JP3726580B2 - 直噴火花点火式内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直噴火花点火式内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、機関の燃焼室内に直接燃料を噴射供給する構成とし、例えば、通常は吸気行程中に燃料噴射して均質混合気(燃焼室内全体に均等に燃料が分散している状態)で燃焼(均質燃焼)を行わせ、所定運転状態(低回転・低負荷状態等)において、圧縮行程中に燃料噴射し、点火栓周りに着火可能な可燃混合比の混合気からなる層状の成層混合気を形成し、極希薄な空燃比(リーン限界近傍の空燃比)での燃焼(成層リーン燃焼)を行なわせるようにした内燃機関(直噴火花点火式内燃機関)が知られている(特開昭62−191622号公報や特開平2−169834号公報等参照)。
【0003】
また、上記のような直噴火花点火式内燃機関に関し、冷機始動から暖機過程において、点火栓周りの局所的な空燃比をリッチとすることで局所的な空気量不足の状態を作り、燃焼で発生する不完全燃焼物(CO)と燃え残った燃料の一部を筒内の余剰酸素と主燃焼以降に反応させて、排気温度を上昇させることにより、排気浄化触媒の活性化促進を図ったものがある(特開平10−169488号公報参照)。
【0004】
さらに、本願出願人は、上記技術では着火が不安定でひいては未燃燃料(HC)排出量が増大するという課題に鑑み、点火栓周りに局所的に空燃比をリッチとした成層混合気を形成しつつ、通常の成層リーン燃焼より点火時期を遅らせるなどして噴霧燃料を十分に霧化することにより、安定した着火燃焼を行なって排気温度上昇による排気浄化触媒の活性化を促進しつつ未燃燃料(HC)の排出を抑制する技術を提案している(特願平11−46612号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように排気温度を上昇させて排気浄化触媒の活性化促進を図るため、点火栓周りに局所的に空燃比をリッチとした成層混合気を形成して、成層燃焼を行なうようにしたものでは、低温始動時には、まず安定した燃焼性を確保するため燃焼室全体に均質な混合気を形成して燃焼する均質燃焼を行ない、次いで排気温度上昇の要求から前記点火栓周りの空燃比を局所的にリッチとした成層燃焼を行ない、排気浄化触媒が活性化した後、均質リーン燃焼に切り換えられ、更に運転要求に応じて成層リーン燃焼、均質ストイキ燃焼に切り換えられる。
【0006】
しかしながら、成層燃焼は燃料と空気とを十分に混合させた均質燃焼に比較して熱効率が低いため、前記排気温度上昇用の成層燃焼とその前後の均質燃焼とを切り換えるときにトルク段差が発生し、運転性が損なわれてしまうという問題を生じる。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、排気温度上昇用の成層燃焼と、均質燃焼との切換時におけるトルク段差の発生を抑制し、安定した運転性が得られるようにした直噴火花点火式内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明は、
点火実行時に燃焼室全体に均質な混合気を形成して燃焼させる均質燃焼から点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな成層混合気を形成して燃焼させる成層燃焼へ燃焼を切り換えるときに、前記均質燃焼を行いつつ燃焼切り換え時のトルク段差を無くすことが可能となる点火時期まで徐々に点火時期を遅角補正し、燃焼の切り換えと同時に前記遅角補正分を一気に進角させ、前記成層燃焼を行いつつ機関安定限界内で最大限遅角側となる点火時期まで徐々に点火時期を遅角補正することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、図1に示すように、
機関の燃焼室内に直接燃料を噴射供給する燃料噴射弁と、
燃焼室内の混合気に火花点火する点火栓とを備え、
点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな成層混合気を形成して燃焼させるように燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期を制御する成層燃焼制御手段と、
燃焼室全体に均質な混合気を形成して燃焼させるように燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期を制御する均質燃焼制御手段と、
前記成層燃焼制御手段による成層燃焼と、均質燃焼制御手段による均質燃焼とを機関運転要求に応じて切り換える燃焼切換手段と、
前記均質燃焼から成層燃焼への切換時に、前記均質燃焼を行いつつ燃焼切り換え時のトルク段差を無くすことが可能となる点火時期まで徐々に点火時期を遅角補正し、燃焼の切り換えと同時に前記遅角補正分を一気に進角させ、前記成層燃焼を行いつつ機関安定限界内で最大限遅角側となる点火時期まで徐々に点火時期を遅角補正する燃焼切換用点火時期補正手段を含んで構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項1又は請求項2に係る発明によると、
