JP3764126B2 - アイオノマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイオノマー組成物に関するもので、より詳細には耐スクラッチ性、耐衝撃性、柔軟性、押出成形性、発泡性、表面光沢に優れたアイオノマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アイオノマーは、金属との接着性があり、また耐磨耗性や耐衝撃性に優れているため、樹脂組成物の形で、例えば自動車外装材、ウインドウモール材などの分野に使用されている。
【0003】
本出願人の提案に係る特許第2521807公報には、エチレンと不飽和カルボン酸塩を必須の構成成分として含有するエチレン共重合体アイオノマー(A)99〜99.5重量%と、α−オレフィンとグリシジル(メタ)アクリレートまたはグリシジルエーテルとの共重合体(B)0.5〜10重量%とを溶融混練することにより得られ、(A)のカルボキシル基と(B)のエポキシ基の少なくとも一部が反応してなる反応物100重量部に対して、オレフィン系熱可塑性エラストマー(C)を5〜200重量部の割合で配合してなるアイオノマー組成物が記載されている。
【0004】
また、本出願人の提案に係る特許第3040539公報には、(メタ)アクリル酸含有量が5〜18重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体50〜90重量部とオレフィン系熱可塑性エラストマー50〜10重量部からなる樹脂成分100重量部に対し、カーボンブラック1〜5重量部を配合した樹脂組成物よりなる自動車用モールが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記アイオノマーを含有する樹脂組成物からなるサイドモールや窓枠シーリング材などの自動車外装部品は、耐スクラッチ性、金属に対する接着性等の性質には優れているものの、未だ耐熱性、柔軟性及び加工性の組合せ性質において改善すべき問題点を有している。
すなわち、前者のアイオノマー組成物は耐スクラッチ性には優れているものの未だ耐熱性が十分とは言えず、後者の樹脂組成物はワックスリムーバー性には優れているものの柔軟性、更には加工性において未だ不十分なものである。
【0006】
したがって、本発明の目的は、アイオノマーの特徴である耐スクラッチ性や耐衝撃性に優れていると共に、耐熱性、柔軟性、加工性及び表面光沢の組合せ性質において改善されたアイオノマー組成物を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(A)融点が100℃以上のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマー100重量部に対して、(B)融点が100℃未満でJIS K7106(オルゼン式)に準拠して測定した曲げ剛性率が100MPa以下のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマーを50〜400重量部、(C)α−オレフィンとグリシジル(メタ)アクリレートとのコポリマーを2〜50重量部及び(D)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体10〜100重量部を配合した曲げ剛性率100MPa以下、JIS K6760(試料片2号ダンベル)に準拠した引張り試験による破断点強度10MPa以上及び伸び500%以上のアイオノマー組成物が提供される。
【0008】
【発明の実施形態】
本発明のアイオノマー組成物は、(A)融点が100℃以上のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマー、(B)融点が100℃未満で曲げ剛性率が100MPa以下のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマーを、(C)α−オレフィンとグリシジル(メタ)アクリレートとのコポリマー及び(D)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を、必須成分として含有する。
【0009】
上記成分の内、成分(A)はアイオノマー組成物中の高融点成分であり、この高融点成分を欠く場合には、100℃で100時間の条件に置いた場合、自重で変形しないという耐熱性の条件を基本的に満足することができない。
この高融点樹脂成分(A)は、エチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはアイオノマーからなることも、柔軟性及び成形性の点で重要であり、たとえ融点100℃以上という条件を満足するとしても、通常の低密度ポリエチレンやポリプロピレンを用いたのでは、組成物の剛性が高くなるだけで、柔軟性に欠けるものとなり、また押出加工時に目やにが大量に発生するなど、加工性に劣るものとなる。
【0010】
本発明の組成物における成分(B)は低融点の酸含有樹脂成分であって、成分(C)との組合せで架橋樹脂成分(アイオノマー架橋物)を与えるものである。すなわち、アイオノマー組成物の溶融混練時に、少なくとも一部のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはアイオノマー(B)中のカルボキシル基と、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート(C)中のオキシラン環とが反応して、架橋樹脂成分を与える。
