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JP3752083B2 - 研磨剤及びその製造方法 - Google Patents

研磨剤及びその製造方法 Download PDF

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JP3752083B2
JP3752083B2 JP24889898A JP24889898A JP3752083B2 JP 3752083 B2 JP3752083 B2 JP 3752083B2 JP 24889898 A JP24889898 A JP 24889898A JP 24889898 A JP24889898 A JP 24889898A JP 3752083 B2 JP3752083 B2 JP 3752083B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体用シリコンウエハーやエレクトロニクス用セラミックス、ガラス等を研磨する研磨剤の製造方法に関する
【0002】
【従来の技術】
従来、工業用研磨剤として使用される研磨剤(砥粒)は、被研磨物に応じてそれぞれ適した材料の組成物から選ばれていた。例えば、溶融アルミナは汎用的な研磨剤の一つであって、ボ−キサイトから直接作られる褐色アルミナと、バイヤ−法で精錬された水酸化アルミニウムを原料として作られた白色アルミナがある。また、これらにジルコンが混合された研磨剤もあり、シリコンウエハ−、光学用ガラス、エレクトロニクス用セラミックスのラッピング剤の主流を占めている。
一般に研磨に使用される研磨剤の性能はその硬度、靭性、粒径と分布、さらには粒子形状によって研削速度、研削量、表面粗さ、スクラッチ等が決定づけられる。このうち、硬度と靭性は研磨剤の材料が本来もっている性質によって決まるものである。従って、同じ材料については、粒径とその分布、さらには粒子形状によって性能を調整するようになっている。
特に、粒径は研磨剤の性能に最も大きな影響を持つ要因である。粒径が大きいと研磨効率は高いが、研磨面が粗くなり、スクラッチ、チッピング等の欠陥が多くなる。一方、粒径の小さいものは研磨面の粗さは良好になるが、研磨速度が落ちるため通常粗研磨を施した後のいわゆる仕上げ研磨に使用される。
【0003】
さらに、実際に製造されている研磨剤は粒度分布を持っており、粗粒から細粒までを含むものであるため、粒度分布も重要な要因である。粗大粒子の存在はスクラッチ(引っ掻き傷)の原因となることが多く十分な管理が必要である、また極端な細粒は研磨に寄与しないので不要であるばかりか、その量が多いと研磨作用を阻害してむしろ悪い影響を及ぼす。従って一般的に粒度分布はなるべく狭く安定なものが研磨速度と研磨面の品質のバランスが良いとされており分級の大切さが重要視されている。また、粒子形状の研磨性能に及ぼす影響は重要であり、球形に近いものより扁平がかつたものあるいはエッジ、角を持ったものが研磨速度が大きいとされている。
【0004】
なお、現在使用されている半導体用シリコンウエハ−やエレクトロニクス用セラミックスを研磨する研磨剤の多くは、褐色アルミナ(Al2O3)とジルコン(ZrSiO4)の混合物を用い規定値内の粒子径として5ミクロン〜20ミクロンを設定し、それ以外の微粒子と粗粒子のものを除去して製造され用いられている。
また、ガラス研磨用研磨剤として酸化ジルコニウムを主成分としてアルミン酸カルシュウム、硫酸マグネシゥムを添加したもの、あるいは板状アルミナ単結晶粉体と上記研磨剤との混合物から成る研磨剤が提案されている。(特開平08−113773号、特開平03−146584号)
【0005】
以上のように、粒子形状、粒径及びその分布の組み合わせによつて、研磨速度と研磨面の品質がほぼ決定されるが、本来両者は、研磨速度が大きくなれば反対に研磨面が粗くなるという二律背反する性質を持つものであるから、両者のバランスをとった最適な粒子形状と粒径とが要求されている。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
前記のような従来の研磨剤においては、種々の問題点を考慮しながら製造されてきた。