排気温度を上昇させる要求があると、(成層燃焼制御手段が、前記燃料噴射弁の燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火栓の点火時期を制御することにより、)点火栓周り空燃比をストイキよりリッチな成層混合気を形成して燃焼させる。このように、成層混合気がストイキよりリッチな空燃比であるため、主燃焼により不完全燃焼物(CO)が発生し、該不完全燃焼物が主燃焼後に燃焼室内及び排気通路内で再燃焼することにより、排気温度が上昇し排気浄化触媒が活性化される。
【0011】
また、低温始動時又は排気浄化触媒の活性後は、均質燃焼が要求され、(均質燃焼制御手段が、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期を制御して、燃焼室全体に均質な混合気を形成して燃焼させる。
【0014】
そして、均質燃焼から排気温度上昇用の成層燃焼に切り換える場合は、熱効率が低い成層燃焼への切換時のトルク低下を無くすためにトルクを増大補正する必要がある。しかし、均質燃焼では、通常点火時期はMBT(最大トルク発生点火時期)で制御されているので、そのままではトルクを増大補正するための点火時期の補正制御を行なうことができない(進角代がない)。
【0016】
そこで、切換時のトルク増大補正が可能な進角代を確保できるまで点火時期を徐々に遅角し、トルク段差を解消できる点火時期補正が可能となった時点で該トルク段差解消分の点火時期補正を一気に行う。さらに、燃焼切換後は、点火時期を該切換後の成層燃焼を行いつつ機関安定限界内で最大限遅角側となる点火時期まで徐々に点火時期を遅角補正する。
【0017】
このようにすれば、燃焼切換時のトルク段差を確実に解消でき、また、切換前後における各燃焼で、点火時期を徐々に変化させることにより、この間にトルクが急激に変化することを抑制できる。
【0018】
また、請求項3に係る発明は、
前記各燃焼状態での点火時期変化に伴うトルク変化を無くすように吸入空気量を補正することを特徴とする。
【0019】
請求項3に係る発明によると、
前記各燃焼状態で点火時期を徐々に変化させるときに、点火時期を遅角方向に変化させるときは該遅角によってトルクが減少変化しようとするので、該トルクの減少変化を無くすように吸入空気量が増量補正され、点火時期を進角方向に変化させる場合は該進角によってトルクが増大変化しようとするので、該トルクの増大変化を無くすように吸入空気量が減少補正される。
【0020】
これにより、燃焼切換の要求が発生してから燃焼切換後の定常状態における目標点火時期に収束するまでトルク変化を可及的に抑制することができる。
また、請求項4に係る発明は、
前記成層燃焼は、吸気行程と圧縮行程とに燃料噴射を分割して行なって、吸気行程での燃料噴射で燃焼室全体に空燃比がストイキよりリーンな混合気を形成すると共に圧縮行程での燃料噴射で点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな混合気を形成し、該混合気を燃焼するものであることを特徴とする。
【0021】
請求項4に係る発明によると、
吸気行程で噴射された燃料により燃焼室全体に均質な混合気が形成され、その後圧縮行程で噴射された燃料により、点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな成層混合気が形成される。
【0022】
これにより、前記点火栓周りのリッチな成層混合気が主燃焼し、該主燃焼によって生成された不完全燃焼物(CO)が、リーン混合気と共に再燃焼して燃焼室の隅々にまで火炎が良好に伝播されるので、燃焼室内の低温領域(クエンチングエリア)を均質燃焼時と変わりのない小さな領域とすることができる。さらに、リーン混合気が燃焼する領域の過剰な酸素を主燃焼後も残存させる形とするので、主燃焼の終了時点における残存酸素の温度も比較的高温となっており、COの再燃焼がより速やかに進行する。
【0023】
また、請求項5に係る発明は、
前記成層燃焼において、均質燃焼への切換領域付近での吸気行程で燃料噴射される割合を大きくしたことを特徴とする。
【0024】
請求項5に係る発明によると、
均質燃焼への切換領域付近で、排気温度上昇用の成層燃焼を行なっている場合には、吸気行程で燃料噴射される割合が切換領域から離れている場合に比較して大きく設定される。
【0025】
これにより、吸気行程で燃料噴射されることにより燃焼室全体に形成される均質な混合気の割合が大きくなって、均質燃焼に近づけた状態から均質燃焼に切り換えられるため、燃焼切換に伴うトルク段差を小さくすることができる。したがって、点火時期制御による燃焼の切換制御を行ないやすくなり、前記のように点火時期を徐々に変化させる場合も該変化期間を短くして速やかに燃焼を切り換えることができる。
【0026】
また、請求項6に係る発明は、
前記成層燃焼は、点火実行時に点火栓周りに偏在する混合気の空燃比がストイキよりリッチかつ着火可能な空燃比となり、かつ、この混合気層が着火可能な霧化状態となるように圧縮行程中の燃料噴射量及び燃料噴射時期と、前記点火栓の点火時期とを制御することにより行なわれることを特徴とする。
【0027】
請求項6に係る発明によると、
燃料噴射弁から燃焼室内に圧縮行程中に噴射される燃料噴射量と燃料噴射時期とを制御すると共に、それによって形成される混合気の状態が、点火実行時において、点火栓周りに偏在する混合気の空燃比がストイキよりリッチかつ着火可能な空燃比となるように、点火時期が制御される。
