JP3759372B2 - 活性炭の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性炭および活性炭の製造方法に関し、特に、ガス吸蔵効率の高い活性炭、あるいはバインダを用いない活性炭に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の排気ガスを清浄化することを目的として、ガソリンに代えて炭化水素、特にメタン(CH4)を主な構成成分とするガス、たとえば都市ガス等を燃料とする技術が注目されている。このような技術開発においてメタンの貯蔵効率を向上することはメタン燃料を自動車に適用するうえで重要な開発要素となっている。また、地球温暖化の支障にならないクリーンな燃料として水素が注目されており、水素の貯蔵技術も重要な開発要素になっている。
【0003】
水素の吸蔵には、従来水素吸蔵合金の存在が知られている。また、水素あるいはメタンの貯蔵には、その吸蔵媒体として、古くから知られている活性炭の適用が考えられている。活性炭の貯蔵効率の改善には、容器(たとえば燃料タンク)内に高密度の活性炭を充填する技術が重要になる。ただし、この高密度化の際に活性炭の細孔構造を破壊しないという条件が付加される。
【0004】
活性炭の高密度形成には、以下の技術が知られている。たとえば1992年3月1日、講談社発行、「講談社サイエンティフィク 新版 活性炭 基礎と応用」、p61に記載されているように、あらかじめ粉末活性炭を製造した後、これを原料として原料活性炭にバインダ(粘結剤)を添加し、混練および造粒した後、これを焼成し、さらに賦活して造粒活性炭を製造する。
【0005】
また、造粒に代えて、バインダが添加された原料活性炭を加熱状態でプレスし、たとえばペレット状の形成活性炭を形成しても良い。図1は、従来技術の活性炭製造方法を示すフローチャートであり、図2はその模式図である。図示するように、原料(ステップ1)を炭化・賦活して(ステップ2)、粉末の活性炭11を製造し(ステップ3)、バインダ12を添加して(ステップ4)、これらを混合する(ステップ5)。バインダ12としてはフェノール樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)、コールタールピッチ、PVDC(サラン)等が用いられる。この混合された活性炭とバインダとをヒータ13を有する加圧用治具14(ステンレスセル)に充填し、加熱状態でプレスする(ステップ6)。加熱プレスは、たとえば0.25〜1t/cm2の圧力を保持した状態で100〜150℃の温度になるように加熱する。プレスにより形成された形成体15を取り出し(ステップ7)、さらにこれを炭化・賦活して(ステップ8)、形成加工された活性炭16を得る(ステップ9)。
【0006】
なお、特開平5−49921号公報には、排水処理用多孔質炭材の技術が記載されている。前記多孔質炭材は、植物系粉末を炭化した軟質多孔組織の炭素骨格が硬質炭素膜で被覆され、気孔径が10nm以下の細孔容積が0.3cc/g以上、気孔径が1〜100μmの細孔容積が2.0cc/g以上、粒径3mmの粉砕強度が300g以上の多孔性粒状のものである。
【0007】
また、特開平9−302135号公報には、ハイブリッド多孔質材の技術が記載されている。前記ハイブリッド多孔質材の製造方法として、フェノール樹脂とポリオルガノシロキサン樹脂にアルカリ金属化合物を含む原料組成物を混合し、これを熱処理する方法が示されている。
【0008】
また、特開平9−86912号公報には、ガス吸着材料微粉末の形成方法と熱処理用治具に関する技術が記載されている。この公報にはダイス金型と上下パンチ間に活性炭微粉末とバインダを充填し、前記治具を用いて加圧し、加圧状態で熱処理する製造方法が示されている。
【0009】
また、特開平10−114509号公報には、もみ殻を原料とする活性炭形成に関する技術が開示されている。
【0010】
また、特開平10−279303号公報および特開平10−287412号公報には、固形状活性炭に関する技術が記載されている。この固形状活性炭は、アルゴン吸着等温線から求めた細孔分布において、1.5nm以下の細孔径を有する細孔容積が全細孔容積の65%以上であり、かつ微分細孔容積が最大となる細孔径が0.8nm以下のもの、あるいは、低電流放電時の静電容量が20F/cc以上であるものが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した図1および図2に示すような活性炭製造方法では、形成された活性炭の密度(嵩密度)は向上するものの、以下のような問題があることを本発明者らは認識した。
【0012】
すなわち、前記従来法では、造粒または形成材を製造する前に、あらかじめ粉末活性炭を用意する必要がある。粉末活性炭の製造には椰子殻等適当な材料を炭化・賦活する必要があり、造粒または形成の後に炭化・賦活する工程が入ることを考慮すれば、同一工程が繰り返されることとなり工程が増加する。
【0013】
また、形成体を形成するためにバインダを添加する必要があり、このようなバインダは造粒または形成後に粉末活性炭が本来有している細孔を減少させるという問題がある。すなわち、粉末活性炭が本来有していた細孔をバインダによって塞いだり、バインダ自体が炭化後に骨格として残ってしまうという問題がある。
【0014】
このようなバインダによる細孔の閉塞や新たに形成された骨格を再度細孔に形成し直すために造粒・形成後に焼成や賦活が行われるが、この処理後に形成される活性炭形成体内の空間は細孔の場合もあるが、活性炭粒子間のボイドや骨格になる場合もある。このような活性炭形成体内のボイドや骨格の増加はガス貯蔵効率を低下させて好ましくない。すなわち、活性炭は、炭素骨格と、細孔等の空間とから構成され、その空間にメタン等のガスが貯蔵される。形成活性炭内の空間は一般に、活性炭粒界間のボイド、その直径が50nm以上のマクロ孔、直径が2nm〜50nmのメソ孔、直径が0.8nm〜20nmのミクロ孔、および、直径が0.8nm以下のサブミクロ孔に区分けできる。このうちファンデルワールス力による表面吸着が支配的に作用するのは直径が20nm以下のミクロ孔およびサブミクロ孔である。メソ孔以上のサイズを有する空間では、表面吸着よりも圧縮貯蔵が支配的となる。ガス貯蔵効率は圧縮貯蔵よりも吸着貯蔵の方が優れているため、貯蔵効率の向上は、形成活性炭内のミクロ孔およびサブミクロ孔の割合を如何に増加させるかにある。逆にいえば形成活性炭内のボイドを如何に低減するかにある。ここで、バインダが焼成工程で燃焼除去された後に形成される空間がボイドや骨格であることを考慮すれば、バインダを用いた従来法ではガス貯蔵効率の向上に限界があることがわかる。
【0015】
また、バインダは形成材の焼成・賦活工程で全て取り去られるとは限らないので粉末活性炭が有していた細孔を塞いでいる可能性は依然残る。
【0016】
また、従来法においては形成材の製造工程でプレス加工するとともに加熱処理が必要になる。すなわち、従来法ではバインダを用いているため、このバインダを溶融し粉末活性炭を融着する必要がある。このため加熱を必要とする。このようなプレス工程における加熱手段の付加はプレス装置の複雑化、あるいはコストの増加を招き好ましくない。
【0017】
さらに、従来法ではプレス加工(形成体加工工程)の後に再炭化、賦活工程を必要とし、工程の複雑化、コスト増加の問題がある。
【0018】
一方、水素を水素吸蔵合金で貯蔵するには、以下の問題がある。すなわち、水素吸蔵合金に水素を吸着、脱離させる際に吸着熱が吸放熱される。これら熱の放熱は、水素吸蔵装置の室温での操作を困難にし、冷却装置等の特別な設備が必要になる。また、水素吸蔵合金は一般に高価であり、重量も大きい。たとえば自動車への車載用を考慮した場合には、低コストと軽量化が望まれる。さらに、水素吸蔵合金が有効なのは10気圧以下の低圧力で有効であり、さらに高圧力での有効な材料が望まれる。また、水素吸蔵合金は材料の劣化等による不安定性があり、より信頼性の高い水素吸蔵材料が望まれる。
【0019】
水素吸蔵のための材料に炭素材料の活用が考え得るが、活性炭のほかにカーボンナノチューブの存在が知られている。しかし、カーボンナノチューブは高価であり、実用化の障害になる。さらに、活性炭を水素吸蔵に適用しようとする試みが知られているが、これらの試みは何れも液体窒素温度(77K)での炭素材料への吸着が試みられており、実用化を考えれば室温での動作が望まれる。
【0020】
本発明の目的は、形成活性炭の製造工程を簡略化することにある。
また、本発明の他の目的は、形成活性炭の製造コストを低減することにある。
また、本発明の他の目的は、形成活性炭のガス貯蔵効率を向上することにある。
また、本発明の他の目的は、形成活性炭の形状を任意に形成し、任意のガス貯蔵容器、例えば自動車用ガス貯蔵装置への適用を容易にすることにある。
また、本発明のさらに他の目的は、前記した目的を総合的に満足する形成活性炭の製造技術を提供することにある。
また、本発明のさらに他の目的は、水素の吸蔵に適した活性炭材料を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の活性炭の製造方法は、粉状または粒状の原料にバインダを添加することなく原料を加圧形成する工程と、加圧形成された形成体に熱処理を施して炭化し加圧形成された形状で炭化形成体を形成する工程とを含むものである。
【0022】
このような活性炭の製造方法によれば、バインダを用いないため、活性炭のガス吸蔵効率を向上できる。また、バインダを用いないため加圧形成する段階で加熱する必要がなく、製造装置の簡略化、低コスト化が図れる。さらに、バインダを用いないため炭化形成体を形成するための熱処理後にさらに熱処理(焼成)を施す必要がない。このため、工程が簡略化できる。また、前記製造方法では、焼成熱処理は一回で済む。従来2回の焼成工程を経ていたことを考慮すれば工程の大幅な簡略化が図れる。
【0023】
最終製品である活性炭の形成体(形成活性炭)は、粉末原料を加圧形成することにより形成できる。加圧形成は、本発明の特徴であるバインダを用いない方法を実現する要素にもなる。つまり、たとえばセルロースを例に取れば、セルロースの炭化機構は、分子間および構造単位間の脱水その他の水酸基の変性と、架橋および縮合の繰り返しの進行で、レボグルコサン等の構造単位を生成する解重合を行うことができなくなった分子鎖が残渣となって炭の母体になると考えられる。このような架橋、縮合の進行は、加圧形成された原料粉末の粒子間にも進行し、炭化された形成体は粉末構造を残すことなく一体の形成体として形成されることとなる。
【0024】
なお、前記した製造方法の加圧形成は、加圧形成用治具に設けられた単一または複数の凹部に原料を充填し、原料を加圧することにより行うことができる。あるいは押し出し形成により行うことができる。
【0025】
また、前加圧形成された形成体の形状は任意の形状とすることができるが、円柱形状または角柱形状とすることができる。角柱形状の場合は3角柱、4角柱等任意の角数の柱状に形成できる。たとえば六角柱の場合には形成活性炭を平面的に稠密に敷き詰めることができ、ガスタンク、ボンベ等の内部に無駄なスペースを残すことなく設置でき、応用性に優れた形状にできる。
【0026】
また、加圧形成は、非加熱状態または常温で行われる。バインダを用いないため加熱する必要がないためである。
【0027】
また、炭化形成体の体積は加圧形成された形成体の体積より小さく形成される。前記した炭化機構と関係するが原料が焼失や縮合されることによりその形成されたサイズが小さくなるものである。また、熱処理は原料が加圧形成のための治具に充填された状態で行うことができる。前記した通り、焼成によりサイズが縮小されるため、加圧形成用治具に充填したまま焼成を行っても容易に治具から炭化形成体を取り出すことができる。これは量産性を考慮したときには大きな効果を発揮する。すなわち、焼成・賦活後に形成活性炭に何ら力を加えることなく自然に落下等させて治具から活性炭を容易に取り出すことができる。これにより量産性に優れた製造ラインを設計できる。なお、熱処理は加圧形成された形成体が治具から分離された状態で行ってもよい。
【0028】
また、本発明の活性炭の製造方法は、粉状または粒状の原料にバインダを添加することなく、原料を加圧してシート状形成体を形成する工程と、シート状形成体またはシート状形成体を分断加工した形成体に熱処理を施して炭化し、炭化形成体を形成する工程とを含むものである。
【0029】
このような製造方法によれば、原料をシート状に加圧形成(圧延加工)して、その後シート状形成体を分断加工するため、生産性を向上できる。なお、分断により原料に余りが生じた場合には再度これを粉砕加工し、原料として再利用できる。
【0030】
シート状形成体は、定盤上に原料を敷き詰め、定盤上に配置されたローラと定盤とを相対移動させることにより、原料を圧延形成して形成できる。あるいは、相対配置された一対のローラ間から原料を押しだして原料を圧延形成できる。また、形成体は、シート状形成体を中空治具で打ち抜いて形成し、あるいはシート状形成体を裁断して形成できる。
【0031】
また、本発明の活性炭の製造方法は、粉状または粒状の原料にバインダを添加することなく、原料を加圧してシート状形成体を形成する工程と、シート状形成体に熱処理を施して炭化する工程と、シート状の炭化物を裁断して炭化形成体を形成する工程とを含む。このような場合にあっても、原料をシート状に加圧形成(圧延形成)して量産性あるいは生産性を向上できる。
【0032】
また、本発明の製造方法は、さらに、炭化形成体を賦活する熱処理工程を有し、炭化のための熱処理は不活性雰囲気で行われ、賦活のための熱処理は酸化性雰囲気で行われる。賦活によりガス吸蔵効率を向上できる。また、炭化のための熱処理と賦活のための熱処理は、連続的に行うことができる。これは熱処理時の処理ガスをたとえば窒素から二酸化炭素に切り替えることにより行うことができ、工程を簡略化できる。
【0033】
また、本発明の製造方法は、賦活のための熱処理において、酸化性雰囲気で行われる第1温度の第1期間と、第1温度より低い第2温度以下に下げる第2期間とを含み、第2期間を少なくとも1回含むものである。すなわち、賦活を行うための熱処理(たとえば一酸化炭素(CO)等の酸化性雰囲気での900℃の熱処理)を開始から終了まで連続して行うのではなく、少なくとも1回の低温期間(処理温度(たとえば900℃)よりも100℃以上低く降温する期間)を挿入する。そしてその後再度通常の処理温度に昇温して賦活処理を続けるという間欠賦活処理を行うものである。このような熱処理を行うことにより、活性炭の細孔比率を向上し、ガス吸着、特に水素ガスの吸着に適した活性炭が得られる。
【0034】
ここで、第2温度は、前記第1温度(たとえば900℃)より100℃以上低くし、第1期間の総計を12時間以上にする。また、単一の第1期間は、9時間以下とする。このような条件は、本発明者らの実験検討により得られた知見に基づく。つまり、酸化性雰囲気でのたとえば900℃の熱処理(第1期間)は、総計で12時間以上行うことが好ましく、第1期間が9時間以上に及べば却って細孔が減少し、ガス吸蔵には好ましくない。
【0035】
上記した製造方法において原料は、セルロース、セルロース化合物、ポリイミド、ポリイミド化合物、セルロースを主成分とする天然物または人工物のうちから選択された何れかの材料またはそれらの混合材料とすることができる。天然物は、椰子殻、桃種、胡桃殻、珈琲滓、トウモロコシ芯、古紙を例示できる。また、セルロース化合物、ポリイミド化合物は、金属原子を置換させたイオン交換機能を有するものとすることができる。この場合、交換された金属元素を触媒に用いることができる。
また、原料は、炭化のための熱処理により収縮する材料で構成できる。
【0036】
本発明の活性炭は、炭素骨格とボイドと細孔とでその体積が占有される活性炭であって、粉状または粒状の原料にバインダを添加することなく原料を加圧して形成体を形成し、形成体に熱処理を施して炭化されたものであり、細孔の占有する体積が、ボイドの占有する体積と比較して0.7以上の比率を有するものである。あるいは、細孔の占有する体積が、ボイドの占有する体積よりも多いものである。また、細孔の占有する体積が、活性炭が占有する体積の30%以上であり、かつ、活性炭の嵩密度が0.5g/cc以上のものである。
【0037】
このような活性炭は前記した製造方法で製造することができる。また、本発明の活性炭ではボイドに対する細孔の比率が高いため、ガス貯蔵効率が大きくできる。
【0038】
また、本発明の活性炭は、炭化水素を吸蔵する活性炭であって、粉状または粒状の原料にバインダを添加することなく原料を加圧して形成体を形成し、形成体に熱処理を施して炭化されたものであり、炭化水素の9気圧環境下における吸蔵量が、活性炭の占有する体積に1気圧環境化で存在する炭化水素量の50倍以上のものである。ここで、炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンを例示できる。このような活性炭は前記した製造方法で製造することができる。
【0039】
また、本発明の活性炭は、水素を吸蔵する活性炭であって、粉状または粒状の原料にバインダを添加することなく原料を加圧して形成体を形成し、形成体に熱処理を施して炭化されたものであり、水素の70気圧環境下における吸蔵量が、活性炭の占有する体積に1気圧環境下で存在する水素量の77倍以上のものである。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図3は、本発明の一実施の形態である活性炭の製造方法を示し、(a)はフローチャートを、(b)は模式図を示す。
【0041】
まず、粉末状態の原料31を用意し(ステップ21)、加圧形成用の治具であるステンレスセル内に充填する。充填する原料31の重量は、たとえば1.0〜2.5gとする。
【0042】
原料粉末は、珈琲滓等の天然素材を用いる場合には、珈琲滓を水洗し、乾燥し、さらに、たとえばボールミルを用いて粉砕して用意する。粉末滓の粒径は、たとえば0.25mm以下とする。
【0043】
原料31としてはセルロース、セルロース化合物、ポリイミド、ポリイミド化合物、セルロースを主成分とする天然物または人工物を例示できる。セルロースを主成分とする天然物には、椰子殻、桃種、胡桃殻、珈琲滓、トウモロコシ芯、古紙を例示できる。このような材料は、本来廃棄物として廃棄されるものであるが、環境意識の高まりとともに廃棄物の減少に寄与でき、環境問題の解決の一助にできる。また、廃棄物を原料31に用いることは材料コストを低減する観点からも好ましい。
【0044】
また、セルロース化合物、ポリイミド化合物は、金属原子を置換させたイオン交換機能を有するものとすることができる。イオン交換機能を有すれば、形成活性炭に金属を添加することができ、この金属を触媒として作用させることが可能となる。
【0045】
また、原料31は、後に説明する炭化のための熱処理により収縮する材料で構成できる。この点は後述する。
【0046】
さらに、原料31にはバインダが添加されない。このようにバインダが添加されないことによりバインダに起因する工程の複雑化、形成された活性炭のガス貯蔵効率の低下を抑制できる。
【0047】
ステンレスセルの一例を図4に示す。図示しない定盤上にダイス41(セル)が設置され、その上部から加圧用のパンチ42が挿入される。ダイス41のサイズは、たとえば孔径9mm、深さ20mmとする。ステンレスを用いているのは、後に説明する炭化焼成をダイス41とともにできるように耐熱性および耐酸化性に優れた材料として用いているものである。よって、本発明では、前記目的を達する材料であるならステンレスに限られない。また、後に説明するように加圧形成された原料形成体を単独で(ダイス41から取り出して)炭化熱処理を施すことも可能である。よって、この場合ダイス41の材質は耐熱性および耐酸化性の制約を受けず、十分な機械的強度が保てる材料であればよい。
【0048】
次に、充填された原料31にパンチ42を配置し、パンチ42に圧力を加えて原料を加圧形成(プレス)する(ステップ22)。このプレスにより原料31は原料形成体32になる。プレスする圧力は、0.03〜1t/cm2の範囲とする。プレス時の温度は常温(非加熱)で行える。これは原料31にバインダを添加しないため、加熱する必要がないためである。これによりプレス用の装置を簡略化できる。また、製造工程も加熱工程を要さないから簡略化でき、コストの低減にも寄与する。なお、ダイス41の底部にパンチを配置して上下パンチを用いて加圧形成しても良いことはいうまでもない。
【0049】
次に、パンチ42をダイス41から抜き去り、ダイス41とともに原料形成体32に熱処理を施す(ステップ23)。熱処理は、炭化のための第1熱処理と賦活のための第2熱処理に区分けすることができる。ただし、第2熱処理で厳密に賦活のみが行われているとは限らず、第1熱処理で炭化されなかった部分が残存し、この未炭化部分の炭化が第2熱処理で進行している可能性を否定するものではない。
【0050】
第1熱処理は、たとえば窒素雰囲気中、温度800℃、6時間の条件で行う。このような熱処理により原料の炭化が進行し、原料が炭に変性する。この状態で活性炭としての機能を発揮する場合には第2熱処理の工程は本発明の必須要件ではない。なお、雰囲気は不活性状態であることが必要であり、不活性状態を維持できる限り雰囲気ガスは窒素には限られない。たとえばアルゴン、ヘリウム等の希ガスでもよい。また温度条件および反応時間もあくまで例示であり、その他の温度および時間を組み合わせて原料を炭化するに適した条件を選択できる。
【0051】
第2熱処理は、たとえば二酸化炭素雰囲気中、温度900℃、6時間の条件で行う。このような熱処理により炭化形成体を賦活し、活性炭としての機能を高めることができる。なお、雰囲気は酸化性であることが必要であり、酸化状態を維持できる限り雰囲気ガスは二酸化炭素には限られない。また温度条件および反応時間もあくまで例示であり、その他の温度および時間を組み合わせて原料を炭化するに適した条件を選択できる。
【0052】
このような熱処理により、原料形成体32は炭化および賦活されて形成活性炭33が形成できる(ステップ24)。この形成活性炭33は原料形成体32の形状をほぼ維持して形成され、原料形成体32の体積よりも収縮して形成される。これにより、ダイス41から自然に落下させて形成活性炭33を取り出せる。すなわち、原料31として、その炭化過程で収縮する材料を用いることができ、収縮により容易にダイス41から取り出すことが可能となる。また、原料31にバインダを用いないため原料形成体32が脆く取り扱いに不便なことが予想される。しかし本製造方法ではダイス41とともに原料形成体32を焼成の完了まで取り扱うことが可能であり、工程中の取り扱いの利便性が高まるという効果がある。
【0053】
また、形成活性炭33は原料形成体32の形状をほぼ維持して形成されるため、形成活性炭33の形状は、原料形成体32の形状をあらかじめ体積収縮を考慮して調製することにより制御できる。
【0054】
なお、前記第1および第2熱処理は連続的に行うことができる。すなわち、同一反応炉を用いて第1熱処理に引き続き温度と処理ガスとを変更して第2熱処理を続行できる。これにより工程を簡略化し量産に好適な製造工程とすることができる。ただし、第1および第2熱処理は連続的に行う必要はない。第1熱処理の後炭化形成体をストックしておき、その後第2熱処理を施してもかまわない。
【0055】
以上説明したような製造方法により本実施の形態の活性炭が製造できる。
【0056】
なお、前記製造方法では、一つのダイス41で一つの形成活性炭33が形成される例を説明したが、図5に示すように加圧用治具51に多数の孔(凹部)52が形成されている治具を用いても良い。孔52内に充填された粉末原料はパンチ53を用いてプレスされる。この場合、1度のプレスで多数の原料形成体、ひいては形成活性炭を製造することが可能となり、量産性を向上できる。なお、パンチ53は複数配置して同時にプレスしても良い。
【0057】
また、前記製造方法では、円柱形状のダイス41を用いたが、図6に示す角柱(六角柱)のダイス61を用いても良い。この場合、形成される活性炭は六角柱で形成され、ボンベ等に稠密に充填しやすくなる。なお、この六角柱の孔を図5に示すように複数配置した加圧用治具を用いても良いことは勿論である。また、六角柱に限られず、三角柱、四角柱、あるいは八角柱等他の角柱形状でも良いことはいうまでもない。
【0058】
また、図7に示すように、原料31を押し出し形成し、原料形成体32を形成しても良い。この場合、所定の長さに原料形成体32を押し出したところでこれをカットし、連続的に押し出し形成することが可能である。これにより原料形成体32の生産性を向上できる。なお、この場合の原料形成体32の焼成・賦活(第1熱処理および第2熱処理)は治具を用いずに原料形成体32のみで行われる。
【0059】
【実施例1】
次に、上記製造方法で製造した形成活性炭のボイドおよび孔構造とガス貯蔵効率を測定した結果を次に説明する。形成活性炭の形成は、その原料としてセルロース試薬および珈琲滓を選択し、加圧条件は0.03t/cm2〜1t/cm2の範囲で3水準を選択し実験を行った。表1に実験結果を示す。
【0060】
【表1】
孔構造の評価項目として細孔全体(マクロ孔以下のサイズの細孔)の容積、ミクロ孔の容積、炭素骨格とボイドと細孔との容積比率、嵩密度を選択した。また、ガス貯蔵効率の評価項目としてメタン吸着量、材料占有容積に対する吸着メタン量(1気圧状態の体積に換算した吸着量)V/V0を表示している。
【0061】
細孔全体の容積の測定方法は、液体窒素温度下における窒素吸着等温線測定(容量法)を用いた。すなわち、窒素の吸着等温線より液体窒素蒸気圧とほぼ等しい圧力(相対圧が約1)の時の窒素吸着量から細孔容積を算出した。また、ミクロ孔容積の測定方法は、吸着等温線を使用し、孔の存在しない基準試料(たとえばカーボンブラック)との比較(tプロット法)で算出した。また、嵩密度は測定に用いた形成活性炭の体積(外形容量)と質量を測定し計算で求めた。炭素骨格とボイドと細孔との容積比率は、ヘリウムピクノメータで測定した真密度と前記細孔全体の容積の測定値および嵩密度の測定値から計算で求めた。すなわち、測定試料の容積を100[cc]、細孔全体の容積をA[cc/g]、真密度をB[g/cc]、嵩密度をC[g/cc]とすると、容積100の試料重量Mは、M=100C[g]、細孔容積Pは、P=A×100C[cc]、骨格容積Sは、S=100C/B[cc]、従って、ボイドの容積Qは、Q=100−(P+S)となる。比率はP+S+Q=100%となるように百分率で示している。
【0062】
メタン吸着量は9気圧環境下での測定値であり、V/V0はメタン貯蔵効率である。V0は形成活性炭の占有容量であり、Vはメタン吸着量から算出される1気圧環境下でのメタン体積である。従って、V/V0は活性炭のメタン吸着能率を示すことになる。
【0063】
実験例1〜6の試料の製造条件は以下の通りである。すなわち、珈琲滓を原料に用いる場合(実験例1〜3)、珈琲を抽出後の珈琲滓を100℃の環境下で一日以上乾燥させ、乾燥珈琲滓の試料を得る。前記製造方法で説明したようなダイス41(孔径9mm、深さ20mm)内に約1.3gの重量の前記試料を充填する。加圧圧力は、実験例1で0.03t/cm2、実験例2で0.25t/cm2、実験例3で0.5t/cm2とした。加圧時間は実験例1〜3の何れの実験例でも10分とする。このような加圧により珈琲滓の原料形成体32を形成し、珈琲滓の原料形成体32をダイス41とともに電気炉に導入する。電気炉での熱処理は、実験例1〜3の何れの実験例においても、炭化処理として窒素雰囲気中、800℃、6時間の条件で第1熱処理を行い、賦活処理として二酸化炭素雰囲気中、900℃、6時間の第2熱処理を行った。
【0064】
セルロースを原料に用いる場合(実験例4〜6)、セルロースの試薬として大滝ケミカル社取り扱い メルク社製 「2330 セルロース微結晶」(製品コード番号504−00955)を用いた。なお、このセルロース微結晶の粒径は2〜15μmであり、無水結晶である。実験例1〜3の場合と同様、ダイス41(たとえば孔径9mm、深さ20mm)内に約1.3gの重量の前記セルロース試料を充填する。加圧圧力は、実験例4で0.03t/cm2、実験例5で0.5t/cm2、実験例6で1.0t/cm2とした。加圧時間は実験例4〜6の何れの実験例でも10分とする。このような加圧によりセルロースの原料形成体32を形成し、セルロースの原料形成体32をダイス41とともに電気炉に導入する。電気炉での熱処理は、実験例1〜3の場合と同様に炭化処理として窒素雰囲気中、800℃、6時間の条件で第1熱処理を行い、賦活処理として二酸化炭素雰囲気中、900℃、6時間の第2熱処理を行った。
【0065】
実験例1〜6で形成した形成活性炭33の各実験例における孔構造とガス吸着効率の評価結果の考察を以下に示す。
【0066】
実験例1〜3(原料を珈琲滓とする場合)の嵩密度に着目すれば、加圧重量が増加するに従って嵩密度が増加する。実験例4〜6(原料をセルロースとする場合)の嵩密度も同様に加圧重量の増加とともに上昇する。これは、加圧するに従い、原料粉末間のスペースが小さくなり、炭化後にそのようなスペース部分が少なくなって密度が向上していると解釈することができる。この点、原料粉末間のスペースはボイドになる可能性が高いと考えられるが、実験例1〜3および実験例4〜6のボイド容量比が加圧重量の増加に従い低下していることからも前記推定が正しいと考え得る。
【0067】
一方、実験例1〜3および実験例4〜6の細孔容量比に着目すれば、加圧重量の増加に従い、細孔容量比は低下せずむしろ上昇している。これは、加圧による原料の圧縮は原料粒子間のスペースを小さくしていることに寄与し、原料自体の組成を変化させていないこと、つまり細孔の形成を阻害していないことを示す。また、加圧値が上昇する程、活性炭内の細孔比率が大きくなり、反対にボイド比率は低下していることを示している。ガス吸蔵効率を上げるには吸着貯蔵を支配する細孔比を向上し、圧縮貯蔵を支配するボイド比を低下することが好ましいことは前記したが、実験例1〜6の活性炭では、このような好ましい傾向が実現できていることを意味する。これは、バインダを用いず、原料から炭化する製法の効果と考えられる。また、プレス形成によりボイドとなるような空間を原料形成体に残存させないことによると考え得る。実際、加圧値の増加に伴う細孔容量比の増加とボイド容量比の低下は、ガス吸着効率の増加に反映され、実験例1〜3および実験例4〜6のガス吸蔵効率V/V0に着目すれば、加圧値を大きくする程、メタンのガス吸蔵効率V/V0は増加している。特に実験例6においてはV/V0が94という極めて高いメタン吸蔵効率を実現している。
【0068】
なお、実験例1〜3においては加圧重量の増加に従って単位質量あたりの吸着メタン量(メタン吸着量)が増加しているものの、実験例4〜6では逆にメタン吸着量が低下している。実験例4〜6においてメタン吸着量が低下しているのは、加圧重量の増加に従うボイド比の低下によって炭素骨格比が上昇し、単位質量あたりの細孔比率が低下するためと考えられる。しかし、実験例4〜6においては加圧重量の増加に従って嵩密度が顕著に増加しているため、単位質量あたりの吸着メタン量(メタン吸着量)の低下を補い、結果としてメタン吸蔵効率V/V0が加圧重量の増加に従って増加している。
【0069】
(比較例)
表2に比較例を示す。なお、比較例1〜4におけるボイドおよび孔構造とガス貯蔵効率の測定法については実験例1〜6の場合と同様であるため説明を省略する。
【0070】
【表2】
比較例1は、前記実験例1〜3において、加圧重量を0t/cm2とした場合を示し、比較例2は前記実験例4〜6において、加圧重量を0t/cm2とした場合を示す。その他の実験条件は実験例1〜6と同様である。比較例1、2は前記実験例1〜6において原料を加圧しないで熱処理した場合に孔構造とガス吸着効率がどの様に変化するかを調べるために比較として実験したものである。
【0071】
比較例1の嵩密度は実験例1〜3の嵩密度より低く、比較例2の嵩密度も実験例4〜6の嵩密度よりも低い。また、比較例1および2の細孔容量比は各々対応する実験例1〜3および4〜6より低く、逆にボイド容量比は比較例1および2の方が高くなっている。すなわち、比較例1および2では、実験例1〜3および4〜6に比較して、細孔に対するボイドの容積が大きくなっている。それに従いガス吸蔵効率V/V0も比較例1および2では20〜30と低い。すなわち、本実施の形態の形成活性炭では、加圧重量を大きくすることは、ガス吸着効率を高めるための重要な要素になっていると言える。
【0072】
一方、比較例3は既製品の粉体活性炭(キャタラー工業(株)製 椰子殻炭 GA4-8)を試料として前記同様の評価を行ったものであり、比較例4は既製品の造粒炭(太平化学産業(株)製 ヤシコールS)を試料として前記同様の評価を行ったものである。比較例3の粉末活性炭は椰子殻の粉砕粉末を原料として、これを炭化・賦活した粉末状の活性炭であり、比較例4の造粒活性炭は、椰子殻を原料とする粉末活性炭にバインダを添加して造粒後、さらに炭化・賦活したものである。比較例3は従来方法により形成された粉末活性炭を代表する試料として、比較例4はバインダを用いた従来方法による造粒(形成)活性炭を代表する試料として比較例に用いた。比較例3、4の試料は一般に供給される活性炭である。
【0073】
比較例3の嵩密度は低く、ボイドの比率は極めて大きい。この結果、ガス吸蔵効率V/V0も40程度で良くない。
【0074】
比較例4では、活性炭が造粒されていることから嵩密度は0.67と高い値を示している。しかしボイドの比率は細孔比率と同程度であり、ガス吸蔵効率も39と良くない。このように、嵩密度が高いにもかかわらずガス吸蔵効率が良くないのはバインダが用いられているためと思われる。バインダが用いられることにより細孔構造を塞ぐ等の好ましくない作用を生じていると考えられる。
【0075】
これら比較例1〜4と比較して本実施の形態の活性炭である実験例1〜6では、表1に示すとおり、何れの場合もボイド容積よりも細孔容積が大きく、加圧重量を大きくすればボイドに対する細孔の比率は10〜50倍程度にまで著しく向上できる。これに従い、ガス吸蔵効率V/V0も90以上の高い値を実現できる。
【0076】
なお、メタン吸蔵効率を向上するには、厳密には細孔のうち、ミクロ孔以下のサイズの細孔が寄与する。この点、表1中の細孔容量の全体とミクロ孔の欄を参酌すれば、何れの試料でも細孔全体に対するミクロ孔の比率は80〜90%以上に達していることがわかる。このため、メタン吸蔵効率の評価として細孔比率を用いることに何ら問題はない。
【0077】
また、円筒換算したときの平均細孔径は、実験例1〜6の何れの試料においても本発明者の実験によれば1.6〜1.9nmの範囲であり、本実施の形態の活性炭はメタン吸蔵に適した細孔径を有していると言える。
【0078】
また、加圧しない比較例1、2の結果から、本発明の製造方法において加圧の効果が形成活性炭の性能向上に顕著に寄与していることが判明する。
【0079】
なお、円筒形状試料(形成活性炭)について、強度検査を行ったところ、長手方向に加重を加えた場合の破壊強度が0.3〜1.7MPa、円周方向に加重を加えた場合の破壊強度が3.2〜5.8MPaという値を得た。実用レベルにおいて、問題のない程度の機械的強度を、本実施の形態の形成活性炭は有していると言える。
【0080】
(実施の形態2)
図8は、本実施の形態の活性炭の製造方法に用いる装置の一例を示した概念図である。定盤81上に原料供給機構82およびローラ83を配置する。定盤81には図示するような上面が平坦な平板を用いることができ、ある程度の機械的強度を有するものであれば材質は問わない。原料供給機構82には実施の形態1と同様な原料31が備蓄され、下方に向けて定盤81上に原料31が供給される。なお、原料31には、実施の形態1と同様にバインダが添加されない。原料31は、図示するように、定盤81上に敷き詰めるように供給される。ローラ83の底部と定盤81との間には隙間が設けられ、ローラ83は回転軸Xを中心に回転するように構成されている。
【0081】
定盤81は、図中矢印の方向に移動、つまり、定盤81はローラ83に対して相対移動する。定盤81とともにローラ83の位置まで移動してきた原料31が、ローラ83により加圧され、原料31のシート状形成体84が形成される。すなわち、定盤81上に敷き詰められた原料31は、定盤81とローラ83との加圧作用により圧延されてシート状形成体84が形成される。
【0082】
次に、図9に示すように、シート状形成体84が下方から円柱状の治具85により突き上げられ、円盤あるいはタブレット状の原料形成体86が形成される。ここでは、治具85の形状として円柱を例示するが、正方形、六角形、楕円形状等の任意の形状でも良い。この場合、各治具の断面形状に応じて原料形成体86が形成される。また、治具85は1つである必要はなく、複数配設されても良い。このような場合、同時に複数の原料形成体86が形成され、量産性を高めることができる。なお、治具85は、定盤81の一部として組み込まれ、定盤81上にシート状形成体84が配置された状態、つまり、前記圧延が終了した状態で、定盤81の一部である治具85が上方に押し上げられて、原料形成体86が形成されても良い。
【0083】
本実施の形態では、治具85により下方からシート状形成体84を突き上げることにより原料形成体86を形成する方法について説明したが、定盤81にシート状形成体84が配置された状態で、中空の筒状治具を上方から押しつけ、前記中空の形状に原料形成体を形成しても良い。すなわち、原料形成体は、中空の筒状治具を用いて型押しすることにより形成できる。
【0084】
上記のようにして原料形成体86を形成し、残余のシート状形成体84については、再度粉砕等を行い、原料31として再利用できる。
【0085】
その後、実施の形態1と同様に炭化熱処理、賦活熱処理を行い、実施の形態1と同様な形成活性炭33を形成できる。
【0086】
本実施の形態の製造方法によれば、原料31をシート状形成体84に形成し、これを加工して原料形成体86を形成するため、量産性に優れ、高い生産性で形成活性炭33を形成できる。また、用いる治具85の断面形状を工夫して任意の形状の形成活性炭33を形成でき、活性炭の利用性を向上できる。
【0087】
なお、シート状形成体84の形成は、実施の形態2の形成方法に限られず、たとえば、図10に示すように、相対する一対のローラ90間に原料31を導入し、ローラ90により圧延されて、シート状形成体84を形成しても良い。
【0088】
また、シート状形成体84の加工は、図11に示すように、カッター91を用いて裁断加工しても良い。この場合、残余の原料が発生せず、シート状形成体84を有効に活用できる。
【0089】
なお、前記シート状形成体84は、炭化熱処理前に加工する方が、体積収縮等による割れ、あるいは歪みの発生を抑制する観点から望ましい。しかし、必ずしも、炭化熱処理前に原料形成体86に加工する必要はなく、炭化熱処理後、あるいは賦活熱処理後に形成体に加工しても良い。特に図11に示すようなカッター91を用いて形成体加工を行う場合には、シート状形成体84を炭化あるいは賦活した後に形成体加工を行っても材料の堅さ等による加工困難性の問題は生じず、炭化熱処理あるいは賦活熱処理後の形成体加工が可能になる。
【0090】
(実施の形態3)
本実施の形態3の活性炭の製造方法は、実施の形態1の活性炭の製造方法とほぼ同様である。ただし、原料をプレスして原料形成体を形成した後、加熱処理して活性炭形成体を形成する工程のうち賦活工程(実施の形態1の第2熱処理)が相違する。すなわち、実施の形態1では、賦活工程として、一酸化炭素(CO)雰囲気における6時間連続の熱処理工程を例示したが、本実施の形態3では、間欠熱処理を行う。
【0091】
図12は、本実施の形態3の熱処理工程の温度プロファイルを示した図である。縦軸が温度(℃)であり、横軸は時間(h)である。図示するように、時刻0で熱処理を開始し、約1時間で温度800℃に達するように昇温する。そして6時間の間この温度を維持する。このときの雰囲気は窒素(N2)である。ここまでの処理が実施の形態1の第1熱処理であり、実施の形態1と同様である。この熱処理により原料形成体が炭化され、炭化形成体が形成される。
【0092】
次に賦活熱処理を行う。窒素雰囲気における800℃、6時間の熱処理の後、窒素ガスを一酸化炭素(CO)ガスに切り替え、温度を900℃に昇温する。そしてこの状態を6時間継続する。その後、温度を900℃から少なくとも100℃以上低い温度に降温する。降温期間は3時間とする。その後、再度温度を900℃に昇温し、この状態を6時間維持する。その後温度を室温まで下げて処理を終了する。これにより炭化形成体を賦活して活性炭を得る。
【0093】
このような間欠的な賦活熱処理を行うことにより、後に説明するように細孔比率の高い活性炭を得ることができ、また、このような活性炭は水素の吸蔵に適する。
【0094】
なお、ここでは、一酸化炭素を例示しているが、酸化性雰囲気を実現できるガスであれば一酸化炭素には限定されない。また、降温されている3時間の期間は一酸化炭素ガスを停止することができるが、再度900℃に昇温した時には一酸化炭素が供給されている必要がある。
【0095】
また、前記例では、1回の降温期間を例示したが、一回に限られず何回でも降温期間を挿入できる。すなわち、降温期間は1回以上あれば何回でもよい。また、酸化性雰囲気での900℃熱処理は6時間を例示しているが、これに限られず、1時間、2時間等短くてもよく、また、長くてもよい。ただし、9時間以上継続して酸化性雰囲気での900℃熱処理は好ましくない。むしろ細孔比率が低下するという本発明者らの知見がある。また、酸化性雰囲気での900℃の熱処理のトータル時間は、前記例では6時間+6時間=12時間を例示したが、これ以上であってもよい。たとえば前記6時間の賦活処理+3時間の降温時間のセットを3回(=18時間のトータル賦活処理時間)行ってもよい。
【0096】
すなわち、本実施の形態の賦活処理に要求される条件は、少なくとも1回の降温期間を挿入すること、酸化性雰囲気での900℃熱処理はトータル12時間以上行われること、1回の酸化性雰囲気、900℃熱処理は9時間を越えないこと、の3点である。この条件を満たす限り、任意の賦活処理を選択出来る。たとえば1時間の酸化雰囲気900℃処理+降温期間のセットを12回以上、あるいは、2時間の酸化雰囲気900℃処理+降温期間のセットを6回以上、あるいは、3時間の酸化雰囲気900℃処理+降温期間のセットを4回以上、である。その他任意の組み合わせを選択出来ることは勿論である。
【0097】
また、前記例では降温期間として3時間を例示しているが、これに限られない。また、前記例では3時間で300℃低下するように降温する例を示しているがあくまで例示であり、たとえば冷風による急冷を行ってもよい。通常賦活のオペレート温度(ここでは900℃を例示している)より100℃以上の低温にされる限り、低温化の温度プロファイルは任意である。また、ここでは通常賦活のオペレート温度として900℃を例示しているがこれには限られない。
【0098】
【実施例2】
次に、実施の形態3の製造方法で製造した形成活性炭のボイドおよび孔構造とガス貯蔵効率を測定した結果を説明する。形成活性炭の形成は、その原料としてセルロース、ポリイミドおよび酒粕を選択し、加圧条件は1t/cm2とした。賦活処理を種々変更して試料(形成活性炭)を作成した。表3にメタンガス吸蔵についての測定結果を示し、表4に水素ガス吸蔵についての測定結果を示す。なお、比較例として連続賦活による試料(実施の形態1に相当する)と従来品の例としてヤシ殻活性炭を示している。
【0099】
【表3】
実験例7は、酸化雰囲気での900℃熱処理を6時間、降温期間を1回挟んでさらに酸化雰囲気での900℃熱処理を6時間行った試料の測定結果である。実験例8は、酸化雰囲気での900℃熱処理を1時間および降温期間のセットを16回行った例である。実験例9は、酸化雰囲気での900℃熱処理を1時間および降温期間のセットを12回行った例である。比較例5は、降温期間なしに連続賦活を12時間行った例であり、比較例6は、降温期間なしに連続賦活を16時間行った例である。比較例5,6は賦活処理時間を除けば実施例1と同様である。比較例7は従来品の例として市販のヤシ殻活性炭を試料とした。試料は実施例1と同様である。
【0100】
まず、嵩密度に着目すれば、実験例7〜9では、比較例5〜7と比較して増加している。嵩密度の向上がガス吸着能率の向上に寄与することは前記した。特に、従来品である比較例7と比較すれば、実験例7〜8では1.5倍以上の向上が見られる。なお、比較例5〜6では、実施例1と比較して嵩密度が低下しているが、賦活時間が長くなった影響によるものと考える。賦活処理は一種の炭素のエッチングであり、長時間の賦活は却って嵩密度を低下し好ましくない。
【0101】
次に、ボイドと細孔の比率に着目すれば、実験例7〜9では比較例5〜7と比較して細孔比率が増加している。細孔がガス吸着に寄与することは前記した。すなわち、実験例7〜9の間欠賦活の試料は、比較例5,6の連続賦活の試料に比較してガス吸着に好ましい試料と言える。勿論従来品のヤシ殻(比較例7)と比較すれば細孔比率は大きく向上している。この細孔比率の増加は、比表面積の増加に現れている。すなわち、比較例5,6の1800〜1900m2/gと比較して、実験例7,8では、比表面積が2100〜2200m2/gと10%以上の比表面積の増加が認められる。勿論従来品(比較例7)の1100m2/gに比較して大きく向上している。
【0102】
さらに、全細孔容量に対するミクロ孔容量の比(表3ではミクロ孔の右欄に示す)に着目すれば、実験例7〜9では何れも0.95程度の極めて高いミクロ孔比率を有する。つまりほとんどの細孔はミクロ孔として形成されている。
【0103】
ところで、実験例9では実験例7,8に比較して全細孔容量が多くなく、比表面積も少ない。間欠賦活の場合、特に1時間程度の短い賦活時間を多く繰り返す場合にはトータル12時間では、未だ十分に細孔が成長するに至っていないと考察できる。この点、平均細孔径の値からも同様の考察が可能である。つまり、実験例9では平均細孔径が0.69nmと他に比較して小さい。これは、実験例9の賦活条件では、未だ十分な細孔が成長していないと推察できる。しかしながら、このような特性であっても従来品(比較例7)を十分に上回る特性であることはいうまでもない。
【0104】
このように間欠賦活と連続賦活とでは、ボイドに対する細孔比率の向上、比表面積の増加、さらに全細孔容積に対するミクロ孔容積比率の増加という活性炭構造上の明確な相違が現れる。ところが、メタンガス吸着量の特性から見れば、実験例7〜9と比較例5,6に大きな差はない。この点、吸着のメカニズムが明らかではないので明確に原因を特定できないが、次に説明するように水素ガスの吸着においては、その吸着量に明確な相違が現れる。なお、従来品(比較例7)に比べれば、実験例7〜9および比較例5,6ではメタンガス吸着量が大幅に向上することは勿論である。この点は実施例1で既に説明した。
【0105】
次に、水素ガスの吸着について表4を参照しながら説明する。
【表4】
実験例10は、セルロースを原料とし、トータル19時間の間欠賦活を行った試料である。実験例11は、ポリイミドを原料とし、トータル18.5時間の間欠賦活を行った試料である。実験例12は、酒粕を原料とし、トータル26時間の間欠賦活を行った試料である。比較例8は、従来品のヤシ殻活性炭を比較として測定したものであり、比較例9は、水素ガスを圧縮して貯蔵した場合の数値を比較として示したものである。本実験例では、水素貯蔵効率を10気圧、35気圧、70気圧および100気圧の場合について測定し、高圧貯蔵した場合の貯蔵効率がわかるようにしている。なお、各気圧の欄に示した左欄は活性炭体積あたりの圧縮貯蔵に対する倍数として貯蔵効率を示した数値であり、右欄はその気圧における水素ガスの圧縮貯蔵のみに対する倍数を示している。
【0106】
実験例10〜12では、その原料および間欠賦活の条件が相違するから正確には一致しないが、実験例7〜9と同様に、嵩密度が0.5g/cc以上と高く、かつ、細孔比が全容積に対して50%以上という高い値を示している。つまり、緻密(嵩密度が高い)かつ細孔容積が多い活性炭になっている。比表面積も2300m2/gを超えるガス吸着に好適な活性炭が形成できていることがわかる。
【0107】
水素ガスの吸蔵効率に着目すれば、10気圧では、従来品(比較例8)が12.3倍であるのに対し、実験例11では16.7倍(比較例8に比較すれば約1.4倍)の吸蔵効率を得る。35気圧では、従来品が39.6倍であるのに対し、実験例11では58.7倍(比較例8に比較すれば約1.5倍)の吸蔵効率を得る。70気圧では、従来品が72.7倍であるのに対し、実験例11では101倍(比較例8に比較すれば約1.4倍)の吸蔵効率を得る。100気圧では、従来品が98.9倍であるのに対し、実験例11では122倍(比較例8に比較すれば約1.2倍)の吸蔵効率を得る。何れの圧力においても本実験例の試料が従来品を20%以上上回る吸蔵効率を示す。また、実験例11では、70気圧という高圧力においても、圧縮貯蔵に対して1.47倍という良好なの貯蔵効率を示す。
【0108】
以上説明したように、本実験例の試料では、嵩密度が0.5g/cc以上の高密度を実現し、かつ、細孔比が全容積に対して50%以上と高い。このような緻密かつ細孔比の高い活性炭を用いることにより、水素の吸蔵効率を70気圧という高い圧力領域においてさえ圧縮貯蔵に対して1.5倍(1気圧の水素ガスに換算すれば100倍)という高い貯蔵効率を実現できる。
【0109】
なお、前記した実験例では、全て室温において貯蔵され、高温を発生したり、あるいは低温で動作させなければならないわけではない。よって、冷却装置等特別な設備を必要としない。また、本実施の形態の活性炭の製造方法は、非常に安価に活性炭が製造できる方法であり、コスト競争力に優れる。また、活性炭は軽量であり、水素貯蔵合金に比較して安価なばかりでなく、軽量化することができる。さらに、活性炭は安定な物質であり水素貯蔵合金のように劣化することもない。総合的に、本実施の形態の活性炭は、水素貯蔵あるいはメタン等炭化水素の貯蔵を安価に、軽量に、冷却設備等を必要とせず、また材料の劣化がなく(したがって高い信頼性で)、しかも室温動作が可能な状態で実現できる。
【0110】
以上、本発明を具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0111】
たとえば、前記実施の形態では、珈琲滓とセルロースについての実験例を示したが、他の原料についても同様の効果が得られる。たとえば、本発明者らは、他の原料についてその形状安定性の観点から評価したところ、椰子殻、桃種、胡桃殻、トウモロコシ芯についても珈琲滓、セルロースと同様な形状安定性を得た。また、古紙についても同様の効果を得ることができる。
【0112】
また、前記実施の形態では、9気圧状態下におけるガス吸着量を評価したが、さらに高い気圧下でも同様に高いガス吸着効率が得られることはいうまでもない。
【0113】
また、吸着ガスとしてメタンを例示したが、他の炭化水素ガス、たとえばエタン、プロパン、ブタン、エチレンについても同様の効果が得られる。
【0114】
【発明の効果】
本願発明によれば、形成活性炭の製造工程を簡略化し、製造コストを低減することができる。
また、形成活性炭のガス貯蔵効率を向上することができる。
さらに、形成活性炭の形状を任意の形成し、任意のガス貯蔵容器、例えば自動車用ガス貯蔵装置への適用を容易にできる。
これら、任意形状の形成、あるいは、ガス貯蔵能力の向上を製造コストを上げることなく、また、製造工程を複雑化することなく実現できる。
また、水素の吸蔵の適した活性炭を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の活性炭製造方法を示すフローチャートである。
【図2】従来技術の活性炭製造方法を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施の形態である活性炭の製造方法を示し、(a)はフローチャートを、(b)は模式図を示す。
【図4】実施の形態1の製造方法に用いる加圧用治具の一例を示す斜視図である。
【図5】実施の形態1の製造方法に用いる加圧用治具の他の例を示す斜視図である。
【図6】実施の形態1の製造方法に用いる加圧用治具のさらに他の例を示す斜視図である。
【図7】実施の形態1の製造方法に用いる加圧形成方法の他の例を示す断面図である。
【図8】実施の形態2の活性炭の製造方法に用いる装置の一例を示した概念図である。
【図9】実施の形態2の製造方法の一例を示した概念図である。
【図10】実施の形態2の活性炭の製造方法に用いる装置の他の例を示した概念図である。
【図11】実施の形態2の製造方法の他の例を示した概念図である。
【図12】実施の形態3の製造方法における熱処理のプロファイルを示した図である。
【符号の説明】
11…活性炭、12…バインダ、13…ヒータ、14…加圧用治具、15…形成体、16…活性炭、31…原料、32…原料形成体、33…形成活性炭、41…ダイス、42…パンチ、51…加圧用治具、52…孔、53…パンチ、61…ダイス、81…定盤、82…原料供給機構、83…ローラ、84…シート状形成体、85…治具、86…原料形成体、90…ローラ、91…カッター。
Claims (19)
- 粉状または粒状の原料にバインダを添加することなく、前記原料を加圧形成する工程と、前記加圧形成された形成体に熱処理を施して炭化し、前記加圧形成された形状で炭化形成体を形成する工程と、前記炭化形成体を酸化性雰囲気で賦活する熱処理工程と、を含み、
前記賦活のための熱処理は、前記酸化性雰囲気で行われる第1温度の第1期間と、前記第1温度より低い第2温度以下に下げる第2期間とを含み、前記第2期間を少なくとも1回含むことを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項1記載の活性炭の製造方法であって、
前記加圧形成は、
加圧形成用治具に設けられた単一または複数の凹部に前記原料を充填し、前記原料を加圧することにより行う第1の方法、または、
押し出し形成により行う第2の方法、
の何れかの方法により行うことを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項2記載の活性炭の製造方法であって、
前加圧形成された形成体の形状は、円柱形状または角柱形状であることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項2または3記載の活性炭の製造方法であって、
前記加圧形成は、非加熱状態または常温で行われることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項1記載の活性炭の製造方法であって、
前記炭化形成体の体積は前記加圧形成された形成体の体積より小さく形成されることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項5記載の活性炭の製造方法であって、
前記熱処理は、
前記原料が前記加圧形成のための治具に充填された状態で行われる第1の方法、または、
前記加圧形成された形成体が治具から分離された状態で行われる第2の方法、
の何れかの方法により行われることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 粉状または粒状の原料にバインダを添加することなく、前記原料を加圧してシート状形成体を形成する工程と、前記シート状形成体または前記シート状形成体を分断加工した形成体に熱処理を施して炭化し、炭化形成体を形成する工程と、前記炭化形成体を酸化性雰囲気で賦活する熱処理工程と、を含み、
前記賦活のための熱処理は、前記酸化性雰囲気で行われる第1温度の第1期間と、前記第1温度より低い第2温度以下に下げる第2期間とを含み、前記第2期間を少なくとも1回含むことを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項7記載の活性炭の製造方法であって、
前記シート状形成体は、
定盤上に前記原料を敷き詰め、前記定盤上に配置されたローラと前記定盤とを相対移動させることにより、前記原料を圧延形成する第1の方法、または、
相対配置された一対のローラ間から前記原料を押し出して前記原料を圧延形成する第2の方法、
の何れかの方法で形成されることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項7または8記載の活性炭の製造方法であって、
前記形成体は、前記シート状形成体を中空治具で打ち抜く第1の方法、または、前記シート状形成体を裁断する第2の方法、の何れかの方法で形成されることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 粉状または粒状の原料にバインダを添加することなく、前記原料を加圧してシート状形成体を形成する工程と、前記シート状形成体に熱処理を施して炭化する工程と、前記シート状の炭化物を裁断して炭化形成体を形成する工程と、前記炭化形成体を酸化性雰囲気で賦活する熱処理工程と、を含み、
前記賦活のための熱処理は、前記酸化性雰囲気で行われる第1温度の第1期間と、前記第1温度より低い第2温度以下に下げる第2期間とを含み、前記第2期間を少なくとも1回含むことを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項1〜10の何れか一項に記載の活性炭の製造方法であって、
前記炭化のための熱処理は不活性雰囲気で行われることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項11記載の活性炭の製造方法であって、
前記炭化のための熱処理と前記賦活のための熱処理は、連続的に行われることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項1〜12の何れか一項に記載の活性炭の製造方法であって、
前記第2温度は、前記第1温度より100℃以上低いことを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項1〜13の何れか一項に記載の活性炭の製造方法であって、
前記第1温度が900℃であり、第1期間の総計が12時間以上であることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項14記載の活性炭の製造方法であって、
単一の前記第1期間は、9時間以下であることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項1〜15の何れか一項に記載の活性炭の製造方法であって、
前記原料は、セルロース、セルロース化合物、ポリイミド、ポリイミド化合物、または、セルロースを主成分とする天然物もしくは人工物のうちから選択された何れかの材料またはそれらの混合材料であることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項16記載の活性炭の製造方法であって、
前記セルロースを主成分とする天然物は、椰子殻、桃種、胡桃殻、珈琲滓、トウモロコシ芯、または、古紙であることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項16記載の活性炭の製造方法であって、
前記セルロース化合物またはポリイミド化合物は、金属原子を置換させたイオン交換機能を有するセルロース化合物またはポリイミド化合物であることを特徴とする活性炭の製造方法。 - 請求項1〜15の何れか一項に記載の活性炭の製造方法であって、
前記原料は、前記炭化のための熱処理により収縮する材料で構成されることを特徴とする活性炭の製造方法。
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