JP3750843B2 - リング状プレス成形品の据え込み増肉方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は増肉の度合を高めるのに有利なリング状プレス成形品の据え込み増肉方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレス成形品として、リング部と、リング部の中心軸芯に沿って延設された筒部とをもつリング状プレス成形品が提供されている。
このプレス成形品は、薄板に対してプレス加工を適宜施すことにより成形されている。このプレス成形品は薄板の成形により構成されているため、鍛造品等とは異なり、肉厚を薄くでき、軽量化および価格の面等において有利である。
【0003】
しかしながら種々の理由により、プレス成形品の筒部において部分的に増肉部を形成することが要請されることがある。
リング状プレス成形品の内筒部において増肉する従来技術について、図11(A)(B)を参照して説明する。図11(A)は増肉前を示し、図11(B)は増肉後を示す。
【0004】
従来技術に係る増肉技術によれば、図11(A)(B)に示すように、リング状プレス成形品100のリング部110を載せて支持する第1ダイ200と、第1ダイ200に支持されたリング状プレス成形品100のリング部110を加圧する第1パンチ300と、リング状プレス成形品100の内筒部120の軸端面120pに対面するダイ軸端面410をもつ第2ダイ400と、第2パンチ500とを備えている据え込み増肉装置を用いる。
【0005】
図11(A)に示すように、第2パンチ500とプレス成形品100の内筒部120との間において、リング状の増肉用スペース540が形成される。そして第1パンチ300および第2パンチ500が矢印Y2方向に同時に下降すると、内筒部120に対して据え込み増肉が行われる。
据え込み増肉においては、図11(B)に示すように、リング状プレス成形品100の内筒部120の材料肉の一部を増肉用スペース540に流入させ、リング状プレス成形品100の内筒部120にリング状の増肉部140を部分的に形成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した技術によれば、第2パンチ500とプレス成形品100の内筒部120との間において、リング状の増肉用スペース540が形成されている。そのため、上記据え込み増肉に伴い、リング状プレス成形品100の内筒部120の材料肉の一部を増肉用スペース540に流入させ、リング状プレス成形品100の内筒部120に増肉部140を形成することができる。
【0007】
近年のプレス成形品においては、増肉部140における増肉度の割合を大きくすることがますます要請されている。増肉度の割合が高くなると、プレス成形品100に形成した増肉部140に折れ込み欠陥142が発生し易くなる。そのため従来技術においては増肉部140における増肉度の増加には限界があった。
本発明は上記した実情に鑑みなされたものであり、増肉部における折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部における増肉度を高めるのに有利なリング状プレス成形品の据え込み増肉方法を提供することを共通課題とするにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者はプレス成形品の据え込み増肉方法について長年にわたり鋭意開発を進めている。そして上記した据え込み増肉方法において、増肉度を増加したときにおいて折り込み欠陥142が増肉部140に発生し易くなる理由としては、以下のようであることを本発明者は知見した。
【0009】
第1に、図11(A)に示すように、増肉用スペース540の容積自体は基本的に一定であり、そのため据え込み増肉終了時にはプレス成形品100の内筒部120の下端部120cの周りのスペース容積が材料肉の充填により消失するものの、据え込み増肉の開始初期においては、図11(A)に示すように、プレス成形品100の内筒部120の下端部120cの周りのスペース容積がかなり大きいこと。
【0010】
第2に、図11(A)に示すように、プレス成形品100の内筒部120の下端部120cに対面する第2ダイ400のダイ軸端面410が第2ダイ400の軸直角方向に沿っており、つまり水平に沿っている平坦面であるため、据え込み増肉の開始初期においてプレス成形品100の内筒部120の下端部120cに作用する座屈力が大きくなり易いこと。
【0011】
第3に、据え込み増肉の開始から終了まで、プレス成形品100の内筒部120の内周面および外周面のいずれか一方にのみ、増肉部140を寄せ過ぎること。
上記した知見に鑑み、本発明者は以下の本発明方法を完成させ、欠陥の回避に有効であることを確認した。
【0012】
▲1▼第1発明に係るリング状プレス成形品の据え込み増肉方法は、リング部とリング部の中心軸芯に沿ってリング部の外周および内周の少なくとも一方に延設された筒部とをもつリング状プレス成形品と、リング状プレス成形品のリング部を載せて支持する第1ダイと、第1ダイに支持されたリング状プレス成形品のリング部を加圧する第1パンチと、リング状プレス成形品の筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ第2ダイと、プレス成形品の筒部に沿って筒部に挿入される第2パンチと、プレス成形品の筒部の内周面および外周面の少なくとも一方の側にに形成される増肉用スペースと、もつ据え込み増肉装置を用い、
