JP3695892B2 - ループ型細管ヒートパイプ - Google Patents
ループ型細管ヒートパイプ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3695892B2 JP3695892B2 JP12712897A JP12712897A JP3695892B2 JP 3695892 B2 JP3695892 B2 JP 3695892B2 JP 12712897 A JP12712897 A JP 12712897A JP 12712897 A JP12712897 A JP 12712897A JP 3695892 B2 JP3695892 B2 JP 3695892B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat
- thin tube
- loop
- heat pipe
- type thin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F28—HEAT EXCHANGE IN GENERAL
- F28D—HEAT-EXCHANGE APPARATUS, NOT PROVIDED FOR IN ANOTHER SUBCLASS, IN WHICH THE HEAT-EXCHANGE MEDIA DO NOT COME INTO DIRECT CONTACT
- F28D15/00—Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies
- F28D15/02—Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes
- F28D15/0266—Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes with separate evaporating and condensing chambers connected by at least one conduit; Loop-type heat pipes; with multiple or common evaporating or condensing chambers
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F25—REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
- F25B—REFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
- F25B23/00—Machines, plants or systems, with a single mode of operation not covered by groups F25B1/00 - F25B21/00, e.g. using selective radiation effect
- F25B23/006—Machines, plants or systems, with a single mode of operation not covered by groups F25B1/00 - F25B21/00, e.g. using selective radiation effect boiling cooling systems
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F25—REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
- F25B—REFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
- F25B2500/00—Problems to be solved
- F25B2500/01—Geometry problems, e.g. for reducing size
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F25—REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
- F25D—REFRIGERATORS; COLD ROOMS; ICE-BOXES; COOLING OR FREEZING APPARATUS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- F25D17/00—Arrangements for circulating cooling fluids; Arrangements for circulating gas, e.g. air, within refrigerated spaces
- F25D17/02—Arrangements for circulating cooling fluids; Arrangements for circulating gas, e.g. air, within refrigerated spaces for circulating liquids, e.g. brine
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Sustainable Development (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Thermal Sciences (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸熱側に設けられた冷凍機によって放熱側に設けられた冷却対象物を冷却するループ型細管ヒートパイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、超電導材料は、電気抵抗がゼロという顕著な特性を持っており、この特性を電力機器などに応用することにより、電力機器の省エネルギ化が期待されている。
【0003】
ところで、超電導材料を使用するには何らかの手段で超電導材料を臨界温度以下に冷却する必要がある。この冷却手段としては、一般に超電導材料を液体ヘリウムや液体窒素等の極低温液体中に浸漬して冷却する方式が採用されている。しかし、このような浸漬冷却方式では扱い難い液体ヘリウムや液体窒素を直接取扱う必要があるので運転コストの上昇を免れ得ない。
【0004】
そこで最近では、冷凍機の冷却ステージと超電導材料とを熱伝導部材で熱的に接続して超電導材料を冷却する冷凍機直結冷却方式も考えられている。
