JP3696222B2 - 分散液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、インキ等の製造の際に、顔料等の分散性を向上させる特定の分散剤を用いる分散液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗料、インキ等の製造においては、顔料の分散性の向上、塗料等の貯蔵安定性の向上、色分かれの防止、塗膜の光沢の改善等の目的で種々の分散剤が使用されている。この様な目的のため、ポリアミン化合物とポリエステルまたはアクリル樹脂を結合させた構造の分散剤が、特開昭61−174939号公報、特開昭63−197529号公報、特開昭54−37082号公報、特開昭48−79178号公報等に記載されている。
【0003】
特開昭54−37082号公報および特開昭48−79178号公報に記載の、12−ヒドロキシステアリン酸等の長鎖の脂肪族ヒドロキシカルボン酸を脱水縮合したポリエステルを使用した分散剤は、各種の顔料に対して広く分散性能を有するが、高濃度の顔料分散液においては、分散液の流動性や、塗料、インキ等の着色力の点で充分満足な性能を得るに至っていない。さらに、この様な構造の分散剤は、金属に塗工する塗料、インキ等に用いた場合、塗膜と金属面の密着性を低下させる。
【0004】
また、特開昭61−174939号公報および特開昭63−197529号公報には、長鎖モノカルボン酸でカプロラクトンのようなラクトン類を開環重合させたポリエステル鎖を有する分散剤が記載されている。しかしながら、ラクトン類は、一般的には、通常のチタンあるいはスズ系の触媒を使用した場合、カルボン酸には付加しにくく、したがって、未反応のカルボン酸が残存し、高分子量のラクトンホモポリマー、または、設計よりはるかに高分子量のカルボン酸変性ラクトン重合体が生成する。すなわち、分散剤において、立体反発層を形成するラクトン重合体の分子量コントロールが困難であるため、分散能の高い分散剤の合成が困難である。またこの様な高分子量のラクトン重合体は結晶性が高く、塗料、インキ等の製造にこの様な分散剤を使用した場合、保存中、分散剤が塗料またはインキ中で結晶化して、塗膜の外観を損なうという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ポリアミン化合物とポリエステルより構成される顔料分散剤において、ポリアミン化合物は、顔料に吸着する役目を有し、ポリエステル(ラクトン重合体)はポリアミン化合物が吸着した顔料の周囲に立体的な反発層を構成する役目を有する。一般に、顔料吸着層のポリアミン化合物は吸着するアミノ基の含有量が高い方が有利であり、また立体的な反発層であるラクトン重合体も、適切な分子量を有すると共にその含有量が多い方が有利である。しかしながら、ラクトン重合体の含有量を多くすれば、ラクトン重合体のカルボキシル基と反応してアミド基を形成するアミノ基が増加し、顔料に吸着するアミノ基の含有量が減少してしまい、顔料分散性、ミルベースの流動性、保存安定性を損なうという問題を生ずる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、主鎖の部分に分岐構造を有するラクトン重合体をポリアミン化合物と反応させることにより合成される分散剤が、従来報告されている直鎖状のポリエステル鎖を有する分散剤より、少量で優れた分散性を与え、またこれを用いて調製したミルベースの流動性および保存安定性も優れることを見いだした。すなわち、本発明者は使用するラクトン重合体に分岐構造をもたせることにより、より少ないラクトン重合体で有効な立体反発層が形成され、さらにアミド基を形成するアミノ基の量を減少させ、高いアミノ基含有量を有する顔料分散剤の製造が可能であることを見いだした。また、高度に分岐構造を持たせることにより、ポリラクトン重合体は、結晶性が低くなって分散剤とした場合にも非結晶性となり、塗料中で結晶化する問題を起こしにくくなり、良好な塗膜外観が得られることを見いだした。これらの知見に基づき本発明は完成された。
【0007】
即ち、本発明の第1は、2個以上のヒドロキシル基を有するモノカルボン酸と、下記一般式(1)で表されるラクトン化合物とを共重合させて得られる分岐構造含有カルボキシル基末端ポリラクトン化合物にポリアミン化合物を反応させて得られた分散剤を用いて有機溶剤中に微細な固体を分散させてなる分散液を提供する。
【0008】
【化2】
【0009】
本発明の第2は、分散剤において、2個以上のヒドロキシル基を有するモノカルボン酸と、一般式(1)で表されるラクトン化合物のモル比が1:50〜1:1であることを特徴とする本発明の第1記載の分散液を提供する。
本発明の第3は、分散剤において、分岐構造含有カルボキシル基末端ポリラクトン化合物とポリアミン化合物の反応物が、塩、アミド、または、それらの混合物であることを特徴とする本発明の第1または2記載の分散液を提供する。
本発明の第4は、分散剤において、分岐構造含有カルボキシル基末端ポリラクトン化合物の数平均分子量が100〜5000であることを特徴とする本発明の第1〜3のいずれか1項記載の分散液を提供する。