第1パンチまたは第2パンチによる据え込みに伴いリング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部を増肉用スペースに流入させてプレス成形品の筒部に増肉部を形成するリング状プレス成形品の据え込み増肉方法であって、
据え込み増肉の開始初期においては、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、増肉用スペースの容積を消失または小さく維持し、
据え込み増肉が進行するに伴い、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、増肉用スペースの容積を次第に増加させると共に、容積が増加した増肉用スペースにリング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部を流入させて筒部に前記増肉部を形成することを特徴とするものである。
【0014】
(2) 第2発明に係るリング状プレス成形品の据え込み増肉方法は、リング部とリング部の中心軸芯に沿ってリング部の外周および内周の一方に延設された筒部とをもつリング状プレス成形品と、リング状プレス成形品のリング部を載せて支持する第1ダイと、第1ダイに支持されたリング状プレス成形品のリング部を加圧する第1パンチと、リング状プレス成形品の筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ第2ダイと、リング状プレス成形品の筒部に沿って筒部に挿入される第2パンチと、プレス成形品の筒部の内周面および外周面の少なくとも一方の側に形成される増肉用スペースと、をもつ据え込み増肉装置を用い、
第1パンチまたは第2パンチによる据え込みに伴いリング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部を増肉用スペースに流入させてリング状プレス成形品の筒部に増肉部を形成するリング状プレス成形品の据え込み増肉方法であって、
リング状プレス成形品の筒部の内周面および外周面の双方との間に増肉用スペースを形成する構成とし、
据え込み増肉に伴い、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、リング状プレス成形品の筒部の内周側に膨出した内側1次膨出部および筒部の外周側に膨出した外側1次膨出部をそれぞれ形成する第1増肉工程と、
第1増肉工程の後に、内側1次膨出部および外側1次膨出部のうちの一方の材料肉を他方に寄せて、リング状プレス成形品の筒部に増肉部を形成する第2増肉工程とを実施することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の方法で使用するリング状プレス成形品は、リング部と、リング部の中心軸芯に沿ってリング部の外周および内周の少なくとも一方に延設された筒部とをもつものである。リング状プレス成形品においては、リング部の外周および内周の双方に筒部が延設されていても良いし、あるいは、一方のみに延設されていても良い。
【0016】
代表的なリング部としては円形リング形状があるが、楕円リング形状でも良いし、場合によっては、丸味を帯びた角リング形状でも良い。
リング状プレス成形品の材質は金属であり、特に限定されず、鉄系、アルミ系、銅系、チタン系等を採用することができる。
本発明の方法で使用する据え込み増肉装置は、リング状プレス成形品のリング部を載せて支持する第1ダイと、第1ダイに支持されたリング状プレス成形品のリング部を加圧する第1パンチと、リング状プレス成形品の筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ第2ダイと、プレス成形品の筒部に沿って筒部に挿入される第2パンチとを備えている。
【0017】
第1発明の方法によれば、第1パンチまたは第2パンチによる据え込み増肉の開始初期においては、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、増肉用スペースの容積は消失または小さく維持されている。第1パンチまたは第2パンチによる据え込み増肉が進行するに伴い、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、増肉用スペースの容積を次第に増加する。そして容積が増加した増肉用スペースにリング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部を流入させて筒部に増肉部を形成する。
【0018】
第1発明の方法の好ましい形態によれば、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、第2ダイのダイ軸端面が増肉用スペースに臨むように、且つ、第2ダイの中心軸芯に対して第2ダイのダイ軸端面の垂直法線を傾斜させるように、ダイ軸端面を予め傾斜させておく。そして、傾斜したダイ軸端面を利用して筒部の一部の材料肉を増肉用スペースに流入させ、筒部に増肉部を形成する。第2ダイのダイ軸端面は傾斜しているので、ダイ軸端面が非傾斜である場合に比較して、プレス成形品の筒部に座屈力を抑えるのに有利となる。
