JP3744677B2 - 焼結式カドミウム負極の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はニッケル−カドミウム蓄電池に用いる焼結式カドミウム負極の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ニッケル−カドミウム蓄電池に用いるカドミウム負極には、ニッケル粉末を焼結して形成した多孔性焼結基板に酸化カドミウムあるいは水酸化カドミウムよりなる負極活物質を充填した焼結式負極と、酸化カドミウムあるいは水酸化カドミウムよりなる負極活物質と合成繊維、糊料等とを混練してペースト状としてパンチングメタル等の導電性芯体(基板)に塗着した非焼結式負極とがある。
このうち、焼結式負極は、電極内に多孔性焼結基板の導電性マトリックスが存在するとともに、負極活物質が直接多孔性焼結基板に接触するため、導電性に優れており、かつ、高率充放電特性および酸素ガス吸収性能が良好であることから、種々のポータブル機器の電源として広く使用されている。
【0003】
近年、アルカリ蓄電池の高容量化、大電流充放電特性、長寿命化などの要求が高まり、これらの要求に応えるために種々の改良が行われた。例えば、高容量化については、活物質の充填密度を増加させること、あるいは正・負極を分離するセパレータを薄型化することにより、その目的が達成されるようになった。
【0004】
しかしながら、高容量化のために高密度に活物質を充填した場合、電極内で電解液を保持するための空間(残空間)が活物質に占有されて、電極内で保持すべき電解液量が減少することとなる。このため、電解液と接触する活物質量が減少して、負極での充放電反応を円滑に進行させることが困難となり、充放電サイクルの進行に伴い、放電できない金属カドミウムが蓄積されるようになる。
【0005】
この結果、酸素ガス吸収性能が低下したり、あるいは活物質利用率が低下して充放電特性が悪化する等の問題を生じるため、高容量化と大電流充放電特性の両方の要求を満足させることは非常に困難なことである。また、充放電のサイクルが繰り返されるに伴い、充電状態の金属カドミウムの表面が放電状態の水酸化カドミウムで緻密に被覆される、いわゆる負極活物質の閉塞化が生じて、負極の内部に放電不能な金属カドミウムが蓄積されることによって、電池寿命に達するという現象も生じた。
【0006】
これを防止するために、カドミウム活物質表面にメチルセルロースなどの高分子皮膜を形成することが特開昭61−158666号公報において提案された。しかしながら、この特開昭61−158666号公報において提案されたカドミウム負極を減圧下でメチルセルロースなどの高分子水溶液に含浸する方法では、カドミウム負極の細孔中まで高分子を十分に浸透させることができず、負極容量の低下を防止することは十分ではない。これに加えて、減圧状態を作り出すための設備などが別途必要になるとともに、減圧状態にするための真空引きに長時間を要するため、カドミウム負極の製造コストが高価になるという問題を生じた。
【0007】
そこで、カドミウム負極の細孔中まで十分にメチルセルロースなどの高分子を浸透させることが特公平6−105613号公報において提案された。この特公平6−105613号公報において提案された方法にあっては、カドミウム負極を水やメタノールなどの溶媒に浸漬した後、メチルセルロースなどの高分子溶液を塗布することにより、カドミウム負極の細孔中まで十分にメチルセルロースなどの高分子を浸透させるようにしている。これにより、金属カドミウムの表面に水酸化カドミウムが凝集することが防止できるようになって、カドミウム負極の容量劣化を抑制することができるようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カドミウム負極の容量劣化を抑制するためには、単に、カドミウム負極の細孔中まで十分にメチルセルロースなどの高分子を浸透させるだけでは十分な効果を得ることができない。この点について実験検討してみたところ、この高分子によるカドミウム負極の容量劣化抑制の効果は、高分子の重合度に大きく影響を受けることが分かった。即ち、高分子の重合度を大きくしていくと、容量劣化の抑制効果が小さくなっていき、高分子が無添加のものと比べて僅かな効果しか発揮でなくなってしまう。
【0009】
一方、重合度が小さい高分子を用いると、カドミウム負極の容量劣化抑制効果が大きくなる反面、カドミウム負極の充電時に早期に水素ガスが発生する現象が出現することとなる。このような傾向は、特に、容量劣化抑制効果に優れているポリビニルピロリドン(PVP)において顕著である。水素ガスは密閉型ニッケル−カドミウム蓄電池では酸素ガスのように電池内部で吸収することができないため、電池内部に蓄積されて、電池内部のガス圧力が上昇し、やがてはガス排出弁から電解液とともに放出されるようになって、電池の寿命を短くするという問題点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