本発明の第5は、分散剤において、ポリアミン化合物の数平均分子量が100から20000であることを特徴とする本発明の第1〜4のいずれか1項記載の分散液を提供する。
本発明の第6は、分散剤において、ポリアミン化合物がポリエチレンイミンであることを特徴とする本発明の第1〜5のいずれか1項記載の分散液を提供する。
本発明の第7は、分散剤において、ラクトン化合物がε−カプロラクトンであることを特徴とする本発明の第1〜6のいずれか1項記載の分散液を提供する。
本発明の第8は、微細な固体が顔料である本発明の第1〜7のいずれか1項に記載の分散液を提供する。
本発明の第9は、塗料用である本発明の第1〜8のいずれか1項に記載の分散液を提供する。
本発明の第10は、印刷インキ用である本発明の第1〜8のいずれか1項に記載の分散液を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
分岐構造含有カルボキシル基末端ポリラクトン化合物(以下、単にポリラクトン化合物ともいう)は、2個以上のヒドロキシル基を有するモノカルボン酸(以下、単にヒドロキシカルボン酸ともいう)を開始剤あるいは共重合成分として一般式(1)で表されるラクトン化合物を開環重合させて得られる。
【0011】
ここで使用することのできるヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシル基を2個以上有していればよく、脂肪族、芳香族、および不飽和のヒドロキシカルボン酸を使用することができる。例としては 2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、ジヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、酒石酸、グルコン酸、4,4−ビス(ヒドロキシフェニル)酪酸、4,4−ビス(ヒドロキシフェニル)吉草酸等を使用できる。
【0012】
ラクトン化合物としては、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、2−メチルカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン等、一般式(1)で表されるラクトン類を使用することができる。これらは、単独でまたは混合して用いてよい。一般式(1)において、メチル基の数は0から直鎖アルキレン基の炭素数の2倍までの任意の数であり、好ましくは1〜3である。また、直鎖アルキレン基(側鎖のメチル基を除く)の炭素数は好ましくは2〜5である。
【0013】
2個以上のヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸とラクトン化合物を共重合させて得られる分岐構造を有するポリラクトン化合物(分岐構造含有カルボキシル基末端ポリラクトン化合物、または単にポリラクトン化合物ともいう)の数平均分子量は、通常、100から5000の範囲であり、好ましくは500から3000の範囲である。ポリラクトン化合物の分子量が100未満では、顔料の回りに十分な立体反発層を形成することができず、また、分子量が5000を超えると分散剤全体の分子量が大きくなりすぎ、塗料またはインキ用ビヒクルとの相溶性が低下し、また顔料分散性も低下するので好ましくない。
【0014】
ポリラクトン化合物中の分岐度は好ましくは平均で3以上である。これ未満では、直鎖状のポリラクトン鎖と比較して立体反発層の増大効果がなく、製造された分散剤も結晶性が高くなる傾向がある。また、平均の分岐度が20を超えると分散剤の水酸基含有量が高くなりすぎ、トルエン、キシレン等の非極性の溶剤に溶解しにくくなるので好ましくない。なお、この分岐度は、ポリラクトン化合物の酸価AV(mgKOH/g)により式:M=(56.1×fAV×1000)/AVから求められるポリラクトン化合物の分子量M(ここでfAVはポリラクトン化合物1分子中の−COOH基の数)及びポリラクトン化合物のヒドロキシル価OHV(mgKOH/g)より式:分岐度=(OHV×M/56.1×10000)−1=(OHV×fAV/AV)−1により与えられる。
【0015】
ポリラクトン化合物は、ヒドロキシカルボン酸およびラクトン類を脱水管、コンデンサーの接続した反応器に仕込み、触媒を添加しラクトン類を開環重合脱水、エステル交換することにより合成することができる。
【0016】
このエステル交換の反応温度は、通常90〜250℃、好ましくは120〜230℃の範囲である。反応温度が90℃未満では反応速度がきわめて遅く、一方230℃を超えるとラクトン類の開環反応以外の副反応、たとえばラクトン類の環状ダイマーの生成反応や、脱水縮合反応が起こりやすいため、目標の分子量のカルボキシル基末端ポリラクトン類が合成しにくく、さらに、反応物の分解や着色が起こりやすいので好ましくない。
【0017】
