JP3731256B2 - 多層積層体 - Google Patents
多層積層体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3731256B2 JP3731256B2 JP21198396A JP21198396A JP3731256B2 JP 3731256 B2 JP3731256 B2 JP 3731256B2 JP 21198396 A JP21198396 A JP 21198396A JP 21198396 A JP21198396 A JP 21198396A JP 3731256 B2 JP3731256 B2 JP 3731256B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymer
- multilayer laminate
- conjugated diene
- component
- base layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H05—ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H05K—PRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
- H05K1/00—Printed circuits
- H05K1/02—Details
- H05K1/03—Use of materials for the substrate
- H05K1/0313—Organic insulating material
- H05K1/0353—Organic insulating material consisting of two or more materials, e.g. two or more polymers, polymer + filler, + reinforcement
- H05K1/036—Multilayers with layers of different types
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフィルムおよびシート材料として好適な新規多層積層体に関し、更に詳しくは透明性、柔軟性、耐熱性、衝撃強度等に優れる多層積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピューターなどの電子機器に使用される樹脂基盤にはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が使用されている。これらの熱硬化性樹脂を基盤として成形する際には金型との間に樹脂製の離型フィルムを挟んで成形することが一般的である。この目的の樹脂製フィルムとしては180℃にもなる成形温度に耐えるため、耐熱性に優れる結晶性ポリ−4−メチル−1−ペンテン系樹脂フィルムが従来から使用されている。しかし、結晶性ポリ−4−メチル−1−ペンテン系樹脂フィルムは柔軟性に乏しく樹脂基盤表面形状への追随性に劣り、価格も高価であるという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の諸問題を背景になされたものであり、その課題は、上記電子回路成型用フィルムなどに好適な、柔軟性、耐熱性に優れる多層積層体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、基層(I)の両面上に表層(II)が設けられた多層積層体において、該基層(I)が下記(イ)/(ロ)=95〜20/5〜80重量%からなり、表層(II)が下記(ハ)からなる多層積層体を要旨とする。
(イ)ポリオレフィン系樹脂
(ロ)共役ジエン系重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和された、ポリスチレン換算の数平均分子量(以下単に「数平均分子量」という)が5万〜70万である水添ジエン系共重合体
(ハ)結晶性ポリ−4−メチル−1−ペンテン系樹脂
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の基層(I)に(イ)成分として使用されるポリオレフィン系樹脂は、1種または2種以上のモノオレフィンを高圧法または低圧法のいずれかによる重合から得られる樹脂であり、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1であり、より好ましくはポリプロピレンである。
該ポリオレフィン樹脂は単独重合体であってもよく、次に示すような他のモノマーを共重合してある共重合体であってもよい。(イ)成分において、好ましい共重合成分としては、例えばエチレン(主たる重合体がポリエチレンの場合は除く)をはじめ、プロピレン(主たる重合体がポリプロピレンの場合は除く)、ブテン−1(主たる重合体がポリブテン−1である場合は除く)、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの直鎖状α−オレフィン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチルプロペン−1、3−メチルペンテン−1、5−メチルヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などの分岐状α−オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、などのジカルボン酸やそのモノエステル、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどの飽和カルボン酸のビニルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、などの芳香族ビニル化合物、無水マレイン酸などの酸無水物、アクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのジエンモノマーさらにアクリルアミド、メタクリルアミドなどが用いられる。