そこで、本発明は、容量劣化抑制効果に優れているポリビニルピロリドン(PVP)を用いても、充電時の水素発生時期を遅らせることができるようにすることをその目的としてなされたものである。このため、本発明の焼結式カドミウム負極の製造方法は、ニッケル焼結基板に水酸化カドミウムを主体とする活物質を充填する活物質充填工程と、この活物質充填工程により水酸化カドミウムを主体とする活物質が充填された焼結基板をアルカリ水溶液中に配置して充放電を行うことにより化成する化成処理工程と、この化成処理工程にて化成処理された焼結基板に重合度100以下のポリビニルピロリドンを含浸もしくは塗布する工程と、前記ポリビニルピロリドンが含浸もしくは塗布された焼結基板に充電処理を施した後、完全放電を行う充放電工程を施すようにした。
【0011】
一般的に、ポリビニルピロリドン(PVP)は、重合度が小さい場合は重合度が大きい場合に比べて結晶性の高い部分(多数の分子が規則的に配列している部分)が多く、重合度が大きい場合は結晶性が低いとされている。結晶性が低いと、その結晶性が崩れた部分から電解液が入り込むため、活物質と反応することができる。しかしながら、結晶性が高いと、電解液が活物質の内部まで入り込みにくいために活物質が反応できず、水素ガスの発生時期を早めることとなる。
【0012】
ところが、本発明のように、重合度100以下のポリビニルピロリドン(PVP)が含浸もしくは塗布されたカドミウム負極を、充放電工程により充電処理を施した後、完全放電を行うようにすると、重合度100以下のポリビニルピロリドン(PVP)の膜の一部が破壊されるようになる。このため、この膜の一部が破壊された部分から電解液が入り込み、活物質と電解液が接触して水素ガスの発生時期を遅らすことが可能となる。
【0013】
また、容量劣化抑制効果は、カドミウム負極の表面および内部の低重合度のポリビニルピロリドン(PVP)の膜が活物質の凝集を抑制するために生じる効果であるが、充放電工程によるこの膜の一部の破壊は容量劣化抑制効果を低下させるほどの破壊には至らない。この結果、本発明の充放電工程を備えることにより、容量劣化抑制効果を低下させることなく、水素ガスの発生時期を遅らすことができるようになる。
【0014】
そして、充放電工程における充電量が少なすぎると、必要とする膜の破壊が少なくなるため、充電量は理論容量に対して10%以上とすることが好ましい。
【0015】
また、本発明による焼結式カドミウム負極の他の製造方法においては、ニッケル焼結基板に水酸化カドミウムを主体とする活物質を充填する活物質充填工程と、この活物質充填工程により水酸化カドミウムを主体とする活物質が充填された焼結基板を加熱して所定量の酸化カドミウムを形成する熱処理工程と、この熱処理工程より加熱された焼結基板に重合度100以下のポリビニルピロリドンを含浸もしくは塗布する工程と、重合度100以下のポリビニルピロリドンが含浸もしくは塗布された焼結基板をアルカリ水溶液中で水和する水和工程を施すようにした。
【0016】
水酸化カドミウムを主体とする活物質の一部を酸化カドミウムに変化させた後、重合度100以下のポリビニルピロリドン(PVP)を共存させた状態でアルカリ水溶液中で水和させると、充放電処理したのと同様な効果が得られる。これは酸化カドミウムはカドミウム負極の充放電反応の中間生成物であって、酸化カドミウムをアルカリ水溶液中で水和することは擬似的に充放電反応を行っていることと同じことであるためと考えられる。
【0017】
そして、この水酸化カドミウムを主体とする活物質の一部を酸化カドミウムに変化させ、重合度100以下のポリビニルピロリドン(PVP)を含浸もしくは塗布した後にアルカリ水溶液中で水和させても、重合度100以下のポリビニルピロリドン(PVP)を含浸もしくは塗布した後、水酸化カドミウムを主体とする活物質の一部を酸化カドミウムに変化させ、この後にアルカリ水溶液中で水和させても擬似的に充放電反応を行っていることとなるので、熱処理工程が含浸、塗布工程の前であっても後であってもどちらでもよい。
【0018】
この活物質の一部を酸化カドミウムに変化させることは、充放電工程における充電量とほぼ等価であるため、酸化カドミウムに変化させる量は全活物質の10モル%以上とすることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
ついで、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
