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JP3721298B2 - フタロシアニン化合物およびその製造方法ならびにこれを用いてなる近赤外吸収色素 - Google Patents

フタロシアニン化合物およびその製造方法ならびにこれを用いてなる近赤外吸収色素 Download PDF

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倍章 北尾
智恵 立山
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフタロシアニン化合物およびその製造方法ならびにこれを用いてなる近赤外吸収色素ならびにこれらを含む熱線遮蔽材、プラズマディスプレー用フィルターおよび近赤外吸収材に関するものである。詳しくは、本発明は、特に可視光線透過率が高く、かつ近赤外線光のカット効率が高く、近赤外吸収能に優れ、かつ溶媒溶解性に優れ、樹脂との相溶性に優れ、かつ耐熱性、耐光性及び耐候性等の特性に優れたフタロシアニン化合物およびその製造方法ならびにこれを用いてなる近赤外吸収色素ならびにこれらを含む熱線遮蔽材、プラズマディスプレー用フィルターおよび近赤外吸収材に関するものである。
【0002】
本発明のフタロシアニン化合物は、半透明ないし透明性を有しかつ熱線を遮蔽する目的の熱線遮蔽材、自動車用の熱線吸収合わせガラス、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽樹脂ガラス、可視光線透過率が高くかつ近赤外線光のカット効率の高いプラズマディスプレー用フィルター、フラッシュ定着などの非接触定着トナー用の近赤外線吸収剤として、また、保温蓄熱繊維用の近赤外線吸収剤、赤外線による偵察に対し偽装性能(カモフラージュ性能)を有する繊維用の赤外吸収剤、半導体レーザーを使う光記録媒体、液晶表示装置、光学文字読取機等における書き込みあるいは読み取りの為の近赤外線吸収色素、近赤外光増感剤、感熱転写・感熱孔版等の光熱交換剤、近赤外線吸収フィルター、眼精疲労防止剤あるいは光導電材料等、さらに組織透過性の良い長波長域の光に吸収を持つ腫瘍治療用感光性色素、カラーブラウン管選択吸収フィルター、カラートナー、インクジェット用インク、改ざん偽造防止用インク、改ざん偽造防止用バーコード用インク、近赤外吸収インク、写真やフィルムの位置決め用マーキング剤、およびゴーグルのレンズや遮蔽板、プラスチックリサイクルの際の仕分け用の染色剤、ならびにPETボトルの成形加工時のプレヒーティング助剤などに用いる際に優れた効果を発揮するものである。
【0003】
【従来の技術】
近年、近赤外線を吸収する熱線遮蔽材の各種用途が提案され、より性能のよいものが強く要望されている。主要な用途としては、次の(1)〜(3)のものが挙げられる。
【0004】
(1) メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの材料が、建物あるい自動車などの乗り物の窓、天井窓、扉あるいは天井ドーム等のいわゆるグレージング用途に用いられてきており、可視光を十分に取り入れながら、室内の温度の上昇を抑制できるものが望まれている。
【0005】
(2) 植物の栽培において、温室、ビニルハウスが農作物の収穫内容の改善あるいは収穫時期を変える目的等のために盛んに用いられており、植物の生育に必要な可視光線の透過を実質的に阻止することなく効果的な熱線遮蔽フィルムが望まれている。
【0006】
(3) 磁気テープなどの電気製品の駆動あるいは停止に近赤外線を用いている場合が多くあるが、外部の近赤外線との遮蔽を必要としており、それらの用途への利用が要請されている。
【0007】
また、プラズマディスプレーからでる近赤外線光が、コードレスホン、近赤外線リモコンを使うビデオデッキ等の周辺にある電子機器に作用し、誤動作を起こす問題が生じている。そのため、近赤外線吸収効果を奏するプラズマディスプレー用フィルターが望まれている反面、近赤外線吸収剤となり得るようなフタロシアニン化合物を含有させたプラズマディスプレー用フィルターを用いて、こうした課題に対処する方法に関しては、今だ提案されていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、フタロシアニン化合物の各利用分野における用途に対する従来技術の有する前記事情に鑑みて成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、こうしたフタロシアニン化合物の各利用分野(用途)における技術課題を解決すべくなされたものであって、特に可視光線透過率が高く、近赤外線光のカット効率が高く、かつ近赤外域の選択吸収能に優れ、かつ溶媒溶解性に優れ、樹脂との相溶性に優れ、かつ耐熱性、耐光性、耐候性にも優れたフタロシアニン化合物およびその製造方法ならびにこれを用いてなる近赤外吸収色素ならびにこれらを含む熱線遮蔽材、プラズマディスプレー用フィルターおよび近赤外吸収材を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の通り、フタロシアニン化合物の各利用分野における用途に対する従来技術の有する技術課題を解決すべく鋭意検討した結果、可視光線透過率が高く、近赤外線光のカット効率が高く、かつ近赤外域の選択吸収能に優れ、かつ溶媒溶解性に優れ、樹脂との相溶性に優れ、かつ耐熱性、耐光性、耐候性にも優れた、近赤外吸収色素、熱線遮蔽材、プラズマディスプレー用フィルターおよび近赤外吸収材等の様々な用途に適した新規なフタロシアニン化合物を見出した。この知見に基づいて、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜(12)によって達成される。
【0012】
(1) 下記式(1):
【0013】
【化8】
Figure 0003721298
【0014】
(式中、Z、Z、Z、Z、Z10、Z11、Z14、Z15のすべての置換基がSRまたはORを表わし、Z、Z、Z、Z、Z、Z12、Z13、Z16は独立してNHR 、Oまたはフッ素原子を表わし、かつ3または4個はNHRを表わし、4個はORを表わし、かつ1または0個はフッ素原子を表わし、また複数の 及びR は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、複数のR は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニルアルキル基を表わし、この際、置換基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基またはシアノ基であり、Mは無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)で示されるフタロシアニン化合物。
【0015】
(2) 下記群(ただし、以下に例示するフタロシアニン化合物は、無金属以外の適当な金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物である場合を含み;3,6位は、フタロシアニン核のα位(Z 、Z 、Z 、Z 、Z 、Z 12 、Z 13 、Z 16 の置換位置)に置換したものであり;4,5位はフタロシアニン核のβ位(Z 、Z 、Z 、Z 、Z 10 、Z 11 、Z 14 、Z 15 の置換位置)に置換したものであり、Pcはフタロシアニン核を表わし、Pcのすぐ後にβ位に置換する8個の置換基を表わし、そのβ位に置換する置換基の後にα位に置換する8個の置換基を表わす)より選択される、前記(1)に記載のフタロシアニン化合物:
【0016】
4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{PhCHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}{PhCHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(フェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(PhS){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(フェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(PhS){2,6−(CHPhO}(PhCHH)
【0017】
(3) 下記群(ただし、以下に例示するフタロシアニン化合物は、無金属以外の適当な金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物である場合を含み;3,6位は、フタロシアニン核のα位(Z 、Z 、Z 、Z 、Z 、Z 12 、Z 13 、Z 16 の置換位置)に置換したものであり;4,5位はフタロシアニン核のβ位(Z 、Z 、Z 、Z 、Z 10 、Z 11 、Z 14 、Z 15 の置換位置)に置換したものであり、Pcはフタロシアニン核を表わし、Pcのすぐ後にβ位に置換する8個の置換基を表わし、そのβ位に置換する置換基の後にα位に置換する8個の置換基を表わす)より選択される、前記(2)に記載のに記載のフタロシアニン化合物:
【0018】
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−Cl PhO) {2,6−(Br) −4−(CH )PhO} {Ph(CH )CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−Cl PhO) {2,6−(Br) −4−(CH )PhO} {PhCH NH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−Cl PhO) {2,6−(CH PhO} {Ph(CH )CHNH}
・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,6−Cl PhO) {2,6−(CH PhO} {Ph(CH )CHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO) {2,6−(Br) −4−(CH )PhO} {Ph(CH )CHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO) {2,6−(CH PhO} {Ph(CH )CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−Cl PhO) {2,6−(CH PhO} (PhCH NH)
・4,5−オクタキス(フェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(PhS) {2,6−(CH PhO} (PhCH NH)
【0032】
) 透過スペクトルの測定において、750〜1050nmの透過率の最低値が5〜6%になるように該フタロシアニン化合物の濃度を調整した溶液中において、可視光透過率が65%以上である前記(1)〜()のいずれかに記載のフタロシアニン化合物を用いてなる近赤外吸収色素。
【0033】
) 前記(1)〜()のいずれかに記載のフタロシアニン化合物ならびに前記()に記載の近赤外吸収色素からなる群より選ばれる少なくとも一種ならびに樹脂からなり、かつ該フタロシアニン化合物および/または近赤外吸収色素の配合量は該樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部である、熱線遮蔽材。
【0034】
) 該樹脂は透明樹脂である、前記()に記載の熱線遮蔽材。
【0035】
) 該透明樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂および塩化ビニル樹脂よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種のものである、前記()に記載の熱線遮蔽材。
【0036】
) 前記(1)〜()のいずれかに記載のフタロシアニン化合物ならびに前記()に記載の近赤外吸収色素からなる群より選ばれる少なくとも一種ならびに樹脂からなり、かつ該フタロシアニン化合物および/または近赤外吸収色素の配合量は該樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部である、プラズマディスプレー用フィルター。
【0037】
) 前記(1)〜()のいずれかに記載のフタロシアニン化合物ならびに前記()に記載の近赤外吸収色素からなる群より選ばれる少なくとも一種ならびに樹脂からなり、かつ該フタロシアニン化合物および/または近赤外吸収色素の配合量は該樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部である、800〜1000nmの近赤外線を吸収する近赤外吸収材。
【0038】
【発明の実施の形態】
第一の態様によると、本発明のフタロシアニン化合物は、式(1):
【0039】
【化15】
Figure 0003721298
【0040】
で示されるものであり、式中、Z 、Z 、Z 、Z 、Z 10 、Z 11 、Z 14 、Z 15 のすべての置換基がSR またはOR を表わし、Z 、Z 、Z 、Z 、Z 、Z 12 、Z 13 、Z 16 は独立してNHR 、OR またはフッ素原子を表わし、かつ3または4個はNHR を表わし、4個はOR を表わし、かつ1または0個はフッ素原子を表わし、また複数のR 及びR は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、複数のR は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニルアルキル基を表わし、この際、置換基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基またはシアノ基であり、Mは無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。以下、これらにつき詳述する。
【0041】
上記式(1)において、Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わすものである。ここで、無金属とは、金属以外の原子、例えば、2個の水素原子であることを意味する。また、金属としては、鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、錫等が挙げられる。金属酸化物としては、チタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫(II)、塩化錫(IV)、塩化珪素等が挙げられる。好ましくは、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物であり、具体的には、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、バナジル、チタニル、塩化インジウム、塩化錫(II)であり、より好ましくは銅、バナジル及び亜鉛である。
【0042】
上記式(1)において、Z、Z、Z、Z、Z10、Z11、Z14、Z15(フタロシアニン核の8箇所のβ位に置換する置換基ともいう)のすべての置換基がSR またはOR を表わすものである。このような置換により、吸収波長の長波長化や、製造段階で先にSR、ORで置換した後にアミノ化合物で置換する際の置換位置の制御および樹脂との相溶性向上に優れた効果が奏される。
【0043】
上記式(1)において、Z、Z、Z、Z、Z、Z12、Z13、Z16(フタロシアニン核の8箇所のα位に置換する置換基ともいう)は、NHR 、OR またはフッ素原子を表わし、かつ3または4個はNHR を表わし、4個はOR を表わし、かつ1または0個はフッ素原子を表わす。このような置換により、吸収波長の長波長化や、樹脂との相溶性の向上に顕著な効果が奏されるので望ましい。
【0044】
また、フタロシアニン核の8箇所のα位に置換する置換基のうち、3個をNHR とし、4個をOR とし、かつ残り1個をフッ素原子とすることによって、吸収波長の制御(長波長化)を行い得るという作用効果があるほか、簡便に合成することができ安価に製造ができ、水素原子や他のハロゲン原子に比して樹脂との相溶性向上に優れ、耐光性、耐熱性も向上するという作用効果もある。
【0045】
また、SR 及びOR で表される置換基におけるR 及びR は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。また、NHR で表される置換基におけるR は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニルアルキル基を表わす。なお、本発明において、式(1)中のRが複数個存在する際には、Rは同一であってもあるいは相互に異なるものであってもよく、式(1)中のR及びRが複数個存在する場合にも同様である。
【0046】
ここで、フェニルアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
なお、上記フェニル基またはフェニルアルキル基に場合によっては存在する置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基またはシアノ基が例示される。これらの置換基は、フェニル基またはフェニルアルキル基に1〜5個置換可能であり、これらの置換基の種類も、複数個置換する場合には同種若しくは異種のいずれであっても良い。上記置換基よりその一部をより具体的な例を挙げて以下に示す。
【0048】
まず、上記フェニル基またはフェニルアルキル基に場合によっては存在する置換基のうちハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子、好ましくは塩素原子である。
【0050】
また、上記フェニル基またはフェニルアルキル基に場合によっては存在する置換基のうちアルキル基とは、炭素原子数1〜8個の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、メチル基及びエチル基が好ましい。
【0058】
上記式(1)のフタロシアニン化合物のうちMが無金属とするものを具体的に挙げると、下記のものが挙げられる。なお、本発明のフタロシアニン化合物はこれに限定されるものではなく、以下に例示するフタロシアニン化合物が無金属以外の適当な金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物である場合も含まれることは言うまでもない。また、下記の化合物において、3,6位は、フタロシアニン核のα位(Z、Z、Z、Z、Z、Z12、Z13、Z16の置換位置)に置換したものであり、4,5位はフタロシアニン核のβ位(Z、Z、Z、Z、Z10、Z11、Z14、Z15の置換位置)に置換したものである。下記の化合物の略称において、Pcはフタロシアニン核を表わし、Pcのすぐ後にβ位に置換する8個の置換基を表わし、そのβ位に置換する置換基の後にα位に置換する8個の置換基を表わす。
4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{PhCHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}{PhCHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(フェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(PhS){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
・4,5−オクタキス(フェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(PhS){2,6−(CHPhO}(PhCHH)
本発明のフタロシアニン化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適当に利用することができるが、好ましくは溶融状態または有機溶媒中で、フタロニトリル化合物と金属塩とを環化反応した後、環化された反応産物をさらにアミノ化合物と反応させる方法が特に好ましく使用できる。
【0059】
したがって、第二の態様によると、本発明は、下記式(2):
【0060】
【化16】
Figure 0003721298
【0061】
で示されるフタロニトリル化合物(1)、下記式(3):
【0062】
【化17】
Figure 0003721298
【0063】
で示されるフタロニトリル化合物(2)、下記式(4):
【0064】
【化18】
Figure 0003721298
【0065】
で示されるフタロニトリル化合物(3)、および下記式(5):
【0066】
【化19】
Figure 0003721298
【0067】
[式(2)〜(5)中、式中、Z、Z、Z、Z、Z10、Z11、Z14、Z15 のすべての置換基がSR またはOR を表わし、Z、Z、Z、Z、Z、Z12、Z13、Z16 のうち4個はフッ素原子を表わしかつ4個はOR を表わし、また複数のR及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。]
で示されるフタロニトリル化合物(4)を、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属からなる群から選ばれる一種と環化反応させた後、該反応生成物をさらに式(6):NH(ただし、 は、置換基を有していてもよいフェニルアルキル基を表わす)で示されるアミノ化合物と反応させることからなる本発明のフタロシアニン化合物の製造方法を提供するものである。
【0068】
上記態様において、式(2)〜(5)および式(6)におけるZ2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14、Z15、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13、Z16、R1、R2及びR3は、上記式(1)における定義と同様である。
【0069】
上記態様において、フタロニトリル化合物(1)〜(4)を、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属からなる群から選ばれる一種と環化反応させることによって、α位にNH23を持たない、すなわち、下記式(1):
【0070】
【化20】
Figure 0003721298
【0071】
(式中、Z、Z、Z、Z、Z10、Z11、Z14、Z15 のすべての置換基がSR またはOR を表わし、Z、Z、Z、Z、Z、Z12、Z13、Z16 のうち4個はフッ素原子を表わしかつ4個はOR を表わし、た複数のR及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、Mは無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)で示されるフタロシアニン誘導体(本明細書中では、単に「フタロシアニン誘導体」と称する)が合成される。次に、このようにして合成されたフタロシアニン誘導体をさらに式(6)のアミノ化合物と反応させることによって、本発明のフタロシアニン化合物が製造される。
【0072】
本発明の第二の態様の方法は、式(6)のアミノ基との求核置換反応性がハロゲン原子及びSRの順で高く、ORはほとんど求核置換反応性を示さないことを利用したものであり、すなわち、本発明の方法によると、α位のフッ素原子が式(6)のアミノ化合物と求核置換反応することによりNHR基が形成される。このため、第二の態様では、フタロシアニン骨格のα位の所望の位置に効率良くNHR基が導入でき、さらに置換基の挿入位置を正確に制御することを目的として、β位の置換基、即ち、Z、Z、Z、Z、Z10、Z11、Z14、Z15 のすべての置換基がSR またはOR を表わし、α位の置換基、即ち、Z、Z、Z、Z、Z、Z12、Z13、Z16 のうち4個はフッ素原子を表わしかつ4個はOR を表わすことが好ましい。
【0073】
上記態様において、出発原料である式(2)〜(5)のフタロニトリル化合物は、特開昭64−45474号公報に開示されている方法などの、従来既知の方法により合成でき、また、市販品を用いることもできるが、好ましくは、下記式(6):
【0074】
【化21】
Figure 0003721298
【0075】
(式中、X1、X2、X3およびX4は独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子及び塩素原子、特に好ましくはフッ素原子を表わす)で示されるフタロニトリル誘導体を、HSR1および/またはHOR2と反応させることによって得られる。この際、HSR1およびHOR2の割合は、目的とするフタロニトリル化合物の構造によって適宜選択されるものである。また、HSR1および/またはHOR2の合計使用量は、これらの反応が進行して所望のフタロニトリル化合物を製造できる量であれば特に制限されないが、フタロニトリル誘導体1モルに対して、通常、1.0〜6.0モル、好ましくは1.1〜2.5モルである。
【0076】
また、上記好ましい実施態様において、フタロニトリル誘導体とHSR1および/またはHOR2との反応は、無溶媒下であるいは有機溶媒中で行われてもよいが、好ましくは有機溶媒中で行なわれる。この際使用できる有機溶媒としては、アセトニトリル及びベンゾニトリル等のニトリル;アセトン及び2−ブタノン等の極性溶媒などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、アセトニトリル、ベンゾニトリル及びアセトンである。溶媒を使用する際の有機溶媒の使用量は、フタロニトリル誘導体の濃度が、通常、2〜40(w/v)%、好ましくは10〜30(w/v)%となるような量である。また、このフタロニトリル誘導体とHSR1および/またはHOR2との反応は、反応中に発生するハロゲン化水素(例えば、フッ化水素)等を除去するために、これらのトラップ剤を使用することが好ましい。トラップ剤を使用する際の具体的なトラップ剤の例としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム及び炭酸マグネシウムなどが挙げられ、これらのうち、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムが好ましい。また、トラップ剤を使用する際のトラップ剤の使用量は、反応中に発生するハロゲン化水素等を効率良く除去できる量であれば特に制限されないが、フタロニトリル誘導体1モルに対して、通常1.0〜4.0モル、好ましくは1.1〜2.0モルである。
【0077】
上記態様において、環化反応は、式(2)〜(5)のフタロニトリル化合物と金属、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属からなる群から選ばれる一種を溶融状態または有機溶媒中で反応させることが好ましい。この際使用できる金属、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属(以下、一括して「金属化合物」ともいう)としては、反応後に得られる式(1)のフタロシアニン化合物のMに相当するものが得られるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、上記式(1)におけるMの項で列挙された鉄、銅、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム及びスズ等の金属、当該金属の、塩化物、臭化物、ヨウ化物等の金属ハロゲン化合物、酸化バナジウム、酸化チタニル及酸化銅等の金属酸化物、酢酸塩等の有機酸金属、ならびにアセチルアセトナート等の錯体化合物及びカルボニル鉄等の金属カルボニル等が挙げられる。これらのうち、好ましくは金属、金属酸化物及び金属ハロゲン化物である。
【0078】
また、上記態様において、環化反応は、無溶媒中でも行なえるが、有機溶媒を使用して行なうのが好ましい。有機溶媒は、出発原料としてのフタロニトリル化合物との反応性の低い、好ましくは反応性を示さない不活性な溶媒であればいずれでもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、エチレングリコール、及びベンゾニトリル等の不活性溶媒;ならびにピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトフェノン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン及びベンゾニトリルが、より好ましくは、ベンゾニトリルが使用される。
【0079】
上記態様における式(2)〜(5)のフタロニトリル化合物と金属化合物との反応条件は、当該反応が進行する条件であれば特に制限されるものではないが、例えば、有機溶媒100部(以下、「質量部」を意味する)に対して、上記フタロニトリル化合物(1)〜(4)を2〜40部、好ましくは20〜35部の範囲の合計量で、かつ金属化合物を該フタロニトリル化合物4モルに対して1〜2モル、好ましくは1.1〜1.5モルの範囲で仕込んで、反応温度30〜250℃、好ましくは80〜200℃の範囲で反応させる。なお、反応後は、従来公知のフタロシアニン化合物の合成方法に従って、ろ過、洗浄、乾燥することにより、次工程に用いることのできるフタロシアニン誘導体を効率よく、しかも高純度で得ることができる。
【0080】
次に、上記態様において、フタロシアニン誘導体と式(6)のアミノ化合物との反応は、必要であれば、反応に用いる化合物と反応性のない不活性な液体の存在下で混合し、一定の温度に加熱することにより行うことができるが、好ましくは、反応させるアミノ化合物中で、一定の温度に加熱することにより行う。不活性な液体としては、例えば、ベンゾニトリル、アセトニトリル等のニトリルやN−メチルピロリドンまたはジメチルホルムアミドなどのようなアミドを単独であるいは2種以上の混合液の形態で用いることができる。
【0081】
上記反応では、目的とする本発明の式(1)のフタロシアニン化合物のZ1〜Z16の置換位置に所望の置換基を設計通りに導入することができるように、適宜最適な範囲を選択すればよいが、例えば、以下の条件が使用できる。すなわち、式(6)のアミノ化合物(NH23)を、フタロニトリル化合物と金属化合物との環化反応により得られるフタロシアニン誘導体1モルに対して、通常、等モル以上、好ましくは8〜36モルの範囲で仕込む。次に、この反応産物に、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等の無機分を、発生してくるハロゲン化水素をトラップする目的で、フタロシアニン誘導体1モルに対して、1〜16モル、好ましくは3〜8モルの範囲でトラップ剤を仕込む。この際使用できるトラップ剤は、上記環化反応におけるものと同様である。また、アルキルアミノ化合物を反応させる場合の反応温度は、20〜200℃、好ましくは30〜150℃であり、アリールアミノ化合物を反応させる場合の反応温度は、80〜250℃、好ましくは100〜200℃の範囲である。なお、反応後は、従来公知のフタロシアニン化合物の置換反応による合成方法に従って、無機分をろ過し、アミノ化合物を留去(洗浄)することにより、目的とする本発明のフタロシアニン化合物を複雑な製造工程を経ることなく効率よく、しかも高純度で得ることができる。
【0082】
さらに、第三の態様によると、本発明に係る近赤外吸収色素は、透過スペクトルの測定において、750〜1050nmの透過率の最低値が5〜6%になるように、本発明の式(1)のフタロシアニン化合物の濃度を調整した溶液中において、可視光透過率が65%以上である上記式(1)のフタロシアニン化合物を用いてなるものである。
【0083】
すなわち、本発明の近赤外吸収色素は、可視光線透過率が高く近赤外吸収能に優れ近赤外線光のカット効率の高いものである。さらに、樹脂との相溶性に優れ、かつ耐熱性、耐光性、耐候性等の特性に優れたものであるため、各種用途として、例えば、熱線遮蔽材やプラズマディスプレー用フィルターに有用に使用することができるほか、フラッシュ定着などの非接触定着トナー用あるいは保温蓄熱繊維用の近赤外線吸収剤等としても極めて有用である。
【0084】
本発明の近赤外吸収色素において使用することのできるフタロシアニン化合物は、上記式(1)で表されるフタロシアニン化合物のうち、透過スペクトルの測定において、750〜1050nmの透過率の最低値が5〜6%になるように該フタロシアニン化合物の濃度を調整した溶液中において、可視光透過率が65%以上、好ましくは70%以上のものである。本発明の近赤外吸収色素の好ましいものとしては、式(1)で表されるフタロシアニン化合物として、上記に具体的に例示したものなどが挙げられる。
【0085】
本発明の近赤外吸収色素では、透過スペクトルの測定において、750〜1050nmの透過率の最低値および可視光透過率を規定するための溶剤としては、例えば、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトンなどを使用できるが、これらに限定されるものではない。他の溶剤を用いた場合にも、上記溶剤とはその範囲を多少異にする750〜1,050nmの透過率の最低値および可視光透過率がそれぞれの溶剤に対して与えられるが、これらと本発明とが本質的に相違するものでないことは言うまでもない。また、本発明の近赤外吸収色素では、溶液状態での750〜1,050nmの透過率の最低値と可視光透過率をその要件としたのは、フタロシアニン化合物の状態(例えば、結晶状態や溶液状態など)により吸収スペクトルが異なり、結果的に750〜1,050nmの透過率の最低値および可視光透過率も幾分相違することがあるため、熱線遮蔽材、プラズマディスプレー用フィルター、非接触定着トナーまたは保温蓄熱繊維への当該近赤外吸収色素の使用状態、すなわち樹脂分散した相溶状態を勘案して、使用状態での透過率の最低値および可視光透過率に一致(近似)したものが与えられる溶液状態を上記要件としたものである。
【0086】
第四の態様によると、本発明の熱線遮蔽材は、本発明の第一の態様によるフタロシアニン化合物、本発明の第二の態様の方法によって製造されるフタロシアニン化合物及び本発明の第三の態様による近赤外吸収色素からなる群より選ばれる少なくとも一種および樹脂からなり、かつ該フタロシアニン化合物および/または近赤外吸収色素の配合量は該樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部、好ましくは0.0010〜10質量部である。
【0087】
本発明の熱線遮蔽材において使用することのできるフタロシアニン化合物は、上記式(1)で表されるフタロシアニン化合物であればいずれのもでもよいが、好ましくは中心金属がバナジル、銅及び亜鉛のフタロシアニン化合物であり、具体的には、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3F、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(PhS)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、VOPc(4−CNPhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}4及びZnPc(2,6−Cl2PhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fの略称で表されるフタロシアニン化合物などである。これらは、特に近赤外域の光を選択的に吸収し、可視域の透過率を比較的高くしたまま太陽光からの熱の遮断を効果的に行う作用効果を熱線遮蔽材に与えることができるものである。これは、上記フタロシアニン化合物が、近赤外域の選択吸収能に優れ、樹脂との相溶性に優れ、かつ耐熱性、耐光性、耐光性に優れた特性を有し、その特性を損なうことなく熱線遮蔽材として優れた作用効果を奏することができることによるものである。さらに上記フタロシアニン化合物は、熱線遮蔽材を構成する安価な有機材料として提供可能であり、種々の熱線遮蔽用途に幅広く用いることのできるものである。また、該フタロシアニン化合物は、耐熱性に優れることにより、凡用の熱可塑性樹脂を用いて、射出成形、押出成形等の生産性に優れた成形方法により作成することのできる、とした多くの優れた特性を発揮することができるものである。
【0088】
本発明の熱線遮蔽材において使用することのできる樹脂は、得られる熱線遮蔽材の使用用途によって適宜選択することができるが、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない樹脂が好ましい。その具体的なものとしては、ポリカーボネート樹脂;メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン等のポリビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリブチラール樹脂;ポリ酢酸ビニル等の酢酸ビニル系樹脂;ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。また、実質的に透明であれば、上記1種類の樹脂に限らず、2種以上の樹脂をブレンドしたものも用いることができ、透明性のガラスに上記の樹脂をはさみこんで用いることもできる。これらの樹脂のうち、耐候性、透明性に優れるポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂あるいはポリ塩化ビニルが好ましく、特にポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂あるいはポリ塩化ビニルがより好ましい。
【0089】
ポリカーボネート樹脂は、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法で反応させて製造されるものである。2価フェノールの代表的な例として以下のものが挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどが挙げられる。好ましい2価のフェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系であり、特にビスフェノールを主成分とするものである。
【0090】
アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを50%以上含む重合性不飽和単量体混合物またはその共重合物が挙げられる。メタクリル酸メチルと共重合可能な重合性不飽和単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロキシフルフリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0091】
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単量体のみの重合体ばかりでなく、塩化ビニルを主成分とする共重合体も使用できる。塩化ビニルと共重合させることのできる単量体としては、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
【0092】
本発明の熱線遮蔽材にあっては、通常の透明性樹脂材料を製造する際に用いられる各種の添加剤を含有していても良い。該添加剤としては、例えば、着色剤、重合調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、耐衝撃性向上のためのゴム、あるいは剥離剤等を挙げることができる。前記フタロシアニン化合物を透明性樹脂に混合含有させ成形する方法としては、押出成形、射出成形、注型重合、プレス成形、カレンダー成形あるいは注型製膜法が挙げられる。
【0093】
さらに、本発明のフタロシアニン化合物を含有するフィルムを作製し、そのフィルムを透明樹脂材に熱プレスあるいは熱ラミネート成形することにより熱線遮蔽材を作成することもできる。また、本発明のフタロシアニン化合物を含有するアクリル樹脂インクまたは塗料等を透明樹脂材に印刷またはコーティングすることにより熱線遮蔽材を得ることもできる。
【0094】
本発明の熱線遮蔽材に用いられる上記フタロシアニン化合物は、市販の赤外線吸収剤と比較して、耐熱性に優れているので、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、PET樹脂を使用して射出成形、押出成形のような樹脂温度が200〜350℃という高温まで上昇する成形方法でも成形することが可能であり、透明感が良好で熱線遮蔽性能に優れた成形品を得ることができる。200℃未満の成形温度で使用しても問題はない。
【0095】
また、本発明において、熱線遮蔽材の形状にも格別の制約はなく、最も一般的な平板状やフィルム状のほか波板状、球面状、ドーム状など、様々な形状のものが含有される。本発明の熱線遮蔽材に用いられる上記フタロシアニン化合物は、目的とする熱線遮蔽材の可視および近赤外域の透過率の設定および該熱線遮蔽材の厚みによってその配合量を変えることができるが、通常、透明性樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部、好ましくは0.0010〜10質量部である。
【0096】
さらに、上記フタロシアニン化合物の配合量の最適範囲は、熱線遮蔽材の形状によって異なり、例えば、厚さ3mmの熱線遮蔽板を作成する場合には、樹脂100質量部に対して、通常、0.002〜0.06質量部の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.003〜0.02質量部である。また、例えば、厚さ10mmの熱線遮蔽板を作成する場合には、樹脂100質量部に対して、0.0005〜0.02質量部の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.005質量部である。厚さ10μmの熱線遮蔽フィルムを作成する場合には、樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。熱線遮蔽材の厚さに関係なくフタロシアニン化合物の配合量を表示するとすれば、上方からの投影面積中の質量と考えて、0.01〜2.0g/m2の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.0g/m2である。この際、フタロシアニン化合物の配合量が、0.01g/m2未満の場合には、熱線遮蔽効果の少ないものとなり、2.0g/m2を超える場合は、著しく高価となり、また、可視光線の透過が少なくなりすぎる場合がある。波板等の異形のものは上方からの投影面積中の質量と考えればよい。また、外観上問題がない限りフタロシアニン化合物の濃度の分布にむらがあってもかまわない。また、フタロシアニン化合物は、1種類以上のものを混合して使用することも可能であり、吸収波長の異なるものを2種以上使用した場合には、熱線遮蔽効果が向上することがある。
【0097】
また、フタロシアニン化合物とカーボンブラック等の熱線を吸収できる材料を特定量使用することにより、フタロシアニン化合物を単独で使用した場合と比較して、熱線遮蔽効果は同等でフタロシアニン化合物の使用量を半分以下に減少させることもできる。
【0098】
第五の態様によると、本発明のプラズマディスプレー用フィルターは、第一の態様によるフタロシアニン化合物、本発明の第二の態様の方法によって製造されるフタロシアニン化合物及び本発明の第三の態様による近赤外吸収色素からなる群より選ばれる少なくとも一種および樹脂からなり、かつ該フタロシアニン化合物および/または近赤外吸収色素の配合量は該樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部、好ましくは0.0010〜10質量部である。
【0099】
本発明のプラズマディスプレー用フィルターにおいて使用することのできるフタロシアニン化合物は、上記式(1)で表されるフタロシアニン化合物であればいずれのもでもよいが、好ましくは中心金属がバナジル、銅及び亜鉛のフタロシアニン化合物であり、具体的には、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3F、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(PhS)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、VOPc(4−CNPhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}4及びZnPc(2,6−Cl2PhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fの略称で表されるフタロシアニン化合物などである。これらは、特に可視光透過率が高く、かつ、750〜1050nmの吸収が大きく、さらに溶解性、耐熱性、耐光性も高く多くの優れた特性を発揮することができるものである。
【0100】
本発明のプラズマディスプレー用フィルターは、上記式(1)で表されるフタロシアニン化合物を基材に含有してなるもので、本発明でいう基材に含有するとは、基材の内部に含有されることはもちろんのこと、基材の表面に塗布した状態、基材と基材の間に挟まれた状態などを意味する。基材としては、透明樹脂板、透明フィルム、透明ガラス等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物を用いて、本発明のプラズマディスプレー用フィルターを作製する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の3つの方法が利用できる。
【0101】
すなわち、(1)樹脂に上記フタロシアニン化合物を混練し、加熱成形して樹脂板あるいはフィルムを作製する方法;(2)上記フタロシアニン化合物を含有する塗料(液状ないしペースト状物)を作製し、透明樹脂板、透明フィルムあるいは透明ガラス板上にコーティングする方法;および(3)上記フタロシアニン化合物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス等を作製する方法、等である。
【0102】
まず、樹脂に上記フタロシアニン化合物を混練し、加熱成形する(1)の方法において、樹脂材料としては、樹脂板または樹脂フィルムにした場合にできるだけ透明性の高いものが好ましく、具体例としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物、およびそれらのビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体などのビニル化合物またはフッ化系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることができるが、これらの樹脂に限定されるものではなく、ガラス代替となるような高硬度、高透明性を有する樹脂、チオウレタン系等の熱硬化樹脂、ARTON(日本合成ゴム株式会社製)、ZEONEX(日本ゼオン株式会社製)、OPTPOREZ(日立化成株式会社製)、O−PET(鐘紡株式会社製)等の光学用樹脂を用いることも好ましい。
【0103】
本発明のプラズマディスプレー用フィルターの作製方法としては、用いるベース樹脂によって、加工温度、フィルム化条件等が多少異なるが、通常、▲1▼本発明のフタロシアニン化合物を、ベース樹脂の粉体あるいはペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形して樹脂板を作製する方法、▲2▼押出機によりフィルム化する方法、および▲3▼押出機により原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に、1軸ないし2軸に延伸して10〜200μm厚のフィルムにする方法等が挙げられる。なお、混練する際に、紫外線吸収剤、可塑剤等の通常の樹脂成形に用いる添加剤を加えてもよい。本発明のフタロシアニン化合物の添加量は、作製する樹脂の厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、通常、0.0005〜20%である。また、本発明のフタロシアニン化合物とメタクリル酸メチルなどの塊状重合によるキャスティング法を用いた樹脂板、樹脂フィルムを作製することもできる。
【0104】
次に、塗料化してコーティングする(2)の方法としては、本発明のフタロシアニン化合物をバインダー樹脂および有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法、フタロシアニン化合物を数μm以下に微粒化してアクリルエマルジョン中に分散して水系塗料とする方法、等がある。前者の方法では、通常、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂、(PVB、EVA等)あるいはそれらの共重合樹脂をバインダー樹脂として用いる。さらに、ARTON(日本合成ゴム株式会社製)、ZEONEX(日本ゼオン株式会社製)、OPTPOREZ(日立化成株式会社製)、O−PET(鐘紡株式会社製)等の光学用樹脂を用いることもできる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合物系などを用いることができる。
【0105】
本発明のフタロシアニン化合物の濃度は、コーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の質量に対して、通常、0.1〜30%である。また、バインダー樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜50%である。アクリルエマルション系水系塗料の場合も同様に、未着色のアクリルエマルション塗料に本発明のフタロシアニン化合物を微粉砕950〜500nm)したものを分散させて得られる。塗料中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の通常塗料に用いるような添加物を加えても良い。上記の方法で作製した塗料は、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明ガラス等の上にバーコーダー、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーターあるいはスプレーなどでコーティングして、本発明のプラズマディスプレー用フィルターを作製することができる。コーティング面を保護するために保護層を設けたり、透明樹脂板、透明樹脂フィルム等をコーティング面に貼り合わせることもできる。また、キャストフィルムも本方法に含まれる。
【0106】
さらに、上記フタロシアニン化合物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス等を作製する(3)の方法においては、接着剤として、一般的なシリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用あるいは合わせガラス用のポリビニルブチラール接着剤(PVA)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等の合わせガラス用の公知の透明接着剤が使用できる。本発明のフタロシアニン化合物を0.1〜30質量%添加した接着剤を用いて透明な樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、ガラス同士を接着してフィルターを製作する。また、熱圧着する方法もある。さらに、上記の方法で作製したフィルムあるいは板を、必要に応じて、ガラスや、樹脂板上に貼り付けることもできる。フィルターの厚みは作製するプラズマディスプレーの仕様によって異なるが、通常、0.1〜10mm程度である。また、フィルターの耐光性を上げるためにUV吸収剤を含有した透明フィルム(UVカットフィルム)を外側に貼り付けることもできる。
【0107】
本発明において、プラズマディスプレー用の誤動作防止フィルターとして、ディスプレーからでる近赤外線光をカットするためにディスプレーの前面に設置するため、可視光線の透過率が低いと、画像の鮮明さが低下するため、フィルターの可視光線の透過率は高いほど良く、少なくとも60%、好ましくは70%以上必要である。また、近赤外線光のカット領域は、リモコンや伝送系光通信に使用されている750〜1100nm、好ましくは800〜1000nmであり、その領域の平均光線透過率が15%以下、好ましくは10%以下になるように設計する。このために必要であれば、上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を2種以上組み合わせてもよい。また、フィルターの色調を変えるために、可視領域に吸収を持つ他の色素を加えることも好ましい。また、色調用色素のみを含有するフィルターを作製し、後で貼り合わせることもできる。特にスパッタリングなどの電磁波カット層を設けた場合、元のフィルター色に比べて色合いが大きく異なる場合があるため、色調は重要である。
【0108】
上記の方法で得たフィルターをさらに実用的にするためには、プラズマティスプレーから出る電磁波を遮断する電磁波カット層、反射防止(AR)層、ノングレア(AG)層を設けることもできる。それらの作製方法は、特に制限を受けない。例えば、電磁波カット層は、金属酸化物等のスパッタリング方法が利用できるが、通常はSnを添加したIn23(ITO)が、一般的であるが、誘電体層と金属層を基材上に交互にスパッタリングなどで積層させることで、近赤外線、遠赤外線から電磁波まで1100nm以上の光をカットすることもでききる。誘電体層としては、酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物であり、金属層としては、銀あるいは銀−パラジウム合金が一般的であり、通常、誘電体層よりはじまり3層、5層、7層あるいは11層程度積層する。この場合、ディスプレーより出る熱も同時にカットできるが、本発明のフタロシアニン化合物は、熱線遮蔽効果に優れるため、より耐熱効果を向上できる。基材としては、本発明のフタロシアニン化合物を含有するフィルターをそのまま利用しても良いし、樹脂フィルムあるいはガラス上にスパッタリングした後に該フタロシアニン化合物を含有するフィルターとはり合わせてもよい。また、電磁波カットを実際に行う場合は、アース用の電極を設置する必要がある。反射防止層は、表面の反射を抑えてフィルターの透過率を向上させるために、金属酸化物、フッ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。また、必要であれば、ノングレアー(AG)層を設けることもできる。ノングレアー(AG)層は、フィルターの視野角を広げる目的で、透過光を散乱させるために、シリカ、メラミン、アクリルなどの微粉体をインキ化して、表面にコーティングする方法等を用いることができる。インキの硬化は、熱硬化あるいは光硬化等を用いることができる。また、ノングレアー処理をしたフィルムを該フィルター上にはり付けることもできる。さらに必要であれば、ハードコート層を設けることもできる。
【0109】
プラズマティスプレー用のフィルターの構成は、必要に応じて代えることができる。通常、近赤外線吸収化合物を含有するフィルター上に反射防止層を設けたり、さらに必要であれば、反射防止層の反対側にノングレア層を設ける。また、電磁波カット層を組み合わせる場合は、近赤外線吸収化合物を含有するフィルターを基材として、その上に電磁波カット層を設けるか、あるいは近赤外線吸収化合物を含有するフィルターと電磁波カット能を有するフィルターを貼り合わせて作製できる。その場合、さらに、両面に反射防止層を作製するか、必要であれば、片面に反射防止層を作製し、その反対面にノングレア層を作製することもできる。また、色補正するために、可視領域に吸収を有する色素を加える場合は、その方法については制限を受けない。本発明のプラズマディスプレー用フィルターは、可視光線透過率が高いため、ディスプレーの鮮明度が損なわれず、ディスプレーから出る800〜1000nm付近の近赤外線光を効率よくカットするため、周辺電子機器のリモコン、伝送系光通信等が使用する波長に悪影響を与えず、それらの誤動作を防ぐことができる。