【0028】
これにより、点火栓周りに偏在する混合気の空燃比が、着火性の良好なリッチ空燃比になると共に、噴射燃料の霧化時間を十分に確保されるので、常に安定した着火が得られ、COの生成を安定して行なうことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、添付の図面に基づいて説明する。
本発明の第1の実施形態のシステム構成を示す図2において、機関1の吸気通路2には吸入空気流量Qaを検出するエアフローメータ3及び吸入空気流量Qaを制御するスロットル弁4が設けられると共に、各気筒の燃焼室に臨ませて、燃料噴射弁5が設けられている。
【0030】
かかる燃料噴射弁5は、後述するコントロールユニット50において設定される駆動パルス信号によって開弁駆動され、図示しない燃料ポンプから圧送されてプレッシャレギュレータ(図示せず)により所定圧力に制御された燃料を燃焼室内に直接噴射供給することができるようになっている。
【0031】
なお、燃焼室に臨んで装着されて、コントロールユニット50からの点火信号に基づいて吸入混合気に対して点火を行う点火栓6が、各気筒に設けられている。
【0032】
一方、排気通路7には、排気中の特定成分(例えば、酸素)濃度を検出することによって排気延いては吸入混合気の空燃比を検出する空燃比センサ8(リッチ・リーン出力する酸素センサであっても良いし、空燃比をリニアに広域に亘って検出する広域空燃比センサであってもよい)が設けられ、その下流側には、排気を浄化するための排気浄化触媒9が介装されている。なお、排気浄化触媒9としては、ストイキつまり理論空燃比{λ=1、A/F(空気重量/燃料重量)・14.7}近傍において排気中のCO,HCの酸化とNOx の還元を行って排気を浄化することができる三元触媒、或いは排気中のCO,HCの酸化を行う酸化触媒等を用いることができる。
【0033】
更に、前記排気浄化触媒9の排気下流側には、排気中の特定成分(例えば、酸素)濃度を検出し、リッチ・リーン出力する下流側酸素センサ10が設けられるようになっている。
【0034】
ここでは、下流側酸素センサ10の検出値により、空燃比センサ8の検出値に基づく空燃比フィードバック制御を補正することで、空燃比センサ8の劣化等に伴う制御誤差を抑制する等のために(所謂ダブル空燃比センサシステム採用のために)、前記下流側酸素センサ10を設けて構成したが、空燃比センサ8の検出値に基づく空燃比フィードバック制御を行なわせるだけで良い場合には、かかる下流側酸素センサ10は省略することができるものである。また、空燃比フィードバック制御を行なわない場合には、空燃比センサ8と下流側酸素センサ10を共に省略することができるものである。
【0035】
なお、本実施形態においては、クランク角センサ11が備えられており、コントロールユニット50では、該クランク角センサ11から機関回転と同期して出力されるクランク単位角信号を一定時間カウントして、又は、クランク基準角信号の周期を計測して機関回転速度Neを検出できるようになっている。
【0036】
そして、機関1の冷却ジャケットに臨んで設けられ、冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する水温センサ12が設けられている。
更に、前記スロットル弁4の開度を検出するスロットルセンサ13(アイドルスイッチとしても機能させることができる)が設けられている。
【0037】
ところで、本実施形態においては、前記スロットル弁4の開度を、DCモータ等のアクチュエータにより制御することができるスロットル弁制御装置14が備えられている。
【0038】
当該スロットル弁制御装置14は、運転者のアクセルペダル操作量等に基づき演算される要求トルクを達成できるように、コントロールユニット50からの駆動信号に基づき、スロットル弁4の開度を電子制御するものとして構成することができる。
【0039】
前記各種センサ類からの検出信号は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インタフェース等を含んで構成されるマイクロコンピュータからなるコントロールユニット50へ入力され、当該コントロールユニット50は、前記センサ類からの信号に基づいて検出される運転状態に応じて、前記スロットル弁制御装置14を介してスロットル弁4の開度を制御し、前記燃料噴射弁5を駆動して燃料噴射量 (燃料供給量) を制御し、点火時期を設定して該点火時期で前記点火栓6を点火させる制御を行う。
【0040】
なお、例えば、所定運転状態(低・中負荷領域など)で燃焼室内に圧縮行程で燃料噴射して、燃焼室内の点火栓6周辺に可燃混合気を層状に形成して成層燃焼を行なうことができる一方、他の運転状態(高負荷領域など)では燃焼室内に吸気行程で燃料噴射して、シリンダ全体に略均質な混合比の混合気を形成して均質燃焼を行なうことができるように、燃料噴射時期(噴射タイミング)についても、運転状態などに応じて変更可能に構成されている。
【0041】
ところで、本実施形態に係るコントロールユニット50では、始動開始から排気浄化触媒9が活性化するまでの間における大気中へのHCの排出を抑制しながら、排気浄化触媒9の早期活性化を図るようにするために、キースイッチ16など各種センサからの入力信号を受け、例えば、以下のような制御を行なうようになっている。なお、本明細書に例示する実施形態では、本発明にかかる排気温度上昇用の第2の成層燃焼を行う際に燃焼室内の平均空燃比をほぼストイキとするので、この燃焼形態を成層ストイキ燃焼と表現する。
