JP3751132B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の運転状態に応じて吸気弁や排気弁である機関弁の開閉時期を可変制御する可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の内燃機関の可変動弁装置としては種々提供されており、その一つとして本出願人が先に出願した特開平5−202718号公報に記載されたものがある。
【0003】
図11に基づいて概略を説明すれば、この可変動弁装置は、多気筒機関のクランク軸からスプロケットを介して回転力が伝達される駆動軸1と、該駆動軸1の外周側に同軸上に相対回転自在に設けられたカムシャフト2と、各気筒毎に分割された該カムシャフト2の分割端部間に設けられた制御機構3とを備えている。前記各カムシャフト2は、夫々外周に1気筒当たり2つの吸気弁4,4をバルブリフター5,5を介してバルブスプリングのばね力に抗して開作動させる2個のカム6,6を一体に有していると共に、シリンダヘッド7上の一対のカム軸受8,9によって回転自在に支持されている。
【0004】
前記制御機構3は、各カムシャフト2の一端部に一体に設けられた円環状の第1フランジ部10と、駆動軸1の所定外周位置に固定ピン11によりスリーブ12aを介して固定されて、前記第1フランジ部10に対向する円環状の第2フランジ部12と、両フランジ部10,12間に介装されて駆動軸1の軸心Xから略径方向へ揺動自在に設けられた略円環状のディスクハウジング14と、該ディスクハウジング14の内周に有する大径な支持孔内にプレーンベアリング13を介して回転自在に保持された環状ディスク16とを備えている。また、前記固定ピン11は、スリーブ12aと駆動軸1の内部に直径方向に沿って貫通形成された固定用孔15内に圧入して両者1,12aを連結固定するようになっている。
【0005】
また、前記前記ディスクハウジング14は、直径方向の一端部がシリンダヘッド7の上端部に機関前後方向に沿って延設された図外の支軸によって回転自在に支持されていると共に、他端部が駆動機構により揺動するようになっている。更に、第1,第2フランジ部10,12の外周部には、互いに180°位置に細長い係合溝17,18が半径方向に沿って形成されている一方、環状ディスク16の両側面には、互いに反対方向に突出して前記各係合溝17,18に係合するピン19a,19bが突設されている。この各ピン19a,19bと各係合溝17,18によって連係機構が構成されている。
【0006】
そして、例えば機関の高回転時には、ディスクハウジング14が揺動せずに、環状ディスク16の中心が駆動軸1の軸心Xに合致する一方、機関の低回転時には、図外の駆動機構によりディスクハウジング14が支軸を支点として揺動し、環状ディスク16を駆動軸1の軸心Xに対して偏心動させて、駆動軸1とカムシャフト2との回転位相差を変化させて機関弁の開閉時期を機関運転状態に応じて可変制御するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の可変動弁装置にあっては、駆動軸1とスリーブ12aに連続的に穿設された固定用孔15が、図12に示すように駆動軸1の直径方向、つまりその軸線Qが駆動軸1の軸心Xを横切るように形成されており、したがって、固定ピン11が駆動軸1とスリーブ12aの中心を串刺し状態に圧入されることになる。
【0008】
一方、第2フランジ部12のスリーブ12aは、駆動軸1の外周面に圧入によって挿通配置されるようになっている。
【0009】
このため、前記固定用孔15は、駆動軸1側の孔部15aとスリーブ12a側の孔部15bとはその対向する開口縁同士が合致しなければならないが、実際上の孔開け加工は、駆動軸1側とスリーブ12a側では別々に行われるため、各孔部15a,15bが互いに位置ずれを起こすおそれがある。したがって、かかる両孔部15a,15bの高い孔開け加工精度が要求され、該加工コストが高くなってしまう。尚、スリーブ12aを駆動軸1に圧入して所定位置に位置決めした後に、固定用孔15をドリル等で連続的に孔開け加工することも考えられるが、この時点では他の構成部品も一緒に組み付けられているため、加工時の切り粉が各構成部品の摺動部間に喰み込まれてしまうおそれがある。
【0010】
また、多気筒機関では、気筒の数に対応した複数のスリーブ12aを挿通孔12bを介して駆動軸1に圧入する際に、該駆動軸1の外周面を傷付けてしまう可能性があるため、慎重な圧入作業が要求され、該作業が煩雑になることは否めない。
【0011】
そこで、スリーブ12aを圧入ではなく、隙間嵌めによって駆動軸1の外周面に嵌挿させる方法もあるが、この方法では、スリーブ12aの挿通孔12b内周面と駆動軸1の外周面1aとの間に微少隙間が形成されているため、カムシャフト2に発生する正負の回転トルク変動等に起因して、固定用孔15と固定ピン11との間にガタが発生し易くなる。すなわち、両者1,12a間の隙間によって該駆動軸1とスリーブ12aが相対的に自由に回動可能になっており、しかも固定ピン11が駆動軸1の中心を貫通しているので、たとえ固定ピン11で中心の一部を固定しても激しい回転トルク変動により長期間経過後に固定ピン11と固定用孔15の孔縁との間に偏荷重による大きな隙間が発生して、両者1,12a間にガタ付きが生じて異音が発生したり固定ピン11が固定用孔15に対して緩んだり、抜けなどが発生し易くなる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記従来の可変動弁装置の実情に鑑みて案出されたもので、請求項1記載の発明は、燃焼室を開閉する機関弁と、機関のクランク軸によって回転駆動し、外周に回転カムが固定された駆動シャフトと、該駆動シャフトにほぼ平行に配設された制御軸に制御カムを介して揺動自在に軸支され、一端部が当接した前記回転カムの回転により揺動するロッカアームと、前記駆動シャフトに支承されて、ロッカアームの他端部の押圧力によって前記機関弁を開作動させる揺動カムと、駆動シャフトと回転カムの内部ほぼ径方向に沿って形成された固定用孔に圧入して駆動シャフトに回転カムを固定する固定ピンと、前記制御軸を所定角度範囲で回転させるアクチュエータと、該アクチュエータを機関運転状態に応じて駆動制御する制御手段とを備えた可変動弁装置であって、前記固定ピンが圧入される固定用孔を、その軸線が駆動シャフトと軸心から偏倚した位置となるように穿設したことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記固定ピンの側縁を長手方向に沿ってテーパ面状に切欠形成したことを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記固定ピンの側縁を長手方向に沿ってほぼ均一幅の平坦面状に切欠形成したことを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明の内燃機関の可変動弁装置の実施形態ではないが、前記従来技術で説明した可変動弁装置に適用した参考例として記載したものである。
【0017】
すなわち、シリンダヘッド7の上方に機関前後方向に沿って配置された駆動軸1と、駆動軸1の外周側に相対回転自在に設けられたカムシャフト2と、該カムシャフト2の外周に一体に設けられた2個のカム6,6と、該カム6,6によって開作動する1気筒当たり2つの吸気弁4,4とを備えていると共に、各カムシャフト2の分割端部間に設けられた制御機構3を備えている。
【0018】
この制御機構3は、カムシャフト2の一端部に一体に設けられた第1フランジ部10と、駆動軸1の所定外周位置に固定ピン20によりスリーブ12aを介して固定された第2フランジ部12と、駆動軸1の軸心Xからほぼ径方向へ揺動自在に設けられたディスクハウジング14と、ディスクハウジング14の内周面にプレーンベアリング13を介して回転自在に保持された環状ディスク16とを備えている。前記スリーブ12aは、内部軸方向に駆動軸1が隙間嵌めによって嵌挿する挿通孔12bが形成されていると共に、図1にも示すように両側が接線方向から平行に切欠されて両側面12c,12dが二面巾状に形成されている。
【0019】
また、ディスクハウジング14は、駆動機構によって揺動されるようになっている。さらに、第1,第2フランジ部10,12の外周部には、係合溝17,18が半径方向に沿って形成されている一方、環状ディスク16両側には互いに反対方向に突出して各先端部が各係合溝17,18に係合するピン19a,19bが回転自在に支持されており、この係合溝17,18とピン19a,19bによって連係機構が構成されている。
【0020】
そして、前記固定ピン20が圧入される固定用孔21は、図1に示すようにスリーブ12aと駆動軸1のほぼ接線方向に沿って貫通形成されていると共に、その中心軸線Qが駆動軸1の軸心Xを通ることなく、軸心Xから外側へ偏倚した側部位置に配置されている。すなわち、固定用孔21のスリーブ12a側の孔部21bは、両側面12c,12d間の一側部を接線方向に沿って貫通形成されて、中央の一部が前記挿通孔12bに露出している一方、駆動軸1側の孔部21aは、外周面の一部が接線方向に横断面円弧状に切欠形成されてなり、前述の挿通孔12bに臨んだ分の領域となっている。
【0021】
また、前記固定ピン20は、円柱状に形成されて、その長さが前記固定用孔21の長さより若干短く形成されていると共に、その外径が固定用孔21の内径よりも若干大きく設定されて圧入するようになっている。
【0022】
したがって、この参考例によれば、機関運転状態に応じて駆動機構によりディスクハウジング14を揺動させて環状ディスク16の中心を駆動軸1の軸心Xに対して偏心させることにより、吸気弁4,4の開閉時期を可変制御する作用については従来と同様であるが、固定用孔21の特異な形成位置によって以下のような作用効果が得られる。
【0023】
すなわち、各構成部品を組み付ける前に、前記固定用孔21をドリル等で予め穿設しておくが、この場合、スリーブ12a側の孔部21bと駆動軸1側の孔部21aとは夫々別々に孔開け加工されている。
【0024】
そして、各構成部品の組立時に、まず駆動軸1の所定外周面にスリーブ12aの挿通孔12bを介して隙間嵌めより保持させ、次に、図3A〜Cに示すようにスリーブ12aの一側面12cを支持体24の端面に当接させて、固定ピン20を押出治具23によって他側面12d側の固定用孔21の一端開口から内部へ圧入する。
【0025】
ここで、駆動軸1側の孔部21aとスリーブ12a側の孔部21bが若干ずれていたとしても、固定用孔21が駆動軸1の軸心Xから偏倚しているため、駆動軸1を左右へわずかに回転させながら圧入すれば、前記ずれが解消されて、固定用ピン20の先端が駆動軸1側の孔部21a端縁に引っ掛かることなく比較的スムーズに圧入することが可能になる。
【0026】
しかも、固定ピン20の圧入によって駆動軸1とスリーブ12aが互いに離間する方向への力が作用するため、該両者1,12a間の結合摩擦抵抗が大きくなり自由な相対回転が確実に規制されてガタ付きの発生が防止される。
【0027】
また、固定ピン20により駆動軸1にスリーブ12aが固定されて、各構成部品の組み付けが完了して機関が駆動されると、カムシャフト2に発生する回転トルク変動によってスリーブ12aと駆動軸1に相対的な回転力が作用するが、両者1,12aは前述のように固定ピン20によって強固に連結固定されているため、該固定ピン20自体も固定用孔21内でガタ付くことなく強固に保持されている。したがって、ガタによる異音の発生や固定ピン20の緩み、抜け出し等が確実に防止される。
【0028】
尚、駆動軸1とスリーブ12aとは、隙間嵌めによる嵌合であるため、各スリーブ12aを嵌挿時における駆動軸1外周面への傷の発生が防止され、その嵌挿作業性が容易になることは勿論である。
【0029】
図4〜図6は本発明の第1の実施形態を示し、可変動弁装置の構造が先の参考例のものと異なっている。
【0030】
すなわち、この可変動弁装置は、シリンダヘッド31に図外のバルブガイドを介して摺動自在に設けられた一対の吸気弁32,32と、シリンダヘッド31上部のカム軸受34に回転自在に支持された中空状の駆動シャフトであるカムシャフト33と、該カムシャフト33に、固定ピン21により固設された回転カムである2つの偏心カム35,35と、該カムシャフト33の上方位置に同じカム軸受34に回転自在に支持された制御軸36と、該制御軸36に制御カム37を介して揺動自在に支持された一対のロッカアーム38,38と、各吸気弁32,32の上端部に伝達部材であるバルブリフター39,39を介して配置された一対のそれぞれ独立した揺動カム40,40とを備えている。また、前記偏心カム35,35とロッカアーム38,38とはリンクアーム45,45によって連係されている一方、ロッカアーム38,38と揺動カム40,40とはリンク部材46,46によって連係されている。
【0031】
前記カムシャフト33は、機関前後方向に沿って配置されていると共に、一端部に設けられた図外の従動スプロケットや該従動スプロケットに巻装されたタイミングチェーン等を介して機関のクランク軸から回転力が伝達されている。
【0032】
