JP3755244B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの制御装置に係り、特に、排気系にNOx浄化触媒を設けたエンジンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等のエンジンにおいて、排気系に触媒を設けて、燃焼後の排気ガスを浄化することが行われている。このような排気ガスの浄化用触媒として、三元触媒がよく用いられている。三元触媒は、排気ガス中に含まれる有害成分のうち特に環境に悪影響を与える3成分、すなわち、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOx)に対して優れた浄化特性を発揮する。
【0003】
しかし、ディーゼル機関においては、理論空燃比(空気/燃料=14.7)よりも酸素過剰状態で燃焼が行われるため、燃焼時の空燃比を反映して、燃焼後の排気ガスの組成も酸素過剰状態となる。ところが、従来の三元触媒では、酸素過剰雰囲気(リーン雰囲気)下ではNOxに対する浄化性能が極端に低下するため、NOxを効果的に除去できないという問題があった。そのため、ディーゼル機関に対しては、例えば金属担持ゼオライトのように、リーン雰囲気においても優れたNOx浄化特性を示す触媒(以下、NOx浄化触媒という)が用いられるようになった。
【0004】
ところで、近年、この種のNOx浄化触媒に関して、HC成分(燃料成分)を添加することによりNOx浄化率が向上することが知られるようになった。そして、この特性を利用し、排気ガスに燃料を添加供給することによってNOx浄化触媒の特性を向上させることが試みられている。
【0005】
その場合、燃料添加の手段としては、燃料添加用のインジェクタを排気系に設置することが考えられる。しかし、このようにすると、各気筒ごとに設けられる燃料供給用のインジェクタとは別に専用のインジェクタが必要になり、部品点数が増加してコストアップの要因となる。
【0006】
これに対し、燃料供給用のインジェクタを利用して燃焼後の排気ガスに燃料成分を添加しようという考えがある。例えば、実開平3−68516号公報には、排気系にゼオライト系触媒を設置したディーゼル機関が開示されている。このディーゼル機関では、燃料噴射ポンプと各燃料噴射ノズルとを結ぶ燃料供給通路の途中に、燃料噴射期間にある気筒への燃料供給通路と排気行程にある気筒への燃料供給通路とを連通させる連通路をそれぞれ設けて、これらの連通路に所定の圧力で開くリリーフ弁を設置している。このような構成により、燃料噴射期間にある気筒への燃料供給通路からリリーフされた燃料が、排気行程にある気筒に噴射されることになり、排気系に燃料成分を供給する専用のインジェクタを別途設ける必要がなくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば4気筒のディーゼル機関において、第1気筒、第3気筒、第4気筒、第2気筒の順に着火順序が設定されているとすると、第3気筒→第1気筒、第1気筒→第2気筒、第2気筒→第4気筒、及び第4気筒→第3気筒というように、ある気筒が圧縮上死点付近の燃料噴射期間にある場合に、着火順序が一つ手前の気筒に対して燃料のリリーフが行われることになり、燃料の噴射される時期が排気行程の前半に限られる。
【0008】
図11に示すように、排気行程の前半にあっては、インジェクタの燃料噴射部aとピストンbとの間の距離は比較的大きい。また、ディーゼル機関では、燃料噴射はピストンの昇降方向に対して略垂直な方向、つまりシリンダ壁面に指向して行われる。そのため、エンジンの温度が十分高温になっていないとき、つまり冷間時においては、燃料噴射部aから噴射された燃料はシリンダブロックcの内面、つまり燃焼室dの壁面に付着しやすくなる。
【0009】
