JP3713774B2 - 透明電磁波シールド基板 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を遮断して電磁波障害(EMI)を防止する電磁波シールド基板に係り、特に、各種ディスプレイの表示画面表面や建築用窓等に適用されてその透明性を損なうことなく、高い電磁波シールド効果を長期間に亘って安定して発揮できる電磁波シールド基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の発達に伴い、これら電子機器が外部電磁波から悪影響を受けて誤動作を引起こす問題が懸念されており、これら電子機器を外部電磁波から保護したり電子機器から発生する電磁波を遮断する電磁波シールド技術が注目を集めている。
【0003】
この電磁波シールド効果は一般に下記(1)式で表現される。すなわち、この式から分かるように電磁波シールド効果はその材料の導電性に関連しており、近年の高い要求に応えるためには極めて低い表面抵抗率が求められている。
【0004】
電磁波シールド効果(dB)=20×log (Ei/Et) (1)
(但し、式中、Eiは電磁波シールド材料に入射した電磁波の電界強度、Etは電磁波シールド材料を透過した電磁波の電界強度をそれぞれ示す)
このため、従来、電磁波シールド技術としては、金属箔、導電性塗料の塗膜、あるいは溶射された亜鉛膜等の高導電膜を利用する方法が知られており、例えば、電子機器の箱体にこれら導電膜を施して電子機器を外部電磁波から保護したり、電子機器から発生する電磁波の外部への漏出を防止している。
【0005】
他方、透明性が要求される部位(例えば、各種ディスプレイの表示画面)からの電磁波の透過を防止する方法としては、透明導電膜として知られるITO薄膜を適用する方法が提案されている[例えば、特開昭62−215202号公報、Thin Solid Film 226(1993) 104-109 参照]が、これらで適用されるITO薄膜の比抵抗はせいぜい2.4×10-4Ω・cmに過ぎない。このため、8Ω/□程度の表面抵抗率を得るために300nmという厚い膜厚を必要とする。また、上記『Thin Solid Film 226(1993) 104-109 』においては、厚さ1000nmのITO薄膜(表面抵抗率約2.4Ω/□)を使用して23dBの電磁波シールド効果が得られることを紹介しているが、このような厚いITO薄膜を利用するとその可視光線透過率が75%まで低下し、その透明性を犠牲にすることとなる。また、ITO薄膜は高い屈折率を有するためこの表面の光反射率が高く、各種ディスプレイの表示画面表面にITO薄膜を適用した場合、蛍光灯等の外部光源が表示画面中に映り込んでその視認性を低下させ易かった。
【0006】
また、透明部位に適用する電磁波シールド膜として導電性の高い銀薄膜を利用しかつその被膜を5〜30nm程度に薄膜化させて透明性を確保し、これに透明なITO薄膜を積層して構成される多層構造の電磁波シールド膜も提案されている(特開昭63−173395号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記電磁波シールド基板を各種ディスプレイの表示画面に適用する場合、その透明基板上に電磁波シールド膜を成膜して電磁波シールド基板を作製しこの電磁波シールド基板を表示画面の曲面に沿って貼着させて使用する。
【0008】
そして、上記透明基板としてプラスチックフィルムが適用される場合、このプラスチックフィルムを室温又はこれが損傷されない程度の低温に維持した状態で上記電磁波シールド膜を成膜することが要求される。
【0009】
しかし、特開昭63−173395号公報に記載された電磁波シールド膜はITO薄膜を利用しており、このITO薄膜を上述のような低温下で成膜すると、得られたITO薄膜は、高温下で成膜されるITO薄膜と較べて耐薬品性に劣り、例えば、1N(規定)の塩酸水溶液に溶解してその被膜が損傷され易い問題点があった。
【0010】
また、特開昭63−173395号公報に記載された電磁波シールド膜においては、銀薄膜とITO薄膜の積層界面等から侵入した空気中の水分の存在下で銀薄膜中の銀元素とITO薄膜中のインジウム元素とが互いに固溶体を形成し、経時的に銀薄膜が損傷され易い問題点があった。
【0011】
そして、酸等の薬品によりあるいは水分の存在下でITO薄膜や銀薄膜が損傷されると、経時的にその透明性が損なわれ、かつ、電磁波シールド効果も低下する問題点があった。
【0012】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、プラスチックフィルムが損傷しない程度の低温下で製造することができ、かつ、電磁波シールド効果と可視光線透過率が高く、しかも経時劣化が起こり難い長期間に亘って安定した高いシールド効果と光透過性能を発揮できる透明電磁波シールド基板を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を重ねたところ、上述したITP薄膜に代えて、酸化ガリウムと、銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物との混合酸化物にて構成される透明酸化物薄膜を適用した場合、プラスチックフィルムが損傷しない程度の低温下でプラスチックフィルム上にこの薄膜を成膜することができ、しかも高い導電性と光透過性能を保持したままその耐薬品性や耐水性が向上することを発見した。本発明はこのような技術的発見に基づき完成されたものである。
【0014】
すなわち、請求項1に係る発明は、
透明基板上に、順次積層された透明酸化物薄膜と厚さ5〜20nmの銀系薄膜及び透明酸化物薄膜とで構成された電磁波シールド膜を備える透明電磁波シールド基板を前提とし、
上記電磁波シールド膜の各透明酸化物薄膜が、酸化ガリウムと、銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物との混合酸化物により構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
そして、この請求項1記載の発明に係る透明電磁波シールド基板によれば、厚さ5〜20nmの銀系薄膜の表裏両面に積層される二層の透明酸化物が、酸化ガリウムと、銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物との混合酸化物にて構成されているため、スパッタリング法等の真空成膜法によりプラスチックフィルム上にこのフィルムが損傷しない程度の低温下(例えば室温又は180℃以下)で上記透明酸化物薄膜を成膜することが可能となる。
【0016】