前記カム軸受34は、図4に示すようにシリンダヘッド31の上端部に設けられてカムシャフト33の上部を支持するメインブラケット34aと、該メインブラケット34aの上端部に設けられて制御軸36を回転自在に支持するサブブラケット34bとを有し、両ブラケット34a,34bが一対のボルト34c,34cによって上方から共締め固定されている。
【0033】
前記両偏心カム35は、図4,図5に示すように、ほぼリング状を呈し、小径なカム本体35aと、該カム本体35aの外端面に一体に設けられたフランジ部35bとからなり、内部軸方向にカムシャフト挿通孔35cが貫通形成されていると共に、カム本体35aの軸心Xがカムシャフト33の軸心Yから径方向へ所定量だけオフセットしている。また、この各偏心カム35は、カムシャフト33に対し前記両バルブリフター39,39に干渉しない両外側に配置されていると共に、両方のカム本体35a,35aの外周面35d,35dが同一のカムプロフィールに形成されている。
【0034】
また、この偏心カム35は、フランジ部35bとカムシャフト33にほぼ接線方向に沿って貫通形成された固定用孔21に圧入した前記固定ピン20によって、カムシャフト33の前記所定位置に固定されている。具体的に説明すれば、前記固定用孔21は、図4に示すようにその中心軸線Qがカムシャフト33の軸心Xを通ることなく外側へ偏倚した側部位置に形成されている。つまり、フランジ部35b側の孔部21bは2面巾状にカットされたフランジ部35bの両側面35e,35f間の一側部を接線方向に沿って貫通形成されて中央の一部がカムシャフト挿通孔35cに露出している一方、カムシャフト33側の孔部21aは、外周面の一部が接線方向から切欠されて横断面円弧状に形成されてなり、前述のカムシャフト挿通孔35cに臨んだ分の領域に形成されている。
【0035】
また、固定ピン20は、円柱状に形成され、その長さが固定用孔21の長さよりも若干短くかつその外径が固定用孔21の内径よりも若干大きく設定されて圧入されるようになっている。
【0036】
前記各ロッカアーム38は、図6に示すように平面からみてほぼクランク状に折曲形成され、中央に有する基部38aが制御カム37に回転自在に支持されている。また、各基部38aの各外端部に突設された一端部38bには、前記ピン41が圧入するピン孔38dが貫通形成されている一方、各筒状基部38aの各内端部に夫々突設された他端部38cには、各リンク部材46の後述する一端部46aと連結するピン48が圧入するピン孔38eが形成されている。
【0037】
前記各制御カム37は、夫々円筒状を呈し、制御軸36外周に固定されていると共に、図4に示すように軸心P1位置が制御軸36の軸心P2からα分だけ偏倚している。
【0038】
前記揺動カム40は、図4に示すようにほぼ横U字形状を呈し、ほぼ円環状の基端部42にカムシャフト33が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔42aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム38の他端部38c側に位置する端部43にピン孔43aが貫通形成されている。また、揺動カム40の下面には、基端部42側の基円面44aと該基円面44aから端部43端縁側に円弧状に延びるカム面44bとが形成されており、該基円面44aとカム面44bとが、揺動カム40の揺動位置に応じて各バルブリフター39の上面所定位置に当接するようになっている。すなわち、図4に示すように基円面44aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、カム面44bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2がいわゆるランプ区間となり、さらにカム面44bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
【0039】
また、前記リンクアーム45は、比較的大径な円環状の基部45aと、該基部45aの外周面所定位置に突設された突出端45bとを備え、基部45aの中央位置には、前記偏心カム35のカム本体35aの外周面に回転自在に嵌合する嵌合孔45cが形成されている一方、突出端45bには、前記ピン41が回転自在に挿通するピン孔45dが貫通形成されている。
【0040】
さらに、前記リンク部材46は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部46a,46bには前記ロッカアーム38の他端部38cと揺動カム40の端部43の各ピン孔38d,43aに圧入した各ピン48,49の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔46c,46dが貫通形成されている。
【0041】
尚、各ピン41,48,49の一端部には、リンクアーム45やリンク部材46の軸方向の移動を規制するスナップリング50,51,52が設けられている。
【0042】
前記制御軸36は、一端部に設けられた図外の電磁アクチュエータによって所定回転角度範囲内で回転するように制御されており、前記電磁アクチュエータは、機関の運転状態を検出する図外のコントローラからの制御信号によって駆動するようになっている。コントローラは、クランク角センサやエアーフローメータ,水温センサ等の各種のセンサからの検出信号に基づいて現在の機関運転状態を演算等により検出して、前記電磁アクチュエータに制御信号を出力している。
【0043】
以下、本実施態様の作用を説明すれば、まず、機関低速低負荷時には、コントローラからの制御信号によって電磁アクチュエータが一方に回転駆動される。このため、制御カム37は、軸心P1が制御軸36の軸心P2から左上方の回動位置に保持され、厚肉部37aがカムシャフト33から上方向に離間移動する。このため、ロッカアーム38は、全体がカムシャフト33に対して上方向へ移動し、このため、各揺動カム40は、リンク部材46を介して端部43が強制的に若干引き上げられて全体が左方向へ回動する。
【0044】
したがって、偏心カム35が回転してリンクアーム45を介してロッカアーム38の一端部38bを押し上げると、そのリフト量がリンク部材46を介して揺動カム40及びバルブリフター39に伝達されるが、そのリフト量は比較的小さくなる。
【0045】
よって、かかる低速低負荷域では、バルブリフト量が小さくなると共に、各吸気弁32の開時期が遅くなり、排気弁とのバルブオーバラップが小さくなる。このため、燃費の向上と機関の安定した回転が得られる。
【0046】
一方、機関高速高負荷時に移行した場合は、コントローラからの制御信号によって電磁アクチュエータが反対方向に回転駆動される。したがって、制御軸36が、制御カム37を時計方向に回転させ、軸心P1(厚肉部37a)を下方向へ移動させる。このため、ロッカアーム38は、今度は全体がカムシャフト33方向(下方向)に移動して他端部38cが揺動カム40の上端部43をリンク部材46を介して下方へ押圧して該揺動カム40全体を所定量だけ時計方向へ回動させる。
【0047】
したがって、揺動カム40のバルブリフター39上面に対する下面の当接位置が左方向位置に移動する。このため、偏心カム35が回転してロッカアーム38の一端部38bをリンクアーム45を介して押し上げると、バルブリフター39に対するそのリフト量は大きくなる。
【0048】
よって、かかる高速高負荷域では、カムリフト特性が低速低負荷域に比較して大きくなり、バルブリフト量も大きくなると共に、各吸気弁32の開時期が早くなると共に、閉時期が遅くなる。この結果、吸気充填効率が向上し、十分な出力が確保できる。
【0049】
このように、本実施態様では、各吸気弁32の開閉時期やバルブリフト量を可変にできることは勿論のこと、カムシャフト33に、各偏心カム35と各揺動カム40とを同軸上に設けたため、機関巾方向の配置スペースを十分に小さくすることができる。また、各ロッカアーム38も機関巾方向へ延設する必要がなくカムシャフトの直上位置にヘ字形の小型な形状に形成できるため、装置全体のコンパクト化が図れる。この結果、装置の機関への搭載性が向上する。また、カムシャフト33の配置を変更することなく、現行のカムシャフト33の配置によって装置を装着できるため、この点でも機関への搭載性が良好になる。
【0050】
しかも、この実施形態によれば、固定用孔21がカムシャフト33の軸心Xを通ることなく偏倚した位置に穿設されているため、固定ピン20のスムーズな挿通性が得られると共に、カムシャフト33と偏心カム35との摩擦抵抗が大きくなって、たとえカムシャフト33に回転トルク変動が発生してもガタによる異音の発生や固定ピン20の緩み等が防止される。
【0051】
また、前記固定ピン20は、図7及び図8に示すように側面20a長手方向に沿ってテーパ状に折曲形成することも可能であり、このようにすれば、前述の作用効果を満足しつつ固定用孔21に対する固定ピン20の挿通作業が容易になる。また、この場合、カムシャフト33側の孔部21aは、図9に示すように横断面円弧状ではなく、平坦状に形成されている。したがって、一側面20aと孔部21aの当接面が比較的大きくとれるため、固定ピン20によるカムシャフト33と偏心カム35との固定がより強固となる。尚、この場合は固定ピン20の不用意な抜け出しを防止するため固定用孔21の両端縁21c,21dをかしめてある。
【0052】
さらに、固定ピン20の別の態様としては、図10に示すようにテーパ状ではなく、一側面20a全体を平坦状に形成することも可能であり、カムシャフト33側の孔部21aも平坦状に形成されて、挿通後には一側面20aが孔部21aの平面に当接するようになっている。したがってこの場合は、固定ピン20の挿通作業が容易になると共に、固定ピン20はテーパ面にて、ピン軸方向に荷重が発生しないから、固定ピン20が脱落しづらい。したがって前述の如く、カシメ作業が不要になる。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、機関弁の開閉時期を機関運転状態に応じて高精度に可変制御できることは勿論のこと、固定用孔を駆動シャフトの軸心から偏倚した位置に形成したため、固定用孔に対する固定ピンの圧入作業が容易になると共に、駆動シャフトと偏心カムとの間に互いに離間する方向に力が作用して各両者間に大きな摩擦抵抗が発生して強固に固定でき、ガタ付きの発生が防止できる。この結果、ガタ付きによる異音の発生や、長期間経過後における固定ピンの緩み等が防止される。
【0054】
また、請求項2に記載の発明によれば、固定用孔に対する固定ピンの圧入作業がさらに容易になる。
【0055】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、固定ピンの圧入作業が容易になると共に、固定用孔へ強固に固定させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例を示す第2のA−A線断面図。
【図2】 同参考例の縦断面図。
【図3】 A,B,Cはこの参考例に供される固定用孔に固定ピンを圧入する作業工程を示す説明図。
【図4】 本発明の第1実施形態を示す図5のB−B線断面図。
【図5】 本実施形態の側面図。
【図6】 本実施形態の平面図。
【図7】 固定ピンと固定用孔の他例を示す断面図。
【図8】 固定ピンの斜視図。
【図9】 固定用孔を示すカムシャフトの部分斜視図。
【図10】 固定ピンのさらに異なる例を示す断面図。
【図11】 従来の可変動弁装置を示す縦断面図。
【図12】 図11のC−C線断面図。
Claims (3)
- 燃焼室を開閉する機関弁と、機関のクランク軸によって回転駆動し、外周に回転カムが固定された駆動シャフトと、該駆動シャフトにほぼ平行に配設された制御軸に制御カムを介して揺動自在に軸支され、一端部が当接した前記回転カムの回転により揺動するロッカアームと、前記駆動シャフトに支承されて、ロッカアームの他端部の押圧力によって前記機関弁を開作動させる揺動カムと、駆動シャフトと回転カムの内部ほぼ径方向に沿って形成された固定用孔に圧入して駆動シャフトに回転カムを固定する固定ピンと、前記制御軸を所定角度範囲で回転させるアクチュエータと、該アクチュエータを機関運転状態に応じて駆動制御する制御手段とを備えた可変動弁装置であって、
前記固定ピンが圧入される固定用孔を、その軸線が駆動シャフトと軸心から偏倚した位置となるように穿設したことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。 - 前記固定ピンの側縁を長手方向に沿ってテーパ面状に切欠形成したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 前記固定ピンの側縁を長手方向に沿ってほぼ均一幅の平坦面状に切欠形成したことを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の可変動弁装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27872297A JP3751132B2 (ja) | 1997-10-13 | 1997-10-13 | 内燃機関の可変動弁装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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