エステル化触媒としては、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、モノブチルスズヒドロキシブチルオキシド等の有機スズ化合物、酸化第一スズ、塩化第一スズ等のスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート等が使用できる。触媒の使用量は、通常、0.1〜1000ppm、好ましくは1〜100ppmである。触媒量が1000ppmを超えると、樹脂の着色が激しくなり、製品の安定性に悪影響を与える恐れがある。逆に、触媒の使用量が1ppm未満であるとラクトン類の開環重合速度やエステル化反応速度がきわめて遅くなるので好ましくない。
【0018】
また、空気存在下で反応すると着色する傾向があるので、窒素気流下等の不活性雰囲気下でエステル交換反応させることが好ましい。
【0019】
本発明では、上記の分岐構造含有カルボキシル基末端ポリラクトン化合物とポリアミン化合物を反応させて顔料分散剤を合成する。本発明に使用されるポリアミンは、その数平均分子量が100〜20000であることが好ましい。分子量が100未満では顔料の吸着部分の分子量が低すぎて、ポリアミン化合物を使用した効果が得られないことがあり、また分子量が20000を超えると、顔料分散剤全体の分子量が大きくなりすぎ、逆に顔料粒子間の会合を招いたり、分散性の低下をまねく可能性がある。ポリアミン化合物としては種々の化合物が使用できるが、分散剤とした場合の性能に優れ、また工業的にも入手しやすいポリエチレンイミンが好ましい。
【0020】
ポリラクトン化合物とポリアミン化合物の反応比率はカルボキシル基とアミノ基のモル比が1:1から1:99の範囲となるようにすることが好ましい。
【0021】
このアミド化反応はポリアミンとポリラクトン化合物を脱水管、コンデンサーの接続した反応器に仕込み、適当な脱水溶媒、たとえばトルエン、キシレンの存在下に脱水縮合させるか、または窒素気流下で反応させることにより行うことができる。アミド化反応の温度は、通常90〜210℃、好ましくは100〜170℃の範囲である。90℃未満の温度では、アミド化反応の速度がきわめて遅く、また210℃を超えると、反応物の分解や着色が起こりやすいので好ましくない。
【0022】
穏和な反応条件下、すなわち低い反応温度あるいは短い反応時間では、アミノ基とカルボキシル基との塩が形成され、厳しい反応条件下、すなわち高い反応温度あるいは長い反応時間ではアミド結合が形成される。従って、合成される分散剤は、アミド、アミノ基とカルボキシル基との塩、または、それら両方の混在となることがあり、これらはすべて本発明の範囲に包含される。また、アミド化反応終了後、ジメチル硫酸の様な適当なアルキル化剤を使用することにより、アミノ基の一部を4級アンモニウム塩にしてもよい。
【0023】
アミド化反応はキシレン、トルエンなどの芳香族溶剤、あるいはMIBK、アノンなどのケトン系溶剤のような、ラクトン類と反応しない適当な溶剤中で行うことが出来る。反応に使用した溶剤は除いてもよく、またそのまま製品として使用することもできる。また、アミド化触媒としてはオクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、モノブチルスズヒドロキシブチルオキシド等の有機スズ化合物、酸化第一スズ、塩化第一スズ等のスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン化合物、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸または硫酸、燐酸等の無機酸が使用できる。
【0024】
触媒の使用量は、反応系中の重量基準で、通常0.1〜1000ppm、好ましくは1〜100ppmである。触媒量が1000ppmを超えると、樹脂の着色が激しくなり、製品の安定性に悪影響を与える。逆に、触媒の使用量が0.1ppm未満になるとポリラクトン化合物と、ポリアミン化合物とのアミド化反応の速度がきわめて遅くなるので好ましくない。
【0025】
また、空気存在化で反応すると着色する傾向があるので、窒素気流下等の不活性雰囲気下で反応させることが望ましい。
【0026】
このようにして合成された分散剤は、ポリラクトン末端がヒドロキシル基で終了している。このヒドロキシル基が、塗料化後の焼付け工程において、メラミン樹脂またはイソシアネートと反応することにより、本分散剤は、塗膜の一部として強固に組み込まれる。このため、塗膜中の分散剤のブリードまたは結晶化が起こらず、また、この分散剤によって捕捉される顔料は、ブリードまたは顔料の再凝集が起こりにくい。
【0027】
また、適当な分子量の分散剤を使用することにより、アルコール類のような比較的極性の高い溶剤を使用した顔料分散にも適用することが可能である。
【0028】
本発明で提供される分散剤は、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化カドミウム、黄色酸化鉄、べんがら、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニン類、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合多環系顔料(スレン系、インジゴ系、ペリレン系、ペリノン系、フタロン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジケトピロロピロール系顔料)、および、磁性粉等について優れた分散性を有し、また製造されたミルベースは流動性、保存安定性が良好である。
【0029】
本発明によれば、従来使用されていたものよりもアミノ基含有量が高く、優れた性能を有する顔料分散剤を製造することが可能となる。また、分岐構造を有するポリラクトン化合物は同程度の分子量の直鎖状のラクトン重合体に比較して結晶性が低く、この結果、本発明により製造される顔料分散剤の結晶性を抑えることが可能となり、塗料に配合した際、分散剤が結晶化し塗膜の光沢を損なうといった問題が起こりにくい。
【0030】
さらに、特開昭61−174939号公報および特開昭63−197529号公報に記載の製造方法のように、カルボン酸でラクトン類を開環する工程を経ないため、高分子量のラクトンホモポリマーが含有されない。このため、本発明によれば、各種ビヒクルに対し相溶性が高く、塗料あるいはインキ中で分散剤が結晶化することがなく、優れた塗膜外観を与え、塗料と金属面との密着性も損なわず、そして、顔料に吸着するアミノ基の含有量が高い、顔料分散性能に優れた分散剤を容易に製造できる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」は重量部を意味する。
【0032】
なお、OH価、酸価、アミン価は、以下に記載の方法によって測定したものである。
(1)OH価:JIS K−1557に準拠した。
(2)酸価:JIS K−1557に準拠した。
(3)アミン価:塩酸による滴定法により求めた。
【0033】
(製造例1:中間体ポリラクトン化合物の合成(中間体1))
コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計および脱水管を備えた2L反応機に、ジメチロールプロピオン酸178.8部、ε−カプロラクトン843.5部およびテトラブチルチタネート0.1部を仕込み、窒素気流下、170度で反応させ、残存するカプロラクトンが1%以下になった後、210℃で、酸価が5.6KOHmg/gになるまで加熱、脱水縮合しポリラクトン化合物を合成した。得られた中間体1のポリラクトン化合物のOH価は81KOHmg/gであった。
【0034】
(製造例2:中間体ポリラクトン化合物の合成(中間体2))
コンデンサー、窒素導入管、かくはん機、温度計および脱水管を備えた2L反応機にジメチロールプロピオン酸268.0部、ε−カプロラクトン766.2部およびテトラブチルチタネート0.1部を仕込み、窒素気流下、170度で反応させ、残存するカプロラクトンが1%以下になった後、210℃で、酸価が5.8KOHmg/gになるまで加熱、脱水縮合しポリラクトン化合物を合成した。得られた中間体2のポリラクトン化合物のOH価は115KOHmg/gであった。
【0035】
(実施例1:分散剤の合成)
コンデンサー、窒素導入管、かくはん機および温度計を備えた2L反応機に中間体1を1000部仕込み、ついでポリエチレンイミン(日本触媒工業社製 sp−200、数平均分子量10000)を74部仕込み、120℃で反応させた。アミン価が41mgKOH/gとなったところで反応を停止した。NMRにより求めた反応生成物のポリエステル鎖の数平均分子量は約1500であった。
【0036】
(実施例2:分散剤の合成)
コンデンサー、窒素導入管、かくはん機および温度計を備えた2L反応機に中間体1を1000部仕込み、ついでポリエチレンイミン(日本触媒工業社製 sp−200、数平均分子量10000)を123部仕込み、120℃で反応させた。アミン価が80mgKOH/gとなったところで反応を停止した。NMRにより求めた反応生成物のポリエステル鎖の数平均分子量は約1500であった。
【0037】
(実施例3:分散剤の合成)
コンデンサー、窒素導入管、かくはん機および温度計を備えた2L反応機に中間体2を1000部仕込み、ついでポリエチレンイミン(日本触媒工業社製 sp−200、数平均分子量10000)を95部仕込み、120℃で反応させた。アミン価が40mgKOH/gとなったところで反応を停止した。NMRにより求めた反応生成物のポリエステル鎖の数平均分子量は約1000であった。
【0038】
(実施例4:分散剤の合成)
コンデンサー、窒素導入管、かくはん機および温度計を備えた2L反応機に中間体2を1000部仕込み、ついでポリエチレンイミン(日本触媒工業社製 sp−200、数平均分子量10000)を143部仕込み、120℃で反応させた。アミン価が80mgKOH/gとなったところで反応を停止した。NMRにより求めた反応生成物のポリエステル鎖の数平均分子量は約1000であった。
【0039】
(実施例5:分散ペーストの製造)
キナクリドン(大日精化工業社製 クロモファインレッド6820:C.I−Pigment Violet19)35部、実施例2の分散剤3部、MIBK33.5部、キシレン33.5部およびガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で60分間分散させた。分散ペーストは、良好な流動性を示し、1週間経過後も、流動性を示した。
【0040】
(実施例6:分散ペーストの製造)
カーボンブラック(デッグサ社製 FW200:C.I−Pigment Black 7)20部、実施例1の分散剤10部、キシレン70部およびガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で60分間分散させた。分散ペーストは、良好な流動性を示し、1週間経過後も、流動性を示した。
【0041】
(実施例7:分散ペーストの製造)
フタロシアニンブルー(大日精化工業社製 クロモファインブルー4920:C.I−Pigment Blue15:3)45部、実施例3の分散剤4部、キシレン25.5部,ブチルセロソルブアセテート25.5部およびガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で1時間分散させた。分散ペーストは、良好な流動性を示し、1週間経過後も、流動性を示した。
【0042】
(実施例8:分散ペーストの製造)
ジケトピロロピロール(チバガイギー社製 IRGAZIN DPP RedBO:C.I−Pigment Red254)40部、実施例4の分散剤3部、MIBK33.5部,キシレン33.5部およびガラスビーズ110部を分散機(レッドデビル社製)で60分間分散させた。分散ペーストは、良好な流動性を示し、1週間経過後も、流動性を示した。
【0043】
(製造例3:中間体ポリエステルの合成(中間体3))
コンデンサー、窒素導入管、かくはん機および温度計を備えた2L反応機にカプロン酸116部、カプロラクトンモノマー1379部およびテトラブチルチタネート2部を仕込み、窒素気流下、185℃で18時間反応させた。得られた中間体3のポリカプロラクトンの酸価は37.9KOHmg/gであった。
【0044】
(比較例1:分散剤の合成)
コンデンサー、脱水管、窒素導入管、かくはん機および温度計を備えた2L反応機に製造例3の中間体3を1000部仕込み、ついでポリエチレンイミン(日本触媒工業社製 sp−200、数平均分子量10000)を74部、脱水溶剤としてトルエン600ccを仕込み、150℃で反応させた。脱水された水の量が14ccとなったところで反応を停止した。生成物(トルエン溶液)の一部の溶剤除去後のアミン価は42KOHmg/gであった。
【0045】
(比較例2:分散ペーストの製造)
カーボンブラック(デッグサ社製 FW200:C.I−Pigment Black 7)20部、比較例1の分散剤10部、キシレン70部、ガラスビーズ100部を分散機(レッドデビル社製)で60分間分散させた。分散ペーストは、流動性を示した。
【0046】
<塗料評価>
実施例6および比較例2で製造した分散ペーストを、表−1に示した配合組成で塗料化し、配合直後の塗料および低温放置(0℃、3日間)後の塗料で作製した塗膜の表面光沢度の測定(60度)を行った。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明に係る特定の顔料分散剤は、分岐骨格を有するポリラクトン部分を用いているので、該分散剤を用いて様々な顔料を分散させた分散液は良好な分散性を示し、特に塗料や印刷インキに適し、また、低温にて放置していても分散剤が結晶化することがない。
Claims (10)
- 分散剤において、2個以上のヒドロキシル基を有するモノカルボン酸と、一般式(1)で表されるラクトン化合物のモル比が1:50〜1:1であることを特徴とする請求項1記載の分散液。
- 分散剤において、分岐構造含有カルボキシル基末端ポリラクトン化合物とポリアミン化合物の反応物が、塩、アミド、または、それらの混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の分散液。
- 分散剤において、分岐構造含有カルボキシル基末端ポリラクトン化合物の数平均分子量が100〜5000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の分散液。
- 分散剤において、ポリアミン化合物の数平均分子量が100から20000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の分散液。
- 分散剤において、ポリアミン化合物がポリエチレンイミンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の分散液。
- 分散剤において、ラクトン化合物がε−カプロラクトンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の分散液。
- 微細な固体が顔料である請求項1〜7のいずれか1項に記載の分散液。
- 塗料用である請求項1〜8のいずれか1項に記載の分散液。
- 印刷インキ用である請求項1〜8のいずれか1項に記載の分散液。
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