この架橋樹脂成分も、耐熱性の向上の点で重要な成分であり、また耐熱性、柔軟性及び加工性のバランスの点で必須不可欠のものである。
【0011】
本発明の組成物における成分(D)は、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体であり、優れた加工性を維持しながら、柔軟性及び耐衝撃性の向上に寄与するものである。
【0012】
本発明のアイオノマー組成物では、上述したとおり、特定の高融点樹脂成分、アイオノマー架橋物成分及びエチレン・α−オレフィンランダム共重合体成分からなることが特徴であり、耐熱性、柔軟性、加工性及び表面光沢(特に押出成形時の表面光沢)の組合せ性質が向上しているという利点が奏されるものである。本発明のアイオノマー組成物は、以上の(A)乃至(D)の四成分から構成されるが、エチレン−不飽和カルボン酸系ポリマーまたはそのアイオノマー(A)及び/または(B)と炭化水素系熱可塑性エラストマー(D)とは、相互貫入網目構造(IPN)を形成していると信じられる。本発明で配合する低融点コポリマー(B)は、これらの樹脂に対する相溶化剤として作用し、相互貫入網目構造(IPN)を微細化乃至緻密化するのに役立ち、一方α−オレフィン−グリシジル(メタ)アクリレートコポリマー(C)はこの構造を安定化させるに役立っていると思われる。
【0013】
[高融点のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはアイオノマー(A)]本発明に用いる高融点樹脂(A)は、融点が100℃以上のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマーからなるものである。
このコポリマーまたはそのアイオノマーにおいては、酸含有量が9重量%以下、特に8〜4重量%の範囲にあることが好ましく、一方酸の中和量は50%以下であることが好ましい。
また、このコポリマーでは、融点が上記条件を満足する範囲内で、エチレンと不飽和カルボン酸以外にその他の不飽和モノマー成分を共重合させてもよいが、他の不飽和モノマーの含有量は、10重量%以下であることが好ましい。
さらに、総和が上記条件を満たす限り、不飽和カルボン酸成分単位の異なるものを2種以上用いてもよい。
【0014】
不飽和カルボン酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸などが例示され、特にアクリル酸あるいはメタクリル酸が好ましい。
【0015】
他の不飽和モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルのようなアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、あるいは酢酸ビニルなどが例示できる。
【0016】
エチレン・不飽和カルボン酸コポリマーのアイオノマーにおけるカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属のカチオンの他に、n−ヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、メタキシリレンジアミンなどの有機カチオンが例示される。
カチオンによる中和度は、特に限定されないが、平均中和度が50%以下、好ましくは40%以下のものが好適である。
【0017】
本発明に用いる高融点のコポリマーは、エチレン、不飽和カルボン酸或いは更に不飽和カルボン酸エステルを高圧ラジカル重合法で共重合させることにより得られる。また、そのアイオノマーは常法にしたがって中和させることにより得られる。
コポリマーまたはそのアイオノマーとしては、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.5〜60g/10分、特に1.0〜40g/10分程度のものを使用するのが好ましい。
【0018】
[低融点のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはアイオノマー(B)]本発明に用いる低融点樹脂(B)は、融点が100℃未満で曲げ剛性率が100MPa以下のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマーからなるものである。
この低融点コポリマーまたはそのアイオノマーは、エチレン及び不飽和カルボン酸に加えて、不飽和カルボン酸エステルをも重合させた三元共重合体からなっていることが好ましい。
【0019】
この低融点コポリマーまたはそのアイオノマーにおける不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸エステルとしては、高融点コポリマーについて例示したものが同様に使用される。
また、アイオノマーのカチオンについても、高融点アイオノマーについて例示したものが同様に使用される。
【0020】
本発明に用いる好適な低融点エチレン−不飽和カルボン酸コポリマー(B)は、不飽和カルボン酸含有量が1〜25重量%、特に2〜20重量%、及び不飽和カルボン酸エステル含有量が0〜40重量%、特に5〜35重量%のものである。
【0021】
低融点コポリマー(B)としては、少なくとも一部がアイオノマーからなるものを用いることが好ましい。中和により生じたカルボン酸塩はグリシジル共重合体(D)のオキシラン環との架橋反応の触媒として作用するという好都合の利点がある。前述したカチオン成分が存在しない場合にも勿論反応は生じるが、カチオン成分が存在する方が架橋が均一に行われやすく、改質の効果も大きい。