【0019】
第2発明の方法によれば、リング状プレス成形品の筒部の内周面および外周面の双方との間に増肉用スペースを形成する構成とする。そして第1パンチまたは第2パンチによる据え込み増肉に伴い、第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、リング状プレス成形品の筒部の内周側に膨出した内側1次膨出部および筒部の外周側に膨出した外側1次膨出部をそれぞれ形成する第1増肉工程を実施する。第1増肉工程の後に、内側1次膨出部および外側1次膨出部のうちの一方の材料肉を他方に寄せて、リング状プレス成形品の筒部に増肉部を形成する増肉工程を実施する。
【0020】
【実施例】
(第1実施例)
以下、本発明の実施例を図1〜図3を参照して説明する。第1実施例は第1発明に相当するものである。
▲1▼第1実施例の構成
図1は本実施例で使用する増肉前の状態のリング状プレス成形品1を示す。リング状プレス成形品1は鋼系であり、一枚の薄板から複数のプレス工程を経て形成されたものである。リング状プレス成形品1はほぼ均厚であり、板状をなすリング部10と、リング部10の中心軸芯Pに沿ってリング部10の外周に延設された外筒部11と、リング部10の中心軸芯Pに沿ってリング部10の内周に延設された内筒部12とをもつ。内筒部12の軸長は外筒部11の軸長よりも小さくされている。
【0021】
図2は本実施例で使用する据え込み増肉装置を示す。図2は後述する第2ダイ4の中心軸芯4kに沿った断面を示す。本実施例で使用する据え込み増肉装置は、中央孔20をもつリング状をなす金属製の第1ダイ2と、第1ダイ2に対面するリング状をなす金属製の第1パンチ3と、第1ダイ2の中央孔20に配置されたリング状をなす金属製の第2ダイ4と、第1ダイ2の中央孔20に対面する金属製の第2パンチ5とをもつ。中心軸芯4kは第1ダイ2、第1パンチ3、第2パンチ5の中心軸芯でもある。
【0022】
図2(A)は据え込み増肉方法を実施する前の形態を示し、図2(B)は据え込み増肉方法を実施した後の形態を示す。
図2(A)(B)から理解できるように、第1ダイ2は昇降可能な可動式であり、外側に配置されたアウターダイとして機能し、リング状プレス成形品1のリング部10を載せて支持するものであり、リング状をなす水平に沿った支持面21と、リング状をなす垂直に沿った内周面22と、リング状をなす垂直に沿った外周面23とをもつ。
【0023】
第1パンチ3は外側に配置されたアウターパンチとして機能するものであり、リング状をなしており、第1ダイ2に支持されたリング状プレス成形品1を据え込むものである。第1パンチ3は、リング状をなす水平の加圧面31と、リング状をなす垂直の内周面32と、リング状をなす垂直の外周面33と、内周面32側から下方に突き出たリング状をなす据え込み用の加圧突出部34とをもつ。
【0024】
第2ダイ4は昇降可能な可動式であり、第1ダイ2の内側に配置されたインナーダイとして機能するものであり、リング状をなしている。第2ダイ4は、リング状プレス成形品1の内筒部12の軸端面12pに対面するダイ軸端面41と、リング状をなす垂直に沿った内周面42と、リング状をなす垂直に沿った外周面43とをもつ。
【0025】
第2パンチ5は第1パンチ3の内側に設けられており、昇降可能な可動式であり、円柱状をなしている。即ち第2パンチ5は第1パンチ3と共に昇降盤39に保持されている。昇降盤39はプレス成形装置に装備されており、メカニカルな図略の駆動源により矢印Y1,Y2方向に昇降される。昇降盤39と共に第2パンチ5が下降すると、第2パンチ5はプレス成形品1の内筒部12に沿って内筒部12内に挿入される。
【0026】
第2パンチ5は、水平に沿った延設された先端面50と、垂直に沿って延設された外周面51とをもつ。第2パンチ5の外周面51は、垂直に沿って延設されたリング状をなす先端外周面51aと、リング状をなすとともに先端に向かうにつけて外径が小さくなるように傾斜した円錐面51bと、円錐面51bの上端から垂直に沿って延設されたリング状をなす基端外周面51cとを備えている。第2パンチ5はバネ59を介して昇降盤39に保持されている。
【0027】
第2パンチ5とプレス成形品1の内筒部12の内周面との間で、リング状をなす増肉用スペース54を形成するものである。
図2に示すように第1ダイ2の下方にリング状をなす第1バネ28が設けられている。従って第1バネ28により第1ダイ2は昇降可能に弾性支持されており、フローティング構造とされている。第2ダイ4の下方にリング状をなす第2バネ48が設けられている。従って第2ダイ4は第2バネ48により昇降可能に弾性支持されており、フローティング構造とされている。
【0028】
