JP3710158B2 - 5−アミノテトラゾールの製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はガス発生剤、あるいは医薬および農薬材料の中間原料として有用な5−アミノテトラゾールの工業的製法に関し、更に詳しくは、シアナミドとヒドラジンより、中間体を単離することなく、5−アミノテトラゾールを製造する方法に関する。本発明は更に上記5−アミノテトラゾール又はその金属塩を噴霧乾燥して粉末化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
5−アミノテトラゾールの製造法については、従来いくつかの方法が知られており、たとえばジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry) 、15巻、第1082頁(1950)にはシアナミドとアジ化水素酸とを反応させてイミドアジドを得、これを環化させる方法が提案されている。この反応は、次式に従うものと考えられる。
【0003】
【化1】
【0004】
また、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry) 、18巻、第779 頁(1953)にはアミノグアニジン塩に亜硝酸を作用させてジアゾグアニジン塩を生ぜしめ、これを酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム又は希鉱酸と加熱閉環させて、5−置換テトラゾールを合成する方法が提案されている。更にチェコスロヴァキア特許第190055号にはアミノグアニジン硫酸塩をジアゾ化してジアゾグアニジン塩を生成せしめ、これを酢酸ナトリウムで加熱閉環させて5−アミノテトラゾールを合成することか記載されている。
【0005】
【化2】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第1の提案では出発原料として、爆発性でかつ猛毒性であるアジ化水素酸を、遊離酸として取り扱う必要があり、装置の材質及び密閉性並びに排気、排水などの処理設備などに格別な注意をはらわなければならないため、工業的スケールでの実施は困難であった。
【0007】
また、前記第2の提案でも、出発原料として、高価なアミノグアニジン塩を使用する必要があり、また中間体として単離する必要があるジアゾグアニジン塩は不安定な化合物であるため、単離、環化反応中に一部分解して収率が低下したり、装置材質、処理装置などに特別な設備を必要とする工程があって、工業的スケールで実施するのは困難かつ不経済であった。
【0008】
一方、5−アミノテトラゾールと反応して塩を形成する物質としては、鉱酸、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属があげられる。ここにおいて、鉱酸の具体的な例は塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等である。アルカリ金属とアルカリ土類金属は主に水酸化物または酸化物として反応させることが多く、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム等が例示される。遷移金属の具体的な例はニッケル、亜鉛、銅、モリブデン、鉄等であり、これらはいずれも単体金属の形では用いず、無機金属塩や有機金属塩として使用する。無機金属塩の具体例は塩化銅、塩化モリブデンであり、有機金属塩の具体例は例えば酢酸ニッケル、酢酸亜鉛である。
【0009】
特に、5−アミノテトラゾールの金属塩類には、水やその他の有機溶剤に対する溶解性が高いものが多い。これらの金属塩を含んだ溶液を濃縮し晶析させて結晶を分離し、乾燥して無水物を得るにはその溶解性の良好なことから結晶の分離段階の歩止りは悪く、また濾過性の悪いものが多い。さらに物質の性質上、水和しやすいものが多く、その後の乾燥工程を十分に行なう必要があり、総合して工程が煩雑であるため、簡単に生成物を分離乾燥させ、かつ無水物を得ることが求められていた。
