JP3738784B2 - 界面制御セラミックスの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は強度が大きく靱性の高いセラミックスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高温ガスタービン、ロケットをはじめエネルギ関連の機器の分野で高温に曝される部分の材料としてセラミックスが採用される。しかしセラミックスは一般に靱性が低く割れやすいので、靱性を高め、かつ強度を大きくするために結晶粒界面の特性を制御することが必要で、こうした界面に異種粒子を分散させる等の手法が用いられる。従来はかかる界面制御のための添加物を原料粉体に焼結助剤といった他の成分と同時に混合している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし原料粉体に焼結助剤と共に界面制御のための添加成分を混合した場合、焼成時にそれらの間での反応が起ったり、物質移動が起ったりして、界面制御のための添加成分を目的とする界面部分に配置することができないので、界面の特性を十分制御することができず、セラミックスの性能向上は限られたものにならざるを得ない。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑み案出されたもので、界面制御のための添加物をセラミックスの結晶の界面に局在化させることにより確実に界面制御を行い靱性が高く強度の大きいセラミックスを製造することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の界面制御セラミックスの製造方法は、核となるセラミック粒子の表面に焼結助剤を被覆する工程と、焼結助剤を被覆した表面に核となるセラミック粒子と同材質のセラミック原料を被覆する工程と、さらにその表面に界面制御のためのセラミック粒子を付着させ、または界面制御のためのセラミック原料を被覆する工程と、これを成形後焼結する工程とからなる。
【0006】
セラミックスを焼結した後固溶または析出のための熱処理を行うのが好ましい。セラミックスの材質としては窒化けい素または炭化けい素を採用してもよい。焼結助剤、核となるセラミックスと同材質のセラミックス、および界面制御のためのセラミック原料を被覆する工程はCVD等の気相反応、ゾルゲル法またはセラミック前駆体樹脂等の液相原料を含浸する方法を採用してもよい。また界面制御のためのセラミック粒子を付着させる工程は固体粉末の凝集を利用してもよい。
【0007】
以下本発明の製造方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の各工程を示す説明図である。
【0008】
図1(A)に示すように核となるセラミック粒子1の表面に焼結助剤2の被覆を行う。核となる耐熱性のセラミックスとしては炭化けい素や窒化けい素が対象となり粒子、ウイスカ等の短繊維を核として用いる。それらの表面に焼結助剤となるセラミックスを被覆するが、核となるセラミックスが窒化けい素の場合にはアルミナ、イットリアをはじめとする酸化物系セラミックスを用い、核となるセラミックスが炭化けい素の場合にはアルミナ、イットリア、ボロン、炭素、アルミニウム等を用いる。被覆する方法としてはCVD等の気相反応を用いてもよいし、ゾルゲル法のように液相反応を利用してもよい。
【0009】
次に図1(B)を示すように原料粒子相3を焼結助剤2の表面に成形する。原料粒子相3とは核1と同材質のセラミックスである。原料粒子相3を形成する方法としては、ポリカルボシランやポリシラザンのような炭化けい素、窒化けい素の前駆体樹脂の溶液中に図1(A)の工程で製造した核1に焼結助剤2を被覆した粒子を分散させ、これを乾燥、焼成する方法がある。
【0010】
原料粒子相3を形成する方法は上記以外の方法でもよく、例えば図1(A)の工程で製造した核となる粒子1に焼成助剤2を被覆した粒子と原料粉粒子を溶液中に分散させた後PHを制御する等の方法で、被覆した粒子の表面電荷をコントロールし、被覆粒子の表面に原料粉粒子を凝集させてもよいし、乾燥時に凝集させてもよい。
【0011】
次に図1(C)で示すように原料粒子3の表面に界面制御のための添加成分を付着させるかまたは被覆する。添加成分が粉体である場合には原料粒子3の表面に付着させるが、その方法は上記(B)の工程と同様凝集を利用するのがよい。あるいはCVD等の気相反応によって行ってもよいし、ゾルゲル法などの液相反応や前駆体樹脂を利用してもよい。
【0012】
次に図1(D)に示すように成形を行う。工程(D)で得られた粉体を溶液中に投入して混合した塑性物を通常の方法、例えば押出し成形、CIP等を適用して成形する。
【0013】
次に図1(E)で示すように(D)の工程で得られた成形体の焼結を行う。材料に応じて通常用いられる焼結方法を適用する。例えば常圧焼結でもよいし、ホットプレス、HIPといった加圧焼結を用いることもできる。図1(E)で示すようにセラミックスの粒子5の界面に界面制御成分4が配置される。その後界面相の制御として必要に応じて固溶や析出の制御のための熱処理を行う。
【0014】
【作用】
以上のような製造方法による界面制御セラミックスの製造は次のような作用により行われる。核となる粒子1の表面に焼結助剤2、原料粉3、界面制御成分4の順に被覆がなされるため、焼結時に焼結助剤近傍から順次緻密化が進行し、焼結の終期にそれが界面制御成分4に達する。このため従来のようにこれらの成分を均一に混合した際に起こる界面制御成分と焼結助剤との反応が防止され、界面に確実に界面制御成分4を配置することができる。これにより目的とする界面制御が的確に行われ、破壊靱性や強度の向上といった材料の特性の向上の発現が可能になる。
【0015】
【実施例1】
平均径2μmのα型炭化けい素粉末を硝酸アルミニウムと尿素を含む水溶液に分散させ、これを損拌しながら90°Cに加熱し、6時間保持することにより炭化けい素粉末表面に水酸化アルミニウムを析出させて被覆した。この反応は次のように起る。
【0016】
これを1300°Cで焼成し水酸化アルミニウムをアルミナ(焼結助剤)とした。
【0017】
次にポリカルボシランを溶解させたテトラヒドロフラン溶液にこの粉体を分散させ、炉過後、乾燥および不融化を行い表面にポリカルボシランの被覆を行った。これを1300°Cのアルゴンガス中で焼成し、ポリカルボシランを炭化けい素に転化させた、この処理を10回繰り返し原料粒子相とした。
【0018】
得られた粉末とほう化チタン粉末を水系スラリとした後スプレードライ乾燥を行い原料粒子相粉末の表面にほう化チタン粉末を付着させた。これをCIPにより成形し、HIP焼結を用い、1900°C、200MPa、1時間の焼成を行い焼結体とした。
【0019】
得られた焼結体の強度は500MPa(JIS R1601「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」の中の3点曲げ強度)であり、破壊靱性は7MPa√m(JIS R1601「ファインセラミックスの破壊靱性試験方法」の中のSEPB法)であるという優れた値を示した。
【0020】
【実施例2】
平均径2μmのα型炭化けい素粉末と水溶性フェノール樹脂、ほう酸を含むスラリをスプレードライ処理し、炭化けい素粉末表面にフェノール樹脂とほう酸の混合物を被覆した。これを1500°Cのアルゴンガス中で焼成し、炭化けい素粉末の表面に炭化ほう素(焼結助剤)の被覆をした。次に炭化けい素原料相の被覆を行った後、実施例1と同様の方法でアルミナの被覆を行った。この粉末をピッチのキノリン溶液と混合し、乾燥後1350°C N2 ガス中で3時間処理しアルミナを窒化アルミ(界面制御のための添加成分)に転化した。その後空気中500°Cで3時間焼成し、余剰の炭素を除去した。
【0021】
得られた粉末をCIP成形し、1500°C真空中で仮焼した後HIP法により1900°C、200MPaで1時間焼成した。その後窒化アルミを固溶させるため2100°Cで5時間熱処理を行い、その後1750°Cで10時間の熱処理を行った。得られた焼結体の強度は590MPa、破壊靱性は7.4MPa√mと優れた値を示した。尚強度、靱性の測定方法は実施例1と同じである。
【0022】
【比較例1】
市販の炭化けい素粉末に焼結助剤のアルミナおよびほう化チタンを添加した成形体を実施例1と同様の焼成条件で緻密化した結果、強度は450MPa、破壊靱性は5.5MPa√mであった。
【0023】
【比較例2】
市販の炭化けい素粉末に同量の炭化ほう素および窒化アルミニウムを添加した材料を実施例2と同様の焼成条件で緻密化した結果、強度は400MPa、破壊靱性は4.5MPa√mであった。
【0024】
以上実施例とそれに対応する比較例を比べれば明らかなように本発明の製造方法により得られたセラミックスは高い靱性と大きな強度を有することが明らかである。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の製造方法により得られた界面制御セラミックスは核となる原料セラミックス、焼結助剤、核と同質のセラミック原料、界面制御のための添加成分を順次被覆した粉末を成形し、それを焼結して緻密化するようにしたので焼結時に界面制御成分が、焼結助剤等の他の成分と反応したり、拡散したりしないでセラミック結晶界面に局在化している。従って目的とする界面制御が確実に行われ破壊靱性や強度など特性の優れたセラミックスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の界面制御セラミックスの製造方法を工程順に示した説明図である。
【符号の説明】
1 核となるセラミック粒子
2 焼結助剤の被覆
3 核となるセラミック粒子と同材質のセラミックスの原料粒子相
4 界面制御のための添加成分
5 界面制御セラミックスの組成粒子
Claims (5)
- 核となるセラミック粒子の表面に焼結助剤を被覆する工程と、焼結助剤を被覆した表面に核となるセラミック粒子と同材質のセラミック原料を被覆する工程と、さらにその表面に界面制御のためのセラミック粒子を付着させ、または界面制御のためのセラミック原料を被覆する工程と、これを成形後焼結する工程とからなることを特徴とする界面制御セラミックスの製造方法。
- セラミックスを焼結した後固溶または析出のための熱処理を行う請求項1記載の界面制御セラミックスの製造方法。
- 核粒子および原料セラミックスは窒化けい素または炭化けい素である請求項1または請求項2記載の界面制御セラミックスの製造方法
- 核となるセラミック粒子の表面に焼結助剤を被覆する工程、焼結助剤を被覆した表面に核となるセラミック粒子と同材質のセラミック原料を被覆する工程およびその表面に界面制御のためのセラミック原料を被覆する工程がCVD等の気相反応またはゾルゲン法もしくはセラミック前駆体樹脂等の液相原料を含浸する方法である請求項1ないし請求項3の界面制御セラミックスの製造方法。
- 界面制御のためのセラミック粒子を付着させる工程が固体粉末の凝集を利用した方法である請求項1ないし請求項3記載の界面制御セラミックスの製造方法。
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