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JP3738272B2 - プロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた自動車用内装部材 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた自動車用内装部材 Download PDF

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JP3738272B2
JP3738272B2 JP07338896A JP7338896A JP3738272B2 JP 3738272 B2 JP3738272 B2 JP 3738272B2 JP 07338896 A JP07338896 A JP 07338896A JP 7338896 A JP7338896 A JP 7338896A JP 3738272 B2 JP3738272 B2 JP 3738272B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた自動車用内装部材に関する。さらに詳しくは、本発明はウエルド外観が良好で、かつ低光沢性を有し、無塗装化が可能でコストダウンを図ることができる上、耐衝撃性に優れ、例えばシボ面での低光沢性や良好な外観が求められる自動車用内装部材などの成形材料として好適なプロピレン系樹脂組成物、及びこれを射出成形してなる自動車用内装部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の内装部品においては、製品のコストダウンを目的とした無塗装化の進展に伴い、良好な外観性能を有するとともに、光の反射を抑制し、かつ落着き感を付与するなどの効果がある低光沢性に優れる内装部品の要求が急速に高まっている。また、同時に安全対策、材料の低コスト化の要求レベルも厳しくなり、耐衝撃性に優れた安価な材料が求められている。
自動車の内装部品の材料としては、安価な汎用樹脂であるプロピレン系樹脂が多用されており、そしてこのプロピレン系樹脂の耐衝撃性(常温アイゾット衝撃強度)を向上させるには、スチレン系エラストマーが効果的であることが知られている。しかしながら、このスチレン系エラストマーは高価である上、得られた成形材料は光沢度が高いなどの問題がある。
【0003】
また、耐低温衝撃性に優れた成形材料として、例えば結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体に、メタロセン系触媒を用いて得られたエチレン−α−オレフィン共重合体を配合した樹脂組成物(特開平7−145272号公報,特開平7−145298号公報)、プロピレン系樹脂に、ブテン−1単位含有量の比較的多いエチレン−ブテン−1共重合体(実質上メタロセン系触媒により得られたもの)を配合した樹脂組成物(特開平6−192506号公報,特開平7−18151号公報)、プロピレン系樹脂に、オクテン−1含有量の比較的多いエチレン−オクテン−1共重合体(実質上メタロセン系触媒により得られたもの)を配合した樹脂組成物(国際特許公開94−6859号)などが開示されている。
しかしながら、これらの樹脂組成物では、耐低温衝撃性は良好であるものの、低光沢性の成形品を製造しにくいという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、ウエルド外観が良好で、かつ低光沢性を有し、無塗装化が可能でコストダウンを図ることができ、しかも耐衝撃性に優れ、自動車用内装部材などの成形材料として好適なプロピレン系樹脂組成物及びこれを用いた自動車用内装部材を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、低光沢性を有し、かつ耐衝撃性に優れる成形品を与えるプロピレン系樹脂組成物について鋭意研究を重ねた結果、特定の性状を有するプロピレン系樹脂に、特定の耐衝撃性付与剤と場合によりタルクを所定の割合で配合した樹脂組成物により、前記目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(A)(1)(イ)23℃パラキシレン不溶分70〜98重量%と(ロ)23℃パラキシレン可溶分30〜2重量%とからなり、かつ(2)(イ)成分が、溶融粘弾性測定から得られる角周波数ωが100 /secでの緩和時間τが0.01〜0.35秒であって、溶融粘弾性測定から得られる貯蔵弾性率(G')が2×102 Paとなるような角周波数をω1 、2×104 Paとなるような角周波数をω2 としたとき、ω2 /10ω1 で表される分子量分布指数(PDI)が1〜18であり、(3)(ロ)成分の極限粘度〔η〕(135℃,デカリン中)が2.0〜10デシリットル/gであり、さらに、(4)エチレン単位含有量が1〜20重量%であるプロピレン系樹脂50〜99重量%と、(B)密度0.850〜0.875g/cm3 及びメルトインデックス0.01〜25g/10分を有するエチレン−炭素数4〜18のα−オレフィン共重合体1〜15重量%と、(C)タルク0〜35重量%とからなるプロピレン系樹脂組成物を提供するものである。また、本発明は、上記プロピレン系樹脂組成物を射出成形してなる自動車用内装部材をも提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物において、(A)成分として用いられるプロピレン系樹脂は、以下に示す性状を有する。
まず、23℃パラキシレンにより分別した場合、(イ)不溶分量が70〜98重量%で、(ロ)可溶分量が30〜2重量%である。不溶分量が70重量%未満では成形品の剛性,シボ面での低光沢性,ウエルド外観が不充分で、フローマークや色ムラが発生しやすく、98重量%を超えると耐衝撃性が低下し、またウエルド外観,シボ面での低光沢性が不充分となる傾向がみられる。外観,剛性,耐衝撃性及びシボ面での低光沢性などのバランスの面から、この不溶分の好ましい含有量は75〜93重量%の範囲であり、特に80〜88重量%の範囲が好適である。
なお、この23℃パラキシレンによる分別は、以下に示す方法により実施される。すなわち、試料を130℃のパラキシレンに完全溶解後、23℃に冷却した際の溶解部分と非溶解部分に分別する。