目的とする5−アミノテトラゾールの金属塩を含んだ反応液を、有機溶剤に分散して晶析させる工程も考えられるが、有機溶剤を使用することは操業上また安全衛生上好ましい方法とはいえず、有機溶剤を回収しても本来の製造工程に新たな工程が加わるため、コストがかさむ結果となる。
【0010】
燃料としてアジ化ソーダを用いる現行のアジド系ガス発生剤は、未反応で残存したアジドの毒性が問題となっている。また現行のガス発生装置ではガス発生時に同時に生成する反応後生成物を効率良くフィルターで濾過しなければならない。
非アジド系ガス発生剤は、未反応物の毒性が低いため利用が図られているが、アジド系と比較して燃焼温度が高く、反応後生成物の融点以上となって、発生ガス中の反応生成物をフィルターで濾過することが困難になるという不都合があった。そこで添加剤を加えて反応後生成物を濾過しやすい形状にする試みがなされている。濾過しやすい反応後生成物粒子を得るためには、高融点の成分と適当な低融点の成分が共存し、高融点微粒子を低融点物質で凝集融着して粒子化するのがよいとされている。
【0011】
5−アミノテトラゾールのアルカリ金属塩は、燃料として窒素ガス発生源になると同時に、燃焼することにより、他の添加剤であるケイ酸塩や炭酸塩と反応して、適度の低融点物質を形成することができる。また分解時に発生するNOxを低減する効果もある。
【0012】
従って、本発明者等は、従来技術の有していた前述の問題点を解消し、安全で安価な5−アミノテトラゾールの工業的製法を開発することを目的とする。
本発明は、また、無水の5−アミノテトラゾール又はその金属塩を収率よく、かつ取り扱いやすい粉体として得る方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、(イ)ヒドラジンを溶媒中で塩酸又は硫酸と反応せしめてヒドラジンの塩酸塩又は硫酸塩を生成せしめ、
(ロ)前記ヒドラジンの塩酸塩又は硫酸塩の溶液とシアナミドとを反応せしめてアミノグアニジンの塩酸塩又は硫酸塩溶液を生成せしめ、
(ハ)次に、これに、生成アミノグアニジン塩を単離することなく、塩酸又は硫酸を加え、そして亜硝酸塩を加えてジアゾグアニジン塩を生成せしめ、
(ニ)更に生成反応液から単離することなく、生成ジアゾグアニジン塩を70〜95℃の温度で1〜6時間加熱して環化せしめることにより、
中間体を単離することなく5−アミノテトラゾールを製造することを特徴とする5−アミノテトラゾールの製造方法が提供される。
【0014】
本発明に従えば、前記方法で得られた5−アミノテトラゾール又はその金属塩を噴霧乾燥することにより粒状化する粒状5−アミノテトラゾール又はその金属塩の製造方法が提供される。
特に、水溶性金属塩(例えばカリウム塩、マグネシウム塩など)はこの方法で好適に粒状化することができる。
【0015】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に従えば、シアナミドとヒドラジンより系内でアミノグアニジンを生成せしめ、次いで亜硝酸塩を反応させて系内で生成するジアゾグアニジン塩を単離することなく環化し、容易かつ安全に目的の5−アミノテトラゾールを製造できる。
【0016】
本発明の反応は次式のように進行するものと考えられる。
【0017】
【化3】
【0018】
本発明ではまず、シアナミドとヒドラジンを溶媒(例えば水、エタノール、イソプロパノールなど)中で反応させてアミノグアニジン塩溶液を製造する。この反応においては、ヒドラジン水和物またはヒドラジンに溶媒中で酸を加えてpH調整し、ヒドラジン塩溶液またはスラリーを調製する。この反応においては、ヒドラジン水和物1モルに対して、酸を好ましくは約0.5〜3当量、更に好ましくは0.8〜1.2当量加えるのがよい。ヒドラジン塩を溶媒に溶解することによりヒドラジン塩溶液を調製してもよい。
【0019】
