JP3761602B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は熱可塑性樹脂組成物に関する。詳しくはポリプロピレンとオレフィン系共重合体ゴムおよび無機充填剤からなる熱可塑性樹脂組成物に関する。かかる組成物は機械的性質、特に曲げ弾性率、耐熱剛性、耐衝撃性に優れ、例えば耐熱性を必要とする自動車部品等の用途に好適な熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車部品用成形材料としてエチレン−プロピレンブロック共重合体が使用されている。このエチレン−プロピレンブロック共重合体は、曲げ弾性率および熱変形温度、衝撃強度のバランスは取れているが、例えば自動車バンパー用としては低温衝撃強度が低い等の欠点がある。低温衝撃性を改良するためにプロピレン−エチレンブロック共重合体にエチレン−プロピレン共重合体ゴム等を配合することが、特開昭53−22552号、同53−40045号公報等に提案されている。しかしエチレン−プロピレン共重合体ゴムを配合するために曲げ弾性率および熱変形温度等の熱的性質が劣り、これを解決するためにさらに炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、結晶性ケイ酸カルシウムおよびタルク等の無機充填剤を加えて配合することが、特開昭51−136735号、同53−64256号、同53−64257号、同57−55952号、同57−207630号、同58−17139号、同58−111846号、同59−98157号、特公昭55−3374号公報等において提案されている。
また近年、ポリプロピレンまたはエチレン−プロピレンブロック共重合体のプロピレン単独重合部分のアイソタクチックペンタッド分率を上げることにより曲げ弾性率、表面硬度等を改善した樹脂組成物が、特開平5−59251号、同5−230321号公報等に提案されている。
また、オレフィン系プラスチックに加硫ゴムを配合することにより耐衝撃性が改善されることが、特公昭36−11240号、同38−2126号および同41−21785号公報等に提案されている。しかし加硫ゴムを配合すると流動性が低下し外観不良を生じ易くなるため、鉱物油系軟化剤やパーオキサイド非架橋型ゴム状物質を配合し流動性を改善されたものが、特公昭56−15740号および同56−15743号公報等に提案されている。
更に、衝撃強度及び剛性のバランスの良好な材料として特開平6−145437が提案されている。
しかし、最近になり自動車バンパー材等の外装部品のオンライン塗装化による耐熱剛性の更なる改良が要望されるようになってきた。ところが、耐低温衝撃性と耐熱剛性は相反する性能であり、従来の技術においては低温衝撃性を損なわずに耐熱剛性を改良するには限界があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状において本発明の課題は、特定のポリプロピレンを使用し、低温衝撃性および耐熱剛性を改良した熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ポリプロピレン中にオレフィン系共重合体ゴムを分散させることによる耐衝撃性、耐熱剛性の改良について研究を続けてきた。その結果、ポリプロピレンおよびオレフィン系共重合体ゴムからなる混合物を有機過酸化物および架橋助剤の存在下で動的に熱処理したものを、特定のポリプロピレンおよび無機充填剤と溶融混合することにより耐低温衝撃性、耐熱剛性を同時に改良できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は
(I)(a)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体(ただし、プロピレンの単独重合部分のアイソタクチックペンタッド分率が0.98以上である。)10〜50重量%と(b)オレフィン系共重合体ゴム50〜90重量%とからなる混合物を有機過酸化物および架橋助剤の存在下で動的に熱処理した熱処理物10〜40重量%、
(II)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体(ただし、プロピレンの単独重合部分のアイソタクチックペンタッド分率が0.98以上かつプロピレンの単独重合部分のメルトインデックス(JIS−K−6758、230℃)が30〜150g/10minである。)20〜85重量%、および
(III)無機充填剤5〜40重量%とを含有してなる熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いる(a)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体とは、プロピレンのホモ重合体即ちプロピレンの単独重合体またはエチレン−プロピレンブロック共重合体即ちプロピレンの単独重合後エチレンおよびプロピレンを共重合したものである。これらは単独で用いても混合して用いても良い。