【0042】
具体的には、例えば、図3に示すようなフローチャートを実行するようになっている。
ステップ(図では、Sと記してある。以下、同様)1では、従来同様の手法により、キースイッチ16のイグニッション信号がONとなったか(キー位置がイグニションON位置とされたか)否かを判断する。YESであればステップ2へ進み、NOであれば本フローを終了する。
【0043】
ステップ2では、従来同様の手法により、キースイッチ16のスタート信号がONとなったか(キー位置がスタート位置とされたか)否かを判断する。即ち、スターターモータ(図示せず)によるクランキング要求があるか否かを判断する。
【0044】
YESであれば、始動クランキング要求があるとしてステップ3へ進み、NOであれば未だクランキング要求はないと判断して、ステップ1へリターンする。ステップ3では、従来同様に、スターターモータの駆動を開始して、機関1をクランキングする。
【0045】
ステップ4では、従来同様に、始動のための燃料噴射{吸気行程での直接燃料噴射、図5(B)参照}を行なわせて、機関1の運転(直噴均質燃焼)を行なわせる。
【0046】
次のステップ5では、排気浄化触媒9が活性化していないか否かを判断する。当該判断は、例えば、排気通路7に臨んで設けられる下流側酸素センサ10が活性化していないか否かを判断することで代替することができる。即ち、排気浄化触媒9が活性化しているか否かは、下流側酸素センサ10の検出値号の変化の様子に基づいて判断することができるものである。
【0047】
また、機関水温Tw若しくは油温等を検出して排気浄化触媒9の温度(或いは出口温度)を推定し、その結果に基づいて排気浄化触媒9の活性化を判断することができ、或いは直接的に排気浄化触媒9の温度(或いは出口温度)を検出することによっても判断することができる。
【0048】
触媒が活性化していなければ(YESであれば)、ステップ6へ進む。
一方、触媒が活性化していれば(NOであれば)触媒活性化促進のための制御の必要はないとしてステップ10へ進み、燃費改善等のために、運転状態に応じて、従来と同様の燃焼形態で燃焼を行なわせて、本フローを終了する。
【0049】
ステップ6では、ピストン15の温度(特に、冠面凹部の表面温度)が所定温度(成層ストイキ燃焼移行許可温度)以上となっているか否かを判断する。かかる判定は、ピストン15(特に、冠面)に埋め込んだサーモカップル等により直接検出することで行なうことができ、或いは機関水温Tw又は油温を検出することでピストン(特に、冠面)温度を推定し、その結果に基づいて行なわせることもできる。
【0050】
なお、具体的には、例えば、ピストン冠面温度と相関のある疑似水温TWFに基づいて行なわせることができ、ピストン冠面温度と相関のある疑似水温TWFを推定演算し、その結果が所定値TWF1(成層ストイキ燃焼移行許可温度)に達したか否かで行なうことが可能である(特願平11−46612号の図6、図7等参照)。
【0051】
YESの場合には、後述する触媒活性化促進等のための成層ストイキ燃焼を行なわせても良好な着火性・燃焼性延いては機関安定性(機関運転性)等が得られるとして、ステップ7へ進む。
【0052】
一方、NOの場合には、後述する触媒活性化促進のための成層ストイキ燃焼を行なわせると、ピストン冠面温度が所定より低温であるために、当該ピストン冠面を利用した成層混合気の霧化・気化促進などが良好に行なわれなくなり、以って着火性、燃焼安定性延いては機関安定性(機関運転性)等が低下する惧れがあるとして、成層ストイキ燃焼への移行を禁止して、吸気行程での直接燃料噴射(直噴均質燃焼)を継続すべく、ステップ4へリターンする。
【0053】
ステップ7では、触媒が活性化していない場合で触媒活性化促進が必要であると共に、ピストン冠面温度が所定温度以上であり成層混合気の生成が良好に行なえる場合であるが、加速時等高出力を要求される運転条件では運転性能を優先させるべく、均質燃焼を行わせるようにするため、図4に示すように、機関回転速度と負荷とで決定される運転領域に応じて設定した燃焼切換マップ等に応じて燃焼方式を決定する。そして、該マップで成層ストイキ燃焼を実行する運転領域であれば、ステップ8へ進んで、触媒活性化促進のための成層ストイキ燃焼への移行を許可して、成層ストイキ燃焼を行なわせる。また、運転領域で均質燃焼が設定されている場合は、一旦成層ストイキ燃焼を開始した後であっても、ステップ4へ進んで均質燃焼が選択される。
【0054】
ステップ8では後述するトルク段差を解消する制御を経た後、成層ストイキ燃焼が実行される。具体的には、例えば、1燃焼サイクル当たりの吸入空気量で略完全燃焼させることができるトータル燃料量{略ストイキ(理論空燃比)を達成するのに必要な燃料重量}のうち、例えば略50%乃至略90%の燃料重量を、吸気行程で燃焼室内に噴射供給し、燃焼室内全体にストイキよりも比較的リーン(希薄)な均質混合気を形成すると共に{図5(B)に示す燃料噴射により形成する}、残りの略50%乃至略10%の燃料重量を、圧縮行程で燃焼室内に噴射供給し、点火栓6周りにストイキよりも比較的リッチな(燃料濃度の高い)混合気を層状に形成して{図5(A)参照}、燃焼させる(図6参照)。
【0055】
なお、当該成層ストイキ燃焼形態は、吸気行程中に燃焼室内に(本実施形態では吸気行程噴射により)形成されるストイキよりもリーンな混合気の空燃比を16〜28とし、圧縮行程中の燃料噴射により点火栓周りに形成されるストイキよりもリッチな混合気の空燃比が9〜13となるように、吸気行程中の燃料噴射量と、圧縮行程中の燃料噴射量と、の分担率を設定するようにしても良い。
【0056】
また、各混合気層の空燃比を上記のような範囲としておけば、燃焼室内の平均空燃比を理論空燃比から多少ずれた空燃比(例えば、13.8〜18の範囲)に設定しても良い。
【0057】
上記のような成層ストイキ燃焼によれば、従来の均質ストイキ燃焼と比較して排気温度を上昇させることができるだけでなく、燃焼室から排気通路に排出される未燃HC量を減少させることができる。
【0058】
即ち、成層ストイキ燃焼によれば、従来の燃焼形態{均質燃焼だけ、成層燃焼だけ、或いは、これらに対し更に追加燃料を燃焼後期以降(膨張行程以降や排気行程中)に噴射する燃焼形態など}で暖機を行なわせる場合に比べて、始動開始から排気浄化触媒9が活性化するまでの間における大気中へのHCの排出を抑制しながら、排気浄化触媒9の早期活性化を格段に促進できることになる。
【0059】
次に、ステップ9では、ステップ5と同様にして、排気浄化触媒9が活性化したか(暖機完了か)否かを判断する。YESであれば、ステップ10へ進む。NOであれば、ステップ8へリターンして、排気浄化触媒9が活性化するまで、成層ストイキ燃焼を継続する。
【0060】
ステップ10では、運転状態に応じ、所望の排気性能、或いは燃費性能、或いは運転性能(出力性能、安定性など)等を達成し得る燃焼形態(均質ストイキ燃焼、均質リーン燃焼或いは成層リーン燃焼など)へ移行させた後、本フローを終了する。但し、排気浄化触媒9が活性化したと判定された直後は、均質燃焼、特に成層ストイキ燃焼とのトルク段差を小さくできるように、均質ストイキ燃焼に切り換えられるようにする。
【0061】
なお、本実施形態では、成層ストイキ燃焼の燃焼性に悪影響を与える惧れのある運転状態において(例えば、ピストン冠面温度が所定温度より低温のときは)、該成層ストイキ燃焼への移行を禁止するように構成したが、排気浄化触媒9の早期活性化を最優先したい場合等には、このような構成を採用しなくても良いものである(即ち、図3のフローチャートにおけるステップ6は省略することも可能である)。
【0062】
次に、前記成層ストイキ燃焼と、その前後の均質燃焼との切換時にトルク段差を抑制するための本発明に係る制御について説明する。
まず、均質燃焼から成層ストイキ燃焼への切り換え時の点火時期補正制御を、図7に示したフローチャートに従って説明する。
【0063】
ステップ11では、成層ストイキ燃焼が許可されている(図3のステップ7で成層ストイキ燃焼が選択されているとき)か否かを判定する。
そして、成層ストイキ燃焼が許可されているとき、つまり、現在の均質燃焼から排気温度上昇用の成層ストイキ燃焼への切換要求が発生しているときには、ステップ12へ進み、燃焼切換時のトルク段差を抑制するために必要な点火時期遅角補正制御を開始し、遅角割合の初期値を0%に設定する。
【0064】
即ち、均質燃焼から成層ストイキ燃焼に切り換える場合は、熱効率が低い成層ストイキ燃焼への切換時のトルク低下を無くすためにトルクを増大補正する必要があるが、現在の均質燃焼では、点火時期は、所定の燃費(或いは機関安定性)を達成できるように、MBT(最大トルク発生点火時期)に制御されているので、そのままではトルクを増大補正するための点火時期の進角補正代がない。そこで、燃焼切換時のトルク増大補正が可能な進角代を確保できるまで点火時期を徐々に遅角する補正を行なうのである。
【0065】
ステップ13では、前記遅角補正を徐々に行なうために、遅角割合を所定量インクリメントする。具体的には、単位時間(例えば10ms)毎にa%(例えば1%)ずつ遅角割合を増加させる。
【0066】
ステップ14では、遅角量を算出する。具体的には、まず、機関回転速度と負荷(基本燃料噴射量Tp等)とに基づいて、前記燃焼切換時にトルク段差を解消できるトルク増大補正が可能となる進角補正代を確保できるように、目標遅角点火時期を、マップからの検索等で算出し、次式により、逐次の遅角量を算出する。
【0067】
遅角量=(MBT−目標遅角点火時期)×遅角割合
ステップ15では、最終的に点火時期を次式により算出する。
点火時期=MBT−遅角量
このようにして、燃焼切換要求発生後、点火時期が徐々に遅角されて前記目標遅角点火時期に近づけられる(図8[A]→[B])。
【0068】
ステップ16では、前記目標遅角点火時期に達したか否かを、前記遅角割合が100%となったか等によって判定し、目標遅角点火時期に達するまで、ステップ13に戻って、徐々に遅角補正させる。
【0069】
そして、前記目標遅角点火時期に達したと判定されたときに、ステップ17へ進んで、燃焼を均質燃焼から成層ストイキ燃焼に切り換える。具体的には、前記図3のステップ7で示したように燃料噴射弁5から燃料噴射を吸気行程噴射から吸気行程噴射及び圧縮行程噴射(分割噴射)に切り換えて、成層ストイキ燃焼に切り換える。
【0070】