しかし、電力用超電導機器では、大電流を流すこと、商用周波数の交流を使用することなどから、直流超電導機器に比べて大量の熱が発生する。また、電力用超電導機器では、大型化や耐電圧の問題などから、冷凍機と被冷却物の距離を十分に離す必要が生じている。このため、大量の熱を長距離に亙って運ぶ必要が生じ、これは冷凍機と被冷却物との間に大きな温度差がつくことになり、システムの効率を著しく低下させる。
【0005】
そこで、長距離に亙って少ない温度差で熱を伝える長距離熱輸送素子の開発が必要となっている。このような素子のうち、期待されているものとして、ヒートパイプやドリームパイプ等の流体の動きを利用して能動的に熱を運ぶものを挙げることができる。これらの中でも特にループ型細管ヒートパイプは、格別な流体駆動源を必要としないので簡便性に富んでいること、全体を柔軟構造にすることができるので設置自由度に富んでいることなどの優れた面を備えている。
【0006】
図18には従来のループ型細管ヒートパイプ1が示されている。
ループ型細管ヒートパイプ1は、たとえば細い銅管などでループ状に形成された細管2の中に作動流体を封入したものとなっている。
【0007】
そして、実際にヒートパイプとして用いるときには、細管2の一部を吸熱部3として吸熱対象であるたとえば被冷却物に熱的に接続し、また細管2の他の一部を放熱部4として放熱対象であるたとえば冷却源に熱的に接続する。これらの接続には良熱伝導材で形成されたブロックなどを用いる場合が多い。
【0008】
吸熱部3から侵入した熱によって、吸熱領域に存在している作動流体が加熱されると、この作動流体内で気泡が発生する。このとき、この気泡が周辺の液体を押し退ける。この押し退ける力は吸熱部3を境にしてループの両側方向に働くが、構成の微妙なアンバランス等によって、一方向への力が強くなる。この結果、液体の一方向への流れの成分が増してループ内を作動流体が循環移動する。この循環する作動流体が吸熱部3と放熱部4との間の熱交換に寄与して熱輸送が行われる。特に、吸熱部3で蒸発したガスが放熱部4で凝縮することによる蒸発潜熱を利用できるので、多量の熱を運ぶことができる。このため、同じ断面積の銅材を熱伝導素子として用いた場合の10〜100 倍以上の熱を伝えることができる。
【0009】
しかしながら、このように優れた特性を有しているループ型細管ヒートパイプにあっても、その一方では細管2の寸法が動作条件を外れると作動しなくなるという問題があった。このため、ループ型細管ヒートパイプを設計するに当っては十分な検討が必要となり、たとえば細管2の内径を決定するのに、試行錯誤により実験的に求めているのが実状である。しかも、動作させる温度領域が異なると、この温度領域に適した種類の作動流体を用いる必要があるが、作動流体の種類による物性の違いによって最適な細管内径も異なるため、再び同じ試行錯誤を繰り返す必要があった。
【0010】
このように、ループ型細管ヒートパイプを設計するには、逐一、作動条件において試験を行う必要があり、この問題がループ型細管ヒートパイプの応用を阻害しているのが実情である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、従来のループ型細管ヒートパイプでは、細管の内径を決定するために、温度や作動流体などの使用条件に対して最適化のための試験を個別に行う必要があり、これが原因して応用性に欠ける問題があった。
【0012】
そこで本発明は、使用条件に応じて最適な熱輸送を行うことができるループ型細管ヒートパイプおよび熱輸送を一層効率よく行うことができるループ型細管ヒートパイプの使用方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の手段は、ループ状に形成されたループ型細管内に熱輸送用の作動流体を収容し、上記ループ型細管の一部を吸熱部として用い、上記ループ型細管の一部で上記吸熱部以外の部分を放熱部として用いるループ型細管ヒートパイプにおいて、作動流体として、へリウム、水素、ネオンの中から選ばれた1種または複数種の混合物を用い、作動流体の表面張力をσ、上記作動流体の液状態下における密度をρ 1 、上記作動流体のガス状態下における密度をρ V 、重力加速度をg、ラプラス定数LをL=[σ/{(ρ 1 −ρ V )g}] 0.5 としたとき、前記ループ型細管の内径dが、L<d<3Lの条件を満たしていることを特徴とするループ型細管ヒートパイプを提供する。
【0018】
さらに、前記細管の吸熱部の熱交換長さをl、この吸熱部における細管の内径をdとした場合、このl及びdは、15d<l<882dの条件を満たしている。
【0019】
このような構成によれば、内径を適宜に設定することで、高い熱湯輸送能力を有するループ型細管ヒートパイプを得ることができる。また、前記吸熱部の伝熱面積をヒートパイプが作動する最小面積より大きく設定できるから、このループ型細管ヒートパイプを良好に作動させることが可能になる。
【0020】
また、前記細管は、吸熱部において、水平面に対して所定角度以上傾斜して設けられており、特に、ほぼ鉛直方向にほぼ鉛直方向に延出されていればより好ましい。
このような構成によれば、吸熱部において細管内で発生した気泡の浮力が作動流体の駆動力に加味されるから高い熱輸送能力が発揮される。
【0021】
さらに、前記ループ型細管は、前記吸熱部と前記放熱部とが管軸方向に交互に到来するに形成されていることが好ましい。
この場合、前記吸熱部及び放熱部は、それぞれ複数設けられていても良い。また、前記放熱部の位置が前記吸熱部の位置よりも高く設けられていることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、細管内の気泡の浮力が作動流体の駆動力に加味されるから、高い熱輸送能力が期待できる。
【0023】
また、前記細管は、並設された複数のループ型細管から構成されていることが好ましい。また、複数回巻回されコイル状に形成されたループ型細管から構成されていることが好ましい。
【0024】
このような構成であれば、並設数あるいは巻回数に応じて熱輸送能力を高めることが可能である。
また、前記ループ型細管は、前記作動流体の流れ方向を基準にして、一部に断熱壁によって仕切られて往路部分と復路部分とを構成する二重管部が形成されているものであっても良好に作用する。
【0025】
なお、前記ラプラス定数Lは、液体の中で、熱負荷によって伝熱面から離脱する気泡の直径であり、各種のガスにおいて上述の式によりほぼ定式化されている。
【0026】
ループ型細管の内径がL以下であると、気泡と内壁との間に液体が存在せず、気泡が管内を移動するときに内壁との間に表面張力による抵抗が発生し、細管内の流体を駆動する力が減り、この結果として熱輸送量が急減する。
【0027】
逆に、ループ型細管の内径dが3L以上であると、全体の液量に対して気泡の移動により押し退けられる液体の量の割合が小さくなり、同様に細管内の流体を駆動する力が減る。