【0110】
第六の態様によると、本発明の近赤外吸収材は、本発明の第一の態様によるフタロシアニン化合物、本発明の第二の態様の方法によって製造されるフタロシアニン化合物及び本発明の第三の態様による近赤外吸収色素からなる群より選ばれる少なくとも一種および樹脂からなり、かつ該フタロシアニン化合物および/または近赤外吸収色素の配合量は該樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部、好ましくは0.0010〜10質量部であり、800〜1000nmの近赤外線を吸収するものである。
【0111】
本発明の近赤外吸収材において使用することのできるフタロシアニン化合物は、上記式(1)で表されるフタロシアニン化合物であればいずれのもでもよいが、好ましくは中心金属がバナジル、銅及び亜鉛のフタロシアニン化合物であり、具体的には、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3F、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(PhS)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、VOPc(4−CNPhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}4及びZnPc(2,6−Cl2PhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fの略称で表されるフタロシアニン化合物などである。
【0112】
本発明において使用する樹脂は、得られる近赤外線吸収材の用いる用途によって適宜選択することができるが、実質的に透明であって吸収・散乱が大きくない樹脂が好ましい。その具体的なものとしては、ポリカーボネート樹脂;メチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのポリビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリブチラール樹脂:ポリ酢酸ビニル樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などを挙げることができる。また、実質的に透明であれば、上記1種類の樹脂に限らず、2種以上の樹脂をブレンドしたものも用いることができ、透明性のガラスに上記の樹脂をはさみこんで用いることもできる。ただし、蓄熱・保温材として用いる場合には、必ずしも透明性の樹脂である必要がない。これらの樹脂のうちで、耐候性、透明性に優れるポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂あるいはポリ塩化ビニル樹脂が好ましく、特にポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいはポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。蓄熱保温繊維として使用する場合、ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいはポリアミド樹脂が好ましい。
【0113】
これらの樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂および塩化ビニル樹脂については、上記第四の態様における規定と同様である。
【0114】
本発明の実施にあたっては、使用する目的に応じ適宜好ましい添加剤を用いることができる。添加剤としては、例えば着色剤、重合調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、耐衝撃性向上のためのゴム、あるいは剥離剤などを挙げることができる。
【0115】
また、本発明のフタロシアニン化合物を用いるにあたり、従来公知の近赤外線吸収剤と組合わせて用いることもできる。
【0116】
さらに、本発明において、フタロシアニン化合物を透明性樹脂に混合含有させ成形する方法としては、特に制限されないが、押出成形、射出成形、注型重合、プレス成形、カレンダー成形あるいは注型製膜法等が挙げられる。
【0117】
さらに、フタロシアニン化合物を含有するフィルムを作製し、そのフィルムを透明樹脂板に熱プレスあるいは熱ラミネート成形することにより近赤外線吸収材を作製することも可能である。または、フタロシアニン化合物を含有する樹脂インクまたは塗料等を透明樹脂板、透明硝子板、フィルム、繊維、紙等の基材に印刷またはコーティングすることにより近赤外線吸収材を、シート、フィルム、繊維、紙状等として得ることもできる。
【0118】
本発明に使用するフタロシアニン化合物は市販の赤外線吸収剤と比較して、耐熱性に優れているので、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用して射出成形、押出成形のような樹脂温度が200〜350℃という高温まで上昇する成形方法でも成形することが可能であり、透明感が良好で近赤外線の吸収能あるいは熱線遮蔽性能に優れた成形品を得ることができる。また、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等と220〜350℃で紡糸して、蓄熱保温繊維を得ることができる。220℃より下の成形温度で使用しても問題はない。
【0119】
上記態様の近赤外線吸収材は、そのの形状にも格別の制限はなく、最も一般的な平板状やフィルム状のほか波板状、球面状、ドーム状等様々な形状のものが含有される。
【0120】
第六の態様において用いられるフタロシアニン化合物は、目的とする近赤外線吸収材のシートあるいはフィルムの可視および近赤外域の透過率の設定および該材の厚みによってその量を変えることができるが、樹脂100質量部に対して、通常、0.0005〜20質量部、好ましくは0.0010〜10質量部である。なお、この配合量は、近赤外線吸収材の形状によって異なり、例えば、厚さ3mmの近赤外線吸収板を作成する場合には、樹脂100質量部に対して、0.002〜0.06質量部の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.003〜0.02質量部である。また、例えば、厚さ10mmの近赤外線吸収板を作成する場合には、樹脂100質量部に対して、0.0005〜0.02質量部の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.005質量部である。厚さ10μmの近赤外吸収フィルムを作製する場合には、樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。近赤外線吸収材の厚さに関係なくフタロシアニン化合物の配合量を表示するとすれば、上方からの投影面積中の質量と考えて、0.01〜2.0g/m2の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.0g/m2である。この際、フタロシアニン化合物の配合量が0.01g/m2より少ない場合には近赤外線吸収効果の少ないものとなり、2.0g/m2を超える場合は著しく高価となり、また、可視光線の透過が少なくなり過ぎる場合がある。
【0121】
本発明の近赤外線吸収材が波板等の異形である際には、フタロシアニンの配合量は上方からの投影面積中の質量と考えればよい。また、外観上問題がない限りフタロシアニン化合物の濃度の分布にむらがあってもかまわない。また、フタロシアニン化合物は1種類以上のものを混合して使用することも可能であり、吸収波長の異なるものを2種以上使用した場合には近赤外線吸収効果が向上することがある。
【0122】
また、フタロシアニン化合物とカーボンブラックを特定量使用することにより、フタロシアニン化合物を単独で使用した場合と比較して、近赤外線吸収効果は同等でフタロシアニン化合物の使用量を半分以下に減少させることができる。また、フタロシアニン化合物と染料を併用した場合と比較して近赤外線吸収効果が向上する。
【0123】
【実施例】
以下、本発明に関し、実施例により詳細に説明する。
【0124】
合成例1:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル60g(0.30モル)、フッ化カリウム41.8g(0.72モル)およびアセトン160mlを仕込み、さらに滴下ロートに2,5−ジクロロフェノール97.8g(0.60モル)およびアセトン110mlを仕込む。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより2,5−ジクロロフェノール/アセトン混合溶液を約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続ける。その後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌する。
【0125】
次に、このフラスコに2,6−ジメチルフェノール36.6g(0.30モル)、フッ化カリウム20.9g(0.36モル)およびアセトン15.0mlを仕込み、40℃で攪拌下10時間を保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル144.8g(収率82.1モル%)で得られた。
【0126】
合成例2:3−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル60g(0.30モル)、フッ化カリウム41.8g(0.72モル)およびアセトン160mlを仕込み、さらに滴下ロートに2,5−ジクロロフェノール97.8g(0.60モル)およびアセトン110mlを仕込む。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより2,5−ジクロロフェノール/アセトン混合溶液を約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続ける。その後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌する。
【0127】
次に、このフラスコに2,6−ジブロモ−4−メチルフェノール79.8g(0.30モル)、フッ化カリウム20.9g(0.36モル)およびアセトン15.0mlを仕込み、40℃で攪拌下10時間を保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル176.8g(収率80.5モル%)で得られた。
【0128】
合成例3:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,6−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル60g(0.30モル)、フッ化カリウム41.8g(0.72モル)およびアセトン160mlを仕込み、さらに滴下ロートに2,5−ジクロロフェノール97.8g(0.60モル)およびアセトン110mlを仕込む。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより2,6−ジクロロフェノール/アセトン混合溶液を約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続ける。その後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌する。
【0129】
次に、このフラスコに2,6−ジメチルフェノール36.6g(0.30モル)、フッ化カリウム20.9g(0.36モル)およびアセトン15.0mlgを仕込み、40℃で攪拌下10時間を保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,6−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル142.5g(収率80.8モル%)で得られた。
【0130】
合成例4:3−(2,6−ジブチル−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル60g(0.30モル)、フッ化カリウム41.8g(0.72モル)およびアセトン160mlを仕込み、さらに滴下ロートに4−シアノフェノール71.5g(0.60モル)およびアセトン110mlを仕込む。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより4−シアノフェノール/アセトン混合溶液を約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続ける。その後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌する。
【0131】
次に、このフラスコに2,6−ジブチル−4−メチルフェノール79.8g(0.30モル)、フッ化カリウム20.9g(0.36モル)およびアセトン15.0mlを仕込み、40℃で攪拌下10時間を保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジブチル−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル151.3g(収率78.3モル%)で得られた。
【0132】
合成例5:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル60g(0.30モル)、フッ化カリウム41.8g(0.72モル)およびアセトン160mlを仕込み、さらに滴下ロートに4−シアノフェノール71.5g(0.60モル)およびアセトン110mlを仕込む。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより4−シアノフェノール/アセトン混合溶液を約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続ける。その後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌する。
【0133】
次に、このフラスコに2,6−ジメチルフェノール36.7g(0.30モル)、フッ化カリウム20.9g(0.36モル)およびアセトン15.0mlを仕込み、40℃で攪拌下10時間を保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル116.3g(収率77.5モル%)で得られた。
【0134】
合成例6:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(フェニルチオ)−6−フルオロフタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル60g(0.30モル)、フッ化カリウム41.8g(0.72モル)およびアセトニトリル160mlを仕込み、さらに滴下ロートにチオフェノール33.0g(0.60モル)を仕込む。攪拌しながら滴下ロートよりチオフェノールを反応温度が40℃以下になるように滴下速度を調節しながら滴下した後、約2時間攪拌を続ける。
【0135】
次に、このフラスコに2,6−ジメチルフェノール40.3g(0.33モル)、フッ化カリウム20.9g(0.36モル)およびアセトニトリル40mlを仕込み、還流下で攪拌しながら8時間を保った。冷却後反応液をろ過し、ろ物をアセトニトリル600mlで洗浄濾過し、合わせたろ液からロータリーエバポレータでアセトニトリルを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(フェニルチオ)−6−フルオロフタロニトリル113.8g(収率78.6モル%)で得られた。
【0136】
実施例1:VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−Br2−4−CH3PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3Fの合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.15g(7.68ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物2.92g(15.4ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で撹拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、合成例2と同様にして合成された3−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(41.0ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で4時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、D,L−1−フェニルエチルアミン10.0g(82.5ミリモル)とベンゾニトリル165mlを加え、ついで60℃で6時間、70℃で2時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をイソプロピルアルコールと水の混合溶液中に滴下晶析させ、さらにイソプロピルアルコールと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−Br2−4−CH3PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F 25.14g{3−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対する収率74.4モル%}が得られた。
【0137】
【表1】
Figure 0003721298
【0138】
分光光度計(島津製作所製:UV−3100)を用いて、本実施例で得られたフタロシアニン化合物[VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−Br2−4−CH3PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F]のトルエン中での最大吸収波長と吸光係数を測定した。
【0139】
また、このフタロシアニン化合物を1cmの石英セル中で750〜1050nmの透過率の最低値が5〜6%になるまでクロロホルムで希釈し、そのときの透過率を分光光度計で測定した、その可視光透過率をJIS R3106(1985)の規格に準じて計算した。
【0140】
また、室温(25℃)で、トルエンおよびメチルエチルケトン(MEK)の各溶液(共に10ml)に当該フタロシアニン化合物を徐々に溶解させながら、その様子を目視により確認することにより、最終的に溶解する限界量、すなわち、飽和溶液中の溶質たるフタロシアニン化合物の濃度(溶解度)を求めた。
【0141】
これらの測定結果を下記表1に示す。表1中の溶解度は、溶解度5質量%以上を◎、1質量%以上で5質量%未満を○、0.1質量%以上で1質量%未満を△、0.1質量%未満を×として評価した。
【0142】
実施例2:VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−Br2−4−CH3PhO)4{PhCH2NH}3Fの合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.15g(7.68ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物2.92g(15.4ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で撹拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、合成例2と同様にしてで合成された3−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(41.0ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で4時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、ベンジルアミン8.87g(82.8ミリモル)とベンゾニトリル167mlを加え、ついで60℃で3時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をイソプロピルアルコールと水の混合溶液中に滴下晶析させ、さらにイソプロピルアルコールと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−Br2−4−CH3PhO)4{PhCH2NH}3F 24.21g{3−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対する収率73.1モル%}が得られた。
【0143】
【表2】
Figure 0003721298
【0144】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0145】
実施例3:VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3Fの合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.43g(9.53ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.64g(19.1ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で撹拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、合成例1と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(51.0ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で4時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、D,L−1−フェニルエチルアミン12.4g(102.3ミリモル)とベンゾニトリル163mlを加え、ついで60℃で6時間、70℃で2時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をイソプロピルアルコールと水の混合溶液中に滴下晶析させ、さらにイソプロピルアルコールと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F 24.49g{3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対する収率70.5モル%}が得られた。
【0146】
【表3】
Figure 0003721298
【0147】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0148】
実施例4:VOPc(2,6−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3Fの合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.43g(9.53ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.64g(19.1ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で撹拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、合成例3と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,6−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(51.0ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で4時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、D,L−1−フェニルエチルアミン12.4g(102.3ミリモル)とベンゾニトリル163mlを加え、ついで60℃で6時間、70℃で2時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をイソプロピルアルコールと水の混合溶液中に滴下晶析させ、さらにイソプロピルアルコールと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(2,6−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F 26.47g{3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,6−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対する収率76.2モル%}が得られた。
【0149】
【表4】
Figure 0003721298
【0150】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0151】
実施例5:VOPc(4−CNPhO)8(2,6−Br2−4−CH3PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3Fの合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.31g(8.73ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.32g(17.5ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で撹拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、合成例5と同様にして合成された3−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(46.6ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で4時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、D,L−1−フェニルエチルアミン11.4g(94.1ミリモル)とベンゾニトリル164mlを加え、ついで60℃で5時間、70℃で3時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をイソプロピルアルコールと水の混合溶液中に滴下晶析させ、さらにイソプロピルアルコールと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(4−CNPhO)8(2,6−Br2−4−CH3PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F 26.90g{3−(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対する収率78.4モル%}が得られた。
【0152】
【表5】
Figure 0003721298
【0153】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0154】