【0020】
1.カドミウム負極の作製
まず、パンチングメタルからなる極板芯体の表面にニッケル焼結多孔体(多孔度80%)を形成した後、化学含浸法により所定量のカドミウム活物質をニッケル焼結多孔体内に充填する。即ち、ニッケル焼結多孔体を硝酸カドミウムに含浸した後、アルカリ処理を行って、水酸化カドミウムを生成させるという工程を数回繰り返すことによって、所定量のカドミウム活物質(水酸化カドミウムを主体とする負極活物質)をニッケル焼結多孔体内に充填する。ついで、この活物質を充填した電極をアルカリ水溶液(例えば、水酸化カリウム水溶液(KOH))中に配置して、充放電を行うことにより化成した後、水洗、乾燥してベース負極を作成する。
【0021】
実施例1
このベース負極を水100重量部に対して重合度80のポリビニルピロリドン(PVP:以下、PVPという)(BASF社製:Luviskol K17)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させる。このベース負極を水酸化カリウム水溶液(比重1.23)中に浸漬し、理論容量の値を1C(以下、1Cをこのように定義する)とした場合、1/10C(0.1C)の電流で1時間の充電(即ち、理論容量に対して10%の充電量)を行い、1/3Cの電流で完全放電を行った後、水洗し、乾燥させ、実施例1のカドミウム負極(負極a)を作製する。
【0022】
実施例2
上述したベース負極を水100重量部に対して重合度80のPVP(BASF社製:Luviskol K17)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させる。このベース負極を水酸化カリウム水溶液(比重1.23)中に浸漬し、1/10C(0.1C)の電流で16時間の充電(即ち、理論容量に対して160%の充電量)を行い、1/3Cの電流で完全放電を行った後、水洗し、乾燥させ、実施例2のカドミウム負極(負極b)を作製する。
【0023】
実施例3
上述したベース負極を水100重量部に対して重合度80のPVP(BASF社製:Luviskol K17)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させる。このベース負極を水酸化カリウム水溶液(比重1.23)中に浸漬し、1/10C(0.1C)の電流で3時間の充電(即ち、理論容量に対して30%の充電量)を行い、1/3Cの電流で完全放電を行った後、水洗し、乾燥させ、実施例3のカドミウム負極(負極c)を作製する。
【0024】
実施例4
上述したベース負極を水100重量部に対して重合度80のPVP(BASF社製:Luviskol K17)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させる。このベース負極を160℃で10分間だけ加熱処理する。なお、この加熱処理により、水酸化カドミウムを主体とする全負極活物質の10モル%が酸化カドミウムとなる。この後、水酸化カリウム水溶液(比重1.23)中に30分間だけ浸漬して水和させた後、水洗し、乾燥させて、実施例4のカドミウム負極(負極d)を作製する。
【0025】
実施例5
上述したベース負極を水100重量部に対して重合度80のPVP(BASF社製:Luviskol K17)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させる。このベース負極を160℃で20分間だけ加熱処理する。なお、この加熱処理により、水酸化カドミウムを主体とする全負極活物質の14モル%が酸化カドミウムとなる。この後、水酸化カリウム水溶液(比重1.23)中に30分間だけ浸漬して水和させた後、水洗し、乾燥させて、実施例5のカドミウム負極(負極e)を作製する。
【0026】
実施例6
上述したベース負極を160℃で10分間だけ加熱処理する。なお、この加熱処理により、水酸化カドミウムを主体とする全負極活物質の10モル%が酸化カドミウムとなる。この後、水100重量部に対して重合度80のPVP(BASF社製:Luviskol K17)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させる。このベース負極を水酸化カリウム水溶液(比重1.23)中に30分間だけ浸漬して水和させた後、水洗し、乾燥させて、実施例6のカドミウム負極(負極f)を作製する。
【0027】
比較例1
上述したベース負極を水100重量部に対して重合度80のPVP(BASF社製:Luviskol K17)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させ、比較例1のカドミウム負極(負極g)を作製する。
