[go: up one dir, main page]

JP3713295B2 - 経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体とその製造方法および経皮適用製剤 - Google Patents

経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体とその製造方法および経皮適用製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP3713295B2
JP3713295B2 JP32316394A JP32316394A JP3713295B2 JP 3713295 B2 JP3713295 B2 JP 3713295B2 JP 32316394 A JP32316394 A JP 32316394A JP 32316394 A JP32316394 A JP 32316394A JP 3713295 B2 JP3713295 B2 JP 3713295B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sustained
drug carrier
drug
release
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP32316394A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08175981A (ja
Inventor
重郎 青柳
豊明 鈴木
玲子 加藤
政令 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujimori Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Fujimori Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujimori Kogyo Co Ltd filed Critical Fujimori Kogyo Co Ltd
Priority to JP32316394A priority Critical patent/JP3713295B2/ja
Publication of JPH08175981A publication Critical patent/JPH08175981A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3713295B2 publication Critical patent/JP3713295B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体およびその製造方法、並びにこれらの徐放性薬剤担体を用いてなる経皮適用製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
気管支炎拡張剤としてのプロカテロールとか狭心症剤としてのニトログリセリンや硝酸イソソルビドなどは、薬剤として極めて有効であるが、一般には錠剤、顆粒剤、シロップ剤として経口投与されるか、また吸入液、エアゾール剤として吸入投与されている。
【0003】
しかしながら、こうした経口投与される薬剤においては、胃腸障害などの副作用や、肝臓をバイパスできず、最初に通過する代謝を回避できないこと、あるいは、治療濃度と毒性濃度間が狭い領域の薬剤の投与制御が困難であるなどの欠点を有している。
【0004】
上記課題を解決する手段として、経皮適用製剤としてこれらの薬剤を使用することが試みられている。こうした経皮適用製剤において、薬効成分を安定的に長時間にわたって経皮吸収させるために、薬理学的に活性な物質を使って皮膚を浸透させるのを制御し、該活性物質として表面活性剤または他の浸透剤を用いることも考えられるが、こうした活性物質の多くは実際に皮膚組織を損傷し、また好ましくない副作用を生じるものであった。
【0005】
また、薬剤の経皮浸透を制御し、薬効成分を持続して放出制御する他の従来方法の代表的な手段としては、薬効成分を基剤などに担持させると共に、該担体から過剰に皮膚に薬剤が浸透するの防止するために皮膚への該担体の薬効成分の放出の制御を助ける多孔質プラスチック材料などの放出制御薄膜を使用する方法などが提案されている。しかしながら、こうした放出制御薄膜を使用にあたっては、皮膚(表皮)が薬剤の浸透にとってかなりの障壁となる(障壁特性は、主として角質層よりなる最外層に起因する)ため、該放出制御薄膜と皮膚自身による障壁膜の相互作用により、該放出制御薄膜を通過し得る薬剤を抑制しすぎることとなるため、期待するだけの薬物の経皮吸収が得られ難く、薬剤による効果を奏するだけの所望の治療濃度が得られないなどの問題がある。
【0006】
また、放出制御薄膜を用いることなく、薬効成分を多孔性基材などに吸着させることにより、薬剤の経皮浸透を制御する方法が提案されているが、薬効成分を持続して放出制御するための多孔性基材においても、基材深部の薬剤が孔内経路のみを通じては移動しにくく薬物の利用率が低下する問題があり、薬効成分を安定的に持続して放出制御することは出来なかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、新規な経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体およびその製造方法、ならびにこれらの徐放性薬剤担体を用いてなる経皮適用製剤を提供するものである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、優れた薬効成分を持続的に放出制御することにより薬効成分を安定的に長時間にわたって経皮吸収させることのできる経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体およびその製造方法、ならびにこれらの徐放性薬剤担体を用いてなる経皮適用製剤を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために、新規な経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体およびその製造方法、並びにこれらの徐放性薬剤担体を用いてなる経皮適用製剤について鋭意研究した結果、従来、ポリアクリルアミドの微粒子ポリマーは、アフィニティクロマトグラフィの支持体などに利用できることから、こうした微粒子ポリマーを得るべく分散安定剤などを用いて単分散性微粒子の製造について多くの研究が成されている反面、これらの研究過程で、失敗例として生成されたポリアクリルアミドの一次粒子が凝集し塊状した不定形粗大粒子のような重合物においては、その後の取扱い性などが悪いことなどから余り見向きもされていなかったが、該不定形粗大粒子の緩やかな架橋構造による成形性の良さおよびこれらが有する架橋構造による多孔構造に着目し、該不定形粗大粒子の製造方法によって得られた重合物に、こうした構造が破壊されない緩やかな外圧を加えただけで、驚くべきことに、均質かつ良好なシート状またはフィルム状物とすることができ、さらに薬剤吸収性に優れ、該シート状またはフィルム状物を経皮適用製剤の薬剤保持担体として用いることにより、所望の徐放性を有する薬剤担体およびこれを用いた良好な徐放性を有する経皮適用製剤が得られることを見出だし、これにより上記諸目的が達成できることを知り、これらの知見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、(1) アルコール類の有機溶媒中にエチレン系不飽和アミドを含む単量体混合物と、前記単量体混合物100重量部に対して2〜25重量部の範囲の架橋剤とを含有する混合溶液に開始剤を添加して重合を行ない架橋構造による多孔構造を有する重合物を形成し、該重合物を精製分離した後、該重合物を外圧によりシート状物またはフィルム状物に形成することを特徴とする経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法により達成される。