壁面に付着した燃料f(図11では誇張して図示している)は、次サイクルの燃焼行程で燃焼するが、その燃焼は不完全になりやすい。そのため、完全には燃焼しなかった燃料成分が白煙となって排出されやすかった。また、壁面に付着した燃料fがピストンリングeの周りの潤滑油を落としてしまい、ピストンの円滑な摺動を阻害することがあった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気ガスに燃料を添加供給する際における燃焼室壁面への燃料の付着を抑制して、白煙の発生を防止するとともに、燃費を向上することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、冷間時の排気行程の噴射を、噴射した燃料が燃焼室の壁面へ付着しないように調節することとした。
【0012】
具体的には、請求項1に記載の発明は、シリンダとシリンダヘッドと該シリンダに摺動自在に内挿されたピストンとによって該シリンダ内に区画形成された燃焼室と、上記ピストンに対向して上記シリンダヘッドに設けられた噴射部を有する燃料噴射手段と、上記燃焼室から導出された排気ガス中の窒素酸化物を浄化するNOx浄化触媒と、排気行程時に上記燃料噴射手段から燃料を噴射させて該NOx浄化触媒に未燃燃料を供給する排気行程噴射制御手段と、を備えるエンジンの制御装置において、冷間時を判定する冷間時判定手段と、該冷間時判定手段が冷間時と判定したときには、排気行程時に噴射する燃料の上記シリンダの壁面への付着量を抑制するように、上記排気行程噴射制御手段による噴射を排気行程後期で実行させ、且つ吸気弁が開弁するまでには終了させ一方、非冷間時には上記排気行程噴射制御手段による噴射を排気行程前期で実行させる噴射時期調節手段と、を備えていることとしたものである。
【0013】
上記発明特定事項により、エンジンの冷間時には、シリンダ壁面への付着量が抑制されるように燃料が噴射される。従って、シリンダ壁面への付着量が減少し、白煙の発生が抑制される。また、ピストンリングの周りの潤滑油が流されることがほとんどないため、エンジンの円滑な作動が妨げられることがなく、燃費が向上する。
【0014】
より詳しくは、冷間時判定手段が冷間時か否かを判定し、冷間時にないときは排気行程前期で排気行程噴射が実行される一方、エンジンが冷間時にあるときは、排気行程噴射制御手段は、NOx浄化触媒に添加するための燃料の噴射を排気行程後期に実行する。排気行程後期にあっては、燃料噴射手段の噴射部とピストンとの間の距離が短いので、燃料のシリンダ壁面への付着は抑制される。従って、白煙の発生が抑制されるとともに、燃費が向上する。
【0015】
また、排気行程後期では吸気弁は閉じており、吸気弁と排気弁とが同時に開いた状態となるいわゆるオーバーラップは生じていない。そのため、添加燃料を確実に供給できるとともに、吸気脈動により添加燃料が吸気に流入することを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジンの制御装置において、冷間時判定手段は、エンジン水温を検出する水温センサを備え、該水温センサで検出した水温が所定の温度範囲内にあるときに冷間時であると判定することとしたものである。
【0017】
上記発明特定事項により、具体的かつ正確に、冷間時が判定されることになる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のエンジンの制御装置において、燃焼室に導入する空気の温度を検出する吸気温センサと、上記吸気温センサで検出した吸気温が所定温度以下のときに、排気行程噴射制御手段による噴射を禁止する噴射抑制手段とを備えていることとしたものである。
【0019】
上記発明特定事項により、吸気温センサによって検出される気温が予め設定した所定温度以下のときには、排気行程噴射制御手段による噴射が禁止される。その結果、吸気温に応じた排気行程噴射が行われる。つまり、吸気温が低く、噴射燃料がシリンダ壁面へ付着しやすい状態では、排気行程噴射が禁止されることとなる。従って、白煙の発生が精度よく抑制されることになる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載のエンジンの制御装置において、排気行程後期は、クランク角が吸気上死点前15゜〜30゜のうちの所定範囲に設定されていることとしたものである。
【0021】
上記発明特定事項により、排気行程後期の噴射が好適に行われる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
<実施形態1>
−エンジン制御系統50の構成−