しかも、上記透明酸化物薄膜に含有された酸化ガリウムが極めて高い耐薬品性を有しているため、透明酸化物薄膜の耐薬品性を著しく改善させることが可能となる。
【0017】
更に、上記透明酸化物薄膜には酸化ガリウムの他に銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物が含有されているため、水分の存在下においても銀系薄膜中の銀元素と酸化ガリウムとの反応が抑止され、銀系薄膜の損傷を防ぐことが可能である。
【0018】
このように上記透明酸化物薄膜の耐薬品性と耐水性が改善され銀系薄膜を薬品や水分から保護することができるため、電磁波シールド膜の安定性が改善され、長期間に亘ってその高い電磁波シールド効果と光透過性能とを発揮させることが可能となる。
【0019】
尚、請求項1に係る発明において酸化ガリウムの含有量としては、ガリウム元素と銀との固溶域を実質的に持たない上記元素の合計量に対しガリウム元素が5重量%以上を占める量が望ましい。5重量%未満の場合には耐薬品性が若干劣るのに対し、ガリウム元素が5重量%以上含まれる場合には1Nの塩酸等に対する十分な耐性を確保できるからである。
【0020】
次に、銀との固溶域を実質的に持たない上記元素とは、室温付近で銀に対する固溶の量が10atom%より小さい元素をいい、例えば、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta等の高融点の遷移金属元素;Ce等のランタナイド系金属元素;Bi、Ge、Si等の半金属元素が挙げられる。尚、これらの元素はガリウム元素と銀との固溶域を実質的に持たない上記元素の合計量に対し5atom%以上含有することが望ましい。5atom%未満の場合、耐湿性の向上は観察されるもののその効果が若干劣るのに対し、上記元素が5atom%含まれる透明酸化物薄膜は極めて高い防湿性を示し、銀系薄膜の経時的変質や劣化を防止することが可能になるからである。
【0021】
また、上記元素の中でも、その酸化物の屈折率が高いTi、Zr、Hf、Ta及びCeが好ましく適用できる。これら元素の酸化物が含まれた透明酸化物薄膜は、従来のITO薄膜に較べてその屈折率を増大させることが可能となり、銀系薄膜の反射防止膜として作用し光反射率を低下させると共にその光透過率を増大させる。従って、高い光透過率を維持したまま上記銀系薄膜の膜厚を増大させその導電率を高めさせることが可能となる。請求項2に係る発明はこのような技術的理由に基づいてなされたものである。
【0022】
すなわち、請求項2に係る発明は、
請求項1記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
銀との固溶域を実質的に持たない上記元素が、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル及びセリウムから選択された1又は2以上の元素にて構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
次に、本発明に係る銀系薄膜はこれを銀単体で構成してもよいが、銀単体の薄膜は銀元素の拡散を生じ易く、例えば、真空蒸着やスパッタリング等の成膜時の熱又はプラズマの作用により銀元素が拡散・凝集してその薄膜が損傷される場合がある。また、室内に放置された場合にも、銀元素の拡散を生じてその導電性が不安定になり易い。これらの問題を防ぐため、電磁波シールド膜の導電性を損なわない範囲で、銀元素の拡散を抑制する異種元素を添加することが望ましい。このような元素としては、例えば、鉛、銅、金、ニッケル、亜鉛、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム等の良導体金属の元素が挙げられる。尚、これらの中でも、銅元素が特に好ましい。銅元素を含有する銀の薄膜は、銀元素の移動が少なく、また、添加による導電率と電磁波シールド効果の低下が少ないからである。尚、その添加量は3atom%以下に抑えることが望ましい。3atom%を越えると導電率や電磁波シールド性能の低下を招き易く、また、光透過率も低下し易くなるからである。請求項3〜5に係る発明はこのような理由に基づいてなされたものである。
【0024】
すなわち、請求項3に係る発明は、
請求項1〜2記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
上記銀系薄膜が、銀元素の拡散を抑制する異種元素を3atom%以下含有することを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項4に係る発明は、
請求項3記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
上記異種元素が、鉛、銅、金、ニッケル、亜鉛、カドミウム、マグネシウム及びアルミニウムから選択された1又は2以上の元素にて構成されていることを特徴とし、
他方、請求項5に係る発明は、
請求項4記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
上記異種元素が銅にて構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
尚、上記銀系薄膜の膜厚が5nmに満たない場合にはその導電性が低く、また20nmを越える場合にはその光透過率が低く、いずれの場合も上記透明電磁波シールド基板に適さない。従って、銀系薄膜の膜厚は5〜20nmに設定されることを要する。
【0027】
次に、本発明に係る透明電磁波シールド基板としては、その表面のぎらつきを抑制すると共に、透明電磁波シールド基板を通してその反対側を良好に透視可能にさせるため、透明電磁波シールド基板からの反射光を散乱させて正反射光を低減させるものが好ましい。尚、一般に、各種ディスプレイの表示画面の表面や建築用窓に適用される透明電磁波シールド基板の光反射率が4%を越え、かつ、これら反射光が散乱されることなく正反射される場合、太陽光や強い光源からの光が強い正反射光を生じて表示画面等の視認性を損なうことが知られている。請求項6に係る発明はこのような理由に基づいてなされたものである。
【0028】
すなわち、請求項6に係る発明は、
請求項1〜5記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
光散乱性を有することを特徴とするものである。
【0029】
この請求項6に係る発明において、透明電磁波シールド基板に光散乱性を付与する方法としては、上記透明電磁波シールド基板の透明基板として表面に微細な凹凸を有するものを利用する方法が例示される。そして、上記透明基板表面の微細な凹凸はそのまま電磁波シールド膜の表面に再現され、電磁波シールド膜表面による反射光を散乱させる。尚、この凹凸としては、可視光線の波長程度の深さを有するものが好ましい。また、この凹凸は、透明基板に直接エンボス加工やホーニング加工を施して設けることができる外、上記電磁波シールド膜を成膜した後、この電磁波シールド膜の上からエンボス加工又はホーニング加工を施して設けることも可能である。
【0030】
また、透明電磁波シールド基板に光散乱性を付与する他の方法として、上記電磁波シールド膜の上あるいは上記電磁波シールド膜と透明基板との間に凹凸表面を有する光散乱層を設ける方法を採用することもできる。光散乱層としては、例えば、透明樹脂中に透明粉末を分散させた塗布膜を利用することができる。この光散乱層の透明性を確保するため、透明粉末としては、透明樹脂の屈折率と同程度の屈折率を有するものが望ましい。透明樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、オルガノポリシラン樹脂やポリシロキサン樹脂等シリコン基を有する樹脂、エポキシ樹脂等が利用でき、これら樹脂の屈折率と同程度の屈折率を有する透明粉末としては、例えば、酸化チタン、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム等の無機酸化物;硫酸バリウム等の無機硫化物;フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等の無機フッ化物;ポリビニルベンゼン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂粉末;これらの樹脂から構成される中空のビーズ;あるいはこれら樹脂またはビーズの表面に表面処理を施した粉末等が適用できる。尚、光散乱層表面の凹凸は可視光線の波長と同程度の深さを有するものが望ましく、例えば、粒径0.05〜0.9μmの上記透明粉末を分散させた透明樹脂にて構成される塗料を乾燥時の膜厚が0.05〜5μmとなるように塗布乾燥させて形成することができる。塗布方法としては、例えば、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の方法が採用できる。
【0031】
尚、上記透明粉末として、透明樹脂の屈折率と異なる屈折率を有するものを使用することも可能である。この場合には、反射光が散乱されると共に透明電磁波シールド基板を透過する透過光も散乱されるため、その透明性が低下するものの、液晶表示装置の表示画面等に適用してその視野角を増大させることが可能となる。
【0032】
また、本発明に係る透明電磁波シールド基板は、長期間に亘ってその透明性を高く維持させるため、その表面に指紋や水滴の付着を防止する撥水性層を備えることが望ましい。請求項7に係る発明はこのような理由に基づいてなされたものである。
【0033】
すなわち、請求項7に係る発明は、
請求項1〜6記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
表面に撥水性層を備えることを特徴とするものである。
【0034】
このような撥水性層は、撥水性を有する透明樹脂にて構成される塗料を塗布乾燥することによって設けることができる。この透明樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、オルガノポリシラン樹脂やポリシロキサン樹脂等シリコン基を有する樹脂、エポキシ樹脂等が利用できる。
【0035】
次に、本発明に係る透明基板としては、プラスチックボード、プラスチックフィルム等が利用できる。中でも、切断や折り曲げ等の加工性に優れる点からプラスチックフィイルムが好適に利用できる。また、プラスチックフィルムとしては、液晶表示装置の表示画面に適用される偏光フィルム、位相差フィルム又はこれらの保護フィルム等が好適に利用できる。尚、これらプラスチックフィルムの材質としては、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。また、本発明に係る透明基板として、偏光フィルムを有する液晶表示装置のパネル基板や、その反対面に透明電極や液晶表示装置駆動素子あるいはカラーフィルター層等を備える液晶表示装置のパネル基板等を利用することも可能であり、また、ガラス基板の適用も当然のことながら可能である。
【0036】
次に、本発明に係る透明電磁波シールド基板の製造方法について説明する。
【0037】
まず、透明基板上に、透明酸化物薄膜、銀系薄膜及び透明酸化物薄膜を順次成膜する。これら薄膜はいずれもスパッタリング法によって成膜できる他、真空蒸着法やイオンプレーティング法等の真空成膜法によって成膜することが可能であるが、その生産性の点から上述したスパッタリング法が好ましい。そして、成膜の際、成膜装置内部の酸素量を制御することにより上記透明酸化物薄膜中の酸素含有量を制御しその屈折率を微調整することができる。また、この際、銀系薄膜の劣化を防止するため成膜装置内部の水分は少ない方が好ましく、また、180℃以下又は室温の基板温度で成膜することが望ましい。
【0038】
尚、上記電磁波シールド膜の成膜に先立ち、透明基板表面にエンボス加工又はホーニング加工を施して光散乱用の上記凹凸を形成することができる。
【0039】
そして、成膜された上記電磁波シールド膜の上に、撥水性を有する透明塗料を塗布乾燥して撥水性層を形成することができる。尚、この透明塗料中に透明粉末を分散させて塗布乾燥することにより、撥水性層により電磁波シールド基板に光散乱性を付与させることも可能となる。
【0040】
次に、本発明に係る透明電磁波シールド基板の使用方法について説明する。
【0041】
すなわち、透明基板が剛性のガラス板やプラスチックボードにて構成される場合には、透明電磁波シールド基板をそのまま建築物等の窓ガラスとして利用することが可能であり、この場合、窓ガラスとしての透明性を確保してしかも室外から入射する電磁波を効果的に遮断することが可能となる。
【0042】
また、透明基板がプラスチックフィルムにて構成される場合には、透明電磁波シールド基板が切断や折り曲げ等の加工性に優れることからこの透明電磁波シールド基板を適宜大きさに切断し、適当な平面又は曲面部位に貼着して使用することが可能である。貼着される平面又は曲面部位としては、例えば、液晶表示装置の表示画面が挙げられる。そして、上記液晶表示装置の表示画面に適用された場合、この表示画面の視認性を維持したまま、この画面から入射する外部電磁波を効果的に遮断してその誤動作を防止し、また、この液晶表示装置内部で発生した電磁波の漏出を防止してこの漏出電磁波による他の電子機器の誤動作を防止することが可能となる。尚、この他、上記プラスチックフィルムとして、液晶表示装置の表示画面に適用される偏光フィルムや位相差フィルム、又はこれらの保護フィルムを利用する場合には、それぞれのフィルムの役割を担うことができるのは勿論である。
【0043】
また、透明基板として、偏光フィルムを有する液晶表示装置のパネル基板や、その反対面に透明電極や液晶表示装置駆動素子あるいはカラーフィルター層等を備える液晶表示装置のパネル基板が利用される場合には、透明電磁波シールド基板をそのまま液晶表示装置のパネル基板として利用し外部電磁波を遮断して誤動作を防止し、また、内部で発生した電磁波の漏出を防止して他の電子機器の誤動作を防止することが可能となる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0045】
[第一実施形態]
この実施形態に係る透明電磁波シールド基板1は、図1の要部断面図に示すように偏光フィルムから成る透明基板10と、この透明基板10上に順次積層された厚さ39nmの透明酸化物薄膜21と厚さ12nmの銀系薄膜22と厚さ38nmの透明酸化物薄膜23の三層から成る透明電磁波シールド膜20と、この透明電磁波シールド膜20上に積層された厚さ約0.26μmの光散乱性を有する撥水性層30とでその主要部が構成されている。
【0046】
尚、上記透明酸化物薄膜21及び透明酸化物薄膜23は、酸化ガリウムを主成分としこれに酸化セリウム及び酸化チタンを添加して構成された混合酸化物から成っている。そして、上記酸化ガリウムは、ガリウム元素がガリウム元素、セリウム元素及びチタン元素の合計量の79atom%となる量、また、酸化セリウムは、セリウム元素が上記合計量の20atom%となる量、また、酸化チタンは、チタン元素が上記合計量の10atom%となる量、それぞれ含有されている。また、銀系薄膜22は、銀を主成分としこれに約1atom%の銅が添加された銀系合金にて構成されている。
【0047】
また、光散乱性を有する上記撥水性層30は、平均粒径0.1μmのフッ化カルシウムが分散されたフッ素系アクリル樹脂にて構成されており、かつ、図1から明らかなように、その表面は深さ0.1〜0.2μmの微細な凹凸を有している。
【0048】
尚、上記透明酸化物薄膜21、銀系薄膜22及び透明酸化物薄膜23は、いずれも、偏光フィルムから成る透明基板10を180℃以下の低温に維持した状態でスパッタリング法を利用して成膜されたものであり、撥水性層30は上記フッ素系アクリル樹脂中にフッ化カルシウムを均一に分散させると共に溶剤を添加して塗料化し、塗布乾燥して形成されたものである。
【0049】
この透明電磁波シールド基板1における透明電磁波シールド膜20の面積抵抗及び可視光線(波長550nmの光線)反射率を測定したところ、面積抵抗は8Ω/□、可視光線反射率は約1%であった。
【0050】
また、上記透明電磁波シールド膜20の合計厚みを用いて見掛け上の比抵抗(面積抵抗×透明電磁波シールド膜の合計厚み)を算出したところ、約0.75×10-4Ω・cmであった。
【0051】
次に、上記透明電磁波シールド基板1を空気中で1ケ月放置した後、外観を肉眼で観察してその耐湿性を評価したところ、外観変化は確認されなかった。
【0052】
また、上記透明電磁波シールド基板1を1Nの塩酸水溶液に10分間浸漬した後、外観を肉眼で観察してその耐薬品性を評価したところ、外観変化は認められなかった。
【0053】
[第二実施形態]
上記透明基板として厚さ0.7mmのガラス板が適用され点を除き、第一実施形態と同様に電磁波シールド基板を製造した。
【0054】
そして、透明電磁波シールド膜の面積抵抗及び可視光線(波長550nmの光線)反射率を測定したところ、面積抵抗は8Ω/□、可視光線反射率は約1%であった。また、見掛け上の比抵抗は、約0.75×10-4Ω・cmであった。
【0055】
次に、この透明電磁波シールド基板を空気中で1ケ月放置した後、外観を肉眼で観察してその耐湿性を評価した。この結果、外観変化は認められなかった。
【0056】
また、上記透明電磁波シールド基板を1Nの塩酸水溶液に10分間浸漬した後、外観を肉眼で観察してその耐薬品性を評価した。この結果、外観変化は認められなかった。
【0057】
【発明の効果】
請求項1〜7記載の発明に係る透明電磁波シールド基板によれば、
厚さ5〜20nmの銀系薄膜の表裏両面に積層される二層の透明酸化物が、酸化ガリウムと、銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物との混合酸化物にて構成されているため、スパッタリング法等の真空成膜法によりプラスチックフィルム上にこのフィルムが損傷しない程度の低温下で上記透明酸化物薄膜を成膜することが可能となる。
【0058】
しかも、上記透明酸化物薄膜に含有された酸化ガリウムが極めて高い耐薬品性を有しているため、透明酸化物薄膜の耐薬品性を著しく改善させることが可能となる。
【0059】
更に、上記透明酸化物薄膜には酸化ガリウムの他に銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物が含有されているため、水分の存在下においても銀系薄膜中の銀元素とガリウム元素との固溶化が防止され、銀系薄膜の損傷を防ぐことが可能である。
【0060】
このように上記透明酸化物薄膜の耐薬品性と耐水性が改善され銀系薄膜を薬品や水分から保護することができるため、電磁波シールド膜の安定性が改善され、長期間に亘ってその高い電磁波シールド効果と光透過性能とを発揮させることができる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る透明電磁波シールド基板の要部断面図。
【符号の説明】
1 透明電磁波シールド基板
10 透明基板
20 透明電磁波シールド膜
21 透明酸化物薄膜
22 銀系薄膜
23 透明酸化物薄膜
30 撥水性層
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を遮断して電磁波障害(EMI)を防止する電磁波シールド基板に係り、特に、各種ディスプレイの表示画面表面や建築用窓等に適用されてその透明性を損なうことなく、高い電磁波シールド効果を長期間に亘って安定して発揮できる電磁波シールド基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の発達に伴い、これら電子機器が外部電磁波から悪影響を受けて誤動作を引起こす問題が懸念されており、これら電子機器を外部電磁波から保護したり電子機器から発生する電磁波を遮断する電磁波シールド技術が注目を集めている。
【0003】
この電磁波シールド効果は一般に下記(1)式で表現される。すなわち、この式から分かるように電磁波シールド効果はその材料の導電性に関連しており、近年の高い要求に応えるためには極めて低い表面抵抗率が求められている。
【0004】
電磁波シールド効果(dB)=20×log (Ei/Et) (1)
(但し、式中、Eiは電磁波シールド材料に入射した電磁波の電界強度、Etは電磁波シールド材料を透過した電磁波の電界強度をそれぞれ示す)
このため、従来、電磁波シールド技術としては、金属箔、導電性塗料の塗膜、あるいは溶射された亜鉛膜等の高導電膜を利用する方法が知られており、例えば、電子機器の箱体にこれら導電膜を施して電子機器を外部電磁波から保護したり、電子機器から発生する電磁波の外部への漏出を防止している。
【0005】
他方、透明性が要求される部位(例えば、各種ディスプレイの表示画面)からの電磁波の透過を防止する方法としては、透明導電膜として知られるITO薄膜を適用する方法が提案されている[例えば、特開昭62−215202号公報、Thin Solid Film 226(1993) 104-109 参照]が、これらで適用されるITO薄膜の比抵抗はせいぜい2.4×10-4Ω・cmに過ぎない。このため、8Ω/□程度の表面抵抗率を得るために300nmという厚い膜厚を必要とする。また、上記『Thin Solid Film 226(1993) 104-109 』においては、厚さ1000nmのITO薄膜(表面抵抗率約2.4Ω/□)を使用して23dBの電磁波シールド効果が得られることを紹介しているが、このような厚いITO薄膜を利用するとその可視光線透過率が75%まで低下し、その透明性を犠牲にすることとなる。また、ITO薄膜は高い屈折率を有するためこの表面の光反射率が高く、各種ディスプレイの表示画面表面にITO薄膜を適用した場合、蛍光灯等の外部光源が表示画面中に映り込んでその視認性を低下させ易かった。
【0006】
また、透明部位に適用する電磁波シールド膜として導電性の高い銀薄膜を利用しかつその被膜を5〜30nm程度に薄膜化させて透明性を確保し、これに透明なITO薄膜を積層して構成される多層構造の電磁波シールド膜も提案されている(特開昭63−173395号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記電磁波シールド基板を各種ディスプレイの表示画面に適用する場合、その透明基板上に電磁波シールド膜を成膜して電磁波シールド基板を作製しこの電磁波シールド基板を表示画面の曲面に沿って貼着させて使用する。
【0008】
そして、上記透明基板としてプラスチックフィルムが適用される場合、このプラスチックフィルムを室温又はこれが損傷されない程度の低温に維持した状態で上記電磁波シールド膜を成膜することが要求される。
【0009】
しかし、特開昭63−173395号公報に記載された電磁波シールド膜はITO薄膜を利用しており、このITO薄膜を上述のような低温下で成膜すると、得られたITO薄膜は、高温下で成膜されるITO薄膜と較べて耐薬品性に劣り、例えば、1N(規定)の塩酸水溶液に溶解してその被膜が損傷され易い問題点があった。
【0010】
また、特開昭63−173395号公報に記載された電磁波シールド膜においては、銀薄膜とITO薄膜の積層界面等から侵入した空気中の水分の存在下で銀薄膜中の銀元素とITO薄膜中のインジウム元素とが互いに固溶体を形成し、経時的に銀薄膜が損傷され易い問題点があった。
【0011】
そして、酸等の薬品によりあるいは水分の存在下でITO薄膜や銀薄膜が損傷されると、経時的にその透明性が損なわれ、かつ、電磁波シールド効果も低下する問題点があった。
【0012】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、プラスチックフィルムが損傷しない程度の低温下で製造することができ、かつ、電磁波シールド効果と可視光線透過率が高く、しかも経時劣化が起こり難い長期間に亘って安定した高いシールド効果と光透過性能を発揮できる透明電磁波シールド基板を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を重ねたところ、上述したITP薄膜に代えて、酸化ガリウムと、銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物との混合酸化物にて構成される透明酸化物薄膜を適用した場合、プラスチックフィルムが損傷しない程度の低温下でプラスチックフィルム上にこの薄膜を成膜することができ、しかも高い導電性と光透過性能を保持したままその耐薬品性や耐水性が向上することを発見した。本発明はこのような技術的発見に基づき完成されたものである。
【0014】
すなわち、請求項1に係る発明は、
透明基板上に、順次積層された透明酸化物薄膜と厚さ5〜20nmの銀系薄膜及び透明酸化物薄膜とで構成された電磁波シールド膜を備える透明電磁波シールド基板を前提とし、
上記電磁波シールド膜の各透明酸化物薄膜が、酸化ガリウムと、銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物との混合酸化物により構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
そして、この請求項1記載の発明に係る透明電磁波シールド基板によれば、厚さ5〜20nmの銀系薄膜の表裏両面に積層される二層の透明酸化物が、酸化ガリウムと、銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物との混合酸化物にて構成されているため、スパッタリング法等の真空成膜法によりプラスチックフィルム上にこのフィルムが損傷しない程度の低温下(例えば室温又は180℃以下)で上記透明酸化物薄膜を成膜することが可能となる。
【0016】
しかも、上記透明酸化物薄膜に含有された酸化ガリウムが極めて高い耐薬品性を有しているため、透明酸化物薄膜の耐薬品性を著しく改善させることが可能となる。
【0017】
更に、上記透明酸化物薄膜には酸化ガリウムの他に銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物が含有されているため、水分の存在下においても銀系薄膜中の銀元素と酸化ガリウムとの反応が抑止され、銀系薄膜の損傷を防ぐことが可能である。
【0018】
このように上記透明酸化物薄膜の耐薬品性と耐水性が改善され銀系薄膜を薬品や水分から保護することができるため、電磁波シールド膜の安定性が改善され、長期間に亘ってその高い電磁波シールド効果と光透過性能とを発揮させることが可能となる。
【0019】
尚、請求項1に係る発明において酸化ガリウムの含有量としては、ガリウム元素と銀との固溶域を実質的に持たない上記元素の合計量に対しガリウム元素が5重量%以上を占める量が望ましい。5重量%未満の場合には耐薬品性が若干劣るのに対し、ガリウム元素が5重量%以上含まれる場合には1Nの塩酸等に対する十分な耐性を確保できるからである。
【0020】
次に、銀との固溶域を実質的に持たない上記元素とは、室温付近で銀に対する固溶の量が10atom%より小さい元素をいい、例えば、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta等の高融点の遷移金属元素;Ce等のランタナイド系金属元素;Bi、Ge、Si等の半金属元素が挙げられる。尚、これらの元素はガリウム元素と銀との固溶域を実質的に持たない上記元素の合計量に対し5atom%以上含有することが望ましい。5atom%未満の場合、耐湿性の向上は観察されるもののその効果が若干劣るのに対し、上記元素が5atom%含まれる透明酸化物薄膜は極めて高い防湿性を示し、銀系薄膜の経時的変質や劣化を防止することが可能になるからである。
【0021】
また、上記元素の中でも、その酸化物の屈折率が高いTi、Zr、Hf、Ta及びCeが好ましく適用できる。これら元素の酸化物が含まれた透明酸化物薄膜は、従来のITO薄膜に較べてその屈折率を増大させることが可能となり、銀系薄膜の反射防止膜として作用し光反射率を低下させると共にその光透過率を増大させる。従って、高い光透過率を維持したまま上記銀系薄膜の膜厚を増大させその導電率を高めさせることが可能となる。請求項2に係る発明はこのような技術的理由に基づいてなされたものである。
【0022】
すなわち、請求項2に係る発明は、
請求項1記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
銀との固溶域を実質的に持たない上記元素が、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル及びセリウムから選択された1又は2以上の元素にて構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
次に、本発明に係る銀系薄膜はこれを銀単体で構成してもよいが、銀単体の薄膜は銀元素の拡散を生じ易く、例えば、真空蒸着やスパッタリング等の成膜時の熱又はプラズマの作用により銀元素が拡散・凝集してその薄膜が損傷される場合がある。また、室内に放置された場合にも、銀元素の拡散を生じてその導電性が不安定になり易い。これらの問題を防ぐため、電磁波シールド膜の導電性を損なわない範囲で、銀元素の拡散を抑制する異種元素を添加することが望ましい。このような元素としては、例えば、鉛、銅、金、ニッケル、亜鉛、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム等の良導体金属の元素が挙げられる。尚、これらの中でも、銅元素が特に好ましい。銅元素を含有する銀の薄膜は、銀元素の移動が少なく、また、添加による導電率と電磁波シールド効果の低下が少ないからである。尚、その添加量は3atom%以下に抑えることが望ましい。3atom%を越えると導電率や電磁波シールド性能の低下を招き易く、また、光透過率も低下し易くなるからである。請求項3〜5に係る発明はこのような理由に基づいてなされたものである。
【0024】
すなわち、請求項3に係る発明は、
請求項1〜2記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
上記銀系薄膜が、銀元素の拡散を抑制する異種元素を3atom%以下含有することを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項4に係る発明は、
請求項3記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
上記異種元素が、鉛、銅、金、ニッケル、亜鉛、カドミウム、マグネシウム及びアルミニウムから選択された1又は2以上の元素にて構成されていることを特徴とし、
他方、請求項5に係る発明は、
請求項4記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
上記異種元素が銅にて構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
尚、上記銀系薄膜の膜厚が5nmに満たない場合にはその導電性が低く、また20nmを越える場合にはその光透過率が低く、いずれの場合も上記透明電磁波シールド基板に適さない。従って、銀系薄膜の膜厚は5〜20nmに設定されることを要する。
【0027】
次に、本発明に係る透明電磁波シールド基板としては、その表面のぎらつきを抑制すると共に、透明電磁波シールド基板を通してその反対側を良好に透視可能にさせるため、透明電磁波シールド基板からの反射光を散乱させて正反射光を低減させるものが好ましい。尚、一般に、各種ディスプレイの表示画面の表面や建築用窓に適用される透明電磁波シールド基板の光反射率が4%を越え、かつ、これら反射光が散乱されることなく正反射される場合、太陽光や強い光源からの光が強い正反射光を生じて表示画面等の視認性を損なうことが知られている。請求項6に係る発明はこのような理由に基づいてなされたものである。
【0028】
すなわち、請求項6に係る発明は、
請求項1〜5記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
光散乱性を有することを特徴とするものである。
【0029】
この請求項6に係る発明において、透明電磁波シールド基板に光散乱性を付与する方法としては、上記透明電磁波シールド基板の透明基板として表面に微細な凹凸を有するものを利用する方法が例示される。そして、上記透明基板表面の微細な凹凸はそのまま電磁波シールド膜の表面に再現され、電磁波シールド膜表面による反射光を散乱させる。尚、この凹凸としては、可視光線の波長程度の深さを有するものが好ましい。また、この凹凸は、透明基板に直接エンボス加工やホーニング加工を施して設けることができる外、上記電磁波シールド膜を成膜した後、この電磁波シールド膜の上からエンボス加工又はホーニング加工を施して設けることも可能である。
【0030】
