JP3736776B2 - 新規カルシウム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品添加物、栄養補助食品、健康食品あるいは医薬品として有用なカルシウム組成物、該組成物を含むカルシウム補給剤及びカルシウム強化食品に関する。
【0002】
カルシウムは人体で5番目に豊富な元素であり、その約99%は、骨組織中に見出されるので、その摂取不足は骨代謝に影響を与え、骨粗鬆症をもたらす危険性を高めると考えられている。厚生省の日本人の栄養調査に関する最近の報告によれば、カルシウムは、所要量に満たない唯一の必須栄養素である。すなわち、通常の食生活においても、カルシウム不足は日常化しており、意図的にカルシウムを補給する必要がある。そのために、種々のカルシウム剤及びカルシウム強化食品が開発されてきた。カルシウム強化に用いるカルシウム剤としては、卵殻粉末、貝殻粉末、サンゴ粉末、骨粉等の天然素材や炭酸カルシウム、塩化カルシウム、有機酸カルシウム等の化学合成品等が知られているが、これらのカルシウム剤は、水に対する溶解性が低いこと、呈味性に悪影響を与えること、及び生体での吸収性(生物学的利用能)が低いこと等の問題点が指摘されている。
これらの問題点を部分的に解決するための技術が公開されている。例えば特開昭56−97248号公報においては、クエン酸カルシウムの溶解性を高める技術として、クエン酸カルシウムとリンゴ酸カルシウムの複合体が開示されている。また、特開平4−234960号公報においては、不溶性カルシウム塩をオキシ酸で可溶化させて食品に使用する技術が開示されている。しかしながら、これらのカルシウム剤の生体内での吸収性(生物学的利用能)については開示されていない。カルシウムの生体での吸収性を高めたカルシウム剤の開発については、以下の2例が開示されているにすぎない。
すなわち、特開昭63−157964号公報において、可溶性カルシウムを含み、呈味性及び吸収性に優れたカルシウム補給飲料が開示されている。また、特開平1−156985号公報において、カルシウム:クエン酸:リンゴ酸のモル比が約6:2:3を有する生物学的利用能のあるカルシウム補給物が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のカルシウム剤よりも更に溶解性に優れ、吸収性の向上が期待できる新規なカルシウム組成物又は該組成物を含むカルシウム補給剤、及びカルシウム強化食品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明は、カルシウム源が炭酸カルシウム及び/又は塩化カルシウム、ヒドロキシクエン酸(以下、HCAと略述する)源がガルシニア種の植物由来の抽出物又はその精製物、及びリンゴ酸源がリンゴ酸、リンゴ酸カルシウム及び/又はリンゴ酸ナトリウムからなり、かつ、カルシウム易溶解性であることを特徴とする新規カルシウム組成物であり、更に該カルシウム組成物を含むことを特徴とするカルシウム補給剤及びカルシウム強化食品に関する。
【0005】
本発明者らは、従来のクエン酸を含むカルシウム剤よりも更に溶解性に優れ、吸収性の向上ができるカルシウム剤を開発すべく、鋭意検討した結果、従来肥満防止効果が知られているHCA及びリンゴ酸を含むカルシウム組成物がその目的にかなうことを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に用いるカルシウム源としては可食性のカルシウムであればよく、例えば、卵殻、貝殻、サンゴ等の炭酸カルシウムを主成分とする天然物、それらの粉末及び精製物あるいは化学合成した炭酸カルシウム、塩化カルシウム等が利用可能であるが、最も安価で純度の高い化学合成品が推奨される。
【0007】