図3は要部を示す。図3から理解できるように、第1パンチ3の据え込み増肉の開始前の状態においては、第2ダイ4は第2バネ48により矢印Y1方向へ持ち上げられており、その結果、第2ダイ4のダイ軸端面41は位置H1に上昇しており、従って据え込み増肉の開始前および開始初期においては、増肉用スペース54の容積は小さい。しかしながら図3から理解できるように、第1パンチ3が矢印Y2方向へ下降して据え込みが進行するに伴い、プレス成形品1の内筒部12が矢印Y2方向に据え込まれるので、第2バネ48を弾性収縮させつつ第2ダイ4は矢印Y2方向に下降してダイ軸端面41が位置H2となる。この結果図3に示すように、増肉用スペース54の容積が次第に増加する。
【0029】
さて増肉の際について説明を加える。まず、昇降盤39を上昇させて第1ダイ2と第1パンチ3との間にスペースを確保する。このスペースを利用して、図2(A)に示すようにプレス成形品1のリング部10を第1ダイ2の支持面21に載せて支持する。この状態では図2(A)に示すように、プレス成形品1の外筒部11は第1ダイ2の外周面23に対面しており、プレス成形品1の内筒部12は第1ダイ2の内周面22に対面している。
【0030】
その後、図略の駆動源により昇降盤39が下降動作する。昇降盤39が下降動作すると、第1パンチ3及び第2パンチ5は矢印Y2方向に共に下降し、図2(A)に示す状態となる。この状態では、第1パンチ3の加圧面31はプレス成形品1のリング部10に接触し、リング部30は第1パンチ3の加圧面31と第1ダイの支持面21とで挟持される。また第2パンチ5はプレス成形品1の内筒部12内に挿入される。
この状態で第1パンチ3及び第2パンチ5が矢印Y2方向にさらに下降すると、第1パンチ3の加圧突出部34はプレス成形品1の内筒部12の上端部を強く加圧するので、内筒部12の据え込み増肉が行われる。据え込み増肉に伴い、内筒部12の軸長は短縮される。
【0031】
図2(A)に示すように、第1パンチ3および第2パンチ5による据え込み増肉の開始初期においては、増肉用スペース54の容積は消失または小さく維持されている。
しかしながら図2(B)に示すように据え込み増肉が進行するに伴い、増肉用スペース54の容積は次第に増加する。容積が増加した増肉用スペース54に、リング状プレス成形品1の内筒部12の材料肉の一部が流入し、内筒部12の下端部に増肉部14が形成される。図2(B)に示すように増肉部14は内筒部12の内側に形成されている。
【0032】
本実施例においては据え込み増肉の際には、第1パンチ3が矢印Y2方向に下降すると、バネ28を弾性収縮させつつ第1ダイ2も同方向に下降する。更にプレス成形品1の内筒部12に押されて第2ダイ4も矢印Y2方向に下降する。
このとき第1パンチ3の下降量と第1ダイ2の下降量とは基本的に同程度とされている。第1ダイ2の下降量は第2ダイ4の下降量よりも大きい。そのため据え込み増肉のために第1パンチ3が下降すると、同時に第1ダイ2も下降する。そしてこの下降に伴い増肉用スペース54の容積は次第に増加する。
【0033】
▲2▼第1実施例の効果
以上説明したように本実施例においては、図2(A)に示すように、第1パンチ3および第2パンチ5による据え込み増肉の開始初期においては、増肉用スペース54の容積は消失または小さく維持されている。そして図2(B)に示すように、第1パンチ3および第2パンチ5による据え込み増肉が進行すると、増肉用スペース54の容積は次第に増加し、容積が増加した増肉用スペース54にリング状プレス成形品1の内筒部12の材料肉の一部が流入し、内筒部12の下端部に増肉部14が形成される。
【0034】
このような本実施例においては、リング状プレス成形品1の内筒部12の下端部12cを据え込み増肉する据え込みの開始初期においては、内筒部12の下端部12cの周りの増肉用スペース54の余分なスペースを抑えるのに有利となる。故にリング状プレス成形品1の内筒部12の下端部12cの過剰な座屈を抑えるのに有利となる。
【0035】
この結果、増肉部14における増肉度を高めた場合であっても、増肉部14における折れ込み欠陥が発生することを抑制することができる。故に本実施例においては、折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部14の増肉度を高めるのに有利となる。
本実施例によれば増肉度をかなり高めることができる。プレス成形品1の材質にもよるが、例えば約30〜70%にすることも可能となる。
【0036】
(第2実施例)
本発明の第2実施例を図4〜図7を参照して説明する。
第2実施例は第2発明に相当するものである。第2実施例は第1実施例と基本的には同様の構成をなす。従って第1実施例と同一機能を果たす部位には同一の符号を付する。以下、第1実施例と相違する部分を中心として説明する。
【0037】
図4(A)は据え込み増肉方法を実施する前の形態を示し、図4(B)は据え込み増肉方法を実施した後の形態を示す。図4は第2ダイ4の中心軸芯4kに沿った断面を示す。
図4(A)(B)に示すように、第2パンチ5はリング状をなしており、プレス成形品1の内筒部12に沿って内筒部12内に挿入される。第2パンチ5とプレス成形品1の内筒部12の内周面との間で、リング状をなす増肉用スペース54を形成するものである。
【0038】
第2パンチ5は、水平に沿った延設された先端面50と、垂直に沿って延設された外周面51とをもつ。第2パンチ5の外周面51は、垂直に沿って延設されたリング状をなす先端外周面51aと、リング状をなすとともに先端に向かうにつけて外径が小さくなるように傾斜した円錐面51bと、円錐面51bの上端から垂直に沿って延設されたリング状をなす基端外周面51cとを備えている。
