JP3753561B2 - 不織布の製造方法及び電池用セパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は不織布の製造方法及び電池用セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から不織布は各種用途に使用されている。例えば、アルカリ電池においては、正極と負極とを分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起電反応が円滑に生じるように、正極と負極との間には、不織布からなるセパレータが使用されている。このアルカリ電池の1つの態様として円筒型のものが知られており、この円筒型アルカリ電池は極板群にセパレータを巻回して製造するが、電池容量を増やすため、或いは電気抵抗を小さくするために、できるだけセパレータが極板と密着するように巻回する必要がある。そのため、セパレータを極板に巻回する際に破断しないように、セパレータにはある程度の強度が必要である。また、セパレータは電解液によって侵されないように、また電極から発生する酸素によって酸化されないように、ポリオレフィン系繊維から構成されているのが好ましい。そのため、セパレータとして使用する不織布は、ポリオレフィン系繊維からなる繊維ウエブに対して水流を噴出して繊維同士を絡合させたり、好ましくは繊維ウエブ中に熱融着性繊維を混合しておき、繊維同士を絡合させた後に熱融着性繊維を融着させて製造していた。しかしながら、このようにして製造したセパレータは十分な強度を有するものではなかったり、十分な強度を有するように絡合させるために多大なエネルギーを必要とするものであった。このような傾向は、繊維ウエブが湿式法により形成したものである場合、繊維ウエブ中に熱融着性繊維が含まれており、この熱融着性繊維が融着した繊維ウエブである場合に顕著であった。
【0003】
また、セパレータとして使用する不織布は電解液の保持性に優れているように、できるだけ繊維径の小さい繊維から構成されているのが好ましい。そのため、このような不織布を製造する方法として、ポリオレフィン系樹脂からなる水流により分割可能な分割性繊維を含む繊維ウエブに対して水流を噴出し、分割性繊維を分割することにより繊維径の小さい繊維を発生させる方法が知られている。しかしながら、分割性繊維を十分に分割することができなかったり、十分に分割するためには多大なエネルギーが必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、十分な強度を有する不織布を効率的に製造する方法、分割性繊維を含む場合には分割性繊維が十分に分割した不織布を効率的に製造する方法、及び電池用セパレータを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは鋭意研究の結果、繊維ウエブを構成する繊維としてポリオレフィン系繊維を含んでいる場合、ポリオレフィン系繊維は疎水性であるため、水流を作用させると水をはじいて、十分に絡合しないこと、及び分割性繊維を含んでいる場合には分割性繊維を十分に分割させることが困難であることを見い出した。本発明はこの知見に基づいてなされたもので、本発明の電池用セパレータの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂のみから構成され、水流により分割して極細繊維を発生可能な分割性繊維を含む繊維ウエブに対して、グラフト処理、スルホン化処理、フッ素ガス処理、放電処理の中から選ばれる親水化処理を実施した後、この親水化処理を実施した繊維ウエブに対して水流を噴出する方法である。この方法によると、ポリオレフィン系分割性繊維に対して恒久的な親水化処理が施されており、水流によって親水性が低下することがないため、ポリオレフィン系分割性繊維に対して十分に水流が作用して、十分に分割するとともに十分に絡合し、十分な強度を有する電池用セパレータを効率的に製造できる。
【0006】
本発明の電池用セパレータは上述のような方法により製造した不織布からなるため、十分な強度を有しており、極板群に巻回しても破断しないものであったり、分割性繊維が十分に分割した電解液の保持性やショート防止性に優れるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維ウエブはポリオレフィン系繊維を含むものであり、本発明の製造方法においてはポリオレフィン系繊維の比率が高ければ高いほど(50mass%以上)、その効果を発揮する。ポリオレフィン系繊維以外の繊維としては、例えば、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維などの合成繊維、炭素繊維などの無機繊維、綿や麻などの植物繊維、羊毛などの動物繊維などを使用することができる。なお、電池用セパレータ用不織布の場合には、ポリオレフィン系繊維のみから構成されているのが好ましい。