まず、本実施形態に係るエンジン1の全体構成を説明する。エンジン1はディーゼルエンジンである。図1に示すように、エンジン1のエンジン本体2には、4個の気筒5が列状に配置されている。これらの気筒5は、サージタンク3から分岐した4本の独立吸気管4にそれぞれ接続され、これら吸気管4を介して新気が導入されるように構成されている。
【0024】
また、エンジン本体2に対して、いわゆるコモンレール6が設けられている。このコモンレール6は、高圧の燃料を蓄え、コントロールユニット(ECU)40からの制御信号に基づいて、各気筒5の燃焼室に燃料を噴射供給する燃料噴射装置の一種である。
【0025】
各気筒5には、制御信号に応じてソレノイドにより針弁が作動することにより燃料噴射を行うインジェクタ7がそれぞれ配設されている。これらインジェクタ7は、コモンレール6に接続されている。
【0026】
コモンレール6は、燃料通路8を介して燃料圧送ポンプ9に接続され、この燃料圧送ポンプ9は図示しない燃料タンクに接続されている。従って、燃料圧送ポンプ9から圧送された燃料は、コモンレール6を経て、各インジェクタ7に供給される。燃料通路8には調圧バルブ10が設けられている。この調圧バルブ10は、コモンレール6に送る燃料の圧力を調節することにより、インジェクタ7の噴射圧力を調節する圧力調節手段である。従って、制御信号に応じた調圧バルブ10の作動により、噴射圧力が調節される。また、コモンレール6には圧力センサ11が設けられ、この圧力センサ11によって噴射圧力が検出される。
【0027】
エンジン1の排気系には、各気筒5から排出された排気ガスを集合させる排気マニホールド12と、排気マニホールド12に接続された排気管13とが設けられている。この排気管13の途中には、NOxをHCによって分解する触媒、例えば、Pt(プラチナ)、Rh(ロジウム)等の金属を結晶性のメタロシリケートに担持した金属担持ゼオライドで構成されたNOx浄化触媒を備えた触媒コンバータ14が設置されている。
【0028】
次に、エンジン1の具体的な構成を説明する。図2及び図3に示すように、シリンダブロック21によって形成されたシリンダには、ピストン23が上下摺動自在に内挿されている。そして、シリンダブロック21の上部に取り付けられたシリンダヘッド24の下面と、シリンダブロック21の内周面(シリンダの壁面)と、ピストン23の上面とで、燃焼室25が区画形成されている。
【0029】
シリンダヘッド24には、一方の側面からそれぞれ燃焼室25に通じる2個の給気ポート26と、他方の側面からそれぞれ燃焼室25に通じる2個の排気ポート27とが設けられている。図3に示すように、これら各ポート26,27の燃焼室25への開口部26a,27aは、シリンダヘッド下面に方形状に配置されている。また、これら各ポート26,27には、開閉弁28,29が設けられている。すなわち、各給気ポート26の開口部26aを開閉する吸気弁28と、各排気ポート27の開口部27aを開閉する排気弁29とが備えられている。これらの吸気弁28及び排気弁29の弁軸部28a,29aは、シリンダヘッド24を貫通して上方に突出している。それぞれの弁軸部28a,29aに連設された傘部28b,29bは、各ポート26,27の開口部26a,27aにそれぞれ嵌合されたバルブシート30に密着、離反するようになっている。
【0030】
また、シリンダヘッド24には、燃焼室25の中央位置に開口する段付状のインジェクタ挿入孔31が上下方向に設けられている。このインジェクタ挿入孔31には、燃料噴射手段たるインジェクタ7が取り付けられている。つまり、インジェクタ7は、その先端の燃料噴射部7aを燃焼室25内に露出させた状態でインジェクタ挿入孔31に挿入されている。言い換えると、燃料噴射部7aはピストン23の上面に対向する位置に設けられている。そして、2本の取付けボルト32がインジェクタ7の中間部分のフランジ部7bの上面で支持された固定版33を貫通してシリンダヘッド24に螺合されることにより、インジェクタ7とシリンダヘッド24とが一体化されている。
【0031】