【0007】
本発明においては、上記(イ)成分は、溶融粘弾性測定から得られる角周波数ωが100 /secでの緩和時間τが0.01〜0.35秒である。この緩和時間τが0.35秒を超えると得られる成形品はウエルド外観が不良となり、かつシボ面での低光沢性が不充分である上、フローマークや色ムラが発生しやすくなる。外観及びシボ面での低光沢性などの面から、好ましい緩和時間τは0.02〜0.30秒であり、特に0.02〜0.25秒が好適である。なお、この緩和時間τはレオメトリックス社製システム4〔回転型レオメーター,コーンプレート(25mmφ),コーンアングル:0.1ラジアン〕を用い、温度175℃において角周波数ω=100 /secで正弦的な剪断歪みを加え、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G''とから、関係式=G’/ωG''を用いて算出した値である。
【0008】
また、この(イ)成分は、溶融粘弾性測定から得られる貯蔵弾性率(G’)が2×102 Paとなるような角周波数をω1 、2×104 Paとなるような角周波数をω2 としたとき、ω2 /10ω1 で表される分子量分布指数(PDI)が1〜18である。このPDIが18を超えると得られる成形品はウエルド外観が不良となり、かつシボ面での低光沢性が不充分である上、色ムラが発生しやすくなる、外観及び低光沢性などの面から、好ましい分子量分布指数(PDI)は2〜16であり、特に2〜14が好適である。なお、このPDIは、測定機器としてレオメトリックス社製システム4〔回転型レオメーター,コーンプレート(25mmφ),コーンアングル:0.1ラジアン〕を用い、測定条件:175℃,歪30%で測定を行い求めた。
【0009】
次に、上記(ロ)成分の極限粘度〔η〕(135℃、デカリン中)が2.0〜10デシリットル/gである。この〔η〕が2.0デシリットル/g未満では得られる成形品はウエルド外観が悪く、かつシボ面での低光沢性が不充分である。また、〔η〕が10デシリットル/gを超えるとフローマークが発生するなど成形性が低下するとともに、耐衝撃性が悪くなる。ウエルド外観,シボ面での低光沢性,成形性及び耐衝撃性などの面から、好ましい〔η〕は2.2〜9.0デシリットル/gであり、特に2.4〜8.0デシリットル/gが好適である。
【0010】
さらに、この(A)成分のプロピレン系樹脂は、エチレン単位を1〜20重量%の割合で含有することを要する。この含有量が1重量%未満では得られる成形品はウエルド外観が不良で、かつシボ面での低光沢性及び耐衝撃性が不充分であり、20重量%を超えるとウエルド外観,シボ面での低光沢性及び剛性が不充分となり、かつフローマークが発生するなど成形性が低下する。ウエルド外観,シボ面での低光沢性,成形性,耐衝撃性及び剛性などのバランスの面から、このエチレン単位の好ましい含有量は5〜17重量%の範囲であり、特に8〜15重量%の範囲が好適である。
【0011】
また、この(A)成分のプロピレン系樹脂は、温度230℃,荷重2.16kgfの条件で測定したメルトインデックス(MI)が1〜100g/10分の範囲にあるものが好ましい。このMIが1g/10分未満では流動性が低くて成形性が悪く、また100g/10分を超えると成形品の機械物性が低下する。成形性及び機械物性のバランスの面から、より好ましいMIは5〜70g/10分、特に好ましくは10〜40g/10分の範囲である。なお、このMIはJIS K−7210に準拠して求めた値である。特に、MIが8g/10分より大きなプロピレン系樹脂とMIが5g/10分未満のプロピレン系樹脂との混合物であって、MIが5g/10分未満のプロピレン系樹脂を5〜30重量%の割合で含有するものが、耐衝撃性の良好なものが得られる点から好ましい。MIが5g/10分未満のプロピレン系樹脂の含有量が30重量%を超えるとフローマークが発生するなど、成形性が低下する傾向がみられる。
【0012】
上記(A)成分のプロピレン系樹脂の製造方法については、前記要件を満たすプロピレン系樹脂が得られる方法であればよく、特に制限されず、様々な方法が挙げられる。例えば、別々に重合して得られた各成分をブレンドする方法、あるいは、次に示すように、(a)(i)マグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体からなる固体触媒成分、及び必要に応じて用いられる(ii)結晶性ポリオレフィンから構成される固体成分と、(b)有機アルミニウム化合物と、通常用いられる(c)電子供与性化合物とからなる触媒系の存在下、多段重合を行い、プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造する方法などがある。
次に、多段重合法によるプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法について説明する。
【0013】
この多段重合に用いられる触媒系において、前記(a)固体成分は、(i)成分のマグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体からなる固体触媒成分と、必要に応じて用いられる(ii)成分の結晶性ポリオレフィンとから構成されている。該(i)成分の固体触媒成分は、マグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体を必須成分とするものであって、マグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体とを接触させることによって調製することができる。なおこの場合、ハロゲン原子は、ハロゲン化物としてマグネシウム化合物及び/又はチタン化合物などに含まれる。
該マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシウムジクロリドなどのマグネシウムジハライド,酸化マグネシウム,水酸化マグネシウム,ハイドロタルサイト,マグネシウムのカルボン酸塩,ジエトキシマグネシウムなどのジアルコキシマグネシウム,ジアリーロキシマグネシウム,アルコキシマグネシウムハライド,アリーロキシマグネシウムハライド,エチルブチルマグネシウムなどのジアルキルマグネシウム,アルキルマグネシウムハライドあるいは有機マグネシウム化合物と電子供与体,ハロシラン,アルコキシシラン,シラノール及びアルミニウム化合物等などの反応物などを挙げることができるが、これらの中でマグネシウムジハライド,ジアルコキシマグネシウム,ジアルキルマグネシウム,アルキルマグネシウムハライドが好適である。またこれらのマグネシウム化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
また、マグネシウム化合物として、金属マグネシウムとハロゲンとアルコールとの反応生成物を用いることもできる。この際用いられる金属マグネシウムは特に制限はなく、任意の粒径の金属マグネシウム、例えば、顆粒状,リボン状,粉末状などのものを用いることができる。また、金属マグネシウムの表面状態も特に制限はないが、表面に酸化マグネシウムなどの被膜が生成されていないものが好ましい。
さらに、アルコールとしては任意のものを用いることができるが、炭素数1〜6の低級アルコールを用いることが好ましく、特に、エタノールは触媒性能の発現を著しく向上させる固体触媒成分を与えるので好適である。アルコールの純度及び含水量も限られないが、含水量の多いアルコールを用いると金属マグネシウム表面に水酸化マグネシウムが形成されるので、含水量が1重量%以下、特に2000ppm以下のアルコールを用いることが好ましく、水分は少ないほど有利である。
【0015】
ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の種類に制限はなく、ハロゲン含有化合物としては、ハロゲン原子をその分子中に含む化合物であればいずれのものでも使用できる。この場合、ハロゲン原子の種類については特に制限されないが、塩素,臭素又はヨウ素、特にヨウ素が好適に使用される。ハロゲン含有化合物の中ではハロゲン含有金属化合物が特に好ましい。これらの状態,形状,粒度などは特に限定されず、任意のものでよく、例えば、アルコール系溶媒(例えば、エタノール)中の溶液の形で用いることができる。
アルコールの使用量は、金属マグネシウム1モルに対して2〜100モル、好ましくは5〜50モルの範囲で選ばれる。アルコール量が多すぎると、モルフォロジーの良好なマグネシウム化合物が得られにくい傾向がみられ、少ない場合は、金属マグネシウムとの反応が円滑に行われなくなるおそれがある。
【0016】
ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物は通常、金属マグネシウム1グラム原子に対して、ハロゲン原子として0.0001グラム原子以上、好ましくは0.0005グラム原子以上、さらに好ましくは0.001グラム原子以上の割合で用いられる。0.0001グラム原子未満では、得られたマグネシウム化合物を粉砕することなく用いた場合、担持量,活性,立体規則性,生成ポリマーのモルフォロジーなどが低下し、粉砕処理が不可欠なものとなり好ましくない。また、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の使用量を適宜選択することにより、得られるマグネシウム化合物の粒径を任意にコントロールすることが可能である。
【0017】
金属マグネシウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物との反応それ自体は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、金属マグネシウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物とを、還流下で、水素ガスの発生が認められなくなるまで、通常約20〜30時間反応させて所望のマグネシウム化合物を得る方法である。具体的には、例えばハロゲンとしてヨウ素を用いる場合には、アルコール中に金属マグネシウム及び固体状のヨウ素を投入したのち、加熱し還流する方法、アルコール中に金属マグネシウム及びヨウ素のアルコール溶液を滴下投入後加熱し還流する方法、金属マグネシウムを含むアルコール溶液を加熱しつつヨウ素のアルコール溶液を滴下する方法などが挙げられる。いずれの方法も、例えば窒素ガス,アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で、場合により不活性有機溶媒(例えば、n−ヘキサンなどの飽和炭化水素)を用いて行うことが好ましい。金属マグネシウム、アルコール、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の投入については、最初からそれぞれ全量を反応槽に投入しておく必要はなく、分割して投入してもよい。特に好ましい形態は、アルコールを最初から全量投入しておき、金属マグネシウムを数回に分割して投入する方法である。
【0018】
このようにした場合、水素ガスの一時的な大量発生を防ぐことができ、安全面から非常に望ましい。また、反応槽も小型化することが可能となる。さらには、水素ガスの一時的な大量発生により引き起こされるアルコールやハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の飛沫同伴を防ぐことも可能となる。分割する回数は、反応槽の規模を勘案して決めればよく、操作の煩雑さを考えると通常5〜10回が好適である。また、反応自体は、バッチ式,連続式のいずれでもよいことは言うまでもない。さらには、変法として、最初から全量投入したアルコール中に金属マグネシウムを先ず少量投入し、反応により生成した生成物を別の槽に分離して除去したのち、再び金属マグネシウムを少量投入するという操作を繰り返すということも可能である。
このようにして得たマグネシウム化合物を、次の固体触媒成分の調製に用いる場合、乾燥させたものを用いてもよく、またろ別後ヘプタンなどの不活性溶媒で洗浄したものを用いてもよい。いずれの場合においても、得られたマグネシウム化合物は、粉砕あるいは粒度分布を揃えるための分級操作をすることなく次工程に用いることができる。
【0019】