【0008】
このポリオレフィン系繊維としては、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維(例えば、高密度ポリエチレン繊維、中密度ポリエチレン繊維、低密度ポリエチレン繊維、直鎖状低密度ポリエチレン繊維、超高分子量ポリエチレン繊維など)、ポリメチルペンテン繊維などを使用することができる。
【0009】
なお、繊維ウエブを構成する繊維として、熱融着性繊維が含まれていると、絡合後に熱融着性繊維を融着させることにより、不織布の強度をより向上させることができる。この熱融着性繊維としては、融着後の強度が優れるように、融着成分と非融着成分とを含む2種類以上の樹脂からなるのが好ましく、このような繊維断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、貼り合せ型、海島型、オレンジ型或いは多重バイメタル型がある。なお、融着成分と非融着成分との融点差は繊維形状を維持できるように、10℃以上であるのが好ましく、20℃以上であるのがより好ましい。この融着成分と非融着成分との組み合せとしては、例えば、低融点ポリプロピレンとポリプロピレン、変性ポリエステルとポリエステル、ナイロン6とナイロン66、変性ナイロンとナイロン6、ポリエチレンとポリプロピレン、ナイロン6とポリエステル、などの組み合わせがある。本発明における「融点」は示差熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。
【0010】
電池用セパレータ用不織布の場合には、この熱融着性繊維もポリオレフィン系繊維のみから構成されているのが好ましい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなど)、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂2種類以上から構成されているのが好ましい。熱融着性繊維が融着成分と非融着成分からなる場合、ポリプロピレンとポリメチルペンテン、ポリエチレンとポリメチルペンテン、ポリエチレンとポリプロピレン、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンなどを例示することができる。
【0011】
このような熱融着性繊維の含有量は不織布の使用用途によって適宜設定することができ、特に限定するものではない。例えば、不織布を電池用セパレータとして使用する場合、熱融着性繊維は繊維ウエブ中、20mass%以上含まれているのが好ましい。また、熱融着性繊維の繊度や繊維長も不織布の使用用途によって適宜設定することができ、例えば、不織布を電池用セパレータとして使用する場合、繊度は電解液の保持性に優れるように、0.05〜3デニールであるのが好ましく、繊維長は均一性に優れるように、1〜60mmであるのが好ましく、3〜25mmであるのがより好ましく、5〜20mmであるのが更に好ましい。
【0012】
また、繊維ウエブを構成する繊維として、水流により分割して極細繊維を発生可能な分割性繊維が含まれていると、後述の水流を噴出させることによって分割して極細繊維を発生させることができるため、緻密性、柔軟性、液保持性、払拭性などを向上させることができる。なお、前述のような熱融着性繊維と併用する場合、熱融着性繊維の融着成分によって極細繊維が溶融しないように、極細繊維は熱融着性繊維の融着成分よりも高い(好ましくは10℃以上高い、より好ましくは20℃以上高い)融点を有する樹脂から構成されているのが好ましい。この分割性繊維の繊維断面形状としては、例えば、図1〜図4に示すようなオレンジ型、図5に示すような多重バイメタル型のものがある。なお、極細繊維の繊度は特に限定するものではないが、前述のような特性を発揮しやすいように、0.5デニール以下であるのが好ましく、0.2デニール以下であるのがより好ましい。この分割性繊維は水流により分割可能であれば良く、好ましくは圧力1〜30MPaの水流により分割可能であるのが好ましい。この分割性繊維の樹脂の組み合せとしては、例えば、ポリアミド系樹脂とポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂とポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂などがある。
【0013】
本発明の不織布を電池用セパレータとして使用する場合、極細繊維もポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましいため、分割性繊維はポリオレフィン系樹脂のみから構成されているのが好ましい。より具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなど)、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂2種類以上から構成されているのが好ましい。