本発明において、ヒドラジン水和物を中和する酸としては、塩酸又は硫酸を経済性の面から使用する。従って、ヒドラジン塩はこれに対応して塩酸塩又は硫酸塩である。
【0020】
本発明では前記ヒドラジン塩溶液に、ヒドラジン1モルあたりシアナミドを好ましくは約0.8〜3モル、更に好ましくは0.8〜1.5モル加えて加熱することにより、アミノグアニジン塩溶液を好適に製造する。
【0021】
本反応に用いるシアナミドは結晶又は溶液として添加することができる。溶液とする場合の溶媒は、反応原料、反応中間体と反応せず、原料を溶解しうる溶媒であれば特に限定されるものではないが、安価で安全性が高いという面から水を使用するのが好ましい。シアナミド濃度は約5〜100重量%、更に好ましくは10〜60重量%とするのがよい。
【0022】
本反応の反応温度は特に限定はされないが、15℃以上で好適に行うことができるが、反応速度、原料や生成したアミノグアニジンの分解および副反応の抑制等の観点から50〜95℃が最も好ましい。反応時間は、特に制限されるものではないが、好ましくは30分〜8時間、更に好ましくは、2時間〜5時間の範囲で行うのがよい。
【0023】
上記の反応で生成したアミノグアニジンの塩酸塩又は硫酸塩の溶液に次に塩酸又は硫酸を加え、更に亜硝酸塩溶液を添加して反応せしめ、ジアゾグアニジン塩溶液とする。なお、塩酸及び硫酸を使用できるが、反応性より塩酸の使用が特に好ましい。アミノグアニジン塩1モルあたり、好ましくは酸0.5〜3当量、更に好ましくは0.8〜1.2当量加えた後、亜硝酸塩溶液を添加して反応せしめ、ジアゾグアニジン塩溶液を得る。
【0024】
亜硝酸塩は、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸アンモニウム等が使用可能だが、反応性よりアルカリ金属の亜硝酸塩が好ましく、溶解性、経済性などの観点より亜硝酸ナトリウムがさらに好ましい。アミノグアニジンに対する亜硝酸塩の好ましい添加量はアミノグアニジン塩1モル当り0.5〜3.0当量、更に好ましくは0.8〜1.2当量である。
【0025】
亜硝酸塩溶液は反応溶媒と同一の溶媒、又は反応溶媒と混合し得る溶媒を用いて5〜100重量%の濃度に調整して用いる。
【0026】
この反応の反応温度は、生成するジアゾグアニジン塩溶液の分解防止の点から、50℃以下で行うのが好ましく、反応速度を勘案すると0℃〜40℃が更に好ましい。好ましい反応時間は5分〜5時間である。
【0027】
本発明では上記反応液にアルカリ溶液を加えてpH調整した後、加熱することにより所望の環化反応を行わせしめ、目的の5−アミノテトラゾール水和物の結晶を得ることができる。
【0028】
上記環化反応は、好ましくはpH1〜9、更に好ましくはpH1〜3で行うのがよい。
【0029】
pH調整に用いることができるアルカリとしては、特に限定されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の無機アルカリを挙げることができ、各種溶媒の使用も可能だが、反応性のよさや入手の容易さなどの観点から水酸化ナトリウム水溶液の使用が好ましい。
【0030】
この反応は反応液を激しく攪拌しながら例えば5〜100重量%の濃度のアルカリ溶液を、反応温度70〜95℃に保てる速度で添加する。
【0031】
前記環化反応の反応時間は、1〜6時間、好ましくは1〜3時間の範囲で行うのがよい。
【0032】
反応終了後、反応液を徐々に例えば5℃以下の温度に冷却し、5−アミノテトラゾール水和物結晶を析出させる。結晶の収率は通常70%以上(ヒドラジンより)であり、純度は95%以上(純度は中和滴定により測定)である。
【0033】
このようにして本発明の目的化合物である5−アミノテトラゾールが水和物の形で得られるが、さらに高純度のものが得たい場合には、カラムクロマトグラフィー、再結晶などの方法を用いて精製することができる。
【0034】