【0011】
本発明の他の目的は、(2) 有機溶媒に水を、全溶媒100重量部に対して30重量部以下の範囲となるように添加してなることを特徴とする上記(1)または(2)に示す適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法によっても達成される。
【0012】
本発明の他の目的は、(3) 開始剤が、過酸化物系開始剤およびアゾ系開始剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の開始剤であることを特徴とする上記(1)または(2)に示す適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法によっても達成される。
【0013】
また本発明の他の目的は、(4) 開始剤が、1×10-5〜8×10-2モル/リットルとなる範囲で添加されてなることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに示す経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法によっても達成される。
【0014】
本発明の他の目的は、(5) 重合が、30〜95℃の範囲に保持されて行われることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれかに示す適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法によっても達成される。
【0015】
本発明の他の目的は、(6) 重合物を精製分離した後、薬剤を配合した後に該重合物を外圧によりシート状物またはフィルム状物に形成することを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれかに示す経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法によっても達成される。
【0016】
本発明の他の目的は、(7) 上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の製造方法によって得られたものである経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体により達成される。
【0017】
本発明の他の目的は、(8) 接着剤層または粘着剤層を有する裏張り部材と、該裏張り部材の内側に重層された上記(7)に示す徐放性薬剤担体に薬剤が含有されてなる薬剤保持体と、該薬剤保持体を覆い該裏張り部材と接着された内張り部材とを設けたことを特徴とする経皮適用製剤により達成される。
【0018】
【作用】
以下、本発明を実施態様に基づき、より詳細に説明する。
【0019】
まず本発明の経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法は、工程順に大別して、▲1▼重合工程、▲2▼分離精製工程および▲3▼フィルムまたはシート化工程の3工程に分けられる。さらに後述する経皮適用製剤を製造する際に該徐放性薬剤担体に配合される薬剤を、事前に該徐放性薬剤担体の製造工程段階において行うことも可能であり、必要に応じて、薬剤の配合工程を上記▲2▼分離精製工程と▲3▼フィルムまたはシート化工程の間で行うこともできる。以下、各工程に従って説明する。
【0020】
まず、重合工程では、アルコール類の有機溶媒中にエチレン系不飽和アミドを含む単量体混合物と、前記単量体混合物100重量部に対して2〜25重量部の範囲とする架橋剤とを溶解させた混合溶液に、開始剤を添加して重合を行ない重合物を形成するものである。
【0021】
該重合工程において用いられるアルコール類の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、t−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価アルコール、グリセロールなどの3価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテルなど炭素数1〜6のアルコール類のほか、分子量6000以下、好ましくは4000以下のポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることも可能である。なお、溶媒に水を用いて行う水溶液重合で作製すると高粘性の重合物が得られ、取り扱い並びに精製が極めて困難であることから、本発明では有機溶媒中での沈殿重合によって作製する方法を用いるものである。こうした沈殿重合により得られる重合物は、一次粒子同士が二次凝集を起こし、多数の一次粒子の集合体である多孔性の不定形粗大粒子の形で得られる。この不定形粗大粒子は、該水溶液重合物に比して粘性が低いことから、取扱いやすい利点を有するものである。
【0022】
ただし、重合工程においては、必要に応じて、上記アルコール類の有機溶媒に水を、全溶媒(ここで全溶媒とは、アルコール類の有機溶媒に水を加えたものをいう)100重量部に対して通常30重量部以下、好ましくは10〜25重量部、より好ましくは15〜20重量部であれば、添加することは問題ない。
【0023】
次に、重合工程において用いられるエチレン系不飽和アミド単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド等が挙げられ、これらの単量体を単独でまたは2種以上を組合わせて用いることもできる。
【0024】
さらにエチレン系不飽和アミド単量体を含む単量体混合物としては、上記エチレン系不飽和アミド単量体以外であって、これらと共重合可能な他の単量体でありかつ医用材料として利用可能であればよく、また、これら他の単量体についても単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0025】
また、上記単量体混合物に含まれるエチレン系不飽和アミド単量体の含有量は、特に制限されるものでなく、任意の配合をなし得る。
【0026】
また、上記有機溶媒に対する上記単量体混合物の添加量としては、有機溶媒に対して通常0.1〜70重量部、好ましくは0.5〜25重量部、より好ましくは1〜10重量部の範囲である。上記単量体混合物の添加量が、0.1重量部未満の場合には、モノマーの濃度が極めて低くなることから重合反応速度が遅く、重合物の生成までに長時間を要し、また70重量部を越える場合には、架橋せずに残存するモノマー量が非常に多量であり、経済的でなく、また精製分離が困難となり好ましくない。
【0027】
次に、重合工程に用いることのできる架橋剤としては、分子中に少なくとも2個の不飽和二重結合を有する化合物であり、例えば、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、ピペロジンアクリルアミドなどのアルキレンビスアクリルアミド、エチレンジ(メタ)アクリレートなどのアルキレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどの各種ビスフェノールA誘導体のジ(メタ)アクリレート、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールのジ、トリ、テトラ(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド変性リン酸のジまたはトリ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアヌレートまたはその誘導体のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル、ビニル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、ポリ−N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−t−オクトキシメチルアクリルアミドなどのN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド誘導体、ジビニルベンゼン、ビニル酢酸、クロロメチルスチレン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ビスオキサゾリン系化合物、エピクロロヒドリン、1,3−ジクロロイソプロパノール、グリセリンジグリシジルエーテルなど通常、架橋剤として用いられるものが挙げられる。
【0028】
また、重合工程においては、架橋剤による前記単量体混合物100重量部に対する架橋剤の添加量は、通常2〜25重量部、好ましくは3〜15重量部、より好ましくは5〜10重量部の範囲である。該添加量が2重量部未満の場合には、架橋度が不十分となることから、重合物が充分な3次元の網目構造を形成できず、一次粒子、ひいてはこれらの凝集した不定形粗大粒子が極めて軟弱なものとなるため、その後のフィルムまたはシート状物に利用できず、添加量が25重量部を越える場合には、重合物の架橋度が高くなり形成される粒子が固くなりすぎ、外圧による成形性能の低下を招くほか、条件によっては一次粒子が凝集することなく球形の単分散性粒子を形成されてしまう。他方、架橋剤の添加量が上記範囲内であれば、重合物の架橋率が適当に低く形成されているため一次粒子は球形とならず、凝集作用により不定形状態となり、相互に接着、会合した状態になるので、後工程で該重合物たる不定形粗大粒子は、わずかな外圧により容易に変形することができるから、このことを利用して均質なフィルム状物やシート状物に加工することができる。さらに架橋がゆるいため、該重合物(もしくはフィルム状物やシート状物)に薬剤を配合することで、該重合物たる該不定形粗大粒子に吸着し、吸収された該薬剤は、多孔性の該粗大粒子の内部(多孔空間部分および一次粒子間の隙間)を容易に移動でき、良好な薬剤徐放性が得られるものである。上記範囲内で上記架橋剤の添加量を調節することによって、所望の孔径を有する多孔性の不定形粗大粒子が形成できるので、患者の病気の種類や病状の軽重等に応じて、薬剤徐放量を任意に制御することができる。すなわち本発明では、上記架橋剤の添加量を調節することによって、重合物の架橋度を調節し、多孔性の不定形粗大粒子の孔径を制御し、これにより不定形粒子内部の薬剤移動速度を制御するものである。
【0029】
次に、重合工程に用いることのできる開始剤としては、特に制限されるものでなく、例えば、過酸化物系開始剤およびアゾ系開始剤など従来より公知のものを用いることができる。このうち過酸化物系開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)およびその置換体、過酸化ジアシル〔RCOOOCOR〕、過酸化ジアルキル〔ROOR〕、過酸エステル〔RCOOOR′〕、ペルオキシカルボナート〔ROCOOOCOOR〕、ヒドロペルオキシド〔ROOH〕およびこれらと還元性物質の組合わせによるレドックス開始剤などが挙げられ、またアゾ系開始剤としては、例えば、N−ニトロソアシルアリルアミン、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスエステル〔RR′(COOR″)CN=NC(COOR″)RR′〕、アゾトリフェニルメタン〔C6 5 N=NC(C6 5 3 〕、ジアゾアミノベンゼン〔C6 5 N=NNHC6 5 〕、ジアゾチオエーテル〔RN=NSR′〕、テトラメチルテトラゼン〔(CH3 2 NN=NN(CH3 2 〕、ジアゾメタン類〔RC=N=N〕、スルホンアジド類〔RSO2 N=N=N〕などが挙げられるが、本発明においては、これらを適宜組合わせて用いてもよい。
【0030】
また上記開始剤の使用に供する際の開始剤濃度としても、適宜決定されるものであるが、単量体の混合溶液に対して、通常1×10-5〜8×10-2モル/リットル、好ましくは0.5×10-4〜5×10-2モル/リットル、より好ましくは0.5×10-3〜8×10-3モル/リットルの範囲である。該開始剤濃度が1×10-5モル/リットル未満の場合には、ラジカルの生成が不十分となり重合反応が促進され難く低重合物の生成を招き、また8×10-2モル/リットルを越える場合には、添加に見合うだけの効果が得られなくなるため好ましくない。
【0031】
さらに、重合工程においては、上述の単量体の混合溶液を通常30〜95℃、好ましくは50〜85℃、より好ましくは55〜70℃の温度範囲に保持し、上記開始剤を上記濃度範囲で添加して、通常2〜15時間、好ましくは3〜10時間、より好ましくは3〜7時間重合を行なうものである。
【0032】
上記重合時の温度が30℃未満の場合には、開始剤の分解速度が遅くなり、開始剤の分解によるラジカルの生成が不十分となり、また95℃を越える場合には、開始剤の分解によるラジカルの生成が多くなりすぎて、重合反応熱の上昇と相俟って、安全上課題があるので好ましくない。また、重合反応時間が2時間未満では、得られる粒子ポリマーの生成過程であり、収率が極めて低いものとなり、また、15時間を越える場合には、重合反応はすでに完了しており、さらなる重合時間の延長は無駄である。
【0033】
なお、重合終了後には、氷浴等により反応温度を急激に下げるなどして、ラジカル重合反応を停止させる必要がある。さらに重合時の溶液の撹拌力(回転数)、圧力、雰囲気などに関しても、特に制限されるものでなく、上述の設定値なども勘案して適宜決定されるものであるが、好ましくは常圧下、不活性ガス雰囲気中で反応系の温度分布を均一化するため、撹拌回転数50〜5000rpmの範囲で行われることが望ましい。
【0034】
次に、精製分離工程では、上述の重合工程で得られた重合物を精製分離するものである。
【0035】
該精製分離方法としては、従来公知の方法に基づき簡便に行なうことができ、例えば、重合反応後にフラッシャー等を用いて重合物である該不定形粒子と未反応単量体などとを分離し、続いて遠心分離機を用いて該重合物と有機溶媒、洗浄液(アルコール)あるいは該重合物の再沈殿用溶媒(精製水およびアセトンなど)とを分別し、これらをデカンテーションあるいはフィルター濾過等により分離精製し、最終的に真空乾燥などにより乾燥し、該重合物たる不定形粗大粒子をキセロゲルの形で得る方法などを用いることができるが、本発明は、上記方法に限定されるものでなく、従来公知の他の精製分離方法を用いることができる。
【0036】
次に、フィルム・シート化工程では、上述の精製分離工程で得られたキセロゲルの形の不定形粗大粒子の重合物を水または溶媒(水以外の液体)によりハイドロゲルまたはリオゲルの状態に膨潤させた後に、外圧によりフィルムまたはシート状物に成形するか、または膨潤後に薬剤含有液にハイドロゲルを添加し、薬剤を吸着コーティングした後に外圧によりフィルムまたはシート状物に成形し、所望の経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体を得るものである。なお、重合工程においてフィルムまたはシート化しないのは、得られる重合物中に含まれる残留モノマーなどを除去しきれないためである。
【0037】
なお、フィルム状物とするかまたはシート状物とするかは、用いる経皮適用製剤を適用する患部や適用期間などに応じて適宜決定されるものである。さらに適用期間が長く薬剤担持量を多くしたい場合にはシート状物が必要となるであろうし、また比較的短期間の適用期間または極めて僅かずつの徐放でたり得るような場合などでは、薬剤担持量も少なくて良いことからフィルム状物のものが有用である。
【0038】
上記フィルムまたはシート化工程で用いられる溶媒としては、経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体として残置させる場合には、人体に無害であり、用いる薬剤や他の経皮適用製剤の構成部材に対して化学的に不活性なものでなければならない。使用する薬剤を溶解または分散できるものであれば特に規定はない。例えば、水溶性ポリマーや多価アルコールの1種または2種以上の混合系などを用いることができる。上記水溶性ポリマーとしては、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、トラガントゴム、デンプン類、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられ、また上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビットなどが挙げられる。
【0039】
また、重合物たる不定形粗大粒子のゲル状物を外圧によりフィルムまたはシート状物に成形する方法としては、従来公知の方法に基づき簡便に行なうことができ、例えば、ローラ、プレス機および遠心分離機などにより圧接する方法などを用いることができるが、本発明は、上記方法に限定されるものでなく、従来公知の他の方法を用いることができる。これの方法により、フィルムまたはシート状の形状をした経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体が得られるものである。
【0040】
上記外圧の大きさは、通常0.5〜100kg/cm2 、好ましくは1〜50kg/cm2 、より好ましくは3〜20kg/cm2 の範囲である。該外圧の大きさが0.5kg/cm2 未満の場合には、圧力不足により十分なフィルムまたはシート状物を形成することができず、また100kg/cm2 を越える場合には、多孔性の不定形粗大粒子のゲル状物の多孔構造(架橋構造によるものと、一次粒子間の隙間構造の双方)による微孔が潰れてしまうため、薬剤が該不定形粗大粒子のゲル状物内部を移動できなくなるため良好な薬剤徐放性が得られない。
【0041】
さらに、上述の分離精製工程とフィルムまたはシート化工程の間に薬剤の配合工程を行う場合には、上述の精製分離工程によって得られた重合物たるキセロゲルの形の多孔性の不定形粗大粒子を水系溶媒で膨潤させた後、あらかじめ薬剤が含有された溶媒に入れ、撹拌しながら溶媒置換をさせ該粒子の表面および内部に間で吸着し、吸収させるとともに、該不定形粗大粒子内部にまで薬剤を含ませることが可能である。
【0042】
上記薬剤の配合工程で配合される薬剤としては、特に制限されるものでなく、経皮適用製剤に適用可能な薬剤であればよく、例えば、レセルピン、クロニジンなどの降圧剤、ハイドロサイアザイド、ペンドロフルナサイアザイドなどの降圧利尿剤、ニトログリセリン、ソウサニリソルビドなどの抗狭心症剤、ニトログリセリン、ニトログリコール、イソソルバイトジナイトレイト、エリスリト−ルテトラナイトレイト、ペンタエリト−ルテトラナイトレイトなどの血管拡張剤、ニトラゼパム、メプロバメートなどの抗痙攣(癲癇)剤、フルフェナジン、チオリダジン、ジアゼパム、クロルプロマジンなどの精神安定剤、塩酸ジフェンヒドラジン、クロルフェニラミン、ジフェニルイミダゾールなどの抗ヒスタミン剤、ハイドロコーチゾン、プレドニゾロン、パラメタゾン、ベクロメタゾンプロピオナート、フルメタゾン、ベータメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、デキサイタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニドアセテート、プロピオン酸クロベタゾールなどのコルチコステロイド類、アセトアミノフェン、メフェナム酸、フルフェナミン酸、インドメタシン、ジクロフェナック、アルクロフェナック、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、フルルビブロフェン、サリチル酸、サリチル酸メチル、L−メントール、カンファーなどの鎮痛消炎剤、ペニシリン、オキシテトラサイクリン、硫酸フラジオマイシン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、セファレキシン、テトラサイクリンなどの抗生物質、ビタミンA、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、オクトチアミン、リボフラビン酪酸エステルなどのビタミン剤、ベンゾカイン、リドカイン、アミノ安息香酸エチルなどの麻酔剤などが挙げられる。なお、本発明に用いることのできる薬剤は、これらに制限されるものでなく、必要に応じて、吸収助剤、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N,N−ジエチル−m−トリアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヒアルロン酸、サリチル酸、クロタミトン、ジエチルセバケート、ラウリルアルコール、ジメチルスルホキシド、デシメチルスルホキシドなどを配合することができ、これらの配合により皮膚自身による障壁膜に対して薬剤吸収を促進すると共に血液中への浸透を促進する機能を有するものである。
【0043】
上記薬剤の配合工程で配合される薬剤の添加量としては、選択する薬剤により適宜決定されるものであるが、目安的には、形成されるフィルムまたはシート状物中に約30〜300mg/12cm2 の薬剤が吸収されるように添加される。
【0044】
また、上記薬剤の配合工程で用いられる溶媒としては、経皮適用製剤として用いる必要上、人体に有害でないものであり、かつ用いる薬剤や他の経皮適用製剤の構成部材に対して化学的に不活性なものでなければならない。使用する薬剤を溶解または分散できるものであれば特に規定はない。例えば、水溶性ポリマーや多価アルコールの1種または2種以上の混合系などを用いることができる。上記水溶性ポリマーとしては、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、トラガントゴム、デンプン類、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられ、また上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビットなどが挙げられる。
【0045】
次に、本発明の経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体は、上述の徐放性薬剤担体の製造方法によって得られるシート状物またはフィルム状物により構成されたものである。
【0046】
上記徐放性薬剤担体の吸湿率は、通常50〜800%、好ましくは100〜600%、より好ましくは150〜500%である。上記吸湿率が50%未満の場合には、疎水性的特性が大となるため経皮吸収が疎外され、安定的に薬剤を徐放することが困難となるため好ましくなく、また800%を越える場合には、薬剤貯蔵性能に優れる反面、機械的強度が低く単独で用いることは困難であり、後述するように機械的強度の異なるシート状物またはフィルム状物の組み合わせによる積層化が必要となる。ここで、「徐放性薬剤担体の吸湿率」は、(B−A)/A×100と定義し、式中のAおよびBは、以下の測定手順により求めた値とした。▲1▼乾燥徐放性薬剤担体を秤量し、その重量をAgとする。▲2▼この乾燥徐放性薬剤担体に大過剰の水を加え、24時間放置する。▲3▼その後の徐放性薬剤担体を10000rpm、17680Gの条件で20分間、遠心分離にかけ、余分な水を除去する。▲4▼遠心分離後の吸水した徐放性薬剤担体を秤量し、その重量をBgとする。なお▲1▼〜▲4▼は、すべて25℃、1気圧の条件で行った。
【0047】
同様に、上記徐放性薬剤担体のゲル化率は、通常10〜80%、好ましくは30〜60%、より好ましくは40〜50%である。ゲル化率が80%を越える場合には、疎水性的特性が大となるため好ましくなく、また10%未満の場合には、必要以上に薬剤を吸着するため経済的でなく、また機械的強度も弱く安定したゲルフィルムを得ることができない。また後述するように徐放性能の異なるシート状物またはフィルム状物の組み合わせによる積層化が必要となる。ここで、「徐放性薬剤担体のゲル化率」は、(B/A)×100と定義し、式中のAおよびBは、以下の測定手順により求めた値とした。▲1▼水100mlに徐放性薬剤担体Agを入れる。▲2▼50℃に保ち、24時間放置する。▲3▼その後の徐放性薬剤担体を10000rpm、17680Gの条件で20分間、遠心分離にかけ、余分な水を除去する。▲4▼遠心分離後の吸水した徐放性薬剤担体を脱水、乾燥する。▲5▼得られた乾燥徐放性薬剤担体を秤量し、その重量をBgとする。なお▲1▼〜▲5▼(▲2▼を除く)は、すべて25℃、1気圧の条件で行った。
【0048】
以上より、徐放性薬剤担体の吸湿率およびゲル化率が上記範囲内にある徐放性薬剤担体では、経皮適用製剤の構成部材として必要な機械的強度を有しかつ所望の徐放性能を有するものが得られる。
【0049】
また、上記シート状物またはフィルム状物により構成される徐放性薬剤担体の厚みおよび面積は、特に制限されるものでなく、用いる経皮適用製剤の種類や適用する人体の部位に応じて任意に決定されるものである。
【0050】
また、上記シート状物またはフィルム状物により構成される徐放性薬剤担体としては、単一のシート状物またはフィルム状物によって構成されている必要はなく、これらを積層した構造物であっても良い。
【0051】
次に、上記徐放性薬剤担体を用いてなる経皮適用製剤としては、例えば、図1および図2に示すように、経皮適用製剤1は、周辺部に接着剤層2または6を有する裏張り部材3と、該裏張り部材3の内側に重層された徐放性薬剤担体に薬剤が含有されてなる薬剤保持体4と、該薬剤保持体4を覆い該裏張り部材3の接着剤層2と接着された内張り部材5からなるものなどに適用させることができるが、本発明は、これらに限定されるものでなく、従来公知の薬剤保持体を用いてなる経皮適用製剤に幅広く適用させることができるものである。
【0052】
まず、上記経皮適用製剤に用いられる周辺部に接着剤層を有する裏張り部材としては、薬剤保持体の支持に用いられることから、適当な強度を有し、しかも薬剤を浸透させない化学的に不活性なものであり、患部への貼付時の剥離防止の観点から身体の動きに追従しやすい柔軟性に富む薄いものが望ましく、例えば、アルミニウム、金属化されたポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ナイロンのようなポリアミドなどのほかに、各種の不織布、織布ネル、スパッデンクスにポリエチレンフィルム、エチレンビニルアセテートフィルム、ポリウレタンフィルムなどをラミネート加工したものなども用いることができる。
【0053】
また、上記裏張り部材に設けられる接着剤層または粘着剤層は、患者に該経皮適用製剤を用いる際に、該経皮適用製剤の内張り部材を剥がし、該経皮適用製剤を皮膚と密着させるべく、露出した接着剤層部分を患者の皮膚に接着固定させるものであり、例えば、皮膚組織に付着させるためのシリコーンまたはアクリル系医用接着剤積層やアクリル系粘着ゲル層などを用いることができる。
【0054】
さらに、上記薬剤保持体を覆い該裏張り部材と接着される内張り部材としては、例えば、ポリエチレンまたはシリコーン被覆フィルムなどが挙げられる。該内張り部材は、該経皮適用製剤を患者の皮膚組織上に置く前に取り除かれるものであり、製造から実際に使用するまでの間、薬剤保持体の薬剤が漏出しないように保持すると共に接着剤層が使用前に他のものに接着してしまわないように保護するためのものである。なお、内張り部材の外周部の一部を該裏張り部材よりも一部はみでた部分を有するようにすることで、該該内張り部材を剥がすのに便利であり、このような従来より用いられてなる使用上の工夫は、本発明においても制限されるものでなく、幅広く適用されるものである。
【0055】
さらに、本発明の経皮適用製剤においては、必要に応じて、薬剤保持体と、該薬剤保持体を覆い該裏張り部材の接着剤層と接着される内張り部材との間に、薬剤保持体が、患部に適用している間に、接着剤層が浮き上がったり、捲れ上がった場合などにおける薬剤の流失や薬剤保持体のはみ出しを防止するなどの予防的な意味において多孔性の保持部材を設けることは任意である。これは、患者の皮膚へ接着する該接着剤層の接着力を大きくすると、使用後に剥がす際に痛みを伴うため、適度な接着力とする事が望ましいが、長期間使用する場合には患者の動きを伴う部位への利用の際や汗をよくかく部位への利用の際など、接着部分が緩む虞のある場合などに効果的である。該多孔性の保持部材としては、上記徐放性薬剤担体の薬剤放出速度に影響を与えない程度の多孔度を持ちかつ一定の機械的強度を有するものであって、薬剤等に対して化学的に不活性なものなどを用いることができ、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどを用いることができる。また、該多孔性の保持部材の厚さなどは、使用態様により適宜決定されるものであり、通常、フィルム状の厚さである10〜30μm程度を有しているものが好適である。
【0056】
なお、上記徐放性薬剤担体に薬剤が含有されてなる薬剤保持体は、前述した薬物の配合工程と同様の操作により作成することができるが、すでにシート状物またはフィルム状物により構成される徐放性薬剤担体が水または溶剤(水以外の液体)によりハイドロゲルまたはリオゲルの状態に膨潤された状態である場合には、薬剤の担体内部への浸透が困難であることから、一旦該徐放性薬剤担体を乾燥しキセロゲルの状態にした後に、前述したような薬剤の配合を行うことが望ましい。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の実施例について述べる。
【0058】
実施例1
まず重合工程において、窒素雰囲気下で、溶剤であるエチルアルコール1000mlにアクリルアミド30g、架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド3gを撹拌しながら溶解させ、同時に溶存酸素を十分取り除いた。続いて温度60℃で開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.821g(開始剤濃度5×10−3モル/リットル)を添加し、3時間重合を行ない、反応終了後、氷浴で重合容器ごと急冷し、ラジカル重合を停止させ、一次粒子が凝集した多孔性の不定形粗大粒子を得た。
【0059】
次に、精製分離工程として、生成したポリアクリルアミドの不定形粗大粒子を遠心分離機で分別し、上澄み液を取り除いた。ここに新たにエタノール1000mlを加え、1時間激しく撹拌し、その後遠心分離機で分別した。同様の操作を3回行ない、ガラスフィルターで濾過後、50℃、減圧下で真空乾燥した。
【0060】
得られた乾燥不定形粒子を、溶媒として精製水を用いて5重量%溶媒とし、これに沈殿剤として20倍量のアセトンを加え、良く撹拌しながら再沈殿させた。その後、遠心分離機で分別し、上澄み液を取り除いた。同様の操作を2回行ない、ガラスフィルターで濾過後、50℃、減圧下で真空乾燥し精製を終了した。
【0061】
次に、製剤化工程として、上述の精製分離工程で得られたキセロゲルの形の不定形粒子6gを、水によりハイドロゲルの状態に膨潤させる。別にグリセリン60ml、精製水100mlを80℃で撹拌混合した溶液に、製剤としてニトログリセリン−乳糖(ニトログリセリン10%含有)30gを添加し、撹拌分散させた分散液を調整し、ここに膨潤させたハイドロゲルを添加し、80℃で2時間緩やかに撹拌させ、薬剤をハイドロゲルに吸着コーティングした。
【0062】
次に、フィルム・シート化工程として、上述の製剤化工程で得られた薬剤保持ハイドロゲル分散液をステンレス製の定形容器に注入し、上から10kg/cm2 で連続的に圧接し、約1mmのフィルム状物を形成し、これを3×4cmに打ち抜き、薬剤が含有されてなる薬剤保持体を形成した。得られた薬剤保持体は、ゲル化率45%、吸湿率350%であった。
【0063】
該薬剤保持体をアクリル系粘着剤が20μmの厚さで塗布されてなる接着剤層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミ/ナイロンの3層からなる厚さ36μmの裏張り部材の内側の凹部分に入れ、続いてアルミ蒸着PETよりなる厚さ80μmの内張り部材を該薬剤保持体を覆い該裏張り部材の接着剤層と貼り合わせることにより接着密閉させて本実施例の経皮適用製剤を完成させた。
【0064】
実施例2
重合工程で、溶剤としてエチルアルコールの代わりにプロピルアルコールを用いて重合を行なった以外は、実施例1と同様にして、重合およびその後の精製分離、製剤化およびフィルム・シート化工程での各操作を実施して薬剤保持体の製造した。得られた薬剤保持体は、ゲル化率51%、吸湿率340%であった。さらに実施例1と同様にして、製剤加工を行ない本実施例の経皮適用製剤を完成させた。
【0065】
実施例3
重合工程で、溶剤としてエチルアルコールの代わりにブチルアルコールを用いて重合を行なった以外は、実施例1と同様にして、重合およびその後の精製分離、製剤化およびフィルム・シート化工程での各操作を実施して薬剤保持体の製造した。得られた薬剤保持体は、ゲル化率50%、吸湿率350%であった。さらに実施例1と同様にして、製剤加工を行ない本実施例の経皮適用製剤を完成させた。
【0066】
実施例4
重合工程で、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド3gの代わりにN,N’−メチレンビスアクリルアミド2.3gを用いて重合を行なった以外は、実施例1と同様にして、重合およびその後の精製分離、製剤化およびフィルム・シート化工程での各操作を実施して薬剤保持体の製造した。得られた薬剤保持体は、ゲル化率40%、吸湿率370%であった。さらに実施例1と同様にして、製剤加工を行ない本実施例の経皮適用製剤を完成させた。
【0067】
実施例5
重合工程で、開始剤として2,2′−アゾビスイソブチルニトリル0.821g(開始剤濃度5×10-3モル/リットル)の代わりに2,2′−アゾビスイソブチルニトリル0.082g(開始剤濃度5×10-4モル/リットル)を用いて重合を行なった以外は、実施例1と同様にして、重合およびその後の精製分離、製剤化およびフィルム・シート化工程での各操作を実施して薬剤保持体の製造した。得られた薬剤保持体は、ゲル化率43%、吸湿率380%であった。さらに実施例1と同様にして、製剤加工を行ない本実施例の経皮適用製剤を完成させた。
【0068】
実施例6
フィルム・シート化工程で、10kg/cm2 で連続的に圧接する代わりに15kg/cm2 で連続的に圧接した以外は、実施例1と同様にして、重合およびその後の精製分離、製剤化並びにフィルム・シート化工程での各操作を実施して薬剤保持体の製造した。得られた薬剤保持体は、ゲル化率46%、吸湿率350%であった。さらに実施例1と同様にして、製剤加工を行ない本実施例の経皮適用製剤を完成させた。
【0069】
実施例7
フィルム・シート化工程で、10kg/cm2 で連続的に圧接する代わりに5kg/cm2 で連続的に圧接した以外は、実施例1と同様にして、重合およびその後の精製分離、製剤化並びにフィルム・シート化工程での各操作を実施して薬剤保持体の製造した。得られた薬剤保持体は、ゲル化率49%、吸湿率350%であった。さらに実施例1と同様にして、製剤加工を行ない本実施例の経皮適用製剤を完成させた。
【0070】
実施例8
製剤化工程で、グリセリン60ml、精製水100mlを80℃で撹拌混合した溶液に、製剤としてニトログリセリン−乳糖(ニトログリセリン10%含有)30gを添加する代わりにグリセリン80ml、精製水80mlを80℃で撹拌混合した溶液に、製剤としてニトログリセリン−乳糖(ニトログリセリン10%含有)30gを添加した以外は、実施例1と同様にして、重合およびその後の精製分離、製剤化およびフィルム・シート化工程での各操作を実施して薬剤保持体の製造した。得られた薬剤保持体は、ゲル化率51%、吸湿率340%であった。さらに該薬剤保持体をアクリル系粘着剤が20μmの厚さで塗布されてなる接着剤層を用いる代わりに粘着ハイドロゲルが150μmの厚さで塗布されてなる接着剤層を用いた以外は、実施例1と同様にして、製剤加工を行ない本実施例の経皮適用製剤を完成させた。
【0071】
実施例9
(1)重合工程で、架橋剤としてN,N′−メチレンビスアクリルアミド3gの代わりにN,N′−メチレンビスアクリルアミド7.5gを用いて重合を行し、(2)さらに製剤化工程で、グリセリン60ml、精製水100mlを80℃で撹拌混合した溶液に、製剤としてニトログリセリン−乳糖(ニトログリセリン10%含有)30gを添加する代わりにグリセリン80ml、精製水80mlを80℃で撹拌混合した溶液に、製剤としてニトログリセリン−乳糖(ニトログリセリン10%含有)30gを添加した以外は、実施例1と同様にして、重合およびその後の精製分離、製剤化およびフィルム・シート化工程での各操作を実施して薬剤保持体の製造した。得られた薬剤保持体は、ゲル化率61%、吸湿率300%であった。さらに実施例1と同様にして、製剤加工を行ない本実施例の経皮適用製剤を完成させた。
【0072】
試験例1
ヘアレスマウスの腹部摘出皮膚をフランツ拡散セルに装着し、上記実施例1〜9により得られた経皮適用製剤の内張り部材を剥がして拡散セルのラット皮膚に貼付けた。レセプター側には37℃一定の生理食塩液を用いて一定時間後にヘアレスマウスの皮膚を透過するニトログリセリンの量をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により定量した。得られた結果を図3に示すと共に、上記実施例1〜9における重合条件の概略、ゲル化率、吸湿率、薬剤分散液組成、使用粘着剤、フィルム状物形成時の圧接圧力および本試験におけるヘアレスマウスの皮膚を透過するニトログリセリン(薬剤)量(累積透過量)を下記表1に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0003713295
【0074】
【発明の効果】
本発明により、経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体内部およびその表面に均一に薬剤が保持され、該担体内部を容易に移動することができることから、経皮適用製剤においては、一般の経口剤(マイクロカプセル剤を含む)と比較して、一定の体内薬剤濃度が維持でき、あらかじめ予測し得る薬理効果が得られ、投与回数を減少させ薬剤の投薬状況が確認できペイシェントコンプライアンスを改善でき、経口投与できない患者にも適用でき、薬剤が消化管を経由しないため消化管への副作用がある薬剤にも適用でき胃腸障害を生じず、投与部位が広く適用面積や適用部位により投与量を調節でき、投与後の吸収の中断が容易であり、薬剤が肝臓での初回通過効果を回避できるなどの利点があり、その取扱いが容易であることから家庭用医薬への適用も可能であるほか、薬剤の放出速度を制御する膜を用いることなく該徐放性薬剤担体を直接患者の皮膚に接触する形で該担体に保持された薬剤を一定速度で放出させることができ、薬効成分を極めて安定的に長時間にわたって経皮吸収させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る徐放性薬剤担体を用いてなる経皮適用製剤の一実施態様を表わす断面概略図である。
【図2】 本発明に係る徐放性薬剤担体を用いてなる経皮適用製剤の他の一実施態様を表わす断面概略図である。
【図3】 本実施例により得られた経皮適用製剤の内張り部材を剥がしてフランツ拡散セルのヘアレスマウスの皮膚に貼付け、レセプター側には37℃一定の生理食塩液を用いて一定時間後にヘアレスマウスの皮膚を透過するニトログリセリン(薬剤)の量をHPLCにより定量した結果を表わすグラフである。
【符号の説明】
1…経皮適用製剤、
2…接着剤層、
3…裏張り部材、
4…薬剤保持体、
5…内張り部材、
6…接着剤層。