【0028】
比較例2
上述したベース負極を比較例2のカドミウム負極(負極h)とする。
【0029】
比較例3
上述したベース負極を水100重量部に対して重合度450のPVP(BASF社製:Luviskol K30)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させて、比較例3のカドミウム負極(負極i)を作製する。
【0030】
比較例4
上述したベース負極を水100重量部に対して重合度80のPVP(BASF社製:Luviskol K17)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させる。このベース負極を水酸化カリウム水溶液(比重1.23)中に浸漬し、1/10C(0.1C)の電流で30分の充電(即ち、理論容量に対して5%の充電量)を行い、1/3Cの電流で完全放電を行った後、水洗し、乾燥させ、比較例4のカドミウム負極(負極j)を作製する。
【0031】
比較例5
上述したベース負極を水100重量部に対して重合度80のPVP(BASF社製:Luviskol K17)を10重量部溶解させたPVP水溶液中に所定の時間浸漬する。この浸漬工程によってベース負極にPVPが含浸される。ベース負極にPVPを含浸した後、ベース負極をPVP水溶液より引き上げ、乾燥させる。このベース負極を160℃で5分間だけ加熱処理する。なお、この加熱処理により、水酸化カドミウムを主体とする全負極活物質の6モル%が酸化カドミウムとなる。この後、水酸化カリウム水溶液(比重1.23)中に30分間だけ浸漬して水和させた後、水洗し、乾燥させて、比較例5のカドミウム負極(負極k)を作製する。
【0032】
2.カドミウム負極の単極での充放電サイクル試験
上述のようにして作製した負極a(実施例1)、負極b(実施例2)、負極c(実施例3)、負極g(比較例1)、負極h(比較例2)、負極i(比較例3)、負極j(比較例4)を用い、この対極としてニッケル金属板を用い、電解液として比重1.23の水酸化カリウム水溶液を用いて、1/10Cの電流で16時間充電(160%充電)を行い、1時間充電を休止した後、1Cの電流で放電させ、1時間放電を休止するという、カドミウム負極の単極での充放電サイクル試験を行った。この充放電サイクル試験後、横軸をサイクル数とし、縦軸に各サイクルにおける1サイクル後の放電容量に対する割合をプロットして、充放電サイクル特性を求めると図1に示すような結果となった。
【0033】
この図1から明らかなように、重合度が100以下のPVPを添加した負極a(実施例1)、負極b(実施例2)、負極c(実施例3)、負極g(比較例1)および負極j(比較例4)は、PVPが無添加の負極h(比較例2)および重合度が100を超えるPVPを添加した負極i(比較例3)より充放電サイクルでの劣化が少なく、高い容量を維持していることが分かる。このことから、重合度100以下のPVPを添加することにより、充放電サイクルでの劣化を防止できることが分かる。
【0034】
一方、上述のようにして作製した負極d(実施例4)、負極e(実施例5)、負極f(実施例6)、負極g(比較例1)、負極h(比較例2)、負極k(比較例5)を用い、この対極としてニッケル金属板を用い、電解液として比重1.23の水酸化カリウム水溶液を用いて、1/10Cの電流で16時間充電(160%充電)を行い、1時間充電を休止した後、1Cの電流で放電させ、1時間放電を休止するという、カドミウム負極の単極での充放電サイクル試験を行った。このサイクル試験の後、横軸をサイクル数とし、縦軸に各サイクルにおける1サイクル後の放電容量に対する割合をプロットして、充放電サイクル特性を求めると図2に示すような結果となった。
【0035】
この図2から明らかなように、PVPを添加した負極d(実施例4)、負極e(実施例5)、負極f(実施例6)、負極g(比較例1)および負極k(比較例5)は、PVPが無添加の負極h(比較例2)より充放電サイクルでの劣化が少なく、高い容量を維持していることが分かる。このことから、重合度100以下のPVPを添加することにより、充放電サイクルでの劣化を防止できることが分かる。
【0036】
3.水素ガス発生試験
ついで、上述のようにして作製した負極a(実施例1)、負極b(実施例2)、負極c(実施例3)、負極g(比較例1)、負極h(比較例2)、負極i(比較例3)、負極j(比較例4)を用い、この対極としてニッケル金属板を用い、電解液として比重1.23の水酸化カリウム水溶液を用いて、0℃の雰囲気中で1/5Cの電流で充電を行い、水素ガスが発生するまでの充電量を測定すると、以下の表1に示すような結果となった。なお、表1において、充電量は各負極の理論容量に対する水素発生時の充電量の割合(%)で示している。
