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JP3701693B2 - 鎮痛薬含有注射用徐放性脂肪乳剤 - Google Patents

鎮痛薬含有注射用徐放性脂肪乳剤 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は鎮痛薬の徐放性製剤に関する。更に詳しくは、非経口投与、特に皮下、筋肉内投与することによる鎮痛効果の持続性向上を図ったオピオイド系鎮痛薬を含有する脂肪乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
モルヒネ、ブプレノルフィン、ペンタゾシン等のオピオイド系鎮痛薬は、優れた鎮痛効果を有することから、激しい痛みを伴う癌性疼痛、術後疼痛等の緩和を目的として臨床の場で広く用いられている。しかし、その鎮痛効果の持続性は投与後数時間であり、頻回投与を余儀なくされ、患者の精神的負担を大きくしている。
【0003】
一方、徐放性製剤は薬物の投与回数を削減し、治療効果を高め副作用を軽減させ、また経口投与剤の場合は患者のコンプライアンスを向上させるなど医療上多くの利点を有している。そのため徐放性製剤開発のために多くの剤型上の工夫がなされている。オピオイド系鎮痛薬としてはモルヒネの経口徐放性製剤が現在市販されているが持続時間は12時間が限度であり、又、経口製剤であるが故に消化器系障害のある患者には投与できない欠点がある。またこのように経口投与が困難な場合には注射剤が有用であるが、現在、注射型の徐放性鎮痛剤は実用化されていない。
【0004】
また近年、脂肪乳剤のドラックキャリヤー及び薬物担体としての有用性が注目されており、プロスタグランジン類(特開平4−300833、特開平4−338333、特開平4−338334、特開平4−360824等)、抗癌剤(特開平4−360824、特公平5−18806等)、抗炎症剤(特開昭60−1122、特開平4−360824)、ビタミンK(特公平4−22886)等の脂溶性薬物を含有した脂肪乳剤において、薬物の安定性の向上、目的部位への集積、薬効の延長等の効果が報告されている。しかしながら、脂肪乳剤を徐放性製剤の担体として用いることで、明確な徐放効果を記載した例は未だなされていない。更にブプレノルフィン、ペンタゾシン、モルヒネ等のオピオイド系鎮痛薬を脂肪乳剤に含有せしめた報告は皆無である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
薬物徐放性製剤の担体は生体内での適合性、分解性、安全性などの多面的な要因を全て満足できる条件が求められている。
一方、脂肪乳剤は既に栄養供給輸液として頻繁に用いられ、その安全性、分解性、適合性について保証されているにも関わらず、徐放性製剤の担体として用いている例は非常に少ないのが現状である。
上記の点から、本発明の目的は徐放性を持ちかつ徐放性をコントロールできるオピオイド系鎮痛薬含有注射用脂肪乳剤を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような事情に鑑み、本発明者らは水中油型脂肪乳剤を用いた徐放性製剤を開発するために鋭意研究を行い、徐放性を有した鎮痛薬含有脂肪乳剤を製造する方法を見いだし、これに基づいて更に研究した結果、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明はオピオイド系鎮痛薬を脂肪乳剤に含有せしめることにより徐放性を持たせ、更に目的に応じて徐放化能を調整するために脂肪乳剤の水相画分に生体適合性、生体分解性を有する高分子物質を添加してなることを特徴とする注射用徐放性鎮痛剤である。
【0008】
本発明において脂肪乳剤に含有せしめるオピオイド系鎮痛薬は特に限定されないが、ブプレノルフィン、モルヒネ、ペンタゾシン及びその塩が特に好ましい。また、その配合量は脂肪乳剤の形態及び用途によって適宜増減できるが、一般には当該乳剤または乳剤組成物中に有効量添加すればよい。
【0009】
本発明の脂肪乳剤の製造において用いる油基剤としては、注射剤として使用可能なグリセライドであれば限定はなく、例えば、大豆油、ゴマ油、綿実油、サフラワー油、コーン油のような植物油、魚油(特にエイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸含有油脂)、馬油、鯨油のような動物油及びこれらの精製物、更にはトリカプリリン(中鎖脂肪酸トリグリセライド)のごとく各種合成油脂、水素、ヨウ素等を添加した硬化ヒマシ油、硬化芥子油等が挙げられる。これらの油基剤はそれぞれ単独または数種の混合で用いられるが、更にこれらの油基剤にポリエチレングリコール等の合成高分子、ミツロウ等の脂肪酸エステルを添加することができる。さらに前述の植物油または動物油は、高純度精製油であることが好ましい。
【0010】
本発明で用いる乳化剤は乳化作用を有するものであれば特に限定はなく、例えば、イオン系、非イオン系界面活性剤、卵黄レシチン、大豆レシチン、水素添加レシチン、精製リン脂質、合成リン脂質、脂肪酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。これらの乳化剤は単独または数種の混合で用いてもよいが、好適には精製卵黄レシチンが単独で用いられる。
【0011】
乳化補助剤としては炭素数6〜22の脂肪酸類及びそのアルカリ金属塩を使用することができる。これらの脂肪酸は医薬品に添加可能なものであれば使用でき、直鎖、分岐のいずれでもよいが、直鎖のステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸を用いるのが特に好ましい。また、これらの塩としては生理的に受け入れられる塩、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩等)を用いることができる。
乳化安定剤としてはコレステロールやホスファチジン酸を用いることができ、医薬品として使用が可能であれば特に制限はない。
【0012】
本発明の脂肪乳剤に添加される生体適合性高分子物質は、医薬品として添加可能なものであればよく、例えば、ヒアルロン酸、アルギン酸、コンドロイチン硫酸、もしくはその塩、キトサン、デキストラン等の多糖類及びその誘導体、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン等のタンパク質及びその分解物であるペプチド、またはカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の各種合成高分子が挙げられるが、特にゼラチン及びヒアルロン酸、アルギン酸もしくはその塩が好ましい。
【0013】
これらの生体適合性高分子物質の添加剤は単独或いは数種を混合して用いられる。至適濃度は添加剤の種類によって異なるが、通常0.1〜30%位が好ましい。
【0014】
本発明の脂肪乳剤は例えば、以下のような方法により製造される。
オピオイド系鎮痛薬を含有した油基剤に乳化剤、グリセリン等の等張化剤、乳化補助剤、更に安定化剤を含有した水溶液を加えて、40℃〜90℃に加温しながら通常のホモジナイザー(例えば高圧噴射型ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等)を用いて均質化処理することにより油中水型分散液を作り、次いでこれに必要量の蒸留水を加え、再び前記ホモジナイザーで均質化を行って水中油型乳剤に転相することで製造することができる。
更に徐放化能を調節させる手段として、調製したオピオイド系鎮痛薬含有脂肪乳剤の水相に生体適合性高分子物質を添加することができる。
【0015】
また、オピオイド系鎮痛薬を含有した油基剤と乳化剤、等張化剤、乳化安定剤及び蒸留水を同時に加え、加温下でホモジナイザーを用い均質化処理をすることによって一挙に水中油型乳剤を製造することも可能である。この場合も水相に生体適合性高分子物質を添加することによって徐放化能を調節できる。
【0016】
本発明の脂肪乳剤を非経口投与、特に皮下、筋肉に投与するとき、市販のオピオイド系鎮痛剤より薬物が徐々に放出されるため長期間薬効が持続する。かかる徐放性は、乳剤の水相に生体適合性高分子物質を添加することによって更に長くすることが可能である。
【0017】
例えば、ブプレノルフィンを薬剤として用いた場合のマウスによる薬効試験では、市販の塩酸ブプレノルフィン製剤の薬効持続時間が8時間であったのに対して、脂肪乳剤に含有せしめたものは、24時間まで薬効の延長が認められた。更に当該乳剤の水相にゼラチンを添加することで投与後48時間まで薬効が延長し、従来の塩酸ブプレノルフィン製剤の6倍の作用時間を有するに至ったのである。つまり、本発明により、初めてオピオイド系鎮痛薬としての徐放性製剤の製造が可能となったのである。
【0018】
【実施例】
以下、実施例及び実験例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0019】
参考例 1
塩酸ブプレノルフィン200mgを蒸留水100mlに溶解後、pH8.0に調製し、精製大豆油100gを加え、振とう抽出後、遠心分離にてブプレノルフィン抽出大豆油を分取した。このブプレノルフィン抽出大豆油100gに精製卵黄レシチン(旭化成製)12g、濃グリセリン(和光純薬製、試薬特級)25gを加え、更に蒸留水を加え1000gとした。これを80℃でオートホモミキサーを用い、粗乳化した後、加圧噴射型ホモジナイザー(商品名:マントンゴウリン)にて70℃、350kg/cmの乳化条件にて乳化を行い、平均粒子径230nmのブプレノルフィン含有脂肪乳剤約1000mlを得た。
【0020】
実施例 1
参考例1の脂肪乳剤10mlにゼラチン(新田ゼラチン製、注射用)500mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、ゼラチン添加ブプレノルフィン含有脂肪乳剤を得た。
【0021】
実施例 2
参考例1の脂肪乳剤10mlにヒアルロン酸ナトリウム(和光純薬製、生化学用)80mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、ヒアルロン酸添加ブプレノルフィン含有脂肪乳剤を得た。
【0022】
実施例 3
参考例1の脂肪乳剤10mlにアルギン酸ナトリウム(和光純薬製、試薬特級)120mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、アルギン酸添加ブプレノルフィン含有脂肪乳剤を得た。
【0023】
参考例 2
大豆油100gに塩酸ブプレノルフィン200mg、精製卵黄レシチン(旭化成製)12g、濃グリセリン(和光純薬製、試薬特級)25gおよび蒸留水を加えた後、pH8.0に調整し、さらに蒸留水にて1000gとした。これを80℃でオートホモミキサーを用い、粗乳化した後、加圧噴射型ホモジナイザー(商品名:マントンゴウリン)にて80℃、400kg/cmの乳化条件にて乳化を行い、平均粒子径210nmのブプレノルフィン含有脂肪乳剤約1000mlを得た。
【0024】
実施例 4
参考例2の脂肪乳剤10mlにゼラチン(新田ゼラチン製、注射用)500mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、ゼラチン添加ブプレノルフィン含有脂肪乳剤を得た。
【0025】
実施例 5
参考例2の脂肪乳剤10mlにヒアルロン酸ナトリウム(和光純薬製、生化学用)80mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、ヒアルロン酸添加ブプレノルフィン含有脂肪乳剤を得た。
【0026】
実施例 6
参考例2の脂肪乳剤10mlにアルギン酸ナトリウム(和光純薬製、試薬特級)120mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、アルギン酸添加ブプレノルフィン含有脂肪乳剤を得た。
【0027】
参考例 3
大豆油100gにブプレノルフィン200mg、精製卵黄レシチン(旭化成製)12g、濃グリセリン(和光純薬製、試薬特級)25gを加え、更に蒸留水を加え1000gとした。これを80℃でオートホモミキサーを用い、粗乳化した後、加圧噴射型ホモジナイザー(商品名:マントンゴウリン)にて80℃、460kg/cmの乳化条件にて乳化を行い、平均粒子径200nmのブプレノルフィン含有脂肪乳剤約1000mlを得た。
【0028】
実施例 7
参考例3の脂肪乳剤10mlにゼラチン(新田ゼラチン製、注射用)500mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、ゼラチン添加ブプレノルフィン含有脂肪乳剤を得た。
【0029】
実施例 8
参考例3の脂肪乳剤10mlにヒアルロン酸ナトリウム(和光純薬製、生化学用)80mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、ヒアルロン酸添加ブプレノルフィン含有脂肪乳剤を得た。
【0030】
実施例 9
参考例3の脂肪乳剤10mlにアルギン酸ナトリウム(和光純薬製、試薬特級)120mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、アルギン酸添加ブプレノルフィン含有脂肪乳剤を得た。
【0031】
参考例 4
ペンタゾシン3gをトリカプリリン200gに加熱溶解し、精製卵黄レシチン(旭化成製)12g、濃グリセリン(和光純薬製、試薬特級)25gを加え、更に蒸留水を加え1000gとした。これを80℃でオートホモミキサーを用い、粗乳化した後、加圧噴射型ホモジナイザー(商品名:マントンゴウリン)にて80℃、460kg/cmの乳化条件にて乳化を行い、平均粒子径220nmのペンタゾシン含有脂肪乳剤約1000mlを得た。
【0032】
実施例 10
参考例4の脂肪乳剤10mlにゼラチン(新田ゼラチン製、注射用)500mgを添加し、40℃にて水相に溶解し、ゼラチン添加ペンタゾシン含有脂肪乳剤を得た。
【0033】
実験例 1
ブプレノルフィン乳剤血中動態
参考例1、実施例1,2,3の脂肪乳剤について、ブプレノルフィン量として4mg/kgをマウスの皮下に投与後、経時的に採血し、その血漿中濃度を測定し、市販の塩酸ブプレノルフィン製剤(レペタン注、大塚製薬)と比較した。また、測定方法は公知の方法を用い、以下の条件による高速液体クロマトグラフィーにて測定した。
その結果を図1に示した。
【0034】
〈ブプレノルフィン測定条件〉
検出波長:励起波長285nm 測定波長355nm
カラム :ウォーターズ(株) マイクロポラシル10μm(3.9×300mm)
移動相 :5mM酢酸緩衝液(pH3.75):アセトニトリル=20:80混液
溶出速度:1ml/min
【0035】
図1から明らかなように、市販の塩酸ブプレノルフィン製剤と参考例1、実施例1,2,3によって製造された製剤とではブプレノルフィンの血中濃度推移に違いがみられた。すなわち、参考例1、実施例1,2,3による本発明の脂肪乳剤は薬物の血中放出速度がコントロールされ、徐放性製剤特有のパターンを示した。
【0036】
実験例 2
ブプレノルフィン含有脂肪乳剤の薬理効果試験
参考例1、実施例1,2,3の脂肪乳剤について、ブプレノルフィン量として4mg/kgを各試験毎10例のマウスに皮下投与後、経時的にハフナー法により鎮痛効果を測定し、市販の塩酸ブプレノルフィン製剤(レペタン注:大塚製薬)と比較した。その結果を図2に示した。
【0037】
試験に用いるマウスは、試験液投与前にハフナー法により以下に示すスコアー(Score)が0のものを選択した(クレンメのはさみ圧は約500g)。なお、クレンメではさむ部位は、尾根部より約10mmの部位とし、クレンメにかみつく動作を痛みの指標とした。
【0038】
Score
Score 0:クレンメ適用後2秒以内で噛み付く動作を示す
Score 1:クレンメ適用後2秒を超え6秒未満で噛み付く動作を示す
Score 2:クレンメ適用後6秒以上で噛み付く動作を示す
【0039】
図2の試験結果からわかるように、市販の塩酸ブプレノルフィン注射剤では薬効の持続時間が8時間であったのに対し、ブプレノルフィン含有脂肪乳剤(参考例1)では、投与後、24時間まで薬効持続が認められた。更に、当該脂肪乳剤に0.8%ヒアルロン酸添加試料(実施例2)、5%ゼラチン添加試料(実施例1)では48時間まで、1.2%アルギン酸添加試料(実施例3)では30時間まで薬効の持続が認められた。
【0040】
実験例 3
ブプレノルフィン含有脂肪乳剤の薬理効果試験
参考例2、実施例4,5,6の脂肪乳剤について実験例2と同様に、ブプレノルフィン量として4mg/kgを各試験毎10例のマウスに皮下投与後、経時的にハフナー法により鎮痛効果を測定し、市販の塩酸ブプレノルフィン製剤と比較した。その結果を表1に示した。
【0041】
Figure 0003701693
【0042】
表1の試験結果からわかるように、市販の塩酸ブプレノルフィン注射剤では薬効の持続時間が8時間であったのに対し、ブプレノルフィン含有脂肪乳剤(参考例2)では、投与後、24時間まで薬効持続が認められた。更に、当該脂肪乳剤に0.8%ヒアルロン酸添加試料(実施例5)、5%ゼラチン添加試料(実施例4)では48時間まで、1.2%アルギン酸添加試料(実施例6)では30時間まで薬効の持続が認められた。
【0043】
実験例 4