【0028】
したがって、ループ型細管の内径dをL<d<3Lにすることによってループ型細管内の液体を駆動するループ駆動力が最適化され、熱輸送量を大幅に増加させることができる。
【0029】
本発明に係るループ型細管ヒートパイプは、上述の如く伝熱面から離脱した気泡の大きさを重要視している。多量の気泡が発生する場含には気泡同士が結合して大きな気泡になる場合がある。気泡の発生割合は単位面積当たりの伝熱量に依存し、単位面積当たりの伝熱量が増加するにしたがって気泡も増加する。これは試験的にも確認されている。このことは、伝熱面積にループ型細管ヒートパイプが作動する最小面積が存在することを意味する。したがって、仕様として与えられる伝熱量を加味して吸熱部と放熱部との伝熱面積をヒートパイプが作動する最小面積よりも大きくすることが必要がある。
【0030】
なお、このループ型細管ヒートパイプを実際に使用する際に、吸熱部の高さ位置を放熱部の高さ位置より低くすると、吸熱部で発生した気泡の浮力がループ駆動力を補助する役割を果たし、熱輸送量を一層増加させることができる。
【0031】
また、被冷却物等の吸熱対象が独立して複数存在するとともに冷凍機等の放熱対象が1つだけの系や、吸熱対象が1つで放熱対象が独立して複数存在する系や、吸熱対象が独立して複数存在するとともに放熱対象も独立して複数存在する系にこのループ型細管ヒートパイプを組込み、ループ型細管が一巡する間に吸熱対象に熱的に接続される前記吸熱部と放熱対象に熱的に接続される前記放熱部とが管軸方向に交互に到来するようにして用いると、吸熱と放熱とのバランスをとることができ、安定した熱輸送動作を行わせることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図17を参照してこの発明の実施形態を説明する。
まず、図1〜図12を参照してこの発明の第1の実施形態を説明する。
図1には本発明の一実施形態に係るループ型細管ヒートパイプを組込んだ冷却装置の例が示されている。
【0033】
同図において、図中11はたとえば液体窒素温度レベルに冷却されることが望まれる被冷却物を示している。この被冷却物11は断熱容器として機能する真空容器12内に配置されている。
【0034】
一方、図中13は冷凍機を示している。この冷凍機13は蓄冷器を備えた、たとえばギフォード・マクマホン冷凍機によって構成されている。この冷凍機13は、第1段冷却ステージ14と、この第1段冷却ステージ14より低温で、液体窒素温度レベルより若干低い温度に冷却される第2段冷却ステージ15とを備えている。そして、第1段冷却ステージ14と第2段冷却ステージ15とは、外気から断熱隔離されるように断熱容器として機能する真空容器16内に位置している。
【0035】
真空容器12の側壁と真空容器16の側壁とには、それぞれ連絡口17,18が形成されており、これら連絡口17,18は真空容器16側から真空容器12側に冷凍機13の振動が伝わるのを抑制するフレキシブルな接続管、具体的にはベローズ構成の接続管19を介して気密に接続されている。そして、この接続管19内を通して被冷却物11と冷凍機13の第2段冷却ステージ15とがループ型細管ヒートパイプ装置20によって熱的に接続されている。
【0036】
ループ型細管ヒートパイプ装置20は、ループ型細管ヒートパイプ21と、銅のブロックなどで形成されて各ループ型細管ヒートパイプ21の一部分を被冷却物11に熱的に接続する熱伝導部材22と、同じく銅のブロックなどで形成されて各ループ型細管ヒートパイプ21の上記一部分とは別の一部分を冷凍機13の第2段冷却ステージ15に熱的に接続する熱伝導部材23,24とで構成されている。
【0037】
各ループ型細管ヒートパイプ21は、フレキシブルな細いたとえば銅チューブを図中A位置(以後、吸熱部Aと称する)およびB位置(以後、放熱部Bと称する)で折返してループ状に形成し、その両端を接続封止してなるループ型細管25を有する。このループ型細管25内には熱輸送媒体として機能する作動流体、この例では窒素(N2 )が封入されている。
【0038】
このループ型細管25は、一方の折返し点である吸熱部Aにおいて、図2に示すように熱伝導部材22に設けられた孔22aに鉛直方向に挿通され、この熱伝導部材22に対してロウ付けされている。また同様に、このループ型配管25は、他方の折返し点である放熱部Bにおいて熱伝導部材23に設けられた孔(図示しない)に挿通され、この熱伝導部材23に対してロウ付けされている。
【0039】
ここで、各ループ型細管25は、内径dが次の範囲に入る銅チューブで形成されている。すなわち、作動流体の表面張力をσ、作動流体の液状態下における密度(液相の密度)をρl 、作動流体のガス状態下における密度(気相の密度)をρv 、重力加速度をg、ラプラス定数LをL=[σ/{(ρl −ρv )g}]0.5 としたとき、内径dが、
L<d<3L …(1)
の条件を満たしている銅チューブで各ループ型細管25が形成されている。
【0040】
ここで、ラプラス定数Lとは、図2に示されるように、前記細管25の内面(伝熱面)から離脱する気泡26の直径に相当する。
なお、ループ型細管25は、吸熱部Aと放熱部Bに対応する部分は熱伝導性に優れた材料(良熱伝導材)、例えば銅などの金属で形成する必要があるが、他の部分は熱交換の必要がないことから金属である必要は無く、例えば樹脂などで形成しても良い。
【0041】
図3はループ型細管25の内径dと熱輸送量との関係を調べた実験結果を示すものである。この図から判るように、内径dがラプラス定数L以上である場合から熱輸送の効果が確認され、内径d=2Lの時最大の熱輸送量が得られ、内径d=3L以降は熱輸送の効果は低値で推移する。従って、式(1)を満たす場合に、良好な熱輸送効果が得られることが確認される。
【0042】
この実施形態では、作動流体として窒素を用いているので、前記細管25の内面(伝熱面)から離脱する気泡26の直径、つまりラプラス定数LはL=1(mm)となる。したがって、前記式(1)及び図3より、前記細管25の内径dは1(mm)〜3(mm)のいずれかの寸法、特に2(mm)に選択されていることが好ましい。
【0043】
一方、熱輸送の効果は、前記細管25の内径dのみで決定されるものではない。細管25内において、駆動力を得られるような気泡26を良好に発生させるには、前記吸熱部Aにおける伝熱面積(吸熱部Aにおける前記細管25の内面積)が所定の値に設定されている必要がある。
【0044】
図4は、前記吸熱部Aにおいて、熱流束qに対するコンダクタンスQ/ΔTの変化を調べた結果を示すものである。ここで、コンダクタンスとは、前記熱伝導部材22と作動流体との間で交換される熱量Qの単位温度変化ΔT当たりの変化量を示すものである。
【0045】