これら共重合可能なモノマーの内、ポリプロピレン共重合体におけるより好ましいモノマーとしてはエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の直鎖状α−オレフィンであり、特に好ましくは、エチレン、ブテン−1である。
これらの共重合可能なモノマーは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら共重合成分の量としては好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。これらを共重合した場合の共重合体の様式については特に制限はなく、例えばランダム型、ブロック型、グラフト型、これらの混合型などいずれであってもよい。
【0006】
ポリプロピレン系重合体においてはプロピレンの単独重合体または上記モノマーとのランダム共重合体がより好ましい。また、プロピレンの単独重合体においては高結晶性の単独重合体が好ましい。高結晶性の単独重合体は、たとえばチッソ(株)よりHCPPの名で市販されている。
本発明においては、プロピレン単独重合体またはランダム共重合体を使用することにより、透明性、耐熱性、柔軟性等の物性バランスに優れた多層積層体が得られる。
本発明組成物に配合可能なこれら(イ)ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いても良く、また2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0007】
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)は、フィルムあるいはシートとして成形可能である限り特に制限はないが、ポリプロピレン系樹脂の場合、好ましくは0.5〜15g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分とすることにより、成形性、透明性等に優れた多層積層体が得られる。基層(I)中のポリオレフィン系樹脂の配合量は、95〜20重量%、好ましくは90〜30重量%、最も好ましくは90〜40重量%である。この場合、ポリオレフィン系樹脂の配合量が20重量%未満では、得られる多層積層体の強度および多層積層体の成形性が低下する。
【0008】
次に、基層(I)の(ロ)成分として使用される水添ジエン系共重合体は、共役ジエン系重合体の共役ジエン部分の二重結合の水素添加率が80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、かつ数平均分子量が5万〜70万、好ましくは10万〜60万である水添ジエン系重合体である。
水素添加率が80%未満であると透明性、機械的強度、耐熱性、耐候性、が劣る。数平均分子量が5万未満では得られる水添ジエン系共重合体をペレット化した場合ブロッキングしやすくなるほか、他の樹脂とブレンドした場合、機械的強度、成形外観が劣り、70万を越えると加工性が劣る。
(ロ)成分としては、例えば共役ジエン化合物の単独重合体、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体、ビニル芳香族化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックからなるブロック共重合体、ビニル芳香族化合物の重合体ブロックとビニル芳香族化合物/共役ジエン化合物の共重合体ブロックからなるブロック共重合体などのジエン系重合体の水素添加物もしくはこれらの官能基変性体があげられる。
(ロ)成分としては、好ましくは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのランダム共重合部分を主体とする重合体の共役ジエン部分の二重結合が飽和された水添ジエン系重合体(ロ−a)であり、これを用いると透明性、柔軟性、などにより優れた多層積層体が得られる。
【0009】
以下、本発明の(ロ)成分について、水添ジエン系共重合体(ロ−a)を例にして説明する。基層(I)の(ロ−a)成分として使用される水添ジエン系共重合体は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのランダム共重合部分を主体とする重合体(以下、「水添前重合体」ともいう)を水素添加したものである。ランダム共重合部分の水添前重合体中での割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。該ランダム共重合部分の割合が50重量%未満の場合、得られる多層積層体の透明性、柔軟性、耐衝撃性等が低下する。
【0010】
また上記ランダム共重合部分中の全共役ジエンに対する1,2または3,4−結合した共役ジエンの割合は、(イ)ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上である。このランダム共重合部分中の全共役ジエンに対する1,2または3,4−結合した共役ジエンの割合が60%未満の場合、(イ)ポリプロピレン系樹脂とブレンドした場合の透明性および柔軟性に対する改良効果が不十分となる。
【0011】
水添前共重合体に用いられる共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用でき、また物性の優れた水添ジエン系重合体を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましく、また芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