【0014】
このような分割性繊維の含有量は不織布の使用用途によって異なり、特に限定するものではない。例えば、不織布を電池用セパレータとして使用する場合、分割性繊維は繊維ウエブ中、20mass%以上含まれているのが好ましい。また、分割性繊維の繊維長も不織布の使用用途によって異なり、特に限定するものではない。例えば、不織布を電池用セパレータとして使用する場合、繊維長1〜60mmであるのが好ましく、3〜25mmであるのがより好ましく、5〜20mmであるのが更に好ましい。
【0015】
繊維ウエブは上述のようなポリオレフィン系繊維を含むものであるが、繊維ウエブの製造方法としては、例えば、乾式法(メルトブロー法、スパンボンド法を含む)や湿式法により形成することができる。これらの中でも、湿式法により形成した繊維ウエブ、つまり繊維長の短い(25mm以下程度)ポリオレフィン系繊維を含む繊維ウエブは水流の作用によって繊維が移動しやすく、しかも水をはじきやすいため絡合させにくいものであったが、本発明方法によれば十分な強度を有する不織布を効率良く製造することができる。この湿式法としては、従来公知の方法、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、又は短網・円網コンビネーション方式などがある。なお、不織布を電池用セパレータとして使用する場合、緻密で電解液の保持性及び短絡防止性に優れている湿式法により形成するのが好ましい。
【0016】
また、湿式法により形成した繊維ウエブのように水流の作用によって繊維が移動しやすい場合、熱融着性繊維によって融着した後に水流を作用させることが行われていた。このように熱融着性繊維が含まれており、この熱融着性繊維が融着した繊維ウエブは繊維が絡合しにくいものであったが、本発明方法によれば、十分な強度を有する不織布を効率良く製造することができる。
【0017】
次いで、前述のような繊維ウエブに対して、グラフト処理、スルホン化処理、フッ素ガス処理、放電処理の中から選ばれる恒久的な親水化処理を実施して、次工程である水流を噴出させた際の作用効率を高める。つまり、界面活性剤を付着させるような親水化処理であると、水流を作用させた際に洗い流されてしまい、効率的に水流を作用させることができないが、前記のような恒久的な親水化処理を実施した後に水流を作用させると、効率に絡合したり、効率的に分割性繊維を分割することができる。なお、(1)湿式法などにより繊維ウエブを形成し、繊維ウエブを乾燥させるため、(2)水流を噴出させた際の繊維の移動を抑制するために繊維ウエブ中に含ませた熱融着性繊維を融着させるため、或いは(3)分割性繊維の移動を抑制するために分割性繊維を構成する少なくとも1種類の樹脂を融着させるために、繊維ウエブに対して熱を作用させる必要がある場合、親水化処理の効果が低下しないように、繊維ウエブに対して熱処理を実施した後に親水化処理を実施するのが好ましい。
【0018】
グラフト処理としては、例えば、ビニルモノマーと重合開始剤を含む溶液中に繊維ウエブを浸漬して加熱する方法、繊維ウエブにビニルモノマーを塗布した後に放射線を照射する方法、繊維ウエブに放射線を照射した後にビニルモノマーと接触させる方法、増感剤を含むビニルモノマー溶液を繊維ウエブに塗布した後に紫外線を照射する方法、などがある。なお、ビニルモノマー溶液と繊維ウエブとを接触させる前に、紫外線照射、コロナ放電、プラズマ放電などにより、繊維ウエブを改質すると、ビニルモノマー溶液との親和性が高くなるため、効率的にグラフト重合できる。このグラフト処理に使用できるビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、或いはスチレンを使用することができる。なお、スチレンをグラフト重合した場合には、親水性に優れるようにスルホン化するのが好ましい。
【0019】
スルホン化処理としては、例えば、発煙硫酸、硫酸、クロロ硫酸又は塩化スルフリルなどからなる溶液中に、繊維ウエブを浸漬してスルホン酸基を導入する方法、繊維ウエブを三酸化イオウガスと接触させてスルホン酸基を導入する方法、一酸化硫黄ガスや二酸化硫黄ガスなどの存在下で放電を発生させて、スルホン酸基を導入する方法等がある。このようにスルホン酸基を導入した繊維ウエブから製造した不織布を電池用セパレータとして使用すると、自己放電抑制作用に優れているため好適である。
【0020】
フッ素ガス処理としては、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)で希釈したフッ素ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス及び二酸化硫黄ガスなどの中から選ばれる少なくとも1種類のガスとの混合ガスに、繊維ウエブをさらすことにより、繊維ウエブを親水化することができる。
【0021】
放電処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、グロー放電処理又は電子線処理などがある。なお、空気中の大気圧下で、それぞれが誘電体を担持する一対の電極間に、これら両方の誘電体と接触するように繊維ウエブを配置し、これら両電極間に交流電圧を印加し、繊維ウエブの内部で放電を発生させる方法であると、繊維ウエブ内部に親水性を付与することができるため、繊維ウエブ内部においても効率的に水流が作用することができる。
【0022】
次いで、このような恒久的な親水化処理を実施した繊維ウエブに対して水流を噴出して不織布を製造する。この水流を噴出することにより、一般的には繊維の絡合が生じ、繊維ウエブ中に分割性繊維が含まれている場合には分割性繊維の分割、場合により分割性繊維の分割と絡合が生じる。
【0023】
この水流の噴出は、例えば、直径0.05〜0.3mm、ピッチ0.2〜3mmで一列又は二列以上にノズルを配置したノズルプレートから、圧力1MPa〜30MPaにて実施することができる。このような水流は1回以上、親水化処理した繊維ウエブの片面又は両面に対して噴出すれば良い。なお、分割性繊維を含んでいる場合には、分割性繊維が分割するのに十分な圧力の水流を噴出する。
【0024】
このように水流を作用させた繊維ウエブは乾燥することによって不織布とすることができる。なお、繊維ウエブ中に熱融着性繊維が含まれている場合には、乾燥と同時、或いは乾燥とは別に熱融着性繊維を融着させることにより、不織布の強度を更に向上させることができる。この熱融着性繊維の融着は無圧下で行なっても良いし、加圧下で行なっても良いし、或は無圧下で融着成分を溶融させた後に加圧しても良い。
【0025】
このように水流を作用させた繊維ウエブを乾燥させるために熱を作用させたり、熱融着性繊維を融着させるために熱を作用させるなど、熱を作用させると、水流を作用させる前の親水化処理による親水性が低下する傾向があるため、不織布を電池用セパレータとして使用する場合のように親水性を必要とする場合には、熱を作用させた後に、前述の親水性処理と同様の親水性処理、つまりグラフト処理、スルホン化処理、フッ素ガス処理、放電処理や、界面活性剤の付着処理や、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、架橋可能なポリビニルアルコール、或いはポリアクリル酸などの親水性樹脂の付着処理により、親水性を付与するのが好ましい。
【0026】
このように製造した不織布は繊維同士が十分に絡合した強度的に優れるものであったり、分割性繊維が十分に分割したものであるため、各種用途、例えば、人工皮革用基材、衣料用芯地、中入綿、防漏シーツ、マスク、電池用セパレータ、空気又は液体フィルタ、壁紙、自動車用内装材、パーティション用基材、ワイピング材などの用途に使用できるものである。なお、各種用途により適合するように、染色加工、顔料による着色加工、起毛加工、ラミネート加工、成形加工、表面処理加工、エンボス加工など、更なる処理を行うこともできる。
【0027】
本発明の電池用セパレータは上述のような方法により製造された不織布からなるため、繊維同士が十分に絡合した強度的に優れるものであるため、極板群と密着するように巻回することのできるものである。また、分割性繊維を含む繊維ウエブから製造した不織布からなるセパレータは分割性繊維が十分に分割しているため、電解液の保持性や短絡防止性にも優れるものである。
【0028】
本発明の電池用セパレータはアルカリ電池のセパレータとして好適に使用することができ、例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気電池などの一次電池、ニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池などの二次電池のセパレータとして好適に使用できる。
【0029】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「引張り強さ」は不織布のたて方向における値であり、幅50mmに裁断した不織布を、引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャックに固定し(チャック間の距離100mm)、引張り速度300mm/分で引っ張った時の、破断するのに要する力をいう。
【0030】
【実施例】
(実施例)
芯成分がポリプロピレン(融点:160℃)からなり、鞘成分(融着成分)が低密度ポリエチレン(融点:115℃)からなる、繊度2デニール、繊維長10mmの芯鞘型熱融着性繊維20mass%と、及び図3に示すような、ポリプロピレン成分(図中記号12、円形状で、繊度0.08デニールのポリプロピレン極細繊維(融点:160℃)を1本と、三角形状で、繊度0.12デニールのポリプロピレン極細繊維(融点:160℃)を8本発生可能)と、高密度ポリエチレン成分(図中記号11、繊度0.12デニールの高密度ポリエチレン極細繊維(融点:125℃)を8本発生可能)とからなる、オレンジ状断面を有する、繊度2デニール、繊維長5mmの分割性繊維80mass%とを混合分散させたスラリーを、傾斜ワイヤー型短網方式により抄造して繊維ウエブを形成した。
【0031】
次いで、この繊維ウエブを温度120℃に設定された熱風循環式ドライヤーにより、繊維ウエブの乾燥と同時に芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分を融着させ、融着繊維ウエブを製造した。
【0032】
次いで、図6に示すような、誘電体3a、3bとしてポリテトラフルオロエチレン膜(厚さ:0.26mm、大きさ:200mm×250mm)を担持した、一対の平板状ステンレススチール電極2a、2b(大きさ:150mm×210mm)を、誘電体同士が対向するように配置した放電処理装置の電極間に、前記融着繊維ウエブ4を片面が誘電体3bと接触し、他面が誘電体3aと0.5mm離間するように配置した。次いで、大気圧下、空気中で、パルス電圧(電圧:10KVp、周波数:125Hz、立ち上がり時間:200ナノ秒)を両電極間に5分間印加して放電を発生させて親水化し、親水化繊維ウエブを製造した。
【0033】
次いで、この親水化繊維ウエブを100メッシュのネット上に載置し、径0.18mm、ピッチ0.6mmで一列にノズルを配置したノズルプレートから圧力10MPaの水流を親水化繊維ウエブに対して両面交互に2回づつ噴出して、絡合させると同時に分割性繊維を分割した。次いで、この水流を作用させた親水化繊維ウエブを温度120℃に設定された熱風循環式ドライヤーにより親水化繊維ウエブを乾燥すると同時に芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分を融着させて、面密度70g/m2、厚さ0.26mmの不織布を製造した。この不織布の引張り強さは178N/50mm幅であった。なお、この不織布はニッケル−水素電池のセパレータとして使用できる程度の十分な強度を有するものであった。
【0034】
(比較例)
放電処理による親水化処理を実施せず、直接水流を噴出したこと以外は、実施例と全く同様にして、面密度70g/m2、厚さ0.26mmの不織布を製造した。この不織布の引張り強さは135N/50mm幅であった。
【0035】
このように、親水化処理を実施した後に水流を作用させることにより、3割以上も引張り強さが向上することが確認できた。
【0036】
【発明の効果】
本発明の電池用セパレータの製造方法によれば、水流がポリオレフィン系分割性繊維に対して十分に作用して、十分に分割するとともに十分に絡合させることができ、十分な強度を有する電池用セパレータを効率的に製造できる。
【0037】
本発明の電池用セパレータは十分な強度を有しており、極板群に巻回しても破断しないものであったり、分割性繊維が十分に分割した電解液の保持性やショート防止性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分割性繊維の模式的な断面図
【図2】 本発明の他の分割性繊維の模式的な断面図
【図3】 本発明の他の分割性繊維の模式的な断面図
【図4】 本発明の他の分割性繊維の模式的な断面図
【図5】 本発明の他の分割性繊維の模式的な断面図
【図6】 実施例における放電処理装置の模式的断面図
【符号の説明】
1 分割性繊維
11 一成分
12 他成分
2a 電極
2b 電極
3a 誘電体
3b 誘電体
4 融着繊維ウエブ
Claims (5)
- ポリオレフィン系樹脂のみから構成され、水流により分割して極細繊維を発生可能な分割性繊維を含む繊維ウエブに対して、グラフト処理、スルホン化処理、フッ素ガス処理、放電処理の中から選ばれる親水化処理を実施した後、この親水化処理を実施した繊維ウエブに対して水流を噴出することを特徴とする、電池用セパレータの製造方法。
- 繊維ウエブが湿式法により形成されたものであることを特徴とする、請求項1記載の電池用セパレータの製造方法。
- 繊維ウエブ中に熱融着性繊維が含まれており、この熱融着性繊維が融着した繊維ウエブであることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の電池用セパレータの製造方法。
- 水流を噴出した後に、熱融着性繊維を融着させることを特徴とする、請求項3に記載の電池用セパレータの製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれかの方法により製造した電池用セパレータ。
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