【0039】
本実施例においては、図5に示すように、第2ダイ4のダイ軸端面41が増肉用スペース54に臨むように、第2ダイ4の中心軸芯4kに対して第2ダイ4のダイ軸端面41の垂直法線47が予め傾斜されている。垂直法線47は上方に向かうにつれて中心軸芯4kに接近するように傾斜している。従って第2ダイ4のダイ軸端面41は仮想水平線に対してθ傾斜している。
【0040】
本実施例においては第1実施例の場合と同様に、据え込み増肉の際には、第1パンチ3の下降量と第1ダイ2の下降量とは基本的に同程度とされている。第1ダイ2の下降量は第2ダイ4の下降量よりも大きい。そのため第1パンチ3の下降に伴い、増肉用スペース54の容積を増加できる。
さて増肉の際には、第1実施例の場合と同様に、図4(A)に示すように、プレス成形品1のリング部10を第1ダイ2の支持面21に載せて支持する。この状態では、図4(A)に示すように、プレス成形品1の外筒部11は第1ダイ2の外周面23に対面しており、プレス成形品1の内筒部12は第1ダイ2の内周面22に対面している。
【0041】
その後、昇降盤39の下降動作に伴い、第1パンチ3及び第2パンチ5は矢印Y2方向に下降する。これにより第1パンチ3の加圧面31はプレス成形品1のリング部10を接触してリング部10は第1パンチ3の加圧面31と第1ダイ2の支持面21とで挟持される。また第2ダイ4は内筒部12内に挿入される。
この状態において第1パンチ3及び第2パンチ5が矢印Y2方向にさらに下降すると、加圧突出部34はプレス成形品1の内筒部12の上端部を加圧し、内筒部12の据え込み増肉を行う。据え込み増肉に伴い、内筒部12の軸長は短縮される。
【0042】
本実施例においては、図4(A)および図5に示すように、第2ダイ4の中心軸芯4kに対して第2ダイ4のダイ軸端面41の垂直法線47が予め傾斜されており、第2ダイ4のダイ軸端面41が増肉用スペース54に臨むようにされている。これが本実施例の特徴である。
このような方法が採用されている本実施例によれば、ダイ軸端面41が水平方向に設定されている場合に比較して、内筒部12の据え込み増肉の際において、内筒部12の下端部12cが座屈する力を緩和するのに貢献できる。従って、折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部14の増肉度を高めることができる。
【0043】
さらに図6に示すように矢印X1方向の力が材料肉に作用し易い。そのため本実施例においては、ダイ軸端面41が水平に設定されている場合に比較して、増肉用スペース54のうちの第2パンチ5の円錐面51b側に材料肉を装填する作用も大きくなる。故に増肉用スペース54における装填性が確保される。よって増肉部14の増肉度を一層高めるのに有利となる。
【0044】
更に本実施例においては第1実施例の場合と同様に、第1パンチ3による据え込み増肉の開始初期においては、図4(A),図5,図7(A)に示すように、増肉用スペース54の容積は消失または小さく維持されている。しかし図7(B)および図6に示すように、第1パンチ3および第2パンチ3による据え込み増肉が進行すると、増肉用スペース54の容積は次第に増加する。容積が増加した増肉用スペース54にリング状プレス成形品1の内筒部12の材料肉の一部が流入し、内筒部12に増肉部14が形成される。
【0045】
即ち第1実施例の場合と同様に、据え込み増肉の進行につれて増肉用スペース54が増加する。従ってリング状プレス成形品1の内筒部12の据え込み増肉の開始初期において、内筒部12の下端部12cの周りに増肉用スペース54の余分なスペースが発生することを抑制するのに有利となり、プレス成形品1の内筒部12の下端部12cの過剰な折れ込みを抑制できる。この意味において第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0046】
従って本実施例によれば、第2発明の他に第1発明も併有されている。故に折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部14の増肉度を高めるのに一層有利となる。
なお本実施例によれば、前記したように第2発明の他に第1発明も併有されており、増肉度を一層高めることが可能となる。プレス成形品1の材質にもよるが、増肉度を例えば約80〜120%にすることも可能となる。
【0047】
(第3実施例)
本発明の第3実施例を図8〜図9を参照して説明する。第3実施例は第3発明に相当するものである。第3実施例は第1実施例と基本的には同様の構成をなす。従って同一機能を果たす部位には同一の符号を付する。以下相違する部分を中心として説明する。図8(A)は据え込み増肉方法を実施する前の形態を示し、図8(B)は据え込み増肉方法を実施した後の形態を示す。図8(A)(B)は第2ダイ4の中心軸芯4kに沿った断面を示す。
【0048】
図8(A)(B)に示すように、第2パンチ5はリング状をなしており、プレス成形品1の内筒部12に沿って内筒部12内に挿入される。第2パンチ5とプレス成形品1の内筒部12の内周面との間で、リング状をなす増肉用スペース54を形成するものである。