カチオン成分による中和量は、0.1%以上、特に0.5〜20%の範囲にあることが好ましい。
【0022】
本発明に用いる低融点のコポリマーは、エチレン、不飽和カルボン酸或いは更に不飽和カルボン酸エステルを高圧ラジカル重合法で共重合させることにより得られる。また、そのアイオノマーは常法にしたがって中和させることにより得られる。
低融点コポリマーまたはそのアイオノマーの190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートは、0.5〜60g/10分、特に1〜40g/10分の範囲にあるのが好ましい。
【0023】
[α−オレフィン−グリシジル(メタ)アクリレートコポリマー(C)]
本発明において架橋剤として用いる(C)成分は、α−オレフィンとグリシジル(メタ)アクリレートとのコポリマーである。
α−オレフィンとしては、炭素数2〜8のα−オレフィン類、特にエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが好ましいものである。
本発明に用いるコポリマー(C)は、α−オレフィンとグリシジル(メタ)アクリレートとの二元共重合体であってもよく、また上記単量体以外の単量体成分を含む三元または三元以上の共重合体であってもよい。
他の単量体としては、前述した不飽和カルボン酸エステルやビニルエステルが使用される。
【0024】
このグリシジル基含有コポリマーとしては、α−オレフィン含有量が50〜99重量%、特に60〜98重量%、グリシジル(メタ)アクリレート含有量が1〜30重量%、特に2〜25重量%、不飽和エステル含有量が0〜40重量%、特に0〜30重量%のものが適している。
グリシジル(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、導入される架橋の程度が少なく、組成物の耐熱性が低下するので好ましくなく、一方この量が上記範囲を上回ると、成形性が低下するので好ましくない。
【0025】
グリシジル基含有コポリマーは、ランダム共重合、ブロック共重合或いはグラフト共重合等の任意の共重合手段で製造されたものでよいが、ハンドリングの点でランダム共重合によるものが好ましい。
ランダム共重合体は、α−オレフィン、グリシジル(メタ)アクリレート或いは更に不飽和エステルを、高圧ラジカル重合させることにより得られる。
このグリシジル基含有コポリマーは、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分、とくに0.5〜30g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0026】
[エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(D)]
本発明に用いるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、メルトフローレート(MFR;JIS K6760)が0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分であり、密度が0.850〜0.900g/cm3、好ましくは0.855〜0.895g/cm3であり、エチレン含有量が30〜95モル%、好ましくは40〜95モル%であり、X線による結晶化度が40%以下、好ましくは30%以下のものである。
【0027】
このエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(D)を構成するα−オレフィンとしては、通常炭素数3〜20のα−オレフィン、具体的には例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンなどが用いられ、それぞれ単独あるいは2種以上の混合で用いられる。
【0028】
本発明のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(D)は、前述したとおり、低結晶性もしくは非晶性のポリオレフィンであり、低結晶性の共重合体はその融点(ASTM D3418)が通常100℃以下である。
【0029】
[アイオノマー組成物]
本発明の組成物は、高融点のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマー(A)100重量部に対して、低融点のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマー(B)を50〜400重量部、特に60〜350重量部、α−オレフィン−グリシジル(メタ)アクリレートコポリマー(C)を2〜50重量部、特に5〜40重量部、及びエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(D)を10〜100重量部、特に15〜90重量部の量で配合してなるものであり、曲げ剛性率100MPa以下、破断点強度10MPa以上及び伸び500%以上であり、柔軟性や機械的強度に優れている。また、この組成物は、優れた耐熱性、柔軟性及び加工性の組合せ特性を有している。
【0030】
すなわち、低融点のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはアイオノマー(B)の配合量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、柔軟性が低下する傾向があり、一方この配合量が上記範囲を上回るとやはり耐熱性が低下する傾向がある。