【0037】
【表1】
【0038】
この表1より明らかなように、負極a(実施例1)、負極b(実施例2)、負極c(実施例3)、負極h(比較例2)および負極i(比較例3)は、ほぼ同じ充電量で水素を発生したが、負極g(比較例1)および負極j(比較例4)はこれらよりも低い充電量で水素を発生していることが分かる。
【0039】
一方、上述のようにして作製した負極d(実施例4)、負極e(実施例5)、負極f(実施例6)、負極h(比較例2)、負極k(比較例5)を用い、この対極としてニッケル金属板を用い、電解液として比重1.23の水酸化カリウム水溶液を用いて、0℃の雰囲気中で1/5Cの電流で充電を行い、水素ガスが発生するまでの充電量を測定すると、以下の表2に示すような結果となった。なお、表2において、充電量は各負極の理論容量に対する水素発生時の充電量の割合(%)で示しており、酸化カドミウム量は加熱処理により形成された水酸化カドミウムを主体とする全負極活物質に対する割合(%)で示している。
【0040】
【表2】
【0041】
この表2より明らかなように、負極d(実施例4)、負極e(実施例5)、負極f(実施例6)および負極h(比較例2)は、ほぼ同じ充電量で水素を発生したが、負極k(比較例5)はこれらよりも低い充電量で水素を発生していることが分かる。
【0042】
上記表1および表2から言えることは、充放電処理を行った負極a(実施例1)、負極b(実施例2)および負極c(実施例3)と、充放電処理を行わずに加熱処理を行った負極d(実施例4)、負極e(実施例5)および負極f(実施例6)とは同じ効果を奏するということを意味する。ただし、負極j(比較例4)のように1/10Cで30分だけの充電で充電が充分に行われなかったり、あるいは負極k(比較例5)のように160℃で5分間だけの加熱で加熱処理が充分に行われない場合はその効果が小さい。
【0043】
4.密閉型ニッケル−カドミウム蓄電池の作製
以上のようにして作製したa,b,c,d,e,f,g,h,i,j,kの11種類のカドミウム負極に部分充電により所定量の予備充電(プリチャージ)を施し、こうしてプリチャージを施したカドミウム負極と焼結式ニッケル正極板とをナイロン不織布製のセパレータを介して対向するように卷回して7種類の電極体とし、これらの11種類の電極体をそれぞれ外装缶内に挿入した後、30重量%の水酸化カリウム水溶液(KOH)を注液し、密閉して、A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,Kの11種類のニッケル−カドミウム蓄電池(公称容量が1300mAhのもの)を作製した。
【0044】
5.密閉型ニッケル−カドミウム蓄電池の充放電サイクル試験
ついで、上述したようにして作製したA,B,C,G,H,I,Jの7種類のニッケル−カドミウム蓄電池を用いて、室温(23±5℃)で130mAの充電々流で16時間充電(160%充電)を行い、1時間充電を休止した後、6.5Aの放電々流で電池電圧が0.8Vになるまで放電させ、1時間放電を休止する。このような充放電サイクルを繰り返すという充放電サイクル試験を行った。このサイクル試験の後、横軸をサイクル数とし、縦軸に各サイクルにおける1サイクル後の放電容量に対する割合をプロットして、充放電サイクル特性を求めると図3に示すような結果となった。
【0045】
図3より明らかなように、電池A(実施例1)、電池B(実施例2)および電池C(実施例3)が容量劣化が少ないことが分かる。また、電池H(比較例2)および電池I(比較例2)は単極試験と同様に、電池にした状態でも電池A(実施例1)、電池B(実施例2)および電池C(実施例3)より劣り、容量劣化が大きいことが分かる。電池G(比較例1)および電池J(比較例4)は極端に寿命が短くなった。これは、サイクルの初期から充電時に早期に水素ガスが発生して電池内部に蓄積され、早期にガス排出弁の作動圧に達して、内部の電解液が放出されて電解液量が減少したためと考えられる。
【0046】
以上のことから、水酸化カドミウムを主体とする活物質に重合度100以下のポリビニルピロリドン(PVP)が共存した状態で充放電を行うことにより、充放電サイクルに伴うカドミウム負極の容量劣化を抑制しつつ水素ガスの早期の発生を抑制できるようになるということができる。この場合、充電電気量はその理論容量の10%以上とすることが好ましい。
【0047】
一方、上述したようにして作製したD,E,F,G,H,Kの6種類のニッケル−カドミウム蓄電池を用いて、室温(23±5℃)で130mAの充電々流で16時間充電(160%充電)を行い、1時間充電を休止した後、6.5Aの放電々流で電池電圧が0.8Vになるまで放電させ、1時間放電を休止する。このような充放電サイクルを繰り返すという充放電サイクル試験を行った。このサイクル試験の後、横軸をサイクル数とし、縦軸に各サイクルにおける1サイクル後の放電容量に対する割合をプロットして、充放電サイクル特性を求めると図4に示すような結果となった。