一方、熱流束qとは、単位時間、単位面積当たりの熱輸送量を示すものであるから、熱輸送の総量を一定に保った状態で、吸熱部Aにおける細管25の内周面積、すなわち伝熱面積を小さくすると熱流束qは増大する。いいかえれば、前記細管25の内径dあるいは伝熱長さl又はその両方を小さくするとこの熱流束qは増大する。
【0046】
図4は、このように、熱輸送量の総量を一定に保った状態で細管25の伝熱面積を小さくすることで前記熱流束qを変化させ、これに対するコンダクタンスの変化を調べたものである。
【0047】
この図に示すように、伝熱面積を小さくし熱流束qを増大させることで次第にコンダクタンスも増大する。これは、細管25内の作動流体を良好に加熱できることを意味し、加熱された作動流体は細管25の内面付近で気化(核沸騰)して気泡26となり、図2に示されるように、熱輸送の駆動源となる。
【0048】
一方、図4に示されるように、熱流束qが約9(kW/m2 ) 以上になると、コンダクタンスが急減する。これは、細管25の内面付近で気化した気泡が互いに連結し、膜沸騰の状態となり、作動流体の加熱が行えなくなったことを示す。このような状態では、良好な気泡が得られないので、熱輸送は困難となる。
【0049】
このように、伝熱面積の大きさは熱輸送の効果に非常に大きな影響を及ぼす。以下、この伝熱面積と熱輸送量との関係を検証する。
今、Crygenics, Heat Transfer During Liquid Nitrogen Cooling of High Temperature Superconductors, 1991, Vol. 31, P. 979によれば、細管内における自然体流において限界熱流束qmax は式(2)で与えられる。
【0050】
【数1】
【0051】
ここで、qmax は、細管1本当たりの限界熱流束であり、dは細管25の内径、lは吸熱部Aにおける細管25の長さ(伝熱長さ)である。
一方、伝熱面積Sは、S=πdlで表される。
また、式(2)の分母は、この伝熱面積に影響されないものであるから、これを定数aとおくと、式(2)は、次式(3)のように変形できる。
【0052】
【数2】
一方、配管1本当たりの最大熱輸送量Qmax は、=S・qmax であるから、式(3)を変形し、次式(4)が得られる。
【0053】
【数3】
【0054】
式(4)は、最大熱輸送量Qmax と、内径d及び伝熱長さlとの関係を表すものである。
次に、式(4)の極大点を求めるために、式(4)を一回微分してこれを0とおくと(式(5))、以下のように極大点lpeakが求められる。
【0055】
【数4】
【0056】
この式から、最大熱輸送量Qmax の極大値、すなわちピーク最大熱輸送量Qpeakは、
lpeak=82.245d …(6)
の位置に得られることがわかり、このときのピーク最大熱輸送量は
Qpeak=25.130πad2 となる。 …(7)
となる。
【0057】
次に、これらの計算結果から、前記式(4)を縦軸に最大熱輸送量Qmax 、横軸に伝熱長さlをとってグラフに示すと、図5に示すようになる。
ここで、細管1本あたりの好ましい熱輸送量を前記最大熱輸送量Qpeakの1/2以上とおくと、好ましい設計伝熱長さlは、図6においてl1 とl2 の間となる。このl1 とl2 を計算で求めるには、まず、1/2Qpeakを計算し、これを最大熱輸送量Qmax として式(4)を解く。
【0058】
【数5】
【0059】
この結果、l1 =15.037d …(8)
l2 =881.09d …(9)
となる。
【0060】
従って、好ましい熱輸送の効果を得るには、前記吸熱部Aにおいて、細管25の内径dと伝熱長さlを、次式(10)の範囲で設計して、伝熱面積を決定すれば良い。
【0061】
15.04d<l<881.09d …(10)
従ってほぼ 15d<l<882d …(10’)
と表せる。
【0062】
なお、この際、内径dは、前式(1)を満たす必要があり、窒素の場合、
1(mm)<d<3(mm)
であり、さらに好ましくはd=2L=2(mm)である。
【0063】
次に、作動流体が窒素でかつ細管25の内径dを2mmとした場合の、式(4)の計算結果を図6に示す。この結果によれば、好ましい伝熱長さlとして31.08mm〜1762.18mmが得られる。
【0064】
このように構成された冷却装置では、冷凍機13を運転開始すると、被冷却物11の熱がループ型細管ヒートパイプ装置20を介して冷凍機13によって吸収される。すなわち、被冷却物11の熱は熱伝導部材22に伝わり、この熱伝導部材22から各ループ型細管25の管壁を伝熱面として吸熱部Aにおける各ループ型細管25内の作動流体に伝わる。
【0065】
この結果、吸熱部Aにおいて各ループ型細管25内の作動留置中に気泡26が発生し、この気泡による液体の押退け力及び浮力によって各ループ型細管ヒートパイプ21内に作動流体の循環流(矢印α)が発生する。そして、この循環流に乗って気泡26が放熱部Bに到達することになる。
【0066】
この放熱部Bにおける各ループ型細管25の管壁は作動流体の凝縮温度レベル(液体窒素レベル)以下に冷却されている。このため、到達した気泡26は凝縮する。したがって、被冷却物11の熱がループ型細管ヒートパイプ装置20を介して冷凍機13に吸収されることになる。すなわち、各ループ型細管ヒートパイプ21の吸熱部Aが被冷却物11から熱を吸取るように機能し、放熱部Bが吸取った熱を冷凍機13に向けて放出するように機能し、この両機能によって被冷却部11が凝縮温度レベル以下の温度に冷却されて冷却装置としての機能が発揮される。
【0067】
なお、この第1の実施形態の構成であると、放熱部Bで液化した作動流体が重力により下降する方向(矢印β)と、吸熱部Aで発生した気泡26が浮力により上昇する方向(矢印α)とをループ経路上で一致させることができるので、作動流体の循環駆動力を大きくすることができ、熱輸送量を一層向上させることができる。
【0068】
さらに、この例の場合には、各ループ型細管25として式(1)で示した内径dでかつ、式(10)で示される伝熱長さlのものを用いているので、各ループ型細管25内の作動流体に与える循環駆動力を最適に設定でき、熱輸送量を大きくとることができる。
【0069】
なお、式(1)及び式(10)の関係は、作動流体として窒素を用いた場合に限らず、作動流体として水、アルゴン、酸素、ネオン、水素、へリウムやこれらの混合物を用いた場合にも適用できる。
【0070】
これらの作動流体のうち、特に超電導材料を対象とする低温工学において重要な意味を持つヘリウム、水素、ネオン、窒素の温度とラプラス定数との関係を図7に示す。また、図8には横軸に温度を、縦軸に作動流体の液状態下における密度ρl と作動流体のガス状態下における密度ρv との比を示す。
【0071】