また、該チタン化合物としては、例えば、テトラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−n−プロポキシチタン,テトライソプロポキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトライソブトキシチタン,テトラシクロヘキシロキシチタン,テトラフェノキシチタンなどのテトラアルコキシチタンやテトラアリーロキシチタン、四塩化チタン,四臭化チタン,四ヨウ化チタンなどのテトラハロゲン化チタン、メトキシチタニウムトリクロリド,エトキシチタニウムトリクロリド,プロポキシチタニウムトリクロリド,n−ブトキシチタニウムトリクロリド,エトキシチタニウムトリブロミドなどのトリハロゲン化アルコキシチタン、ジメトキシチタニウムジクロリド,ジエトキシチタニウムジクロリド,ジプロポキシチタニウムジクロリド,ジ−n−ブトキシチタニウムジクロリド,ジエトキシチタニウムジブロミドなどのジハロゲン化ジアルコキシチタン、トリメトキシチタニウムクロリド,トリエトキシチタニウムクロリド,トリプロポキシチタニウムクロリド,トリ−n−ブトキシチタニウムクロリドなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタンなどが挙げられるが、これらの中で高ハロゲン含有チタン化合物、特に四塩化チタンが好適である。またこれらのチタン化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
そして、電子供与体としては、後で(c)成分の電子供与性化合物として例示するものを用いることができる。
該(i)固体触媒成分の調製は、公知の方法(特開昭53−43094号公報,特開昭55−135102号公報,特開昭55−135103号公報,特開昭56−18606号公報,特開昭56−166205号公報,特開昭57−63309号公報,特開昭57−190004号公報,特開昭57−300407号公報,特開昭58−47003号公報)で行うことができる。
【0021】
このようにして調製された(i)固体触媒成分の組成は通常、マグネシウム/チタン原子比が2〜100、ハロゲン/チタン原子比が5〜100、電子供与体/チタンモル比が0.1〜10の範囲にある。
また、(a)固体成分の調製において必要に応じて用いられる(ii)成分の結晶性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリ4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜10のα−オレフィンから得られる結晶性ポリオレフィンが挙げられる。この結晶性ポリオレフィンは、(1)前記(i)固体触媒成分と有機アルミニウム化合物と必要に応じて用いられる電子供与性化合物とを組み合わせたものの存在下に、プロピレンを予備重合させる方法(予備重合法)、(2)粒径の揃った結晶性ポリエチレンやポリプロピレンなどの結晶性パウダーに、前記(i)固体触媒成分と必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物(融点100℃以上)とを分散させる方法(分散法)、(3)上記(1)の方法と(2)の方法とを組み合わせる方法などを用いることにより得ることができる。
【0022】
前記(1)の予備重合法においては、アルミニウム/チタン原子比は通常0.1〜100、好ましくは0.5〜5の範囲で選ばれ、また電子供与化合物/チタンのモル比は0〜50、好ましくは0.1〜2の範囲で選ばれる。
(a)固体成分における、(i)固体触媒成分と(ii)結晶性ポリオレフィンとの割合については、(i)成分に対する(ii)成分の重量比が通常、0.03〜200、好ましくは0.10〜50の範囲になるように選ばれる。
次に、(b)成分として用いられ有機アルミニウム化合物としては、一般式(I)
AlR1 p 3-p ・・・(I)
〔式中、R1 は炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、Xはハロゲン原子、pは1〜3の数を示す。〕
で表される化合物を挙げることができる。例えば、トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム,ジエチルアルミニウムモノクロリド,ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド,ジイソブチルアルミニウムモノクロリド,ジオクチルアルミニウムモノクロリドなどのジアルキルアルミニウムモノハライド,エチルアルミニウムセスキクロリドなどのアルキルアルミニウムセスキハライドなどを好適に使用することができる。これらのアルミニウム化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
さらに、該触媒には、通常(c)成分として電子供与性化合物が用いられる。この電子供与性化合物は、酸素,窒素,リン,イオウ,ケイ素などを含有する化合物であり、基本的にはプロピレンの重合において、規則性の向上性能を有するものが考えられる。
このような電子供与性化合物としては、例えば、有機ケイ素化合物,エステル類,チオエステル類,アミン類,ケトン類,ニトリル類,ホスフィン類,エーテル類,チオエーテル類,酸無水物,酸ハライド類,酸アミド類,アルデヒド類,有機酸類,アゾ化合物などを挙げることができる。
【0024】
例えば、ジフェニルジメトキシシラン,ジフェニルジエトキシシラン,シクロヘキシルメチルジメトキシシラン,ジシクロペンチルジメトキシシラン,ジイソプロピルジメトキシシラン,t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン,ジベンジルジメトキシシラン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラフェノキシシラン,メチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,メチルトリフェノキシシラン,フェニルトリメトキシシラン,フェニルトリエトキシシラン,ベンジルトリメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、モノメチルフタレート,モノエチルフタレート,モノプロピルフタレート,モノブチルフタレート,モノイソブチルフタレート,モノアミルフタレート,モノイソアミルフタレート,モノメチルテレフタレート,モノエチルテレフタレート,モノプロピルテレフタレート,モノブチルテレフタレート,モノイソブチルテレフタレート,ジメチルフタレート,ジエチルフタレート,ジプロピルフタレート,ジブチルフタレート,ジイソブチルフタレート,ジアミルフタレート,ジイソアミルフタレート,メチルエチルフタレート,メチルイソブチルフタレート,メチルプロピルフタレート,エチルブチルフタレート,エチルイソブチルフタレート,エチルプロピルフタレート,プロピルイソブチルフタレート,ジメチルテレフタレート,ジエチルテレフタレート,ジプロピルテレフタレート,ジイソブチルテレフタレート,メチルエチルテレフタレート,メチルイソブチルテレフタレート,メチルプロピルテレフタレート,エチルブチルテレフタレート,エチルイソブチルテレフタレート,エチルプロピルテレフタレート,プロピルイソブチルテレフタレート,ジメチルイソフタレート,ジエチルイソフタレート,ジプロピルイソフタレート,ジイソブチルイソフタレート,メチルエチルイソフタレート,メチルイソブチルイソフタレート,メチルプロピルイソフタレート,エチルブチルイソフタレート,エチルイソブチルイソフタレート,エチルプロピルイソフタレート,プロピルイソブチルイソフタレートなどの芳香族ジカルボン酸エステル、ギ酸メチル,ギ酸エチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ビニル,酢酸プロピル,酢酸オクチル,酢酸シクロヘキシル,プロピオン酸エチル,酪酸メチル,酪酸エチル,吉草酸エチル,クロル酢酸メチル,ジクロル酢酸エチル,メタクリル酸メチル,クロトン酸エチル,ビバリン酸エチル,マレイン酸ジメチル,シクロヘキサンカルボン酸エチル,安息香酸メチル,安息香酸エチル,安息香酸プロピル,安息香酸ブチル,安息香酸オクチル,安息香酸シクロヘキシル,安息香酸フェニル,安息香酸ベンジル,トルイル酸メチル,トルイル酸エチル,トルイル酸アミル,エチル安息香酸エチル,アニス酸メチル,アニス酸エチル,エトキシ安息香酸エチル,p−ブトキシ安息香酸エチル,o−クロル安息香酸エチル,ナフトエ酸エチルなどのモノエステル、γ−ブチロラクトン,δ−バレロラクトン,クマリン,フタリド,炭酸エチレンなどのエステル類、安息香酸,p−オキシ安息香酸などの有機酸類、無水コハク酸,無水安息香酸,無水p−トルイル酸などの酸無水物、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,アセトフェノン,ベンゾフェノン,ベンゾキノンなどのケトン類、アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,オクチルアルデヒド,トルアルデヒド,ベンズアルデド,ナフチルアルデヒドなどのアルデヒド類、アセチルクロリド,アセチルブロミド,プロピオニルクロリド,ブチリルクロリド,イソブチリルクロリド,2−メチルプロピオニルクロリド,バレリルクロリド,イソバレリルクロリド,ヘキサノイルクロリド,メチルヘキサノイルクロリド,2−エチルヘキサノイルクロリド,オクタノイルクロリド,デカノイルクロリド,ウンデカノイルクロリド,ヘキサデカノイルクロリド,オクタデカノイルクロリド,ベンジルカルボニルクロリド,シクロヘキサンカルボニルクロリド,マロニルジクロリド,スクシニルジクロリド,ペンタンジオレイルジクロリド,ヘキサンジオレイルジクロリド,シクロヘキサンジカルボニルジクロリド,ベンゾイルクロリド,ベンゾイルブロミド,メチルベンゾイルクロリド,フタロイルクロリド,イソフタロイルクロリド,テレフタロイルクロリド,ベンゼン−1,2,4−トリカルボニルトリクロリドなどの酸ハロゲン化物類、メチルエーテル,エチルエーテル,イソプロピルエーテル,n−ブチルエーテル,イソプロピルメチルエーテル,イソプロピルエチルエーテル,t−ブチルエチルエーテル,t−ブチル−n−プロピルエーテル,t−ブチル−n−ブチルエーテル,t−アミルメチルエーテル,t−アミルエチルエーテル,アミルエーテル,テトラヒドロフラン,アニソール,ジフェニルエーテル,エチレングリコールブチルエーテルなどのエーテル類、酢酸アミド,安息香酸アミド,トルイル酸アミドなどの酸アミド類、トリブチルアミン,N、N’−ジメチルピペラジン,トリベンジルアミン,アニリン,ピリジン,ピロリン,テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類、アセトニトリル,ベンゾニトリル,トルニトリルなどのニトリル類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン),2,2’−アゾビス(2−エチルプロパン),2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)などのアゾ結合に立体障害置換基が結合してなるアゾ化合物などが挙げられる。
【0025】
これらの中で有機ケイ素化合物、エステル類,ケトン類,エーテル類,チオエーテル類,酸無水物,酸ハライド類が好ましく、特に、ジフェニルジメトキシシラン,シクロヘキシルメチルジメトキシシラン,ジシクロペンチルジメトキシシラン,t−ブチル−n−プロピルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、ジ−n−ブチルフタレート,ジイソブチルフタレートなどの芳香族ジカルボン酸ジエステル、安息香酸,p−メトキシ安息香酸,p−エトキシ安息香酸,トルイル酸などの芳香族モノカルボン酸のアルキルエステルなどが好適である。これらの電子供与性化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
触媒系の各成分の使用量については、(a)固体成分はチタン原子に換算して反応容積1リットル当たり、通常0.0005〜1モルの範囲になるような量が用いられる。また、(b)有機アルミニウム化合物は、アルミニウム/チタン原子の比が、通常1〜3000、好ましくは40〜800になるような量が用いられ、この量が前記範囲を逸脱すると触媒活性が不充分になるおそれがある。
以上、チーグラー系の固体触媒を用いる場合について、詳しく述べたが、触媒としては近年注目されているメタロセン系の触媒を用いることもできる。