【0048】
図4より明らかなように、電池D(実施例4)、電池E(実施例5)および電池F(実施例6)が容量劣化が少ないことが分かる。また、電池H(比較例2)は単極試験と同様に、電池にした状態でも電池D(実施例4)、電池E(実施例5)および電池F(実施例6)より劣り、容量劣化が大きいことが分かる。電池G(比較例1)および電池K(比較例5)は極端に寿命が短くなった。これは、サイクルの初期から充電時に早期に水素ガスが発生して電池内部に蓄積され、早期にガス排出弁の作動圧に達して、内部の電解液が放出されて電解液量が減少したためと考えられる。
【0049】
以上のことから、水酸化カドミウムを主体とする活物質の一部を酸化カドミウムに変化させ、これに重合度100以下のポリビニルピロリドン(PVP)を共存させた状態で水和させることにより、充放電サイクルに伴うカドミウム負極の容量劣化を抑制しつつ水素ガスの早期の発生を抑制できるようになるということができる。この場合、酸化カドミウムの生成量は全活物質に対して10モル%以上とすることが好ましい。
【0050】
上述したように、本発明の焼結式カドミウム負極の製造方法を採用すれば、充放電サイクルに伴うカドミウム負極の容量劣化を抑制しつつ水素ガスの早期の発生を抑制できるようになるので、サイクル特性が向上し、長寿命の密閉型電池が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カドミウム負極の単極でのサイクル数と負極容量(極板容量)の関係を示す図である。
【図2】 図1と同様なカドミウム負極のサイクル数と負極容量(極板容量)の関係を示す図である。
【図3】 ニッケル−カドミウム蓄電池を構成した場合のサイクル数と電池容量の関係を示す図である。
【図4】 図3と同様なニッケル−カドミウム蓄電池を構成した場合のサイクル数と電池容量の関係を示す図である。
Claims (5)
- ニッケル焼結基板にカドミウム活物質を充填して形成する焼結式カドミウム負極の製造方法であって、
前記ニッケル焼結基板に水酸化カドミウムを主体とする活物質を充填する活物質充填工程と、
この活物質充填工程により水酸化カドミウムを主体とする活物質が充填された焼結基板をアルカリ水溶液中に配置して充放電を行うことにより化成する化成処理工程と、
この化成処理工程にて化成処理された焼結基板に重合度100以下のポリビニルピロリドンを含浸もしくは塗布する工程と、
前記ポリビニルピロリドンが含浸もしくは塗布された焼結基板に充電処理を施した後、完全放電を行う充放電工程を施すことを特徴とする焼結式カドミウム負極の製造方法。 - 前記充放電工程における充電処理は理論容量に対して10%以上としたことを特徴とする請求項1に記載の焼結式カドミウム負極の製造方法。
- ニッケル焼結基板にカドミウム活物質を充填して形成する焼結式カドミウム負極の製造方法であって、
前記ニッケル焼結基板に水酸化カドミウムを主体とする活物質を充填する活物質充填工程と、
この活物質充填工程により水酸化カドミウムを主体とする活物質が充填された焼結基板を加熱して所定量の酸化カドミウムを形成する熱処理工程と、
この熱処理工程より加熱された前記焼結基板に重合度100以下のポリビニルピロリドンを含浸もしくは塗布する工程と、
前記ポリビニルピロリドンが含浸もしくは塗布された前記焼結基板をアルカリ水溶液中で水和する水和工程を施すことを特徴とする焼結式カドミウム負極の製造方法。 - ニッケル焼結基板にカドミウム活物質を充填して形成する焼結式カドミウム負極の製造方法であって、
前記ニッケル焼結基板に水酸化カドミウムを主体とする活物質を充填する活物質充填工程と、
この活物質充填工程により水酸化カドミウムを主体とする活物質が充填された焼結基板に重合度100以下のポリビニルピロリドンを含浸もしくは塗布する工程と、
前記ポリビニルピロリドンが含浸もしくは塗布された前記焼結基板を加熱して所定量の酸化カドミウムを形成する熱処理工程と、
前記熱処理工程により所定量の酸化カドミウムが形成された前記焼結基板をアルカリ水溶液中で水和する水和工程を施すことを特徴とする焼結式カドミウム負極の製造方法。 - 前記所定量の酸化カドミウムは前記水酸化カドミウムを主体とする全活物質の10モル%以上であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の焼結式カドミウム負極の製造方法。
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