かかる再結晶は水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなど)、DMF(ジメチルホルムアミド)などの極性溶媒を使用できるが、溶解性、経済性などの観点から水を用いて行うのが好ましい。反応で得られた5−アミノテトラゾール水和物の結晶を0.5〜6倍量の溶媒に加熱溶解し、冷却して晶析させた後濾過する。得られた湿結晶を、好ましくは30℃以下、更に好ましくは20℃以下で減圧乾燥することにより、純度98%以上の5−アミノテトラゾール水和物結晶を得ることができる。
【0035】
前記水和物結晶を箱型乾燥器、流動乾燥器、気流乾燥器などの公知の乾燥器を用い、乾燥と同時に水を除去して無水物とすることもできる。特に、水に対する溶解度の大きな無水の5−アミノテトラゾール金属塩を調製する場合は、水性溶媒中で反応させた反応溶液を直接噴霧乾燥する方法が、収率および工程の簡略化の面からも好ましい。
【0036】
乾燥条件は、乾燥器により異なるが、箱型乾燥器を用いる場合には、脱水速度、5−アミノテトラゾール無水物の分解防止の観点から、好ましくは乾燥温度60〜200℃、更に好ましくは80〜150℃、好ましくは乾燥時間30分〜48時間、更に好ましくは8〜16時間で行なうのがよい。
【0037】
無水の5−アミノテトラゾール金属塩、特に無水の5−アミノテトラゾールアルカリ金属塩、無水の5−アミノテトラゾールアルカリ土類金属塩を得る場合には、5−アミノテトラゾールを当量の金属水酸化物または金属酸化物で中和した、均一な溶液を噴霧乾燥することにより、従来行なっていた濃縮、分離、乾燥による無水物化の工程が省略でき、反応液から直接無水物を得ることができる。
【0038】
噴霧乾燥の条件として、溶媒の蒸発が行なわれるため、熱風温度を通常の箱型乾燥器や流動乾燥器、気流乾燥器よりも高い値に設定する。具体的には熱風温度は好ましくは120〜230℃、更に好ましくは180〜215℃の範囲がよい。ただ安全上の観点から、乾燥しようとする無水物の分解点以上に設定しない方がよい。このようにし得られた乾燥品は平均5〜50μmの粉末状であり、その比表面積は箱型乾燥器で乾燥させた場合に比較して数倍以上大きい。
【0039】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0040】
実施例1
温度計及び攪拌装置を供えた1000mlの四ツ口フラスコにヒドラジン一水和物65.0g(1.3モル)を仕込み、攪拌しながら36重量%塩酸水溶液131.8g(1.3モル)を加えて中和した後、50重量%シアナミド水溶液109.2g(1.3モル)、水185gを滴下し85℃で3時間反応させた。反応終了後、36重量%塩酸水溶液121.6gを加え、反応温度40℃以下で26重量%亜硝酸ナトリウム水溶液321.7g(1.2モル)を滴下した。室温で一晩放置後、99%水酸化ナトリウム48.5g(1.2モル)を加え、反応温度85℃で3時間反応させた。反応終了後、3℃まで冷却し、吸引濾過により濾別し、5−アミノテトラゾール結晶124.0gを得た。
【0041】
これに水372.0gを加え85℃まで昇温し溶解させた後、3℃まで冷却し吸引濾過により濾別し、5−アミノテトラゾール水和物湿結晶103.8gを得た。これを室温で1時間減圧乾燥させ、純度99.9%の5AT−水和物結晶97.7g(収率72.9%)を得た。得られた精製5−アミノテトラゾール水和物の融解温度は207〜209℃であり、熱重量分析で融解前に1水和物に相当する重量減少が観察された。また、赤外分光分析(IR)の結果は図1の通りであって標品と一致した。
【0042】
前記5−アミノテトラゾール水和物5.12gを乾燥機中に広げ、110℃で12時間加熱して結晶水を除き、純度100.0%の5−アミノテトラゾール無水物4.21g(5−アミノテトラゾール水和物に対する収率99.6%)を得ることができる。得られた5−アミノテトラゾール無水物の融解温度は207〜209℃であり、また、赤外分光分析(IR)の結果は図2のとおりであっていずれも標品と一致した。
【0043】
実施例2