Claims (8)

  1. アルコール類の有機溶媒中にエチレン系不飽和アミドを含む単量体混合物と、前記単量体混合物100重量部に対して2〜25重量部の範囲の架橋剤とを含有する混合溶液に開始剤を添加して重合を行ない架橋構造による多孔構造を有する重合物を形成し、該重合物を精製分離した後、該重合物を外圧によりシート状物またはフィルム状物に形成することを特徴とする経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法。
  2. 前記有機溶媒に水を、全溶媒100重量部に対して30重量部以下の範囲となるように添加してなることを特徴とする請求項1に記載の経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法。
  3. 前記開始剤が、過酸化物系開始剤およびアゾ系開始剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の開始剤であることを特徴とする請求項1または2項に記載の経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法。
  4. 前記開始剤が、1×10-5〜8×10-2モル/リットルとなる範囲で添加されてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法。
  5. 前記重合が、30〜95℃の範囲に保持されて行われることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法。
  6. 前記重合物を精製分離した後、薬剤を配合した後に該重合物を外圧によりシート状物またはフィルム状物に形成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法によって得られたものである経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体。
  8. 接着剤層または粘着剤層を有する裏張り部材と、該裏張り部材の内側に重層された請求項7に記載の徐放性薬剤担体に薬剤が含有されてなる薬剤保持体と、該薬剤保持体を覆い該裏張り部材と接着された内張り部材とを設けたことを特徴とする経皮適用製剤。
JP32316394A 1994-12-26 1994-12-26 経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体とその製造方法および経皮適用製剤 Expired - Fee Related JP3713295B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32316394A JP3713295B2 (ja) 1994-12-26 1994-12-26 経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体とその製造方法および経皮適用製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32316394A JP3713295B2 (ja) 1994-12-26 1994-12-26 経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体とその製造方法および経皮適用製剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08175981A JPH08175981A (ja) 1996-07-09
JP3713295B2 true JP3713295B2 (ja) 2005-11-09