水添前重合体を構成する共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合物の重量割合は、本発明においては特に限定されるものではないが、好ましくは95/5〜40/60、さらに好ましくは93/7〜50/50である。芳香族ビニル化合物の割合が60重量%を越えると得られた多層積層体の柔軟性が劣り、また5重量%未満であると得られた多層積層体の強度が劣る。
【0012】
本発明の(ロ−a)成分は、上述のようにランダム共重合部分を主体とする重合体を水添することによって得られるが、この水添前重合体の分子鎖中には、下記のごとき他の重合体ブロックが含まれていてもよい。
水添前重合体に含まれてもよい他の重合体ブロックとしては、芳香族ビニル化合物重合体、1,4−結合を主体とするポリブタジエン重合体、および芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物からなり芳香族ビニル化合物が漸増するテーパー状重合体などがあげられる。
これらの他の重合体ブロックが存在すると、(ロ−a)成分の物性上の特徴は若干損なわれるものの、材料のブロッキング性が低下することにより取扱い性が向上するため、工業的に有用な場合がある。水添前重合体中の前記他の重合体ブロックの割合は、特に限定されるものではないが、50重量%以下が好ましく、40%重量以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。他の重合体ブロックの割合が50重量%を越える場合、得られる多層積層体の透明性、柔軟性、耐寒性等が低下する。
【0013】
前記水添前重合体は、カップリング剤の使用により重合体分子鎖がカップリング剤残基を介して延長または分岐された重合体であってもよい。
この際用いられるカップリング剤としては、例えばアジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩化ケイ素、ブチルトリクロロケイ素、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、ジメチルジクロロケイ素、テトラクロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネートなどが挙げられる。
なお本発明の(ロ−a)成分としては、2種またはそれ以上の水添前重合体のブレンド物を水添したものも好適に用いられる。さらに、2種またはそれ以上の水添ジエン系重合体同士のブレンド物も、本発明の(ロ−a)成分として好適である。
【0014】
本発明の(ロ−a)水添ジエン系重合体において、分子鎖中の共役ジエン部分の二重結合の水素添加率は、好ましくは80%、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。80%未満では、透明性、機械的強度、耐熱性、耐候性等が低下する。
さらに、本発明の(ロ)水添ジエン系重合体は、数平均分子量が好ましくは5万〜70万、より好ましくは5万〜60万である。5万未満では水添ジエン系共重合体をペレット化した場合ブロッキングしやすくなり、かつ(イ)ポリオレフィン系樹脂とブレンドした場合機械的強度が低下し、また70万を越えると、流動性、加工性等が低下する。
【0015】
前記水添ジエン系共重合体は、例えば特開平3―72512号公報に開示されている方法によって製造することができる。
【0016】
さらに、基層(I)の(ロ)成分として使用される水添ジエン系共重合体は、前記水添ジエン系共重合体に1種以上の官能基を導入した変性体であってもよい。前記官能基としては、例えばカルボキシル基、酸無水物基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、アンモニウム塩基、ハロゲン原子含有基、スルホン酸基等や、これらの官能基から誘導される基、例えばエステル基等が挙げられる。このような官能基は、それらの種類に応じて、水添ジエン系共重合体(ロ)の水素添加の前または後に導入される。
【0017】
本発明の基層(I)は、前記(イ)成分と(ロ)成分からなり、該樹脂組成物中の(ロ)成分の配合量は、5〜80重量%、好ましくは10〜70%、最も好ましくは10〜65%である。この場合、(ロ)成分が80重量%より多いと、得られる多層積層体の強度および成形性が低下する。
【0018】
次に表層(II)について述べる。本発明の表層(II)を形成する結晶性ポリ−4−メチル−1−ペンテン系樹脂(ハ)はその製造方法が例えば英国特許942297号、968935号、1001801号、1014886号および1085914号などに記載されているごとき4−メチル−1−ペンテン単独重合体、および他の共重合成分との共重合体の全てが含まれ、またこれらの混合物であっても良い。
4−メチル−1−ペンテンの共重合成分としては他のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等の炭素数2ないし20のα−オレフィンである。
共重合体は通常4−メチル−1−ペンテンを85モル%以上含む4−メチル−1−ペンテンを主体とした重合体である。これらの4−メチル−1−ペンテン系樹脂の曲げ弾性率は共重合成分の種類と割合によって決定されるが、曲げ初期弾性率が10,000kg/cm2以下の場合、基層と表層の接着強度および積層体の柔軟性に優れるのでより好ましい。4−メチル−1−ペンテン系樹脂のメルトフローレート(荷重:5kg、温度:260℃)は0.5ないし200g/10分の範囲のものである。メルトフローレートが0.5g/10分未満のものは溶融粘度が高く成形性に劣りメルトフローレートが200g/10分を越えるものは溶融粘度が低く成形性に劣る。これらの4−メチル−1−ペンテン系樹脂は、三井石油化学工業(株)からTPXの名で商品化され供給されている。
【0019】