また、透明電磁波シールド基板に光散乱性を付与する他の方法として、上記電磁波シールド膜の上あるいは上記電磁波シールド膜と透明基板との間に凹凸表面を有する光散乱層を設ける方法を採用することもできる。光散乱層としては、例えば、透明樹脂中に透明粉末を分散させた塗布膜を利用することができる。この光散乱層の透明性を確保するため、透明粉末としては、透明樹脂の屈折率と同程度の屈折率を有するものが望ましい。透明樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、オルガノポリシラン樹脂やポリシロキサン樹脂等シリコン基を有する樹脂、エポキシ樹脂等が利用でき、これら樹脂の屈折率と同程度の屈折率を有する透明粉末としては、例えば、酸化チタン、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム等の無機酸化物;硫酸バリウム等の無機硫化物;フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等の無機フッ化物;ポリビニルベンゼン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂粉末;これらの樹脂から構成される中空のビーズ;あるいはこれら樹脂またはビーズの表面に表面処理を施した粉末等が適用できる。尚、光散乱層表面の凹凸は可視光線の波長と同程度の深さを有するものが望ましく、例えば、粒径0.05〜0.9μmの上記透明粉末を分散させた透明樹脂にて構成される塗料を乾燥時の膜厚が0.05〜5μmとなるように塗布乾燥させて形成することができる。塗布方法としては、例えば、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の方法が採用できる。
【0031】
尚、上記透明粉末として、透明樹脂の屈折率と異なる屈折率を有するものを使用することも可能である。この場合には、反射光が散乱されると共に透明電磁波シールド基板を透過する透過光も散乱されるため、その透明性が低下するものの、液晶表示装置の表示画面等に適用してその視野角を増大させることが可能となる。
【0032】
また、本発明に係る透明電磁波シールド基板は、長期間に亘ってその透明性を高く維持させるため、その表面に指紋や水滴の付着を防止する撥水性層を備えることが望ましい。請求項7に係る発明はこのような理由に基づいてなされたものである。
【0033】
すなわち、請求項7に係る発明は、
請求項1〜6記載の発明に係る透明電磁波シールド基板を前提とし、
表面に撥水性層を備えることを特徴とするものである。
【0034】
このような撥水性層は、撥水性を有する透明樹脂にて構成される塗料を塗布乾燥することによって設けることができる。この透明樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、オルガノポリシラン樹脂やポリシロキサン樹脂等シリコン基を有する樹脂、エポキシ樹脂等が利用できる。
【0035】
次に、本発明に係る透明基板としては、プラスチックボード、プラスチックフィルム等が利用できる。中でも、切断や折り曲げ等の加工性に優れる点からプラスチックフィイルムが好適に利用できる。また、プラスチックフィルムとしては、液晶表示装置の表示画面に適用される偏光フィルム、位相差フィルム又はこれらの保護フィルム等が好適に利用できる。尚、これらプラスチックフィルムの材質としては、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。また、本発明に係る透明基板として、偏光フィルムを有する液晶表示装置のパネル基板や、その反対面に透明電極や液晶表示装置駆動素子あるいはカラーフィルター層等を備える液晶表示装置のパネル基板等を利用することも可能であり、また、ガラス基板の適用も当然のことながら可能である。
【0036】
次に、本発明に係る透明電磁波シールド基板の製造方法について説明する。
【0037】
まず、透明基板上に、透明酸化物薄膜、銀系薄膜及び透明酸化物薄膜を順次成膜する。これら薄膜はいずれもスパッタリング法によって成膜できる他、真空蒸着法やイオンプレーティング法等の真空成膜法によって成膜することが可能であるが、その生産性の点から上述したスパッタリング法が好ましい。そして、成膜の際、成膜装置内部の酸素量を制御することにより上記透明酸化物薄膜中の酸素含有量を制御しその屈折率を微調整することができる。また、この際、銀系薄膜の劣化を防止するため成膜装置内部の水分は少ない方が好ましく、また、180℃以下又は室温の基板温度で成膜することが望ましい。
【0038】
尚、上記電磁波シールド膜の成膜に先立ち、透明基板表面にエンボス加工又はホーニング加工を施して光散乱用の上記凹凸を形成することができる。
【0039】
そして、成膜された上記電磁波シールド膜の上に、撥水性を有する透明塗料を塗布乾燥して撥水性層を形成することができる。尚、この透明塗料中に透明粉末を分散させて塗布乾燥することにより、撥水性層により電磁波シールド基板に光散乱性を付与させることも可能となる。
【0040】
次に、本発明に係る透明電磁波シールド基板の使用方法について説明する。
【0041】
すなわち、透明基板が剛性のガラス板やプラスチックボードにて構成される場合には、透明電磁波シールド基板をそのまま建築物等の窓ガラスとして利用することが可能であり、この場合、窓ガラスとしての透明性を確保してしかも室外から入射する電磁波を効果的に遮断することが可能となる。
【0042】
また、透明基板がプラスチックフィルムにて構成される場合には、透明電磁波シールド基板が切断や折り曲げ等の加工性に優れることからこの透明電磁波シールド基板を適宜大きさに切断し、適当な平面又は曲面部位に貼着して使用することが可能である。貼着される平面又は曲面部位としては、例えば、液晶表示装置の表示画面が挙げられる。そして、上記液晶表示装置の表示画面に適用された場合、この表示画面の視認性を維持したまま、この画面から入射する外部電磁波を効果的に遮断してその誤動作を防止し、また、この液晶表示装置内部で発生した電磁波の漏出を防止してこの漏出電磁波による他の電子機器の誤動作を防止することが可能となる。尚、この他、上記プラスチックフィルムとして、液晶表示装置の表示画面に適用される偏光フィルムや位相差フィルム、又はこれらの保護フィルムを利用する場合には、それぞれのフィルムの役割を担うことができるのは勿論である。
【0043】
また、透明基板として、偏光フィルムを有する液晶表示装置のパネル基板や、その反対面に透明電極や液晶表示装置駆動素子あるいはカラーフィルター層等を備える液晶表示装置のパネル基板が利用される場合には、透明電磁波シールド基板をそのまま液晶表示装置のパネル基板として利用し外部電磁波を遮断して誤動作を防止し、また、内部で発生した電磁波の漏出を防止して他の電子機器の誤動作を防止することが可能となる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0045】
[第一実施形態]