HCA源としては、これを主成分とする天然物が利用可能である。天然物には、それらの抽出物及び精製物が含まれ、天然物の中では可食性エキスが好ましく、HCAを多量に含むインド原産のガルシニア(Garcinia) (以下、G.と略記する)種の植物、特に、ガルシニア カンボジア(G.cambogia) 、ガルシニア アルテロビリディス(G. arteroviridis) 及びガルシニア インディカンス(G. indicans)の果実抽出物及びそれらの精製物が推奨される。
HCAには4種の立体異性体が存在するが、このうち(2S,3S)−2−ヒドロキシ−クエン酸〔(2S, 3S)-2-hydroxy-citric acid 〕〔トレオ−(−)−ヒドロキシ−クエン酸〕〔threo-(-)-hydroxy-citric acid 〕が、生体内において、過剰な脂肪酸の合成に関与する酵素、ATP:クエン酸リアーゼ( ATP:citrate lyase, EC4.5.3.8 )の高い阻害剤として作用することが知られている〔メソッズ イン エイザイモロジー(Methods in Enzymology)、第72巻、第486〜497頁(1981)〕。
この異性体は、前述のガルシニア種に多く含まれていることから、ガルシニアの抽出物が肥満防止食品として利用されている。したがって、ガルシニア由来のHCAをHCA源に用いることにより、カルシウム溶解効果、カルシウム吸収効果及び肥満防止効果を兼ね備えた組成物を提供することが可能となる。
【0008】
本発明に用いるHCAは、例えば、市販のガルシニア抽出物から弱塩基性陰イオン交換樹脂及び合成吸着剤等を用いて精製し、脱塩することで容易に得ることができる。精製されたHCAは、有機酸分析計、イオンクロマト分析計、逆相HPLC、ゲルろ過HPLC等により、その純度を確認することができる。また、精製されたHCAは、遊離の酸及びその塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩として用いることができる。
【0009】
また、リンゴ酸源としては、遊離の酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩が使用できる。
【0010】
本発明のカルシウム組成物の易溶解性は、組成物中にHCA源及びリンゴ酸源を含むことにより達成されるが、カルシウム源、HCA源及びリンゴ酸源の割合によって大きく左右される。また、これを医薬品又は食品に利用する場合、呈味性及びカルシウム含有率を考慮する必要がある。これらを満足させるためには、組成物中のカルシウム源:HCA源:リンゴ酸源のモル比が、カルシウム、HCA、リンゴ酸換算で1:0.2〜0.7:0.3〜1.0であるのが最適であることを見出した。溶解性の面からみると、本組成物は中性〜酸性であることが望ましいため、モル比が1:0.3〜0.7:0.5〜1.0となるように、カルシウム源、HCA源、及びリンゴ酸源を配合することが望ましい。
本発明のカルシウム組成物は所定の組成になるように、カルシウム源、HCA源及びリンゴ酸源を配合した混合物、あるいはそれらを水に溶解した液体として製造することができる。液体として製造した組成物は、凍結乾燥あるいはオーブン乾燥して使用してもよい。
【0011】
このようにして製造したカルシウム組成物の溶解性は、水溶液中の可溶性カルシウムを原子吸光法で測定することにより、また、イオン化カルシウム量をカルシウムイオン選択性電極により測定することにより評価することができる。更に、人工消化液中での溶解性を同様に調べることで、腸管での溶解性を推定することができる。
これらの実験により、本発明のカルシウム組成物は、カルシウムの水溶液中及び人工消化液中での溶解性が、炭酸カルシウムと比べて優れており、従来のカルシウム剤の中で最も吸収性に優れていると考えられているカルシウム・サイトレート・マレート(特開昭63−157964号、及び特開平1−156985号)と同等以上の溶解性があることが確認された。
【0012】
また、本発明のカルシウム組成物の吸収性はラットを用いる動物試験により評価される。まず、カルシウム45(45Ca)でラベルしたカルシウム組成物の水溶液を調製し、カルシウムとして5〜10mgの一定量を経口投与し、大腿骨及び腎へ取込まれた45Caを測定して骨組織への特異的な蓄積を評価する。
これらの実験により、本発明のカルシウム組成物は、カルシウムの大腿骨への取込効率において、炭酸カルシウムと比べて優れており、従来のカルシウム剤の中で最も吸収性に優れていると考えられているカルシウム・サイトレート・マレート(特開昭63−157964号、及び特開平1−156985号)に匹敵する吸収性があることが確認される。
【0013】
本発明のカルシウム組成物は溶解性に、更にそのうち特定のものは吸収性も優れていることから、製薬上許容可能な担体及び賦形剤を含有する固形又は液体のカルシウム補給剤として使用することができる。実用的な形態としては、例えば、粉末形態、錠剤、散剤、液剤、乳剤、カプセル剤、ペースト、クリーム、ゲル形態等を例示できる。賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、デンプン等を例示できる。賦形に当っては各種結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、保湿剤、希釈剤、その他着色剤、香料、保存料等を適宜用いることができる。
【0014】
これらの形態の製剤中に含有させるべきカルシウム組成物の量は、安全で有効な量であればよいが、一回投与量として好適な量のカルシウム組成物を含む単位剤形では、カルシウムとして、約50mg〜500mg、より好ましくは100〜300mgの範囲とするのが適当である。本単位剤形を一日当り1〜3回服用すれば、成人1日当り50〜1500mgのカルシウム補給が可能であり、これは一般用カルシウム製剤として効能・効果が期待できる目安として考えられている値(300〜700mg)を含む範囲である。また、特に骨粗鬆症患者に対しては、一日当り1000〜1500mgのカルシウム投与が必要とされており、この場合は一日当りの単位剤形服用数が必要に応じて増やすことで対応できる。
なお、本カルシウム組成物の一例(カルシウム源:HCA源:リンゴ酸源のモル比が1:0.33:0.5)について、OECD化学物質毒性試験指針(1987)に準拠して、マウスにおける急性経口毒性試験を行ったところ、2000mg/kg(カルシウムとして310mg/kg)の経口単回投与で異常例は認められなかった。
【0015】
また、本発明のカルシウム組成物は、各種の加工食品等に添加配合することができる。かかる加工食品等は液状品でも、固形品でもよく、その代表例としては、各種の液状飲料製品、菓子類、調味料、スープ、カレー、めん類、パン類、漬物類、畜肉製品、乳製品、シリアル、豆腐類、ふりかけ類、ガム等を例示できる。これら各食品に対する本発明組成物の添加配合量は呈味性、物性を損なわない範囲であれば特に制限はないが0.5〜90重量%、カルシウムとして約0.02〜25重量%程度とするのが望ましい。
【0016】
以上述べてきたごとく、本発明のカルシウム組成物は、水溶液中及び人工消化液中での溶解性が、これまでに知られている一般的なカルシウム剤よりも優れていること、特に、従来最も吸収性に優れていると言われているカルシウム・サイトレート・マレートに比べて高いカルシウム溶解性を有することが明らかにされた。更に、そのカルシウム吸収性は、カルシウム・サイトレート・マレートに匹敵することがわかった。このことは、本発明カルシウム組成物が、特にカルシウム補給を目的とした医薬品及び食品への利用価値が高いことを示すものである。
【0017】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、それによって本発明が限定されるものではない。
【0018】
実施例1 (HCAの調製)
市販のガルシニア抽出物〔販売者:オルト(株)、商品名:HCA−500−HS、HCA含量:約40%〕5gを500mlの0.01M−NaClに溶かし、pHを8.0に調整した。
これを予め0.01M−NaClで平衡化した500mlの弱塩基性陰イオン交換樹脂〔DEAE−Toyopearl−650M、東ソー(株)製〕を充てんしたカラム(直径約3.5cm)に吸着させた後、1リットルの0.01M−NaClでカラムを洗浄した。次いで、2リットルの0.01M−NaClと2リットルの0.5M−NaClによるグラジエント溶出を行って、溶出液を20mlずつ分取した。
HCA溶出画分は、有機酸分析システム〔カラム:Shim−pack SCR−102H、(株)島津製作所製〕でモニターした。HCA画分を濃縮し、pHを2.0に調整した後、予め、水で平衡化した300mlの合成吸着剤〔HP−20、三菱化学(株)〕を充てんしたカラムを通過させた。通過液を卓上脱塩装置〔マイクロアシライザー、旭化成(株)製〕にて脱塩し、HCAの精製標品1.3gを得た。本標品のHCA含量はイオンクロマトグラフ〔(株)島津製作所製〕による分析で、約92%であった。
【0019】
実施例2 (カルシウム組成物の調製)
本発明のカルシウム組成物(以下、CHMと略称する)の一例を、以下のように調製した。
実施例1で調製した標品260mg(HCAとして)とリンゴ酸251mgを9mlの蒸留水に溶解した後、かくはん下に250mgの炭酸カルシウム(CaCO3 )を徐々に加えて溶解した。これを10mlに調整して、カルシウムとして1%(W/V)の水溶液とした。この組成物(CHM▲1▼)中のカルシウム源:HCA源:リンゴ酸源のモル比は、カルシウム、HCA、リンゴ酸換算で1:0.5:0.75である。
同様に比較対照としてカルシウム・サイトレート・マレートを以下のように調製した。クエン酸240mgとリンゴ酸251mgを9mlの水に溶解した後、かくはん下に250mgのCaCO3 を徐々に加えて完全に溶解した。これを10mlに調整して、カルシウムとして1%(W/V)の水溶液とした。この組成物のカルシウム:クエン酸:リンゴ酸のモル比は、カルシウム、クエン酸、リンゴ酸換算で1:0.5:0.75である。
【0020】
このようにして調製したカルシウム組成物を室温に放置し、沈殿の生成を経時的に観察した結果を表1に示した。なお、CaCO3 は2.5%水溶液(カルシウム濃度1.0w/v%)とし、Ca−HCAは520mg相当量のHCAを9mlの蒸留水に溶解した後、かくはん下に250mgのCaCO3 を加えて10mlに調製した溶液(カルシウム濃度1.0w/v%)である。
【0021】
【表1】
【0022】
表1の結果から、HCAのカルシウム塩は不溶性であるが、CHMは、15時間後も沈殿を生成することなく、安定な溶解性を保持した。
【0023】
実施例3 (カルシウム溶解性と組成比の関係)
実施例2と同様の方法で、カルシウム源:HCA源:リンゴ酸源のモル比を変えたCHMを調製し、それらのカルシウム溶解性を調べた。カルシウム濃度は、いずれも10mg/mlとなるように調製し、調製後25℃に保存した後、14000rpmで10分間遠心分離した。
上清のカルシウム含量を原子吸光法で測定して、カルシウム溶解率(W/V%)を求めた結果を表2に示した。
【0024】
【表2】
【0025】
従来、高溶解性カルシウム剤として知られているカルシウム・サイトレート・マレートのカルシウム溶解率は、5〜10mg/ml程度であるから、本発明では、カルシウム溶解率が50%以上となる組成比(1:0.2:0.3)が下限となる。
また、組成物の酸味度が著しく高くなく官能的に許容できる範囲であり、かつ、組成物中のカルシウム含量が著しく低下しない組成比(1:0.7:1.0)が上限となる。
【0026】
実施例4 (人工消化性試験)
実施例2と同様にして調製した本発明組成物(CHM▲1▼)の1.0ml(カルシウムとして10mg)に対し、20mlの人工胃液(NaCl:12g、ペプシン:3.2g及び10%HCl:24ml/リットル)を加え37℃、87往復/分で1時間消化した。
次いで溶液のpHを8.2に調整した後、人工腸液(炭酸水素ナトリウム:15g/リットル、パンクレアチン2.8g/リットル)を加えて100mlとした。これを37℃、87往復/分で3時間消化した。