本発明の多層積層体は(イ)ポリオレフィン系樹脂および(ロ)共役ジエン系重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和された、数平均分子量が5万〜70万である水添ジエン系共重合体から形成される基層(I)の両面に、(ハ)4−メチル−1−ペンテン系樹脂から形成される表層(II)を積層してなるものであり、かかる多層積層体においては、基層と表層とが相互に補いあるいは相乗して、優れた特性を有する多層積層体が形成される。したがって本発明においては、基層(I)中の(イ)成分と(ロ)成分との組合せ、(ロ)成分の配合量、表層(II)中の(ハ)成分の種類等の諸条件は、多層積層体の所望の特性に応じて適宜選定される。
【0020】
本発明においては、本発明の特徴を本質的に損なわない範囲で、必要に応じてエチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−ブテン−1共重合体(EBM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPDM)、ポリブテン−1、ポリエチレン等のオレフィン系(共)重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の他の樹脂を、基層(I)および/または表層(II)中に配合することもできる。
また基層(I)および/または表層(II)には、本発明の特徴を本質的に損なわない範囲で、必要に応じてブロッキング防止剤、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、防曇剤、着色剤、紫外線吸収剤等の公知の添加剤を配合することもできる。
前記ブロッキング防止剤としては、例えばシリカ、ゼオライト等が好適であり、これらは天然、合成の何れでもよい。また前記帯電防止剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有するN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミン類やグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。さらに、前記滑剤としては、脂肪酸アミドが好ましく、具体的にはエルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0021】
本発明の基層(I)における(イ)成分と(ロ)成分との混合は、例えばバンバリーミキサー、ロールミル、押出機等の適宜の混合機を用いて行うことができるが、押出し機中で溶融混練することが好ましく、特に2軸押出し機を用いて溶融混練することが好ましい。このように2軸押出し機により溶融混練した樹脂組成物を使用することにより、フィルムおよびシート中のフィッシュアイが少なくなり、外観に優れるばかりでなく、透明性が更に優れたフィルムおよびシートが得られる。なお、2軸押出し機を用いて溶融混練した樹脂組成物は、通常、ペレット化して使用される。
本発明の多層積層体は、例えば、(a)基層と表層とをTダイ法等の通常の方法でフィルムあるいはシートに成形したのち、熱貼合する方法、(b)共押出しタイプのTダイ押出し成形機により直接積層成形する方法、(c)例えば前記(a)の方法で予め成形した基層あるいは表層の少なくとも一方の面に他方の層を押出しラミネートする方法等の公知の方法で積層して製造することができる。前記(b)の方法に使用されるTダイ押出し成形機のTダイは、マルチマニホールドタイプまたはフィードブロックタイプの何れでもよい。
これらの方法のうち、好ましい方法は、(b)の方法、すなわち、共押出しタイプのTダイ押出し成形機を用いる方法である。前記(b)の方法では、基材層の一方の面に表層を積層する2層共押出し法、基材層の両方の面に表層を積層する3層共押出し法のほか、4層以上の多層押出し法を採用することができる。なお、耐ブロッキング性、耐熱性の点から基材層の両面に表層を積層する事が好ましい。
【0022】
本発明の多層積層体は、基層の一方の面または両方の面に表層が積層されているが、基層の両面に積層された各表層は同一でも異なってもよく、また基層の一方の面または両方の面に、表層を2層以上積層することもできる。本発明の多層積層体は、場合により2つ以上貼合して使用することもできる。
本発明の多層積層体表面には必要に応じてシボ、マットなどの意匠が施されていても良い。これらの意匠はフィルム成型時又は成形後に施すことができる。さらに本発明の多層積層体は綿やポリエステル等の布や紙などに貼り合わせて使用しても良い。
本発明の多層積層体の厚さは、多層積層体の所望の特性や用途に応じて適宜選択されるが、成形性および強度の観点から、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上である。また、本発明の多層積層体における基層と表層との厚さの比率は、多層積層体の所望の特性や用途に応じて適宜選択されるが、基層/表層=1/1〜20/1の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは基層/表層=2/1〜8/1の範囲である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
また、実施例および比較例中の各種評価は、次のようにして行った。
ビニル芳香族化合物の結合量(重量%)
赤外分析法による679cm-1のフェニル基の吸収により測定した。
共役ジエン部分のビニル結合含量(%)
赤外分析法を用い、ハンプトン法により算出した。
水素添加率(%)
溶媒として四塩化エチレンを用い、100MHzでの 1H―NMRスペクトルにより算出した。
水添ジエン系共重合体の数平均分子量
溶媒としてトリクロルベンゼンを用い、135℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算して算出した。
耐熱性
得られたフィルムとアルミ箔を180℃で2.5kgf/cm2 の圧力で10秒間ヒートシールした後以下の基準で評価した。
○:容易にはがれる
×:フィルムとアルミ箔が密着しておりはがしにくい。
柔軟性