プロピレンの単独重合部分のアイソタクチックペンタッド分率は0.98以上であることが必要である。0.98未満では本発明の目的に必要な剛性および耐熱性を得ることが困難である。
尚、プロピレンの単独重合部分とは、プロピレンのホモ重合体およびエチレン−プロピレンブロック共重合体のプロピレンの単独重合部分の両方を指す。
エチレン−プロピレンブロック共重合体におけるエチレン−プロピレン共重合部分のエチレン含量は20〜70重量%であり、好ましくは25〜60重量%である。
かかる重合体のメルトインデックスは11〜30g/10minのものが好適に用いられ、より好ましくは12〜20g/10minである。メルトインデックスが11g/10min未満では組成物の流動性が低下する。30g/10minを超えた場合には、機械的性質の低下を招く。
【0006】
ここでいうアイソタクチックペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定される結晶性ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行うものである。
具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定する。この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質CRM No.M19−14 PolypropylenePP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
【0007】
また、エチレン−プロピレンブロック共重合体において、エチレン−プロピレン共重合体部分の全体のブロック共重合体に対する重量比率Xは、プロピレンの単独重合部分と全体のブロック共重合体の各々の結晶融解熱量を測定することにより、次式から計算で求めることができる。
X=1−(ΔHf)T /(ΔHf)P
(ΔHf)T :全体のブロック共重合体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P :プロピレンの単独重合部分の融解熱量(cal/g)
エチレン含量の決定は、プレスシートを作製して測定した赤外吸収スペクトルに現れる、メチル基およびメチレン基の特性吸収の吸光度を用いる検量線法による。エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量は、ブロック共重合体全体のエチレン含量を測定し、次式から計算で求めることができる。
(C2')EP=(C2')T /X
(C2')T :ブロック共重合体全体のエチレン含量(重量%)
(C2')EP:エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量(重量%)
【0008】
一方、本発明で用いる(b)オレフィン系共重合体ゴムとは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体またはエチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとの三元共重合体である。α−オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等が挙げられ、その中でもプロピレン、ブテン−1が好ましい。
非共役ジエンとしては、たとえば1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネンのようなトリエンが挙げられ、中でも1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
(b)オレフィン系共重合体ゴムとしては、これらを2種類以上使うことを妨げない。
【0009】
(b)オレフィン系共重合体ゴムは、その100℃のムーニー粘度(ML1+4 100℃)が10〜100、好ましくは20〜80であることが必要である。100℃のムーニー粘度が10未満では機械的性質に劣り、100を越えた場合には流動性が劣るため射出成形品の外観不良を招く。
また、(b)オレフィン系共重合体ゴムのエチレン含量は90〜40重量%、α−オレフィン含量は10〜60重量%、かつ非共役ジエン含量は0〜12重量%である。エチレン含量が90重量%以上では、エチレン成分が多くなることから、共重合体ゴムに結晶性が現れ、その結果耐低温衝撃性が低下する。40重量%未満の場合には、有機過酸化物による分解反応が進みすぎるため、機械的性質の低下、および成形品の外観不良を招く。エチレン含量は、好ましくは80〜45重量%である。また非共役ジエン含量が12重量%以上では架橋反応を制御することが困難となってくる。
【0010】
本発明における(a)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体と(b)オレフィン系共重合体ゴムとからなる混合物100重量%中の(b)オレフィン系共重合体ゴムの割合は50〜90重量%であり、好ましくは60〜80重量%である。50重量%未満では、有機過酸化物による架橋反応が充分に進まず、機械的性質の向上につながらない。90重量%を超えると、熱可塑的な性質が発現し難い。