(A)成分として用いるプロピレン系樹脂は、各種の方法で得ることができるが、例えば前記した触媒系の存在下、多段重合によって製造することができる。多段重合における重合順序、及び重合段数は任意に選ぶことができる。例えば、最初の重合(第一段重合)は結晶性プロピレン系重合体が得られるようにプロピレンの単独重合又は共重合(2重量%以下のエチレンや他のオレフィンを含有する)を行い、第二段以降でエチレンとプロピレンとのランダム共重合やエチレンとプロピレンと他のα−オレフィンやポリエンとのランダム共重合を行うことができる。ここで、他のα−オレフィンとしては、例えばブテン−1,ペンテン−1,ヘキセン−1などの直鎖状α−オレフィン、3−メチルブテン−1;4−メチルペンテン−1などの分岐状α−オレフィンが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリエンとしては、例えばジシクロペンタジエン,トリシクロペンタジエンなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造する場合、その重合条件としては、前記したように、(イ)成分の緩和時間τが0.01〜0.35秒、好ましくは0.02〜0.30秒、より好ましくは0.02〜0.25秒に、かつ分子量分布指数(PDI)が1〜18、好ましくは2〜16、より好ましくは2〜14となるように、また、(ロ)成分の極限粘度〔η〕が2.0〜10デシリットル/g、好ましくは2.2〜9.0デシリットル/g、より好ましくは2.4〜8.0デシリットル/gとなるように選択すればよい。
【0028】
気相重合により重合を行う場合、プロピレンの単独重合段階については、重合圧力は通常1〜200kg/cm2 G、好ましくは1〜100kg/cm2 G、重合温度は通常40〜100℃、好ましくは50〜90℃の範囲で適宜選ばれる。また、エチレン−プロピレン共重合段階やエチレン−プロピレン−他のα−オレフィンやポリエン共重合段階については、重合圧力は通常1〜150kg/cm2 G、好ましくは1〜100kg/cm2 G、重合温度は通常30〜100℃、好ましくは30〜80℃の範囲で適宜選ばれる。いずれの段階においても、重合体の分子量調節は、公知の手段、例えば、重合器中の水素濃度を調節することにより行うことができる。重合時間は5分〜10時間程度で適宜選ばれる。
【0029】
重合に際しては、触媒系を構成する各成分、すなわち、(a)〜(c)成分を所定の割合で混合し、接触させたのち、ただちにモノマーを導入し、重合を開始してもよいし、接触後0.2〜3時間程度熟成させたのち、モノマーを導入してもよい。さらに、この触媒成分は不活性溶媒やオレフィンなどに懸濁して供給することができる。特に、結晶性のポリプロピレンの重合段階において、重合の均一性を確保し、得られる重合体の均一性、すなわち分子量分布が広くならないような触媒、重合条件を選択することが好ましい。
重合後の後処理は常法により行うことができる。すなわち、気相重合法においては、重合後、重合器から導出されるポリマー粉体に、その中に含まれるモノマーなどを除くために、窒素気流などを通過させてもよい。また、所望に応じて押出機によりペレット化してもよく、その際、触媒を完全に失活させるために、少量の水、アルコールなどを添加することもできる。また、バルク重合法においては、重合後、重合器から導出されるポリマーから完全にモノマーを分離したのち、ペレット化することもできる。
本発明の樹脂組成物においては、この(A)成分のプロピレン系樹脂は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
本発明の樹脂組成物においては、(B)成分として、エチレン−炭素数4〜18のα−オレフィン共重合体が用いられる。このエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.850〜0.875g/cm3 の範囲である。この密度が0.850g/cm3 未満では成形品の剛性が不充分となり、0.875g/cm3 を超えると耐衝撃性の改良効果が充分に発揮されない。剛性及び耐衝撃性などの面から、特に好ましい密度は0.855〜0.870g/cm3 の範囲である。また、メルトインデックスル(MI)は0.01〜25g/10分の範囲である。このMIが0.01g/10分未満では耐衝撃性の改良効果が充分に発揮されず、またフローマークが発生するおそれがあり、25g/10分を超えるとシボ面での低光沢性及び耐衝撃性が不充分となるおそれがある。耐衝撃性,低光沢性及び成形性などの面から、好ましいMIは0.01〜6g/10分の範囲であり、特に0.01〜1g/10分の範囲が好適である。なお、このMIは、温度190℃,荷重2.16kgfの条件で測定した値である。
この共重合体のコモノマーとして用いられる炭素数4〜18のα−オレフィンとしては、例えばブテン−1;ペンテン−1;ヘキセン−1;オクテン−1;ノネン−1;デセン−1;ドデセン−1などの直鎖状α−オレフィン、3−メチルブテン−1;4−メチルペンテン−1などの分岐状α−オレフィンが挙げられるが、これらの中で、特に炭素数4〜10の直鎖状α−オレフィンが好ましい。これらのα−オレフィンは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、少量のジエン成分、例えばジシクロペンタジエン;エチリデンノルボルネン;1,4−ヘキサジエン;1,9−デカジエン;ビニルノルボルネンなどを併用してもよい。
【0031】
この(B)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィン単位の含有量は、密度が上記範囲になるように選べばよく特に制限はないが、通常は20〜70重量%の範囲である。また、このエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法については、上記の性状を有するエチレン−α−オレフィン共重合体が得られる方法であればよく特に制限はないが、本発明の目的が効果的に達成される点から、メタロセン系触媒を用いる方法が有利である。このメタロセン系触媒としては、例えばシングルサイト触媒(SSC)や幾何拘束型触媒(CGC)などがある。これらのメタロセン系触媒の具体例としては、特開平6−192506号公報,同7−145298号公報,同7−18151号公報,同7−145272号公報,国際公開WO94/06859号公報に記載されている触媒があり、さらには特開平5−43618号公報,同5−51414号公報,国際公開WO96/04317号公報,同93/13140号公報,同91/04255号公報,同91/04257号公報に記載されている触媒を挙げることができる。より具体的には、シクロペンタジエニル基,モノ(ジ,トリ,テトラ,ペンタ)メチルシクロペンタジエニル基やインデニル基を有する遷移金属錯体からなる触媒などがある。これらのメタロセン系触媒は、通常アルキルアルミノキサン、あるいは硼素化合物のようなイオン性化合物などが併用される。