消化液を2300rpmで3分間遠心分離し、上清のカルシウム量を原子吸光法で測定し、人工消化液のカルシウム溶解率を算出した。対照には、炭酸カルシウム及びカルシウム・サイトレート・マレート(モル比1:0.5:0.75)を用い、その結果を表3に示した。
【0027】
【表3】
【0028】
この結果から、本発明組成物は、人工消化後のカルシウム溶解率(組成物の人工消化前の全カルシウム量に対する人工消化により溶解したカルシウム量の割合:w/w%)が、カルシウム・サイトレート・マレートよりも高いレベルにあり、吸収性の向上が図れる。
【0029】
実施例5 (吸収性評価試験)
1)45CaCO3 の調製:
2.775gのCaCl2 を0.1N−HClに溶かして、100mlとした。この溶液(10mgCa/ml)の40mlに、40マイクロキュリー(以下、μCiと略述する)の45CaCl2 溶液を添加し、更に40mlの10%−Na2 CO3 を加えて、15分間放置した。生成した45CaCO3 の沈殿を遠心分離し、デシケーターの中で恒量となるまで乾燥し、約10μCi/250mgの45CaCO3 (Caとして100mg)が調製された。
【0030】
2)45CaでラベルされたCHM▲1▼(以下、45Ca−CHM▲1▼と略称する)及びカルシウム・サイトレート・マレート(以下、45Ca−カルシウム・サイトレート・マレートと略称する)の調製:
実施例1と同様の方法で、CaCO3 の代りに45CaCO3 を用いて45Ca−CHM▲1▼及び45Ca−カルシウム・サイトレート・マレートを調製した。但し、この場合は、45CaCO3 に、有機酸溶液を添加する方法を採用した。
【0031】
3)動物試験:
前記45Ca−CHM▲1▼及び45Ca−カルシウム・サイトレート・マレートをそれぞれラット(ウイスター系雄ラット、体重250g前後)一匹当り1.0ml(1μCi、10mgCa)を胃ゾンデを用いて経口投与した。更に、一般のカルシウム剤の代表として45CaCO3 を比較対照として同様に投与した。この場合は、水懸濁液として1.0ml(1μCi、10mgCa)を投与した。これらのカルシウム剤投与は、一群5匹とし、一昼夜(16〜17時間)絶食させ、投与2時間前には摂水も妨げたラットに対して行い、投与後は、直ちにボールマンケージに拘束し、3時間絶食させた後、固形飼料と水を与えて放置した。
次に、各カルシウム剤投与後34時間目に左側大腿骨及び左側腎を採取し、それぞれ放射能を測定し、大腿骨及び腎への45Caの分布を測定した。
以上の動物試験結果をまとめて、表4に示した。
【0032】
【表4】
【0033】
(表中の数値はいずれも平均±標準誤差を表し、NSは「有意差なし」、P<0.001は「危険率1%で有意差あり」を意味する)
*1:灰化重量の測定値
*2:湿重量の測定値
【0034】
これらの結果から、本発明のカルシウム組成物の一例であるCHM▲1▼は、カルシウムの大腿骨への取り込み効果において、炭酸カルシウムよりも有意に高く、カルシウム・サイトレート・マレートに匹敵することが示された。
一方、腎臓へのカルシウムの異常な蓄積は認められなかった。
【0035】
実施例6 (カルシウム錠剤の作製)
炭酸カルシウム60.0g、HCA41.6g及びリンゴ酸40.2gを混合して、カルシウム源:HCA源:リンゴ酸源のモル比がカルシウム、HCA、リンゴ酸換算で1:0.33:0.5のカルシウム組成物(CHM▲2▼)を得た。この組成物を用いて、表5に示される成分からなる錠剤組成物を調製し、錠剤プレスを用いて錠剤化した。
【0036】
【表5】
【0037】
上記組成物は、1錠(2g)当り169mgのカルシウムを含み骨粗鬆症患者や、妊娠女性に投与したときに、十分量の生物学的利用能を有するカルシウムを与えるのに有効である。
【0038】
実施例7 (うどんの作製)
100gの中力粉に、HCAカルシウム塩(ガルシニア抽出物、HCA48%、カルシウム14%含有)525mg、炭酸カルシウム184.5mg、リンゴ酸ナトリウム343mg(カルシウム源:HCA源:リンゴ酸源のモル比がカルシウム、HCA、リンゴ酸換算で1:0.33:0.5、CHM▲2▼)と、食塩3.5g及び40mlの水を加え、そぼろ状になるように混合した。これを家庭用製麺機〔三洋電機(株)製〕で製麺し、うどんを得た。このうどんは、一人前(小麦粉100g)当り、150mgのカルシウムと、250mgのHCAを含み、テクスチャーは、対照(カルシウム剤無添加)に比べて優れており、味も良好であった。
【0039】
実施例8 (錠菓の作製)
HCAカルシウム塩(ガルシニア抽出物、HCA48%、カルシウム14%含有)280g、焼成牛骨粉(カルシウム38%)91g、リンゴ酸130g(以上、カルシウム源:HCA源:リンゴ酸源のモル比がカルシウム、HCA、リンゴ酸換算で1:0.33:0.5、CHM▲2▼)と、粉糖431g、粉末発酵乳〔三栄源エフ・エフ・アイ(株)製〕30g、粉末香料〔ヨーグルトフレーバー、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製〕20g、ステビア−ソーマチン製剤18g及び乳化剤(シッ糖脂肪酸エステル)17gを混合したものを、0.3gの増粘剤(グアーガム)を含む100gの水を用いて、流動層造粒によって造粒した。これを打錠器によって錠菓に形成した。
この錠菓一錠1gは、74mgのカルシウムと、130mgのHCAを含み、味も良好であった。
【0040】
実施例9 (飲料の作製)
表6の原材料を混合して、カルシウム強化飲料を得た。この中で本発明のカルシウム組成物(CHM▲3▼)のカルシウム源:HCA源:リンゴ酸源のモル比は、カルシウム、HCA、リンゴ酸換算で1:0.5:0.7であった。
【0041】
【表6】
【0042】
以上の原材料を水に溶解し、1リットルにフィルアップした後、殺菌及びビン詰めした。この飲料100mlは、カルシウムとして100mg、HCAとして260mgを含有し、風味、味共に良好であった。
【0043】
実施例10 (ラーメンの作製)
400gのラーメン専用粉(かんすい等を含む小麦粉)に、HCAカルシウム塩(ガルシニア抽出物、HCA48%、カルシウム14%含有)2.1g、炭酸カルシウム738mg及びリンゴ酸ナトリウム1.4g(カルシウム源:HCA源:リンゴ酸源のモル比がカルシウム、HCA、リンゴ酸換算で1:0.33:0.5、CHM▲2▼)と、160mlの水を加え、そぼろ状になるように混合した。これを家庭用製麺機〔三洋電気(株)製〕で製麺し、ラーメンを得た。このラーメンは一人前(小麦粉100g相当)当りカルシウム150mg、HCA250mgを含んでおり、テクスチャー、味共に良好であった。
【0044】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明のカルシウム組成物は、カルシウムの溶解性に、また中でも特定の物は吸収性にも優れており、極めて有用な食品添加物、栄養補助食品、健康食品あるいは医薬品を提供できる。
これらは現在の食生活で唯一不足しているカルシウムの補給に寄与するものである。
Claims (4)
- カルシウム源が炭酸カルシウム及び/又は塩化カルシウム、ヒドロキシクエン酸源がガルシニア種の植物由来の抽出物又はその精製物、及びリンゴ酸源がリンゴ酸、リンゴ酸カルシウム及び/又はリンゴ酸ナトリウムからなり、かつ、カルシウム易溶解性であることを特徴とする新規カルシウム組成物。
- カルシウム源:ヒドロキシクエン酸源:リンゴ酸源のモル比がカルシウム、ヒドロキシクエン酸、リンゴ酸換算で1:0.2〜0.7:0.3〜1.0である請求項1記載のカルシウム組成物。
- 請求項1又は2記載のカルシウム組成物を含むことを特徴とするカルシウム補給剤。
- 請求項1又は2記載のカルシウム組成物を含むことを特徴とするカルシウム強化食品。
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