【0011】
本発明に用いる有機過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3およびジクミルパーオキシド等が挙げられ特に制限はないが、溶融混練条件により適宜選択できる。
有機過酸化物の添加割合は、(a)+(b)100重量%に対して0.02〜1.0重量%の範囲で選ぶことができる。0.02重量%未満では架橋反応の効果が少なく、1.0重量%を超えた場合には、架橋反応の制御が難しい。
【0012】
本発明に用いる架橋助剤としては、ビスマレイミド化合物、例えばN,N’−m−フェニレンビスマレイミド、およびトルイレンビスマレイミドや、p−キノンジオキシウム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、エチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物を使用することができる。N,N’−mーフェニレンビスマレイミドは、例えば市販のスミファインBM(住友化学社製)、HVA−2(デュポン社製)等を使用することができる。
その添加割合は、(a)+(b)100重量%に対して0.01〜5.0重量%の範囲で選ぶことができる。0.01重量%未満では架橋に対する効果が発現し難く、5.0重量%を超えた場合には成形性が劣る。好ましくは0.05〜4.0重量%である。
【0013】
本発明の熱処理物(動的熱処理物ということもある。)は(a)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体と(b)オレフィン系共重合体ゴムを上記有機過酸化物および架橋助剤の存在下に動的に熱処理することにより得られる。
本発明において動的に熱処理する方法としては、160〜280℃の温度範囲にて、ミキシングロールやバンバリーミキサー、二軸混練押出機、ニーダーおよび連続ミキサー等公知の混練用機器にて溶融混練を行うことができる。この場合、窒素や炭酸ガス等の不活性ガス中で行うことがより望ましい。
【0014】
本発明においては、動的熱処理物に通常の熱可塑性エラストマー組成物における流動性および外観改良のために使用する鉱物油系軟化剤を使用しない方が好ましい。これは鉱物油系軟化剤が剛性および耐熱性を低下させるために本発明の目的に合わないためである。
【0015】
次に、(I)熱処理物と混合する本発明に用いる(II)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体とは、プロピレンのホモ重合体即ちプロピレンの単独重合体またはエチレン−プロピレンブロック共重合体即ちプロピレンの単独重合後エチレンおよびプロピレンを共重合したものである。これらは単独で用いても混合して用いても良い。
エチレン−プロピレンブロック共重合体におけるエチレン−プロピレン共重合部分のエチレン含量は20〜70重量%であり、好ましくは25〜60重量%である。
プロピレンの単独重合部分のアイソタクチックペンタッド分率は0.98以上であることが必要である。0.98未満では本発明の目的に必要な剛性および耐熱性を得ることが困難である。
プロピレンの単独重合部分のメルトインデックスは30〜150g/10minであることが必要である。30g/10min未満では流動性が低く、150g/10minを超えた場合には機械的性質の低下を招く。
エチレン−プロピレンブロック共重合体のプロピレンの単独重合部分は、その製造時にプロピレンの単独重合後に重合槽内より取り出すことにより得ることができる。
【0016】
本発明において、(I)熱処理物と(II)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体とを混合する方法についても、前記の動的熱処理物の場合と同様に公知の混練機器にて溶融混練を行うことができる。なお本発明を実施するに当たっては、混練は二段階に分けて実施してもよいし、多段フィード式の二軸混練機を用いて一段階ですることもできる。
【0017】
使用される(III)無機充填剤としては剛性および耐熱性を改良させるものであればよく、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、結晶性ケイ酸カルシウム、タルクおよびガラス繊維等が挙げられるが、特にタルク、ガラス繊維が好ましい。
タルクとしては平均粒径1〜5μmが好ましい。平均粒径が1μm未満では再凝集、分散不良等の問題を生じる。また平均粒径が5μm以上では耐衝撃性、剛性の改良に効果が少ない。またガラス繊維としては、シランカップリング剤で表面処理をした、繊維径4〜13μmのチョップドガラスが好適に用いられる。
【0018】
(I)、(II)、(III)の最終組成物中の含量はそれぞれ10〜40重量%、20〜85重量%、5〜40重量%であり、好ましくはそれぞれ10〜30重量%、50〜80重量%、10〜25重量%である。
