JP3772955B2 - センタレス研削方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研削砥石と調整車の間に円筒又は円すいの被加工物を入れ、該被加工物の外周を研削するセンタレス研削方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
センタレス研削では、回転砥石と調整車の間に被加工物を入れ、ワークレストで支持しつつ被加工物の外周を研削する。被加工物は、調整車とほぼ同じ周速で回転する。調整車は、回転砥石の軸心に対して数度傾いており、被加工物を一方向に押しつけたり送ったりするための力を発生させる。被加工物外周と調整車外周を被加工物全長にわたり接触させるために調整車はつづみ形をした特殊な形状に成形される。
【0003】
図7に示す円筒状被加工物Wのセンタレス研削は、調整車1と、ワークレスト3とにより被加工物Wを保持し、回転砥石5にて被加工物Wを研削することで、その研削抵抗で被加工物Wをほぼ調整車1と同速度で回転させ、これとともに調整車1の回転軸を、手前側(図7の紙面の表面側)を上に傾斜させておくことで、被加工物Wを軸方向に連続的に送って研削(スルーフィード研削)を行う。この際、研削液8は、被加工物Wの上方に設けられた研削液ノズル7から、被加工物Wへと供給される。
【0004】
また、図8、図9に示す円すい状被加工物Wのセンタレス研削は、金属からなる調整車1の外周に、ねじ状の溝9を設け、調整車1の回転に伴って軸方向にずれるこの溝9により被加工物Wを調整車1の軸方向に送って研削(スルーフィード研削)を行う。
【0005】
スルーフィード研削では、回転砥石5の幅以上の長さの被加工物Wを連続的に加工できるので、長尺棒材の外径研削ができる。これに対し、インフィード研削では、段付き被加工物Wの総形研削が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のセンタレス研削方法は、研削液に混入している砥粒や研削屑(カール状のもの)が、調整車、ワークレストに掛かり、被加工物との接触面に進入して加工精度を悪化させる。ここで、被加工物とワークレストとは「すべり」が主体で、異物を弾き出し易いため、加工精度(真円度、円筒度)への影響は少ないが、被加工物と調整車とは「ころがり」が主体で、異物を噛み込み易く、且つ異物の噛み位置が回転砥石と反対側の接点のため、加工精度をより悪化させる。この対策として、例えばフィルターを通過させることで供給前の研削液から異物を除去することも考えられるが、研削部で現に生じた異物(砥粒破砕、脱落、研削屑等)はその場では除去できず、特に砥石ドレッシング、調整車ツルーイング時の異物は全体に降りかかるため除去が困難で十分な効果を期待することができない。
【0007】
また、図8、図9に示した金属調整車を使用する円すい状被加工物の研削では、調整車が金属であるため、摩擦係数が小さく、本来、調整車の駆動力によって被加工物が回転され、回転砥石の周速と差動を生じさせながら被加工物が研削されるのであるが、調整車と被加工物との間に異物の噛み込みがあると、回転砥石の回転によって被加工物の外周速が決定されるようになる。従って、被加工物が回転砥石によって回転されるようになり、被加工物の周速が回転砥石の周速に近づき、調整車の周速よりはるかに大きくなる所謂クラッシング状態となって、例えば被加工物の尾部が触れる等の不安定現象が発生する。即ち、調整車1、回転砥石5、被加工物Wの接触状態は、図10に示すように、被加工物の幅方向中央部の断面A−A線で「ころがり」となり、他は全て「すべり」となる。図に示すように、円すいころ大径側では円すいころ周速>調整車周速となり、小径側では円すいころ周速<調整車周速となり、円すいころに作用する調整車からの摩擦力の方向は回転軸X−Xの垂直方向に対し、互いに反対方向になり、円すいころの小径側を浮き上がらせる方向に作用する。