図4に示すように、インジェクタ本体101の下部には、燃料噴射部7aを下方に膨出させたノズル102が一体的に設けられている。この燃料噴射部7aには、図5に拡大して示すように、一端がサック105に開口する4個の噴孔106が平面視で十字形に配置されている。ノズル102に摺動自在に内挿されたニードル弁103の周囲には、燃料を一時貯留する油室104が設けられている。
【0032】
インジェクタ本体101の中間部分に設けられたフランジ部7bには、燃料供給配管15を介して供給される燃料を導入する燃料入口107が設けられ、この燃料入口107から導入された燃料が燃料供給通路108を介して油室104に供給されるようになっている。そして、インジェクタ本体101の中間部分には、ニードル弁103に有機的に結合されたプランジャ(図示せず)が摺動自在に内挿されており、後述するECU40からの制御信号に基づいてプランジャが上下方向に移動することにより、ニードル弁103の開閉が制御されるようになっている。
【0033】
図1に示すように、エンジン1には、コントロールユニット(ECU)40が備えられている。このECU40は、クランク角を検出するクランク角センサ41からの信号と、エンジン負荷を検出するエンジン負荷センサ42からの信号と、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ49からの信号と、エンジン水温を検出する水温センサ43からの信号と、吸気温を検出する吸気温センサ49bからの信号と、排気マニホールド12に設置されて燃焼室25から排出された直後の排気ガスの温度を検出する第1排気温センサ44からの信号と、触媒コンバータ14の直上流の排気ガスの温度を検出する第2排気温センサ45からの信号と、触媒コンバータ14の直下流の排気ガスの温度を検出する第3排気温センサ46からの信号と、触媒コンバータ14の直上流の排気ガスの残留酸素濃度を検出する第1O2濃度センサ47からの信号と、触媒コンバータ14の直下流の排気ガスの残留酸素濃度を検出する第2O2濃度センサ48からの信号とを入力し、これらの信号に基づいて燃料圧送ポンプ9、調圧バルブ10、インジェクタ7の作動をそれぞれ制御することにより、各気筒5の圧縮上死点の付近で主噴射として行われる通常噴射と、各気筒の排気行程で燃料を噴射する排気行程噴射とを行うようになっている。
【0034】
次に、本発明に係るエンジン制御装置としてのエンジン制御系統50の構成を、図6のブロック線図を参照しながら説明する。
【0035】
エンジン制御系統50は、通常噴射制御手段51、排気行程噴射制御手段52、冷間時判定手段53、吸気温判定手段54、及び排気行程噴射抑制手段55を備えている。通常噴射制御手段51は、トルクを発生させるために、圧縮行程の周期にインジェクタ7から燃料を噴射し、この燃料を燃焼室25内で燃焼させる通常噴射の制御を実行する。排気行程噴射制御手段52は、触媒コンバータ14に燃料成分を供給することを目的として、排気行程時にインジェクタ7から燃料を噴射させる排気行程噴射の制御を実行する。冷間時判定手段53は、エンジン1が冷間時にあるか否かを判定する。吸気温判定手段54は、吸気温が所定温度以下か否かを判定する。排気行程噴射抑制手段55は、吸気温が所定温度以下のときに排気行程噴射を停止する。なお、吸気温判定手段54及び排気行程噴射抑制手段55は、本発明でいうところの抑制手段を構成している。
【0036】
−エンジン制御系統50の動作−
エンジン制御系統50は、運転状態に応じて、以下に説明する通常噴射制御または排気行程噴射制御を行う。
【0037】
(通常噴射制御)
まず、通常噴射制御を説明する。ECU40の通常噴射制御手段51は、クランク角センサ41からの信号に基づいてエンジン回転数を計算するとともに、エンジン負荷センサ42からエンジン負荷を検出し、このエンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて基本燃料噴射量を設定する。そして、この基本燃料噴射量をアクセル開度やエンジン水温などで補正したうえで、最終的な噴射量、噴射圧力、噴射時期等を決定する。そして、所定の噴射時期、つまりクランク角が圧縮上死点の付近に設定された所定範囲のクランク角を示す時期に、設定した噴射量に対応する時間だけ、インジェクタ7に駆動信号を出力する。その結果、インジェクタ7の燃料噴射部7aから、所定量の燃料が噴射される。