また、α−オレフィン−グリシジル(メタ)アクリレートコポリマー(C)の配合量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、耐熱性が不十分となり、上記範囲を上回ると成形性が低下したり、熱収縮傾向が増大したりする傾向がある。
更に、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(D)の配合量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、柔軟性や耐衝撃性が低下する傾向があり、一方上記範囲を上回ると、耐熱性が低下したり、成形性が低下したりする傾向がある。
【0031】
本発明の樹脂組成物を調製するには、上記(A)、(B)、(C)及び(D)の成分を同時に或いは逐次的にドライブレンド及び/またはメルトブレンドすればよい。
ドライブレンドには、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、リボンブレンダーなどの各種ミキサー或いはブレンダーを用いることができる。また、メルトブレンドには、1軸或いは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの混練装置を用いることができる。
本発明の樹脂組成物は相溶性に優れているので、ブレンドに際して格別の制限がないことが了解されるべきである。
【0032】
また、樹脂組成物の流動性(成形性)、柔軟性及び熱接着性を損なわない範囲内において、充填剤、補強剤、着色剤などを配合することができ、例えば炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブテン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、カーボン繊維、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、群青、紺青、アゾ顔料、ニトロソ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料等を配合することができる。更に、難燃添加剤として水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等を配合することができる。
本発明の樹脂組成物には、カーボンブラックを配合することが望ましい。すなわち、このアイオノマー組成物にカーボンブラックを配合することにより、耐候性や寸法安定性を向上させることができる。カーボンブラックは、樹脂成分100重量部当たり0.1〜20重量部の量で配合することが望ましい。
【0033】
また、本発明の樹脂組成物は発泡性に優れることから、各種発泡剤を添加し、発泡成形体を得ることが出来る。発泡剤としては、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、重炭酸塩等を使用することが出来る。
更に、本発明の樹脂組成物には、それ自体公知の樹脂用配合剤、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系或いはアミン系安定剤の如き公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワックス等の滑剤等を配合することができる。
【0034】
これらの充填剤、補強剤、着色剤、その他の配合剤は、前述した各樹脂成分の製造段階で予め配合してもよく、また、本発明の樹脂組成物の調製段階で配合してもよい。更に、充填剤、補強剤、着色剤等の成分は、これらを樹脂中に予め分散させたマスターバッチの形で本発明の樹脂組成物に配合することもできる。
【0035】
本発明の樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法などの成形法により、種々の形状に成形することができる。この樹脂組成物は、耐スクラッチ性、金属との接着性、表面光沢、柔軟性に優れているのに加えて、耐熱性や耐ワックスリムーバー性に優れているので、サイドモール、窓枠シーリング材などの自動車外装部品の用途に最適であり、更にスポーツ用品等の用途にも供することができる。
【0036】
【実施例】
次に実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。
尚、実施例、比較例で用いた原料の各種重合体、及び得られた組成物の物性測定方法は下記の通りである。
【0037】
使用材料:
材料中の略称は次の通りである。
E:エチレン
MAA:メタクリル酸
iBA:イソブチルアクリレート
nBA:nブチルアクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
LDPE:低密度ポリエチレン
mPE:メタロセンポリエチレン
かっこ内のMIはメルトフローレート(MFR;JIS K6760)g/10分を示す。
【0038】
評価:
MFR:JIS K6760準拠(190℃/2160g)
曲げ剛性率:JIS K7106準拠(オルゼン式)
引張り試験:JIS K6760準拠(2号ダンベル)
硬度(ショアD):JIS K7215(23℃)
耐熱試験
JIS規格2号ダンベルを100℃に設定したオーブン中に釣り下げ、100時間後変形及び重量の変化を観察する。
形及び重量の変化を観察する
○:形状、重量の変化が1%以下
×:形状、重量の変化が1%以上
加工性試験
○:6時間の押出しシート成形で目脂が発生しない。