(I)熱処理物が10重量%未満では低温衝撃性が劣り、40重量%を超えると流動性の低下を招き、成形品の外観不良を招く。また(III)無機充填剤は5重量%未満では、剛性や耐熱性の向上効果が少なく、40重量%を超えると流動性が低下する。
【0019】
本発明において(III)無機充填剤の混合は、前記の混練機器が同様に使用でき、上記(I)と(II)よりなる混合物を予め得た後(III)を混合する方法、あるいは(a)、(b)の熱処理物(I)に(II)を混合する際に同時に(III)を混合する方法等が採用することができる。通常は(a)、(b)の熱処理物(I)に(II)と(III)を同時に添加混合する方法が使用される。
【0020】
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、さらに本発明の目的を損なわない範囲で、耐熱安定剤、核剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、他の重合体等を含有してもよい。
【0021】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例における物性値の測定法および使用した混練機器の仕様は次の通りである。
(1)メルトインデックス(MI)
JIS−K−6758に規定された方法にて行なった。測定温度は230℃であり荷重は2.16kgで測定した。
(2)曲げ試験
JIS−K−7203に規定された方法によった。射出成形により成形された試験片(厚み6.4mm)を用い、スパン長さ100mm、荷重速度2.0mm/分の条件で曲げ弾性率を評価した。測定温度は23℃で行なった。
(3)アイゾット衝撃強度(Izod Impact)
JIS−K−7110に規定された方法によった。射出成形により成形された試験片(厚み6.4mm)を用い、成形後にノッチ加工してノッチ付き衝撃強度を評価した。測定温度はことわりのない限り23℃で行なった。それ以外の温度の場合は所定温度の恒温槽で2時間状態調整をした後に測定を行なった。
(4)ロックウェル硬度
JIS−K−7202に規定された方法によった。射出成形により成形された試験片(厚み3.2mmの2枚重ね)を用い、鋼球はRを用い評価し、値はRスケールで表示した。
(5)加熱変形温度(HDT)
JIS−K−7207に規定された方法によった。射出成形により成形された試験片(厚み6.4mm)を用い、4.6kgf/cm2のファイバストレスで、2℃/minで昇温した際に試験片が0.254mmのたわみを生ずる温度を測定した。
(6)バンバリーミキサー
神戸製鋼社製 MIXTRON BB−16 MIXER、2ウイング型ローター、チャンバー容積17.7リットルのものを使用した。
(7)二軸混練押出機
日本製鋼社製 TEX−44SS−30W−2V(異方向回転型)、スクリュー44mm×30L/Dを使用した。
【0022】
以下に示す実施例・比較例において、各種材料は表1、2に示す略称、即ち次のものを使用する。
PP:プロピレンホモ重合体
BC:エチレン−プロピレンブロック重合体
EPR:エチレン−プロピレン共重合体ゴム
EBR:エチレン−ブテン−1共重合体ゴム
EPDM:エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム
TALC:タルク
PO:有機過酸化物
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
BM:架橋助剤
N,N’−m−フェニレンビスマレイミド
【0023】
実施例1
ポリプロピレンとしてプロピレンホモ重合体(PP−1)を30重量%とゴムとしてエチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム(EPDM−1)を70重量%を有機過酸化物(PO)を0.1重量%および架橋助剤(BM)を0.5重量%の存在下で、バンバリーミキサーにて断熱状態で10分間混練し、その後ロールに通してシートカッターにてペレット(以降、MBあるいはMBペレットと称する。)にした(第1工程)。
次いで、PP−3を24重量%と、エチレン−プロピレンブロック共重合体(BC−2)を36重量%、第1工程で作製したMBを20重量%およびタルク(TALC)を20重量%を各種安定剤と均一混合した後、二軸混練押出機にて200℃で造粒し(第2工程)、射出成形機にて試片を作製し評価した。MBおよびコンパウンドの組成を表2に、またその評価結果を表3に示す。
【0024】
実施例2〜4
実施例1の組成のうち、BMを実施例2、3においてそれぞれ1.0、2.0重量%に変更し、バンバリーミキサーにて断熱状態で10分間混練し、その後ロールに通してシートカッターにてペレットにし、MBとした。実施例4については実施例2と同様のMBペレットを使用した(第1工程)。
そのMBペレットを含んだ表2の組成のコンパウンドを実施例1と同様に造粒し(第2工程)し、試片を作製・評価した。その結果を表3に示す。
【0025】
実施例5、6