この(B)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる(B)成分のエチレン−α−オレフィン共重合としては、たとえば、ダウ・ケミカル日本(株)から販売されているENGAGE〔ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー商標〕POEsがあり、これらの中から選択して用いることができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物においては、(C)成分として、タルクが用いられる。このタルクの大きさとしては、得られる成形品の剛性、耐衝撃性、耐傷付き白化性、ウエルド外観、光沢ムラなどの物性等の点から、平均粒径1〜8μmで、平均アスペクト比が4以上のものが好適である。特に加工粉砕法によって得られたものが、物性、剛性などの点でとりわけ好ましい。
本発明の樹脂組成物における各成分の含有割合は、(A)成分のプロピレン系樹脂が50〜99重量%、(B)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体が1〜15重量%、及び(C)成分のタルクが0〜35重量%の範囲である。(A)成分の含有量が50重量%未満ではウエルド外観やシボ面での低光沢性が不充分であり、またフローマークが発生するなど、成形性が悪く、99重量%を超えると耐衝撃性が低下する。また、(B)成分の含有量が1重量%未満では耐衝撃性の改良効果が充分に発揮されず、15重量%を超えるとウエルド外観,シボ面での低光沢性及び剛性が低下し、又はフローマークが発生するなど、成形性が不充分となる。さらに、(C)成分の含有量が35重量%を超えるとウエルド外観,耐衝撃性,耐傷付白化性が低下し、かつフローマークが発生するなど、成形性が不充分となる。ウエルド外観,シボ面での低光沢性,成形性,耐衝撃性及び剛性などのバランスの面から、各成分の好ましい含有量は、(A)成分が58〜99重量%,(B)成分が1〜12重量%,(C)成分が0〜30重量%の範囲であり、特に、(A)成分が65〜98重量%,(B)成分が2〜10重量%,(C)成分が0〜25重量%の範囲が好適である。
【0033】
本発明の樹脂組成物においては、所望により、顔料,核剤,耐候剤,酸化防止剤,帯電防止剤,難燃剤,分散剤などの公知の添加剤を配合することができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物の調製方法については特に制限はなく、例えば前記(A)成分,(B)成分及び必要に応じて用いられる(C)成分や他の添加成分を、一軸押出機,二軸押出機,バンバリーミキサー,ニーダ,ロールなどを用いて溶融混練する方法等を採用できる。
本発明の自動車用内装部材は、このようにして得られたプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形法(射出圧縮成形法,ガス注入射出成形法を含む)で成形することにより、得ることができる。ここで自動車用内装部材としては、インストルメントパネル,ドアトリム,コンソールボックスなどである。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、成形品の物性は以下に示す方法により求めた。
(1)アイゾット衝撃強度
テストピース成形品について、JIS K7110に準拠して求めた。
(2)シボ面での光沢度
テストピース成形品について、JIS K7105に準拠して求めた。
また、プロピレン系樹脂の性状は、明細書本文に記載した方法に従って測定した。
【0035】
(1)マグネシウム化合物の調製
内容積12リットルの撹拌機付きのガラス製反応器を窒素ガスで充分に置換したのち、エタノール約4,860g,ヨウ素32g及び金属マグネシウム320gを投入し、撹拌しながら還流条件下で反応させ、固体状反応生成物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧下で乾燥させることにより、マグネシウム化合物(固体生成物)を得た。
(2)固体触媒成分の調製
窒素ガスで充分に置換した内容積5リットルのガラス製三つ口フラスコに、上記(1)で得られたマグネシウム化合物(粉砕していないもの)160g,精製ヘプタン800ミリリットル,四塩化珪素24ミリリットル及びフタル酸ジエチル23ミリリットルを加えた。系内を90℃に保ち、撹拌しながら四塩化チタン770ミリリットルを投入して110℃で2時間反応させたのち、固体成分を分離して80℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チタン1,220ミリリットルを加え、110℃で2時間反応させたのち、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分を得た。
(3)重合前処理
内容積500リットルの撹拌翼付き反応槽に、n−ヘプタン230リットルを投入し、さらに、前記(2)で得られた固体触媒成分25kgを加え、次いで、この固体触媒成分中のTi1モルに対し、トリエチルアルミニウムを0.6モル及びシクロヘキシルメチルジメトキシシランを0.4モルの割合で加えたのち、プロピレンをプロピレン分圧で0.3kg/cm2 Gになるまで導入し、20℃で4時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分をn−ヘプタンで数回洗浄し、二酸化炭素を供給し24時間撹拌した。