この実施形態に係る透明電磁波シールド基板1は、図1の要部断面図に示すように偏光フィルムから成る透明基板10と、この透明基板10上に順次積層された厚さ39nmの透明酸化物薄膜21と厚さ12nmの銀系薄膜22と厚さ38nmの透明酸化物薄膜23の三層から成る透明電磁波シールド膜20と、この透明電磁波シールド膜20上に積層された厚さ約0.26μmの光散乱性を有する撥水性層30とでその主要部が構成されている。
【0046】
尚、上記透明酸化物薄膜21及び透明酸化物薄膜23は、酸化ガリウムを主成分としこれに酸化セリウム及び酸化チタンを添加して構成された混合酸化物から成っている。そして、上記酸化ガリウムは、ガリウム元素がガリウム元素、セリウム元素及びチタン元素の合計量の79atom%となる量、また、酸化セリウムは、セリウム元素が上記合計量の20atom%となる量、また、酸化チタンは、チタン元素が上記合計量の10atom%となる量、それぞれ含有されている。また、銀系薄膜22は、銀を主成分としこれに約1atom%の銅が添加された銀系合金にて構成されている。
【0047】
また、光散乱性を有する上記撥水性層30は、平均粒径0.1μmのフッ化カルシウムが分散されたフッ素系アクリル樹脂にて構成されており、かつ、図1から明らかなように、その表面は深さ0.1〜0.2μmの微細な凹凸を有している。
【0048】
尚、上記透明酸化物薄膜21、銀系薄膜22及び透明酸化物薄膜23は、いずれも、偏光フィルムから成る透明基板10を180℃以下の低温に維持した状態でスパッタリング法を利用して成膜されたものであり、撥水性層30は上記フッ素系アクリル樹脂中にフッ化カルシウムを均一に分散させると共に溶剤を添加して塗料化し、塗布乾燥して形成されたものである。
【0049】
この透明電磁波シールド基板1における透明電磁波シールド膜20の面積抵抗及び可視光線(波長550nmの光線)反射率を測定したところ、面積抵抗は8Ω/□、可視光線反射率は約1%であった。
【0050】
また、上記透明電磁波シールド膜20の合計厚みを用いて見掛け上の比抵抗(面積抵抗×透明電磁波シールド膜の合計厚み)を算出したところ、約0.75×10-4Ω・cmであった。
【0051】
次に、上記透明電磁波シールド基板1を空気中で1ケ月放置した後、外観を肉眼で観察してその耐湿性を評価したところ、外観変化は確認されなかった。
【0052】
また、上記透明電磁波シールド基板1を1Nの塩酸水溶液に10分間浸漬した後、外観を肉眼で観察してその耐薬品性を評価したところ、外観変化は認められなかった。
【0053】
[第二実施形態]
上記透明基板として厚さ0.7mmのガラス板が適用され点を除き、第一実施形態と同様に電磁波シールド基板を製造した。
【0054】
そして、透明電磁波シールド膜の面積抵抗及び可視光線(波長550nmの光線)反射率を測定したところ、面積抵抗は8Ω/□、可視光線反射率は約1%であった。また、見掛け上の比抵抗は、約0.75×10-4Ω・cmであった。
【0055】
次に、この透明電磁波シールド基板を空気中で1ケ月放置した後、外観を肉眼で観察してその耐湿性を評価した。この結果、外観変化は認められなかった。
【0056】
また、上記透明電磁波シールド基板を1Nの塩酸水溶液に10分間浸漬した後、外観を肉眼で観察してその耐薬品性を評価した。この結果、外観変化は認められなかった。
【0057】
【発明の効果】
請求項1〜7記載の発明に係る透明電磁波シールド基板によれば、
厚さ5〜20nmの銀系薄膜の表裏両面に積層される二層の透明酸化物が、酸化ガリウムと、銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物との混合酸化物にて構成されているため、スパッタリング法等の真空成膜法によりプラスチックフィルム上にこのフィルムが損傷しない程度の低温下で上記透明酸化物薄膜を成膜することが可能となる。
【0058】
しかも、上記透明酸化物薄膜に含有された酸化ガリウムが極めて高い耐薬品性を有しているため、透明酸化物薄膜の耐薬品性を著しく改善させることが可能となる。
【0059】
更に、上記透明酸化物薄膜には酸化ガリウムの他に銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物が含有されているため、水分の存在下においても銀系薄膜中の銀元素とガリウム元素との固溶化が防止され、銀系薄膜の損傷を防ぐことが可能である。
【0060】
このように上記透明酸化物薄膜の耐薬品性と耐水性が改善され銀系薄膜を薬品や水分から保護することができるため、電磁波シールド膜の安定性が改善され、長期間に亘ってその高い電磁波シールド効果と光透過性能とを発揮させることができる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る透明電磁波シールド基板の要部断面図。
【符号の説明】
1 透明電磁波シールド基板
10 透明基板
20 透明電磁波シールド膜
21 透明酸化物薄膜
22 銀系薄膜
23 透明酸化物薄膜
30 撥水性層
Claims (7)
- 透明基板上に、順次積層された透明酸化物薄膜と厚さ5〜20nmの銀系薄膜及び透明酸化物薄膜とで構成された電磁波シールド膜を備える透明電磁波シールド基板において、
上記電磁波シールド膜の各透明酸化物薄膜が、酸化ガリウムと、銀との固溶域を実質的に持たない元素の酸化物との混合酸化物により構成されていることを特徴とする透明電磁波シールド基板。 - 銀との固溶域を実質的に持たない上記元素が、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル及びセリウムから選択された1又は2以上の元素にて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明電磁波シールド基板。
- 上記銀系薄膜が、銀元素の拡散を抑制する異種元素を3atom%以下含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透明電磁波シールド基板。
- 上記異種元素が、鉛、銅、金、ニッケル、亜鉛、カドミウム、マグネシウム及びアルミニウムから選択された1又は2以上の元素にて構成されていることを特徴とする請求項3に記載の透明電磁波シールド基板。
- 上記異種元素が銅にて構成されていることを特徴とする請求項4に記載の透明電磁波シールド基板。
- 光散乱性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明電磁波シールド基板。
- 表面に撥水性層を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明電磁波シールド基板。
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