実施例1の組成のうち、BMを実施例6において4.0重量%に変更し、バンバリーミキサーにて断熱状態で10分間混練し、その後ロールに通してシートカッターにてペレットにし、MBとした。実施例5については実施例3と同様のMBを使用した(第1工程)。
次いで、そのMBペレットを含んだ表2の組成のコンパウンドを実施例1と同様に造粒し(第2工程)し、射出成形機にて試片を作製し評価した。その結果を表3に示す。
【0026】
実施例7〜11
実施例1と同様のMBを使用し、そのMBペレットを含んだ表2の組成のコンパウンドを実施例1と同様に造粒し(第2工程)し、試片を作製・評価した。その結果を表3に示す。
【0027】
比較例1、2
PP−2を42、32重量%とBC−4を22、28重量%、EPDM−2を16、20重量%およびTALCを20重量%を各種安定剤と均一混合した後、二軸混練押出機にて200℃で造粒し、射出成形機にて試片を作製し評価した。その結果を表3に示す。
【0028】
比較例3、4
BC−4を58重量%およびEPDM−3を42重量%を、バンバリーミキサーにて断熱状態で10分間混練し、その後ロールに通してシートカッターにてペレットにし、MBとした(第1工程)。
次いで、PP−2を42、32重量%と第1工程で作製したMBを38、48重量%およびTALCを20重量%を比較例1と同様に造粒し(第2工程)、試片を作製・評価した。その結果を表3に示す。
【0029】
比較例5、6
PP−1を30重量%とEPDM−3、EPDM−2をそれぞれ70重量%を、バンバリーミキサーにて断熱状態で10分間混練し、その後ロールに通してシートカッターにてペレットにし、MBとした(第1工程)。
次いで、PP−2を32重量%とBC−4を28重量%、第1工程で作製したMBを20重量%およびTALCを20重量%を比較例1と同様に造粒し(第2工程)、試片を作製・評価した。その結果を表3に示す。
【0030】
比較例7、8
PP−3を20、30重量%とBC−1を36重量%、EPRを12、7重量%、EBRを12、7重量%およびTALCを20重量%を比較例1と同様に造粒し、試片を作製・評価した。その結果を表3に示す。
【0031】
比較例9、10
PP−2を39、37重量%とBC−2、BC−3をそれぞれ39、41重量%、EPRを6重量%、EBRを6重量%およびTALCを10重量%をを比較例1と同様に造粒し、試片を作製・評価した。その結果を表3に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、特定のポリプロピレンとオレフィン系共重合体ゴムとを有機過酸化物および架橋助剤の存在下で動的に熱処理した熱処理物、特定のポリプロピレン及び無機充填剤を含有してなる熱可塑性樹脂組成物が提供される。かかる組成物は機械的性質、特に曲げ弾性率、耐熱剛性、耐衝撃性に優れ、自動車部品用成形品に好適な材料として使用することができる。
Claims (4)
- (I)(a)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体(ただし、プロピレンの単独重合部分のアイソタクチックペンタッド分率が0.98以上である。)10〜50重量%と(b)オレフィン系共重合体ゴム50〜90重量%とからなる混合物を有機過酸化物および架橋助剤の存在下で動的に熱処理した熱処理物10〜40重量%、
(II)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体(ただし、プロピレンの単独重合部分のアイソタクチックペンタッド分率が0.98以上かつプロピレンの単独重合部分のメルトインデックス(JIS−K−6758、230℃)が30〜150g/10minである。)20〜85重量%、および
(III)無機充填剤5〜40重量%
とを含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - (a)プロピレンのホモ重合体および/またはエチレン−プロピレンブロック共重合体のメルトインデックス(JIS−K−6758、230℃)が11〜30g/10minであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (b)オレフィン系共重合体ゴムが、エチレン含量が90〜40重量%、α−オレフィン含量が10〜60重量%、かつ非共役ジエン含量が0〜12重量%であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムまたはエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン三元共重合体ゴムであり、そのムーニー粘度(ML1+4 100℃)が10〜100であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- α−オレフィンが、プロピレンまたはブテン−1であることを特徴とする請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
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