第1ダイ2は横移動可能であり、径大な下部2dと径小な上部2uとをもつ。第1ダイ2の上部2uとプレス成形品1の外筒部11との間には、リング状の空間26が形成されている。第1ダイ2の下部2dの外周面23には、円錐面状をなす被カム面27が形成されている。被カム面27は上端27uに向かうにつれて外径が縮径するように傾斜されている。
【0049】
第1パンチ3の外周側にはカムドライバ8が設けられている。カムドライバ8は昇降盤39にバネ89を介して設けられており、第1パンチ3および第2パンチ5と共に矢印Y1,Y2方向に昇降するものである。カムドライバ8はリング状をなし、内周面80と外周面81とをもつ。カムドライバ8の内周面80の下部には、リング状をなすカム面80iが形成されている。
【0050】
このカム面80iは下端80dに向かうにつれて内径が拡径するように傾斜されている。カム面80iの傾斜角および被カム面27の傾斜角は、同程度とされている。カム面80iが被カム面27を押圧すると、第1ダイ2はこれの径方方向つまり矢印D3方向(図8(A)参照)に付勢されるため、第1ダイ2の上部2uがプレス成形品1の内筒部12に接触し、内筒部12の保持性を高める。
【0051】
本実施例においては、リング状プレス成形品1の内筒部12の内周面および外周面の双方との間に、増肉用スペース54を形成する構成とする。即ち図8(A)に示すように、内筒部12の内周面側に第1増肉用スペース54sをリング状に形成していると共に、内筒部12の外周面側に第2増肉用スペース54tをリング状に形成している。
【0052】
増肉の際には第1増肉工程を行う。即ち図8(A)に示すように、第1パンチ3および第2パンチ5による下降に伴い、第1パンチ3の加圧突出部34はプレス成形品1の内筒部12の上端部を接触し、リング部10が第1パンチ3と第1ダイ2とで挟持される。
第1パンチ3および第2パンチ5がさらに下降すると、第1パンチ3の加圧突出部34が内筒部12を強く加圧するため、内筒部12の据え込み増肉が行われる。据え込み増肉に伴い、内筒部12の軸長は短縮される。
【0053】
本実施例においては、第1実施例の場合と同様に、据え込み増肉の際には、第1パンチ3の下降量と第1ダイ2の下降量とは基本的に同程度とされている。第1ダイ2の下降量は第2ダイ4の下降量よりも大きい。そのため第1パンチ3の下降に伴い、増肉用スペース54の容積を増加できる。
上記した据え込み増肉により、図8(A),図8(B)に示すように、リング状プレス成形品1の内筒部12の材料肉を第1増肉用スペース54sに流入させて、内筒部12の内周側に膨出した内側1次膨出部13sを形成する。またリング状プレス成形品1の内筒部12の材料肉を第2増肉用スペース54tに流入させて、内筒部12の外周側にも膨出した外側1次膨出部13tを形成する。
【0054】
その後、カムドライバ8を第1パンチ3および第2パンチ5と共に矢印Y1方向に上昇させる。その状態で、図略の駆動源により第1ダイ2を半径方向の外方つまり矢印D1方向に移動させる。これによりプレス成形品1の外側1次膨出部13tと第1ダイ2との引っかかりを解除する。よってプレス成形品1は第1ダイ2から離脱可能となる。
【0055】
その後、プレス成形品1を第1ダイ2から離脱させ、第1増肉工程を終える。上記したように第1増肉工程を行った後に第2増肉工程を行う。第2増肉工程で用いる装置は、図9(A),図9(B)に示すように、上方に向かうにつれて内径が拡径する円錐面70cをもつ第3ダイ70と、第3ダイ70の上面70aにリング状をなすバネ71を介して搭載されたリング状の補助体72と、第3ダイ70の上方の第2昇降盤に保持された昇降可能な第3パンチ74と、第3パンチ74の内側に配置された昇降可能な第4パンチ75とをもつ。第4パンチ75の外周面には、増肉部形成用のリング溝76が形成されている。
【0056】
そして図9(A)に示すように、プレス成形品1のリング部10を補助体72の上面72uに設置する。この状態で図9(A)に示すように、図略の第2昇降盤を矢印Y2方向に下降させることにより、第3パンチ74および第4パンチ75を矢印Y2方向に下降させる。すると第3パンチ74の先端面74dがプレス成形品1のリング部10を押圧してこれを保持すると共に、第4パンチ75のリング溝76がプレス成形品1の内側1次膨出部13sに対面する。
【0057】
さらに第3パンチ74および第4パンチ75が矢印Y2方向に下降すると、図9(A)から理解できるように、プレス成形品1の内筒部12の外周側に膨出していた外側1次膨出部13tが第3ダイ70の円錐面70cを押圧する。押圧よって外側1次膨出部13tの材料肉が内方つまり矢印D4方向に塑性変形して寄せられる。この結果、リング状プレス成形品1の内筒部12に増肉部14が形成される。なお図9(B)に示すように、第3ダイ70の内周面70iにより外側1次膨出部13tは塑性変形されて消失する。
【0058】
以上説明したように本実施例においては、リング状プレス成形品1の内筒部12の内周側に膨出した内側1次膨出部13sを形成すると共に、内筒部12の外周側にも膨出した外側1次膨出部13tを形成する。その後、外側1次膨出部13tを塑性変形させ、外側1次膨出部13tの材料肉を内側1次膨出部13sに寄せ、これにより増肉部14を形成する。