したがって、X−X軸が傾き易く不安定になる。そのところに、調整車1と被加工物Wとの間に異物が入ると、被加工物Wが調整車1に対して「すべり」、被加工物Wの外周速が回転砥石5の周速に近づく傾向になる。このことは、回転砥石5に、被加工物Wの幅だけクラッシング跡がみられることでも確認される。このような異物の噛み込みによりスルーフィード状態が変化すると、図8に示すように、調整車1との相対速度が、ΔV(=vt)からΔV’と増大し、スルーフィード送りの本来の送り速度(vt)より大きくなり、軸方向隙間δt〔(調整車の溝幅)−(被加工物全長)〕=0まで切り込み、回転砥石、調整車、被加工物にダメージを与える虞れが生じ、研削が不安定となって、生産能率を高めることが困難となった。なお、図8中、VR は調整車1の周速、VW は被加工物Wの周速、αは円すい角を表す。
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、異物を調整車と被加工物との間に噛み込ませないようにするセンタレス研削方法を提供し、加工精度の向上、及び不安定現象を除去することによる生産能率の向上を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載のセンタレス研削方法は、回転砥石と、該回転砥石の軸心に対して所定角度傾けて配置した調整車との間に被加工物を入れ、該被加工物をワークレストで支持しつつ前記調整車とほぼ同じ周速で回転させながら該被加工物の外周を研削するセンタレス研削方法において、
前記調整車の被加工物下側に位置する部分に高圧洗浄水を吹き付けて洗浄し、同時に前記調整車の前記高圧洗浄水で洗浄される部分よりも更に回転方向上流側の部分をブラシにより洗浄するとともに、該ブラシによる洗浄部分に回転方向下流側から高圧洗浄水を吹き付けて洗浄しながら研削することを特徴とする。
【0010】
このセンタレス研削方法では、調整車の被加工物下側に位置する部分が洗浄されながら、研削が行われ、特に加工精度に大きく影響を及ぼす、回転砥石と反対側の接点である調整車と被加工物との間に、研削部で生じた異物(砥粒破砕、脱落、研削屑等)が、調整車の回転により再び噛み込まれることがなくなる。これにより、高い真円度が得られるようになって、センタレス研削の加工精度が向上する。
【0011】
このセンタレス研削方法では、噴射された洗浄液が調整車に高圧で吹きつけられ、調整車に付着して被加工物と調整車との間に噛み込まれようとする異物が吹き飛ばされて除去される。
【0012】
このセンタレス研削方法では、このブラシが調整車に摺接し、調整車に付着して被加工物と調整車との間に噛み込まれようとする異物が掃かれるようにして除去される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るセンタレス研削方法の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るセンタレス研削方法を実施するセンタレス研削盤の要部概略図である。なお、以下の各実施の形態において、同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0014】
センタレス研削盤21の研削部には回転砥石23が設けられ、回転砥石23は図示しない回転駆動機構により回転されることで外周で被加工物Wの外周面を研削する。回転砥石23の近傍には回転砥石23の軸心に対して所定角度傾けて調整車25が配設され、調整車25は被加工物Wとほぼ同じ周速で回転される。回転砥石23と調整車25との間隙には図1の下方からワークレスト27が配設され、ワークレスト27は上端で被加工物Wを支持する。回転砥石23と調整車25との間にはワークレスト27と間隙を隔てて研削液ノズル29が下向きに配設され、研削液ノズル29は下端に開口したノズル部からワークレスト27の方向に向かって研削液を吐出するようになっている。
【0015】
このように構成されたセンタレス研削盤21の研削部では、回転砥石23と調整車25との間に、円筒状の被加工物Wが送り込まれる。回転砥石23と調整車25との間に送り込まれた被加工物Wは、調整車25と、ワークレスト27とにより保持され、回転砥石23にて外周が研削されることで、その研削抵抗でほぼ調整車25と同速度で回転される。また、これとともに調整車25の回転軸が、手前側(図1の紙面の表面側)を上に傾斜されていることで、被加工物Wを軸方向に連続的に送って研削(スルーフィード研削)が行われる。
【0016】
ところで、本実施の形態によるセンタレス研削盤21ではワークレスト27と調整車25との間に洗浄手段31が配設され、洗浄手段31は調整車25の被加工物下側に位置する部分33を洗浄するようになっている。この実施の形態による洗浄手段31は、第一の高圧洗浄液噴射ノズル35aと、第二の高圧洗浄液噴射ノズル35bと、ブラシ37とを備えて構成される。
【0017】
第一の高圧洗浄液噴射ノズル35aは、洗浄液供給管39に設けられ、洗浄液を噴射することにより、被加工物Wに対する調整車25の回転方向上流側から、被加工物Wと調整車25とのころがり部までの洗浄を行い、調整車25に付着して調整車25と被加工物Wとの間に進入しようとする異物を除去する。
【0018】
ブラシ37は、基端が洗浄手段本体31aに植設され、先端が、調整車25の被加工物下側に位置する部分33に摺接し、調整車25に付着して被加工物Wと調整車25との間に噛み込まれようとする調整車回転方向上流側の異物を掃くようにして除去する。
【0019】
第二の高圧洗浄液噴射ノズル35bは、上述の第一の高圧洗浄液噴射ノズル35aと同様に洗浄液供給管39に設けられ、調整車25の回転方向下流側から、ブラシ37と調整車25との摺接部に向かって洗浄液を噴射することにより、ブラシ37の摺接と共働して、調整車25に付着して調整車25と被加工物Wとの間に進入しようとする異物を除去する。
【0020】
ブラシ37の材質としては、ニッケル、コバルト、クロム等の合金、セラミック繊維等を好適に用いることができる他、ステンレス・ファイバー、炭素繊維も対象となる。材質の選定は、クリープ特性、摩擦・磨耗特性、耐錆性を考慮に入れて行う。ブラシ37は、このような材質からなる細い繊維体の基端を、例えばバッキングプレート41等を用いて洗浄手段本体31aに交換可能に挟持して設ける。
【0021】
洗浄液は、研削液を可能な限りファインにフィルタリングし、且つ高圧で噴射させる。フィルタリングによる洗浄度の目安としては、0.1μm以上の砥粒や研削屑が除去できることが望ましい。また、洗浄液の噴射圧力は、30〜50kg/cm2 を確保することが望ましい。
【0022】
洗浄手段31は、例えば被加工物Wの送り方向の移動に同期させて、移動させる構成とすることができる。この場合、ワークレスト27と調整車25との間隙には、調整車25の軸線方向に延びる図示しないガイドレール等を設け、このガイドレールに摺動自在に洗浄手段本体31aを設けることで、被加工物Wの送りに同期させた移動が可能になる。また、洗浄手段31は、調整車25の軸方向に、複数のものを設けることが好ましい。これにより、連続加工される複数の被加工物Wが、同時に洗浄可能になる。
【0023】
なお、洗浄手段31は、第一の高圧洗浄液噴射ノズル35a、第二の高圧洗浄液噴射ノズル35b、ブラシ37のいずれか一つの構成のみが設けられるものであってもよい。つまり、調整車25に付着して調整車25と被加工物Wとの間に進入しようとする異物を効率的に除去できればよい。本実施の形態による洗浄手段31では、これらを重複して作用させることにより、異物の確実な除去を可能にしている。
【0024】