(4)プロピレンブロック共重合体(PP−1)の製造
まず、前段として内容積200リットルの撹拌翼付き重合槽(ホモ重合槽)に、上記(3)の処理済の固体触媒成分をTi原子に換算して3ミリモル/hrで、トリエチルアルミニウムを0.50モル/hrで、シクロヘキシルメチルジメトキシシランを50ミリモル/hrでそれぞれ供給し、重合温度80℃、プロピレン圧力28kg/cm2 Gで反応させた。この際、所定の分子量になるように水素ガスを供給した。
次に、ホモ重合槽から連続的にパウダーを抜き出し、類似のランダム共重合槽へ移送した。このランダム共重合槽では後段として、重合温度55℃においてプロピレン及びエチレンを供給し、圧力15kg/cm2 Gでランダム共重合を実施した。この時、所定のエチレン含量になるように、プロピレンとエチレンの供給比を調整した。ランダム共重合槽から連続的に抜き出したパウダーを造粒し、プロピレンブロック共重合体(PP−1)を得た。なお、前段重合で得られたホモ重合体パウダーのMIは20g/10分であった。
(5)プロピレンブロック共重合体(PP−2)の製造
上記(4)のPP−1の製造において、前段の重合温度を85℃,後段の重合温度を70℃とし、水素の供給量を変えたこと以外は、上記PP−1の製造に準じて実施して、プロピレンブロック共重合体(PP−2)を得た。
【0036】
実施例1〜5及び比較例1〜5
第1表に示す性状と量のプロピレン系樹脂(単品又はブレンド物)、第1表に示す種類と量の耐衝撃性付与剤、タルク(日本ミストロン社製,商品名:85OJS,平均粒径4.4μm:レーザー式粒度分析計で測定〔島津製作所SALD2000A〕)23重量部、分散剤としてのステアリン酸マグネシウム0.2重量部及びダークグレー顔料(大日精化社製,商品名:PP−DHH7343)1.3重量部を配合し、二軸混練機で混練して成形材料を調製したのち、射出成形機により樹脂温度220℃で成形して、テストピース(140×140×3mmの内装用シボ付板)を作成し、物性を評価した。結果を第1表に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003738272
【0038】
【表2】
Figure 0003738272
【0039】
【表3】
Figure 0003738272
【0040】
(注)
PP−1:MI 13g/10分
PP−2:MI 3g/10分
J785H:出光石油化学(株)製,商品名:出光ポリプロJ785H,MI:11g/10分
J465H:出光石油化学(株)製,商品名:出光ポリプロJ465H,MI:3.6g/10分
EG8180:エチレン−オクテン−1共重合体,ダウ・ケミカル日本(株)製,商品名:ENGAGE EG8180,オクテン−1単位26重量%,MI:0.5g/10分,密度0.863g/cm3
EG8100:エチレン−オクテン−1共重合体,ダウ・ケミカル日本(株)製,商品名:ENGAGE EG8180,オクテン−1単位24重量%,MI:1.0g/10分,密度0.870g/cm3
EG8200:エチレン−オクテン−1共重合体,ダウ・ケミカル日本(株)製,商品名:ENGAGE EG8200,オクテン−1単位24重量%,MI:5.0g/10分,密度0.870g/cm3
SM8400:エチレン−オクテン−1共重合体,ダウ・ケミカル日本(株)製,商品名:ENGAGE SM8400,オクテン−1単位24重量%,MI:30g/10分,密度0.870g/cm3
PF1140:エチレン−オクテン−1共重合体,ダウ・ケミカル日本(株)製,商品名:AFFINITY PF1140,オクテン−1単位14.5重量%,MI:1.6g/10分,密度0.895g/cm3
1018G:出光石油化学(株)製,商品名:モアマックス1018G,オクテン−1単位9重量%,MI:8g/10分,密度0.910g/cm3
EP−02P:エチレン−プロピレンゴム,日本合成ゴム(株)製,商品名:EP−02P,プロピレン単位26重量%,MI:1.6g/10分,密度0.86g/cm3
【0041】
【発明の効果】
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ウエルド外観などの外観性能が良好で、かつ低光沢性を有し、艶消し塗装の省略化が可能でコストダウンを図ることができ、しかも耐衝撃性に優れており、自動車用内装部材の成形材料として好適である。
本発明の樹脂組成物から得られた自動車用内装部材は、光沢ムラ,低光沢性,ウエルド外観などの外観性に優れ、無塗装化が可能であり、かつ剛性,耐衝撃性,耐傷付き白化性などが良好であって、例えばシボ付きインストルメントパネルなどの自動車用内装部材として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. (A)(1)(イ)23℃パラキシレン不溶分70〜98重量%と(ロ)23℃パラキシレン可溶分30〜2重量%とからなり、かつ(2)(イ)成分が、溶融粘弾性測定から得られる角周波数ωが100 /secでの緩和時間τが0.01〜0.35秒であって、溶融粘弾性測定から得られる貯蔵弾性率(G')が2×102 Paとなるような角周波数をω1 、2×104 Paとなるような角周波数をω2 としたとき、ω2 /10ω1 で表される分子量分布指数(PDI)が1〜18であり、(3)(ロ)成分の極限粘度〔η〕(135℃,デカリン中)が2.0〜10デシリットル/gであり、さらに、(4)エチレン単位含有量が1〜20重量%であるプロピレン系樹脂50〜99重量%と、(B)密度0.850〜0.875g/cm3 及びメルトインデックス0.01〜25g/10分を有するエチレン−炭素数4〜18のα−オレフィン共重合体1〜15重量%と、(C)タルク0〜35重量%とからなるプロピレン系樹脂組成物。
  2. (B)成分のエチレン−炭素数4〜18のα−オレフィン共重合体が、α−オレフィン単位20〜70重量%を含有し、かつメタロセン系触媒を用いて得られたものである請求項1記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載のプロピレン系樹脂組成物を射出成形してなる自動車用内装部材。
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