例えばヘリウム(He)を作動流体として用いる場合には、沸点4.2(k)で、ラプラス定数L=0.31であるから、好ましい細管25の内径d=2L=0.62mmとして吸熱部Aの伝熱面積の条件を求める。ヘリウムを用いた場合、最大熱輸送量Qmax と伝熱長さlとの関係は、図9に示すようになり、好ましい熱輸送量として最大熱輸送量Qpeakの1/2以上を得るためには、前式(10)でd=0.62(mm)とし、細管25の伝熱長さlを以下の範囲で設計すれば良い。
【0072】
9.32(mm)<l<546.28(mm)
また、作動流体としてネオン(Ne)を用いる場合には、沸点27.1(k)で、ラプラス定数L=0.63であるから、好ましい細管25の内径d=2L=1.26mmとして吸熱部Aの伝熱面積の条件を求める。ネオンを用いた場合、最大熱輸送量Qmax と伝熱長さlとの関係は、図10に示すようになり、好ましい熱輸送量として最大熱輸送量Qpeakの1/2以上を得るためには、前式(10)でd=1.26(mm)とし、細管25の伝熱長さlを以下の範囲で設計すれば良い。
【0073】
18.95(mm)<l<1110.17(mm)
さらに、水素を作動流体として用いる場合には、沸点20.3(k)で、ラプラス定数L=1.66であるから、好ましい細管25の内径d=2L=2.32mmとして吸熱部Aの伝熱面積の条件を求める。ヘリウムを用いた場合、最大熱輸送量Qmax と伝熱長さlとの関係は、図11に示すようになり、好ましい熱輸送量として最大熱輸送量Qpeakの1/2以上を得るためには、前式(10)でd=2.32(mm)とし、細管25の伝熱長さlを以下の範囲で設計すれば良い。
【0074】
34.89(mm)<l<2044.13(mm)
なお、この一実施形態では、好ましい熱輸送量をピーク最大熱輸送量Qpeakの1/2以上として式(10)を導いたが、さらに好ましくは熱輸送量を最大熱輸送量Qpeakの2/3以上として式(11)、さらに好ましくは熱輸送量を最大熱輸送量Qpeakの3/4以上として式(12)、さらに好ましくは定格熱輸送量を最大熱輸送量Qpeakと等しくして式(13)がそれぞれ与えられる。
【0075】
22.72d<l<432.79d …(11)式
27.85d<l<314.81d …(12)式
l=82.24d …(13)式
なお、図1に示す例では1ターンのループ型細管ヒートパイプ21を使用しているが、このような構成に限定されるものではなく、1ターン式のループ型ヒートパイプ21を複数併設して用いるようにしても良く、また、1本のループ型細管を複数回巻回してなるコイル状のループ型細管ヒートパイプを用いることもできる。
【0076】
このような構成では、前記伝熱部材22中に前記配管25が複数回(n回)通されることになるが、この場合、このヒートパイプの最大熱輸送量は、n・Qmax となる。
【0077】
また、前記一実施形態では、吸熱部Aにおいて、各細管25は鉛直方向に延出されているから、前記気泡26の押しのけ力及び浮力によって作動流体が駆動されていたが、前記吸熱部Aにおける細管25が前記鉛直方向から傾くと、前記気泡26の浮力によって生じる駆動力が小さくなる。具体的には、吸熱部Aにおける配管25の水平面に対する傾斜角度をθとすると、その傾き角度での最大熱輸送量Q(θ)max は、Qmax =cosθとなる。
【0078】
なお、窒素(沸点温度77.3(k)で、ラプラス定数1.05)よりも作動温度(沸点温度)が低い動作流体の場合、配管25の傾き角度θが小さいと充分な駆動力が得られない場合がある。このような場合、作動流体の動きが遅くなるため、その間に、前記吸熱部Aにおいて細管25内部の作動流体が全て気化して「乾き」が生じる場合がある。このような現象は、細管25の傾き角度を5〜10°以下にした場合に生じることが確かめられている。例えば、作動流体として水素、ネオンあるいはヘリウムを使用する場合には、前記傾き角度は5°以上である必要がある。
【0079】
なお、図12は、傾き角度を変化させた場合の、平均パイプ温度(横軸)と限界熱輸送量(縦軸)との関係を示すものである。図12では、一例として傾き角度はヘリウムは5度、水素は10度、ネオンは5度、窒素は0度の場合を示しているが、本発明者の種々の実験によれば、ヘリウムの場合は5〜90度、水素の場合は5〜90度、ネオンの場合は5〜90度、窒素の場合は0〜90度の範囲においていずれも動作することが確かめられている。
【0080】
次に、図13以下を参照してこの発明の他の実施形態を説明する。
図13(a)、(b)には本発明に係るループ型細管ヒートパイプの好ましい一使用例が第2の実施形態として示されている。なお、この図では前記第1の実施形態(図1)と同一機能を有する構成要素が同一符号で示されている。したがって、重複する部分の詳しい説明は省略する。
【0081】
図13(a)に示される例では、前記細管25を水平面内でループ状に形成してなる1ターン式のループ型ヒートパイプ21を上下方向に複数並設してなる構成を採用している。また、この例では、吸熱部Aと放熱部Bが同じ高さに設けられ、前記ヒートパイプの傾きはほぼ0°となっている。従って、動作流体として窒素を用いる場合には、良好に作動する。
【0082】
一方、図13(b)に示される例は、図13(a)に示した例において、吸熱部Aよりも放熱部Bの側が高くなるように構成し、前記ヒートパイプを傾けたものである。
【0083】
このような使用方法であると、放熱部Bから吸熱部Aへは、液化した作動流体が重力によって吸熱部A側に流れ込み、吸熱部Aから放熱部Bへは吸熱部Aで発生した気泡の浮力を作動流体の駆動力として働かせることができるので、循環駆動力が発生し、熱輸送量を向上させることができる。
【0084】
このため、前記窒素の他、水素、ヘリウム及びネオンを作動流体として用いることができる。
なお、第2の実施形態は、1ターン式のヒートパイプ21を上下方向に複数並設してなる構成であるが、1本の細管25を螺旋状に複数回巻回してコイル状に成形してなる構成であっても良い。また、1ターン式のヒートパイプ21を1組だけ使用するものであっても良い。
【0085】
次に、図14(a)、(b)に本発明に係るループ型細管ヒートパイプの別の使用例を第3の実施形態として示す。なお、この実施形態においても、第1の実施形態と同一機能部分が同一符号で示されている。したがって、重複する部分の詳しい説明は省略する。
【0086】
図14(a)に示す例では、1台の冷凍機13で独立した2個の被冷却物11a,11bを1つのループ型細管ヒートパイプ装置20aを介して冷却している。
【0087】
ループ型細管ヒートパイプ装置20aの各ループ型細管25には周方向の2箇所に亘って吸熱部Aa,Abが設定されている。そして、吸熱部Aaは熱伝導部材22aを介して被冷却物11aに熱的に接続されており、吸熱部Abは熱伝導部材22bを介して被冷却物11bに熱的に接続されている。また、各ループ型細管25の吸熱部Aaと吸熱部Abとの間に位置する部分には放熱部Ba,Bbが設定されており、これら放熱部Ba,Bbは熱伝導部材23a,23bを介して冷凍機13の第2段冷却ステージ15に共通に熱的に接続されている。
【0088】
このような使用方法であると、吸熱部Aaを通った作動流体は放熱部Baで冷却された後に吸熱部Abを通り、次に放熱部Bbで冷却された後に再び吸熱部Aaを通って一巡する(この逆の経路で流れることもある)。このようにすることで、吸熱と放熱とのバランスをとることができ、安定して作動流体を循環駆動することができる。
【0089】
図14(b)に示す例は、図14(a)に示す例において、放熱部Ba、Bbを、吸熱部Aa、Abよりも高い位置に設けて、前記細管25を傾斜させているものである。
【0090】
このような使用方法であると、放熱部Baから吸熱部Aaへ、および放熱部Bbから吸熱部Abへは、液化した作動流体が重力によって吸熱部側に流れ込み、吸熱部Aaから放熱部Bb、吸熱部Abから放熱部Baへは発生した気泡の浮力を作動流体の駆動力として働かせることができるので、循環駆動力が発生し、熱輸送量を向上させることができる。
【0091】
このため、前記水素、ヘリウム及びネオンを作動流体として用いることができる。
なお、第3の実施形態は、1ターン式のヒートパイプ21を上下方向に複数並設してなる構成であるが、1本の細管25を螺旋状に複数回巻回してコイル状に成形してなる構成であっても良い。また、1ターン式のヒートパイプ21を1組だけ使用するものであっても良い。
【0092】
また、独立した被冷却物が2個以上の場合にもループ型細管の管軸方向に吸熱部と放熱部が交互に到来するようにすることによって適用できる。
次に、図15(a)、(b)に、本発明に係るループ型細管ヒートパイプのさらに別の使用例が、第4の実施形態として示されている。なお、この図では図1と同一機能部分が同一符号で示されている。したがって、重複する部分の詳しい説明は省略する。
【0093】
図15(a)の例では、2台の独立した冷凍機13a,13bで1個の被冷却物11を1つのループ型細管ヒートパイプ装置20bを介して冷却している。
ループ型細管ヒートパイプ装置20bの各ループ型細管25には周方向の2箇所に亘って放熱部Ba,Bbが設定されている。そして、放熱部Baは熱伝導部材23a,24aを介して冷凍機13aの第2段冷却ステージ15に熱的に接続されており、放熱部Bbは熱伝導部材23b,24bを介して冷凍機13bの第2段冷却ステージ15に熱的に接続されている。また、各ループ型細管25の放熱部Baと放熱部Bbとの間に位置する部分には吸熱部Aa,Abが設定されており、これら吸熱部Aa,Abは熱伝導部材22a,22bを介して被冷却物11に共通に熱的に接続されている。
【0094】
このような使用方法であると、吸熱部Aaを通った作動流体は放熱部Baで冷却された後に吸熱部Abを通り、次に放熱部Bbで冷却された後に再び吸熱部Aaを通って一巡する(この逆の経路で流れることもある)。このようにすることで、吸熱と放熱とのバランスをとることができ、安定して作動流体を循環駆動することができる。
【0095】
図15(b)に示す例は、図15(a)に示す例において、放熱部Ba、Bbを、吸熱部Aa、Abよりも高い位置に設けて、前記細管25を傾斜させたものである。
【0096】
このような使用方法であると、第2の実施形態と同様に、発生した気泡の浮力を作動流体の駆動力として働かせることができるので、循環駆動力が発生し、熱輸送量を向上させることができる。
【0097】
このため、窒素の他、前記水素、ヘリウム及びネオンを作動流体として用いることができる。
なお、第4の実施形態は、1ターン式のヒートパイプ21を上下方向に複数並設してなる構成であるが、1本の細管25を螺旋状に複数回巻回してコイル状に成形してなる構成であっても良い。また、1ターン式のヒートパイプ21を1組だけ使用するものであっても良い。
【0098】
また、冷凍機が3台以上で被冷却物が1個の場合にも適用できる。
次に、図16(a)、(b)には、本発明に係るループ型細管ヒートパイプのさらに別の使用例が第5の実施形態として示されている。なお、この図においても、第1の実施形態を示した図1と同一の機能を奏する構成要素については同一符号で示し、その詳しい説明は省略する。
【0099】
この例では、2台の独立した冷凍機13a,13bで2個の独立した被冷却物11a,11bを1つのループ型細管ヒートパイプ装置20cを介して冷却している。
【0100】
ループ型細管ヒートパイプ装置20cの各ループ型細管25には周方向の2箇所に亘って放熱部Ba,Bbが設定されている。そして、放熱部Baは熱伝導部材23a,24aを介して冷凍機13aの第2段冷却ステージ15に熱的に接続されており、放熱部Bbは熱伝導部材23b,24bを介して冷凍機13bの第2段冷却ステージ15に熱的に接続されている。また、各ループ型細管25の放熱部Baと放熱部Bbとの間に位置する部分には吸熱部Aa,Abが設定されている。吸熱部Aaは図示しない熱伝導部材を介して被冷却物11aに熱的に接続されており、吸熱部Abは図示しない熱伝導部材を介して被冷却物11bに熱的に接続されている。
【0101】
このような使用方法であると、吸熱部Aaを通った作動流体は放熱部Baで冷却された後に吸熱部Abを通り、次に放熱部Bbで冷却された後に再び吸熱部Aaを通って一巡する(この逆の経路で流れることもある)。このようにすることで、吸熱と放熱とのバランスをとることができ、安定して作動流体を循環駆動することができる。
【0102】
図16(b)に示す例は、図15(a)に示す例において、放熱部Ba、Bbを、吸熱部Aa、Abよりも高い位置に設けて、前記細管25を傾斜させたものである。
【0103】
このような使用方法であると、第2の実施形態と同様に、発生した気泡の浮力を作動流体の駆動力として働かせることができるので、循環駆動力が発生し、熱輸送量を向上させることができる。
【0104】
このため、窒素の他、前記水素、ヘリウム及びネオンを作動流体として用いることができる。
なお、第5の実施形態は、1ターン式のヒートパイプ21を上下方向に複数並設してなる構成であるが、1本の細管25を螺旋状に複数回巻回してコイル状に成形してなる構成であっても良い。また、1ターン式のヒートパイプ21を1組だけ使用するものであっても良い。
【0105】
また、冷凍機が3台以上で被冷却物が冷凍機と同じ個数の場合にも適用できる。
なお、前記第1〜第5の各実施形態では、放熱部をそれぞれ冷凍機の冷却ステージに熱的に接続しているが、これに限定されるものではなく、たとえば冷媒液通路や冷媒液溜めや冷風通路に熱的に接続するようにしてもよい。
【0106】
次に、図17には本発明に係るループ型細管ヒートパイプを医療用冷却具に適用した例が第6の実施形態として示されている。