ブプレノルフィン含有脂肪乳剤の薬理効果試験
参考例3、実施例7,8,9の脂肪乳剤について実験例2と同様に、ブプレノルフィン量として4mg/kgを各試験毎10例のマウスに皮下投与後、経時的にハフナー法により鎮痛効果を測定し、市販の塩酸ブプレノルフィン製剤と比較した。その結果を表2に示した。
【0044】
Figure 0003701693
【0045】
表2の試験結果からわかるように、市販の塩酸ブプレノルフィン注射剤では薬効の持続時間が8時間であったのに対し、ブプレノルフィン含有脂肪乳剤(参考例3)では、投与後、24時間まで薬効持続が認められた。更に、当該脂肪乳剤に0.8%ヒアルロン酸添加試料(実施例8)、5%ゼラチン添加試料(実施例7)では48時間まで、1.2%アルギン酸添加試料(実施例9)では30時間まで薬効の持続が認められた。
【0046】
実験例 5
ペンタゾシン含有脂肪乳剤血中動態
参考例4、実施例10の脂肪乳剤について、ペンタゾシン量として2mg/kgをウサギ(雌性、約3kg)に皮下投与後、経時的に採血し、その血漿中濃度を測定し、市販のペンタゾシン製剤(ペルタゾン注:グレラン製薬)と比較した。また、測定法は公知の方法を用い、下記条件による高速液体クロマトグラフィーにて測定した。その結果を図3に示した。
【0047】
〈ペンタゾシン測定条件〉
検出波長:励起波長279nm 測定波長310nm
カラム :東ソー(株) ODSカラム(4.6×150mm)
移動相 :50mMクエン酸(pH4.75):アセトニトリル=3:1混液
溶出速度:1ml/min
【0048】
図3から明らかなように、市販のペンタゾシン製剤と参考例4、実施例10によって製造された製剤とではペンタゾシンの血中濃度推移に違いがみられた。即ち、参考例4、実施例10の本発明の脂肪乳剤は薬物の血中放出速度がコントロールされ、徐放性製剤特有のパターンを示した。
【0049】
【発明の効果】
本発明の鎮痛薬含有注射用脂肪乳剤は、従来の鎮痛薬と比較して優れた薬効の持続性を有し、投与回数及び投与量を軽減する効果を有する。
なお、参考までに本発明の脂肪乳剤の効果が優れていることを明確にしたものとして文献値(ファーマシー,プラクティス,ニュース,.4月(1993)から引用)及び本発明の薬理効果試験値を図4に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はブプレノルフィン皮下投与時の血中濃度を示すグラフである。
図中白三角印は市販の塩酸ブプレノルフィン注射剤、白ひし形印はブプレノルフィン含有脂肪乳剤(参考例1)、黒ひし形印は当該脂肪乳剤に1.2%アルギン酸ナトリウムを添加した試料(実施例3)、黒四角印は当該脂肪乳剤に5%ゼラチンを添加した試料(実施例1)、黒丸印は当該脂肪乳剤に0.8%ヒアルロン酸ナトリウムを添加した試料(実施例2)を示す。
【図2】 図2は、ハフナー法による本発明製剤の鎮痛効果持続時間を示すグラフである。
図中バツ印は、生理食塩水投与群、白三角印は市販の塩酸ブプレノルフィン注射剤、白ひし形印はブプレノルフィン含有脂肪乳剤(参考例1)、黒ひし形印は当該脂肪乳剤に1.2%アルギン酸ナトリウムを添加した試料(実施例3)、黒四角印は当該脂肪乳剤に5%ゼラチンを添加した試料(実施例1)、黒丸印は当該脂肪乳剤に0.8%ヒアルロン酸ナトリウムを添加した試料(実施例2)を示す。
【図3】 図3は、ペンタゾシン皮下投与時の血中濃度を示すグラフである。
図中白三角印は市販のペンタゾシン製剤、白ひし形印はペンタゾシン含有脂肪乳剤(参考例4)、黒四角印は当該乳剤に5%ゼラチンを添加した試料(実施例10)を示す。
【図4】 図4は、各鎮痛薬の薬理効果持続時間の比較により本発明の脂肪乳剤の効果が優れていることを示すグラフである。

Claims (3)

  1. オピオイド系鎮痛薬を含有してなる水中油型注射用徐放性脂肪乳剤であって、前記脂肪乳剤の水相画分に生体適合性高分子物質が一種以上添加されている水中油型注射用徐放性脂肪乳剤。
  2. 前記オピオイド系鎮痛薬がブプレノルフィン、ペンタゾシン、モルヒネである請求項1記載の脂肪乳剤。
  3. 前記生体適合性高分子物質がヒアルロン酸、アルギン酸もしくはその塩、又はゼラチンである請求項1記載の脂肪乳剤。
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