×:6時間の押出しシート成形で目脂が発生する。
耐スクラッチ性
○:500g荷重の束子で2度こすった時、傷が目立たない。
×:500g荷重の束子で2度こすった時、傷が目立つ。
耐候性
○:83℃の複合サイクル耐候テストにおいて16サイクル以上クラックが発生しない。
×:83℃の複合サイクル耐候テストにおいて16サイクル未満でクラックが発生する。
【0039】
実施例1
前述した樹脂成分A−1、B−1、C−1及びD−1を、表1に示すの重量比で混合してスクリュー式単軸押出機(スクリュー径40mm、ダルメージスクリュー、L/D=28)に供給し、バレル温度200℃、スクリュー回転数50min-1の条件下に溶融混練した。得られたブレンド物について上述の各種物性を測定した。
結果を表1に示す。
【0040】
実施例2
実施例1において、樹脂成分B−1の代わりにB−2を用い且つ樹脂成分D−1の配合量を40重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、ブレンド物を製造した。得られたブレンド物について上述の各種物性を測定した。
結果を表1に示す。
【0041】
実施例3
実施例1において、樹脂成分B−1の配合量を200重量部、樹脂成分C−1の配合量を9重量部及び樹脂成分D−1の配合量を30重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、ブレンド物を製造した。得られたブレンド物について上述の各種物性を測定した。
結果を表1に示す。
【0042】
実施例4
実施例3において、カーボンブラック(E−1)を30重量部を追加する以外は実施例1と同様にして、ブレンド物を製造した。得られたブレンド物について上述の各種物性を測定した。
結果を表1に示す。
【0043】
実施例5
実施例4において、樹脂成分A−1の代わりにA−2を用いる以外は実施例4と同様にして、ブレンド物を製造した。得られたブレンド物について上述の各種物性を測定した。
結果を表1に示す。
【0044】
比較例1
実施例3において、樹脂成分C−1の配合を省略する以外は実施例3と同様にして、ブレンド物を製造した。得られたブレンド物について上述の各種物性を測定した。
結果を表1に示す。
【0045】
比較例2
実施例1において、樹脂成分A−1の代わりにA−3を用い且つ樹脂成分D−1の配合を省略する以外は実施例1と同様にして、ブレンド物を製造した。得られたブレンド物について上述の各種物性を測定した。
結果を表1に示す。
【0046】
比較例3
比較例2において、樹脂成分B−1の代わりにB−2を用いる以外は比較例2と同様にして、ブレンド物を製造した。得られたブレンド物について上述の各種物性を測定した。
結果を表1に示す。
【0047】
比較例4
比較例3において、樹脂成分A−3の代わりにA−4を用いる以外は比較例3と同様にして、ブレンド物を製造した。得られたブレンド物について上述の各種物性を測定した。
結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、(A)融点が100℃以上のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマー100重量部に対して、(B)融点が100℃未満で曲げ剛性率が100MPa以下のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマーを50〜400重量部、(C)α−オレフィンとグリシジル(メタ)アクリレートとのコポリマーを2〜50重量部及び(D)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体10〜100重量部を配合することにより、曲げ剛性率100MPa以下、破断点強度10MPa以上及び伸び500%以上のアイオノマー組成物が得られ、この組成物は、耐スクラッチ性や耐衝撃性に優れていると共に、耐熱性、柔軟性及び加工性の組合せ性質において顕著に改善されている。
Claims (4)
- (A)融点が100℃以上のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマー100重量部に対して、(B)融点が100℃未満でJIS K7106(オルゼン式)に準拠して測定した曲げ剛性率が100MPa以下のエチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマーを50〜400重量部、(C)α−オレフィンとグリシジル(メタ)アクリレートとのコポリマーを2〜50重量部及び(D)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体10〜100重量部を配合した曲げ剛性率100MPa以下、JIS K6760(試料片2号ダンベル)に準拠した引張り試験による破断点強度10MPa以上及び伸び500%以上のアイオノマー組成物。
- 前記エチレン−不飽和カルボン酸コポリマーまたはアイオノマー(A)が9重量%以下の酸含量を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のアイオノマー組成物。
- 更に(E)カーボンブラックを配合してなる請求項1または2に記載のアイオノマー組成物。
- カーボンブラック(E)が樹脂成分100重量部あたり0.1〜20重量部の量で含有される請求項3に記載のアイオノマー組成物。
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