この医療用冷却具は、図中Aで示す部分が吸熱部として機能し、図中Bで示す部分が放熱部として機能する。そして、吸熱部Aと放熱部Bとの間を構成するループ型細管25aは、一部に断熱壁によって仕切られ、循環する作動流体の往路部分と復路部分とを構成する二重管部27が形成されている。また、この例では吸熱部Aと放熱部Bとの間の部分の外周がフレキシブルな断熱チューブ28によって被覆され、全体的にフレキシブルな構成となっている。また、吸熱部Aには医療行為に適合した大きさおよび形状の吸熱片29を着脱自在に取付けることができるようになっている。
【0107】
このような構成の医療用冷却具では狭い患部に対しての集中的な冷却を簡単に行うことができる。
なお、前記実施形態は、この発明の好ましい実施形態として挙げたにすぎないものであり、発明の要旨を変更しない範囲で一部の構成要素を削除したり、他の構成要素を追加することは可能である。また、その用途を適宜変更することも可能である。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、使用する各種温度条件に応じて最適な熱輸送を行うことができるループ型細管ヒートパイプを提供できる。また、本発明の使用方法によれば、熱輸送量を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るループ型細管ヒートパイプを組込んだ冷却装置を示す模式図。
【図2】同じく、ラプラス定数の意味を説明するための図。
【図3】同じく、作動流体として窒素を用いたときのループ型細管の内径と熱輸送量との関係を示すグラフ。
【図4】同じく、伝熱面での熱流束とコンダクタンスとの関係を示すグラフ。
【図5】同じく、最大熱輸送量と伝熱長さとの関係を示すグラフ。
【図6】同じく、(a)は作動流体として窒素を用いた場合の最大熱輸送量と伝熱長さとの関係を示すグラフ、(b)は(a)のグラフの一部を拡大して示すグラフ。
【図7】各種作動流体の温度とラプラス定数との関係を示すグラフ。
【図8】各種作動流体の温度と密度比(液状態下の密度/ガス状態下の密度)との関係を示すグラフ。
【図9】同じく、(a)は作動流体としてヘリウムを用いた場合の最大熱輸送量と伝熱長さとの関係を示すグラフ、(b)は(a)のグラフの一部を拡大して示すグラフ。
【図10】同じく、(a)は作動流体としてネオンを用いた場合の最大熱輸送量と伝熱長さとの関係を示すグラフ、(b)は(a)のグラフの一部を拡大して示すグラフ。
【図11】同じく、(a)は作動流体として水素を用いた場合の最大熱輸送量と伝熱長さとの関係を示すグラフ、(b)は(a)のグラフの一部を拡大して示すグラフ。
【図12】同じく、作動流体と細管の傾斜角度別に、限界熱輸送量と平均ヒートパイプ温度との関係を示すグラフ。
【図13】(a)は、この発明の第2の実施形態を示す模式図、(b)は、その変形例を示す模式図。
【図14】(a)は、この発明の第3の実施形態を示す模式図、(b)は、その変形例を示す模式図。
【図15】(a)は、この発明の第4の実施形態を示す模式図、(b)は、その変形例を示す模式図。
【図16】(a)は、この発明の第5の実施形態を示す模式図、(b)は、その変形例を示す模式図。
【図17】この発明の第6の実施形態を示す模式図。
【図18】ループ型細管ヒートパイプの概略構成を説明するための模式図
【符号の説明】
11,11a,11b…被冷却物
12,16…真空容器
13…冷凍機
14…第2段冷却ステージ
19…ベローズ構成の接続管
20,20a,20b,20c…ループ型細管ヒートパイプ装置
21…ループ型細管ヒートパイプ
25…ループ型細管
26…気泡
A,Aa,Ab…吸熱部
B,Ba,Bb…放熱部
Claims (8)
- ループ状に形成されたループ型細管内に熱輸送用の作動流体を収容し、上記ループ型細管の一部を吸熱部として用い、上記ループ型細管の一部で上記吸熱部以外の部分を放熱部として用いるループ型細管ヒートパイプにおいて、
作動流体として、へリウム、水素、ネオンの中から選ばれた1種または複数種の混合物を用い、
前記作動流体の表面張力をσ、上記作動流体の液状態下における密度をρ 1 、上記作動流体のガス状態下における密度をρ V 、重力加速度をg、ラプラス定数LをL=[σ/{(ρ 1 −ρ V )g}] 0.5 としたとき、前記ループ型細管の内径dが、L<d<3Lの条件を満たし、
前記細管の吸熱部の熱交換長さをl、この吸熱部における細管の内径をdとした場合、このl及びdは、15d<l<882dの条件を満たし、
前記細管は、吸熱部において、水平面に対して所定角度以上傾斜して設けられていることを特徴とするループ型細管ヒートパイプ。 - 請求項1記載のループ型細管ヒートパイプにおいて、
前記ループ型細管は、前記吸熱部と前記放熱部とが管軸方向に交互に到来するように形成されていることを特徴とするループ型細管ヒートパイプ。 - 請求項1記載のループ型細管ヒートパイプにおいて、
複数の吸熱部を有することを特徴とするループ型細管ヒートパイプ。 - 請求項1記載のループ型細管ヒートパイプにおいて、
複数の放熱部を有することを特徴とするループ型細管ヒートパイプ。 - 請求項1記載のループ型細管ヒートパイプにおいて、
前記放熱部の位置が前記吸熱部の位置よりも高いことを特徴とするループ型細管ヒートパイプ。 - 請求項1記載のループ型細管ヒートパイプにおいて、
前記ループ型細管は、並設された複数のループ型細管を含むことを特徴とするループ型細管ヒートパイプ。 - 請求項1記載のループ型細管ヒートパイプにおいて、
前記ループ型細管は、複数回巻回されコイル状に形成されたループ型細管を含むことを特徴とするループ型細管ヒートパイプ。 - 請求項1記載のループ型細管ヒートパイプにおいて、
前記ループ型細管は、前記作動流体の流れ方向を基準にして、一部に断熱壁によって仕切られて往路部分と復路部分とを構成する二重管部が形成されていることを特徴とするループ型細管ヒートパイプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12712897A JP3695892B2 (ja) | 1996-05-16 | 1997-05-16 | ループ型細管ヒートパイプ |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12182096 | 1996-05-16 | ||
JP8-121820 | 1996-05-16 | ||
JP12712897A JP3695892B2 (ja) | 1996-05-16 | 1997-05-16 | ループ型細管ヒートパイプ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1089867A JPH1089867A (ja) | 1998-04-10 |