このセンタレス研削盤21によるセンタレス研削方法では、調整車25の被加工物下側に位置する部分33が、洗浄手段31によって洗浄されながら、研削が行われ、特に加工精度に大きく影響を及ぼす、回転砥石23と反対側の接点である調整車25と被加工物Wとの間に、研削部で現に生じた異物(砥粒破砕、脱落、研削屑等)が、調整車25の回転により再び研削部に噛み込まれることがなくなる。これにより、高い真円度が得られるようになって、センタレス研削の加工精度が向上する。
【0025】
HDD軸受の音響問題では、砥粒系の異物が最も悪影響を及ぼすことが知られている。本実施の形態によるセンタレス研削の場合においても、この砥粒系の異物が、スクラッチ(引っかき傷)発生のみならず、研削精度にも悪影響を及ぼしていると考えられるため、回転砥石23を常に洗浄することにより、これらの不具合が除去され、加工精度の高まることが十分に期待できる。
【0026】
なお、本実施の形態は、工作機械用の円筒状被加工物Wに対してのセンタレス・スルーフィード研削を主に対象とするが、調整車の同様の洗浄は、円すい状被加工物のセンタレス・インフィード研削にも有効となる。
【0027】
次に、円すい状被加工物をセンタレス研削する第一参考例であるセンタレス研削盤について説明する。図2は第一参考例であるセンタレス研削盤の要部概略図である。
【0028】
センタレス研削盤51の研削部には回転砥石53が設けられ、回転砥石53は図示しない回転駆動機構により回転されることで外周で被加工物Wの外周面を研削する。回転砥石53の近傍には回転砥石53の軸心に対して所定角度傾けて調整車55が配設され、調整車55は被加工物Wとほぼ同じ周速で回転される。回転砥石53と調整車55との間隙には図2の紙面の裏面側に図示しないワークレストが配設され、ワークレストは上端で被加工物Wを支持する。回転砥石53と調整車55との間にはワークレストと間隙を隔てて図2の紙面上方から図示しない研削液ノズルが下向きに配設され、研削液ノズルは下端に開口したノズル部からワークレストの方向に向かって研削液を吐出するようになっている。
【0029】
調整車55は、金属からなり、外周にはねじ状の溝57が形成されている。センタレス研削盤51では、回転砥石53と、この調整車55の溝57との間に円すい状被加工物Wを入れ、被加工物Wをワークレストで支持しつつ調整車55とほぼ同じ周速で回転させながら被加工物Wの外周をインフィード研削する。
【0030】
ところで、調整車55に形成された溝57の溝底面59には、溝幅方向中央部分に、砥粒入り高分子材61が、溝底面59から若干量突出して且つ表面が溝底面59と平行となるように埋入されている。
【0031】
より具体的には、砥粒入り高分子材61は、例えばSiC、Al2 O3等の砥粒(セラミックス)と、弾性を有する高分子材料とにより構成されている。砥粒入り高分子材61は、調整車55の軸線方向中央部に、被加工物Wの長さLに対し、l(例えばl/L=1/2)、深さaで貼り付け、この状態で溝57を研削仕上げして得る。
【0032】
砥粒入り高分子材61の若干の出張りδは、使用時の予圧となる(スチールに比べ弾性率小)。また、砥粒入り高分子材61を埋入するための凹部63は、溝57のつば65側にβ角だけ傾斜させる。溝57及びつば65面の手直し(破線)を考慮し、取代確保をしておくためである。そして、被加工物Wと調整車55との全体的な摩擦係数は、最適となるように、l/Lと、δとの諸寸法を適宜設定して決める。
【0033】
このセンタレス研削盤51では、金属製の調整車55の溝底面59の中央部に、砥粒入り高分子材61が設けられることにより、被加工物Wがこの砥粒入り高分子材61に接触し、高分子材の弾性による圧力発生と、砥粒によるスパイク効果とにより見かけ上の摩擦係数が大となる。これにより、円すい状被加工物Wの周速が回転砥石53の周速に近づく現象が生じ難くなり、回転砥石53による過大な周速増大が被加工物Wに発生せず、安定した研削が可能になって、生産能率が高まる。
【0034】
次に、円すい状被加工物をセンタレス研削する第二参考例であるセンタレス研削盤について説明する。図3は第二参考例であるセンタレス研削盤の要部斜視図、図4は図3の調整車軸線方向から見た要部正面図である。