さらに、ステップ18へ進んで、前記燃焼切換と同時に前記遅角割合を0に設定することにより、点火時期を前記遅角補正開始前のMBTに戻す(図8[B]→[C])。即ち、前記総遅角補正量分を一気に進角方向に補正することにより、燃焼切換時のトルク段差(図8のa)の発生を解消する。これにより、安定した運転性を確保できる。
【0071】
ステップ19以降では、該切換後の成層ストイキ燃焼における最適な目標点火時期に徐々に近づける制御を行なう。
まず、ステップ19では、遅角割合を所定量インクリメントする。具体的には、前記ステップ13と同様に単位時間(例えば10ms)毎にa%(例えば1%)ずつ遅角割合を増加させる。
【0072】
そして、ステップ20で逐次の遅角量を算出する。即ち、機関回転速度と負荷(基本燃料噴射量Tp等)とに基づいて、成層ストイキ燃焼での目標遅角点火時期を、マップからの検索等で算出し、次式により、逐次の遅角量を算出する。
【0073】
遅角量=(MBT−目標遅角点火時期)×遅角割合
ここで、前記成層ストイキ燃焼での目標遅角点火時期は、例えば、機関安定限界(運転性)内で最大限遅角(リタード)させるようになっている。このようにすれば、最大限排気温度を上昇させることができる。但し、従来の燃焼形態と同等の機関安定性を達成する程度に点火時期を遅角させても良く、この場合でも、成層ストイキ燃焼によれば、従来に対して点火時期を大幅に遅角できるから、従来に対して排気温度の上昇効果は大きなものとできる。
【0074】
ステップ21では、最終的に点火時期を次式により算出する。
点火時期=MBT−遅角量
このようにして、燃焼切換後、点火時期が徐々に遅角されて成層ストイキ燃焼での目標遅角点火時期に近づけられる(図8[C]→[D])。
【0075】
ステップ22では、前記目標遅角点火時期に達したか否かを、前記遅角割合が100%となったか等によって判定し、目標遅角点火時期に達するまでステップ19に戻って、徐々に遅角補正させる。
【0076】
このようにすれば、始動用の均質燃焼から排気温度上昇用の成層ストイキ燃焼への切換時のトルク段差を解消できる。
次に、前記成層ストイキ燃焼から均質燃焼への切り換え時の点火時期補正制御を、図9に示したフローチャートに従って説明する。
【0077】
ステップ31では、均質(ストイキ)燃焼が許可されている(図3のステップ7又はステップ10の判断で均質燃焼が選択されたとき)か否かを判定する。
そして、均質燃焼が許可されているとき、つまり、現在の成層ストイキ燃焼から暖機が完了し排気浄化触媒9が活性化し、又は加速等による運転領域変化によって均質燃焼への切換要求が発生しているときには、ステップ32へ進み、燃焼切換時のトルク段差を抑制するために必要な点火時期進角補正制御を開始する。このとき、前記遅角割合の初期値は100%に設定されている。
【0078】
即ち、成層ストイキ燃焼から均質燃焼に切り換える場合は、熱効率が高い均質燃焼への切換時のトルク増大を無くすためにトルクを減少補正する必要があるが、前記したように本実施の形態では成層ストイキ燃焼での点火時期を機関安定限界内で最大限遅角させているため、これ以上遅角すると運転が不安定となってしまうため、実質的に遅角補正を行なうことができない。そこで、燃焼切換時のトルク減少補正が可能な遅角代を確保できるまで点火時期を徐々に進角する補正を行なう。
【0079】
ステップ33では、前記進角補正を徐々に行なうために、前記遅角割合を所定量デクリメントする。具体的には、単位時間(例えば10ms)毎にa%(例えば1%)ずつ遅角割合を減少させる。
【0080】
ステップ34では、遅角量を算出する。具体的には、まず、機関回転速度と負荷(基本燃料噴射量Tp等)とに基づいて、燃焼切換後の均質燃焼における点火時期のMBTをマップからの検索等により算出し、これと現在の成層ストイキ燃焼における点火時期つまり目標遅角点火時期とに基づいて、次式により、逐次の遅角量を算出する。
【0081】
遅角量=(MBT−目標遅角点火時期)×遅角割合
ステップ35では、最終的に点火時期を次式により算出する。
点火時期=MBT−遅角量
このようにして、燃焼切換要求発生後、点火時期が徐々に進角されて前記均質燃焼時のMBTに近づけられる(図8[D]→[C])。
【0082】
ステップ36では、前記MBTに達したか否かを、前記遅角割合が100%となったか等によって判定し、MBTに達するまでの間、ステップ33に戻って、徐々に進角補正させる。
【0083】
そして、前記MBTに達したと判定されたときに、ステップ37へ進んで、燃焼を成層ストイキ燃焼から均質燃焼に切り換える。具体的には、燃料噴射弁5から燃料噴射を吸気行程のみの噴射に切り換えて、均質燃焼に切り換える。
【0084】
さらに、ステップ38へ進んで、前記燃焼切換と同時に点火時期を燃焼切換時のトルク増大解消分に相当する所定量、一気に遅角方向に補正することにより、均質燃焼におけるトルク段差解消のための目標遅角点火時期に切り換える(図8[C]→[B])。これにより、燃焼切換時のトルク段差(図8のa)の発生を解消でき、安定した運転性を確保できる。
【0085】
ステップ39以降では、該切換後の均質燃焼におけるMBTに徐々に近づける制御を行なう。
まず、ステップ39では、遅角割合を所定量デクリメントする。具体的には、前記ステップ33と同様に単位時間(例えば10ms)毎にa%(例えば1%)ずつ遅角割合を減少させる。