しかし、このような前記研磨剤は、研磨時におけるスクラッチ(引っ掻き傷)の発生を防止するため、摩砕粉砕の時間を長く(過粉砕)して粒子表面の鋭角部分を球状に成るように削っているが、その過粉砕が原因で規定値内の粒子径の下限である5ミクロン以下の微粒子が多量に発生、原料の約40%程度がムダになる。従って、現在の研磨剤の多くは非常に高価で、しかも限りある貴重な資源を浪費してしまう問題点があった。
【0007】
一方、一旦使用された研磨剤は、研磨時に被研磨物から発生するセラミツクスやシリコン等の切削屑やラツプ盤から発生する鉄粉、さらには研磨剤自身が摩耗して発生する微粒子等の不純物が混在した状態になっているため、廃棄物として処理されているのが現状であつた。そこでこれらの問題を解決するため、研磨剤の回収方法も提案されている。(特開平08−003543号)
【0008】
前記特開平08−003543号の内容は使用済みの研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する褐色アルミナとジルコンサンドを主体とした研磨廃棄物を原材料として可溶性の不純物を化学的処理によって除去し、その後、粉砕処理して規定値外の微粒子を取り除く方法が記載されており、廃棄物の再利用としては優れている方法であった。
【0009】
しかしながら前記方法では化学処理として塩酸、硫酸等の強酸を使用するため作業時における危険性、さらにはこれらの排水処理の環境問題が大きくクロ−ズアップされ再現性および作業性に多くの制約があった。さらには原料自体の溶解時における成分比率の変化が発生しその特性が大きく失なわれてしまうという問題点を有していた。
【0010】
本発明は前記従来の問題点を解決するもので、その目的は、従来からの高い研磨性能を失うことなく精度よく、かつ製造歩留りが高く生産性や量産性に優れた研磨剤を安価に製造することが出来、さらには研磨廃棄物の減量化に大きく貢献し得る研磨剤及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、使用済みの溶融アルミナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物から成る研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨材廃棄物を研磨剤の基材とし、研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去する物理的処理工程と、温度1000〜1700℃の範囲内で熱処理する熱処理工程と、熱処理工程後の研磨剤廃棄物の基材を粉砕処理し規定値内の粒子径に分ける分級工程を備えた構成からなり、物理的処理工程が、使用済みの研磨材と研磨によって発生した不純物が混在する研磨剤廃棄物を湿式分散させ、磁力により金属不純物成分を除去する工程であることを特徴とするものである。 これにより、従来研磨廃棄物として処理されていた使用済みの研磨剤を再生することが可能に成り、未使用の研磨剤より優れた性能の研磨剤が安価に得られる。
【0012】
また、使用済みの溶融アルミナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物から成る研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去した後、新しい無機成分を添加して従来に無い新規な研磨剤を提供することができる
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、使用済みの溶融アルミナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物から成る研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物を研磨剤の基材とし、前記、研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去する物理的処理工程と、前記、不純物を除去した研磨剤廃棄物の基材を温度1000〜1700℃の範囲内で熱処理する熱処理工程と、前記、熱処理工程後の研磨剤廃棄物の基材を粉砕処理し規定値内の粒子径に分ける分級工程を備えた構成からなり、物理的処理工程が、使用済みの研磨材と研磨によって発生した不純物が混在する研磨剤廃棄物を湿式分散させ、磁力により金属不純物成分を除去する工程であることを特徴とするものである。