【0059】
このような方法が採用されている本実施例によれば、据え込み増肉の開始初期においてプレス成形品1の内筒部12の内周側および外周側のうちのいずれか一方のみに1次膨出部を形成する場合に比較して、増肉の偏りを軽減できる。故に、過剰な増肉変形を抑制できる。よって、折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部14の増肉度を高めるのに有利となる。
【0060】
更に本実施例においては、第1実施例の場合と同様に据え込み増肉の開始初期においては、図8(A)に示すように増肉用スペース54の容積は消失または小さく維持されている。しかし図8(B)から理解できるように、据え込み増肉が進行すると、増肉用スペース54の容積は次第に増加する。容積が増加した増肉用スペース54にリング状プレス成形品1の内筒部12の材料肉の一部が流入し、内筒部12に増肉部14が形成される。即ち第1実施例の場合と同様に、リング状プレス成形品1の内筒部12の据え込み増肉の開始初期において、増肉用スペース54の余分なスペースをできるだけ抑えるのに有利となる。この意味において第1実施例と同様の効果を得ることができる。従って本実施例によれば、第3発明の他に第1発明も併有されており、折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部14の増肉度を高めるのに一層有利となる。
【0061】
なお本実施例によれば、増肉部14の増肉度を高めることができる。プレス成形品1の材質にもよるが、例えば約100〜130%にすることも可能となる。
(組織フロー)
図10は第1実施例〜第3実施例に係るプレス成形品1の増肉部14における組織フローを示す。組織フローは研磨後にエッチング液で腐食して観察した。図10に示すように、内筒部12に形成した増肉部14においては、組織フローは、内筒部12の延設方向つまり矢印Y3方向に延びているものの、波を呈している。一般的には、据え込みが大きくて増肉部14における増肉度が高いと、組織フローの波が大きくなる。この場合には、組織フローが矢印Y3方向にほぼ平行に揃っている場合に比較して、増肉部における組織の異方性の軽減に有効である。この場合には、方向性に起因する増肉部14の強度のバラツキを軽減するのに貢献できる。
【0062】
なおプレス成形品1の増肉部14には、シール材をはめるシール溝を転造加工または切削加工により形成することができる。
(他の例)
上記した各実施例においては、プレス成形品1の内筒部12の下端部12cの内周側に増肉部14を形成しているが、これに限らず、プレス成形品1の内筒部12の下端部12cの外周側に増肉部を形成する形態とすることもできる。
【0063】
上記した各実施例においては、プレス成形品1の内筒部12の下端部に増肉部14を形成しているが、これに限らず、プレス成形品1の外筒部11の下端部12cに増肉部を形成する形態とすることもできる。
第2実施例においては、第2ダイ4のダイ軸端面41の垂直法線47が上方に向かうにつれて中心軸芯4kに接近するように傾斜しているが、これに限らず、逆方向に傾斜させても良い。
【0064】
第3実施例においては、外側1次膨出部13tを塑性変形させ、外側1次膨出部13tの材料肉を内側1次膨出部13sに寄せて増肉部14を形成する
構成としているが、これと逆に、内側1次膨出部13sを塑性変形させ、内側1次膨出部13sの材料肉を外側1次膨出部13tに寄せて増肉部14を形成する構成としても良い。
【0065】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、必要に応じて適宜選択して実施することができる。
(付記)
上記した記載から次の技術的思想も把握することができる。
▲1▼請求項1に係る第1発明の特徴と請求項2に係る第2発明の特徴とを併有したリング状プレス成形品の据え込み増肉方法。
▲2▼請求項1に係る第1発明の特徴と請求項3に係る第3発明の特徴とを併有したリング状プレス成形品の据え込み増肉方法。
▲3▼筒部に形成した増肉部においては、組織フローは筒部の延設方向に延びているものの、波を呈していることを特徴とする各請求項に記載の方法で据え込み増肉方法で形成したリング状プレス成形品。
【0066】
組織フローが平行で揃っている場合に比較して、増肉部における組織の異方性の軽減に有効である。
▲4▼据え込み増肉の際において、第1ダイの移動量(下降量)は、第2ダイの移動量(下降量)よりも大きいことを特徴とするリング状プレス成形品の据え込み増肉方法。
【0067】
この場合には、据え込みの開始初期においては増肉用スペースの容積を小さく維持できる。さらに据え込みが進行するにつれて増肉用スペースの容積を増加できる。
▲5▼第2パンチは、垂直に沿って延設されたリング状をなす先端外周面と、リング状をなすとともに先端に向かうにつけて外径が小さくなるように傾斜した円錐面と、円錐面の上端から延設されたリング状をなす基端外周面とを備えており、
第2ダイのダイ軸端面が円錐面に臨むように傾斜して増肉用スペースに対面していることを特徴とするリング状プレス成形品の据え込み増肉方法。増肉用スペースに材料肉を充填するのに有利となる。