【0035】
このセンタレス研削盤71は、回転砥石53と、調整車55との間に、高圧流体噴射手段73が配設されている。高圧流体噴射手段73は、被加工物Wを挟んでワークレスト27の反対側に配置される。高圧流体噴射手段73のケーシング75には送り方向に複数並んで送られるそれぞれの被加工物Wに対応して、スリット77が開口され、スリット77から噴射された高圧流体は被加工物Wの小径部に当たるようになっている。従って、高圧流体が当たった被加工物Wは、小径部のワークレスト27からの浮き上がりが押さえられることになる。
【0036】
より具体的には、ケーシング75にはねじ状の回転弁79が設けられ、この回転弁79が調整車55の回転に同期して回転されることで、スリット77の開口が小径部の長さsだけに規制されて開き、高圧流体が被加工物Wの送り方向に常に一致して供給されるようになっている。
【0037】
この時の被加工物Wの押付力fは、供給圧PS 、スリット幅bとすると、f=b・s・PS となり、これだけの力が、ワークレスト27への押し付け力として被加工物Wの小径部に加わることになる。この押付力fは、例えば、b=2mm,s=3mm,PS =30kg/cm2とすると、1.8kgとなる。
【0038】
ここで、供給圧PS は、70kg/cm2 までは可能である。回転弁79の回転駆動は同期モータにより行ってもよいし、調整車55から歯車結合にて行うこともできる。歯車減速は、2段式にすれば容易に可能と考える。
【0039】
このセンタレス研削盤71では、被加工物Wを挟んでワークレスト27と反対側に配設された高圧流体噴射手段73から高圧流体が噴射されると、この高圧流体が被加工物Wの小径部を押圧することになる。これにより、被加工物Wの小径部がワークレスト27に押さえつけられ、小径部のワークレスト27からの浮き上がりが阻止され、被加工物Wが送り方向下流側の調整車55の溝隙間まで異常前進することが防止される。
【0040】
次に、円すい状被加工物をセンタレス研削する第三参考例であるセンタレス研削盤について説明する。図5は第三参考例であるセンタレス研削盤の要部斜視図、図6は図5の調整車軸線方向から見た要部正面図である。
【0041】
このセンタレス研削盤81は、回転砥石53と、調整車55との間に、押圧ローラ83が配設されている。押圧ローラ83は、被加工物Wを挟んでワークレスト27の反対側に配置される。押圧ローラ83の外周にはねじ状の弾性体85が巻装され、弾性体85のピッチは送り方向に並んだ被加工物Wの小径部に一致する間隔となっている。この弾性体85は、例えばゴム、樹脂により形成される。押圧ローラ83は、弾性体85を介して被加工物Wの小径部を押すことで、小径部のワークレスト27からの浮き上がりを阻止している。また、押圧ローラ83は、小径となるため、バックアップローラ86にて剛性の補助を行うことが好ましい。
【0042】
センタレス研削盤による軸受リングの研削では、倒れ精度を良くするために弾性体であるリングをトップ・ブレード(上部ワークレスト)と同様のリング押さえで押し付ける方法が行われている(但し、リング頂点で)。本第三参考例は、この逆でソリッドの被加工物Wを弾性体で押す方法である。この場合、被加工物Wと押圧ローラ83の周速差はほぼ調整車55の周速に近くなるため、押圧ローラ83、弾性体85の材質としては、すべり磨耗に強い材質の選定が大切となる(例えば炭素繊維やグラスファイバー等)。
【0043】
また、被加工物W、押圧ローラ83、バックアップローラ86の中心は、一直線上に配置される。従って、押圧ローラ83は調整車55と同期回転、バックアップローラ86は押圧ローラ83と同速度となる。
【0044】
このセンタレス研削盤81では、被加工物Wを挟んでワークレスト27と反対側に配設された押圧ローラ83が被加工物小径部を押圧することで、被加工物小径部のワークレスト27からの浮き上がりが阻止され、被加工物Wが送り方向下流側の調整車55の溝隙間まで異常前進することが防止される。