【0014】
尚、溶融アルナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物から成る研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物を研磨剤の基材として用いることにより、研磨剤表面の鋭角な部分がそのまま存在した微粒子になっており熱処理時に於ける焼結反応が容易になり、目的とする反応生成物を得るのに優れた作用効果を持った基材となる。
研磨剤の基材以外の不純物を除去する物理的処理を施すことにより純度が高く再現性の有る安定した研磨剤としての効果を持った基材となる。
不純物を除去した研磨剤廃棄物の基材を温度1000〜1700℃の範囲内で熱処理を施すことにより新しい結晶相を持った新規な研磨剤の基材を得る作用効果を有する。
尚、温度1000℃以下では粒子径が不安定であり研磨効果が小さく成るため好ましくない。温度1700℃以上では結晶粒子が著しく成長し粒子が脆くなるため安定した品質の研磨剤を得る効果が弱く成り好ましくない。
【0015】
熱処理後の研磨剤廃棄物の基材を粉砕処理し規定値内の粒子径に分ける分級を施すことにより廃棄物から全く新しい安定した新規な規定値内の粒子径を持った研磨剤を得る作用を有する。
【0016】
また、研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去する物理的処理工程として、使用済みの研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物を湿式分散させ磁力により金属不純物成分を除去する工程を備えた構成を有しているから、使用済みの研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物を湿式分散させる事により研磨剤と強固に付着していた金属不純物成分を研磨剤から分離分散させることが容易に成り磁力を利用する事によつて金属不純物を完全に除去する作用を有し、純度が高く再現性の有る安定した研磨剤としての作用効果を持った基材となる。
【0018】
本発明の請求項2に記載の発明は、使用済みの溶融アルミナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物から成る研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物を研磨剤の基材とし、前記研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去後、前記、溶融アルミナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物を含む研磨剤基材100に対して、MgO、CaO、Al2O3、ZnO、NiO、ZrO2、SiO2、CeO2、La2O3成分の内、1種または2種以上の合計が1〜15.5wt%の範囲内で添加し温度1000〜1700℃の範囲内で熱処理を施こすことを備えた構成から成るものである。
【0019】
尚、前記添加成分を範囲内の添加量で添加し1000〜1700℃の温度範囲で熱処理をすることによつて新しい結晶相を持った新規な研磨剤を得ることができ、さらには研磨剤としての優れた硬度、粒子形の物性特性を制御する作用を有し研磨剤の基材として良好な作用効果がある。
【0020】
添加成分の動作として、MgOの添加は反応生成物の温度幅を広げ安定した結晶粒子相の粒径を小さくコントロ−ルすることができるので緻密質の研磨剤粉末を得ることができる。CaOの添加は反応生成物の焼結温度幅を広げることができる。Al2O3の添加は反応生成物の焼結温度幅を広げ粉末粒子の硬度を高めることができる。ZnOの添加は反応生成物の焼結温度を下げ結晶粒径の成長を抑えることができる。NiOの添加は反応生成物の焼結温度幅を広げ焼結性を向上させるとともに緻密質の粉末粒子を得ることができる。ZrO2の添加は反応生成物の焼結温度幅を広げ焼結性を向上させるとともに硬度の高い粉末粒子を得ることができる。SiO2の添加は反応生成物の焼結温度幅を広げ焼結性を向上させるとともに硬度の高い粉末粒子を得ることができる。CeO2の添加は焼結温度幅を広げ焼結性を向上させるとともに緻密質の粉末粒子を得ることができる。La2O3の添加は結晶粒径の成長を抑えることができ、その結果、緻密質の粉末粒子を得ることができる。
【0021】
尚、研磨剤基材100に対して、添加物としてMgOが1wt%未満になるにつれ反応生成物の温度幅を広げ安定した結晶粒子相の粒径を小さくコントロ−ルすることができにくくなり、その結果、緻密質の研磨剤粉末を得ることが困難になるため好ましくない。MgOが15.5wt%を越えるにつれ粉末の焼結性が悪化し気孔量が大きくなる傾向が生じ好ましくない。CaOが1wt%未満になるにつれ反応生成物の焼結温度幅を広げる効果が小さい。CaOが15.5wt%を越えるにつれ緻密質の研磨剤粉末を得ることが困難になるため好ましくない。Al2O3が1wt%未満になるにつれ反応生成物の焼結温度を広げる効果が小さくなり、その結果、硬度の高い粉末を得る効果が弱くなる。Al2O3が15.5wt%を越えるにつれ粉末の焼結性が悪化し気孔量が大きくなる傾向が生じ好ましくない。
【0022】
ZnOが1wt%未満になるにつれ反応生成物の焼結温度を下げ安定した結晶粒径を得る効果が小さい。ZnOが15.5wt%を越えるにつれ粉末の焼結温度を下げ緻密性を高める効果が弱い。NiOが1wt%未満になるにつれ反応生成物の焼結温度幅を広げ焼結性を向上させる効果が小さい。NiOが15.5wt%を越えるにつれ緻密質の粉末粒子を得る効果が弱くなり好ましくない。
ZrO2が1wt%未満になるにつれ反応生成物の焼結温度幅を広げ焼結性を向上させる効果が弱くなり、その結果、硬度の高い粉末粒子を得ることができにくくなる。ZrO2が15.5wt%を越えるにつれ粉末の気孔量が大きくなる傾向が生じ好ましくない。
【0023】
SiO2が1wt%未満になるにつれ反応生成物の焼結温度幅を広げ焼結性を向上させる効果が小さい。SiO2が15.5wt%を越えるにつれ粉末の焼結性が不安定になり、その結果、硬度の高い粉末粒子を得ることができにくくなるため好ましくない。CeO2が1wt%未満になるにつれ焼結温度幅を広げ焼結性を向上させる効果が小さい。CeO2が15.5wt%を越えるにつれ粉末の焼結温度幅を広げる効果が小さくなり緻密質の粉末粒子を得ることが困難になる傾向が生じ好ましくない。
La2O3が1wt%未満になるにつれ安定した結晶粒径を得る効果が弱くなる。La2O3が15.5wt%を越えるにつれ安定した緻密質の粉末粒子を得る効果が小さくなる傾向が生じ好ましくない
【0024】
尚、上記成分を範囲内添加した研磨剤基材の熱処理において焼成温度が1000℃未満になるにつれ粉末の焼結が十分に進行しなく良好な粉末粒子が得られないので研磨効果が小さく成るため好ましくない。また、温度が1700℃以上では結晶粒子が著しく成長する傾向になるため粒子が脆くなり目的の諸特性が悪化するため好ましくなく品質の安定した研磨剤が得られないので生産性が劣り好ましくない。
【0025】
本発明の請求項に記載の発明は、温度1000〜1700℃の範囲内の熱処理後の研磨剤の主成分結晶相が、溶融アルミナ(Al2O3)とジルコン(ZrSiO4)の混合物相、また、ジルコニゥム(ZrO2)とムライト(Al2SiO5)の混合物相を備えた構成より成なるものである。
【0026】
尚、主成分結晶相が、溶融アルミナ(Al2O3)とジルコン(ZrSiO4)の混合物相の研磨剤は粒子が比較的硬く、研磨物の研削スピ−ドを高める作用を有する。また、ジルコニゥム(ZrO2)とムライト(Al2SiO5)の混合物相の研磨剤は粒子が比較的柔らかく、研磨物の表面品質を良好にする作用を有する。
【0027】
本発明の請求項に記載の発明は、熱処理工程後の研磨剤廃棄物の基材を粉砕処理し規定値内の粒子径として、5.0〜30.0ミクロンに分ける分級工程を施すことにより廃棄物から全く新しい安定した新規な規定値内の粒子径を持った幅の広い研磨剤を得る作用を有する。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、(表1)(表2)(表3)を用いて説明する。
【0030】
【表1】
Figure 0003752083
【0031】
【表2】
Figure 0003752083
【0032】
【表3】
Figure 0003752083
【0033】