【0068】
【発明の効果】
本発明方法によれば、増肉部における折れ込み欠陥の発生を抑制しつつ、増肉部の増肉度を高めるのに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】増肉前のプレス成形品の断面図である。
【図2】第1実施例に係り、(A)は増肉前の状態を示し、(B)は増肉後の状態を示す断面図である。
【図3】第1実施例の主要部を示す断面図である。
【図4】第2実施例に係り、(A)は増肉前の状態を示し、(B)は増肉後の状態を示す断面図である。
【図5】増肉前の主要部を示す断面図である。
【図6】増肉後の主要部を示す断面図である。
【図7】(A)は増肉前の主要部を示す断面図であり、(B)は増肉後の主要部を示す断面図である。
【図8】第3実施例に係り、(A)は増肉前の状態を示し、(B)は増肉後の状態を示す断面図である。
【図9】内側1次膨出部を塑性変形させ、内側1次膨出部の肉を外側1次膨出部に寄せ、プレス成形品の内筒部に増肉部を形成する形態を示す断面図である。
【図10】プレス成形品の増肉部における組織フローを示す構成図である。
【図11】従来技術に係り、(A)は増肉前の状態を示し、(B)は増肉後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
図中、1はプレス成形品、10はリング部、12は内筒部、13sは内側1次膨出部、13tは外側1次膨出部、14は増肉部、2は第1ダイ、3は第1パンチ、31は加圧面、34は加圧突出部、4は第2ダイ、41はダイ軸端面、47は垂直法線、5は第2パンチ、54は増肉用スペース、54sは第1増肉用スペース、54tは第2増肉用スペースを示す。
Claims (2)
- リング部と前記リング部の中心軸芯に沿って前記リング部の外周および内周の少なくとも一方に延設された筒部とをもつリング状プレス成形品と、前記リング状プレス成形品のリング部を載せて支持する第1ダイと、前記第1ダイに支持された前記リング状プレス成形品のリング部を加圧する第1パンチと、前記リング状プレス成形品の筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ第2ダイと、前記リング状プレス成形品の筒部に沿って前記筒部に挿入される第2パンチと、前記プレス成形品の筒部の内周面および外周面の少なくとも一方の側に形成される増肉用スペースと、をもつ据え込み増肉装置を用い、
前記第1パンチまたは第2パンチによる据え込みに伴い、前記リング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部を前記増肉用スペースに流入させて前記リング状プレス成形品の筒部に増肉部を形成するリング状プレス成形品の据え込み増肉方法であって、
据え込み増肉の開始初期においては、前記第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、前記増肉用スペースの容積を消失または小さく維持し、
前記据え込み増肉が進行するに伴い、前記第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、前記増肉用スペースの容積を次第に増加させると共に、容積が増加した前記増肉用スペースに前記リング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部を流入させて前記筒部に前記増肉部を形成することを特徴とするリング状プレス成形品の据え込み増肉方法。 - リング部と前記リング部の中心軸芯に沿って前記リング部の外周および内周の一方に延設された筒部とをもつリング状プレス成形品と、前記リング状プレス成形品のリング部を載せて支持する第1ダイと、前記第1ダイに支持されたリング状プレス成形品のリング部を加圧する第1パンチと、前記リング状プレス成形品の筒部の軸端面に対面するダイ軸端面をもつ第2ダイと、前記リング状プレス成形品の筒部に沿って筒部に挿入される第2パンチと、前記プレス成形品の筒部の内周面および外周面の少なくとも一方の側に形成される増肉用スペースと、をもつ据え込み増肉装置を用い、
前記第1パンチまたは前記第2パンチによる据え込みに伴いリング状プレス成形品の筒部の材料肉の一部を前記増肉用スペースに流入させて前記リング状プレス成形品の筒部に増肉部を形成するリング状プレス成形品の据え込み増肉方法であって、
前記リング状プレス成形品の筒部の内周面および外周面の双方との間に前記増肉用スペースを形成する構成とし、
据え込み増肉に伴い、前記第2ダイの中心軸芯に沿った断面において、前記リング状プレス成形品の筒部の内周側に膨出した内側1次膨出部および前記筒部の外周側に膨出した外側1次膨出部をそれぞれ形成する第1増肉工程と、
前記第1増肉工程の後に、前記内側1次膨出部および前記外側1次膨出部のうちの一方の材料肉を他方に寄せて、前記リング状プレス成形品の筒部に前記増肉部を形成する第2増肉工程とを実施することを特徴とするリング状プレス成形品の据え込み増肉方法。
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