JP3695892B2 true JP3695892B2 (ja) | 2005-09-14 |
Family
ID=26459089
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12712897A Expired - Fee Related JP3695892B2 (ja) | 1996-05-16 | 1997-05-16 | ループ型細管ヒートパイプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3695892B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10321430A (ja) * | 1997-05-23 | 1998-12-04 | Mitsubishi Electric Corp | 超電導電磁石装置 |
JP4956233B2 (ja) * | 2007-03-08 | 2012-06-20 | 株式会社東芝 | 蓄冷式冷凍機および蓄冷式冷凍方法 |
US9074798B2 (en) | 2009-12-28 | 2015-07-07 | Koninklijke Philips N.V. | Tubular thermal switch for the cryo-free magnet |
JP5743948B2 (ja) * | 2012-04-12 | 2015-07-01 | 株式会社東芝 | 熱交換器 |
GB201212800D0 (en) * | 2012-07-19 | 2012-09-05 | Oxford Instr Nanotechnology Tools Ltd | Cryogenic cooloing apparatus and method |
JP7012410B2 (ja) * | 2018-03-26 | 2022-01-28 | 古河電気工業株式会社 | 極低温機器の冷却構造 |
-
1997
- 1997-05-16 JP JP12712897A patent/JP3695892B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1089867A (ja) | 1998-04-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6173761B1 (en) | Cryogenic heat pipe | |
EP0661741B1 (en) | Heat-pipe type cooling apparatus | |
US5940270A (en) | Two-phase constant-pressure closed-loop water cooling system for a heat producing device | |
US7369410B2 (en) | Apparatuses for dissipating heat from semiconductor devices | |
Maydanik et al. | Miniature loop heat pipes-a promising means for cooling electronics | |
EP2238400B1 (en) | Heat pipes incorporating microchannel heat exchangers | |
US7191820B2 (en) | Phase-change heat reservoir device for transient thermal management | |
JP4099314B2 (ja) | 超伝導体ローター冷却システム | |
Mito et al. | Achievement of high heat removal characteristics of superconducting magnets with imbedded oscillating heat pipes | |
JPH08340189A (ja) | 沸騰冷却装置 | |
JPH09504087A (ja) | 超伝導磁石を対流によって冷却する手段および装置 | |
JP3695892B2 (ja) | ループ型細管ヒートパイプ | |
JPH09306722A (ja) | 超電導磁石装置 | |
Mushan et al. | A review of pulsating heat pipes encompassing their dominant factors, flexible structure, and potential applications | |
JPH08204075A (ja) | プレートフィン型素子冷却器 | |
CN103782353A (zh) | 用于冷却装置的设备和方法 | |
JP2010121835A (ja) | 減圧超流動ヘリウム冷却熱交換器 | |
Kwon et al. | An experimental investigation on the influence of condenser bypass area for the transient and steady-state heat-transfer performance of heat pipes | |
JP7593800B2 (ja) | 冷却デバイス | |
CN213483505U (zh) | 用于超导磁体的制冷剂冷却系统 | |
JPH01111197A (ja) | 熱伝達装置 | |
CN212618821U (zh) | 一种空调外机控制器冷却装置、室外机及空调器 | |
AU2014250674B2 (en) | Heat pipes incorporating microchannel heat exchangers | |
JPH04226057A (ja) | 浸漬液冷用冷媒及びこれを用いた沸騰液冷式電子機器 | |
JP2002115981A (ja) | 熱輸送装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050315 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050329 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050525 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050621 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050628 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |