JP3711753B2 - リヤサスペンション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はリヤサスペンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のリヤサスペンション装置としては、例えば、図17に示すような第1の従来例がある(特開昭62−105709号公報参照)。この第1の従来例は、いわゆるパラレルリンク式のストラットサスペンションと称される形式であり、トー角やキャンバ角を規定するために、ドライブシャフト1の前方及び後方に所定のスパンで、前側及び後側のラテラルリンク部材2、3が配置され、トレーリングリンクで前後方向を規定している。ストラットサスペンション形式とすることで、アッパリンクが必要なくなるので、車体リヤサイドメンバの車両幅方向及び高さ方向の配置自由度が向上し、後輪4付近のスペースが有効に活用されている。
【0003】
また、図18に示す第2の従来例がある(実開昭54−102814号公報参照)。この第2の従来例は、ラテラルリンク部材5を1本にして、前後に延びるラジアスアーム部材6によって後輪4のトー角を規定する形式とすることで、床下まで含め、よりスペースの活用が可能なリヤサスペンションを開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような第1及び第2の従来例にあっては、ラテラルリンク部材2、3、5の長さが車両レイアウト上限られているため、後輪4の上下動に伴ってラテラルリンク部材2、3、5に車両後面視で角度変化が生じ、その結果、ダブルウィッシュボーンサスペンションやセミトレーリングサスペンション、といった他の形式のサスペンションと比較して、比較的、後輪4の上下ストロークに伴うサスペンションのロールセンタ高の変化が大きくなる(図19参照)。
【0005】
このように、ストロークに伴ってロールセンタ高が大きく変化すると、車両の乗員や荷物などで積載条件が変化し、車両姿勢が変わった時に、車両の操舵応答性、特にロールの応答性が変化してしまうので、操舵フィーリング上好ましくない。このロールセンタ高変化を低減するためには、ラテラルリンク部材2、3、5の長さを長くすることが有効であるが、車両の幅方向寸法や、エキゾーストパイプなどの車両の床下レイアウト上の制限から、十分な長さを確保することは困難である。
【0006】
そこでこの発明は、レイアウト性に優れ、サスペンション性能上も優れたリヤサスペンション装置の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車輪を回転自在に支持する車輪支持体と、該車輪支持体の上部を、車体側に上下動自在に支持する上部支持部材と、前端が車体側に回転自在に取付けられると共に、後端が前記車輪支持体に一本の軸線回りに回転自在に取付けられて上下揺動自在なラジアスアーム部材と、一端が前記ラジアスアーム部材に回転自在に取付けられると共に、他端が車体側に回転自在に取付けられて車幅方向に延在する上下揺動自在なラテラルリンク部材とを備え、前記ラテラルリンク部材の一端が、ラジアスアーム部材の前後端間の中間部に取付けられ、ラテラルリンク部材の両端の取付点を結ぶ軸線が、ホイールセンタ又はその後方を通るように設定され、
かつ、該ラテラルリンク部材はラジアスアーム部材に形成された凹部内に締結されて、該凹部の間隔を保持可能な部材を介してラジアスアーム部材に取付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、ラテラルリンク部材の一端は、同他端よりも車体前後方向後方に配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、ラジアスアーム部材の後端は、車輪支持体に弾性を有する取付部材を介して取付けられ、車両平面視で、車輪支持体に対する取付けの一本の軸線に直交する入力に関する弾性中心がホイルセンタよりも車体前後方向後方に配置されたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、ラジアスアーム部材の後端は、車輪支持体に対する取付けの一本の軸線が車体前後方向に傾斜するように複数の取付部材で取付けられ、
該取付部材のうち、車体前後方向後方に配置される取付部材が球面継手で構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、ラテラルリンク部材のラジアスアーム部材に対する取付点が、車両平面視で、ラジアスアーム部材の車体側の取付点と2つの車輪支持体側の取付点を結ぶ三角形の内側に配置されたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、ラテラルリンク部材のラジアスアーム部材に対する取付点が、ラジアスアーム部材の車体側取付点と車輪支持体に対する取付けの一本の軸線とで決定される平面上に配置されたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、凹部の間隔を保持可能な部材は、ラテラルリンク部材に取付けられた弾性ブッシュ部材の内筒であり、該内筒の両端が凹部の内壁に当接していることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、凹部の間隔を保持可能な部材は、凹部に力を伝える方向が、ラジアスアーム部材の車体側取付点に向いていることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、凹部の間隔を保持可能な部材は、ラテラルリンク部材を支持する軸部と該軸部の両側に設けられて前記凹部の両側に締結される締結部とからなり、前記締結部の締結中心同士を結ぶ直線がラジアスアーム部材の車体側取付点に向き、軸部の軸線が、前記直線に対して車幅方向に所定角度を有していることを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、ラテラルリンク部材は、少なくとも一端が球面軸受で取付けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、ラテラルリンク部材は、開断面構造をなしていることを特徴とする。
【0020】
請求項12の発明は、上部支持部材が、下部が車輪支持体に剛結合されると共に、上部が車体側に取付けられたストラット部材であることを特徴とする。
【0021】
請求項13の発明は、上部支持部材が、先端が車輪支持体に回転可能に結合され、車幅方向内側が車体側に二点で回転可能に結合されているアッパアームであることを特徴とする。
【0022】
【発明の効果】
請求項1の発明では、ラテラルリンク部材の一端が、ラジアスアーム部材の中間部に取付けられているため、単位ストローク量あたりのラテラルリンク部材の車両後面視での角度変化が、ラテラルリンク部材を車輪支持体に対して直接取付ける場合に比べて小さくなる。従って、ラテラルリンク部材のストロークに伴う車両後面視での角度変化が減少した分、ストロークに伴うロールセンタ高変化が減り、レイアウト性に優れ、サスペンション性能上も優れたリヤサスペンション装置を提供することができる。
【0023】
また、ラテラルリンク部材の両端の取付点を結ぶ軸線が、ホイールセンタ又はその後方を通るため車輪に横力が入力した際に、ラジアスアーム部材をトーイン方向にステアさせる方向のモーメントが入力されるようになり、横力コンプライアンスステアのアンダステア化が図られ、車両の操舵応答性が向上する。
更に、ラジアスアーム部材に凹部を設けても、凹部の間隔を保持可能な部材が構造部材として機能し、ラジアスアーム部材を軽量で、強度、剛性に優れたものにできる。
【0024】
請求項2の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、実際にレイアウトできるラテラルリンク部材の長さよりも長い等価的なラテラルリンク部材として作用するため、車両後面視での等価的なラテラルリンク部材の長さを十分長いものとして、車輪のストロークに伴うロールセンタ高変化を更に低減し、車両の積載条件変化による姿勢変化で発生する車両の操舵応答性変化を低減することができる。
【0025】
請求項3の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、弾性中心の軸線に対する位置関係によっても、横力コンプライアンスステア特性をアンダステア化して、車両の操舵応答性を向上させることができる。
【0026】
請求項4の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、車輪支持体とラジアスアーム部材のトー角方向の結合剛性が高くなり、車両の操舵応答性や、しっかり感が向上する。
【0027】
請求項5の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、ラテラルリンク部材のラジアスアーム部材に対する取付点を、ラジアスアーム部材の車体側の取付点と2つの車輪支持体側の取付点を結ぶ三角形の内側に配置したため、ラテラルリンク部材の取付点を、より車両外側に配置することができ、ラテラルリンク部材の長さを確保しやすくなり、コンパクトな構成で、且つ、ストローク時のロールセンタ高変化を少なくできる。
【0028】
請求項6の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、ラテラルリンク部材からラジアスアーム部材に加わる入力が、ラジアスアーム部材のねじりモーメントを発生せず、ラジアスアーム部材の強度、剛性を更に高めるようになっている。
【0030】
請求項7の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、弾性ブッシュ部材の内筒の両端を延長して凹部の内壁に当接させたため、別部品が不要で、部品点数の低減を図ることができる。
【0031】
請求項8の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、凹部の間隔を保持可能な部材が、ラジアスアーム部材の車体側取付点を向いているため、該部材の向きがラジアスアーム部内での力の伝達経路と一致し、ラジアスアーム部材の強度、剛性を高める効果を示すことができる。
【0032】
請求項9の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、軸部がラジアスアーム部材の車体側取付点に向いていなくても、締結部の締結中心同士を結ぶ直線が向いているため、ラジアスアーム部材の強度、剛性を高める効果を示すことができる。
【0033】
請求項10の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、一端が球面軸受で取付けられているため、他端を一定方向にしか回転しない構造にしても良い。
【0034】
請求項11の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、ラテラルリンク部材を開断面構造にすることにより、ラテラルリンク部材のねじれ方向の剛性を下げているため、ストロークに伴って発生するラテラルリンク部材をねじる方向の変位入力が緩和され、サスペンションのストロークが滑らかになる。
【0035】
請求項12の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、ストラット部材で、車輪支持体のキャンバ角方向及びワインドアップ角方向の角度方向の位置決めを行うことができる。
【0036】
請求項13の発明では、前項までに記載した発明の効果に加えて、キャンバ角をアッパアームとラテラルリンク部材の相互作用で規定し、ワインドアップ角をアッパアームとラジアスアーム部材の相互作用で規定することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の複数の実施例を、図面に基づいて説明する。尚、各実施例において、共通する構成部分については同符号を付して説明し、重複する説明は省略する。
【0038】
図1〜図6は、本発明の第1実施例を示す図である。まず構成を説明すると、後輪7を回転自在に支持する車輪支持体8は、その上部で、「上部支持部材」としてのストラット部材9に剛性結合されている。ストラット部材9は後輪7の上下動に伴って伸縮し、その上端が図示せぬ車体側取付部材(具体的にはホイールハウスの上面部)に取付けられている。車輪支持体8の下部前方には、略車体前後方向に延びるラジアスアーム部材10の二股状の後端11、12が、軸線n回りに回動可能に取付けられており、該ラジアスアーム部材10の前端13は、図示せぬ車体側部材に揺動可能に取付けられている。ラジアスアーム部材10の前端13及び後端11、12の中間部には、略車幅方向に延びるラテラルリンク部材14が上下揺動自在に取付けられ、該ラテラルリンク部材14は、車両内側の端部で車体側部材に対して、ボールジョイント構造により、揺動自在に取付けられている。ストラット部材9には、車重を支えるばね部材16の取付面が設けられており、該ばね部材16はストラット部材9と車体側取付部材との間に設けられている。本サスペンションでは、車輪支持体8の前後方向及びトー角方向の位置決めがラジアスアーム部材10によって行われ、車輪支持体8のキャンバ角方向及びワインドアップ角方向の角度方向の位置決めがストラット部材9によって行われ、車輪支持体8の横方向の位置決めがラテラルリンク部材14によって行われる。
【0039】
更に、図2に示すように、平面視において、ラテラルリンク部材14の軸線mは車両外側に向かって車両後方に行くように、後退角αをもって設けられており、このラテラルリンク部材14の軸線mは、その車両外側への延長線がホイールセンタ(W/C)の後方を通るように設けられている。また、図3に示すように、ラジアスアーム部材10の二股状の後端11、12と、車輪支持体8とは、軸線n上に配置された1つの「弾性を有する取付部材」としての弾性ブッシュ部材17と、1つの「球面継手」としてのピロボール部材18によって取付けられており、軸線nまわりの回動は、弾性ブッシュ部材17のねじれ方向の弾性が比較的柔らかいため許容されるが、軸線nをこじる方向の回動は、弾性ブッシュ部材17の軸直方向の剛性が比較的高いため、あまり許容されないようになっている。更に、車両の前後方向の関係において、車両後方に配置される側にピロボール部材18が、車両前方に配置される側に弾性ブッシュ部材17が配置されている。
【0040】
次に、作用を説明する。
【0041】
図4に示したように、後輪7が上下方向にLだけストロークすると、ラテラルリンク部材14のラジアスアーム部材10側の取付点Pは、図示したレバー比γだけしか上下動しない。従って、単位ストローク量あたりのラテラルリンク部材14の車両後面視での角度変化が、ラテラルリンク部材14が車輪支持体8に対して直接取付けられている場合に比べて小さくなる。その結果、図5に示すように、ラテラルリンク部材14のストロークに伴う車両後面視での角度変化が減少した分、ストロークに伴うロールセンタ高変化が減る。本実施例によれば、ラテラルリンク部材14を実際に長くすることなく、ストローク時のラテラルリンク部材14の角度変化を抑えて、ロールセンタ高変化を低減することができる。すなわち、ラテラルリンク部材14の角度変化が小さくなると、ストロークに伴うサスペンションの瞬間中心の横移動量が小さくなり、その結果、ロールセンタ高変化も小さくなる。従って、従来の課題を解決できる。
【0042】
更に、本実施例では、平面視において、ラテラルリンク部材14の軸線mを車両外側に向かって車両後方に行くように、後退角αを設けたので、車両後面視におけるラテラルリンク部材14の等価的な長さを考えた場合に、図7に示す如く、実際にレイアウトできるラテラルリンク部材14の長さよりも長い等価的なラテラルリンク部材として作用するため、従来例に比べて、車両後面視での等価的なラテラルリンク部材の長さを十分長いものとして、後輪7のストロークに伴うロールセンタ高変化を更に低減し、車両の積載条件変化による姿勢変化で発生する車両の操舵応答性変化を低減することができる。
【0043】
そして、ラジアスアーム部材10と車輪支持体8を取付けている後端11、12(弾性ブッシュ部材17、ピロボール部18材)は、共にホイールセンタW/Cよりも後方に配置されている。このように、車輪支持体8とラジアスアーム部材10の結合部を、ホイールセンタW/Cよりも後方に配置することによって、後輪7に横力が入力された時に、トーイン方向に車輪支持体8をステアさせる、横力コンプライアンスステアのアンダステア効果が得られる。
【0044】
また、ラジアスアーム部材10と車輪支持体8を取付けている結合部を、ホイールセンタW/Cよりも後方に配置することで、ラテラルリンク部材14のラジアスアーム部材10側の取付点が、車体前後方向の関係で、ホイールセンタW/C近辺に配置されるようになり、横力の入力時におけるラジアスアーム部材10への曲げモーメントの入力が減って、ラジアスアーム部材10を軽量化できる。更に、ラテラルリンク部材14のラジアスアーム部材10側の取付点が、車体前後方向の関係で、ホイールセンタW/C近辺に配置されることは、サスペンションの横方向の剛性を高め、車両の操舵時のしっかり感を向上させることにもなる。そして、ラジアスアーム部材10の車輪支持体8に対する結合部を、ホイールセンタW/Cよりも後方に配置することで、ラジアスアーム部材10の長さを長く確保でき、後輪7が大きくストロークした時の前方への引き込みを防止することができ、車両の乗り心地が向上する。また、ラジアスアーム部材10の必要長さを確保しやすいので、ラジアスアーム部材10の車体側取付点を従来に比べ車両後方に設けることができ、車両の床下レイアウトの自由度を向上させる、コンパクトなサスペンションとできる。
【0045】