【0038】
なお、クランク角、アクセル開度、エンジン水温は、それぞれクランク角センサ41、アクセル開度センサ49、水温センサ43によって検出される。
【0039】
(排気行程噴射制御)
排気行程噴射制御も、基本的には通常噴射制御と同様である。つまり、ECU40の排気行程噴射制御手段52は、クランク角センサ41等からの信号を受け取り、噴射圧力、噴射時期及び噴射量を設定する。そして、これらセンサからの信号に応じて、各気筒のインジェクタ7に対し所定時期に所定量の燃料を噴射するように駆動信号を出力する。
【0040】
(燃料噴射制御)
図7のフローチャートを参照しながら、運転状態に応じて上記通常噴射制御及び排気行程噴射制御を行う本エンジン制御系統50の燃料噴射制御について説明する。
【0041】
まず、ステップST1において、クランク角センサ41からの信号に基づいてエンジン回転数を検出する。次に、ステップST2において、アクセル開度センサ49からの信号に基づいて、アクセル開度を検出する。そして、ステップST3において、水温センサ43からの信号に基づいて、エンジン水温Tを検出する。
【0042】
そして、ステップST4において、冷間時判定手段53により、エンジン水温Tが予め設定した所定値T2以下か否かが判定される。その結果、エンジン水温Tが所定値T2以下のときはステップST5に進む一方、所定値T2よりも大きいときはステップST10に進む。
【0043】
ステップST5では、通常噴射制御手段51が通常噴射制御における噴射圧力、噴射時期及び噴射量を設定する。
【0044】
そして、ステップST12に進み、エンジン水温Tが予め設定した冷間制御ゾーンの下限値T1よりも小さいか否かが判定される。ここで、下限値T1は極冷間を判定する温度である。極冷間を判定することとしたのは、極冷間では排気行程噴射した燃料が蒸発せずに残留するので、燃料が残留しないよう極冷間では排気行程噴射を禁止するためである。その結果、エンジン水温Tが所定値T1以上であるときはステップST6に進み、所定値T1よりも小さいときはステップST8に進む。
【0045】
ステップST6においては、吸気温判定手段54が、吸気温センサ49bで検出した吸気温が所定温度以下か否かを判定する。吸気温が所定温度以下の場合には、ステップST8に進み、排気行程後期で排気行程噴射を行い、シリンダ壁面に燃料が直接付着しなかったとしてもピストン頂部に蒸発せずに残留する燃料が多く、白煙が発生しやすいと判断して、排気行程噴射抑制手段55が排気行程噴射制御手段52に信号を送って排気行程噴射制御を中止させる。一方、吸気温が所定温度よりも大きい場合には、ステップST7に進む。
【0046】
ステップST7では、排気行程噴射制御手段52が排気行程噴射制御における噴射圧力、噴射時期及び噴射量を設定する。ここでは、噴射時期を排気行程の後期に設定し、噴射量を通常噴射の噴射量の1/10〜1/20に設定する。具体的には、吸気上死点を基準角度0゜とした場合におけるクランク角が吸気上死点前15゜〜30゜の間の所定範囲に設定する。本実施形態では、特に、20゜〜30゜の間に設定している。
【0047】
一方、ステップST4において、冷間時判定手段53がエンジン水温Tが冷間制御ゾーンにないと判定すると、ステップST10において、通常噴射制御手段51が通常噴射制御における噴射圧力、噴射時期及び噴射量を設定する。次に、ステップST11に進み、排気行程噴射制御手段52が排気行程噴射制御における噴射圧力、噴射時期及び噴射量を設定する。ここでは、添加燃料が排気通路に流入しやすくするために、噴射時期を排気行程の前期に設定し、噴射量を通常噴射の噴射量の1/10〜1/20に設定する。
【0048】
そして、上記のステップで各噴射制御の設定値を決定した後は、ステップST9に進み、上記各設定値に基づいて通常噴射制御手段51及び排気行程噴射制御手段52が燃料の噴射を行う。
【0049】
上記の燃料噴射制御の結果、燃料の噴射は運転状態に応じて制御されることになる。つまり、図8に示すように、非冷間時にあっては、圧縮行程の後期に燃料が噴射されるとともに、排気行程の前期に、触媒コンバータ14に燃料を添加するための噴射が行われる。一方、吸気温が比較的高い場合の冷間時にあっては、圧縮行程の後期に燃料が噴射されるとともに、排気行程の後期に触媒コンバータ14に燃料を添加するための噴射が行われる。吸気温が比較的低い冷間時にあっては、燃料の噴射は圧縮行程の後期でのみ行われる。
