その形成方法は任意の方法が可能である。より作業性に優れた方法としては離形フィルム上に感光性樹脂を塗工した後、ポリイミド前駆体樹脂溶液を塗工する。又は逆に離型フィルム上にポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布した後に、感光性樹脂溶液を塗布することも可能である。
【0025】
ポリイミド前駆体樹脂層を多層に形成する方法についても同様に任意の方法が可能であるが、好ましくはその厚み精度の点で逐次塗工であり、その塗工形式としてはリバース塗工、ナイフ塗工、ダイ塗工等が挙げられる。
【0026】
必要に応じ更に保護フィルムを張り合わせて塵埃等から樹脂層を保護することも可能である。
【0027】
離形フィルムとしてはポリエステルフィルム、ポリロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等の一般のフィルムが選択可能であり、より離形性を増すためにシリコーン化合物等の離形剤が表面にコートさせたフィルムがより好ましい。
【0028】
保護フィルムとしては上記フィルム単体もしくは必要に応じ粘着剤を塗布したフィルムが用いられる。
【0029】
塗工後のポリイミド前駆体樹脂溶液の乾燥は感光性樹脂あるいは離形フィルムの劣化を起こさない範囲で選択可能であるが、好ましくは180℃以下である。その温度を越えるとイミド化反応が起こり、その後の回路へのラミネートの際樹脂の流れ性が落ちることにより充填性が低下したり、あるいはパターニングの際エッチング時間が長くなり、好ましくない。
【0030】
この様にして得られた積層体は任意の回路パターンが描かれた回路基板上にポリイミド前駆体樹脂層が接する様に積層される。回路基板としてはガラスエポキシ等の硬質基板、あるいはポリイミドフィルムを用いたフレキシブルプリント基板等の任意の回路基板が可能であるが、ポリイミド前駆体樹脂層は、保護膜とするために高温で硬化する必要があるため、ガラス/マレイミド硬質基板あるいは無接着剤フレキシブルプリント基板等の耐熱性に優れた回路基板がより好ましい。
【0031】
積層方法としては熱プレス機あるいはロールツウロールのラミネーターにより可能である。この際樹脂の充填性を増すために200℃以下の加熱をすればより好ましい。また基板との密着性をより向上させるため界面に前述の非プロトン性極性溶媒等の有機溶剤等の浸し液を用いても差支えない。
【0032】
次に絶縁層であるポリイミド前駆体樹脂層を任意の形状に加工するために、任意のネガパターンあるいはポジパターンを離形フィルム上あるいは感光性樹脂層に直接重ね、露光を行なう。更に感光性樹脂の現像を行なった後、アルカリ性の溶液によりポリイミド前駆体のエッチングを行なう。エッチングに際しその速度を上げるために加熱することも可能である。その際温水によるエッチングをアルカリエッチングの後に併用すればより効果的にエッチングが行われる。最後に、残っている感光性樹脂層を剥離してパターン化されたポリイミド前駆体絶縁樹脂層が得られる。
【0033】
この様にして得られた回路はイミド化反応である硬化反応を行なうため高温の熱処理が施される。最高の熱処理温度としては200℃以上、より好ましくは250℃以上である。硬化温度が200℃未満であれば耐熱性、耐薬品性が劣り好ましくない。加熱は熱風オーブン等を用いたバッチ熱処理あるいはロールツウロールの加熱いずれでも可能である。また不活性雰囲気で行なえば回路の酸化が抑えられより好ましい。
【0034】
本発明の積層体を用いて任意の回路の絶縁保護を行うことが可能であるが、特に無接着剤銅張積層板と組み合わせることにより、絶縁体がすべてポリイミドである理想的なフレキシブルプリント配線板が作製可能である。
【0035】
また本発明の積層体の加工とメッキ加工を逐次行って多層配線板を作製することも可能である。このようにして得られる多層配線板はドリル穴明け加工等が不用で回路の平坦化薄層化が図れ、誘電率が低いといった特長を有し、理想的な多層配線板が得られる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されないことは勿論である。
【0037】
熱膨張係数はイミド化反応が十分終了した試料を用い、サーモメカニカルアナライザー(TMA)を用いて行い、250℃に昇温後10℃/minで冷却して240℃から100℃までの平均の熱膨張係数を算出して求めた。
【0038】
耐ハンダ性は、76%RHで24時間放置した回路をハンダ浴に1分間浸漬し、膨れ、剥がれの生じない最高の温度を10℃刻みで調べた。
【0039】
加工精度は直径が10μm刻みで異なる円形のパターンを用いポリイミド前駆体樹脂層をエッチング加工して目視により良好な形状を有する直径の大きさにより判定した。
【0040】
合成例1
温度計、塩化カルシウム管、攪拌棒及び窒素吸込口を取り付けた300mlの4つ口フラスコに毎分200mlの窒素を流しながら、 2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド(MABA)0.07モル及び 4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)0.03モルを220mlのジメチルアセトアミド(DMAc)中に攪拌溶解させた。この溶液を水冷浴中で10℃以下に冷却しながら、無水ピロメリット酸(PMDA)0.10モルを徐々に添加し反応させた。その後約2時間室温で攪拌を続け重合反応を行なった。褐色透明の粘稠なポリイミド前駆体溶液が得られた。
【0041】
合成例2
温度計、塩化カルシウム管、攪拌棒及び窒素吸込口を取り付けた300mlの4つ口フラスコに毎分200mlの窒素を流しながら、パラフェニレンジアミン(PDA)0.08モル、及び 4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)0.02モルを220mlのN-メチル−2-ピロリドン(NMP)中に攪拌溶解させた。この溶液を水冷浴中で10℃以下に冷却しながら、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸無水物を0.10モルを徐々に添加し反応させた。その後約2時間室温で攪拌を続け重合反応を行なった。褐色透明の粘稠なポリイミド前駆体溶液が得られた。
【0042】
合成例3
温度計、塩化カルシウム管、攪拌棒及び窒素吸込口を取り付けた300mlの4つ口フラスコに毎分200mlの窒素を流しながら、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)0.10モルを220mlのジメチルアセトアミド(DMAc)中に攪拌溶解させた。この溶液を水冷浴中で10℃以下に冷却しながら、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物(DSDA)0.10モルを徐々に添加し反応させた。その後約2時間室温で攪拌を続け重合反応を行なった。黄色透明の粘稠なポリイミド前駆体溶液が得られた。
【0043】
合成例4
温度計、塩化カルシウム管、攪拌棒及び窒素吸込口を取り付けた300mlの4つ口フラスコに毎分200mlの窒素を流しながら、 4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)0.10モルを220mlのジメチルアセトアミド(DMAc)中に攪拌溶解させた。この溶液を水冷浴中で10℃以下に冷却しながら、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物(BTDA)0.10モルを徐々に添加し反応させた。その後約2時間室温で攪拌を続け重合反応を行なった。黄色透明の粘稠なポリイミド前駆体溶液が得られた。
【0044】
実施例1
市販のシリコーン離型処理ポリエステルフィルム上に合成例3で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液を乾燥後の厚みが3μmになるように塗布し120℃で乾燥後、合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液を乾燥後の厚みが35μmになる様に塗布し120℃で5分乾燥した。この条件下で残存するDMAc量は固形分あたり30%であった。
【0045】
更に市販の酸現像型アクリル系感光性樹脂(東京プロセス(株)製NCAR)を乾燥後の厚みが20μmになるように塗布後110℃で1分乾燥した。更にその上に保護フィルムとして厚さ15μmのポリエステルフィルムをラミネートし、離形ポリエステルフィルム/良接着性ポリイミド前駆体樹脂層/低熱膨張性ポリイミド前駆体樹脂層/感光性樹脂層/保護ポリエステルフィルム層の5層の積層体を得た。
【0046】
この積層体の離型フィルムを剥がして良接着性ポリイミド前駆体樹脂層が回路と接触するように予め回路加工しておいた無接着剤銅張積層板〔新日鐵化学(株)製商品名エスパネックス(圧延銅箔18μm/ポリイミド35μm)〕とラミネートした。回路は線幅300μm/線間300μmの平行回路で、ラミネーター(大成ラミネーター(株)製STラミネーター8B−550ID)を用い、N-メチル−2−ピロリドン(NMP)で霧吹きを用い回路表面を濡らした後、50℃のロール温度で回路全面に2m/分の速度でラミネートした。ポリイミド前駆体樹脂層はきれいに回路間に充填され気泡の巻き込みも見られなかった。
【0047】
更にその保護フィルムに接触して3cm×10cmのパターンを有するネガフィルムを置き、ハイテック(株)製放電灯露光装置3000NELを用いて約100mmNJ/cm2 の露光を行った後、離形フィルムを剥がした後で簡易縦型シャワー装置を用いて0.5%の乳酸水溶液で30℃で水圧1kg/cm2 で30秒間現像した。
【0048】
この感光層のみがパターン化された基板を水酸化ナトリウム10%溶液を用いて簡易縦型シャワー装置により、液温45℃で水圧1.5kg/cm2 、35秒エッチング加工を行なった後、更に温水により液温45℃で水圧1.5kg/cm2 、35秒エッチング加工を施したところ剥き出しとなっていたポリイミド前駆体樹脂層はきれいにエッチングされ除去されていた。しかし感光性樹脂が残っていた部分に何ら変化はなかった。
【0049】
続いて10%の乳酸水溶液を用いて30℃で40秒間水圧1.0kg/cm2 シャワーにより、残っていた感光性樹脂層の除去を行ない、得られた基板を水洗後熱風オーブン中で130℃10分熱処理を行なった後、160、200、250、300℃で各2分間引続き熱処理した。
【0050】
得られたフレキシブルプリント基板は絶縁層として28μmのポリイミド層を有し、その断面を顕微鏡で観察したところ、回路を均一な厚みで空隙なく覆っていた。また基板の外観は極めて良好な平面性を有していた。特性としては耐ハンダ性は350℃の高温まで耐え、また回路にそって手で折り曲げても切れたりせず、高い機械的特性を有していた。
【0051】
更に前述の加工精度を判定するパターンを用いて、その加工精度を評価したところ、100μmの円形まできれいに加工されており、カバーレイフィルムの打抜きの加工精度よりはるかに優っていた。この絶縁樹脂層の熱膨張係数を別途調べたところ、2.0×10-5/℃であった。更に銅箔部分の接着力を測定したところ0.5kg/cmの十分な接着力を有し、基板のポリイミドフィルムとは剥離不能であった。手動により回路を10回折り曲げても剥離は皆無であった。
【0052】
実施例2
合成例4で得たポリイミド前駆体樹脂溶液を、実施例1において合成例3の樹脂の代わりに用いて同様にして加工、評価を行なった。耐ハンダ性は330℃で折り曲げ性も良好であり、基板の平面性も優れていた。また加工精度も同様に100μmであった。熱膨張係数は2.2×10-5/℃であった。また回路部分との接着力は0.4kg/cmの接着力を有し、基板のポリイミドフィルムとは剥離不能であった。手動により回路を10回折り曲げても剥離は皆無であった。
【0053】
実施例3
合成例2で得たポリイミド前駆体樹脂溶液を、実施例1において合成例1の樹脂の代わりに用いて同様にして加工、評価を行なった。ただしエッチング条件は約3倍の時間をかけて実施した。耐ハンダ性は330℃で折り曲げ性も良好であったが、基板の平面性は3cm×10cmのパターンで実験台上で10mm程度のコーナーの立ち上がりがあった。しかし使用には差し支えの無いレベルである。加工精度は同様に100μmであった。熱膨張係数は2.8×10-5/℃であった。銅箔部分との接着力は0.5kg/cmであり、基板のポリイミドフィルム面とは剥離不能であり、回路を手動で10回折り曲げても剥離は皆無であった。
【0054】
比較例1
実施例1において、合成例3の樹脂を用いずに積層体を形成後、同様の評価を行った。他の特性は同等であったが、銅箔との接着力が0.1kg/cm以下であり、基板を手動により10回程折り曲げたところ界面での剥離が見られた。
【0055】
比較例2
実施例3において、合成例3の樹脂を用いずに積層体を形成後、同様の評価を行った。他の特性は同等であったが、銅箔との接着力が0.1kg/cm以下であり、基板を手動により10回程折り曲げたところ界面での剥離が見られた。
【0056】
比較例3
実施例1において合成例1の樹脂を塗布後、130℃で15分かけて乾燥し、以下同様の工程を経て積層体を得た。この時残存するDMAcを測定したところ5%であった。この積層体を用いて加工評価を行ったが、基板にラミネート時に回路に未充填部が発生し、またアルカリ/温水のエッチング時にエッチング不良部が多発した。
【0057】
比較例4
実施例1において、アルカリエッチング後の温水エッチングを行わずに、アルカリエッチングのみで液温45℃で水圧1.5kg/cm2 で行ったところ、樹脂層がすべてエッチングされるまでに5分間もの時間が必要であった。
【0058】
【発明の効果】
本発明の積層体は加工精度が高くかつ信頼性に優れた回路の絶縁保護層を極めて容易に提供しうるものである。
Claims (9)
- 少なくとも感光性樹脂層とポリイミド前駆体樹脂層からなる回路の絶縁保護用フィルムにおいて、ポリイミド前駆体樹脂層が硬化後に3×10 -5 以下の熱膨張係数を有する低熱膨張性樹脂層となる低熱膨張性前駆体樹脂層と、硬化後に低熱膨張性樹脂層より良接着性樹脂層となる良接着性前駆体樹脂層の少なくとも2層を有することを特徴とする絶縁保護フィルム。
- 感光性樹脂層が紫外線硬化型のアクリル型樹脂であることを特徴とする請求項1記載の絶縁保護フィルム。
- 絶縁保護フィルムの一方の表面が、良接着性前駆体樹脂層であることを特徴とする請求項1又は2記載の絶縁保護フィルム。
- 硬化後のポリイミド前駆体樹脂層が3×10-5以下の熱膨張係数を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁保護フィルム。
- 請求項 1 〜6のいずれかに記載の絶縁保護フィルムを用いて絶縁保護加工された配線板。
- 請求項 1 〜6のいずれかに記載の絶縁保護フィルムを用いて絶縁保護加工する工程とその上に回路を形成する工程を逐次に行うことにより得られる多層配線板。
- 請求項 1 〜6のいずれかに記載の回路の絶縁保護フィルムを、ポリイミド前駆体樹脂層の表面に存在する良接着性前駆体樹脂層が回路と接するようにラミネートし、感光性樹脂層を選択的に露光、現像し、露出したポリイミド前駆体樹脂層をアルカリエッチング後、更に温水でエッチングすることを特徴とする絶縁保護膜を有する配線板の製造方法。
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