実施例1と同様な装置にヒドラジン1/2硫酸塩129.5g(1.0モル)、水25gを仕込み50%シアナミド水溶液84.0gを滴下し、85℃で3時間反応させる。反応終了後35%硫酸127.3g(0.5モル)を加え、以下実施例1と同様にして5−アミノテトラゾール水和物結晶73.3g(0.71モル;ヒドラジン硫酸塩に対する収率71.2%)を得た。得られた5−アミノテトラゾール水和物の融解温度は207〜209℃であり、熱重量分析で融解前に1水和物に相当する重量減少が観察された。また、赤外分光分析(IR)の結果は図1の通りであっていずれも標品と一致した。
【0044】
実施例3
実施例1の50%シアナミド水溶液の代わりに、シアナミド結晶(純度98%)を用いる以外は同様にして5−アミノテトラゾール水和物結晶97.1g(0.94モル;ヒドラジン水和物に対する収率72.3%)を得た。得られた5−アミノテトラゾール水和物の融解温度は207〜209℃であり、熱重量分析で融解前に1水和物に相当する重量減少が観察された。また、赤外分光分析(IR)の結果は図1のとおりであっていずれも標品と一致した。
【0045】
実施例4
温度計及び攪拌装置を備えた100lの溶解槽に蒸留水51.045kgを仕込み、攪拌しながら粉体の5−アミノテトラゾール0.515kg(6.00モル)を溶解し、1重量%5−アミノテトラゾール水溶液51.560kgを得た。
この水溶液を噴霧乾燥器〔OUT−12(機器名)、大川原化工機株式会社(製作会社名、日本国)〕に定量ポンプにて導入する。噴霧ノズルは加圧ノズルを用いた。装置は乾燥室とサイクロンからなり、微粉末は乾燥室とサイクロン下に取付けたステンレス製試料捕集ビンに捕集される。
噴霧乾燥器は熱風温度を215℃に設定し、熱風温度が設定値に達した後、水溶液を15リットル/時間の流量で導入したところ、導入後ただちに乾燥結晶が得られるのを観察窓から確認した。
【0046】
水溶液の導入が終了し、熱風用ヒーターを止めて機器が冷却してから試料を取りだしたところ、試料捕集ビンと乾燥室で集められた粉末試料は0.390kgであった。得られた試料の水分をカールフィッシャー法で測定したところ、0.10重量%であり、無水物が得られたことがわかった。この結果、水溶液からの収率は75%であった。さらにこの試料の走査型電子顕微鏡写真によれば、得られた粉末結晶は略球状と粒状の粒子であることが確認された。また得られた試料の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布計〔MICROTRAC FRA(機器名)、LEED'S & NORTHRUP Co.(製作会社、USA)〕を用い、分散媒をn−ヘプタンにて測定したところ、体積基準径で累積10%径が12μm、累積50%径が27μm、累積90%径が49μmであり、平均径が30μmであった。
【0047】
噴霧乾燥試験後、乾燥室を約6リットルの水で洗浄し、その水溶液を濃縮乾固したところ乾固物は0.258kgであり、分析したところ5−アミノテトラゾール99.8重量%、水分0.2重量%の無水物であった。またこれは溶解した原料の20重量%であった。この無水物は回収し、使用するに十分な品質であった。
【0048】
実施例5
温度計及び攪拌装置を備えた1000mlの四ツ口フラスコに35重量%水酸化カリウム水溶液482.4g(3.00モル)を仕込み、80℃に昇温した。その後、攪拌しながら粉体の5−アミノテトラゾール257.8g(3.00モル)を添加し、30分間反応させ、50重量%5−アミノテトラゾールカリウム塩水溶液739.0gを得た。
【0049】
この水溶液を噴霧乾燥器〔モビルマイナー(機器名)、ニロ社(製作会社名、デンマーク王国)〕に定量ポンプにて導入する。噴霧ノズルはロータリーディスクノズルを用いた。装置は乾燥室とサイクロンからなり、微粉末はサイクロン下に取付けたガラス製試料捕集ビンに捕集される。
噴霧乾燥器は熱風温度を200℃に設定し、熱風温度が設定値に達した後、水溶液を600ml/時間の流量で導入したところ、導入後ただちに乾燥結晶が試料捕集ビンに得られるのを確認した。
【0050】
水溶液の導入が終了し、熱風用ヒーターを止めて機器が冷却してから試料を取りだしたところ、試料捕集ビンと乾燥室で集められた粉末試料は277.1gであった。得られた試料の水分をカールフィッシャー法で測定したところ、0.03重量%であり、無水物が得られたことがわかった。この結果、水溶液からの収率は75%であった。さらにこの試料の走査型電子顕微鏡写真によれば、得られた粉末結晶は約半分が略球状の粒子であることが確認された。また得られた試料の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布計〔MICROTRAC FRA(機器名)、LEED'S & NORTHRUP Co.(製作会社、USA)〕を用い、分散媒をn−ヘプタンにて測定したところ、体積基準径で累積10%径が7μm、累積50%径が26μm、累積90%径が46μmであり、平均径が27μmであった。
【0051】
噴霧乾燥試験後、乾燥室を約3リットルの水で洗浄し、その水溶液を濃縮乾固したところ乾固物は74.0gであり、分析したところ5−アミノテトラゾールカリウム塩99.8重量%、水分0.2重量%の無水物であった。またこれは最初に調製したカリウム塩の20重量%であった。この無水物は回収し、使用するに十分な品質であった。また、赤外分光分析(IR)の結果は図3の通りであって標品と一致した。
【0052】
実施例6
温度計及び攪拌装置を備えた2000mlの四ツ口フラスコに5−アミノテトラゾール76.5g(0.90モル)、水1000gを仕込み、80℃に昇温した。その後、5重量%酸化マグネシウムスラリー363.2g(0.45モル)を滴下し、1時間反応させ、6重量%5−アミノテトラゾールマグネシウム塩水溶液1438.0gを得た。
【0053】
この水溶液を前記実施例4と同様に、噴霧乾燥器に導入した。導入する試料溶液が異なる以外は、乾燥条件は同一にして噴霧乾燥を実施した。試料の導入後、ただちに乾燥結晶が試料捕集ビンに得られるのを確認した。
水溶液の導入が終了し、熱風用ヒーターを止めて機器が冷却してから試料を取りだしたところ、試料捕集ビンと乾燥室で集められた粉末試料は65.0gであった。得られた試料の水分をカールフィッシャー法で測定したところ、0.10重量%であり、無水物が得られたことがわかった。この結果、水溶液からの収率は75%であった。さらにこの試料の走査型電子顕微鏡写真によれば、得られた粉末結晶の殆どが略球状の粒子であることが確認された。また得られた試料の粒度分布は、前記実施例4と同様の位置で同様に測定したところ、体積基準径で累積10%径が6μm、累積50%径が18μm、累積90%径が44μmであり、平均径が30μmであった。
【0054】
噴霧乾燥試験後、乾燥室を約3リットルの水で洗浄し、その水溶液を濃縮乾固したところ乾固物は17.3gであり、分析したところ5−アミノテトラゾールマグネシウム塩99.8重量%、水分0.2重量%の無水物であった。またこれは最初に調製したマグネシウム塩の20重量%であった。この無水物は回収し、使用するに十分な品質であった。また、赤外分光分析(IR)の結果は図4の通りであって、標品と一致した。
【0055】
比較例1
温度計及び攪拌装置を備えた1000mlの四ツ口フラスコに5−アミノテトラゾール103.0g(1.20モル)、メタノール300.0gを仕込み、攪拌しながら21重量%水酸化カリウムメタノール溶液379.2g(0.60モル)を滴下し25℃で30分間反応させた。反応終了後、温度67℃で濃縮し、メタノール301gを留去した後、20℃まで冷却し、吸引濾過により濾別し、湿結晶112.2gを得た。これを80℃で12時間乾燥させ、純度99.5%の5−アミノテトラゾールカリウム塩結晶100.1g(収率67.3%)を得た。得られた精製5−アミノテトラゾールカリウム塩の融解温度は267〜269℃であり、誘導結合型プラズマ分析(ICP)によるカリウム定量の結果は31.3%となり、5−アミノテトラゾールとカリウムが1:1の組成物のカリウム含量とほぼ一致した。