実施例6:VOPc(4−CNPhO)8(2,6−(CH32PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3Fの合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.68g(11.2ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物4.28g(22.5ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で撹拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、合成例4と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(59.9ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で4時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、D,L−1−フェニルエチルアミン14.53g(119.9ミリモル)とベンゾニトリル161mlを加え、ついで60℃で5時間、70℃で3時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をイソプロピルアルコールと水の混合溶液中に滴下晶析させ、さらにイソプロピルアルコールと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(4−CNPhO)8(2,6−(CH32PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F 27.37g{3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−シアノフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対する収率77.0モル%}が得られた。
【0155】
【表6】
Figure 0003721298
【0156】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0157】
実施例7:VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4(PhCH2NH)4の合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.24g(8.29ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.15g(16.6ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で攪拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、合成例1と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(51.0ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で10時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、PhCH2NH243.7g(408.0ミリモル)と炭酸カルシウム2.81g(28.0ミリモル)、ベンゾニトリル33mlを加え、ついで60℃で7時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をアセトンと水の混合溶液中に滴下晶析させ、更にアセトンと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4(PhCH2NH)423.2g(対3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル収率65.8モル%)が得られた。
【0158】
【表7】
Figure 0003721298
【0159】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0160】
実施例8:CuPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4(PhCH2NH)4の合成
300mlの4ツ口フラスコに、合成例1と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(51.0ミリモル)、塩化銅1.52g(15.3ミリモル)、およびn−オクタノール45mlを仕込み、窒素バブリング下170℃攪拌下約4時間保った。その後空気雰囲気下とし、PhCH2NH221.9g(204.0ミリモル)とベンゾニトリル180mlを加え、ついで90℃で5時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をアセトニトリルと水の混合溶液中に滴下晶析させ、更にアセトニトリルと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、CuPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4(PhCH2NH)422.6g(対3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル収率64.2モル%)が得られた。
【0161】
【表8】
Figure 0003721298
【0162】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0163】
実施例9:VOPc(PhS)8(2,6−(CH32PhO)4(PhCH2NH)4の合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.24g(8.29ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.15g(16.6ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で攪拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、合成例6と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(フェニルチオ)−6−フルオロフタロニトリル30g(62.2ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で20時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、PhCH2NH2100mlを加え、ついで100℃で7時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をアセトニトリルと水の混合溶液中に滴下晶析させ、更にアセトニトリルと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(PhS)8(2,6−(CH32PhO)4(PhCH2NH)418.3g(対3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(フェニルチオ)−6−フルオロフタロニトリル収率61.3モル%)が得られた。
【0164】
【表9】
Figure 0003721298
【0165】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0166】
比較例1:VOPc(PhNH)8(PhS)8の合成
チオフェノール4.52g(41.0ミリモル)、水酸化カリウム2.30g(41.0ミリモル)、およびピリジン50mlを100ml四ツ口フラスコに仕込み80℃で1時間反応させた。その後、下記比較例2と同様にして合成したVOPc(PhNH)88 4.94g(3.4ミリモル)を加え還流条件下4時間反応させた。反応終了後、ピリジンを留去し残った固形分をメタノールで洗浄することにより、6.17gの目的物であるVOPc(PhNH)8(PhS)8を暗緑色ケーキとして得た(収率83.5%)。
【0167】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0168】
比較例2:VOPc(PhNH)88の合成
100mlの四ツ口フラスコ中にヘキサデカフルオロオキシバナジウムフタロシアニン5.19g(6ミリモル)、アニリン26.82g(288ミリモル)を仕込み還流温度で4時間反応させた。反応終了後、不溶分を濾別したのちアニリンを留去し得られた固形分をn−ヘキサン300mlで洗浄することにより、6.72gの目的物であるオクタフルオロ−オクタキスアニリノオキシバナジウムフタロシアニン[VOPc(PhNH)88]を黒色ケーキとしてを得た(収率77.1%)。
【0169】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0170】
比較例3
特開平7−70129号公報の例3に記載の方法と同様にして、ペンタ(4−メトキシフェニルアミノ)デカ(4−メチルフェニルチオ)銅フタロシアニンを合成した。簡単に述べると、ペンタデカ(4−メチルフェニルチオ)銅フタロシアニン(2.41質量部)および4−アニシジン(25.0質量部)を混合して、160〜180℃で18時間加熱した。次に、この反応混合物を80〜85℃に冷却し、エタノール740P(70cm3)を加え、生成物を濾過し、かつエタノール740P(200cm3)でほとんど無色になるまで洗浄した。残留物をエタノール(100cm3)中で沸騰させ、濾過し、熱いエタノール(30cm3)で洗浄し、残留する4−アニシジンを除去した。この工程を繰り返し、残留する4−アニシジンを含まないほとんど黒色の粉末が得られた(融点185℃、λmax(CH2Cl2)860cm-1)。
【0171】
得られたフタロシアニン化合物について、最大吸収波長、吸光係数、可視光透過率、溶解度についても実施例1と同様にして測定を行った。得られた結果を下記表1に示す。
【0172】
比較例4
特開平9−230134号公報の実施例1に記載の下記化合物:
【0173】
【化22】
Figure 0003721298
【0174】
を使用し、実施例1と同様にして、溶解性、可視光透過率を測定した。この測定結果を下記表1に示す。
【0175】
【表10】
Figure 0003721298
【0176】
表1から、実施例1〜9の本発明のフタロシアニン化合物は、比較例1〜3の化合物に比して、より可視光透過率を低下せずに750〜1100nmの近赤外光および熱線光を吸収する、すなわち、比較例1〜3と同等あるいは同等以上の近赤外光および熱線光の吸収能を持ちながら、さらに透明性に優れていることがわかる。また、実施例1〜9の本発明のフタロシアニン化合物の溶解度と比較例4の化合物の溶解度とを比較すると、溶解度に大きな差が認められ、本発明のフタロシアニン化合物は、非常に溶解性が高く、従って、樹脂に相溶する際に非常に相溶し易い特徴を持っていることがわかる。
【0177】
実施例10
溶融したポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、パンライト1285、商品名)100質量部に実施例3で得られたフタロシアニン化合物[VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F]を0.012質量部添加し、250〜300℃に温度調節された射出成形機で外形75mm、中心厚2mmのレンズに成形した。
【0178】
得られたレンズの中心部における850nmの光線透過率値は9.0%で可視光透過率は79%であった。
【0179】
また、このレンズを着用してレーザーカッターを使用したところ、目に刺激や疲労感を感じさせず、かつ視野内の物体確認に何らの支障も来さなかった。
【0180】
実施例11
溶融したポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、パンライト1285、商品名)100質量部に実施例8で得られたフタロシアニン化合物[CuPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32PhO)4{Ph(CH3)CHNH}4]を0.010質量部添加し、250〜300℃に温度調節された射出成形機で外形75mm、中心厚2mmのレンズに成形した。
【0181】
得られたレンズの中心部における850nmの光線透過率値は9.0%で可視光透過率は83%であった。
【0182】
また、このレンズを着用してレーザーカッターを使用したところ、目に刺激や疲労感を感じさせず、かつ視野内の物体確認に何らの支障も来さなかった。
【0183】
実施例12
溶融したポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、パンライト1285、商品名)100質量部に実施例3で得られたフタロシアニン化合物{VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32−PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F}を0.0100質量部添加し、Tダイ押出機で厚さ2.5mmのシートを280℃で成形しフィルターを得た。
【0184】
得られたフィルターの750〜1,100nmの光線透過率の最低値は6.0%で可視光透過率は76%であった。
【0185】
該フィルターを、実際にプラズマディスプレーの前面部に取り付け、リモコンにより動作制御を行う電子機器をディスプレーから2.5mの位置に設置し、誤動作が誘発されないかを確認したところ、フィルターがない場合には、誤動作が誘発されたが、該フィルターを取り付けた場合には、誤動作の誘発が全く見られなかった。
【0186】
実施例13
実施例12において、フタロシアニン化合物を実施例8で得られたフタロシアニン化合物{CuPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32−PhO)4{PhCH2NH}4}0.0080質量部にかえた以外は実施例12と同様に操作しフィルターを得た。得られたフィルターの750〜1,100nmの光線透過率の最低値は5.4%で可視光透過率は81%であった。
【0187】
また、実施例12と同様にして誤操作が誘発されないか確認したところ、該フィルターを取り付けた場合には、誤動作の誘発が全く見られなかった。
【0188】
実施例14
溶融したポリエチレンテレフタレート樹脂100質量部に実施例7で得られたフタロシアニン化合物{VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH32−PhO)4{PhCH2NH}4}を0.120質量部添加し、押出機およびフィルム製造装置を用いて280℃の成形温度で0.1mmのフィルターフィルムを得た。得られたフィルターフィルムの800〜950nmの平均光線透過率は5.7%で可視光透過率は80%であった。
【0189】
また、該フィルターフィルムを、実際にプラズマディスプレーの前面部に張り付けて実施例12と同様にして誤操作が誘発されないか確認したところ、該フィルターフィルムを取り付けた場合には、誤動作の誘発が全く見られなかった。
【0190】
実施例15および16
図1に示すように、直射日光1に対してほぼ直角となるように調節された支持台2に対して垂直方向(直射日光の入射方向)に支柱3を設け、該支柱3の先端に測定用フィルター4を設置し、該支柱3の下部付近に上下方向に調節可能なサンプル支持板5を設けてなる温度測定装置6(測定用のパネルは風が吹き抜けるので、熱がこもらないような構造)を用い、該サンプル支持板5上にブラックパネル7をセットし、該ブラックパネル7の表面と測定用フィルター4の下面との距離を200mmにセットし、該ブラックパネル7の表面に温度センサー8を接触させた。この温度センサー8は、導線9を介して測定装置(図示せず)に連結している。この温度測定装置6を用いて、直射日光下で実施例12および実施例13のフィルターを透過した光のあたる部分の温度を測定した。また、湿度50%、ブラックパネル温度63℃、紫外線強度90mW/cm2で100時間の耐光性テストを行った。その結果を下記表2に示す。
【0191】
比較例5
溶融したポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、パンライト1285、商品名)をTダイ押出機で280℃で成形し厚さ2.5mmのポリカーボネートシートを得た。得られたシートを用いて実施例15および16と同様にして、温度および耐光性を測定した。その結果を下記表2に示す。
【0192】
比較例6および7
溶融したポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、パンライト1285、商品名)100質量部に表2に示すフタロシアニン化合物{略称;VOPc(PhNH)8(PhS)8(比較例1)およびVOPc(PhNH)88(比較例2)}を同じく表2に示す量添加し、Tダイ押出機で厚さ2.5mmのシートを280℃で成形しフィルターを得た。得られたフィルターの可視光透過率を下記表2に示す。
【0193】
また、得られたフィルターを用いて実施例15および16と同様にして、温度および耐光性を測定した。その結果を下記表2に示す。
【0194】
【表11】
Figure 0003721298
【0195】
表2から明らかなように、実施例15及び16の本発明のフタロシアニン化合物を含むフィルターは、比較例6および7のフィルターに比べて、温度の上昇を低く抑えることができ、かつ可視光透過率が高いことから、すなわち可視光線の透過を妨げることなく熱光線を効率的に吸収遮断できることがわかり、言い換えると、本発明のフィルターは、透明性に優れ、かつ熱線遮蔽効果が優れているものである。また、本発明のフィルターは、耐光性テスト後の色差変化も小さく、耐候性に優れ、十分実用に耐えることも、表2から示される。
【0196】
【発明の効果】
本発明のフタロシアニン化合物およびこれを用いてなる近赤外吸収色素は、特に可視光線透過率が高く、かつ近赤外線光のカット効率が高く、近赤外吸収能に優れ、かつ溶媒溶解性に優れ、樹脂との相溶性に優れ、かつ耐熱性、耐光性、耐候性等の特性に優れてなるものである。
【0197】
また、本発明のフタロシアニン化合物では、半透明ないし透明性を有しかつ熱線を遮蔽する目的の熱線遮蔽材、自動車用の熱線吸収合わせガラス、熱線遮蔽フィルムまたは熱線遮蔽樹脂ガラス、可視光線透過率が高く、かつ近赤外線光のカット効率の高いプラズマディスプレー用フィルター、フラッシュ定着などの非接触定着トナー用の近赤外線吸収剤として、また、保温蓄熱繊維用の近赤外線吸収剤、赤外線による偵察に対し偽装性能(カモフラージュ性能)を有する繊維用の赤外吸収剤、半導体レーザーを使う光記録媒体、液晶表示装置、光学文字読取機等における書き込みあるいは読み取りの為の近赤外線吸収色素、近赤外光増感剤、感熱転写・感熱孔版等の光熱交換剤、近赤外線吸収フィルター、眼精疲労防止剤あるいは光導電材料等、さらに組織透過性の良い長波長域の光に吸収を持つ腫瘍治療用感光性色素、カラーブラウン管選択吸収フィルター、カラートナー、インクジェット用インク、改ざん偽造防止用インク、改ざん偽造防止用バーコード用インク、近赤外吸収インク、写真やフィルムの位置決め用マーキング剤、およびゴーグルのレンズや遮蔽板、プラスチックリサイクルの際の仕分け用の染色剤、ならびにPETボトルの成形加工時のプレヒーティング助剤などに用いる際に優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例15及び16ならびに比較例5〜7に用いた測定用のパネルは風が吹き抜けるので熱がこもらないような構造を有する温度測定装置の概略図である。
【符号の説明】
1…直射日光、
2…支持台、
4…測定用フィルター、
6…温度測定装置、
7…ブラックパネル、
8…温度センサー。

Claims (7)

  1. 下記式(1):
    Figure 0003721298
    (式中、Z、Z、Z、Z、Z10、Z11、Z14、Z15のすべての置換基がSRまたはORを表わし、Z、Z、Z、Z、Z、Z12、Z13、Z16は独立してNHR 、Oまたはフッ素原子を表わし、かつ3または4個はNHRを表わし、4個はORを表わし、かつ1または0個はフッ素原子を表わし、また複数の 及びR は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、複数のR は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニルアルキル基を表わし、この際、置換基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基またはシアノ基であり、Mは無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)で示されるフタロシアニン化合物。
  2. 下記群(ただし、以下に例示するフタロシアニン化合物は、無金属以外の適当な金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物である場合を含み;3,6位は、フタロシアニン核のα位(Z、Z、Z、Z、Z、Z12、Z13、Z16の置換位置)に置換したものであり;4,5位はフタロシアニン核のβ位(Z、Z、Z、Z、Z10、Z11、Z14、Z15の置換位置)に置換したものであり、Pcはフタロシアニン核を表わし、Pcのすぐ後にβ位に置換する8個の置換基を表わし、そのβ位に置換する置換基の後にα位に置換する8個の置換基を表わす)より選択される、請求項1に記載のフタロシアニン化合物
    4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
    ・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{PhCHNH}
    ・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}{PhCHNH}
    ・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(フェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(PhS){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
    4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(2,6−ClPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(CHPhO}(PhCHNH)
    ・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−テトラキス(DL−1−フェニルエチルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(4−CNPhO){2,6−(Br)−4−(CH)PhO}{Ph(CH)CHNH}
    ・4,5−オクタキス(フェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(PhS){2,6−(CHPhO}(PhCHH)
  3. 下記群(ただし、以下に例示するフタロシアニン化合物は、無金属以外の適当な金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物である場合を含み;3,6位は、フタロシアニン核のα位(Z 、Z 、Z 、Z 、Z 、Z 12 、Z 13 、Z 16 の置換位置)に置換したものであり;4,5位はフタロシアニン核のβ位(Z 、Z 、Z 、Z 、Z 10 、Z 11 、Z 14 、Z 15 の置換位置)に置換したものであり、Pcはフタロシアニン核を表わし、Pcのすぐ後にβ位に置換する8個の置換基を表わし、そのβ位に置換する置換基の後にα位に置換する8個の置換基を表わす)より選択される、請求項2に記載のフタロシアニン化合物:
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−Cl PhO) {2,6−(Br) −4−(CH )PhO} {Ph(CH )CHNH}
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(ベンジルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−Cl PhO) {2,6−(Br) −4−(CH )PhO} {PhCH NH}
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−Cl PhO) {2,6−(CH PhO} {Ph(CH )CHNH}
    ・4,5−オクタキス(2,6−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(2,6−Cl PhO) {2,6−(CH PhO} {Ph(CH )CHNH}
    ・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジブロモ−4−メチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(4−CNPhO) {2,6−(Br) −4−(CH )PhO} {Ph(CH )CHNH}
    ・4,5−オクタキス(4−シアノフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(DL−1−フェニルエチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
    略称;Pc(4−CNPhO) {2,6−(CH PhO} {Ph(CH )CHNH}
    ・4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(2,5−Cl PhO) {2,6−(CH PhO} (PhCH NH)
    ・4,5−オクタキス(フェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(ベンジルアミノ)}フタロシアニン
    略称;Pc(PhS) {2,6−(CH PhO} (PhCH NH)
  4. 透過スペクトルの測定において、750〜1050nmの透過率の最低値が5〜6%になるように該フタロシアニン化合物の濃度を調整した溶液中において、可視光透過率が65%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物を用いてなる近赤外吸収色素。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物および樹脂からなり、かつ該フタロシアニン化合物の配合量は該樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部である、熱線遮蔽材。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物および樹脂からなり、かつ該フタロシアニン化合物の配合量は該樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部である、プラズマディスプレー用フィルター。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフタロシアニン化合物および樹脂からなり、かつ該フタロシアニン化合物の配合量は該樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部である、800〜1000nmの近赤外線を吸収する近赤外吸収材。
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