【0050】
なお、吸気弁は、吸気上死点前10゜から開弁しはじめるが、この吸気弁開弁開始までには排気行程噴射を終了させる。これにより、排気弁開度が小さいときでの排気行程噴射を禁止でき、添加燃料を確実に供給できるとともに、吸気脈動により添加燃料が吸気に流入することを防止できる。
【0051】
−エンジン制御系統50の効果−
以上のように、本エンジン制御系統50によれば、冷間時には、触媒コンバータ14に燃料を添加するための噴射は圧縮行程の後期に行われる。図9に示すように、排気行程の後期では、ピストン23とインジェクタ7との間の距離が短く、インジェクタ7の燃料噴射部7aから噴射された燃料がシリンダブロック21の内面、つまりシリンダの壁面に付着することがほとんどない。つまり、燃料噴射部7aから噴射された燃料は、すべてピストン23の上面に吹き付けられるので、シリンダ壁面に残留することがほとんどない。その結果、残留燃料の不完全な燃焼による白煙の発生が抑制される。また、ピストンの円滑な摺動が確保され、燃費が向上する。
【0052】
排気行程後期の噴射はクランク角が15゜〜30゜のうちの所定範囲内で行われ、本実施形態では特に20゜〜30゜の範囲で行われるので、その噴射は好適に行われる。つまり、シリンダ壁面への燃料の付着量が最小限に抑えられる。
【0053】
ところが、吸気温が比較的低いときには、燃料は蒸発しにくくなるので、ピストン23とインジェクタ7との間の距離が短くても、噴射した燃料がシリンダブロック21の内面に残留するおそれがある。ところが、本エンジン制御系統50では、冷間時には排気行程噴射を行わないので、燃料が壁面に付着することを確実に防止することができる。
【0054】
<実施形態2>
実施形態2は、吸気温に応じて排気行程噴射時の噴射方法を変更することとしたものである。
【0055】
具体的には、図10に示すように、吸気温が所定温度T3よりも小さいときは、噴射時間を零とする。つまり、排気行程噴射を行わない。一方、吸気温が所定温度T3以上かつ所定温度T4以下の範囲内にあるときは、噴射時間を吸気温に応じて変化させる。つまり、吸気温が高いほど噴射時間を長くする。吸気温が所定温度T4よりも大きいときは、噴射時間を所定時間t1の間だけ行う。
【0056】
その結果、吸気温が低いときには実施形態1と同様、排気行程噴射が行われないので、燃料が壁面に付着することがない。また、吸気温が高いときには、所定時間t1の噴射を行うので、触媒コンバータ14に十分な量の添加燃料を供給することができる。そして、吸気温が上記所定温度T3以上かつ所定温度T4以下の場合には、吸気温に応じた適正量の燃料が噴射されるので、燃料のシリンダ壁面への付着が防止されるとともに、触媒コンバータ14に十分な量の添加燃料が供給される。
【0057】
<その他の実施形態>
上記の実施形態では、排気行程噴射は各サイクルごとに行っていたが、排気行程噴射は数サイクルに一回づつ行うようにしてもよい。また、一サイクルに複数回行うようにしてもよい。
【0058】
冷間制御ゾーンは、エンジン水温Tのみによって決定したが、他のセンサから検出した状態量、例えば吸気温等に基づいて決定してもよい。また、これら状態量とエンジン水温Tとの組み合わせに基づいて決定してもよい。さらに、これら状態量に応じて、冷間制御ゾーンを適宜変更するようにしてもよい。
【0059】
また、NOx浄化触媒は、上記実施形態のようなものには限定されず、NOxをHCによって無害な組成に化学変化させるものであればどのようなものでもよい。
【0060】
また、燃料噴射システムは、コモンレールタイプのシステムに限定されるものではない。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、冷間時におけるシリンダ壁面への燃料の付着量が減少するので、残留燃料の不完全な燃焼による白煙の発生が抑制される。また、壁面に付着する燃料によってピストン周りの潤滑油が流されることが防止されるので、ピストンが円滑に摺動し、燃費が向上する。