樹脂基盤表面形状への形状追随性を以下の基準で判断した。
○:良い
×:悪い
【0024】
実施例および比較例の配合処方に用いた各成分は、以下の通りである。
(イ)成分
(イ-1)ポリプロピレン(チッソ石油化学(株)製、商品名HT6004)
(イ-2)ポリプロピレン(三菱化学(株)製、商品名FX4)
(ロ)成分
表1に示す水添ジエン系共重合体(ロ-1) 〜(ロ-2)を合成した。
これらの水添ジエン系共重合体のミクロ構造、数平均分子量および水素添加率を、表1に示す。
【0025】
【表1】
*1)BD:ブタジエン
*2)St:スチレン
【0026】
(ハ)成分
(ハ−1)ポリ4−メチル−1−ペンテン系樹脂(三井石油化学工業(株)製 TPX MX−004)
(ハ−2)ポリ4−メチル−1−ペンテン系樹脂(三井石油化学工業(株)製 TPX MX−002)
【0027】
【実施例】
実施例1
(イ−1)成分50重量部と(ロ−1)成分50重量部とを、(株)池貝製2軸押出し成形機PCM−45を用いて溶融混練りしたのちペレット化し、基層(I)用組成物のペレットを得た。上記基層(I)用組成物と表層用(ハ−1)を、フィードブロック付きTダイを備えた3層フィルムが成形可能な押出し成形機(モダンマシナリー社製、基層用:65mmφ、表層用:50mmφ)に供給し、押出し温度260℃、冷却ロール温度30℃として3層共押出しを行い、厚さ150μm、各層の厚み比率が1/6/1の3層積層体を得た。次いで、通常のエージングを行ったのち、各種評価を行った。その結果、得られた3層積層体は耐熱性、柔軟性が優れるものであった。評価結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
実施例2〜7
組成、厚みおよび基層と表層の厚み比を表2に示した通りとした以外は実施例1と同様にして、各種評価を行った。その結果、得られた3層積層体は何れも、耐熱性、柔軟性が優れるものであった。評価結果を表2に示す。
【0030】
比較例1、2
組成、厚みおよび基層と表層の厚み比を表4に示した通りとした以外は実施例1と同様にして、各種評価を行った。
比較例1は、基層の(イ)成分と(ロ)成分の組成比および種類が本発明の範囲外で実質的に(ハ−1)の単層フィルムであり耐熱性には優れるものの柔軟性が劣り好ましくなかった。
比較例2は、表層(II)成分の種類が本発明の範囲外であり柔軟性には優れるものの耐熱性が劣り好ましくなかった。
評価結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】
以上実施例で示したように本発明の多層積層体は、耐熱性、柔軟性等に優れるので電子回路用の樹脂基盤成形用フィルムのほか、ポンチョ等の衣料用材料、衣料包装用フィルム、文具包装用フィルム、医療用包装フィルム等の各種包装材料、ブックカバー、ダイシングフィルム、医療用廃棄袋、文具、医療衛生材料、転写フィルム、表面保護フィルム、テ−ブルクロス等の様々な分野に好適に用いることができる。
Claims (5)
- 基層(I)の両面上に表層(II)が設けられた多層積層体において、該基層(I)が下記(イ)/(ロ)=95/5〜20/80重量%からなり、表層(II)が下記(ハ)からなる多層積層体。
(イ)ポリオレフィン系樹脂
(ロ)共役ジエン系重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和された、ポリスチレン換算の数平均分子量が5万〜70万である水添ジエン系共重合体
(ハ)結晶性ポリ−4−メチル−1−ペンテン系樹脂 - 上記(イ)成分がポリプロピレン系樹脂であり、かつ上記(ロ)成分が(ロ−a)共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのランダム共重合部分を主体とする重合体の共役ジエン部分の二重結合が飽和された水添ジエン系重合体である請求項1に記載の多層積層体。
- 上記(ロ−a)水添ジエン系重合体の水添前重合体中の上記ランダム共重合部分の割合が、50重量%以上である請求項2に記載の多層積層体。
- 上記(ロ−a)水添ジエン系重合体を構成する共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合物の、水添前重合体中における重量割合が、95/5〜40/60である請求項2または3に記載の多層積層体。
- 上記(ロ−a)水添ジエン系重合体の上記ランダム共重合部分中の全共役ジエンに対する1,2−または3,4−結合した共役ジエンの割合が、60%以上である請求項2〜4のいずれか1項に記載の多層積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21198396A JP3731256B2 (ja) | 1996-07-23 | 1996-07-23 | 多層積層体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21198396A JP3731256B2 (ja) | 1996-07-23 | 1996-07-23 | 多層積層体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1034849A JPH1034849A (ja) | 1998-02-10 |
JP3731256B2 true JP3731256B2 (ja) | 2006-01-05 |
Family
ID=16614955
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21198396A Expired - Lifetime JP3731256B2 (ja) | 1996-07-23 | 1996-07-23 | 多層積層体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3731256B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3961284B2 (ja) * | 2001-12-28 | 2007-08-22 | 日本ゼオン株式会社 | 粉体成形用樹脂組成物 |