尚、この実施例では、ストラット部材9と車体との間にばね部材16を載せた例を示したが、ばね部材16は、ラジアスアーム部材10上や、ラテラルリンク部材14上など、どこに配置されても良いし、実施例では従動輪のリヤサスペンションの例を示しているが、駆動輪であっても効果、作用に違いはない。
【0046】
図8は、第2実施例を示す。
【0047】
本実施例では、第1実施例と比べて、ストラット部材でキャンバ角やワインドアップ角を規定するかわりに、「上部支持部材」としてのアッパアーム19を設けて、キャンバ角をアッパアーム19とラテラルリンク部材20の相互作用で規定し、ワインドアップ角をアッパアーム19とラジアスアーム部材20の相互作用で規定するようにしたものである。また、ラテラルリンク部材20の断面形状も、図示されているように、下側に開いた断面ハット形状になっている。ラテラルリンク部材20の作用や、ラジアスアーム部材10の作用は、基本的に第1実施例と同様であり、実際にレイアウトされているラテラルリンク部材20よりも長い仮想的なラテラルリンク部材をもつサスペンションのような、ストローク時のロールセンタ高の変化が少ない特性をもたせることができる。また、この実施例では、ラテラルリンク部材20を断面ハット形状の開断面とすることにより、ラテラルリンク部材20のねじれ方向の剛性を下げている。このような構成とすることで、ストロークに伴って発生するラテラルリンク部材20をねじる方向の変位入力が緩和され、サスペンションのストロークが滑らかになる。
【0048】
図9は、第3実施例を示す。
【0049】
この実施例では、図9に示したように、車両平面視において、ラテラルリンク部材21に後退角を設けず、ラテラルリンク部材21び軸線mが車両外側の延長部分で、ホイールセンタW/Cよりも後方を通るように設定されている。このような配置とすることによって、後輪7に横力が入力した際には、ラジアスアーム部材10(すなわち、車輪支持体8)をトーイン方向にステアさせる方向のモーメントが入力されるようになり、横力コンプライアンスステアのアンダステア化が図られ、車両の操舵応答性が向上する。
【0050】
図10には、第4実施例を示す。
【0051】
この実施例では、ラジアスアーム部材10と車輪支持体8の結合部を、ベアリング部材22で構成している。この実施例では、軸nの方向に相対変化しないので、横力トーインの効果は失われるものの、その他の効果は十分に発揮され、更に、結合部のトー角方向の結合剛性が上がるので、サスペンションのトー角方向の剛性が大きく高まって、車両の応答性やしっかり感が向上するという効果が期待できる。
【0052】
図11には、第5実施例を示す。
【0053】
この実施例では、ラジアスアーム部材10と車輪支持体8の結合部を、ボールジョイント23で構成している。ボールジョイント23を用いても同様の効果が期待できる。
【0054】
図12には、第6実施例を示す。
【0055】
この実施例では、ラジアスアーム部材10と車輪支持体8の結合部を、軸線n上に設けられた2つの弾性ブッシュ部材24で構成している。本実施例では、サスペンションの防振性能やコンプライアンスが高まり、車両の静粛性や路面突起通過時の乗り心地が向上する。
【0056】
図13には、第7実施例を示す。
【0057】
この実施例では、ラジアスアーム部材10と車輪支持体8の結合部を、軸線n方向に延びた比較的長い1つの弾性ブッシュ部材25で構成した例が示されている。この場合には、特に軽量で安価な構成とできる。作用及び効果は、第6実施例と略同様である。この第7実施例及び前記第6実施例においては、一対の弾性ブッシュ部材24の組や、長い弾性ブッシュ25の弾性中心をホイールセンタW/Cよりも後方に配置することで、第1実施例等と同じく、横力コンプライアンスステア特性をアンダステア化して、車両の操舵応答性を向上させることができる。また、第1実施例や第4、5実施例では、サスペンションの横方向の剛性を高くでき、車両の操舵時のしっかり感を向上できる。
【0058】
図14及び図15は、第8実施例を示す。
【0059】
この第8実施例では、ラジアスアーム部材26の形状と、ラテラルリンク部材27の結合構造を示す。図示したように、ラテラルリンク部材27のラジアスアーム部材26への取付点Pは、ラジアスアーム部材26の車体側取付点Aと、ラジアスアーム部材26の車輪支持体8側の取付点B、Cとで構成される三角形の内側に設けられている。そのために、ラジアスアーム部材26には、ラテラルリンク部材27の取付点Pを囲むような凹部28が設けられている。この凹部28には、ラテラルリンク部材27の弾性ブッシュ部材29における内筒29aの両端が、凹部28の両側に突き当てられた状態でボルトナット30により締結されている。
【0060】
取付点Pを、取付点A、B、Cで構成される三角形状の中に入れることで、取付点Pを、より車両外側に配置することができ、ラテラルリンク部材27の長さを確保しやすくなり、本発明の狙いであるコンパクトな構成で、かつ、ストローク時のロールセンタ高変化を少なくするという目的を達成しやすくなる。また、取付点Pの内筒29aの両端を凹部28の両側に突き当てた状態にしたため、ラジアスアーム部材26に凹部28を設けても内筒29aが「凹部28の間隔を保持可能な部材」として機能し、ラジアスアーム部材26を、軽量で、強度、剛性に優れたものとできる。更に、弾性ブッシュ部材29の内筒29aの両端を延長して凹部28の内壁に当接させたため、別部品が不要で、部品点数の低減を図ることができる。
【0061】
更に、本実施例では、後輪に前後力が入力された時にラジアスアーム部材26内での力の伝達経路となるであろうと考えられる、A点とP点を結ぶ軸線oを、ラテラルリンク部材27の軸線mに直交する線に略一致させているため、弾性ブッシュ部材29の内筒29aがラジアスアーム部材26の強度、剛性を高める効果を示し、またサスペンションの横方向の剛性が高まるようにしている。
【0062】
また、取付点Pは、他の取付点A、B、Cで決定される平面(正確には取付点Aと軸線oを含む平面)上に設けられており、ラテラルリンク部材27からラジアスアーム部材26に加わる入力が、ラジアスアーム部材26のねじりモーメントを発生しないようになっており、ラジアスアーム部材26の強度、剛性を更に高めるようになっている。
【0063】
図16は、第9実施例を示す。
【0064】
ラテラルリンク部材27における弾性ブッシュ部材31の軸部31aの両側には、耳状の締結部31bが延長形成されており、該締結部31bをラジアスアーム部材26における凹部28の両側部位に取付ける構造にしている。ラテラルリンク部材27の弾性ブッシュ部材31における軸部31aの軸線qは、取付点AとBとを結ぶ線と一致していないが、締結部31bの締結中心同士を結ぶ軸線は、取付点AとPとを結ぶ軸線oと一致する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る概略斜視図である。
【図2】第1実施例に係る概略平面図である。
【図3】第1実施例に係る一部断面の平面図である。
【図4】第1実施例に係り、平面から見た作用説明図である。
【図5】第1実施例に係り、車両後方から見た作用説明図である。
【図6】第1実施例に係り、ロールセンタ高を示すグラフである。
【図7】第1実施例に係り、ラテラルリンク長さを示す図である。
【図8】第2実施例に係る概略斜視図である。
【図9】第3実施例に係る概略平面図である。
【図10】第4実施例に係り、ラジアスアーム部材と車輪支持体の結合部を示す断面図。
【図11】第5実施例に係り、ラジアスアーム部材と車輪支持体の結合部を示す断面図。
【図12】第6実施例に係り、ラジアスアーム部材と車輪支持体の結合部を示す断面図。
【図13】第7実施例に係り、ラジアスアーム部材と車輪支持体の結合部を示す断面図。
【図14】第8実施例に係る概略平面図である。
【図15】第8実施例に係り、ラテラルリンク部材の弾性ブッシュ部材を示す断面図である。
【図16】第9実施例に係る概略平面図である。
【図17】第1の従来例を示す一部断面の車両後方から見た後面図である。
【図18】第2の従来例を示す概略平面図である。一部断面の車両後方から見た後面図である。
【図19】第1従来例及び第2従来例に係り、車両後方から見た作用説明図である。
【図20】第1従来例及び第2従来例に係り、ロールセンタ高を示すグラフである。
【符号の説明】
7 後輪
8 車輪支持体
9 ストラット部材(上部支持部材)
10、26 ラジアスアーム部材
14、20、21、27 ラテラルリンク部材
19 アッパアーム(上部支持部材)
28 凹部
n、m 軸線
W/C ホイールセンタ
Claims (13)
- 車輪を回転自在に支持する車輪支持体と、
該車輪支持体の上部を、車体側に上下動自在に支持する上部支持部材と、
前端が車体側に回転自在に取付けられると共に、後端が前記車輪支持体に一本の軸線回りに回転自在に取付けられて上下揺動自在なラジアスアーム部材と、
一端が前記ラジアスアーム部材に回転自在に取付けられると共に、他端が車体側に回転自在に取付けられて車幅方向に延在する上下揺動自在なラテラルリンク部材とを備え、
前記ラテラルリンク部材の一端が、ラジアスアーム部材の前後端間の中間部に取付けられ、ラテラルリンク部材の両端の取付点を結ぶ軸線が、ホイールセンタ又はその後方を通るように設定され、
ラテラルリンク部材はラジアスアーム部材に形成された凹部内に締結されて、該凹部の間隔を保持可能な部材を介してラジアスアーム部材に取付けられていることを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1記載のリヤサスペンション装置であって、
ラテラルリンク部材の一端は、同他端よりも車体前後方向後方に配置されたことを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のリヤサスペンション装置であって、
ラジアスアーム部材の後端は、車輪支持体に弾性を有する取付部材を介して取付けられ、
車両平面視で、車輪支持体に対する取付けの一本の軸線に直交する入力に関する弾性中心がホイルセンタよりも車体前後方向後方に配置されたことを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリヤサスペンション装置であって、
ラジアスアーム部材の後端は、車輪支持体に対する取付けの一本の軸線が車体前後方向に傾斜するように複数の取付部材で取付けられ、
該取付部材のうち、車体前後方向後方に配置される取付部材が球面継手で構成されていることを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリヤサスペンション装置であって、
ラテラルリンク部材のラジアスアーム部材に対する取付点が、車両平面視で、ラジアスアーム部材の車体側の取付点と2つの車輪支持体側の取付点を結ぶ三角形の内側に配置されたことを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のリヤサスペンション装置であって、
ラテラルリンク部材のラジアスアーム部材に対する取付点が、ラジアスアーム部材の車体側取付点と車輪支持体に対する取付けの一本の軸線とで決定される平面上に配置されたことを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のリヤサスペンション装置であって、
凹部の間隔を保持可能な部材は、ラテラルリンク部材に取付けられた弾性ブッシュ部材の内筒であり、該内筒の両端が凹部の内壁に当接していることを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載のリヤサスペンション装置であって、
凹部の間隔を保持可能な部材は、凹部に力を伝える方向が、ラジアスアーム部材の車体側取付点に向いていることを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項8記載のリヤサスペンション装置であって、
凹部の間隔を保持可能な部材は、ラテラルリンク部材を支持する軸部と該軸部の両側に設けられて前記凹部の両側に締結される締結部とからなり、前記締結部の締結中心同士を結ぶ直線がラジアスアーム部材の車体側取付点に向き、軸部の軸線が、前記直線に対して車幅方向に所定角度を有していることを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載のリヤサスペンション装置であって、
ラテラルリンク部材は、少なくとも一端が球面軸受で取付けられていることを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載のリヤサスペンション装置であって、
ラテラルリンク部材は、開断面構造をなしていることを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載のリヤサスペンション装置であって、
上部支持部材が、下部が車輪支持体に剛結合されると共に、上部が車体側に取付けられたストラット部材であることを特徴とするリヤサスペンション装置。 - 請求項1〜12のいずれか1項に記載のリヤサスペンション装置であって、
上部支持部材が、先端が車輪支持体に回転可能に結合され、車幅方向内側が車体側に二点で回転可能に結合されているアッパアームであることを特徴とするリヤサスペンション装置。
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