【実施例】
次に、本発明の具体例を説明する。
本実施例における研磨剤の製造方法を実施例1及び2について説明する。
実施例1として、研磨剤の基材として、シリコンウエハ−を研磨して出来た使用済みの溶融アルナ(Al2O3、約56重量%)成分とジルコン(ZrSiO4、約42重量%)成分の混合物から成る研磨剤と研磨によって発生した不純物(約2重量%)とが混在する研磨剤廃棄物を研磨剤の基材として用いた。その研磨剤廃棄物は半固形状の(水分20%以下)であり、研磨剤が約65重量%以上で、且つ、溶融アルミナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物が約65重量%以上含まれており、また、混在する不純物はラップ盤より発生した約1重量%以下のFe成分(磁力で除去出来る物)と、1重量%以下のSi成分及びゴミ類等である。
【0034】
まず、研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去する物理的処理工程として、研磨剤廃棄物の基材を湿式分散させ50ミクロン以上のシリコンウエハ−、チップやゴミ類の不純物を篩いにかけ不純物を除去し、次いで約4500ガウス程度の磁力を有する永久磁石を用いFe成分を完全に取り除き、それをウレタン製ボ−ルミル中に投入しジルコニヤ玉石と水を加えた後12時間湿式混合で摩砕粉砕を行った。
【0035】
この摩砕粉砕物を熱風式の噴霧型乾燥スプレドライヤ−を用い乾燥粉末を得た。
次ぎに、熱処理工程として、この乾燥粉末を高純度のアルミナ製サヤ鉢の中に入れカンタルヒ−タを用いた電気炉により温度980〜1720℃の範囲内で熱処理を施した。
次ぎに、分級工程として、熱処理が施こされた焼成粉末物を粉砕し分級機にて分級を行い規定値内(5.0ミクロン、11.0ミクロン、17.0ミクロン)の粒子径に分け研磨剤を得た。
【0036】
上記のようにして得られた再生品研磨剤と比較のため未使用の新品研磨剤の化学成分およびX線回折分析を施した結果を表1に示した。尚、範囲外の実施例には*印を付与した。
表1より明らかなようにNO1〜NO5の熱処理温度が比較的低い980〜1400℃の温度範囲ではアルミナ系結晶形(コランダム、Al2O3)とジルコン系結晶形(ZrSiO4)とSiO2,不明相の混合物形で形成されている。また、No2〜No5はSiO2及び不明相がほとんど消失されていることが判明した。
また、NO6〜NO10の熱処理温度が高い1500〜1720℃の温度範囲ではジルコニヤ系結晶形(ZrO2)とムライト系結晶形(Al2SiO5)の2相の混合物形で形成されていることが判明した。
また、化学成分結果より明らかなように再生品研磨剤NO2〜9は、新品研磨剤と比較して、化学成分値においても同等であり、全く遜色の無いことが確認できた。しかし、NO1の熱処理温度が980℃と低い試料ではFe成分が多く含まれており、そしてX線回折結果では不明相が析出し好ましくない傾向にあった。
また、NO10の熱処理温度が1720℃と高い試料では粉末の粉砕が著しく困難になり実用的ではなかった。
【0037】
次ぎに、再生品研磨剤と新品研磨剤を用い研磨性能テストを行い表2に示した。
テスト方法としては再生品研磨剤を粒度約17ミクロンおよび約10ミクロンおよび約5ミクロンに分け各々水とラッピングオイルに懸濁(スラリ−)させ、ラップ盤を用いて被研磨物(3インチφシリコンウエハ−を20枚を用い)を研磨して性能テスト(研削速度、表面粗さ、スクラッチ)を次の要領で実施した。
研削速度−ラッピング機械としてSPEED FAM社製マシンを用い、3インチφ用のキャリアを加重100g/cm2、回転数60rpm、スラリ−注入量100ml/分で研磨した。研磨用スラリ−の組成は、研磨剤600gに対してラッピングオイル450ml、水2250mlである。
表面粗さ−粗さ計(東京精密製)を用い被研磨物表面の粗さを測定した。
スクラッチ−50倍の光学顕微鏡用い表面のスクラッチを測定した。
【0038】
表2の結果より明らかなように、再生品研磨剤NO1〜NO2の熱処理温度が低い980℃では研磨剤の粒度に多少は関係しているが研磨速度が遅く、スクラッチでは20枚中3〜5枚が不良となり好ましくない傾向にあった。
しかし、範囲内のNO3〜NO10では研磨速度、表面粗さ、スクラッチ等全ての特性において良好な結果が得られた。特にNO5〜NO6の熱処理温度が1300℃の試料が著しく安定で良好な特性を示しており、NO12の比較例と比べ、むしろ研磨速度は良好な結果が得られた。
【0039】
尚、NO7〜NO10で熱処理温度が高い試料では研磨速度が比較的遅くなる傾向にあった、しかし、表面粗さは良好であった。これらの結果から、おそらく生成する結晶相との関係があるものと考えられる。即ち、NO3〜NO6ではアルミナ系結晶形(Al2O3)とジルコン系結晶形(ZrSiO4)の2相の混合物形で形成(表1を参照)されているが、NO7〜NO10の熱処理温度が高い1500〜1700℃ではジルコニヤ系結晶形(ZrO2)とムライト系結晶形(Al2SiO5)の2相の混合物形で形成(表1を参照)されていることに起因するものと考えられる。これらの結果より、粉末の粒度との関係もあるが被研磨物の表面仕上げには熱処理温度の高い研磨剤を使用することが好ましい。またNo13〜No14の粒度が範囲外である3μm及び35μmでは、特性が悪いものであった。
【0040】
実施例2として、実施例1で得た研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去した基材100に対して、MgO、CaCO3、Al2O3、ZnO、NiO、ZrO2、SiO2、CeO2、La2O3成分等を用い表3の添加量になるように秤量し配合した。配合された原料をウレタン製ボ−ルミル中に投入しジルコニヤ玉石と水を加えた後12時間湿式混合で摩砕粉砕を行った。
この摩砕粉砕物を熱風式の噴霧型乾燥スプレドライヤ−を用い乾燥粉末を得た。
次ぎに、熱処理工程として、この乾燥粉末を高純度のアルミナ製サヤ鉢の中に入れカンタルヒ−タを用いた電気炉により温度980〜1720℃の範囲内で熱処理を施した。尚、熱処理を施した粉末にX線回折分析を施した結果も表3に示した。
【0041】
次ぎに、分級工程として、熱処理が施こされた焼成粉末物を粉砕し乾式型分級機にて分級を行い規定値内(5.0〜30.0ミクロン )の粒子径に分け研磨剤を得た。以上のようにして得られた粒度約11ミクロンの試料を用い、研磨テスト(テスト方法しとしては実施例1と同様な方法で実施した)を行い表3に示した。
表3の結果より明らかなように、試料NO1〜NO4は添加物であるAl2O3成分の添加量を変化させ熱処理温度を1300℃一定とした。その結果、NO2〜NO3は特性的にも安定した値であるが添加量の少ないNO1および添加量の多いNO4は特性的にも不安定な値であった。
【0042】
試料NO5〜NO12は添加物であるAl2O3成分2.5wt%、ZrO2成分2.5wt%と添加量を一定にして熱処理温度を980℃〜1720℃に変化させた。その結果、NO5〜NO9では結晶相がアルミナ系結晶形(Al2O3)とジルコン系結晶形(ZrO2・SiO2)の2相の混合物形で形成されていることが判明した、研磨テストではNO6〜NO9が良好であり、特にNO8の熱処理温度が1300℃の試料は研磨速度が早く顕著であった。
NO10〜NO12の熱処理温度が高い所の結晶相はジルコニヤ系結晶形(ZrO2)とムライト系結晶形(Al2SiO5)の2相の混合物形で形成されていることが判明した、研磨テストにおいて研磨速度は遅くなるが表面粗さは良好であった、しかし範囲外のNO12では悪い特性であった。
【0043】
また、NO13〜NO14、NO16〜NO17の試料に於いても良好な特性を示しており、特に添加物としてLa2O3成分3.0Wt%、Al2O3成分3.0Wt%、SiO2成分3.0Wt%、ZrO2成分3.0Wt%を添加したNO16の粉末は結晶粒形が鋭く緻密質で良好な研磨剤であり研磨テストも良好な特性であった。
しかし、添加量が15.5Wt%を越えている、範囲外のNO15では、表面粗さが著しく悪く、また、スクラッチテストにおいて、20枚中3枚の不良であった。
これらの結果より範囲内の実施例では研磨剤として十分な機能を果たすものであることが確認できた。
以上本発明の実施例について説明をしたが、もちろん本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば実施例2で添加物として酸化物を用いたが他の塩類あるいは化合物を用いることも可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上から明らかなように本発明によれば、従来廃棄物として処理されていた使用済みの溶融アルナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物から成る研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物を研磨剤の基材とし、研磨剤の基材以外の不純物を除去する物理的処理工程と、不純物を除去した研磨剤の基材を熱処理する熱処理工程と、熱処理工程後の研磨剤の基材を粉砕処理し規定値内の粒子径に分ける分級工程を備えた構成より成る研磨剤の製造方法であり、廃棄物から全く新しい安定した新規な研磨剤を得る作用を持った有効な効果がある。
【0045】
また、使用済みの研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物を湿式分散させ磁力を利用する工程を備えた事によつて金属不純物を完全に除去する作用を有し、純度が高く再現性の有る安定した研磨剤としての効果を持った基材となる。
また、不純物が混在する研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去した後、新しい無機成分を添加し、さらに熱処理と熱処理工程後の研磨剤の基材を粉砕処理し規定値内の粒子径に分ける分級工程を備えたことにより新規な結晶相を持った新しい安定した研磨剤を得る有効な効果がある。
【0046】
そして、従来の汎用の研磨剤より研磨速度と研磨面の品質を改善した性能の特性を持ち、しかも資源を有効に利用することが出来、さらに製造歩留が高く、安定した信頼性の高い生産性や量産性高く製造することができる有効な効果を有する。
そして、得られた研磨剤は安価で安定した新しい品質の研磨剤であるという効果を有する。また、廃棄処理が必要な研磨剤廃棄物を大幅に減少することが出来るため、環境問題の改善に貢献すると共に、廃棄物処理に要するムダなコストを削減することも出来る。

Claims (4)

  1. 使用済みの溶融アルミナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物から成る研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物を研磨剤の基材とし、前記研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去する物理的処理工程と、前記不純物を除去した研磨剤廃棄物の基材を温度1000〜1700℃の範囲内で熱処理する熱処理工程と、前記熱処理工程後の研磨剤廃棄物の基材を粉砕処理し規定値内の粒子径に分ける分級工程から成る研磨剤の製造方法であって、
    前記物理的処理工程が、使用済みの研磨材と研磨によって発生した不純物が混在する研磨剤廃棄物を湿式分散させ、磁力により金属不純物成分を除去する工程である事を特徴とした研磨剤の製造方法。
  2. 使用済みの溶融アルミナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物から成る研磨剤と研磨によって発生した不純物とが混在する研磨剤廃棄物を研磨剤の基材とし、前記研磨剤廃棄物から研磨剤の基材以外の不純物を除去後、前記溶融アルミナ(Al2O3)成分とジルコン(ZrSiO4)成分の混合物を含む研磨剤基材100に対して、MgO、CaO、Al2O3、ZnO、NiO、ZrO2、SiO2、CeO2、La2O3成分の内、1種または2種以上の合計が1〜15.5wt%の範囲内で添加し温度1000〜1700℃の範囲内で熱処理を施した事を特徴とした研磨剤の製造方法。
  3. 温度1000〜1700℃の範囲内の熱処理後の研磨剤の主成分結晶相が、溶融アルミナ(Al2O3)とジルコン(ZrSiO4)の混合物相または、ZrO2とAl2SiO5相より成っている事を特徴とした請求項1または2記載の研磨剤の製造方法。
  4. 熱処理工程後の研磨剤廃棄物の基材を粉砕処理し規定値内の粒子径として、5.0〜30.0ミクロンに分ける分級工程から成る事を特徴とした請求項1または2記載の研磨剤の製造方法
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