JP3989726B2 (ja) * | 2001-12-28 | 2007-10-10 | 日本ゼオン株式会社 | 粉体成形用樹脂組成物 |
JP3958611B2 (ja) * | 2002-03-22 | 2007-08-15 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 多層フィルム |
JP4878725B2 (ja) * | 2003-04-15 | 2012-02-15 | リケンテクノス株式会社 | 表面保護フィルム |
JP4965216B2 (ja) * | 2006-10-10 | 2012-07-04 | 三井化学株式会社 | 4−メチル−1−ペンテン系重合体離型フィルム |
-
1996
- 1996-07-23 JP JP21198396A patent/JP3731256B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1034849A (ja) | 1998-02-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1028843B1 (en) | Multicomponent structures having improved adhesion | |
US20040072004A1 (en) | Metallized multilayer film | |
EP1867692B1 (en) | Propylenic polymer composition for adhesives and laminates made by using the same | |
EP0664327A1 (en) | Adhesive resin composition | |
JP7526844B2 (ja) | ダイシング用基体フィルム | |
JPH02107438A (ja) | 積層体 | |
JP3743583B2 (ja) | 多層積層体 | |
TW201008772A (en) | Surface protective film | |
JP3731256B2 (ja) | 多層積層体 | |
JPH1135901A (ja) | 粘着積層体 | |
JP4525811B2 (ja) | 表面保護フィルム | |
JP2007161882A (ja) | 表面保護フィルム | |
JP3955398B2 (ja) | 積層体およびその製造方法 | |
JP3867366B2 (ja) | 多層積層体およびその製造方法 | |
JP3804100B2 (ja) | 多層積層体 | |
JP2000301677A (ja) | ポリプロピレン系積層フィルム | |
US11708483B2 (en) | Heat sealable films | |
JP3271301B2 (ja) | 積層フィルム | |
USH1274H (en) | Polypropylene-polybutylene heat sealable laminated packaging film with improved optics | |
JPH07227938A (ja) | ポリプロピレン系複合フイルム | |
JPH0925347A (ja) | ポリプロピレン系軟質フィルム・シート | |
JP4029467B2 (ja) | 多層フィルム | |
JP2020114889A (ja) | 接着性樹脂組成物および積層体 | |
JPH09104848A (ja) | 粘着性フィルム | |
JPH10147674A (ja) | 高周波シール用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050624 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050628 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050824 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050920 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20051003 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091021 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091021 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091021 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101021 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101021 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111021 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111021 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121021 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121021 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131021 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |