JP3735397B2 - 窒化チタン焼結体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化チタン焼結体及びその製造方法に関し、特に低温で常圧焼結できる窒化チタン焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化チタンは、高硬度、高電導性、色調が金色である等の特徴を有し、切削工具等の耐摩耗部材、導電性部品、金メッキの代用等に利用されている。この窒化チタンは焼結が極めて難しいため、これら窒化チタンの特徴を活かした利用については、CVD法、イオンプレーティング法等により金属あるいはセラミックスの母材に窒化チタンをコーティングして用いられているのが一般的である。しかし、コーティングしたものはコーティング膜の摩耗、はがれ等の問題があるため、部材全体が窒化チタン質の焼結体であることが望まれている。
【0003】
その焼結体を製造する方法としては、窒化チタン粉末が極めて難焼結性であるため、単体ではホットプレス法を用いても緻密な焼結体を得ることは困難であることから、焼結助剤を添加してホットプレスで焼結するという方法が採られている。例えば、日本セラミックス協会学術論文誌101[3]279−284(1993)では、Al2O3、Y2O3、B4Cが焼結助剤として有効であり、これらの助剤を用いてホットプレスを行った場合に相対密度96〜98%の緻密体が得られたと述べられている。
【0004】
また、他の方法として最近では特開平6−56531によると、六方晶窒化ホウ素を焼結助剤として添加し焼結すれば、常圧焼結でも相対密度96〜99.9%の緻密体が得られたと述べられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記前者の例では焼結方法がホットプレス法であるため、任意形状を工業的に製造する方法としては適しておらず、また後者の例では常圧焼結の方法であってもその焼結温度が1900℃以上と非常に高温が必要であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した従来の窒化チタン焼結体及びその製造方法が有する課題に鑑みなされたものであって、その目的は、常圧焼結することができ、しかもその焼結温度を極めて低くすることができる窒化チタン焼結体及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、窒化チタンにY2O3、MgAl2O4及び窒化けい素の焼結助剤を加えた組成とすれば、常圧でしかも極めて低い温度で焼結しても緻密で高強度の窒化チタンが得られるとの知見を得、本発明を完成した。
【0008】
即ち本発明は、(1)窒素ガス雰囲気中で1500〜1700℃の温度で常圧焼結により得られる窒化チタン焼結体であって、窒化チタンに焼結助剤としてY2 O3 /MgAl2 O4 が重量比で1/4〜2/1にあるY2 O3 及びMgAl2 O4 を3〜20重量%含み、さらに窒化けい素を5〜30重量%含んだ組成であり、かつ、相対密度が95%を超えると共に曲げ強度も500MPa以上であることを特徴とする窒化チタン焼結体(請求項1)とし、また本発明は、(2)窒化チタン粉末にY2 O3 /MgAl2 O4が重量比で1/4〜2/1にあるY2 O3 及びMgAl2O4 の粉末を3〜20重量%、窒化けい素粉末を5〜30重量%添加して混合し、その混合物を成形して窒素ガス雰囲気中で1500〜1700℃の温度で常圧焼結することを特徴とする相対密度が95%を超えると共に曲げ強度も500MPa以上の窒化チタン焼結体の製造方法(請求項2)とすることを要旨とする。以下にさらに詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記(1)の焼結助剤のうちY2O3及びMgAl2O4については、そのY2O3/MgAl2O4が重量比で1/4〜2/1であるとし、その含有量が3〜20重量%であるとした。Y2O3及びMgAl2O4の含有量とともにY2O3/MgAl2O4の比率も極めて重要であり、これら含有量及び比率がこの範囲にないと常圧でしかも低い温度での焼結は難しく、緻密な焼結体にならない。
【0010】
また、窒化けい素については、5〜30重量%とした。5重量%より少ないとやはり緻密な焼結体にならない。含有量が多いのは緻密な焼結体になるという点では問題ないが、その量が多すぎると窒化チタン本来の特徴、例えば導電性等の性能が低下するので30重量%以下が好ましい。
【0011】
上記(2)の製造方法については、窒化チタン粉末に(1)の組成となるようにY2 O3 、MgAl2 O4 及び窒化けい素粉末を添加して配合、混合、成形し、その成形体を窒素ガス雰囲気中で1500〜1700℃の温度で常圧焼結することとした。使用する原料はいずれも市販の工業用粉末を用いることができ、その粉末の粒径としては細かい方が望ましく、窒化チタン、Y2 O3 及びMgAl2 O4 粉末においては、2μm以下が、窒化けい素粉末においては1μm以下が好ましい。これより粗くても焼結体の相対密度や強度が急激には低下しないが、粗ければ粗いほど相対密度や強度の低下が大きくなるので好ましくない。
【0012】
また、これら原料はいずれかが欠けても緻密な焼結体は得られず、これら原料の配合が本発明の規定範囲内にあれば、常圧で焼結でき、しかも1500℃以上の低い温度でも緻密に焼結できる。1500℃より低すぎると緻密に焼結できない。上限は2000℃程度まで差し支えないが、あまり温度が高すぎると低温焼結できる効果が薄れてしまうので1700℃以下が好ましい。焼結時間については、成形体の大きさ等により異なるが通常は1〜3時間程度で緻密化は完了する。
【0013】
本発明の窒化チタン焼結体の製造方法をさらに詳細に述べると、平均粒径が2μm以下の窒化チタン粉末に、焼結助剤として2μm以下のY2O3及びMgAl2O4粉末をY2O3/MgAl2O4の比が重量比で1/4〜2/1となるように、またその含有量が3〜20重量となるように添加し、さらに1μm以下の窒化けい素粉末を5〜30重量%添加して、これら原料をボールミル等の慣用の方法で混合する。その混合物をプレス等の慣用の方法で成形し、N2ガス雰囲気中で1500〜1700℃の温度で常圧焼結することで極めて緻密な窒化チタン焼結体が得られる。
【0014】
以上述べた通りの方法で製造すれば、常圧焼結でしかも極めて低温の焼結によって十分に緻密で高密度な窒化チタン焼結体を得ることができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
(実施例1〜8)
(1)焼結体の作製
原料として平均粒径が0.7μmの窒化チタン粉末に、平均粒径が1.5μmのY2O3粉末、平均粒径が0.8μmのMgAl2O4粉末及び平均粒径が0.6μmのα型窒化けい素粉末を表1に示す組成となるように添加し、メタノールを分散媒としてポットミルで混合後乾燥した。この粉末をプレス成形して縦50mm、横35mm、厚さ7mmの成形体を作製した。この成形体をN2ガス雰囲気下で表1に示す温度で3時間常圧焼結した。
【0017】
(2)評価
得られた焼結体の相対密度は、アルキメデス法により嵩密度を測定して求めた。また曲げ強度は、JIS−R1601による3点曲げ強度試験により求めた。それらの結果を表1に示す。
【0018】
(比較例1〜5)
比較のために、実施例と同じ原料を用い、表1に示す組成となるように焼結助剤を添加し、実施例と同様に焼結体を作製し、この焼結体を実施例と同じく評価した。その結果を表1に示す。
【0019】
表1からわかるように、実施例においては、本発明で規定した方法で製造しているので、相対密度が95%を超える緻密体となっていると共に曲げ強度も500MPa以上の高強度体となっている。
【0020】
これに対して比較例1では、窒化けい素の含有量が本発明の範囲外の3重量%と少ないため、比較例2では、Y2O3/MgAl2O4の比が同様4/1と大きいため、比較例3では、Y2O3及びMgAl2O4の含有量が同様2重量%と少ないため、比較例4では、Y2O3/MgAl2O4の比が同様1/9と小さいため、比較例5では、Y2O3及びMgAl2O4の含有量が同様25重量%と多いため相対密度、曲げ強度のいずれも低かった。
【0021】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の方法で製造することにより、常圧焼結でしかも極めて低温の焼結によって、相対密度が95%を超えると共に曲げ強度も500MPa以上と緻密で高強度の窒化チタン焼結体を得ることができるようになった。これにより、コーティングによらない部材全体が高強度の焼結体による窒化チタンの作製が極めて容易となった。
Claims (2)
- 窒素ガス雰囲気中で1500〜1700℃の温度で常圧焼結により得られる窒化チタン焼結体であって、窒化チタンに焼結助剤としてY2 O3 /MgAl2 O4 が重量比で1/4〜2/1にあるY2 O3 及びMgAl2 O4 を3〜20重量%含み、さらに窒化けい素を5〜30重量%含んだ組成であり、かつ、相対密度が95%を超えると共に曲げ強度も500MPa以上であることを特徴とする窒化チタン焼結体。
- 窒化チタン粉末にY2 O3 /MgAl2 O4が重量比で1/4〜2/1にあるY2 O3 及びMgAl2O4 の粉末を3〜20重量%、窒化けい素粉末を5〜30重量%添加して混合し、その混合物を成形して窒素ガス雰囲気中で1500〜1700℃の温度で常圧焼結することを特徴とする相対密度が95%を超えると共に曲げ強度も500MPa以上の窒化チタン焼結体の製造方法。
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