Family

ID=18151791

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32316394A Expired - Fee Related JP3713295B2 (ja) 1994-12-26 1994-12-26 経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体とその製造方法および経皮適用製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3713295B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2498212C (en) * 2002-09-10 2012-07-17 American National Red Cross Multi-layered hemostatic dressing comprising thrombin and fibrinogen
JP5136818B2 (ja) * 2006-06-05 2013-02-06 東亞合成株式会社 パップ剤用基剤および膏体
EP2842574B1 (en) 2012-04-25 2018-12-19 Hitachi Chemical Co., Ltd. Sustained release carrier for drugs

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08175981A (ja) 1996-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0519926B1 (en) Transdermal system
JP2633089B2 (ja) 活性物質としてチュロブテロールを有する経皮投与用医薬製剤およびその製造方法
JP2004514738A (ja) 活性物質としてオキシブチニンで構成される経皮治療システム
JP2015083569A (ja) 安定化された経皮薬物送達システム
EP0450986B1 (en) A percutaneous-administration-type pharmaceutical preparation of nitroglycerin
WO2001072282A1 (en) Self-emulsifying matrix type transdermal preparation
JPS6366805B2 (ja)
JP4466977B2 (ja) 経皮的治療システム
WO2003013482A1 (en) Transdermal delivery of 5-ht3 antagonists
KR102039762B1 (ko) 다공성 미립자들을 포함한 경피 장치
JPS6250447B2 (ja)
JP3713295B2 (ja) 経皮適用製剤向け徐放性薬剤担体とその製造方法および経皮適用製剤
JPH0459296B2 (ja)
WO2001010420A1 (en) Transdermal patch comprising methylphenidate
EP0235259B1 (en) Novel transdermal anti-anginal pharmaceutical dosage unit and process for its administration
WO2021138710A1 (en) Substrate for use in a transdermal patch or dressing
JPS6342602B2 (ja)
CN112107561B (zh) 含有壳聚糖的药物制剂、药物透皮贴剂及其制备方法
US5705186A (en) Pharmaceutical composition for the systemic transdermal administration having the active substance morphine-6-glucuronide
CN109316469B (zh) 一种稳定的高载药利多卡因透皮贴剂及其制备方法
KR100439659B1 (ko) 툴로부테롤을 함유하는 경피흡수용 패취제
CN112022839A (zh) 含有环糊精的药物制剂、药物透皮贴剂及其制备方法
EP2520289B1 (en) Norethisterone-containing patch
CN112057437B (zh) 含有透明质酸的药物制剂、药物透皮贴剂及其制备方法
JPS596286B2 (ja) テ−プ製剤

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 19950206

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20011212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20021212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20030506

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20030707

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20030901

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20030901

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20030901

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050315

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050704

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050822

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080826

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080826

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090826

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090826

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100826

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110826

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110826

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120826

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120826

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140826

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees