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JP3780703B2 - 2−ブチルオクタン二酸の製造法 - Google Patents

2−ブチルオクタン二酸の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2−ブチルオクタン二酸の製造法に関する。さらに詳しくは7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸から高純度の2−ブチルオクタン二酸を収率良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2−ブチルオクタン二酸は電解コンデンサー、特に、耐電圧特性に優れたコンデンサーの有効な電解質成分として使用されている。また、ポリアミドやポリエステルなどのポリマー原料やエポキシ樹脂用硬化剤として有用な化合物である。
【0003】
従来、2−ブチルオクタン二酸の製造法は知られている。例えば、特開昭49−115992号公報や特開昭50−37716号公報では、シクロヘキサンを酸化分解して、ドデカン二酸と同時に2−ブチルオクタン二酸とを製造する方法が提案されている。2−ブチルオクタン二酸は、このドデカン二酸と2−ブチルオクタン二酸との混合物から分離して、製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来法は、ドデカン二酸を主成分として製造する方法で、2−ブチルオクタン二酸の生成量は少なく、2−ブチルオクタン二酸の収率は低い。例えば、特開昭49−115992号公報や特開昭50−37716号公報の実施例では2−ブチルオクタン二酸の生成量はドデカン二酸の10%以下であり、収率は低い。また、ドデカン二酸と2−ブチルオクタン二酸とを分離することは難しく、この方法では、ドデカン二酸の含有量が10重量%以下の2−ブチルオクタン二酸を得ることは困難であった。そのため、純度の高い2−ブチルオクタン二酸を収率良く得る製造法が望まれていた。
【0005】
本発明は純度の高い2−ブチルオクタン二酸を収率良く得る製造法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは2−ブチルオクタン二酸の原料や製造法について鋭意検討した結果、原料として7−シアノウンデカン酸や2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸を用い、これらを加水分解した後、酸処理を行うことにより収率良く、純度の高い2−ブチルオクタン二酸を得ることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の第一の発明は、
7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸をアルカリ性化合物の存在下に加水分解した後、pH8.5以下で酸処理を行ない、酸処理で析出した塩を除去する2−ブチルオクタン二酸の製造法である。
【0008】
本発明の第二の発明は、
7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸をアルカリ性化合物の存在下に加水分解した後、pH5〜8.5で酸処理を行い、この酸処理で析出する塩を除去した後、更に、pH1〜5で酸処理を行い、この酸処理で析出する塩を除去する本発明の第一の発明に記載の2−ブチルオクタン二酸の製造法である。
【0009】
本発明の第三の発明は、
酸処理により析出した塩を除去した後、水および/または有機溶剤で洗浄する本発明の第一または第二の発明に記載の2−ブチルオクタン二酸の製造法である。
【0010】
7−シアノウンデカン酸や2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸を原料とすることにより、純度の高い2−ブチルオクタン二酸を収率良く製造できる方法を見出したことは本発明の特徴である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、2−ブチルオクタン二酸を7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸から以下の手順で得る製造法である。原料である7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸とアルカリ性化合物および水を所定温度範囲で混合して加水分解を行い、7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸のアルカリ塩(以降、この塩を「アルカリ塩」と記載する。)を生成させた後、酸を添加して酸処理を行い、アルカリ塩と酸との反応で析出した塩(以降、この塩を「析出塩」と記載する。)やその他不純物を分離除去し、次いで、水を蒸発などの方法で除去することにより、従来法に比べ、純度の高い2−ブチルオクタン二酸を収率良く製造できる。更に、純度の高い2−ブチルオクタン二酸は析出塩を除去した後、水および/または有機溶剤で洗浄することにより製造できる。
【0012】
7−シアノウンデカン酸、2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸は公知の方法で製造したものが使用できる。例えば、シクロヘキサンから11−シアノウンデカン酸を製造する際に、同時に製造される7−シアノウンデカン酸、2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸などがある。本発明で使用する7−シアノウンデカン酸や2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸は、11−シアノウンデカン酸や11−シアノウンデカン酸製造時に副生する各種の化合物を含んでいても良い。
【0013】
本発明で使用するアルカリ性化合物としては公知のアルカリ金属またはアルカリ土類金属およびこれらの誘導体が使用できる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属およびこれらの誘導体の具体例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエチラート、水素化ナトリウム、グリニヤ試薬などが挙げられる。これらは単独でも、2種類以上を組合せても使用することができる。これらの中では加水分解が効率良く実施でき、取扱いが容易な点で水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが好ましく用いられる。
【0014】
アルカリ性化合物の使用量は7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸の1モルに対して、一般的には1〜20モル、好ましくは2〜10モル、より好ましくは2〜6モルである。使用量が過度に少ないと加水分解の速度が遅くなる。使用量が過度に多くなっても加水分解の速度はそれ程速くならず、また、混合攪拌が不均一になり易く、加水分解反応が不均一となることがある。
【0015】
アルカリ性化合物はそのまま使用しても良いし、アルカリ性化合物を水に混合や溶解して、水溶液として使用しても良い。また、アルカリ性化合物の添加時期は、特に制約がない。例えば、7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸、アルカリ性化合物および水を同時に混合しても良く、また、7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸および水からなる混合液にアルカリ性化合物を添加しても良い。
【0016】
7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸やアルカリ性化合物と混合する水は特に制約はないが、金属イオンなどの含有量が少ないイオン交換水などの純水や蒸留水を使用することが好ましい。水の使用量は、7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸1重量部に対し、一般的には0.5〜15重量部、好ましくは3〜10重量部、より好ましくは4〜7重量部である。水の使用量が過度に少ないと加水分解の反応速度が遅くなる。水の使用量が過度に多くなると大きな反応設備が必要となったり、水の除去に長時間を要し、生産効率が低下する。
【0017】
加水分解の温度は60〜200℃、好ましくは80〜150℃、より好ましくは90〜130℃である。温度が高い場合、副反応による不純物の生成が多くなることが有り、また、温度が低い場合、加水分解に時間がかかり過ぎる。
加水分解を行う際の圧力は特に制約はないが、加水分解の温度が100℃以上の場合には水などの蒸発を抑えるため、圧力を1〜10気圧とすることが好ましい。加水分解に要する時間は温度、反応量などの反応条件により異なるが、通常、0.5〜50時間である。
また、加水分解の際、不純物などの影響でアンモニアが発生することがあるが、発生したアンモニアは反応装置の系外へ除去することが望ましい。
【0018】
酸処理に使用する酸は、公知の無機酸や有機酸が使用できる。無機酸の具体例には、塩酸、硫酸、リン酸などが挙げられ、また、有機酸の具体例には、ギ酸、酢酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。これらの中では無機酸が好ましく、その中でも装置腐食などの心配が少ない硫酸が好ましい。
【0019】
酸処理は、加水分解後、前記の酸を添加し、通常、pH8.5以下、好ましくはpH1〜5、より好ましくはpH1〜3で実施される。酸処理のpHの値が小さくなるほど、2−ブチルオクタン二酸の収率は良くなる傾向にある。酸処理に用いる酸の使用量は酸処理を実施する水溶液のpHに対応して、適宜決められる。酸処理時のpHが8.5より大きい場合、アルカリ塩の酸処理に時間がかかったり、酸処理が不完全となったりして、2−ブチルオクタン二酸の収率や純度が低くなるため、好ましくない。
【0020】
酸処理における酸の添加は、酸処理を行う所定のpHとなる量の酸を一度に添加しても良いし、また、2回以上にわけて添加しても良い。また、酸処理時のpHを2段階以上に設定し、酸処理を2回以上実施しても良い。例えば、2回酸処理を行なう場合、以下の手順で実施される。先ず、pH5〜8.5となる量の酸を添加して酸処理を行い、生成した析出塩やその他不純物を除去した後、更に、酸を添加して、pH1〜5、好ましくはpH1〜3で酸処理を行ない、この酸処理で生成した析出塩やその他不純物を除去する方法で実施される。3回以上酸処理を行う場合も、ほぼ同様の方法で実施される。2回以上で酸処理を実施する方法は、1回で酸処理する方法に比べ、1回の酸処理で生成する析出塩やその他不純物の量が少なくなるので、析出塩の除去操作が効率的に行える、酸処理に要する時間が短くなる、純度の高い2−ブチルオクタン二酸が得易くなるなどの利点がある。
【0021】
酸処理時の温度は、一般的には15〜100℃、好ましくは35〜70℃である。酸処理の温度が過度に低いと処理に時間がかかり過ぎ、また、過度に高いと生成する2−ブチルオクタン二酸が着色したり、不純物が増えたりすることがある。酸処理に要する時間は酸処理時のpHや酸処理される量などにより異なるが、通常、数分〜20時間である。
【0022】
酸処理で生成した析出塩や他の不純物の除去は濾過法や遠心分離法など公知の方法で行われる。酸処理を2回以上で行う場合は、酸処理終了毎に析出塩などの除去を行うことが好ましい。析出塩などを除去した後、蒸留、蒸発など公知の方法で水を除去することにより、2−ブチルオクタン二酸は製造される。本発明は2−ブチルオクタン二酸が主成分として得られ、収率は高く、副生するドデカン二酸の生成量は少ない。
【0023】
また、析出塩、その他不純物を除去した後、水および/または有機溶剤で洗浄すると、更に、純度の高い2−ブチルオクタン二酸が製造できる。本発明で製造法される2−ブチルオクタン二酸に含まれる不純物は、原料の7−シアノウンデカン酸や2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸に含まれる不純物に起因するドデカン二酸などの有機系不純物、酸処理に使用した酸、析出塩や反応装置から生ずる金属類などがある。酸や析出塩などは主に水で、有機系不純物は主に有機溶剤で除去される。一例として水と有機溶剤とを併用した洗浄法を説明する。
析出塩などを除去した2−ブチルオクタン二酸を含有する水溶液に2−ブチルオクタン二酸の良溶媒である有機溶剤を加え、混合攪拌した後、静置して、2−ブチルオクタン二酸を含む有機溶剤層と水層とに分離させる。分液やデカンテーションなど公知の方法により、有機溶剤層を分別した後、攪拌下にこの有機溶剤層に水を加えて、水に溶解する不純物を水層に移行させ、この不純物などを含む水層を分離除去して、2−ブチルオクタン二酸が含む不純物は除去される。この洗浄の操作は、通常、2〜3回繰返えすことが好ましい。洗浄を実施する温度は、通常、10〜80℃であり、洗浄の時間は、通常、1分〜10時間、好ましくは20分〜5時間である。洗浄の後、有機溶剤と2−ブチルオクタン二酸は分別蒸留法や有機溶剤の蒸発など公知の方法により有機溶剤を除去することにより、純度の高い2−ブチルオクタン二酸を得ることができる。
【0024】
また、原料や装置材料などから生ずる金属類などの不純物は、洗浄にキレート剤を含有する水および/または有機溶剤を使用することにより、より良く除去することができる。本発明で使用するキレート剤の具体例には、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジメチルグリオキシム、アセチルアセトン、クラウンエーテルなどが挙げられる。キレート剤の使用量は洗浄に使用する水や有機溶剤に対して0.01〜5重量%である。
【0025】
洗浄に使用される有機溶剤は2−ブチルオクタン二酸の良溶媒であり、具体例にはトルエン、キシレン、ベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。これら有機溶剤の使用量は析出塩などを除去した2−ブチルオクタン二酸を含む水溶液の量の10容量%以上、好ましくは10〜500容量%の範囲、より好ましくは20〜300容量%である。
【0026】
洗浄に使用する水は特に制約は無いが、不純物の少ないイオン交換水などの純水や蒸留水が好ましく使用される。
洗浄に使用する水の量は、一般的には2−ブチルオクタン二酸を含む有機溶剤層の容量に対して、1容量%以上、好ましくは1〜500容量%、より好ましくは、10〜300容量%である。
【0027】
また、更に、高純度の2−ブチルオクタン二酸を得る方法として、上記の方法で得た2−ブチルオクタン二酸を蒸留したり、晶析したりする方法などがある。晶析は溶剤として、ヘキサンや水とメタノールの混合溶液などが用いられ、公知の方法で実施することができる。
【0028】
本発明の2−ブチルオクタン二酸の製造法は回分式でも連続式でも実施でき、公知の攪拌装置を備えた反応装置が使用できる。還流装置を有する反応装置は水などの蒸発を抑制できるため、好ましく使用できる。また、酸処理で析出した塩の分離は瀘過装置や遠心分離装置など公知の分離装置が使用できる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例、および比較例を示し、本発明の効果を具体的に説明する。尚、実施例に示した分析値は以下の方法で測定した。
【0030】
1)加水分解後の成分および2−ブチルオクタン二酸、ドデカン二酸の分析
ガスクロマトグラフィを用い、分析した。
2)鉄分、硫酸イオンの分析
イオンクロマトグラフィを用い、分析した。
【0031】
実施例1
温度計、還流器、攪拌装置を備えた3000mlのステンレス製の容器に、7−シアノウンデカン酸50重量%、2−ブチル、7−シアノヘプタン酸25重量%、11−シアノウンデカン酸25重量%およびその他不純物を含む原料300gを入れ、さらに、50%カ性ソーダ水溶液600gおよびイオン交換水1000gを加え、均一に混合攪拌した。この原料の水溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱して、窒素ガス雰囲気下に105℃まで昇温した。同温度で、24時間、加水分解させた。その間に生成したアンモニアガスは還流器の出口を通じてドラフトへ放散させた。加水分解した水溶液をガスクロマトグラフィで分析した結果、7−シアノウンデカン酸、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸および11−シアノウンデカン酸のピークは観察されず、これら原料が加水分解されていることを確認した。水溶液の温度を50℃まで冷却して、攪拌しながら、62%硫酸を加え、pHを6.2とした。更に、この水溶液にイオン交換水250gを加えて温度を40〜45℃に冷却し、この温度で1時間攪拌を続け、酸処理を行った。その後、酸処理で析出した塩を瀘過により除去した。次いで、この濾液の温度を30〜40℃に維持して、pHが1.5となるまで62%硫酸を添加し、攪拌下に、1時間酸処理した。この間に析出した塩を瀘過して、除去した。次いで、攪拌しながらこの瀘液にメチルイソブチルケトン500gを加え、約30分間混合してから、静置し、メチルイソブチルケトン層(有機溶剤層)と水層とに分離させて、分液によりメチルイソブチルケトン層を取出した。このメチルイソブチルケトン層を攪拌しながらイオン交換水200gを加え、約30分間混合してから、静置した。メチルイソブチルケトン層と水層にわかれた後、分液によりメチルイソブチルケトン層を取出した。この操作を2度繰返した後、エバポレーターでメチルイソブチルケトン層を濃縮して、メチルイソブチルケトンがほとんど残らない状態まで留去し、190gの化合物を得た。得た化合物をガスクロマトグラフィで分析した結果、2−ブチルオクタン二酸94.9重量%,ドデカン二酸3.8重量%の組成であった。また、鉄分は5ppm、硫酸イオンは27ppmであった。
【0032】
実施例2
実施例1と同様の容器に7−シアノウンデカン酸50重量%、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸25重量%、11−シアノウンデカン酸25重量%およびその他不純物を含む原料150gを入れ、さらに、50%カ性ソーダ水溶液300gおよびイオン交換水550gを加え、均一に混合攪拌した。この原料の水溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱して、窒素ガス雰囲気下に100℃まで昇温した。同温度で、24時間、加水分解させた。その間に生成したアンモニアガスは還流器の出口を通じてドラフトへ放散させた。加水分解した水溶液をガスクロマトグラフィで分析した結果、7−シアノウンデカン酸、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸および11−シアノウンデカン酸のピークは観察されず、これら原料が加水分解されていることを確認した。この水溶液にイオン交換水200gを加えて温度を35〜45℃に冷却してから、この温度を維持しながら、攪拌下にpHが2となるまで62%硫酸を添加し、同温度で1時間酸処理を行った。その後、酸処理で析出した塩を瀘過により分離除去した。次いで、攪拌しながらこの瀘液にメチルイソブチルケトン240gを加えて約60分間混合してから、静置した。メチルイソブチルケトン層(有機溶剤層)と水層とに分離してから、分液によりメチルイソブチルケトン層を取出した。このメチルイソブチルケトン層を攪拌しながらエチレンジアミン四酢酸0.2gを含有するイオン交換水200gを加え、約30分間混合してから、静置した。メチルイソブチルケトン層と水層にわかれた後、分液によりメチルイソブチルケトン層を取出した。この操作を2度繰返した後、メチルイソブチルケトン層をエバポレーターで濃縮し、メチルイソブチルケトンがほとんど残らない状態まで留去して、83gの化合物を得た。得た化合物をガスクロマトグラフィで分析した結果、2−ブチルオクタン二酸90.9重量%,ドデカン二酸9.1重量%の組成であった。また、鉄分は1ppm以下、硫酸イオンは19ppmであった。
【0033】
実施例3
実施例1と同様の容器に7−シアノウンデカン酸50重量%、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸25重量%、11−シアノウンデカン酸25重量%およびその他不純物を含む原料150gを入れ、さらに、50%カ性ソーダ水溶液300gおよびイオン交換水550gを加え、均一に混合攪拌した。この原料の水溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱して、窒素ガス雰囲気下に100℃まで昇温した。同温度で、24時間、加水分解させた。その間に生成したアンモニアガスは還流器の出口を通じてドラフトへ放散させた。加水分解した水溶液をガスクロマトグラフィで分析した結果、7−シアノウンデカン酸、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸および11−シアノウンデカン酸のピークは観察されず、これら原料が加水分解されていることを確認した。この水溶液にイオン交換水200gを加えて温度を35〜45℃に冷却してから、この温度を維持しながら、攪拌下にpHが2となるまで62%硫酸を添加し、同温度で1時間酸処理を行った。その後、酸処理で析出した塩を瀘過により分離除去した。
次いで、水をエバポレーターで濃縮し、水がほとんど残らない状態まで留去して、88gの化合物を得た。この化合物にイオン交換水300gを加え、約30分攪拌を続け、水で洗浄した後、水をエバポレーターで濃縮し、水がほとんど残らない状態まで留去した。この水での洗浄操作を2回繰り返した。得た化合物をガスクロマトグラフィで分析した結果、2−ブチルオクタン二酸91.5重量%,ドデカン二酸8.5重量%の組成であった。また、鉄分は3ppmであった。
【0034】
比較例1
62%硫酸の添加をpHが9となる時点で停止して、加水分解を24時間実施した以外は、実施例2と同様の装置、原料および条件で加水分解を実施した。加水分解した水溶液をガスクロマトグラフィで分析した結果、7−シアノウンデカン酸、2−ブチル,7−シアノヘプタン酸および11−シアノウンデカン酸のピークが観察でき、これらの50%以上が加水分解されいなかった。加水分解が十分で無かったため、酸処理など以後の操作を中止した。
【0035】
【発明の効果】
7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−、7−シアノヘプタン酸をアルカリ性化合物の存在下に加水分解した後、pH8.5以下で酸処理を行い、酸処理で析出する塩を除去することにより高純度の2−ブチルオクタン二酸を収率よく製造することができる。

Claims (4)

  1. 7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸をアルカリ性化合物の存在下に加水分解した後、pH8.5以下で酸処理を行ない、酸処理により析出した塩を除去することを特徴とする2−ブチルオクタン二酸の製造法。
  2. 7−シアノウンデカン酸および/または2−ブチル−,7−シアノヘプタン酸をアルカリ性化合物の存在下に加水分解した後、pH5〜8.5で酸処理を行い、この酸処理により析出した塩を除去した後、更に、pH1〜5で酸処理を行い、この酸処理で析出した塩を除去することを特徴とする請求項1記載の2−ブチルオクタン二酸の製造法。
  3. 酸処理により析出した塩を除去した後、水および/または有機溶剤で洗浄することを特徴とする請求項1または2記載の2−ブチルオクタン二酸の製造法。
  4. 請求項3記載の洗浄において、洗浄に使用する水および/または有機溶剤がキレート剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載の2−ブチルオクタン二酸の製造法。
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