【0045】
また、上述した各実施の形態のセンタレス研削盤では、調整車回転軸のスルーフィードアングルにおいて、従来手前を上げていたのを(心高は下がる)、逆に手前を下げるセットとすることが、被加工物Wの浮き上がりを阻止する上で、より良好な効果を招請する。つまり、調整車回転軸のスルーフィードアングルの被加工物送り方向上流側を、被加工物送り方向下流側より下げる。
【0046】
このようにして、調整車回転軸の被加工物送り方向上流側が下げられることで、研削部入口で心高が大となり(調整車の心高が下がり)、研削部出口で心高が小となる(調整車の心高が上がり)。そして、被加工物Wの小径部が例え多少浮き上がっても、調整車及び回転砥石の軸線に対して常に傾斜角が確保されることにより、送り方向の分力の発生が防がれ、不安定現象が発生せず、調整車の回転数を増大させ、高能率且つ安定した研削が可能になる。但し、頭部と調整車の接点を考え、頭部チャンファー精度、チャンファー傷等の対策が必要となる。このような手段は、(不安定研削)ジャーが特に問題となる粗工程に有効と考える。これらを総合的に考え、調整車の心高調整により、被加工物Wの周速角度を適宜調整することができるようになる。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るセンタレス研削方法は、調整車の被加工物下側に位置する部分を洗浄しながら研削するので、特に加工精度に大きく影響を及ぼす、回転砥石と反対側の接点である調整車と被加工物との間に、研削部で生じた異物が、調整車の回転により再び噛み込まれるのを確実に阻止することができ、高い真円度が得られるようになる。この結果、センタレス研削の加工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るセンタレス研削方法を実施するセンタレス研削盤の要部概略図である。
【図2】 第一参考例であるセンタレス研削盤の要部概略図である。
【図3】 第二参考例であるセンタレス研削盤の要部斜視図である。
【図4】 図3の調整車軸線方向から見た要部正面図である。
【図5】 第三参考例であるセンタレス研削盤の要部斜視図である。
【図6】 図5の調整車軸線方向から見た要部正面図である。
【図7】 従来のセンタレス研削方法を実施するセンタレス研削盤の要部概略図である。
【図8】 従来の円すい状被加工物をセンタレス研削するセンタレス研削盤の回転砥石から被加工物を見た側面図である。
【図9】 図8の円すい状被加工物を調整車の軸線方向から見た正面図である。
【図10】 回転砥石と、調整車と、円すい状被加工物との接触状態を示す調整車の軸線直交方向から見た平面図である。
【符号の説明】
21、51、71、81 センタレス研削盤
23、53 回転砥石
25、55 調整車
27 ワークレスト
31 洗浄手段
33 調整車の被加工物下側に位置する部分
35a、35b 高圧洗浄液噴射ノズル
37 ブラシ
57 溝
59 溝底面
61 砥粒入り高分子材
73 高圧流体噴射手段
83 押圧ローラ
W 被加工物
Claims (1)
- 回転砥石と、該回転砥石の軸心に対して所定角度傾けて配置した調整車との間に被加工物を入れ、該被加工物をワークレストで支持しつつ前記調整車とほぼ同じ周速で回転させながら該被加工物の外周を研削するセンタレス研削方法において、
前記調整車の被加工物下側に位置する部分に高圧洗浄水を吹き付けて洗浄し、同時に前記調整車の前記高圧洗浄水で洗浄される部分よりも更に回転方向上流側の部分をブラシにより洗浄するとともに、該ブラシによる洗浄部分に回転方向下流側から高圧洗浄水を吹き付けて洗浄しながら研削することを特徴とするセンタレス研削方法。
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