【0086】
そして、ステップ40で逐次の遅角量を算出する。即ち、前記均質燃焼でのMBTとトルク段差解消用に燃焼が切り換えられた直後の目標遅角点火時期とに基づいて、次式により、逐次の遅角量を算出する。
【0087】
遅角量=(MBT−目標遅角点火時期)×遅角割合
ステップ41では、最終的に点火時期を次式により算出する。
点火時期=MBT−遅角量
このようにして、燃焼切換後、点火時期が徐々に遅角されて均質燃焼でのMBTに近づけられる(図8[B]→[A])。
【0088】
ステップ42では、前記MBTに達したか否かを、前記遅角割合が0%となったか等によって判定し、目標遅角点火時期に達するまでステップ39に戻って、徐々に進角補正させる。
【0089】
このようにすれば、排気温度上昇用の成層ストイキ燃焼から暖機完了後の均質燃焼への切換時のトルク段差を解消できる。
また、以上のように前記燃焼切換の要求が発生してから実際に燃焼が切り換えられるまでの間及び燃焼切換後の目標点火時期に移行する間の均質燃焼時及び成層ストイキ燃焼における遅角補正又は進角補正は、徐々に行なわれるので、これら遅角補正又は進角補正によるトルク変化を緩やかなものとすることができるが、更に該トルク変化も解消するため吸入空気量補正を行なう。該燃焼切換時における吸入空気量補正制御を、図10のフローチャートに従い、図11のタイムチャートを参照して説明する。なお、点火時期の進角補正時は、トルク増大を抑制するように吸入空気量は減少方向に補正されるのであるが、本実施の形態では、進角補正時も含めて均質燃焼時のMBTを基準とした吸入空気量の増量補正分として設定し、進角補正時は該増量補正分が減少することにより吸入空気量が減少補正されることとなる。
【0090】
図10において、ステップ51では、均質燃焼か成層ストイキ燃焼かを判別する。
そして均質燃焼と判別されたときは、ステップ52へ進み、該均質燃焼時における遅角量、即ち、前記成層ストイキ燃焼に切り換える前の均質燃焼時においてMBTに対して設定される遅角量(図7のステップ14)又は前記均質燃焼に切り換えられた後にMBTに対して設定される遅角量(図9のステップ39)について、該MBTに対する遅角量によるトルク減少分を補正するように、吸入空気量の増量補正量を算出する。
【0091】
簡易的には、次式のように遅角量に対して吸入空気量の増量補正量を比例的に算出する(以下同様)。
増量補正量[L/min]=遅角量[deg]×空気量[L/min/deg]
また、ステップ51で成層ストイキ燃焼と判別されたときは、ステップ53へ進み、均質燃焼時のMBTを基準とした吸入空気量の増量補正制御を行なうため、前記均質燃焼時にMBT対して算出される遅角量に成層ストイキ燃焼でMBTに対して算出される遅角量を加算した遅角量について吸入空気量の増量補正量を算出する。即ち、図7での成層ストイキ燃焼切り換え後は、ステップ14で設定される遅角割合100%における遅角量と、ステップ20で算出される遅角量とを加算した遅角量について吸入空気量の増量補正量を算出し、また、図9での均質燃焼への切換前の成層ストイキ燃焼は、該成層ストイキ燃焼に切り換えられる前に図7の前記ステップ14で算出した遅角割合100%における遅角量と、図9のステップ34で算出した遅角量とを加算した遅角量について吸入空気量の増量補正量を算出する。若しくは、燃焼切換時における増量補正量に成層ストイキ燃焼での遅角量についての増量補正量を加算しても同様に算出される。
【0092】
ステップ54では、前記各燃焼毎に算出された吸入空気量の増量補正量に基づいて、前記スロットル弁4の開度を補正制御する。
このようにすれば、燃焼切換の要求が発生してから燃焼切換後の定常状態における目標点火時期に収束するまでトルク変化を抑制することができ、燃焼切換時の運転性を可及的に安定させることができる。
【0093】
また、既述したように本実施の形態では、成層ストイキ燃焼時に吸気行程と圧縮行程とに分割して燃料噴射するが、その場合、成層ストイキ燃焼から均質燃焼への切換領域付近では、図12に示すように、吸気行程での噴射割合を大きくする(図では、圧縮行程の噴射割合を示す)。
【0094】
但し、本発明は、成層ストイキ燃焼で圧縮行程のみで噴射を行ない、点火栓周りにストイキよりリッチな混合気層を形成し、その外側の燃焼室空間は空気層とするものにも適用できる。この場合も、燃焼室内の平均空燃比はストイキ域近傍とするのが好ましい。
【0095】
また、成層ストイキ燃焼時の定常時における点火時期も、本実施の形態等のように成層リーン燃焼より遅角させることが好ましいが、成層ストイキ燃焼によれば、点火時期をMBTとしても、従来の燃焼形態のMBTに対して点火時期を遅角でき、かつ、機関安定性をも向上させることができるので、機関安定性と排気温度上昇とを高レベルで両立させることができ、このものにも本発明を適用できるもの。
【0096】
即ち、本発明は、点火栓周りに空燃比をストイキよりリッチな成層混合気を形成して燃焼させることにより、不完全燃焼ガスを発生させて排気温度を上昇させることが可能な成層燃焼と、均質燃焼とを切り換える機関であれば適用できる。
【0097】
更に、本実施の形態では、吸気行程噴射も燃焼室に直接噴射する燃料噴射弁5によって行なうようにしたため、コスト低減でレイアウトも容易であるが、吸気行程噴射を行なう燃料噴射弁を吸気ポートに配設する構成であってもよく、低流量の燃料噴射弁を用いて噴射量精度を向上できるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係るシステム構成図。
【図3】同上実施形態における制御を説明するためのフローチャート。
【図4】同上実施形態において運転領域により燃焼を切り換えるために使用する燃焼切換マップ。
【図5】(A)は、直噴圧縮行程噴射を説明するための模式図。(B)は、直噴吸気行程噴射を説明するための模式図。(C)は、燃料噴射時の平面図。
【図6】本発明にかかる成層ストイキ燃焼形態の燃焼室内における混合気の形成状態を説明するための図。
【図7】同上実施形態において均質燃焼から成層ストイキ燃焼へ切り換える時の燃焼切換時の制御を説明するためのフローチャート。
【図8】均質燃焼と成層ストイキ燃焼とを切り換える時の点火時期制御の様子を示す線図。
【図9】同上実施形態において成層ストイキ燃焼から均質燃焼へ切り換える時の燃焼切換時の制御を説明するためのフローチャート。
【図10】同上実施形態において、点火時期制御に伴うトルク変化を補正する吸入空気量補正制御を説明するためのフローチャート。
【図11】同上の吸入空気量補正制御の様子を示す線図。
【図12】同上実施形態における成層ストイキ燃焼の均質燃焼への切換付近の領域の吸気行程噴射と圧縮行程噴射との分割比を示す線図。
【符号の説明】
1 内燃機関
4 スロットル弁
5 燃料噴射弁
6 点火栓
7 排気通路
8 空燃比センサ
9 排気浄化触媒
10 下流側酸素センサ
11 クランク角センサ
13 スロットルセンサ
14 スロットル弁制御装置
15 ピストン
50 コントロールユニット
Claims (6)
- 点火実行時に燃焼室全体に均質な混合気を形成して燃焼させる均質燃焼から点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな成層混合気を形成して燃焼させる成層燃焼へ燃焼を切り換えるときに、前記均質燃焼を行いつつ燃焼切り換え時のトルク段差を無くすことが可能となる点火時期まで徐々に点火時期を遅角補正し、燃焼の切り換えと同時に前記遅角補正分を一気に進角させ、前記成層燃焼を行いつつ機関安定限界内で最大限遅角側となる点火時期まで徐々に点火時期を遅角補正することを特徴とする直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
- 機関の燃焼室内に直接燃料を噴射供給する燃料噴射弁と、
燃焼室内の混合気に火花点火する点火栓とを備え、
点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな成層混合気を形成して燃焼させるように燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期を制御する成層燃焼制御手段と、
燃焼室全体に均質な混合気を形成して燃焼させるように燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期を制御する均質燃焼制御手段と、
前記成層燃焼制御手段による成層燃焼と、均質燃焼制御手段による均質燃焼とを機関運転要求に応じて切り換える燃焼切換手段と、
前記均質燃焼から成層燃焼への切換時に、前記均質燃焼を行いつつ燃焼切り換え時のトルク段差を無くすことが可能となる点火時期まで徐々に点火時期を遅角補正し、燃焼の切り換えと同時に前記遅角補正分を一気に進角させ、前記成層燃焼を行いつつ機関安定限界内で最大限遅角側となる点火時期まで徐々に点火時期を遅角補正する燃焼切換用点火時期補正手段を含んで構成したことを特徴とする直噴火花点火式内燃機関の制御装置。 - 前記各燃焼状態での点火時期変化に伴うトルク変化を無くすように吸入空気量を補正することを特徴とする請求項2に記載の直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
- 前記成層燃焼は、吸気行程と圧縮行程とに燃料噴射を分割して行なって、吸気行程での燃料噴射で燃焼室全体に空燃比がストイキよりリーンな混合気を形成すると共に圧縮行程での燃料噴射で点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな混合気を形成し、該混合気を燃焼するものであることを特徴とする請求項1〜請求項3にいずれか1つに記載の直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
- 前記成層燃焼において、均質燃焼への切換領域付近での吸気行程で燃料噴射される割合を大きくしたことを特徴とする請求項4に記載の直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
- 前記成層燃焼は、点火実行時に点火栓周りに偏在する混合気の空燃比がストイキよりリッチかつ着火可能な空燃比となり、かつ、この混合気層が着火可能な霧化状態となるように圧縮行程中の燃料噴射量及び燃料噴射時期と、前記点火栓の点火時期とを制御することにより行なわれることを特徴とする請求項1〜請求項5に記載の直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
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