【0062】
より具体的に、冷間時には、排気行程噴射を排気行程の後期に行う。排気行程後期では、燃料噴射手段の噴射部とピストンとの間の距離が短いので、噴射部から噴射された燃料はピストン上面に吹き付けられることになり、燃焼室全体に広がりにくい。また、シリンダ壁面へ直接吹き付けられることも少ない。従って、燃料のシリンダ壁面への付着が抑制される。その結果、白煙の発生が抑制されるとともに、燃費が向上する。
【0063】
請求項2に記載の発明によれば、エンジン水温に基づいて冷間時を判断するので、具体的かつ正確に冷間時を判定することができる。
【0064】
請求項3に記載の発明によれば、吸気温が低い場合には排気行程噴射を禁止するので、噴射燃料がシリンダ壁面に付着しやすい状態であるにも関わらず、壁面付着を確実に防止することができる。従って、白煙の発生を精度よく抑制することができる。
【0065】
請求項4に記載の発明によれば、排気行程後期の噴射を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エンジンの制御装置の全体構成図である。
【図2】 エンジンの一部の拡大断面図である。
【図3】 図2のA−A線断面図である。
【図4】 インジェクタの一部切欠き縦断面図である。
【図5】 図4のB−B線断面図である。
【図6】 エンジンの制御装置のブロック線図である。
【図7】 噴射制御のフローチャートである。
【図8】 噴射制御のタイムチャートである。
【図9】 排気行程噴射を示すエンジンの一部拡大断面図である。
【図10】 吸気温と噴射時間との関係を示す図である。
【図11】 従来のディーゼルエンジンの断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 エンジン本体
3 サージタンク
4 吸気管
6 コモンレール
7 インジェクタ
9 燃料圧送ポンプ
10 調圧バルブ
11 圧力センサ
14 触媒コンバータ
40 ECU
41 クランク角センサ
43 水温センサ
49b 吸気温センサ
Claims (4)
- シリンダとシリンダヘッドと該シリンダに摺動自在に内挿されたピストンとによって該シリンダ内に区画形成された燃焼室と、上記ピストンに対向して上記シリンダヘッドに設けられた噴射部を有する燃料噴射手段と、上記燃焼室から導出された排気ガス中の窒素酸化物を浄化するNOx浄化触媒と、排気行程時に上記燃料噴射手段から燃料を噴射させて該NOx浄化触媒に未燃燃料を供給する排気行程噴射制御手段と、を備えるエンジンの制御装置において、
冷間時を判定する冷間時判定手段と、
該冷間時判定手段が冷間時と判定したときには、排気行程時に噴射する燃料の上記シリンダの壁面への付着量を抑制するように、上記排気行程噴射制御手段による噴射を排気行程後期で実行させ、且つ吸気弁が開弁するまでには終了させる一方、非冷間時には上記排気行程噴射制御手段による噴射を排気行程前期で実行させる噴射時期調節手段と、
を備えていることを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1に記載のエンジンの制御装置において、
冷間時判定手段は、エンジン水温を検出する水温センサを備え、該水温センサで検出した水温が所定の温度以下にあるときに冷間時であると判定する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項2に記載のエンジンの制御装置において、
燃焼室に導入する空気の温度を検出する吸気温センサと、
上記吸気温センサで検出した吸気温が所定温度以下のときに、排気行程噴射制御手段による噴射を禁止する噴射抑制手段とを備えている
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1または2のいずれか一つに記載のエンジンの制御装置において、
排気行程後期は、クランク角が吸気上死点前15゜〜30゜のうちの所定範囲に設定されている
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
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