【0056】
比較例2
温度計及び攪拌装置を備えた1000mlの四ツ口フラスコに5−アミノテトラゾール76.5g(0.90モル)、水450.0gを仕込み、攪拌しながら16.5重量%水酸化カリウム水溶液360.0g(0.90モル)を滴下し25℃で30分間反応させた。反応終了後、エバポレーターで濃縮し、水752.3gを留去した後、20℃まで冷却し、吸引濾過により濾別を試みたが、濾過性が非常に悪く困難だったため、引き続きエバポレーターで濃縮を行い乾固した。容器壁面に固結した結晶を掻き取り粉砕して、湿結晶129.0gを得た。これを、80℃で20hr乾燥させ、純度99.2%の5−アミノテトラゾールカリウム塩結晶107.5g(収率96.2%)を得た。
【0057】
前記実施例1,4〜6及び比較例1で得られた粉状5−アミノテトラゾールの物性を表1に示す。なお、表1に示した結果は以下の方法で測定した。
【0058】
分解熱量
1.JIS M8813「石炭類及びコークス類−発熱量測定方法」に準ずる方法により、燃研式B型熱量計により測定。
【0059】
分解開始温度
1.DSC(示差走査熱量計)の発熱開始温度をもって分解開始温度とした。
【0060】
燃焼試験
1)サンプル/酸素源(硝酸カリウム)=30/70(重量比)で混合し試料を調整する。
2)オレンジブック、可燃性固体(4.1)の試験法に基づきサンプルを長さ250mm、幅20mm、高さ10mmに成形する。
3)サンプルの一端をガスバーナーで加熱し、燃焼状態、延焼状態を観察する。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】
本発明方法は、従来はシアナミド、ヒドラジンから中間体であるアミノグアニジン、ジアゾグアニジン塩を単離、精製する工程を要して製造していた5−アミノテトラゾールを、中間体を単離することなしに高収率で製造する方法に関するものである。
【0063】
この方法によれば、従来法による各種の問題点、すなわち、中間体の危険性、これに伴う製造設備などのコスト高および収率の不十分さなどの問題点を解消して、安価にかつ安全に目的化合物である5−アミノテトラゾール水和物および5−アミノテトラゾール無水物を工業的規模で生産することができる。
また、本発明によれば、乾燥法としてスプレードライ法を用いることにより、燃料、酸化剤、添加剤と均一に混合分散しうる微粒子状の5−アミノテトラゾールアルカリ金属塩を粉砕工程を要さず高収率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の目的化合物、5−アミノテトラゾール水和物のIRチャートである。
【図2】本発明方法の目的化合物、5−アミノテトラゾール無水物のIRチャートである。
【図3】本発明方法の目的化合物、5−アミノテトラゾールカリウム塩のIRチャートである。
【図4】本発明方法の目的化合物、5−アミノテトラゾールマグネシウム塩のIRチャートである。
Claims (2)
- (イ)ヒドラジンを溶媒中で塩酸又は硫酸と反応せしめてヒドラジンの塩酸塩又は硫酸塩を生成せしめ、
(ロ)前記ヒドラジンの塩酸塩又は硫酸塩の溶液とシアナミドとを反応せしめてアミノグアニジンの塩酸塩又は硫酸塩溶液を生成せしめ、
(ハ)次に、これに、生成アミノグアニジン塩を単離することなく、塩酸又は硫酸を加え、そして亜硝酸塩を加えてジアゾグアニジン塩を生成せしめ、
(ニ)更に生成反応液から単離することなく、生成ジアゾグアニジン塩を70〜95℃の温度で1〜6時間加熱して環化せしめることにより、
中間体を単離することなく5−アミノテトラゾールを製造することを特徴とする5−アミノテトラゾールの製造方法。 - 請求項1で得られた5−アミノテトラゾール又はその金属塩を含む溶液を噴霧乾燥により粒状化することを特徴とする粉末状5−アミノテトラゾール又はその金属塩の製造方法。
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